登録日:2011/06/03(金) 13:14:47
更新日:2024/12/11 Wed 12:29:45
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ゴジラの赤ちゃん大奮戦!
親子コンビで新怪獣と大決闘!
怪獣島の決戦
ゴジラの息子
「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」は
ゴジラシリーズ第8作目の作品。
1967年12月16日公開
観客動員数309万人
【概要】
ゴジラに子供が出来たとして話題になった作品である。これには前作より特技監督が
円谷英二から弟子の有川貞昌に移り、今作で正式な監督になった記念も兼ねているのではないかと有川氏は証言している。
本作では敵怪獣が昆虫をモチーフとしており、着ぐるみではなく操演で表現されている。これにより昆虫のスタイルの再現と着ぐるみでは出来ない動きが高い評価を得ている。
前作と同じく南海を舞台にしており、さらにグアムロケを行っている。
【ストーリー】
南の海にゴジラが出現、ゴジラは何かに惹かれるようにゾルゲル島へ向かっていた。一方ゾルゲル島では国連による食糧危機を想定した気象コントロールの実験が行われていた。ジャーナリストの真城は実験の取材に強引に島へ上陸、雑用係として居着く。そこで真城は島に住む謎の少女と出会う。
いよいよ実験が行われるが謎の電波により失敗する。失敗の影響で島は異常気象に覆われ超高温となり、生息していた大カマキリが怪獣カマキラスへと変化してしまう。カマキラスは一個の巨大な卵を発見する。卵からはゴジラの子供が誕生、カマキラスは子供を襲うが、そこにゴジラが上陸した。
上陸したゴジラはカマキラスを蹴散らし子供を連れて行き、教育を開始した。ゴジラの上陸で施設が壊滅した実験隊は、島の少女=サエコと合流してサエコの洞窟に避難するが、さらなるトラブルが発生していく。
【登場怪獣】
◆ゴジラ
タイトル通り
今作では遂にパパとなる。
意外と教育熱心で面倒見が良い。最後はミニラと共に島で眠りにつく。
本作のスーツは親となるということで、全体的にボリュームアップした造形となっている。
と言えば聞こえは良いがぶっちゃけ結構な馬面で、本作のゴジラは歴代随一の不細工ちゃんである。
◆ミニラ
あまり似てないゴジラの息子。
AKB48の峯岸みなみではない。
島にあった卵なので、実際の息子かどうかは不明。
生まれたてなせいかサエコにもよくなついていた。吐き出す熱線は何故かドーナツ状である。
尻尾を踏まれると普通の熱線も出る。
スーツアクターは非常に小柄な体格(低身長症)の芸人・小人のマーチャンが担当した。
非常に動きにくいスーツでありそのため動きがぎこちないが、それがミニラの子供らしい動きを表現していた。
◆カマキラス
ゾルゲル島の異常気象で生み出された巨大
カマキリで3体登場する(ゴジラ映画で同種の怪獣が複数同時に登場するのは珍しい)。実際のカマキリと違って片手は槍のようになっている。
着ぐるみの存在しない操演で動く怪獣であり、動かし方の巧みさからやられ役ではあるが印象深い。
◆クモンガ
こちらも完全操演の怪獣。
異常気象で後天的に巨大化したカマキラスとは違い、こいつは最初から巨大な
蜘蛛の怪獣の様子。
実際のクモと違って口から糸を吐く。見た目はただの巨大クモだが意外な強豪で、目つぶしを食らうなどゴジラも苦戦していた。
クモンガの操演には20人近くのスタッフが天井から参加しており、照明が近かったために照明の熱で流されたスタッフの汗が雨のようにセットに垂れていたとか。
操作技術や造形などから、操演怪獣としては
ビオランテに並ぶ傑作だと支持するファンもいる。
特にクモンガが絶命する時の操演の動きは秀逸である。
【登場人物】
◆真城伍郎(演:久保明)
若手ジャーナリストで、実験隊の記事を独占するため飛行機でゾルゲル島に上陸した。島では雑用として働きながら、サエコと遭遇したり、ミニラの誕生を目撃する等様々な出来事に巻き込まれる。カマキラスの名付け親である。
◆楠見恒蔵 博士(演:高島忠夫)
実験隊の隊長で、トラブルだらけの実験隊を何とかまとめあげていく。
演じた高島忠夫は60年代後半は科学者役での出演が目立つが、本作ではグアムロケの際飛行機嫌いな事から不参加を表明し、やむなく似たような現地の人にアクションシーンを吹き替えてもらい日本でアップシーンを撮影したそうな。
◆松宮サエコ(演:前田美波里)
