十四年式拳銃

登録日:2011/07/03(日) 10:00:40
更新日:2025/06/03 Tue 01:35:51
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カタログデータ
口径 8mm×21
使用弾薬 8mm南部弾
銃身長 120mm
全長 230mm
重量 890g
装弾数 8+1発
銃口初速 325m/s
有効(最大)射程 50m(1600m)
製造 南部銃製造所(日本

日本陸軍の南部麒次郎が退役後に設立した「南部銃製造所」で開発された拳銃
南部麒次郎が以前に開発した南部式自動拳銃をベースに、問題点であった高コストと耐久性を解決する為に構造の簡略化と基本システムや外観が変更された。
三八式歩兵銃と並んで旧日本軍を代表する存在である。



○どんな銃?(1)
ハンマーの無いストライカー式。弾薬の雷管を叩く撃針(ファイアリングピン)に強いバネを付けた構造。ハンマーを付けるより構造が簡単で命中精度も高い。
グリップも小さく出来るので手が小さい日本人でも握りやすい。引鉄のキレも良いそうだ。

安全装置は銃左側面についており180度回転し、レバーを前側に倒せば解除、射手方向に倒せば作動する。右手で触れないので不便と言えば不便。
作動はショートリコイルで、反動によって銃身とボルトがわずかに後退すると、内部のロッキングブロックが揺動することでロックが解かれ、ボルトだけが後退するしくみ。
外見はルガーP08、機構はマウザーC96に近く、拳銃開発で先行していた欧州製品を参考にした跡が窺える。
参考というかパクリ?



○どんな銃?(2)
ストライカー式ならではの大きな問題点もある。
スライドを引いて薬室に弾薬を入れた後は、バネは撃針を弾こうと身構えている状態なのである。
安全装置がかかっていてもぶつけたり、落としたりした衝撃で暴発はあり得る。
そもそもストライカー式の信頼性が…

射撃中は弾倉の固定が甘く振動で「ぽろり」することも。改良したものの、弾倉を抜くには更に力がいるようになった。

ホールドオープン機能も弾倉内部の底部にある板(マガジンフォロワー)が直接ボルトに絡むことでくぱぁするので弾倉が抜きにくい。
くぱぁ状態で弾倉を引き抜くとボルトも前進してしまう為、弾倉を交換したら改めてボルトを引いて初弾を装填しなくてはいけない。



○どんな銃?(3)
8mmの中途半端な弾の初活力は9mmの350 ft-lbsに対し半分強の190 ft-lbs程度と言われている。

トリガーガードは初期型ではただの○で手袋をすると指が入らない。つまり清楚なまんまんよりきついということ。
(当時の日本兵が手袋を二枚重ねにしたなど開発時に想定されていなかったことをした、というのもある)

昭和13年以降に製造された物は改良され大きくなっている。
その他にも何度か改良が施されており、旧型でも工場に持っていけば改良してくれるのだが、改造費は自己負担で殆ど実施されなかった。



○敗戦後
武装解除により連合国側へ押収されたが、治安維持の為に返還を要請した。その為1946年から一部が警察への支給品として返還され、1948年まで使われた。
東南アジアや中国大陸では独立戦争や国共内戦で他の銃火器と共に使用され、朝鮮戦争では朝鮮人民軍の将校用拳銃として使用されていた。

機構・性能ともに当時の自動式拳銃としては一般的(必要最低限?)なもので、南部麒次郎も回想録で「この拳銃には特に誇張すべきことはない」と述べている。




○登場作品

他にも旧軍を題材にした作品なら登場するかも。時代も古く性能も光るものがないのでメディアへの露出は多くない銃である。



○普通の画像と補足

よく南部十四年式拳銃と呼ばれるが、南部麒次郎自身は開発に加わっておらず、アメリカ軍の誤解含みの名前広まったもので制式名はあくまでも十四年式拳銃である。

トリガーガードが狭い物は初期型、広くなった物を後期型と呼ぶ。資料によってはさらに「末期型」という分類もある。
末期型は「遊底の作りが雑」「グリップの作りが雑」ということらしい。

後期型(画像募集中)
末期型(〃)
確かに|=|=|と[ ]では違う気もする。では上の「普通の画像」は末期型で軍服娘のは後期型なのだろうか。(グリップ云々は不明だが)


追記・修正よろしくお願いします。

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最終更新:2025年06月03日 01:35