サーヴァント(Fate)

登録日:2009/06/02 Tue 15:49:05
更新日:2025/07/09 Wed 10:48:05
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汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!


サーヴァントとは、Fateシリーズに出る語句の一つ。
ファンからの通称は(サバ)




◇概要

聖杯戦争でマスターに従う、それぞれ異なったクラスの使い魔。
使い魔としては最高ランクで、一般の「使い魔」という言葉から連想される存在とは何もかも別格。

その正体は英霊という、生前は英雄と呼ばれた者達。多大な功績を挙げ、人でありながら精霊の域にまで達した存在。
死後は「英霊の座」と呼ばれる英雄たちのデータベースに持ち上げられ、その英霊のコピーであるサーヴァントとして現世に召喚される。
なお英霊は「かつて記録された現象を呼び出す」という意味で、魔術的には境界記録帯(ゴーストライナー)とも呼ばれる。

基本的には人々の信仰(想念)が最も結集する、その英霊の全盛期の姿で召喚されるが、召喚者の意向や性質と相性次第では、全盛期とは異なる姿で呼ばれるもある。
また、スキル「無辜の怪物」等で人々の思い込みや信仰の影響を受けた者が、生前とは異なる姿や能力を持つこともある。

英霊の数は万を越え、人間以外にも動物の英霊、機械の英霊、僅かだが未来の英霊もいる。
人々の想念の結晶と言える存在なので、英霊自身が過去の記憶を持っていてもそもそも存在しなかった者、実在していたが人々の信仰・イメージの内容如何で実際の人物とはかけ離れた存在になった者まで多種多様。
第5次バーサーカー等、ギリシャ神話の英霊は型月世界でも架空から生じた英霊であると言及されているほか、第4次キャスターなどは、英霊の最盛期以外の姿で召喚されたというよりは、悪霊に近い別物としてカウントされているに等しい。
第三次聖杯戦争にはその英霊が持つ別側面を、別個体として二体同時召喚した事例が存在する。

作中では、『聖杯戦争』という魔術師・サーヴァントたちによるバトルロイヤルのために呼び出されるという都合もあり、呼び出されるのは概ね優れた武勇を持つ英霊だが、英霊は人々の信仰によって昇華された者なので、詩人や作家といった戦いとは無縁の英霊も当然いる。
こういった英霊は脆弱ではあるものの、生前に書き綴った物語の登場人物や物質を出現させたりして思わぬ能力を持つ傾向があるという。
召喚出来る英霊は古くは神代の時代からで、マナが満ちていて古ければ古い程に神秘が濃い傾向がある為に神代の英霊は強大な力を持つ者も多い。

逆にマナが減少した近代の英霊は神秘が薄いため、霊格が低級になる傾向にある。
また情報社会が発達した現代では英霊に至るまでの功績を残すのは極めて困難とされ、現代では世界を一度や二度救った程度では英霊になる事は到底叶わないという。
そのため、劇中世界(現代社会)から見て未来に英霊になった者はほとんど存在しないとされるほか、その英霊が活躍した時代より過去の世界では触媒の入手もほぼ不可能であり、未来の英霊を召喚したというのはかなりのレアケースである。

サーヴァントとして行った行動については、英霊本体には記録はあれど記憶はされず、座にいる英霊本体には実感はない。
そのため、もし立て続けに聖杯戦争に参加したとしても、基本的には前回の事は覚えていない(セイバー(staynight)は例外)。
喩えるならば、自身の分体であるサーヴァントが行った出来事や事柄が綴られた本を渡されるような感じらしい。
また座の方でも召喚される際に記録や記憶の混乱が起きないように調整されるので、問題はないとの事。

死徒二十七祖とは表裏一体のような関係であり、祖が強大な力を持つ世界では(人為的な)英霊召喚は行えず、逆に英霊召喚が行える世界では祖をはじめとした死徒の力は大きく削がれてしまう。
例外もあるが。


◇召喚方法

本来は降霊儀式・英霊の召喚は世界=抑止力のみが可能にし、人間が使役する事は不可能だが、聖杯戦争においては聖杯のバックアップによって例外的に契約が可能。

召喚したい英霊がいる場合、その英霊と縁がある土地で召喚の儀式を行ったり、英霊と縁がある聖遺物を用意したりして、座の英霊本体に干渉し、本体から分けられたコピーを更にクラスという枠で能力を制限させ格落ちさせる事で召喚を可能にする。
ただし、召喚出来る英雄は「英霊の座」にいる英霊のみ。
英霊の座は死後に辿り着くものなので、マーリンスカサハのように死なずに異世界で生き続けるような者達は召喚出来ない。
ただ、死の直前に世界と契約を交わしたセイバーのように、未だ死していない者が召喚される例外もある。
また、召喚したい英霊に聖杯にかける願いがない場合は、召喚に応じないこともあるという。

なお「精霊などの幻想より人理が強い世界」であることを前提として、「土地が持つ記憶(歴史)」もしくは「持ち込んだ触媒が持つ記録」のどちらかが無い限りそもそも英霊召喚は不可能とのこと。
そして純粋な神霊は格上の存在なので、冬木の聖杯では呼び出す事は不可能。
曰く「神霊を降霊させる程の奇跡を起こせるなら自力で願望実現機を作れるから、そもそも聖杯戦争に参加する意味すら無い」とのこと。
死後は神となったヘラクレスやカルナは、生前は半神半人だったので人間時代の姿で召喚可能だった。
聖杯の性能と神霊の意向次第では召喚だけなら可能だが、その場合も神格や能力を桁違いに下げた状態にする必要があり、本来の神代に存在した頃の状態とは程遠い。

