登録日:2011/06/09(木) 01:08:12
更新日:2024/12/24 Tue 22:47:23
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目撃せよ!ゴジラ新世紀
延べ9000万人が観た映画史上最強シリーズ。
沈黙を破り、世紀末日本に新破壊神伝説が始動する。
ゴジラ
2000
ㅤㅤミㅤレㅤニㅤアㅤムㅤㅤ
『ゴジラ2000 ミレニアム』は1999年12月12日に公開された
ゴジラシリーズ23作目の作品である。観客動員数200万人。
【概要】
『ゴジラVSデストロイア』で一端終了したゴジラシリーズ。
しかし、
アメリカ版ゴジラがファンには賛否両論だったこと、代わりの『
平成モスラシリーズ』もゴジラほどの動員を見込めなかったことから、東宝内で新作を作る気運が高まり作られた新シリーズ第1段である。
世界観に連続性があった平成VSシリーズから心機一転、本作では初代『
ゴジラ』の事件は発生したものの『
逆襲』~『VS
デストロイア』のどの事件も起きず、
代わりに『ゴジラ』の後2体目となるゴジラが出現し、半世紀の間に度々襲来している、というオリジナルの世界観で作られた。
このような世界観のリセットは以降の「ミレニアムシリーズ」において恒例となっていく。
本作の特徴となっているのは前述した世界観の表現である。
作中では度々発生するゴジラの襲来に備えて、政府には危機管理情報局という主にゴジラ対策をする部署が作られている。
また民間ではゴジラ予知ネットというグループが出来ており、ゴジラの観測を民間独自に行う等、独自のリアリティを持っている。
特に民間で長期間ゴジラに関わり続けているグループというのは、シリーズでも稀である。こういった要素により、本作の個性を出すことに成功している。
また「新世紀ゴジラ」という事もあって、本作はCG合成が積極的に使われており、特に「海の中を泳ぐゴジラ」や「飛行する巨大UFO」などはフルCGで描写されている。
しかし、まだまだCG技術が発展途上であった時期の作品なだけあって、令和現在のそれと比べるとやはりお粗末なクオリティであることは否めず、本作の批判ポイントとしてよく取り上げられる。
(この点は同年に公開された『
ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』と比較されることがある)
【ストーリー】
根室に現れたゴジラはその後東海村の原発付近に現れ、
自衛隊と交戦する。
そのころ日本海溝で引き上げられた謎の巨大な岩塊が浮上、岩が剥がれ落ちUFOが出現する。
そしてUFOの向かう先にはゴジラがいたのだった。
【登場人物】
◆篠田雄二(演:村田雄浩)
民間のゴジラ研究者で「ゴジラ予知ネット(通称:GPN)」の創始者。元は大学の教授だったが片桐との対立がきっかけで辞めている。
ゴジラは生かして研究していくべきだと考えており、ゴジラを生かすことでの被害を最小限に抑えるために、ゴジラの上陸を予想するGPNを創設した。
なお、劇中未登場の妻については一切触れられないが、設定ではどうも死別した模様。
丸友観光の社長秘書ではない。
◆片桐光男(演:阿部寛)
内閣官房副長官で「危機管理情報局(通称:CCI)」のトップ。ゴジラ対策の指揮を執る。
ゴジラは殺すべきと考え、篠田とは対立しているが彼の能力は認めている。
作中では厳しい発言が多いが、一般人や自衛隊の無用な被害は抑えるような指示はしっかりと出している。
上田次郎ではない。
終盤の東京決戦でも、UFO討伐の指揮を取る。
ブラスト・ボムでUFOをビルごと爆破する作戦では、篠田がまだビル内から避難できていないと連絡があったのに「予定は変更できない」と躊躇なく爆破スイッチを押すなど、作戦遂行の為には犠牲すら厭わない非情さを見せた。
その後、ゴジラがUFO及びオルガを撃破したのを篠田や宮坂達と見届けた後、己の無力さを悟ったのか、はたまたゴジラの強大な力に惹かれてしまったのかは定かではないが、とうとう発狂。
ゴジラが自分たちのいる建物の屋上に迫っているのにも関わらず一歩も動かず、助けようとする篠田を殴り飛ばしてまでゴジラと面と向かって絶叫する。
こんなに近くでゴジラを見たのは初めてだ……
ゴジラァーーーッ!!!
