巨人(進撃の巨人)

登録日:2013/05/27 Mon 12:59:22
更新日:2024/04/29 Mon 17:02:49
所要時間:約 20 分で読めます





進撃の巨人』に登場する謎の生命体。

以下、ネタバレを含みます。




概要


その名の通り、平均3m~15mの巨大な人型で、大半が男性的な姿をしているものの、生殖器は存在せず、繁殖方法は不明。
その巨大さに比べて重量は異常に軽く、動きも機敏。*1
『人間を食うこと』だけを行動原理とするため、遠方からでも人間の存在を感知できる術を持ち、感知すると襲いかかってくるが、他の生物には何の興味も示さない。
時折それ以外の特殊な行動をとる巨人*2は行動が予測出来ない脅威のため「奇行種」と呼ばれる。
消化器官がないため、食事も水分も必要とせず*3、呼吸もしない巨人だが、基本的に日光を遮られると活動が鈍くなるため*4、唯一「日光」が活動に必要と目されている。
一部、夜間でも活動できる奇行種は月光*5で活動しているからではないかと言われており、新月の日は活動を停止するものと思われる。
頭部を吹き飛ばしても数分で再生する驚異的な生命力を誇るが、なぜかうなじ部分を大きく損傷すると再生できずに消滅する。
ただし人間の膂力ではそこまでの損傷を与えることができないため、『うなじ部分を剣で切り取る』ことで撃退している。ちなみに体長の違う巨人でも弱点の大きさは同じで、縦1m幅10cm。*6

100年前、突然姿を現し、人類の大半を食い尽くしたとされる存在から逃れるために人類は巨大な「壁」を築き、その内部にこもることで平和な生活を手に入れた。ちなみにこの「壁」は地面の下にも張り巡らされている。*7
人類の大半が死滅した直接の原因は人間同士の争いによるもので、「壁」も人類が海を越えて辿りついた大陸に元々用意されていたものであった。
このように驚異的な能力を持つため、人類は戦闘慣れした調査兵団であっても「巨人とは出会わない、なるべく戦わない」ことを貫いている。*8
しかし、本編開始5年前に超大型巨人によって「壁」が破壊されたことで、再び人類への攻撃を開始する…………。


その正体

その正体は人間で、人間に特殊な薬品を注射することで巨人に変貌する。
巨人のうなじの部分の弱点は元々の人間の脳から脊髄にかけての名残と思われ、解剖してもその人間の痕跡はない。

ただし巨人化するのは、最初に巨人化の力を獲得した始祖ユミルの血を引くエルディア人と呼ばれる人種達(通称、ユミルの民)のみである。
特殊な薬品はすぐに気化することから巨人の脊髄液と推察されている。
後述の巨人化能力者との区別のためこれらの巨人は無知性巨人、あるいは無垢の巨人と呼称される。

巨人化してしまうと元に戻ることは基本的にできず、後述の巨人化能力者を捕食した場合にのみ、その能力を継承した上で元の人間に戻る事が可能。
巨人化薬剤は瀕死の状態の人間にも使用可能であるため、敵の巨人化能力者を捕縛した後に、通常の治療が間に合わないメンバーに投与すると通達している。
実際に20巻でエレンのよく知る「ある人物」に投与され、調査兵団は都合2人の巨人化能力者を得ることに成功した。

エレン達から見て壁の外にいる無知性の巨人はマーレの国が送り込んだもの。
マーレは巨人化能力を持つユミルの民を支配下に置いた後、罪人となったものを海岸線で巨人化させる「巨人化の刑」に処していた。
つまり巨人が南から来るのは南の海岸線でエルディア人が巨人化されていたからである。



◆巨人化能力者/ユミルの9つの巨人

その名の通り、巨人化する能力を持った人間のこと。
巨人化能力者が自分の体を傷つけると、その部分から巨人の肉体が形成され、能力者は巨人体のうなじ部分に埋まる形となる(無垢の巨人の弱点の場所と同じで無垢の巨人の場合、肉体は巨人の肉体と一体化していると考えられる)。
イメージとしては巨大ロボットの様なパワードスーツである。
通常の巨人と異なり人間の知性を有しており、人間を食うこともない。

皮膚を硬質化させる能力などの通常の巨人にはない能力も有しており、人間体でも再生が異常に早くなり、通常では自力で治せない四肢の欠損なども治せる。
また、咆哮(叫声)を上げることで自身の位置を他の巨人に知らせ、呼び寄せることも可能。
しかし無垢の巨人は能力者を仲間と思っていないのか、対峙した場合は襲いかかってくる。

