十二の試練

登録日:2009/06/10(水) 01:14:28
更新日:2024/04/09 Tue 14:08:37
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十二の試練(ゴッドハンド)とは、Fate/stay nightにてバーサーカーの所持する宝具。


【能力】

ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:―
最大効果:1人
原典:ヘラクレスの十二の偉業

神の祝福(呪い)によって得た不死性。肉体を屈強な鎧と化す。
ランク・B以下の攻撃を全て無効化。

隠された能力。死亡しても自動的に蘇生(レイズ)がかかる。 蘇生のストック数は十一回。つまり、バーサーカーは十二回倒されなければ消滅しない。


【概要】

ヘラクレスが十二の難行を乗り越えた褒美として、神の祝福(呪い)によって得た不死性。
正確には、十二の試練を無傷で乗り越えたという逸話が昇華したタイプの宝具。
自身の肉体が屈強な鎧と化したもの。いわば肉体そのものが彼の宝具となっている。
常時使用タイプである為、これに対してフラガラックは即座に反応する。


まず初めに書くと、ぶっちゃけこの宝具は作中の描写との乖離や設定のあやふやさが目立つ宝具の一つである。


効果は以下の三つ。
  1. Bランク以下の攻撃を無効化
  2. 自動蘇生と蘇生魔術の重ねがけ
  3. 既知のダメージに対する耐性付加


1の能力は概念武装に近い能力。
作中の台詞では、Aランクに達していなければ回避不能な必中の宝具だろうが、世界を滅ぼせる魔術だろうが、バーサーカーに届きすらせず無効化されるだろう、とある。
尤も、作中でも実際にたとえとして提示された「Aランク未満の世界を滅ぼせる魔術」というのは少々極端な比喩の可能性もある。*1
一応、騎士は徒手にて死せずによって宝具ではないものを宝具化するとDランク相当になるため、現代の爆撃機を宝具化した場合、「Bランク以下の世界を滅ぼせる魔術」になる可能性はある。

重要なのはあくまでも“ランク”でありステータスに由来する物理的手段であれ、宝具であれBランク以下なら問答無用で無効化される、ということ。
とはいえ、傷を負わないだけでAランク未満のでジャンプ中に撃ち落されて墜落したり、風王結界で体勢を崩されたりもしている。

後に発売された資料集「side material」や「world material」では、「物理・魔術等の手段を問わず、Aランク未満の攻撃を無効化する」とあり、宝具のランクについて一切言及されていない。

なおランクとは「基本、英雄の残した偉業と、それを讃える人々の認識で決定されたワールドランキング」であり、その最高級の評価がAである。


次に2は、蘇生魔術の重ね掛け。代替生命のストックが11あるため、バーサーカーを倒すには12回殺さなければいけない。
バーサーカーの持つ「戦闘続行」スキルとの相性は抜群とされており、全身に大きく欠損しながらも戦闘を行える。
ただし、強力な攻撃を繰り出せば一気に数回分のストックを奪える。
格ゲーで言えばHPバーが12分あるようなものと考えれば分かりやすい…とのことだが、正直これも厳密に検証すると描写があやふやでよく分からない。
また、作中の事例から復活中に無敵にならないことは明らかなので、例えば一度1キルになる程度に体の一部分が欠け、それが連続攻撃の最中ならばあっという間にストックを全て消費するはずである。
命のストックの関係上、破壊された肉体は即座は治癒が可能であり、アーチャーによって全身をボロボロにされた際に極短い時間で傷を修復した。
ただし原作では傷の修復に時間がかかっていたりいなかったりするので、こちらもよく分からない。気合を入れるか否かで変わるのかもしれないが。
但し、即座に治癒出来るのはあくまで傷のみであり、蘇生ストックの回復に時間はかかる。



最後に3は、一度受けたダメージを学習し、その克服の為に新しい耐性を肉体に付加するもの。
設定資料集・ワールドマテリアル等では「一度受けた攻撃を無効化する能力」だと記載されていたが、恒例の設定変更により無効化ではなくその攻撃に対して防御力アップの効果が得られる。
既知攻撃に対して防御力を+100増加させる事でその攻撃に対して防御力が3倍に上昇して大幅なダメージ減少をもたらすとの事。
奈須きのこ曰く効かないとは言ったが無効化とは言ってないよとのこと。先述の通りなのできのこは嘘つき

とはいえ、「hollow ataraxia」では、バゼット・フラガ・マクレミッツ斬り抉る戦神の剣で一度殺した後に、またこの宝具で攻撃されてダメージを受けた、と言うか顔面が削り飛ばされた場面があり以前の2度目は完全耐性という設定は描写と合っていない、という指摘もあった。
そもそも原作描写でもセイバーオルタのエクスカリバー通常攻撃だけで一方的に圧倒しており、そのまま勝利出来ていた(最後はエクスカリバーブッパしていたが)。
また、他の昔のインタビューではヘラクレスの2度目の攻撃は効かないというのはゴッドハンドとヘラクレス自身の技量からくる見切り(これはバーサーカーとして召喚された五次では失われている)の二つの要因が合わさってのことである、という旨を話しており、ゴッドハンドの説明としてはずれている解答であった。
この様にこれもあやふやな設定である。