悪行によって人を救ったり、悪性により善を明確化させたりした存在は「反英雄」と呼び、「アサシン」というクラスそのものが強い触媒となるハサンを除けば本来召喚不可能であったが、第3次聖杯戦争でアインツベルンが行ったとあるルール違反の影響で、以降の聖杯戦争では可能となっている。
また冬木の聖杯戦争では例外を除き、東洋の英雄は召喚されない。
コレは聖杯という西洋の概念と、作成したアインツベルンが西洋の魔術で作り上げたのが関わっている。
EXTRA』などでは聖杯の設定が異なるため、東洋の英雄も登場している。

サーヴァントとして召喚された時点で人格も再現され、精神的な傾向は属性として端的に表される。
「秩序・善」や「混沌・悪」のように、前者(秩序・中立・混沌)が重んじる方針を表し、後者(善・中庸・悪)が性格を表す。
喩えるならばTRPGにおけるアライメントに近い(完全に同一ではない)。
性格の不一致は大きな軋轢を生まないが、方針の不一致はすれ違いを生むといい、アルトリア(秩序・善)とギルガメッシュ(混沌・善)はよくこの例として出される。

また、一部作品では召喚まわりについて以下のような特徴もある。

ムーンセルが観測・記録した人類史を電子虚構空間で構築した完全再現である。
この観測した人類史はそもそも英霊の座とまったく同じものなので多元的に英霊の座と繋がっており、電子空間で構築した単純なコピーではなく、多元的に重なり合っている存在である。
ムーンセルのシステムによるものなのか、前回の聖杯戦争の記憶も保持している者もいる。

冬木の聖杯戦争を元に作られた召喚式を用いているが、ある英霊曰く「その隙間の多さ、曖昧さのおかげ」により、通常では契約が不可能とされる英霊とも、例外的に契約が可能となっている。
通常であれば召喚者を問答無用で殺してしまうような英霊であっても、人理の崩壊という未曾有の危機に瀕しているため、本作ではマスターに対して協力的な立場を取る者も少なくない。
また、以前に参加した聖杯戦争の記憶を有しているか否かはサーヴァントによって異なっているが、これも召喚式の曖昧さのためなのかも知れない。

カルデア固有の特例として、一部の英霊や神霊の中には、特定の人間を依代にして現界する者もいる。彼らは「疑似サーヴァント」として扱われている。
依代にすると言っても、その人物のコピーを作って憑依するようなものであり、本来の世界における本人には何ら影響を及ぼさない。

この形態をとるのは神霊など、格として人間を大きく上回る存在が殆どなので、疑似サーヴァントとなった後の人格は総じて英霊が主体となることが多いが、さりとて全く依り代の人格の影響がない訳ではなく、英霊と依り代の人格が融合したような状態になることが殆どである。
例えば、イシュタルは元の神霊の人格がそのままであれば、重度のファザコンかつワガママ放題の手におえない性格となるが、遠坂凛を依り代としたことで、「早くに父を失った少女」「一人で颯爽と生きる女」という凛の人格の影響を受け、イシュタルの不倶戴天の敵であるギルガメッシュ、エルキドゥが「この状態なら」とある程度許容するほど丸くなっている。

また、依り代側の人格が全て影響を及ぼすということでもなく、例えば間桐桜を依り代としたパールヴァティーは「清らかな乙女」としての側面のみを依り代としており、英霊側の善性と相まって100%綺麗な所だけを抜き出したかのような人格が形成されている。
一方で同じ少女を依り代にしているカーマは「聖杯に歪められ、自身が化け物である事を受け入れた少女」の側面を抜き出しているため、性格は大幅に異なる。

しかし、これまた英霊側の意向により、上述の例に当てはまらない擬似サーヴァントも登場している。
例えば諸葛孔明はエルメロイⅡ世を依り代とした擬似サーヴァントとして召喚に応じているが、「自分よりも現代に精通しているⅡ世の方が適任だろう」という合理一辺倒な理由で、力を託して自らは奥に引っ込んでおり、人格は100%Ⅱ世ベースとなっている。
後に登場した司馬懿もこのタイプで、普段は依り代の少女の人格が主体となって行動しているが、孔明ほど徹底して奥に引っ込んでいるわけではなく、時折意識を表出させて話すことがある。


◇マスターとの関係

契約者であるマスターとは互いに目的の為に手を結ぶ協力者だが、主従関係は人それぞれ。
基本的に魔力供給を行うマスターを主人と認識しているサーヴァントが多いが、気質次第では主従関係が逆転する事もあり、こういったサーヴァントは生前は王族であったケースが多いという。

一般的な魔術師には「強大な力を持ってはいるものの、所詮は自身の魔力を持って存命している使い魔に過ぎない」と認識し、見下す者も多い。
シリーズで例を挙げればケイネスウェイバー(『Zero』)、ゴルド(『Apocrypha』)などがこのタイプ。
むしろ、英霊を当たり前のように一個人として人格を尊重し、普通の人間と同様に接している士郎の方が魔術師としては変わり者。
また、正統派のサーヴァントと研究の為には犠牲も辞さない魔術師では、話が合わない場合もあると言われている。

サーヴァントからすれば、マスターは自身が現世に留まるために存在として必須であるため、基本的には従うが、「聖杯戦争に参加し、勝ち抜くため」という利害関係で結ばれただけの関係なので、それを超える不満があればマスターを殺害する事も十分にあり得る。

英霊の多くは人格的に優れてもいる事が多いため、マスターと考え方が合わなかったからといっていきなり殺すようなことはしないが、それでも絶対に受け入れがたい非道な行為を命じられた時など、英霊側の許容範囲を超えてしまったことで殺害するケースはままある。
また、英霊も多種多様なので、そもそもとして必要とあれば躊躇いなく味方でも裏切るような、さほど高潔な性格ではない英霊もいる。