直後、ゴジラは建物を粉砕。篠田の救助も間に合わず、片桐は瓦礫の中に消えていった……。
明らかにゴジラは他の人間には目もくれずに片桐個人を狙って攻撃しており、これは監督によれば片桐はゴジラはUFOのみリベンジ対象として出現したと思っていたが、作中でゴジラには攻撃してきた相手に必ず向かっていく習性があると公言された通り、
実際にはゴジラは片桐も報復対象とみなし「東海村の戦いではよくぞやってくれたな」という落とし前を付けたのだという。
ちなみに演じた阿部寛氏によると片桐は複雑な無い面を持つやりがいのある役だったそうだが、一方でラストのゴジラとの対峙場面でタバコに火をつけるシーン(阿部氏はゴジラを見ながら火をつけたいと考えていたが、難しかったため実際にはタバコを見ながら火をつけざるを得なかった)が唯一の心残りだそうな。
◆宮坂四郎(演:佐野史郎)
片桐に協力する科学者。篠田とは大学時代からの知り合いで、ゴジラ研究を通して親交を深めた。
物語的には「主人公(篠田)と対立する組織の幹部」という立場だが、篠田とは関係を決別した訳ではないため事実上板挟み状態。
特撮好きで知られる佐野史郎氏の初ゴジラ出演である。
◆篠田イオ(演:鈴木真由)
篠田の娘。小学生だが、家事をこなし、GPNの運営に関わる等、非常に有能で働き者である。
ヒロイン一号。
◆一ノ瀬由紀(演:西田尚美)
雑誌記者で篠田のゴジラ研究の取材をする。最初は篠田に悪印象を持っていたようだが、事件に関わることで改善していった様子。
ヒロイン二号。
これ以外にチョイ役で
- 近藤芳正(灯台職員役)
- なぎら健壱(篠田酒造の番頭役)
- 西村雅彦(現:西村まさ彦)(戦車隊隊長役)
- ベンガル(GPNスタッフ・園田役)
- 松重豊(マスコミのクルー役)
- 吉田照美(ラジオDJ役)
- 笠井信輔(リポーター役)
- デンジャラス(新宿の野次馬役)
等といった方々が出演している。
【登場怪獣】
◆ゴジラ
新設定、新世界に復活した怪獣王。
デザインは背びれを中心に鋭角的になり、より生物的に。コンセプトもあり若干やんちゃっぽい。
サイズは「ゴジラ松井」こと
松井秀喜の背番号に因んで55mに変更。平成VSの約半分になった。
本作では非常に珍しく常時赤い熱線である。
東海村に襲来した際にUFOに敗れ、リベンジのために東京に上陸する。
本作ではその再生能力やタフさは
細胞内のオルガナイザーG1によるものという設定があり、この物質が重要な役割となる。
『×メガギラス』や機龍二部作等の手塚監督のゴジラ作品ではストーリーに繋がりはないがこのタイプのゴジラのデザインが使用されている。
◆ミレニアン
UFO内にいた
宇宙人。
不透明な不安定な形状で、体の安定のためかオルガナイザーG1を体に取り込むものの、制御出来ず怪獣オルガに変貌する。
その一昔前の火星人のイメージみたいな姿
と、ゲームみたいなフルCGは賛否両論である。
◆オルガ
ミレニアンが変貌した姿。
ゴジラを取り込んで同化しようとし、途中までは成功しフェイズⅡになったが、体内放射を使われて爆散した。
タイトルにゴジラが入る作品で、メインの敵の名前が入らないのは珍しい例である。
【登場兵器】
◆フルメタルミサイル
銀色の杭のような見た目の対ゴジラ専用
ミサイル。作中では73式装甲車を改造した車両で運用されていた。
通常のミサイルと違い、爆風や破片ではなく質量エネルギーで突き刺さるタイプのミサイルであり、厚さ数mの
コンクリート壁を貫通できるとされる。
作中ではゴジラに若干のダメージを与えたのみでそれほど活躍していないが、見た目と設定からとても印象に残る兵器となっている。
