伝説の頭 翔(漫画)

登録日:2012/03/27 Tue 21:58:33
更新日:2025/09/02 Tue 23:15:25
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伝説に、なりすませ。




『伝説の(ヘッド) 翔』とは、『週刊少年マガジン』で連載されていた漫画。

原作はの夏原武、作画は『破壊王ノリタカ!』の刃森尊。単行本は全11巻。


“概要”

ジャンルはいわゆる不良モノ。が、敵は不良だけではない場合も多い。

作画の刃森尊しはこの後、あまり変わり映えのしない『格闘料理人ムサシ』を経て肉の作画に目覚め、掲載誌を移して『ネイチャージモン』という天職を見つける事となる。

原作の夏原武氏は後に頭脳戦や騙し合いが売りの漫画『クロサギ』シリーズや『正直不動産』『カモのネギには毒があるなどで原案を担当し、実写化を果たすなど大ヒットを飛ばす。
『翔』と『クロサギ』を作品として両方知っている人は沢山いるだろうが、原作者が同じであることを知っている人は少なそうである。
一体彼に何があったのだろうか……
ちなみに夏原氏の本職はヤクザや悪徳商法を扱うライターであり、本人もヤクザのような顔をしている。

2024年7月に、何がどうしてこうなったのかテレビ朝日系列にて実写ドラマ化
TRICK』シリーズや『スカイハイ』、『特命係長 只野仁』シリーズ、『時効警察』シリーズ、『家政夫のミタゾノ』シリーズなど数々のトンチキなドラマを送り出してきた金曜ナイトドラマ枠で放送された。


“あらすじ”

高校生・山田達人は、「二酸化炭素」なるアダ名がつく程の空気キャラかついじめられっ子。
ある日中学生時代の同級生の娘に見栄を張ってついた嘘がバレ、噓つき呼ばわりされるわ、いつもいじめてくる天敵の不良にボコボコにされるわで自殺を考える事に……
だが、道を歩いていると突然飛び出したばかりにバイクにひかれそうな子供を見つける。
「同じ死ぬなら…命一つ助けられたら」と子供を助けるが達人は無事。バイクの運転手は子供をひくまいと自ら転倒したのだ。
その運転手は、『伝説の頭』と呼ばれる、不良グループグランドクロスのリーダー・伊集院“翔”だった。
彼を背負い病院まで運ぶ達人。意識の戻った翔からお礼を言われる。
と同時に、彼からとんでもない事を頼まれるのだった……

「俺と1ヶ月、人生交換してくれ」


“登場人物”

演者は実写ドラマ版より。
  • 山田達人
演:高橋文哉

主人公。特徴はあらすじの通り。
ちょっとディップを付けるだけで翔くんとそっくりになる不思議な体質の持ち主。
助けた翔に「このケンカ激戦区で俺が1ヶ月も欠ける訳にはいかない。俺の代わりをやってくれ」てな感じで人生交換を頼まれ、なんと数千人の不良チームの頭を任される事に。
という事で元々は不良じゃないはずだし、頭としての振る舞いも最初期はムリヤリ演技してた感アリアリだったが、
頭の代理を初めて割とすぐに真剣持った893の前に立ちふさがったり、いい加減な振る舞いをしたチームメンバーを殴って叱咤するなど、いつの間にか頭としての振る舞いがすごく自然体になってきている。
と、いうか上記のようにその場の勢いに任せた行動が非常に多い。
まあ、大抵助けが来たり“翔”すら惚れさせられなかった娘を惚れさせちゃったりなんなりと、結果的に上手く行っているのだが。
基本的に“翔”の代理人という事で作中ではほぼ喧嘩無敗……なイメージがあるが、実は結構倒せていない敵は多い。
最終話で舎弟が数人出来た。翔のようにチームでも作るのだろうか……

  • 伊集院翔
演:高橋文哉(二役)
数千人の不良チーム「グランドクロス」をまとめるリーダー。タイトルにもなっているが、主人公ではない。
大切な仲間の為ならどんな危険にも突っ込んで行く漢。もうすぐ退院できそうだろうが集中治療室におようがそれは変わらない。
その為かなりの人望があり、本気で声をかければ一万人以上集められるんだとか。また、昔は達人同様いじめられっ子だった。
基本的にずっと入院してる為に喧嘩シーンは無いが、最終話での他キャラ達の反応を見る限り恐らく作中最強。
彼の代理人を務めている達人にも受け継がれているが、彼の喧嘩戦法は力押しではなく死角を突いたり、相手の強さを利用したりといった頭を使ったタイプが多いようだ。
体格も達人と殆ど変わらないのでパワーで押す事ができないであろう彼なりに考えた手法であろう。

