日産・GT-R

登録日:2009/08/21(金) 06:38:01
更新日:2024/04/22 Mon 23:29:01
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日産自動車が販売している高性能自動車。

もともとは直列6気筒エンジンを積み、「モータースポーツで勝つ為」に開発された、スカイラインのメーカーチューンドカーとして登場。

1969年2月に発売された初代モデルのPGC10型(ハコスカGT-R)と1973年1月に発売されたKPGC110型(ケンメリGT-R)は、日産に吸収合併されたプリンス自動車のプロトタイプレースカー用エンジンをベースにした2.0L直列6気筒エンジン「S20」を搭載。
ハコスカはその後国内レースで50勝という大記録を達成する。

その後、S30型フェアレディZにも「Z432」というグレードに搭載された。
しかしその後の排ガス規制をパスできず、ケンメリを最後にS20型エンジンを積む第一世代は生産を終了してしまった。
特にケンメリ、KPGC110型は195台のみ販売された大変貴重な車両である。

それから月日が経ち、ジャパン、R31型が発売されていた1987年にGr.Aホモロゲーションモデル「GTS-R」の限定発売が行われた。

そして、1989年8月。
BNR32型から再びGT-Rがラインナップに加わった。

第二世代GT-Rの誕生である。

パワーユニットには名機2.6L直列6気筒ツインターボエンジン「RB26DETT」を搭載。
当時の国産車自主規制いっぱいの280馬力を叩き出した。

さらにパワートレインはFRをベースとし、電子制御で4輪に駆動力を配分できる4WDシステム「アテーサE-TS」を採用。曲がりづらい4WD車であっても高いコーナリング性能と安定性を両立した。

ハコスカと同様、国内外のグループA規定のツーリングカーレースで強さを見せ、国内のグループA規定のレースが最後に行われた1993年シーズンでは、トップクラスのディビジョン1に参加していたチームが全てBNR32を使っていたほどだった。

1995年1月にはBCNR33型が発売。
そして、1999年1月「究極のGT-R」と呼ばれるBNR34型が発売された。
だがBNR34型はまたも排ガス規制をパスできず2002年8月、再び生産を終了してしまう。

だが、次期型モデルの発売は第二世代の生産終了前に決定していた。

日産の復活を託されたカルロス・ゴーンにより2001年の東京モーターショーでコンセプトカー『GT-R CONCEPT』の出展と共に次期型『GT-R』の開発が記者発表され、2005年の東京モーターショーでの市販モデルに近いコンセプトカー『GT-R PROTO』が発表。
そして2007年、東京モーターショーで市販型が正式発表され、同年12月に発売された。

CBA-R35型となった現行モデルは『マルチパフォーマンススーパーカー』として、ポルシェ911とも互角以上の争いができる市販車最速レベルのスペックを持つ車になった。
しかも、誰でもそのスペックを楽しめる事を目指して開発されている。

その実力は本物で、世界屈指の難関サーキット、ニュルブルクリンク(北コース)で市販車最速レベルのラップタイムである7′26″70をマークする程。

そのタイムを生み出すパワーユニットは3.8リッターV型6気筒ツインターボエンジン「VR38DETT」。
485馬力、トルク60kg-mを発生するこのユニットに6速デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされる。
また、セミオートマチックのため、AT限定免許でも運転が可能。
変速はシフトレバーの+-レンジ、パドルシフトで行える。
そして、エンジンとトラスミッションによって生み出されたパワーはR32からR34時代の「アテーサE-TS」を進化させた独立型トランスアクスル4WDによって路面に伝えられる。

運転をアシストする電子制御に「VDC-R」も用意され、走行シーンに合わせて最適な走りを実現する事が出来るようになった。

そして走行中の車両状態は「GRAN TURISMO」シリーズの開発元であるポリフォニーデジタルがデザインと開発を行った「マルチファンクションメーター」によってドライバーの視覚に伝えられる。

また、カーナビも内蔵されており、専用BOSEサウンドシステムも用意されている。

ニュルブルクリンクでのタイムは911ターボの記録である7′32″02を上回っているが、ダッジ・バイパー、シボレー・コルベットZR1、エンツォ・フェラーリ等には負けており、厳密には市販車最速とは呼べる訳ではない。
とはいっても、市販車の区切りがどの辺かは不明瞭ではある。 

GT-Rだけのポイントとして、最速レベルの実力を持っていながら車両価格が他のスーパーカーよりも安価であることが挙がる。

しかし、ベースグレードは861万と安くなったとはいえ、維持費やアップグレードは高額で、整備も「日産ハイパフォーマンスセンター」と呼ばれる限られたディーラーでしか行えない、改造を行えば完全に保証が効かなくなるなど、やはり一般人が手を出すのは難しいマシンである。

前述の理由からチューンがしにくいとされていたが、最近はパーツが揃い始めてきており、以前に比べればかなり手を出しやすくはなっている模様。
ただし、保証に関しては特に変わりは無いので、チューンを行う際には信頼の置けるショップ等に頼むことをお勧めする。

また、更なる高性能モデルとしてspec.Vも用意されている。

  • カーボンセラミックブレーキ
  • リアシートレス
  • RECARO製カーボンバケットシート
  • チタンエグゾースト
  • カーボンエクステリア(リアウィング、フロントグリル、ブレーキダクト)
  • 専用チューンドサスペンション
  • レイズ製専用鍛造アルミホイール+専用タイヤPOTENZA RE070R ランフラットタイヤ
等、サーキットを走るための軽量化と強化が行われている。