島にもともと住んでいた女性。島の研究をしていた日本人の父と2人で暮らしていたが、父が無くなった後は1人で半ばサバイバルな生活を送っていた。彼女がいなかったら実験隊は全滅していた。
◆藤崎(演:平田昭彦)
実験隊の副隊長的存在。意外としたたかで隊員をまとめるためにわざと無線機を使えなくしたりもした。
◆古川(演:土屋嘉男)
実験隊の隊員。異常な現象の続くゾルゲル島の生活でノイローゼ気味であり、隊員間のトラブルは大抵彼が引き金である。
◆森尾(演:佐原健二)
実験隊の隊員。以前から楠見博士の元で働いていたことから、博士を「オヤジ」と呼ぶ。異常が起これば率先して見回りに出向く頼もしい人物。
セスナのパイロットを勤める兼SF作家とは無関係。
◆田代(演:久野征四郎)
実験隊の隊員。文句も言わず黙々と働くが、地味。
◆小沢(演:丸山謙一郎)
実験隊の隊員。楠見博士の元で働くことに憧れて実験隊に志願した学究の徒。愚痴をこぼしたりするが、めげずに働く楽天的な若者。
◆鈴木(演:西條康彦)
実験隊の隊員。黙々と作業をこなしていたが、実は古川と同じく本心では帰りたがっていた。
森尾のそっくりさんの後輩とは無関係。
◆哨戒機パイロット(演:黒部進)
冒頭で嵐の中を飛行していた哨戒機の機長。
妨害エネルギーで計器が混乱していた中でゴジラと遭遇するも、この時のゴジラが急いでいたためもあってか幸い見逃される。
ゾルゲル島に向かうゴジラを見送り、ゾルゲル島にゴジラにとって重要な何かがあることを察した。
出番はこれだけだが、中の人がウルトラマンなこともあって印象に残る。
【DVD】
オーコメは有川監督。
福田監督共々若く、まだ組んで間もなかったため、製作開始に当たって複数回会議を行うことで連携を行った。
繰演のスタッフが足りないため、手の空いたスタッフが率先して手伝っていたらしい。
スタッフ自体も比較的若い人が多く、かつてのスタッフが監修的な立場についた部署も多かったとか。
【余談】
- 「気象コントロール装置でゴジラが冬眠する」ラストは没企画『バットマン対ゴジラ』が元。いくら何でも無理がある企画だと思うだろうがバットマン(人物)はこの10年前にリドサウルス (っぽい怪獣)と戦ったことがある。でもやっぱり無理だと判断されて録にプロットが練られることもなく没になった。
- ジャングルでロケを行った際に、古川役の土屋嘉男は現地人から日本兵の生き残りがいると聞き、冗談半分で「戦争は終わった」と言い回っていたらしい。だか数年後に残留日本兵である横井庄一が実際にその付近に潜伏していたことが明らかになった。もしかしたら呼びかけも無駄ではなかったのかもしれない。
- 1973年夏には、東宝チャンピオンまつりにて短縮版が上映され、この年が最後の夏興行となった。同時に、本作を持ってゴジラ過去作は全て同枠で再上映されたことになり、その後は同年冬に『キングコングの逆襲』、1974年冬に『モスラ』『緯度0大作戦』が再上映されたのち、1977年春に再び『キングコング対ゴジラ』が再上映されることとなった。そして最終興行である1978年春には、『地球防衛軍』が再上映された。
追記・修正は、バヤリースを飲みながらお願いします。
- ミニらwwwwww -- ななし (2013-08-27 19:30:23)
- 何気にシリーズで初めて死者が出なかった作品でもあるんだな -- 名無しさん (2016-02-06 12:50:54)
- そういやそうか。子供の時見てクモンガにおいかけられて岩の裂け目に追い詰められたシーンは怖かった。今でも素晴らしい出来栄えだと思う -- 名無しさん (2016-08-10 12:00:37)
- 歴代ゴジラはみんな子煩悩の伝統がここからできた。シンゴジが増殖してたら親子関係はどうなってたんだろうか -- 名無しさん (2016-08-10 12:16:02)
- ↑ 製作者的に「戦うなら早くしろ、でなければ帰れ」と言うかな -- 名無しさん (2017-09-08 11:19:50)
- ミニラの造形を除けば意外とリアルかつまともに作られたSF映画。もちろん「不毛の地を全て農地に改造する」云々はいかにも高度経済成長期の映画という感じで大いに問題ですが… -- 昼太郎 (2019-03-28 14:30:04)
- 不毛の地を農地にする実験の割に多様な生物の宝庫を氷漬けの死の大地に変えるのはどうなんだとは思った -- 名無しさん (2022-03-06 13:47:13)
- クモンガを倒す際、ゴジラとミニラが同時に熱線を繰り出す場面は結構好き -- 名無しさん (2024-02-10 14:49:02)
最終更新:2024年12月11日 12:29