例えば第5次のキャスターは、考え方の決定的な相違から自身を召喚したマスターの殺害に至っているほか、反逆を体現する英霊として昇華された英霊は根底の在り方からしてマスターへの反逆の危険を孕む。
そもそも召喚に応じないが、自身を激怒させるに足る召喚方法を取ったマスターを殺害するために逆に召喚に応じる例もある。

ただし召喚されるための条件として、契約の一部として「令呪」の存在を受け入れさせられるため、令呪がまだ残っている時に目に見えて反逆しようとするサーヴァントはまずいない。
上述の第5次キャスターは、巧みな話術で誘導してマスターに令呪を三画全て使い切らせた上で殺害している。
また、令呪も魔術の一種であり、発動にはいくばくかの手順を必要とするため、純粋に飛びぬけて身体能力に優れた英霊であれば、英霊の視界内にいる限り令呪を使うより先に殺されるというような事もある。


◇具体的な強さ

原作者の奈須きのこ氏によると、強さはだいたい戦闘機一機ぐらいである。
その理由は、破壊力でこそ多くの近代兵器の方が優るものの、通常攻撃が効かない霊的耐久力がサーヴァントにあるため。

―サーヴァントの強さとは、どれくらいなモノなんでしょう?

奈●「これはですね、攻撃能力はだいたい戦闘機一機分なんですよ。戦闘機は個人で立ち向かうには強力すぎる力をもっているけれども、ひとつの街を滅ぼすには何度も補給しなければならない。
ただ連中(サーヴァント)が厄介なのは、奴ら霊体なので通常攻撃が効かないんですよ。
破壊力においては近代兵器のほうが強力なものが多いんですけど、通常兵器が効かないと言う時点でいまだ最強。
で、戦闘機も核弾頭を搭載できたりするように、宝具をそれぞれ備えており、中にはとんでもない宝具を持ってる奴がいる。
だから、強さは戦闘機ぐらいだと言うのがイメージしやすいかなと。」

出典: 『Fate/stay night Premium Fanbook』、47ページ


◇現界について

サーヴァントは聖杯戦争限定の存在で、マスターを現界の為の依り代としていて、マスター不在で存在し続けるのは極めて困難。
マスターを失った状態で存在し続けられる期間は数時間程度だが、単独行動スキルがあれば別。

マスターの有無に関わらず魔力が尽きれば消滅する。
エネルギー源はマスターから供給される魔力だが、霊体であるため、魂を食べてエネルギーとする事も可能。
ただし、魔術師の魔力と比べて、魔術の素養のない一般人の魂は魔力源としての質はかなり低い*1ので、魔力供給が十分ならばまず魂喰いは行わない。
一方で、普通の人間ならば必要不可欠な食事・睡眠をサーヴァントは必要としないが、食事によって微弱だが魔力消費を抑えられる。
またサーヴァントも立派な人格を持っているので、「やる気」的な意味では食事が大いに意味を持つサーヴァントもいる。

また、自身の魔術回路によって多少は魔力を補充する事は出来る。
セイバー(Fate)は、蛇口の下に置かれたグラスの中の水が増えるとその重みに比例して蛇口が開き、水が尽きると完全に閉じられる仕掛けにたとえている。
開かれた蛇口から注がれる水が魔力である。
要は残存する魔力量が多い程に魔力の回復量も増え、少なくなる程に魔力の回復は困難になり、回復を望めず消滅するしかないという事になる。


◇防御面

当然ながら物理的な攻撃は霊体であるサーヴァントには無意味で、どれ程の破壊力であろうとも基本的に通用しない。
ただし、受肉を果たしたサーヴァントは話は別の模様。
また物理的な攻撃であっても、それが魔力が絡む物理現象や、魔力を有した攻撃のもたらす付帯効果ならばサーヴァントに有効なケースもある。
例えば、強化魔術を纏った者による強烈な投げ技でコンクリートに叩き付けられた場合や、神獣による瓦礫の破片の散弾攻撃といったものは、物理攻撃ではあるがサーヴァントにも通用する。

また、心臓や首などの急所に攻撃を受けるなどして致命傷を負わされると、霊核が崩壊し、消滅することになるが、亡霊としての性質を持つサーヴァントの場合は、致命傷を受けて消滅するまでの猶予時間が長い。
加えて、生前の逸話に「致命傷を負ってなお、死ぬまで戦い続けた」等があり、それがスキルに昇華されているサーヴァントも消滅までの猶予時間が長い場合がある。
例えば第5次ランサーは、凛ルートで心臓を貫かれる致命傷を受けた状態で自らを裏切ったマスターを殺害し、捕まっていた凛を逃がすという往生際の悪さを見せている。


◇宝具

召喚される殆どのサーヴァントは、『宝具』という必殺の武器を最低でも一つ所持している。
宝具の中には魔法や神霊レベルの現象や神代の「権能」を引き起こす強大な力を持つモノもあり、時に格上の聖霊や精霊すらも倒す事を可能にする。

こちらもパラメータ同様にA~Eの間でランク付けがなされており、基本的にAに近付くほど威力・能力は高いが、『EX』はまさしく「規格外」を意味するため、「比較対象がいないほど強力な宝具(≒Aランク以上)」を意味することもある一方で、「あまりにも能力・性質が特異なためにランク付けが出来ない」という意味合いで『EX』に位置付けられている宝具も存在する。
また、どのような力を発揮するかが使用者依存だったり、状況・戦闘相手によって変動したりもするため、『E~A++』のように振れ幅があるランク付けをされているものもある。