一度無垢の巨人になったものは巨人化能力者を食うことでその能力と記憶を受け継ぎ、新たな巨人化能力者となる。

その力の源は始祖ユミルが獲得した巨人の力。
遥か昔、エルディアの奴隷であった少女、始祖ユミルが巨人の力を獲得し、その後に巨人としての能力は9つに分割され、マーレの国を滅ぼしエルディア帝国を建国した。
しかしその巨人の力のうち7つがマーレ側に奪われ、エルディア側は劣勢に。
その後エルディア人の多くは王家とともにパラディ島こと「楽園」の内部に逃げ込み、新たに国を建設。
本国を平定したマーレ人は、巨人戦力を利用するためマーレに服従するエルディア人を「戦士」として利用し、他を収容所に送るという分割統治を敷いた。

9つに分割された巨人の力はユミルの9つの巨人と呼称され、この能力を持つ者は「巨人化能力者」と呼ばれる。
巨人化能力者は「ユミルの呪い」により約13年で自動的に死亡するため、それまでに誰かに継承させる必要がある。
継承されなかった場合はそれ以降に誕生するエルディア人の誰かに巨人化能力が宿る。
また、フリッツ王家の血を引く者が巨人化能力者になると、新たな能力が発現したり、真の能力が解禁されたりする。

9つの巨人はそれぞれ固有の名称を持つ。
マーレが奪った7つは進撃の巨人と始祖の巨人以外である。

超大型巨人

継承者:ベルトルト・フーバー→アルミン・アルレルト
5年前に突如として現れ「壁」を破壊した60m級の大巨人であり、メタ的な表現をすれば本作の看板(広告塔)のような存在。
その巨体から振るわれる拳や蹴りの一撃は容易に「壁」を叩き壊せる威力を有する。
しかし大きすぎる故に動きは緩慢で硬化もしない(出来ない?)ため、全身から蒸気を噴出して防御する。
これは近寄れない位の高温とアンカーを吹き飛ばす程の勢いがある厄介なものだが、反面、自身の筋肉を燃料にしているようなものなので持続時間有限のその場しのぎでもある。
また、変身時には爆発の様な衝撃を発生させることもでき、ウォール・マリア奪還作戦以降はこの能力で周囲を吹き飛ばすことを攻撃手段として使われている。
マーレが送り込んだ巨人の1体で、ウォール・マリア、ウォール・ローゼを破壊。
その後、ウォール・マリア奪還作戦でエレンたちの前に立ちはだかるが、アルミンの決死の行動とエレンの機転により攻略され、生身のエレンに撃破される。
その後、アルミンが捕食したことでアルミンに能力が継承された。

鎧の巨人

継承者:ライナー・ブラウン
超大型巨人と共に現れ、「壁」を破壊した巨人。全身に硬質化した皮膚を纏っていることからこの名が付けられた。
この鎧の強度は非常に高く、ブレードは言わずもがな巨人のパンチも殴った方が砕ける、噛みついても無傷と文字通り歯(刃)が立たない。
だが機動力保持の為か脇や膝裏などの関節には鎧がないため、刃は通るし巨人による極め技も有効である。
マーレが送り込んだ巨人の1体で、登場当初、エレン達には硬質化した鎧の攻略手段が無かった。
しかし後に雷槍と呼ばれる兵器や、硬質化能力を獲得した巨人のパンチで破壊可能になった。
さらに外国の技術の進歩に伴い、対巨人砲弾により破壊されるなど、話が進むにつれて鎧の強度は信頼出来なくなってしまった。

進撃の巨人

継承者:エレン・クルーガー→グリシャ・イェーガー→エレン・イェーガー
この漫画のタイトルになっている巨人。
元はマーレに潜入していた「フクロウ」ことエレン・クルーガーが所持していたが、始祖の巨人の奪還のためグリシャが継承、さらにエレンに継承された。
巨人によるトロスト区襲撃の際にエレンが変身し、以降壁内の人類の戦力となる。
能力は不明だが、いついかなる時も自由を求めて戦ったらしい。
エレンは後に「ヨロイ」と書かれた瓶を飲み込んだ事で硬質化能力を発現する。
その能力は過去の進撃継承者との記憶の共有。
共有する記憶の選択権は未来の継承者にあり、擬似的な過去干渉が可能となる。自由を求めて戦ったというのも、この記憶に従って行動したがゆえのことである。
ジークと接触した際には王家の血筋の関係か直接的な干渉が可能となっており、医者や父親としてレイス家を根絶やしするのをためらったグリシャに対して「何をしてる 立てよ 父さん」「これは父さんが始めた物語だろ」と耳元で囁いて強制させた。