エンジンスペックに変更は無いが、80秒間トルクを2kg-m増大させる「ハイギアードブースト」も追加された。

ただし価格は国産車最高の1575万円、そして整備は7箇所の限られたディーラーのみと標準車以上に高嶺の花である。

ちなみに標準モデルにはNISMOから「Club Sports Package」としてシートやアルミホイール、サスペンション、チタンエグゾーストがNISMOエンブレムとのセットで用意されている。価格は車両代別で546万円。

他にもNISMOが新規開発したECM、TCMというコンピューターをspec.V含むすべてのGT-Rユーザーにレンタルする「NISMOスポーツリセッテイング」がある。
レンタル料金は二年で29万4000円。
再レンタルは一年で3万1500円。
ちなみにノーマル仕様に戻して日産ハイパフォーマンスセンター(NHPC)の認定を受ければ日産の保証も復活する。

2010年には、
  • サスペンションの仕様変更
  • spec.V用リアディフューザーの全モデル標準装備化
  • USBを搭載
  • データロガー(今後NISMOから発売予定)に対応するマルチファンクションメーター
  • カーナビの地デジチューナーが標準化とiPodに対応するアップデート
等を行い、
内外装はフルオーダーという最上級モデル「spec.M」が噂されていたが、2011年、「EGOIST」として誕生した。

内装は職人のハンドメイド、オーディオはユーザーの体型に合わせて調整される。
また、インテリアの組み立て時は工場で見学することが出来る。

価格は1800万円〜2000万円以上と超高額となるらしい。

年毎にマイナーチェンジを行ってきており、2016年には2017年モデルとしてフロントマスクが大幅改良され日産の共通デザインであるVモーションが取り入れられた。
さらに2018年には2019年のGT-R生誕50周年を記念し、2018年に創業50周年を迎えたイタリアのカロッツェリア「イタルデザイン社」との協業で発表された特別仕様車「GT-R50 by Italdesign」が発表。車両価格は消費税込で1億4530万5600円。50台のみの限定生産となった。
また、2023年には東京オートサロン2023にて特別仕様車「Premium edition T-Spec」と「NISMO Special Edition」2024年モデルを先行公開。
既にR35型はデビューから10年以上も経っているのだが、2023年現在もなお生産は続けられており、国産車最強のスポーツカーとして常に君臨している。

2023年、マフラー騒音規制の強化でいよいよ生産終了かと思いきや3度目のフロントマスク刷新と共に2025年8月までの生産継続が発表された。問題のマフラーはもちろん、歴代で初めてリアウイングのデザインに手が加えられた。

2009年8月、GT-Rを育てたといっても良いニュルブルクリンクに日産からの寄贈品として、消防車に改造されたGT-Rが配備された。
50Lのタンクをリアに搭載し、二分間消化剤を噴射。
初期消火を行うことが可能である。

現行型の純正カーナビはスピードリミッターと連動しており、日産が指定した国内のサーキットに入った状態でナビを操作するとリミッターが解除され、300km/hを超える世界を体験できる。
リミッターを解除する前には「保証がなくなるぞ。それでもいいのか?」(意訳)と表示されるが、NHPCに持っていって所定の点検・整備を受ければ保証は復活する。

頭文字DではR32型に中里毅と北条凜、R34型に星野好造の3名がGT-Rに乗っている。
作中ではR33が欠陥車とか言われているが、そんなことはない。
R33はボディが大きくホイールベースが長いせいで小回りが利きにくく、峠という舞台に向いていないだけである。まあデカいスポーツカーって時点で日本市場受けしにくいのは間違いないが
高速道路が舞台である湾岸ミッドナイトではR200CLUBの面々が乗っていたりRGOのデモカーになっているのはR33であり、直進性が高いと評価されている。黒木以外のは全部ブラックバードに撃墜されたけどナ、ククク
また湾岸の作者の作品『シャコタン・ブギ』ではトヨタ・ソアラのエンジンを、ソアラの持ち主が偶々見つけたスクラップのGT-Rで唯一無事だったRB26DETTに変更した改造車「ソアラR」が登場している。
なおGT-Rの残骸を発見した主人公は最初GT-Rの完全修理を望んでいたため、修理をお願いした先輩が元々の愛車ソアラの性能向上で済ませた事にだだをこね、そもそも本人はモテたいためにソアラをゲットした身近に先輩ら走り屋が多いだけの高校生なのでその後もスペックを持て余しがちだったが。
R33型はプロドライバー、土屋圭市氏が激怒したという広報チューン騒動の件もあって歴代モデルの中では人気が低いそうだが、
車好きたるもの他人の評価を鵜呑みにせず、きちんと特徴を把握することが大事である。
なお、頭文字Dの続編というべき作品『MFゴースト』には相葉瞬がR35型のNISMOに搭乗している。

人気ドラマシリーズ「相棒」では及川光博が演じる主役の一人神戸尊の愛車としてR35型が登場する。
水谷豊が演じる杉下右京によると、神戸の運転は荒いとのこと。

また、人気映画ワイルド・スピードシリーズにも登場。日本車を好む主要キャラクターの1人であるブライアン・オコナーが愛用しており、海外でのGT−R人気を高める一因にもなった。
その影響もうかがえるものとして、現在、R32、R33、R34型の中古価額が上昇し1000万円台もザラではないものが増えており、特に北米では25年経った古い車は「クラシックカー」として輸入できるようになる仕組み「25年ルール」の影響もあってGT−Rを始めとした同世代の国産スポーツカーの中古価額が高騰している。
2024年からはR34型も輸入できるようになるので、更なる高騰が予想されている。

あと、R35型のエンジンもRB型エンジンだと語る輩がいたら満面の笑みで微笑んであげましょう。

ちなみに、かつていすゞ・ベレットやトヨタ・セリカやマツダ・RX-7にもGT-Rが存在した。


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最終更新:2024年04月22日 23:29