あと何故か『翔』の部分には必ず“”←これが付く(“翔”←こんな感じで)。

  • 大門伝介
演:菅生新樹

翔の右腕であり、「グランドクロス」のナンバー2。だが他チームの人間からの評価はイマイチ。東条(後述)とある程度タイマン張れるくらいに強いのだが……
達人が正体バレした時はチームで一番烈火の如く怒っていた上に『今は俺が頭だ』とか言っちゃった。
あくまで翔の頼みで代理していたのに……

  • ナオコ
演:井桁弘恵

翔の彼女で、レディース「紅」の頭。ドラマ版での名前は綾小路直子
気の強い女子高生であり、女性の中ではタイマン最強らしい。
「グランドクロス」の中で最初に達人の事に気付いた(翔にはあった耳の裏のホクロが達人には無かった)が、
達人には責める事なくちゃんと翔本人に責め、達人には「翔の代理人をしている間は私もあくまで本物として付き合う」と言った良い子。
翔が昔いじめられっ子だった事も知ってか、正体を知ってからは似たような境遇の達人の身を案じるシーンも多い。
また妹と弟がいるが、こちらは優等生。だが仲はとても良好。
父親も登場したが、典型的エリートおっさん。だが息子の夢を受け入れるなど、ガチガチの頭というわけではないようである。

  • 桜井
演:中川大輔

チームメンバーその1。ドラマ版での名前は桜井亮太
事件のきっかけメーカーでもあり、昔は万引きにカツアゲと荒れていたようだが、翔に諫められてからはある程度大人しくなった様子。
見た目も他メンバーに比べ、さほど不良には見えない。

  • 藤原
チームメンバーその2。
自称「遊びのマエストロ」。……が、その特徴は一度きりしか使われていない。

  • 丸川
演:駒木根葵汰

チームメンバーその3。ドラマ版での名前は丸川敦
リーゼントな髪型とは裏腹に弱気な嘘つきコウモリ。
彼のせいで達人と鳴門(後述)はタイマンする事になるが、無事解決後は達人の拳を振るった説教により、マシになった様子。

  • 黒田
演:田中偉登

チームメンバーその4。つるっパゲ。ドラマ版での名前は黒田剛志
惚れたお嬢様が「頭の良い人が好き」と言っていたのを聞いてしまった為、勉強(中の眠気覚まし)目的で頭に釘を打ち込んだ凄まじい奴。
ちなみに父親は元暴走族の頭。

  • 北田アツシ
チームメンバーその5。
不細工で頭も悪く、おまけに喧嘩もは弱い(度胸がないだけ)とかなりの雑魚キャラだが、痴漢されていたお嬢様を助けたり、その子を連れ去ろうとした天敵の不良に逃げずに立ち向かい撃破する漢。
漢らしさはお嬢様の堅物の父親にも認められ、多分公認の付き合いが続いている。

  • ムラさん
演:川瀬陽太

ベテラン警官。ドラマ版での名前は村田源治
不良少年の尊敬を集める穏やかな雰囲気の面倒見の良いおっさん。一人息子(不良)を事故で亡くしている。
上とは折り合いが合わず、ノンキャリアで陣内には役立たず扱いされていたが、彼を尊敬する警官も少なくない。

なお、ドラマ版では藤原と北田は登場せず、代わりに亀井礼音(演:簡秀吉)と小見田信造(演:石山順征)、塚尾貞治(演:三浦獠太)が登場する。


不良の敵キャラ達

  • 金山
演:犬飼貴丈

“狂犬”のアダ名が付く、本作最初のボスキャラ。ドラマ版での名前は金山大房
喧嘩初めてな達人を圧倒していたが、死角を突かれたり、必殺の右ストレートを喰らったりで敗北。

  • 瀬山大護
演:金城碧海(JO1)

「北総喧嘩隊」の頭。ドラマ版では所属チームの名前が「北総愚連隊」に変更されている。
ゴリラ。強いだけでハッキリ言って頭としての器はない。
その強さにしても達人の当たり損ないのような平手で顔面骨折するわ、東条には片手一本で止められるわと微妙。
弟の真二(ドラマ版では新二(演:池田匡志))がいる。