始祖の力の発現後はさらなる形態に変化する。

女型の巨人

継承者:アニ・レオンハート
珍しく女性型の肉体をしており、高い格闘能力を持つ。
また「鎧」ほどではないが身体の一部を一時的に硬化することができ、状況に合せて攻防に使用できる。
マーレが送り込んだ巨人の1体で、第57回壁外調査時に調査兵団に襲撃を仕掛けてきた。
咆哮で他の無知性巨人を呼び寄せる事が可能。
後にアニが追い詰められた際に自身を水晶のような硬質化物質で覆い、最終盤まで出番はなくなる。

顎の巨人

継承者:マルセル・ガリアード→ユミル→ポルコ・ガリアード→ファルコ・グライス
小柄だがその分他の巨人より俊敏で、機動戦を得意とする。
また硬質化した牙と爪を持ち、他の巨人の硬質化した皮膚にも傷を付ける事が可能。
変身者毎に姿が異なり、ユミルの場合は無知性巨人の時と変わらない小型の巨人で牙や爪はあまり目立たなかった。
ポルコの時はライオンの様なたてがみを持ち、強力な牙と爪を持っていた。
ファルコが変身した場合は羽毛の様な体毛を持つ巨人となり、飛行能力を獲得していた。
元はマーレが送り込んだ巨人の1体だったが、本編開始前に無知性巨人だったユミルに捕食され力が移動。
マーレ編以降はポルコ・ガリアードがその力を継承して変身し、最終盤でファルコ・グライスに継承される。

獣の巨人

継承者:トム・クサヴァー→ジーク・イェーガー
猿の様な体毛で覆われており、人語を発することが可能。
腕が長く、「壁」の昇り降りも可能。
腕が長く毛に覆われている、人語を発音できるという特徴以外は特殊能力はなかったが、
野球の投球フォームの要領で石礫を大量に投げる遠距離攻撃が可能。
また、ジークが王家の血を引くため、ジークの脊髄液を少しでも飲み込んだユミルの民は彼の咆哮を聞くと無知性巨人に変化する。
咆哮が聞こえなかった場合でも一瞬体がしびれるなどの症状が出る。
彼の脊髄液由来で変化した無知性巨人は夜でも活動できる他、ジークの命令で動く、他の巨人に襲いかかる等の通常とは異なる行動をとるものが多い。

車力の巨人

継承者:ピーク・フィンガー
他の巨人と異なり、四足歩行している巨人。
短時間に何度も巨人化を繰り返し行えるうえに、2ヶ月ほど巨人体を維持できる桁違いのスタミナ、四足歩行による高い運動性能が持ち味。
シガンシナ区奪還作戦の時と再登場で顔が違う。
専用の装備も開発されており、背中に長距離射撃砲や重機関砲などを装備し射撃攻撃も可能。

戦鎚の巨人

継承者:ラーラ・タイバー(ヴィリー・タイバーの妹)→エレン・イェーガー
最後に出てきた9つの巨人。タイバー家が代々管理している巨人で、マーレ国内でも高い地位を得ている。
鎧の巨人以上に硬質化能力の扱いに長けており、様々な武器にする他、巨人体を硬質化能力で生成し、本体をうなじ以外の場所に隠す事が可能。
本体も固い水晶で守ることができるが、消耗が非常に激しく、硬質化を何度も行うと限界がきて動けなくなる。
この特性を見抜かれると弱く、エレンに特性を見破られた後は本体を守る硬質化した水晶ごと顎の巨人の顎で叩き割られてしまった。
脊髄液をエレンが飲み込んだことで、能力は彼に引き継がれた。

始祖の巨人

継承者:始祖ユミル→(フリッツ家)→カール・フリッツ(レイス王)→(レイス家)→フリーダ・レイス→グリシャ・イェーガー→エレン・イェーガー
巨人を操作する能力、ユミルの民の記憶操作、肉体操作が可能。
ライナー達が「座標」と呼称するものの正体。
壁に逃げ込んだ王家の保持していた巨人。代々フリッツ王家に引き継がれてきており、名前をレイス家と変え、真の王家であることを隠していても始祖の巨人の継承を続けていた。
上述の全ての巨人を操れる能力だが、王家の血筋を引いているもので無ければその能力を発揮することはできない。
またレイス家の人間が継承すると145代王カール・フリッツの思想に縛られてしまい、自由意志での能力行使はできなくなる。
能力が制限されるのではなく、使えるが、使わないという選択肢しか選べなくなる。
ただし、始祖を持った人物が王家の血筋を引いた巨人(知性/無知性問わず)と接触することで、初代レイス王の思想に縛られることなく発動可能という抜け道が存在する。