ちなみにこの手の兵器は公開当時、米軍でも似たようなのをLOSATの名称で研究・開発していて、VS時代のスーパーXシリーズなんかと比べたらはるかに「ありえそう」な兵器だったりする。
「怪物には銀の杭」という西洋の伝承が元ネタではないかとも。
後に
ゲームなどで登場している。
◆ブラスト・ボム
対ゴジラ用に開発された単一指向性爆弾。外見は四脚で固定された短い砲身の大砲、あるいはドラム缶のように見える。
本体内部で蓄積された爆発のエネルギーを単一方向へ向けて噴射するという代物で、ビームのように発射された爆風が遅れて炎と化す描写が印象的。
その威力故プロテクトも厳重で、外部の起爆装置にカードキーを挿入した上で本体側、起爆装置側双方にパスワードを入力しなければ使用できない。
作中ではゴジラ戦に使用されておらず、西新宿シティタワー屋上に着陸したUFOの底面に5機設置したうえで使用されたが、全く効かなかった。
こちらも対戦車用の砲弾として実用化されている成形炸薬(HEAT)弾をモチーフにしていると思われ、それなりに説得力はある設定である。
追記・修正はゴジラ予知ネットに年会費を払ってからお願いします。
- デザインがよかった。 -- ななし (2013-08-27 19:45:16)
- モンスターアーツも出たなー -- 名無しさん (2014-01-15 16:58:09)
- 熱線の色は東海村の原発事故に配慮したためだとか -- kw (2014-01-23 19:03:56)
- 自衛隊に怒られたとか(フルメタルさんが) -- 名無しさん (2014-01-23 19:10:42)
- ストーリーとかが色々言われてるけど序盤の根室襲撃は出色の出来だと思う -- 名無しさん (2014-01-23 19:57:02)
- アーツがミレゴジじゃなくてミレゴジ(雛形)だった件 -- 名無しさん (2014-01-26 01:03:27)
- ミレゴジは格好良い。背鰭の形と色と体とのバランスがヒーロー然としていて大好き。一番最初に本格的に見たゴジラだから補正もあるかもしれんが、いい映画だと思う… -- 名無しさん (2014-07-15 14:37:10)
- 8月の午後ローで放映されるな(関東圏だけだが) -- 名無しさん (2014-07-15 19:39:08)
- ゴジラが撃退されずに終わったのってこれ以外あったっけ? -- 名無しさん (2014-07-24 14:57:31)
- ↑「撃退されず」をどういう定義で言ってるかにもよるが -- 名無しさん (2014-07-24 15:11:42)
- ↑殺害や撤退などでその作品内ゴジラによる直接的な被害が発生しなくなる状態を撃退として。ゴジラを生かすだの殺すだの言ってる話であの地獄絵図みたいなシーンで締めるのは素晴らしいセンスだと思う。 -- 名無しさん (2014-07-24 15:35:22)
- ↑監督の『もうゴジラやらないよ』とヤケクソになってる感じが否めなかった -- 名無しさん (2014-07-24 18:44:39)
- ミレゴジのアーツがいつの間にかプレ値になってた -- 名無しさん (2014-07-24 19:06:04)
- 戦車からフルメタルミサイルの発射の合図を、古畑任三郎の今泉くんが言ってるのはうけました! -- ドクガン (2014-11-10 01:42:28)
- ラストシーンを放射熱線を吐き散らすシーンで締めくくったのは見事だなって思った -- 名無しさん (2014-12-27 14:48:57)
