マツダ・RX-7

登録日:2009/09/02(水) 12:54:22
更新日:2025/04/09 Wed 22:49:41
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マツダ・RX-7とは、マツダ株式会社が販売していたピュアスポーツカー。

概要

現在のアウディの前身の一つで、NSUヴァンケル社が開発していたロータリーエンジンをライセンス契約したことからマツダの伝説が始まる。

当時ロータリーエンジンは問題になり出していた排気ガスがレシプロエンジンより少なく、エンジンの大きさも小さくなることから「夢の無公害エンジン」として世界各国で注目されていた。

様々な苦難を乗り越え、コスモスポーツで初めて量産販売にこぎつけたロータリーエンジン。
小型車のファミリアをはじめ、様々な車種に搭載された。
だがオイルショックを迎え、その燃費の悪さを指摘されてしまった。

ロータリーゼイションを進めていたマツダにとっては大打撃で、搭載車種を絞ったうえで燃費を向上したロータリーエンジンを開発。ロータリーの特性を生かせるスポーツカーを開発することとなった。

車名はロータリー車の輸出名であるRXをつけ、ラッキーセブンの意を込めて「RX-7」とした。
サバンナという名称は同名のスポーティカーをルーツとしているが、車名以外に繋がりはない*1

全世代に共通する特徴としてリトラクタブル・ヘッドライトとサッシ付のドアがある。後者については軽量化のためサッシレスドアを採用するスポーツカーが多いことを考えると、かなり異例である。

軽量コンパクト(補機類を外せば大人二人の力でエンジンを運べるくらい軽い)かつ、高出力なロータリーエンジンは、同じクラスのレシプロエンジンと比べ、部品数が三分の一以下しかない。
また、吸気ポートを加工するだけでエンジン特性が変わるのでプライベーター達に愛された。


モデル解説

初代 SA22C型

1978年に発表された。
12Aエンジンは排気ガスを再燃焼させる新機構「REAPS」を採用。
さらに、1979年のマイナーチェンジで空力特性を向上し1982年にエンジンのアップデートを行い10.2km/Lを実現した。
海外では途中からFB3Sという型式が使用されている。

デザインは直線的なスタイルで当時「プアマンズポルシェ」(貧乏人のポルシェ)の蔑称で呼ばれることもあったポルシェ・924に外観が近いことも話題となり、アメリカでは924同様前述のように呼ばれていた時代があった。
特撮番組『ウルトラマン80』では防衛チームUGMの超高速特殊自動車・スカウターS7のベースカーに、『仮面ライダーBLACK RX』では主人公が乗る自動車・ライドロンのベースカーになった。

プラモデルは、フジミ、アリイ、LS(アリイ)、イマイ(アオシマ)、タミヤ、ニチモ、モノグラムから発売された。
イマイはIMSA仕様のレーシングカーである。
タミヤはスポーツカーシリーズ初の国産市販車で初めは緑成形のキットだったが後に紫成形のキットも発売された。
実車のマイナーチェンジにあわせて、後期型に金型改修された。
フジミは当初前期型でキット化したが、後にIMSA仕様に金型改修した。
モノグラムは輸出仕様だが、12Aロータリーエンジンが再現されている。

ちなみにこのモデルといえばグリーンメタリックのイメージが強いと思うが、実際には不人気だったらしく発表から1年でカタログ落ちしており、以降は黄色や赤、シルバーなどがイメージカラーで使われた。

2代目 FC3S型

1985年に発表。
前述のFB3S型に搭載されていた13Bにターボチャージャーが組み合わされ、出力185psを発生させた。

1989年のマイナーチェンジでタービンが改良され出力が20ps向上、205psとなった。『頭文字D』で高橋涼介が乗っているのがこのモデル。

さらに「∞(アンフィニ)」シリーズとして出力をさらに10psアップ、2シーター化がおこなわれたスペシャリティモデルも四世代発売された。

そのFC3S型は1987年に登場したカブリオレモデルが次期モデル発売後の1992年まで販売された。
ロータリーエンジンのオープンモデルはマツダではこれが唯一。
ちなみにこのモデルはクローズドボディのクーペより保険料が安い(クーペはAランク。カブリオレはDランク)。4人乗りに拘らなければ、カブリオレを中古で探すのも手段のひとつ。
また、カブリオレは滅茶苦茶な扱いをされていないので状態が良い、まあデートカーだからね。
幌も厳選素材で造られているので「雨漏り」の心配無し。