更にサーヴァントは、クラス別スキルと固有スキルという2つの保有スキルを持つ。
クラス別スキルは、召喚された際にクラスと一緒に付いてきたもので、そのランクは生前の能力で決まる。
例えば青セイバーは、生前に魔術でダメージを受けた事がない程に優れた対魔力を持つのでAランクだが、魔術に対する耐性を持っていなかった赤セイバーはクラス補正でCランク程度になっている。
固有スキルは、そのサーヴァントが持っていた特技や技能、体質や経験による様々なスキルが存在し、中には宝具以上に強大な効果を発揮するスキルも存在する。

また、『宝具』はその英霊の生涯を象徴するシンボルでもあり、著名な英霊であればあるほど、内容を知られれば真名が露呈するリスクが高まる。
そのため、例えば自分自身も『宝具』である聖剣の真名もトップクラスに有名な青セイバーは、平時は別の『宝具』で聖剣を不可視にしているなど、魔力消費の問題もあるが、そうほいほいと『宝具』を使うサーヴァントは(常時発動型を除いて)まずおらず、「有事の際の切り札」としての運用が基本である。


◇パラメータ

召喚されたサーヴァントのパラメーターは、ほぼ固定した本来の能力値というものは存在するが、
マスターとの相性やマスター自身の能力値、魔力供給量の程度によって変動する。

  • 筋力…肉体的な力の強さ
  • 耐久…ダメージにどれだけ耐えられるか
  • 敏捷…素早さ、反応速度
  • 魔力…魔力をどれだけ扱えるか
  • 幸運…運の良さ
  • 宝具…所有する宝具の強さ
に分けられ、それぞれ高い方からA、B、C、D、Eで評価される。
通常値を1とすると、Eは10、Dは20、Cは30、Bは40、Aは50を表す。
例外的な存在であるEXは別格で、比較の意味がないほどの強さを表し、BBのパラメーターである★は測定不能を指す。

また、能力のランクの横に『+』が付いているものは「瞬間的にそのランクの倍の能力を発揮できる」ことを意味する。
例えば『A+』ならばAの2倍、『A++』ならば3倍、『A+++』ならば4倍というように、付いている『+』の分だけ倍率が上がる。
逆に『-』が付く場合は、平時はそのランク相当の能力であるものの、時に下回ったりと不安定さが多いことを意味しているという。

あくまでも基本的な参考値であり、状況や能力によっては多少の変化が有り得るようで様々な要素が複雑に絡み合う実戦において、絶対的なものではない。
状況次第では第5次ランサーより第5次セイバーの方が速く動ける事もあるだろうと語られている。
また、同ランクであったとしてもそれぞれ微妙に得意分野があるようで、例えば第5次ランサーと第5次ライダーは共に敏捷がAランクだが、前者は瞬間速度、後者は平均速度に優れているという違いがある。
パラメーターの表現のされ方はサーヴァントを見るマスター次第なので、別の文字種で見えるマスターや文字以外で見えるマスターもあり得るという。

更にサーヴァントは、召喚された地域で高い知名度を持つ英雄は信仰や認知度によって存在が増すとされ、パラメーターが上昇。更に宝具やスキルが追加される恩恵がある場合もある。
ヴラド三世は地元であるルーマニアが戦場になったため、初期設定から全パラメーターがほぼ1ランク上昇した。
逆にランサー(Fate)等は日本での知名度が殆どないせいで劣化し、アイルランドなら持つとされる城と戦車の二つの宝具と不眠の加護のスキルを失っている。

また同じ英霊でもクラスが違う場合、ステータスやスキル、宝具がまるで異なる場合もあり、これは大元の英霊の持つ能力を「クラス」に落とし込む都合によるもの。
呼ばれたクラスに応じた能力が強く出るため、剣士のクラスで呼ばれれば白兵能力、魔術師のクラスで呼ばれれば魔術関係に適したステータス、スキル構成と宝具になるという。
シリーズでは様々なクラスで召喚されているエリザベートやクー・フーリン等に、クラスの違いによるステータスやスキル、宝具の変動が確認されているほか、おそらくこの仕様のせいで、生前の最強仕様で呼び出すことが永遠に不可能なサーヴァントも存在している。*2

勘違いされやすいが、知名度の補正はあくまでその英霊の本来の能力に近づけるもので、どれだけ知名度が高くても本来以上の強化はありえない
つまり、そのサーヴァントが最も強い状態とは、生前あるいは神話や伝承を忠実に再現した状態という事。神秘の力が現代より遥かに強大になり得た神代や、それに近い古代の英霊はこの例が多い。

ただし、伝承なども英霊には加味されるので、生前の逸話が後天的に宝具化したケース(第4次バーサーカーなど)や、後天的に得たスキルによって限定条件で大幅に強化される例(ヴラド三世など)など、文明がより発達してきた時代の英霊を元にした場合は特に、サーヴァントより生前の方が強いとは言いきれない。
またクラススキルも、生前や英霊になくても付与される能力である。

マスターの魔力供給量に関しては、魔術師として未熟な衛宮士郎から優秀な魔術師である遠坂凛にマスターが交代しても、それぞれのステータスには1ランク程度の差しかなく、数ランクも変化する極端なステータス変動は起こらない模様。
これは、マスター適性は並とされる衛宮切嗣と、並の魔術師の数十倍の魔力量を誇る遠坂凛でもセイバーの幸運以外は合計値がさほど変動しない点からも窺える。
パラメータ及びスキルはマスターとサーヴァントの相性でも変動するので、マスターの能力は三流未満のへっぽこだが相性だけは良い、という場合には高ステータスになる可能性もある。
ただし、所詮カタログスペックに過ぎず、相性だけで高いステータスになっている場合、後述の問題から額面通りの能力を発揮出来る見込みはほぼ無い。