- 片桐がゴジラに執着する理由とかもっと描写してほしかった -- 名無しさん (2015-02-13 18:21:04)
- ミレゴジは格好いいよなぁ -- 名無しさん (2015-02-13 18:32:43)
- 片桐の「ゴジラアアアアアアア」がすごいと思った -- 名無しさん (2015-11-08 21:49:39)
- 確かにあのゴジラはかっこよかったなぁ。ところで、GPNって、ゴジラの動向を観測してどうするんだろ? 「どこどこにゴジラが行く可能性高いですから、避難してくださーい」って呼びかけるのかな? -- 名無しさん (2016-08-06 07:23:43)
- 今だったらサイトに情報置いて避難を促すんだろうがネットが発達してない時代に何をするのかわからんな -- 名無しさん (2016-09-12 14:07:20)
- ↑自治体に通報して避難勧告や避難指示を出すよう働きかけるとかって話じゃなかったっけ… -- 名無しさん (2017-08-09 16:50:45)
- 別冊コロコロに掲載されていたコミック版では、篠田がゴジラを追いかける理由に妻との死別(しかもイオも同じ病に罹る可能性があり)ゴジラの無限の生命力に着目した、それを踏まえての雄二とイオとの親子愛、宮坂が篠田に友情と憎しみが入り混じった感情を抱いているなど、良改変がなされている。イオが某機動戦艦のオペレーター(後の艦長)に似てるのは・・・まあ当時の流行りってことで。 -- 名無しさん (2017-11-29 22:56:07)
- オルガに噛みつかれたゴジラが痛そうにしてるの見てゴジラにも痛覚があるんやなって思った vsシリーズにはあんまり無かった気がする -- 名無しさん (2023-03-11 02:04:20)
- ↑痛覚ではないけどVSシリーズではキングギドラに首締められたり、メカゴジラのプラズマグレネイド受けて泡吹いてた。 -- 名無しさん (2023-04-22 18:38:55)
- 公開当時に映画館まで観に行ったが、合成技術の進歩は凄いと思いながら観てたな(特に、現実の景色にゴジラを嵌め込むような構図のクオリティが高かった)。 -- 名無しさん (2023-04-22 18:50:30)
- ゴジラが戦車や戦闘機を盛大に破壊するシーンを見たかった -- 名無しさん (2023-05-05 19:22:23)
- 岩塊を発見する深海調査艇のシーンは小道具、内部のコックピットはセット、深海のチムニーの森もすべて手作りの模様。 -- 名無しさん (2024-09-15 15:16:14)
- VHSでは東宝系列の新作ビデオとしてエンドオブデイズ(ナレは鈴木英一郎)、13ウォーリアーズ(石塚運昇)、のび太の太陽王伝説、ケイゾク/映画 beautiful dreamer、新作映画情報としてクロスファイアの予告の他、山寺宏一のナレによる怪獣王国・ゴジラ怪獣ワールドと題したキングギドラ、モスラ、メカゴジラ、ゴジラの紹介、次回作メガギラスの宣伝が収録。本編前のゴジラ怪獣ワールドは当時のちびっ子の楽しみだが、最初の予告のうち、4個はトラウマだった。これもガメラ3もビデオの予告がマジ怖かった。 -- 名無しさん (2024-09-18 20:20:46)
- 勤め先の本社が西新宿なので焼け野原になるのが観たくて久々に観たけど松重豊さん見つけられず。フルメタルミサイルの怒られ案件は勝手に実在の装甲車の上に合成したためで、実物大プロップが可動すると現場にいた自衛隊員からは拍手も出たとのこと -- 名無しさん (2024-12-24 22:47:23)
最終更新:2024年12月24日 22:47