ちなみに耐性獲得に死ぬ必要はないとの事で、傷が治った時点で耐性を獲得するという。



以上のことから(説明通りの完全な設定ならば)十二の試練を破るのはかなりの難易度。
そもそもヘラクレス自体がサーヴァントとして圧倒的な能力を誇り、肉弾戦において敵無しとされる最強格のサーヴァント。
そのヘラクレスの攻撃をかいくくり、致命打を与えるなど至難を極める。
その上に平均的なサーヴァントの宝具のランクはB。ステータスも考慮すれば、並みのサーヴァントでは傷一つ与える事すら難しい。
そして、Aランクという最高ランクの攻撃手段を持つ一流サーヴァントであろうとも耐性によって、二度目以降はダメージは大きく削がれしまい、有効打を与えるのは極めて難しい。
極め付けは12回も倒さなければならないという反則同然の蘇生能力。
これらの点からヘラクレス打倒を可能にする英霊は名高き大英雄であろうとも限られている。

この点から奈須きのこは「半端な英雄殺しの宝具」「ランクAもしくはEXクラスの宝具を持つ英雄でようやく打倒出来るかどうか」と称している。


ランクとしてAランクに届いていない者であれば攻撃手段すらないが、中にはランク自体を宝具やスキルで変化させたりする者もいる。
例としてランサー(Fate)はルーン魔術を使う事でランクをAに上昇させ、バーサーカーを殺しきれる可能性が極僅かだがあると言われている。
また無限に等しい魔力供給を受けたセイバーオルタはその魔力から繰り出される圧倒的な火力によって正面からバーサーカーを圧倒出来ると記載されており、実際映画版では『通常攻撃で』圧倒していたので耐性を獲得しようともそれすら上回る桁違いの火力には苦戦するようだ。

ちなみによく話題になる数値上Aを超えるとされるB+やC+でゴッドハンドの耐性を抜けるかどうかについては結論から言うと明確な公式見解が無いため不明。
このことに対しては、ゴッドハンドはたとえ世界を滅ぼすほどの威力だろうとランクがAに届いてなければ無効なのでB+も無効、B+は普段はBで瞬間的に倍化という意味なので結局A未満なのでゴッドハンドは抜けない、という意見がある。
一方でランクと宝具の威力が単純比例しないのは数多くの宝具で実証されておりB+の引き合いに世界を滅ぼす威力の例を出すのは不適切、B+は数値上40×2の80(Aは50)であるがこの数値が何を指すのか明確に説明されたことはなくランクという意味合いの可能性もないわけでもない、などの反論もある。

また上述のランサー(Fate)がヘラクレスを打倒できるかどうかの回答もこのことに対してよく引き合いに出されるが、ここでも意見が錯綜しており、
→ルーンでランクを上げるから倒せる=B+宝具では倒せないという意味なのではないか
→この回答は文脈上ランサー(Fate)なら12回倒せる可能性があるという意味(ランサー(Fate)の回答の後にキャスターでは1,2回が限度と続く)ので仮にB+の投げボルクで数回殺せるとしても後の回数分ルーン上げで倒せるという意味の可能性がある
など言われている。
要は不明である。

因みにこの宝具は逸話が宝具という形になったものだが、能力自体は死後からでなく生前から持っていた模様。
試練を潜り抜けた直後にこの不死身の肉体を与えられ、以後ヘラクレスの肉体は攻撃を受け付ける事はなく、傷付けた者は自害した彼自身を除けば一人としていないと記載されている。

黄金のサーヴァントことギルガメッシュがバーサーカーを圧倒出来たのは、彼は膨大な数の宝具の原典を所持しているために容易く十二の試練の突破を可能にする為。

アーチャー(Fate)も似た戦法を取れる為に有利に見えるが、実際に戦った所6回殺した所で力尽き敗北した。

説は色々あるが、投影による宝具は能力が1ランク下がることや「強化」してランクを上げる方法もあるが、魔力を更に消費する点、全体的なステータスが絶望的な差があるなどが考えられる。
そもそもギルガメッシュの時の戦いはバーサーカーはイリヤを守る為に盾になり、
あえて王の財宝のガトリングを自身の肉体で受け止めている。
ヘラクレスの賞賛からアーチャーがイリヤを狙ったとは考えにくく、状況が違い過ぎる為に参考にはならない。
また、イリヤが正体を掴めていなかったことから、無限の剣製を使っていない、もしくは使う余裕も無かったようである。


カリバーンで7回も殺された為、実際そこまで凄い訳でもないんじゃね?と言われる事もあるが、
大抵のサーヴァントは12殺するまでの間に殺されるので、タイマンならば殆どのサーヴァントが先ず勝てない……と思われる。