上記の例で言えば、衛宮切嗣はセイバーに『約束された勝利の剣』を使わせるのは日に1度が限度だが、遠坂凛の場合、一流の結界師でも数十分の維持が限度の固有結界を衛宮士郎が展開するための魔力を肩代わりしている状態でも普通に行動するだけでなく、セイバーに『約束された勝利の剣』を2度使わせることが出来るほど、魔力量に余裕があるという。
また、第4次ランサーと第5次ランサーの比較に関しても、宝具の真名解放を伴わないただの近接戦闘でも魔力供給の質によって火力に差が生じる、と言及されている。
更に、一流の魔術師をマスターとしたサーヴァント同士の戦いは、何時間にも渡って休みなく継続するケースもあり、より多くの魔力をコンスタントに供給出来るスタミナの方が、戦闘開始時の見かけのステータスよりも勝敗を左右する重要な要素になる。

マスターとの契約が切れたり魔力供給がカットされたりすればステータスは一気に下がり始め、単独行動スキルを持っていても1日経過すれば能力値は1/10程度にまで劣化する。
少々極端に言えば、戦闘開始時にはステータスがオールAでも、5分後には実質オールE程度にまで低下、なんて場合も有り得るが、これはまだマシな方。
バーサーカーと未熟なマスターの組み合わせのように、サーヴァントが数回素振りしただけで、マスターの方が気が遠のいて魔力供給が途絶しかける……なんて悲惨な事態に陥る危険性も多分にある。


異霊(オルタ)

英霊の持つ負の側面等が、外部からの何らかの強烈な干渉を受けて表出化した姿。初期は「黒化英霊」とも呼ばれていた。
かなりざっくりと言えば悪堕ち。この状態に陥った英霊は「○○・オルタ」という名前になる。

該当英霊の負の側面が強調されたパターンが多いが、実際のところは割とボーダーラインは緩め。
結構曖昧な扱いだったが、後に具体的な実情として
  • その霊基の核となる在り方を否定した存在
  • その英霊の信念、人生といったものへの裏切りを自らの手で行った末の姿
として解説された。


◇幻霊

英霊よりも更に格が落ちるカテゴリー。
英雄達のように広く名が知れ渡っている訳ではなく、偉業と呼ぶにはいささか小さい、ざっくばらんに言えば人類史から見て「マイナー」な者達がこれに振り分けられている。
また、有名ではあるが架空の物語上の登場人物もこれに振り分けられることが多い。
何をもってマイナーとするのかは我々の現実世界と基準・尺度が異なるようで、例えばエルキュール・ポワロはシャーロック・ホームズと並ぶ有名な名探偵であるが、Fateシリーズでは英霊として召喚されているホームズに対して、ポワロは幻霊として扱われている。*3

彼らは召喚こそ可能だが、サーヴァントとしては上記の理由で条件を満たさないため、現界しても肉体の形成に至らず、そのままでは意思疎通も宝具の使用も出来ない。
しかし、複数の幻霊を融合させることで、英霊に並び立つ力を持つサーヴァントに昇華可能。
人形の器に無理矢理押し込む、疑似サーヴァントのように依代に憑依するという手もあるが、前者の場合は器となじまないために成功してもやがて精神が著しく破綻する。


◇クラス

聖杯戦争における英霊達の分類のこと。
基本となる7クラスと、それ以外のエクストラの2パターンが存在するが、どのクラスで呼ばれるのかは召喚されるまで不明な場合も多い。
だがアサシンとバーサーカーのクラスは事前に選べる模様。バーサーカーは召喚時の詠唱に『狂化』関連の句を数節加える事で優先されて召喚される。アサシンの詠唱は不明。
ただし冬木の聖杯戦争でクラスの重複は起きないため、既に召喚済みだと普通に別クラスしか呼べない。

固定されている三騎士以外のクラスは割と変動するため、聖杯戦争でエクストラクラスが一つ出現しようが別に珍しくはなく、三騎士以外の4枠は全てエクストラクラスの聖杯戦争も可能。

真名を明かすことは手の内を晒すことに他ならないため、基本的にサーヴァントはクラス名で呼称される。
ただし中には自ら真名を名乗った者もそこそこ居る。また、相手が真名を名乗ったので騎士の礼儀として真名を告げるというやり取りも見られる。

◆基本7クラス

剣を主装とする「三騎士」の一角。
該当条件はを扱う逸話があることと、『魔力』『幸運』以外の能力値がBランク以上であることの2つ。
該当条件の厳しさから、強力な英霊が召喚されることが多い。
霊格・ステータス・戦闘力共に高いレベルで安定しており、歴代の聖杯戦争でも常に最後まで勝ち残っていた為に「最優のサーヴァント」と称される。

クラス固有能力は『対魔力』『騎乗』。


飛び道具を主装とする「三騎士」の一角。
該当条件は射撃兵装や射撃に関する特殊能力を持つこと。名前の割に弓以外の武装も該当する。というか真っ当にを使うアーチャーの方が少ない。
最近ではまともな弓使いのアーチャーも順調に増えてきているが、相変わらず銃やスリングなどの他の飛び道具を用いる者も多い。
というより、飛び道具を使うだけマシな方であり、近年は電気を飛ばす奴までいるなど、クラスにおける解釈や武装の自由度は高い方。
とりあえず、武具や能力による遠距離攻撃ができるならばだいたいこのクラスで当てはまる。
比較的能力が低い者でも条件を満たせば該当し、持ち込める宝具は射撃兵装を初めとして強大な力を持つ物が多いとされている。

クラス固有能力は『対魔力』『単独行動』。
単独行動のスキルがあるお陰で、マスター不在でもある程度行動可能。


を主装とする「三騎士」の一角。
該当条件は槍などの長柄武器を扱ったり、それにまつわる逸話を持ったりすること。
加えて全ての能力値にセカンドランクが求められ、その中でも敏捷が高い者がランサーのクラスに該当する。
そのため、最速のサーヴァントと呼ばれ、白兵戦ではセイバーに並ぶ力を持つ。
何故か作中では不遇な扱いを受けていたり、幸運ステの低い英霊が多い。聖杯はランサーに怨みでもあるのか

