登録日:2013/05/21 Tue 13:40:47
更新日:2025/04/16 Wed 10:21:53
所要時間:約 8 分で読めます
概要
第104期訓練兵であり、成績上位者の一人。順位は次席。
ミカサが圧倒的すぎるために影が薄いが、極めて高い実力を持つ。
女型の巨人との戦いでも、握りつぶされそうになったところを、即座に巨人の指を切断して脱出するという脅威の脱出を見せた。
マーレ編ではファルコ・グライスと共に主人公に昇格。その後、群像劇となる最終章でもファルコ、ジーク、アルミンと並ぶ主役を務める。
出身はウォール・マリア南東の山村で、
ベルトルトと同郷。
5年前のウォール・マリア陥落の際に壊滅したらしく、戻れなくなってしまった故郷に戻ることを目的としており、
エレンとは互いに強い目的を持つ者同士として共感し合っている。
人物
冷静かつ気のいい性格で、責任感も強く、面倒見も良いので仲間から厚く信頼されるリーダー的存在。
だが、
巨人との戦いの際に場を和ませる冗談として、
「もしくはこいつを奴らのケツにぶち込む」と発言したことでやたらホモ扱いされる。
ちなみにこの冗談、
コニーと
サシャは信じた。アホすぎる。
その後原作でも
ユミルから「女の方に興味があるようには見えない」と言われており、
本人も言葉を濁していたため、さらに疑惑が深まってしまった。
まあ
クリスタの女神っぷりに思わず「結婚したい」と考えているため、ノーマルだろう。うん、多分。
作者である諫山創先生一番のお気に入りキャラで学生時代に尊敬した先輩をモデルにしたらしく非常に愛されている。
以下最重要ネタバレにつき閲覧注意
そうか...
きっと、ここに長くに居すぎてしまったんだ...
バカな奴らに囲まれて、3年も暮らしたせいだ
俺たちはガキで……
何一つ知らなかったんだよ
こんな奴らがいるなんて知らずにいれば……
俺は...
こんな半端なクソ野郎にならずに済んだのに……
もう俺には、何が正しいことなのか分からん
ただ、俺のすべきことは..自分のした行いや選択に対し...
戦士として最後まで責任を果たすことだ
鎧の巨人
5年前、超大型巨人と共に現れウォール・マリア地区を壊滅させた巨人。
その正体は、ライナーの巨人体である。
体長は15メートル級。固有能力は「全身の常時硬質化」。
鎧のように硬質化がほぼ全身を覆っているため通常の砲撃が効かない上に、うなじ部分も硬質化しているため通常の立体機動装置で弱点を突くこともできない立体機動装置の天敵。
巨人随一の耐久力を誇る上に他の巨人個体のように硬質化に時間を割く必要が無く、ライナー自身の格闘戦の実力も高いため総合的には極めて高い戦闘能力を持つ。
硬質化を生かしたタックルは壁の開閉扉を破壊するほどの威力を持つなど硬質化による打撃力の高さも売りの1つ。
ただしあくまで体表が硬質化しているだけなので口内まではカバーしきれていないのが欠点。
そして全身硬質化の副作用として機動力では他の巨人には後れを取っている。
後に火力のインフレが進んできたにつれて結構な頻度で硬質化した肉体が破られるようになっていく。誰が呼んだか「薄氷の巨人」。
しまいにはジャンからも「名前のわりによく砕ける」とツッコまれており、公式でネタにされているレベル。
女型の巨人とは同郷。
握り潰されそうになったのもエレンの居場所を伝えるためにわざと捕まったフリをしただけであり、掌に文字を残して情報を伝えていた。
活動
ウトガルド城での戦いのあと、何故か自分からエレンに正体を明かし、
俺たちの目的は人類を滅ぼすことだったがもうその必要はなくなった
お前さえ来てくれればもう壁を壊さなくて済む
とエレンに誘いをかける。
しかし、このあまりにも意味不明すぎるタイミングでのカミングアウトにはエレンも困惑し、「お前さぁ……疲れてんだよ」と心配する始末。
(エレンは事前にハンジ達から疑惑を伝えられており、ライナーを信じたかったのもあるだろうが)。
オマケに
「ライナーが鎧の巨人ならそんなことをわざわざ相談するのはおかしい上に、本当だとしても自分がホイホイついて行くことはあり得ない」という、
至極もっともなツッコミを受けてしまい、そこで初めて自分の言動が異常なことを自覚した彼は、これまでの自分の行いを自嘲しながら
超大型巨人と共に巨人化。
巨人化したエレンと交戦に入る。
その頑強さから攻撃を一切受け付けず、エレンを圧倒するが、投げと関節技によって敗北寸前まで追い込まれる。
しかし、咆哮でベルトルトに助けを求め、超大型巨人のボディープレスによって再び形勢逆転すると、エレンとユミルをさらって撤退した。
なお、同期の訓練兵メンバーにはかなりの情を抱いており、それが災いして精神が不安定になっていることも判明。