  • 東条真
演:カルマ

「ブラッドマフィア」の頭。
「翔の最大のライバル」と言われているが、最終話の翔の無双にビビっていた辺り、多分翔よりは下。

  • 神尾
演:濱正悟

ヤクザ見習い。ドラマ版での名前は神尾美鋭で、職業もクラブ「Santa Maria Club」の支配人を務める元ホストに変更されている。
JKに優しく声をかけ、巧みに惚れさせた後にAVに出演させるという悪事を繰り返していたが、
達人にやられそうになるわ、上司には「弱いモノいじめ(上記のような事)するバカはいらない」と一撃で殴り飛ばされ、アゴを複雑骨折等散々な目に。

  • 鳴門
「人間凶器」。キックボクシングに精通するマッチョ。
過去の出来事から翔に恨みを持ち、丸川を使って達人に喧嘩を売るが、巨漢故のスタミナ切れ戦法を取られたり、押し潰そうとした達人に鳩尾への(自身の体重104キロがかかった)カウンターを喰らった末、
「二度と逃げない」との決意を込めた達人の右ストレートを喰らい、初敗北した。

  • 藤岡
名前も見た目もどう見てもヒロシです…。ありがとうございました。
翔のマブダチであり、達人の正体に気付いた一人。

  • 伊原
元グランドクロスの特攻隊長。
勘違いから翔を逆恨みしており、達人に喧嘩を売り追い詰めるが、ホームレスのおっさん(元ヘッド)の一撃で沈む。
もちろん和解したが、何故かその後3コマしか出番が……

  • キヨト
演:藤原大祐

ホリエモンに似たガキ。
ドラマ版での名前は佐々木聖人で、こちらではアイドルグループ「古くさい街角のスケ番ズ」のスポンサーを務めるのみならず、松浪の代わりに実質的なラスボスの立場に。
どういう訳か不良をまとめかけて達人に挑むが、結局翔を裏切れないとした不良達に寝返られ、そのままフェードアウト。

  • 松浪
ラスボス的位置。
位置だけあって達人には負けなかったが、駆けつけた翔のキツい一撃を喰らってほぼ敗北。


不良じゃない敵キャラ

  • 陣内
演:平野綾

警察庁少年課のナイスバディなエリート女性刑事。ドラマ版での名前は陣内響美
お決まりの如く高飛車&嫌味な性格でムラさんを邪魔者扱いしていたが、事件解決の為に自ら手がかりを探しに行ったり、犯人に捕まった時は「自分に構わず撃て」と部下に命じたりと、警官としてのプライドもある様子。

  • 竹澤
市議会議長の選挙に立候補した議員。だが親の七光りな感じであり、自分の公約の為なら支持者の子供を見殺しにしようとする外道。
父親は大物政治家だが、息子と違ってちゃんと筋を通せる人。

  • 青山
教師。黒田をテスト盗みの犯人に仕立て上げてグランドクロスを潰そうとした。
が、真犯人のエリート君が自首した為に裏目に。達人には殴られ、校長にはクビを宣告されるという散々な目に。


その他

  • 鮫洲
演:髙橋里恩

達人の天敵。ドラマ版での名前は鮫洲深雄
だが、達人が翔の代理を始めてからはロクな目に合わず、最終話でも達人に喧嘩を売るが、なんとワンパンで失神。

  • 藤谷彩
演:関水渚

あらすじの同級生の娘。ある意味達人の人生を変えた子。
達人の正体には薄々感づいている様子。

  • リエ
ミニパトの姉ちゃん。翔に惚れている。ほぼ必ず後輩とセットで登場。

  • アヤ
紛らわしいが、上記の藤谷彩とは別人。
クールを装っているが、狂犬(金山じゃない)すらなつく程の優しい子。
不良を「ガキ」と毛嫌いしていたが、自分を助けた達人に惚れた様子。


“評価”

どうもこの作者の漫画は勢いと画力が全てであり、色々とツッコミどころが多い。
もちろんこの作品も例外ではなく、急患の救急車が何故か渋滞に巻き込まれていたり、喧嘩真っ最中に携帯で翔と話したりとネタに事欠かない。
が、そういったツッコミどころを気にしなければテンポは良い良作である……と思う。



簡単だ…“追記・修正”は本当は“簡単”なんだ! ウワサがウワサを呼んで出来た伝説なんだ!

ヤロォ!

ガクッ


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最終更新:2025年09月02日 23:15