◆その他の巨人


壁の中の巨人

女型の巨人との戦いの際に一部破損した「壁」の内部から姿を見せた巨人。
その正体はかつて巨人の硬質化能力を用いて「壁」を構築した多数の無知性巨人である。
超大型巨人とほぼ同等の体格と、高熱を発する能力を持ち、近づく者を焼き殺すことが可能。
壁の内部に無数に存在している。
始祖の巨人の能力でこの大量のこの大量の超大型巨人を操って進軍し、地上のあらゆる物を踏み潰すこと「地ならし」と言っている。


カルラを捕食した巨人

アニメ1話(原作1巻)に登場した無知性巨人。
シガンシナ区のエレン達の家に現れ、カルラ(エレンの母)を捕食した。
後に再登場し、ハンネスも捕食する。
しかし、エレンがこの巨人にパンチした際に突如「座標」の力が目覚め、他の巨人に襲われ死亡する。
元はダイナ・フリッツと呼ばれる女性でグリシャの前妻であり、ジークの母親。
マーレ政府により巨人化の刑に処され、グリシャの目の前で巨人化した。
つまりエレンは皮肉にも義母を自らの手で葬ったことになる。
フリッツ王家の末裔の一人でもあり、エレンがこれを知ったことで「座標」の力の抜け道に気づくことになる。


ロッドの巨人

ヒストリアに注射器を破壊され、地面に溢れた巨人化薬をロッドが経口摂取して誕生した巨人。
エレンの巨人と違って知性はないが、第二の超大型巨人とも言うべき巨大さを誇り、体から高温の蒸気を常時発している。
巨大だったあまり洞窟を崩壊させ、調査兵団を死の危機に陥れ、地上に出た後はその能力を用いて駐屯兵団を苦しめた。
しかし巨大故にやはり鈍重であること、それを加味しても移動が極端に遅い上に高温であることから爆薬を仕込まれて爆破され、ヒストリアに弱点を切られて死亡した。
ヒストリアに注射し、エレンを捕食させる気だったようだが、こんなのに変身したらロッド自身も危険な上、エレンも捕食される前に死んでいた可能性が高い。

歴代九つの巨人

天と地の戦いにおいて始祖の巨人から生成された無数の巨人。
その正体は過去の9つの巨人であり、能力行使も可能。
自由意志はなく、恐らく始祖ユミルに操られるまま戦う傀儡。
ただし、道を通じて元の継承者を説得し、元の継承者が意識を取り戻した場合、ユミルのコントロールを離れる。

◆関連用語

生も死もない世界(仮称)

エレンがジークと接触した後にいた異空間。
砂地で、中央に枝分かれした光る木があり、その木が「道」と呼ばれる。
全てのユミルの民はこの「道」を通じて繋がっている。
巨人化の肉体はこの「道」を通じて送られる他、ユミルの民の肉体操作も「道」をつうじて行われる。
時間の概念が異なり、何年もこの異空間にいても外部では一瞬に過ぎない他、「道」を通じて過去や未来の記憶を見たりもできる。
始祖ユミルは何千年もの間たった一人でこの異空間で砂地から巨人の肉体を作り続けてきた。

光るムカデ(仮称)

首を切られたエレンの頭から出現し、胴体を繋いだ光るムカデの様な生命体で、巨人化の起源。
始祖ユミルと接触し、彼女に巨人化能力を与えた存在。
有機生命体の起源などとも呼ばれるが、その正体は一切分からない。
自分自身の意思があるのか、最終決戦時にエレンと分離した際にはユミルの民を無知性の巨人に変えるガスを放出して身を守ろうとする動きが見られる。


追記・修正は巨人化能力者になってお願いします。

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最終更新:2024年04月29日 17:02

*1 ただし走る際のズシンズシンという重量感、ある程度の質量がなければ説明がつかない破壊力などから見て、10m級でも数百kgはあるはずである

*2 近くの人間を無視して遠方にいる人間を襲ったりなど

*3 食った人間が溜まると嘔吐する

*4 個体差はある

*5 太陽光の反射によるもの

*6 人間で言えば脳から脊髄にかけての大きさ

*7 偶然にもそれを発見した鉱夫は友人に話した直後に姿を消してしまったらしい。

*8 「長距離索敵陣形」はこれをより素早く行うための陣形で、導入以降、生存率が大幅向上したらしい。