なお、アーチャー(Fate)に6回殺された時に完全完治に丸三日かかるという描写があるが、
これは十二の試練の命のストックの回復も含めてのこと。
ストックの回復ができるのは、厳密には命のストックではなく蘇生魔術であるため。
但し、並みの魔術師が一生分の魔力を注いでも精々1回程度しかストックを回復させる事しかできない。
莫大な魔力を持つイリヤがマスターだからこそ、1日2つという速度で回復できる。



白兵戦において最強格であるヘラクレス相手では、真正面からは宝具を使う暇も少ない。

またたとえ宝具を放てたとしても対処される可能性もあるようで、作中ではスキル心眼(偽)の恩恵か、
背後から襲いかかってきたAランク級の宝具であるカラドボルグを本能から察知して迎撃し、無傷で切り抜ける離れ業を見せ付けている。
因みにこのシーンは実際は死んでいて、凛や士郎が爆炎で蘇生に気付かなかっただけでは?といわれる事もあるが、解説によるとufo版アニメでは蘇生中の最中に狙われたので再び死んでるがゲームでは迎撃に成功しているので死んでいないとの事。


ブルマ娘曰く、士郎とチョメチョメ後の魔力不足のセイバーがエクスカリバーを放っても3、4回くらいしか殺せないとのこと。
そして仮に魔力が十分な状態のエクスカリバーが当たったとしても、ヘラクレス本人の評価によるとエクスカリバーでも倒しきるのは無理らしい(事実、黒エクスカリバーを食らっても生きていた)。
そのためカリバーンの威力がかえってよく分からないことにもなっている。

なお、ランクA+のベルレフォーンでも確実に1回か2回は殺す事が出来る。
本来の威力としては更に殺す回数は増える筈だが、今度はスキル戦闘続行が仕事をして、殺されてる間に反撃することが可能(?)な影響で、ライダーを倒して強制中断させるため。


何故これだけのチート性能を持つ宝具のランクがBなのかが謎であるが、
おそらく「Aランク以上の宝具を無効化出来ない」という設定から決めたと思われる。
一応、後のシリーズでは"肉体に関する逸話が昇華した類の宝具"はBランクであることが多い。

旧Fateにもヘラクレスの宝具として登場していたようで、其方は「12回分の戦闘までは絶対に負けない」という宝具で、神性がランク未満の攻撃を無効化する効果の強スキルだったという。


悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)』と言う似たような宝具もあるが、あちらの場合はAランク以上の攻撃も大幅にダメージを軽減出来る*2ので、一長一短ある性能と言える。

2014年の新作アニメではAランクに満たない筈のセイバーの通常攻撃で普通にバーサーカーの腕を斬り割いていたことや蘇生ストックの回復速度なども原作に比べて遅めとやや弱体化の傾向になっている。
その影響で「治癒が完了したら耐性がつく設定なのに再生が極端に遅い。これでは連続で何回でも殺し放題だ」といった指摘が度々視聴者からされていた。
因みに狼に襲われたシーンで血を流しているが、これはイリヤの負担を考えて宝具をoffにしているとか。
ただし、後の「fake strange」にて
「たとえマスターが令呪を複数画重ねてヘラクレスに自害を命じても、『十二の試練』によって強制的に蘇生される」
という旨の解説がされており「『十二の試練』をマスターやサーヴァントの意向でoffに出来る」という解説とは真っ向から矛盾している。


Grand Orderでも十二の試練がヘラクレスの宝具として解説されている。流石に実装したら壊れ性能になってしまうからか、今作では機能していない扱いになっている。
ストーリー第3章で敵として登場したヘラクレスのものは機能しており、筋力A++を誇るアステリオス打撃で1回死んだものの、以後は無敵の耐久力を発揮。戦闘勝利もあくまで撃退やこちらの逃走にとどまる。
しかし主人公達の決死の策により触れてしまった契約の箱の魔力吸い尽くす事で対象を消滅させる能力の前には流石に発動に必要な魔力そのものを失った以上は十二の試練も効果はなく無力だった。

また、亜種特異点Ⅱで『巨英雄(メガロス)』という暴走状態で登場した時や、イベントクエストで登場した場合は、実際に11回復活する原作再現状態で登場する事もある。
(前者については戦闘が途中でイベント終了する事が多いので実際に12回連続で殺す事は無いが)
ヘラクレスの絆レベルを10にする事で入手できる概念礼装「雪の城」を装備すると、3回分のガッツ付与と縮小化されてはいるが十二の試練を部分的に再現した効果が得られる。




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最終更新:2024年04月09日 14:08

*1 Fate/Apocryphaにおいて登場した、Aランクを優に上回る神代の攻撃用の魔術ですら、現代の爆撃機による絨毯爆撃にたとえられる威力に留まる。そのため、「Aランク未満なのに世界が滅ぶって意味が分からない」という指摘もされている

*2 具体的にはAランク以上の判定の刺突78回という凄まじい攻撃を受けても軽傷で済ませている