元々は壁の破壊を目的とした「戦士」だったが、いつしか演技に過ぎなかった「兵士」としての顔が根付いてしまい、
どちらが本来の自分かわからない自己分裂状態に陥ってしまっていた。
エレンにいきなり自分の正体を明かしたり、その直前のエピソードでコニーを庇い巨人と心中しようとしたのもそれが理由であり、エレンを連れ去った後にも調査兵団の仕事の話をしてベルトルトに窘められていた。
この時「クリスタは俺に気があるかも」などと語っていることから、根付いた兵士の顔も現状を正しく認識できていない様であった。
彼らの任務は「座標」と呼ばれる何かを探すことであり、現時点ではエレンがそれだとみなされているらしい。
かつて巨人に襲われて仲間を食われたことがあるという過去も明かされたが、
彼の語る「故郷」が一体どこを指しているのか、そしてその真の目的等が明かされるのは22巻や23巻以降の
回想シーンを待つことになる。
その後は、クリスタの身の安全を取引材料にユミルを味方に引き込む。
その事でベルトルトから
問い詰められた時には、
「クリスタが可愛いってこと以外にも、理由はあるだろう」と語っている。うん、お前ちょっと黙ってろ。
さらに唐突にベルトルトに「
アニに告白しろ」と言い出したりと、(彼曰く「(アニを)見すぎ」とのこと)
ヘビーな設定が明かされた割にネタ提供ポジなのは変わっていないのだった。
シガンシナ区決戦
決戦前には「獣の巨人」ことジーク戦士長にアニ救助優先を願うも、「座標」確保を狙う獣の巨人との模擬戦に敗れ断念。
ウォール・マリアを奪還すべく総力戦を挑んできた調査兵団に対して、獣の巨人と共にシガンシナ区で迎え討つ作戦に出る。
奇襲をかけるべく壁の空洞に隠れていたが、アルミンの機転で隠し場所が暴かれ
リヴァイに殺されかけるも、巨人化することで回避する。
しかし、エレン巨人との対決では硬質化パンチによってあっさり鎧を割られるわ、関節技で追い込まれるわで、
「一人ではエレンに勝てない」と実感。
この時点で、アニ≧エレン>>ライナーが確定してしまった感がある。
さらに第104期訓練兵の同期たちと調査兵団の新兵器「雷槍」にも苦戦。
巨人の本体であるライナー自身の頭半分が吹き飛ばされる致命傷を追うが、本体の機能を巨人体に一時的に移行させることで即死を回避。
短期間に2度も死線をくぐるライナーの不死身にっぷりに読者も驚いた。
その後、超大型巨人の大爆発で調査兵団をほぼ壊滅させることには成功。
が、鎧の巨人は生き残った僅か5名の調査兵団が所持していた、たった四本の雷槍による攻撃で本体を巨人から引き剥がされ、四肢を切断され、ハンジに拷問される。…って、二度も負けるのか…しかも二度目は巨人相手ですらないし
その際に隠し持っていたユミルからクリスタに宛てた手紙を託し、殺されそうになったところを控えていた車力の巨人に救われ、三度生き延びるのであった。…って、負けっぱなしのくせに生き延びるのか…
ちなみにこの少し後、ジーク戦士長がエレンの異母兄でもあると判明。イェーガーの血自体に弱いのかも知れない…。
シガンシナ区決戦の後、ライナーは「獣の巨人」ジーク・「車力の巨人」ピークと共に故郷
「マーレ」に帰還し、23巻冒頭では「戦士」の一員としてマーレの侵略戦争に参戦した。
その目標となるスラバ要塞は産業革命後の近代火器が多数配備されており、ジークを庇った際に巨人体を撃ち貫かれ大きく損傷させられたものの、戦争自体は辛くも勝利を収めた。
またこの時点で巨人化能力の代償「ユミルの呪い」により余命は後2年程になっており、従妹の少女「ガビ・ブラウン」は戦士の後輩として「鎧の巨人」継承候補になろうと頑張っていた。
だが…
レベリオの戦い
ベルトルトら仲間を失いただ一人帰還したライナーは重度の心的外傷を抱えており、本国の過酷な現状も重なって幼き日の戦士候補生時代やパラディ島での訓練兵団時代を思い出しては自殺衝動に駆り立てられる程に精神的な限界が近づいて来ていた。
そんな中、ヴィリーの演説中に後輩ファルコに案内され、偽名でマーレに潜入していたエレンと再会。
予想もしなかった再会に怯えながらも、エレンに壁を壊したあの日のことを話し出した。
ライナーたちの仲間であるマルセルが
ユミルに食われた日、アニとベルトルトは作戦を中止し引き返そうとしていた。
しかしライナーは二人を説得して作戦を強行。
上記のことや兵団時代での態度、ミスによって同期であったマルコに正体がバレた際、アニに親の話を引き合いに出して汚れ役をやらせるなど、仲間である彼女からは「クソ野郎」と強い憎悪を抱かれていた。
その裏には自分が英雄になりたかったこと、誰かに尊敬されたかったことがあったからである。
あれは…時代や環境のせいじゃなくて…
俺が悪いんだよ
お前の母親が巨人に食われたのは俺のせいだ!!