クラス固有能力は『対魔力』。


該当条件は乗り物の宝具を使いこなせること。
機動力に優れる他、騎兵という事だけあって宝具は強力かつ多岐に渡り、登場した多くのサーヴァントが2~3個以上確実に宝具を保有している。
また、持ち込める宝具に特に制限はないため、剣・槍などの宝具を所持するものも存在する。
それゆえ、「本人より武器が強力なクラス」と言われる。
であれ船であれ何かしらの乗り物に乗れれば条件を満たせるため、キャスター程ではないがバラエティ豊かな英霊が召喚される傾向にあり、複数のクラスに適性のある英霊はだいたいこのクラスの適正がある事が多い。

クラス固有能力は『対魔力』『騎乗』。


該当条件は『気配遮断』のスキルを持つこと。
姿と気配を消して、敵のマスターやサーヴァントの暗殺や隠密行動に徹するクラス。
『マスター殺しのクラス』と称される非常に厄介な存在。その反面、正面戦闘を苦手とする存在が多い。
本来、冬木の聖杯戦争では、アサシンのサーヴァントは暗殺者の語源になった暗殺教団の歴代頭首ハサン・サッバーハのうちの誰かが呼ばれる事になっている。
コレはアサシンの呼び名の語源がハサンであり、アサシンというクラスそのものが触媒のため、歴代頭首全19人の亡霊の内1人だけが選ばれて召喚される。

ただし、これはあくまで冬木式の聖杯戦争のシステムをそのまま採用している場合のみ。
細工を加えることでハサンの縛りを解除した聖杯戦争や、根本から方式が異なるために最初からそのような制限が存在しない聖杯戦争など、作品ごとに設定は異なる。
ハサンの制限を抜きにした条件は非常に緩く、正真正銘の暗殺者と呼べる者は少数派。
イレギュラーで召喚された名もなき剣士(農民)に始まり、武術家、殺人鬼スパイ、処刑人、忍者と、バラエティ豊か。
あえて共通点を見出すなら「戦場以外の場所で殺害をした」「裏の世界で活動をしていた」「隠密行動が得意」といったところが当てはまりやすいだろうか。
全員に共通するという訳はないが、「本当の得物を隠している」という特徴もある。

クラス固有能力は『気配遮断』。


該当条件は『伝承で発狂した逸話』を持つこと。
このクラスに該当すると、知性を代償に生前の肉体の能力を上回る程に“強(狂)化”される。
基本的に能力が低い英霊を強化するためのクラス。
サーヴァントとしての契約が切れた時、同時に狂化も解除されるため、消滅の直前には理性を取り戻す。
マスターの魔力を大量に消費するせいで負担が大きく、冬木の歴代マスターはイリヤを除いて自滅で敗退している。
さらには狂化レベルが高い場合、常時発動型以外の宝具はほとんど使用できず、スキルも一部使用不可になってしまう大きなデメリットを抱えているなど、英霊にもよるが地雷のようなクラスでもあり、本来の力量が全然発揮できずに大幅に弱体化してしまう可能性も秘めている。
英霊の人格や性格面での相性等に問題がある場合や裏切り防止などを理由に狂化させ、従わせやすくするという利点もある。

しかし狂化のランクがD以下と低い場合は理性が維持されてしまい意味がなく、むしろ半端に狂っているため扱いが逆に難しい傾向にある。
低ランクの場合は「何らかの思考の基盤となる価値観が狂っているか歪んでいる」場合が多い。
EXランクの場合は、狂化が変則的に働いてしまう結果表面的に理性が残る代償として価値観・思考回路が狂った状態で固定されてしまうため、元々の性格が本来のものより歪となり融通が非常に利き難いのがネック。
こちらも低ランク狂化と同じかそれ以上に動かしにくくなってしまうため一概に良いとは言えず、通常の英霊を召喚する場合はリスクの大きさが目立ってしまう。主に筋肉とかストーカーとか母とか。
また最近では、高ランクの狂化を持ちながらも理性を保ちコミュニケーションを取れるバーサーカーも増えてきた。
この場合「何らかの特定条件が満たされた場合」発狂・暴走するパターンが多い。

逆に、怪物になった逸話のある英雄や、怪物そのものを召喚する場合は、他クラスを凌駕する力を発揮できる可能性があるため、単純な暴力性・戦闘力を求めるならこのクラスで呼ぶのが最適といえる。
しかし、制御と魔力供給というバーサーカー最大の問題点はむしろ悪化してしまう可能性が高く、怪物退治の逸話が付き物である英雄相手には相性が悪いだろうという点など、やはり問題も多い。

クラス固有能力は『狂化』。
その性質上ほぼバーサーカー専用の能力だが、稀に他のクラスでも所持している者がおり、その場合はそのクラスに加えてバーサーカーの適性を持つ事がほぼ確実だったりする。


該当条件は“魔術”スキルがAランク以上であるか、それに相当するスキルを持つこと。
魔術師というクラス故に、近接戦闘に向かないサーヴァントが多い。
また大半のサーヴァントが対魔力のスキルを持っているので魔術が通用し難く、全クラスの中でも不利な立場のために最弱のサーヴァントと称される。
さらに魔術師は個人主義かつ目的に手段を選ばない者が多いため、生粋の魔術師同士は相性が悪く、実際に複数のキャスターがマスターを裏切っている。
しかし逆を返せば、馬が合えば他のクラスよりも良好な関係を築けるというメリットも存在する。一長一短といった所だろう。
「陣地作成」スキルによって拠点防衛には最高のアドバンテージを誇り、長期に渡り力を蓄えれば三騎士さえも圧倒する力を発揮可能。
長期戦や策謀に特化したクラスと言える。