3代目 FD3S型

1990年に登場。
当時マツダが展開していた5チャンネルブランドのひとつ「アンフィニRX-7」として登場。
後年5チャンネル崩壊後はアンフィニの名前が取れ「RX-7」で発売された。

『頭文字D』の高橋啓介や『名探偵コナン』の安室透の愛車がこれ。

そのエクステリアは誰をも魅了するデザインを纏い、「究極の4座スポーツ」を名乗るのに相応しいとの呼び声も高いが、あまりにも曲線デザインが美しく、エロチックな事から
「エロスの化身」
と呼ばれるもしばしば。
イギリスのテレグラフ誌の「最も美しい車100選」で日本車最上位である61位であることからもそのデザインのよさがうかがえる。

某バーロー漫画家が「あの尻で、5・6発は抜ける」と豪語した程。

しかも「シーケンシャルツインターボ」という回転数によって2つのタービンを使い分けるターボシステムによって、265psという歴代最強のパワーを実現。

さらに1998年のマイナーチェンジでは、出力は280psに進化しフロントデザインが更に洗練された。前後の重量配分も50対50の理想的なバランスを持っている。

アンフィニによって3ローターの物もある(市販車では無い)。

艶めかしく艶やかな曲線中心のデザイン+実力も高い性能。故に、数多くの人々を虜にした「魔性の車」でもある。

そんな、ロータリーエンジン搭載のピュアスポーツカーとして発売されてきたRX-7だが、世界的なスポーツカー需要の低下と環境対策の行き詰まりが原因で2002年に惜しまれつつ生産終了となってしまった。

その後

ロータリーエンジンの灯火は消えたわけではなく、その後マツダは観音開き4ドアを採用したスポーツカーRX-8を発売し、2012年まで生産が続けられた。

更にロータリーエンジンはその構造から水素燃料エンジン化の改造が容易であり、水素を噴射する箇所と水素が燃焼する箇所が分かれているため吸気機構での燃焼が起きにくいことも注目されている。
水素ロータリーエンジン車はRX-8をベースとしてまず実用化され、後にミニバンであるプレマシーをベースとした、水素ロータリー+電気モーターの水素ハイブリッド車のリース販売も開始された。

そして、噂の段階ではあるが次期型の開発がおこなわれているという。

そして、2023年、驚きの朗報が来た。
マツダが11年ぶりにロータリーエンジン搭載の市販車を発表したのだ。
……といっても、既にあるコンパクトSUV「MX-30」のPHEVモデル「e-SKYACTIV R−EV」の発電機としての活用の搭載である。
エンジンのみでの走行は出来ないが、ロータリーエンジンに新たな活路が開いた事は、朗報と言える事であろう。大いに、RX−7の後継車の登場も期待できよう。


余談

RX-8のプロトタイプはボロボロのNA型ロードスターを改造して開発部が本社に内緒で開発した。
凍結した工場(廃工場)で開発部の人間が、極秘に集まって、廃パーツを使用して組み上げた。
そのため、外装はガムテで固定。メーター無し。シートも穴だらけ等々、通称「ゴキブリカー」と呼ばれた。
性能はRX-8と対して変わらないが、外観が残念なロードスターである。

実はRX-7には特殊なターボ搭載型が存在する。
余りに速すぎる為に一般販売されず、試作機が社内で封印中という、まるでアニメみたいなRX-7がその特殊なターボ搭載型である。

構造としては独自機構の特殊タービンと特殊ターボを搭載し、さらにエンジン内に超細い管を通し、特殊な冷却水を流す事により、エンジン過熱を防ぐ事によりF1を圧倒的に超える回転力を実現。

このエンジンのパワーに耐えるフレームをもつRX-7
が存在しない為、試作機のみとなっている。
いくつかの技術はRX-8に受け継がれたが、RX−8も2012年限りで生産を終了。マツダのロータリースポーツの系統は一旦、幕を閉じる事になった。
ちなみに、2015年の東京モーターショーでは「RX–VISION concept」が展示され、2022年現在、市販モデルが開発中らしいと噂されているが……?



追記・修正は、新たなマツダのロータリースポーツカーの登場を心待ちにしながらお願いします。


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最終更新:2025年04月09日 22:49

*1 同モデルにはセダンやワゴンも設定されており、ついでに言えばレシプロエンジンにした「グランドファミリア」なる車種迄販売されていた。