そしてエレンに「殺してくれ」「もう消えたい」と懇願する。エレンはライナーの手を取り励ました…と思いきや巨人化。ライナーはファルコを硬質化で守るも心を閉ざしてしまう。
しかし、戦槌の巨人がエレンに喰われ、更に顎の巨人まで食われそうになった時、ガビ達の声援でまるで主人公の如く覚醒し、巨人となる…が、即効でエレン巨人にぶん殴られ吹っ飛ばされる。しかし、顎の巨人の救出には成功した。
第二次シガンシナ区決戦
戦士長としてマガト元帥と共にマーレ軍を率いてパラディ島に奇襲を仕掛ける。
たった一人で待ち構えるエレン巨人に対し、鎧の巨人、顎の巨人、車力の巨人の三体がかりで挑む。
ライナーはエレンに対し「お前は一人なら脅威にならない」と自信満々だったが、
- 硬質化パンチでボコボコにされる
- 戦槌の巨人の力で串刺しにされる
- ダウンしたエレンに噛みつこうとしてカウンターを喰らい頭をもがれる
- エレンの応援に駆けつけた獣の巨人の投石を喰らってダウン
- 起き上がって再びエレンを襲おうとしてまた投石を喰らって倒される
と、散々である。
「お前は集団でも脅威じゃない」
その後、ジークの叫びによってファルコが無垢の巨人と化してしまう。
ライナーは自分を食わせて鎧を継承させることによってファルコを救おうとするが、ポルコがそれを庇う形でファルコに食われたことで、顎の巨人はファルコに継承されることとなった。
パラディ島港奪取戦
エレンとジークの接触を許し、地鳴らしが始まった。
虐殺を敢行するエレンに対し、104期勢やハンジらと共同戦線を組んで飛行船を奪う計画を立てる。
だが港はイェーガー派に先回りして奪われており、無血で手に入れる計画も失敗。
女型の巨人・鎧の巨人・車力の巨人と仲間による強行作戦で奪取することとなった。
当然大暴れしたものの、イェーガー派勢力に雷槍をドカドカ撃ち込まれ女型の巨人ともども動けなくなるという事態に。
ファルコが顎の巨人にならなければ危うく全人類の虐殺を許すところだった。
この時点で鎧の巨人はマーレ大陸での要塞戦に続き対巨人兵器で動きを止められる様になっており、パラディ島の人類にすら勝てない時代遅れの兵器となっていた。
天と地の戦い
先刻の戦いで止むを得ずジャンやコニーもイェーガー派との殺し合いになり、裏切り者のクソ野郎になってしまったと悔やむ。
そして
飛行艇内でジャンから切り出す形でお互いにクソ野郎になったと打ち解け、その話の流れでライナーはエレンの心理を紐解いた。
あいつだって……辛いはずなんだ…
人類虐殺なんてとても…耐えられることじゃない…
俺だったら…
もう始祖の力を誰かに任してしまいたい…
それができなければ…終わりにしてほしい
誰かに…
すると、一瞬でその場にいたエルディア人全員が「道」へと導かれ、エレンと話す機会を得る。
しかしライナーの予想通り、エレンは話し合いを拒絶し、戦う道しか残されていなかったことが確定する。
そして飛行艇は終尾の巨人と化したエレンの背の上部に到達するも、エレンから生成された獣の巨人(ジーク型)が硬質化物質を投擲してくる。オニャンコポンの操舵技術でこれを回避しつつ飛行艇から仲間全員で降下し、立体起動装置を駆使しつつも途中で鎧の巨人へと変身し、ついに最終決戦が始まった。
そのまま戦闘に入るも…
- ガリアード型顎の巨人の爪で顔を削られる
- 超大型巨人に首を食いちぎられ巨人化を強制解除させられ、立体起動装置が破損した状態でジャンと宙吊りになる
- ファルコのおかげで仕切り直せたものの、戦槌の巨人を引き寄せる囮として再度先行して巨人化し戦闘に入って気が付いたら投げ槍や弓でダウンしている
無尽蔵に生成される歴代の九つの巨人の前では鎧などあってないようなものであった。
更に満身創痍なまま終尾の巨人の首から出た光る
ムカデを必死に食い止めたため、超大型巨人の大爆発に巻き込まれて再びダウンしている。ライナー!!