……とここまで書いたが、様々な派生作品が出るにつれ、該当する英霊が最もカオスなクラスと化している。
真っ当な魔術師系の英雄だったらマシな方で、劇作家・童話作家・哲学者・音楽家・発明家などの「人類の文化や文学に貢献した人物」や、時には「文学の概念そのもの」までもこのクラスに割り当てられることもあるなど、現在では非戦闘員系英霊の坩堝と化している。
というか真っ当な魔術師の英霊の方が少ない。
しかしその分クラスにおける解釈の自由度も最も高く、同時にバラエティ豊かなクラスである。
メタ的な視点で見ると、神話や伝説に登場する魔術師は英雄や騎士よりも強い場合や反則じみた能力を持っている例も多いため、所謂「真っ当な魔術師」を登場させ辛いという理由もある。
その性質故か自身のマスターや味方を裏切る、魔術や魔物を呼び出して一般人に多大な被害を与えるなど、物語におけるジョーカー的な役割を担うことが多い。
ラスボス・黒幕にもなりやすいクラスであり、特にEXTRAシリーズでは3作中2作で物語の黒幕を務めており、『Grand Order』にて判明した『カルデア悪巧み四天王』のうち2人はキャスターである。

クラス固有能力は『陣地作成』『道具作成』。


エクストラクラス

上記の7クラス以外に該当するクラス。
イレギュラーな存在が召喚される事が多いので特殊な状況下でしか召喚されないと思われがちだが、冬木の聖杯戦争では7クラス全て基本ラインナップとは限らず、三騎士以外は代わりにエクストラクラスが召喚される可能性があるとされる。
この他にも、ゲートキーパーや指揮官系のクラスなどが存在している。

裁定、調整のサーヴァント。
聖杯への願いを抱かない者か、広範の国を統べた経験のある為政者に与えられるクラス。
通常の聖杯戦争で呼ばれるのは極めて稀であり、その場合も前者の条件を満たす、聖人と言われる英霊が呼ばれる。
聖杯戦争によって世界に歪みが生じる場合に聖杯自身によって召喚され、『聖杯戦争』という概念そのものを守るために動く、絶対的な管理者。
部外者を巻き込むなど聖杯戦争の規約に反する者に注意を促し、場合によってはペナルティを与え、聖杯戦争そのものが成立しなくなる事態を防ぐためのサーヴァント。
そのため、現界するのにマスターを必要としない特性を持つ。

なお最近では何故か武術や格闘技を習得しステゴロで殴り合う武闘派なルーラーが増加。エクストラクラスの中では中々にネタ性が高くなった。

クラス固有能力は『対魔力』『真名看破*4』『神明裁決*5』。


復讐にその生涯を捧げた、もしくは余人に「復讐する権利がある」と考えられた者に与えられるクラス。
“憎しみから生まれたものが愛を語り、愛から生まれたものが憎しみを語る”、もしくは“虐待の末に隣人を憐れみ、幸福にあったものが裏切りに終わる”者が適性を持つ。
復讐者の殆どがこの二つに分類され、前者は愛を嗤い、後者は憎しみを燃やす者に分けられる。
長い間一騎しか該当サーヴァントがいなかったが、2016年だけで四騎もの該当者が追加され、アルターエゴが増えるまではエクストラクラス最多人数であり、適性のある者の数も多いクラス。

クラス能固有力は『復讐者』『忘却補正』『自己回復(魔力)』。
このクラススキルからループのような繰り返される現象に対してある程度の耐性を持つ。


  • シールダー/盾兵
のサーヴァント。該当条件は盾を持つ英霊であること。
基本的なスペックはセイバーに準じる模様。
現在実際に登場したのはマシュ・キリエライトだけだが、クラス適性のあるサーヴァントは何名か確認されている。

クラス固有能力は『対魔力』『騎乗』。


  • フォーリナー/降臨者
外宇宙、もしくは別次元より飛来した存在のサーヴァント。
狂気の内にありながらも純粋さを失わない者、狂気に呑まれながらも逆にその狂気を呑み尽くした者」に資格が与えられる。
このクラスに該当するキャラの特徴を見るに、とある神話*6に登場する神々と関係していると思われる。

クラス固有能力は『領域外の生命』。


  • プリテンダー/詐称者
役を羽織る者のサーヴァント。
最新のクラスであるため詳細の多くが不明だが、世界全てを欺ける程の偽称を成立させてしまう能力を持っており、自身のクラスさえも自由自在に詐称することが可能。
恐らく、魂レベルで他を騙せる存在(嘘吐き)が該当するクラス。
また、『Grand Order』では「本来別の存在が、自身が召喚した別のサーヴァントと融合した」という特殊な事情でプリテンダーとなったサーヴァントもいる。


元々はある人物によって作られた違法なクラス。
後に『強固な自我・自意識を持つ存在』のクラスと判明した。『ある人物(神霊)の特定の側面を取り出した存在』がこの条件を満たす模様。
なお、現在まで確認される大半のアルターエゴが『複数の霊基をひとつの器に取り込んだ』存在であるためか、ダブルクラスが比較的発生しやすいクラスである。
設定的に便利で出しやすいのかアヴェンジャーを超え現在エクストラクラス最多人数を誇る。

ある人物によって作られた違法なクラスその2。
恐らくその当事者が仕立てた人物と当事者本人限定クラス……と思われたが、『Grand Order』では「アーキタイプ:アース」もムーンキャンサーとして召喚されている。