その後起き上がるが要塞にいるほぼ全てのエルディア人が巨人にされる光景を目にし、更にエレンの元に向かおうとする光るムカデを車力の巨人・女型の巨人と共に必死に食い止めることに。
光るムカデを受け止めた時に当然のように鎧は砕け、ジャン・コニー・ガビ、母親までもが変じた無垢の巨人に囲まれ、
うなじを狙われ続ける果てない地獄…
ただ1人マーレに戻った日から
兵士であることを終わらせた日から
調査兵団で過ごす日々から
或いは最初に壁を壊した時から
何度巨人化しても治らない瑕から溢れた請願
────だが、ミカサがエレンの首を落とし切り、始祖ユミルの力によって巨人の力は消滅。
それと同時に、エレンが戦う前に自分に会いに来たことを思い出し、「エレン…お前ってヤツは……」と呟き涙を目に浮かべた。
人間に戻った母と再び再会し、鎧の巨人の力を失ったことをどこか後ろめたそうに打ち明けるが、愛する息子としてライナーを見てあげられなかった母から今までの謝罪を受けた。
己への罪悪に苛まれ、苦しみ続けながらもその責任を放棄することなく戦い続けた青年は、かつての仲間が自身と同じ苦しみを分かち合い、再び仲間として最後の戦いに挑み、かけがえのない母の愛を受けてようやく解放されることとなった。
それから3年後、アルミン達と共に壁外人類の和平交渉の連合国大使を結成し、パラディ島に向かった。
その際、アルミンが読み上げるヒストリアの手紙の内容を聞いていたが、読み終わるやいなや手紙に顔を近づけて「…何度見てもヒストリアの筆跡は美しいな いい匂いもする」と、シリアスな内容そっちのけで堂々と匂いを嗅いでいた。
その場にいる仲間の反応からすると、ヒストリアの手紙が来る度にやっていると思われる。
ちなみに調査兵団から離反した時点ではクリスタの本当の名前がヒストリアであることを知らなかったはずだが、後に誰かから聞いたのかヒストリア呼びになっている。
己への罪悪に苛まれ、苦しみ続けながらもその責任を放棄することなく戦い続けた青年の評価は、再び得た仲間と読者の全会一致で収束する。
「本当に気持ち悪いよ」
余談
上記でライナーが時代や環境のせいじゃないと言っているが、実際のところは
- マーレではパラディ島の住民は悪魔の末裔だと徹底して教えられており、それを否定する証拠がほとんどない。
- とりわけ強く島民を憎んでいる母親の影響で、人一倍思想洗脳が徹底していた
- 仮にそれがおかしいことだと疑念を持ったとしても、表立って吹聴しようものならたちまち捕まって犯罪者扱いである。
- マーレ国内ではエルディア人の立場が低い。マーレの戦士に選ばれれば、名誉マーレ人として一応の地位は得られる。
- 戦士候補生時代の実力は同期の中で最下位――戦士として選ばれたのもマルセルが印象操作で弟を選ばれないようにしていた為で実力で勝ち取ったものではない――だったため、誰かに尊敬されたいという気持ちが強くなるのも仕方ない。
(ただし、戦士に選ばれるにあたっては適性を重視されていた節があるため、一部ではマルセルの行動いかんにかかわらずライナーが選ばれたのは必然だったのでは?という意見もある。また、幼少期のポルコは悪い意味でガキ大将的ないじめっ子な性格であった為『素行不良』として選ばれなかった可能性もある。)
- マルセルが食われた件については余計な話をしてライナーを混乱させたマルセル自身にも責任がある
- 名誉欲を抜きにしても生き延びるために作戦続行は避けられなかった
- そもそもエレンの母親が無垢の巨人に食べられたのは未来のエレンが座標を通して無垢の巨人と化したダイナにカルラを食べるように仕向けさせたから。
だが、そこで自分のせいと言い切れるのが彼の良い所である。本当にカッコいいよ…
無論、そういった時代や環境を受けて行動したのは、ライナー自身であり、だからこそ自殺未遂に追い込まれたのだが。
ちなみにライナーの自殺未遂シーンは諫山創先生が〆切ギリギリになりながらも汗だくパン一で一心不乱に描いた逸品でお気に入りシーンの為か現場にも飾っており、自宅ではコマを引き延ばして壁に貼ってる程で如何に彼が作者に寵愛を受けてるかがわかる素晴らしいエピソードとなっている。
追記・修正は理不尽な暴力に襲われてからお願いします。
最終更新:2025年04月16日 10:21