救世の英霊。『善悪を問わず人類を救う』という理念に目覚めている召喚者のみがこのサーヴァントの召喚を可能にする。

クラス固有能力は『カリスマ』『対英雄』。


  • フェイカー/偽物・影武者
偽物を象徴するクラスであり、英雄の偽物や影武者として活躍した人物を召喚するためのクラス。

クラス固有能力は『単独行動』『偽装工作』。


  • ガンナー/撃墜王
銃士のサーヴァント。ビリー・ザ・キッドなどの、銃で名を挙げた英霊がこのクラスに適正がある。


  • ウォッチャー/番人
詳細不明。


  • ファニーヴァンプ(毒婦)
詳細不明。
恐らく該当者は『あーぱー真祖』ことアルクェイド・ブリュンスタッドだけだが、特性上誕生経緯が近似した精霊種にも適性がある可能性はある。
ただ、ファニーヴァンプ(=「おかしな吸血鬼」、意訳すればあーぱー吸血鬼)という名前から、アルクェイド専用クラスと捉える意見もある。
なお、後にアルクェイドが「アーキタイプ:アース」として『Grand Order』にて召喚されているが、真名からも分かるように『月姫』準拠のアルクェイドだけでなく、『真祖の姫』や『志貴に殺されなかったイフ』などの側面も内包した特殊な状態である。
そのためかクラスは上述の通り「ムーンキャンサー」で、「ファニーヴァンプ」はスキル名に採用されていることから、「ファニーヴァンプ」となるのは「遠野志貴に十七分割されて異常が生じたアルクェイド」のみである可能性がある。


◆グランド/冠位

根源に選ばれた英霊。
7つの基本クラスの中でも頂点に君臨する最高位の英霊のみが、このクラスに選ばれる。
純粋な強さや格以外にも各グランドクラスごとに選定条件が存在する。勿論だが該当者が複数存在する場合もある。
人類に害なす「人類悪」を倒す為に抑止力によって呼ばれるサーヴァント、なので通常の聖杯戦争での召喚は不可能。
元々、冬木といった通常の聖杯戦争で呼ばれるサーヴァントは、抑止力のみが可能とする英霊召喚を人間にも召喚出来るように改竄して格落ちさせたものに過ぎない。
このクラスで呼ばれるサーヴァントの霊基は大幅に能力制限を受ける通常の霊基のサーヴァントとは比べ物にならず、たとえ最上級のサーヴァントであろうと通常の霊基では全く歯が立たないなど、文字通り「格」が違う、比較にならない能力を振るえる。
ファンの間では「各クラスのグランドは誰か」がしばしば予想される。



ビースト/獣

「人類悪」と呼ばれる存在、獣のクラス。
人類史の淀みより生まれ、人類社会を内側から食い破って破壊する、それぞれ7つの理を持つ獣による人類の自殺機構。
現時点では5騎判明しているが、いずれも規格外の霊基を持つ。
『単独顕現』というビースト独自のスキルを持ち、その力は英霊の頂点である冠位を持ったクラス七騎を以って本来は打ち破るべき存在であり、通常霊基のサーヴァントでは百騎単位ですら相手にならない。

クラス固有能力は『獣の権能』『単独顕現』『ネガ・〇〇*8』。


◆補足

以下は奈須きのこ氏の発言。Fate以外のTYPE-MOONキャラが、平均的な宝具(Bランクの単純破壊系)を持つサーヴァントと一対一で闘った場合(当時の情報なので魔法使いの夜は入っていない)。

  • 勝負にならないほど強い者
ORT、プライミッツ・マーダー:別格。地球のルールが通用しないORT。霊長に対して超有利のプライミッツ・マーダー。この二体はサーヴァントとは格が違うとされている。
なお、プライミッツ・マーダーを相手取るには霊長の守護者として顕現した英霊7人がかりで漸く妥当になるという。

  • 圧勝する者
アルクェイド:1対1ならば基本的にアルクェイドが勝つだろうが、2人がかりなら、30%アルクに勝てる可能性がある。
なお、アルクがいかに能力値的に相手を凌駕していても、運命干渉(ゲイ・ボルクなど)の力を持つ相手では「運次第でコロっと殺されます」という。

  • 互角な者
死徒二十七祖のほぼ全員。
埋葬機関の一部のメンバー、軋間紅摩蒼崎青子

  • 防戦なら可能な者

  • 敗北する者

……と発言されている。


◆関連項目




汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!

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最終更新:2025年07月09日 10:48

*1 例えば第5次ライダーの『鮮血神殿』内では、魔術に縁遠い一般生徒・職員はそのままでは死んでしまう危険があるほど衰弱していたが、魔術師として天才的な才覚を持つ凛はもちろん、未熟な魔術師の士郎ですら、気持ち悪くなる程度で意識を失うこともなかった、など。

*2 生前は魔剣、魔槍をそれぞれ二振りずつ備えていたとされるが、『Fate』ではセイバー時には魔剣のみ、ランサー時には魔槍のみを持ち込んでいる。

*3 ポワロやマーブルのファンからすると実に失礼な話であるが、逆に言うとホームズが成立するのは名探偵という概念の「祖」を築いたからとも解釈できる。ただし、詳細は伏せるが『Grand Order』のストーリー上におけるホームズは「ある者」の差し金でかなり特殊な経緯の現界を果たしており、ホームズといえど本来の意味での召喚に応じられるほどの条件を満たしていたか若干怪しい。

*4 聖杯戦争に参加したサーヴァントの真名などのステータスが、故意に隠蔽されていない限り即座に分かる能力。

*5 サーヴァントに対して二画令呪を行使出来る能力。

*6 作中においてクトゥルーやラヴクラフトといった名前は断言されていない。

*7 実装前だった為か、シャドウサーヴァントと同様のエフェクトが掛けられている。

*8 各ビースト固有のスキルで、各々の出自や特性に応じて英霊のスキルや宝具に強力な耐性を得る。