FN Five-seveN

登録日:2011/02/24(木) 09:40:33
更新日:2025/07/09 Wed 20:19:21
所要時間:約 5 分で読めます




性能

全長:208mm
重量:635g
口径:5.7×28mm
使用銃弾:SS90/SS190
装弾数:20+1(10/30発弾倉も存在)
銃口初速:690m/s
作動方式:銃身遊動遅延ブローバック



概要

FN Five-seveNは、専用弾薬の5.7×28mm弾を用いるFN社製自動拳銃
同社のP90と弾薬の共用が可能となっている。*1
2000年に発表され、PDW用弾薬を撃て、スライド外装にまでポリマーフレームを採用した点で既存の拳銃とは趣が異なる。
名称は5.7mm弾を使用することと、社名のF、Nに由来する。



特徴

銃弾

PDW(個人防衛火器)用途である5.7×28mm弾は拳銃弾の比にならないほど対ボディアーマー性能に優れる。拳銃からなので銃身長のデバフこそあれど初速は100m/s未満の低下で済んでおり、P90に劣らぬ威力が期待できる。
さらに拳銃弾の2/3程度の直径によりマガジン容量がデフォルトで20発とかなり多い。
しかし弾自体が前後に長いため、グリップが前後に太くなるという難点も存在。

デザイン

人間工学に基づいたデザインにより、グリップの長さをあまり感じさせない形状で存外握りやすい。
初期型はトリガーガードがピーナッツ型になっており注目を浴びた。
プラスチックはフレーム、スライド全体を覆っており、発砲などによる熱の変化を銃手に伝えない。
最初期のみストライカー式だったが、後に要望をうけて内部ハンマー式のモデルが標準となった。どっちも外面はほぼ同じなので素人目からは判別がつかないが。
セイフティは右手人差し指で操作するようになっておりこちらも独特。
内部も最新拳銃を意識し、分解のしやすさなど配慮されている。
2013年にはスライドとアイアンサイトのデザインを変更し、各レバー類を黒くしたMk2が発表。
そして2022年には改良のほかドットサイトにも対応したMk3 MRDが発表されている。

反動

P90は9x19mm短機関銃と比べても反動が小さくてマイルドなのだが、こちらはガツンと来る。小さい点には変わりはないが少々難点といえるだろう。



現状

弾がボディーアーマー特効といえるため、当初はイギリスのSASやベルギー空軍パイロットなど政府機関や軍隊向けの販売だった。
2005年により貫通力を落としたSS196SR弾*2とともに民間モデルが発表された。
採用した機関が少ない為、銃、弾ともにコスト面で難がある。
弾のNATO弾入りなどを経てやっと比較的安めなものが販売されたが、それまではFNとその子会社からしか供給されなかったためかなり高かった。
銃本体も高い。スタームルガーやケルテック社らのサードパーティーモデルが出始めているが、以前高級路線で行くようだ。
リコイル自体は小さいもののマズルフラッシュが大きいので、競技用銃としての適性も少し劣る。
弾とともに今後の普及が楽しみな銃といえるかもしれない。



フィクション



エアガンでは現在、東京マルイとマルシン工業、そしてサイバーガンよりガスブローバックでモデルアップされている。
外観上の大きな違いとして、マルイは公的機関仕様である固定式の背の低い照準器、他2社は民間仕様のフルアジャスタブル式照準器を採用している。

マルイ製はマルイ製らしく良く飛び良く当たり、同社のデザートイーグルに次ぐリコイルの強さを有している。マガジンも他と比べてかなり冷えに強いと文句なし。
通常のマガジンポーチに納められないのが欠点と言えば欠点か。
実物の外装が金属製でないため、見た目や手触りもほぼ瓜二つと言っていいだろう。
刻印は架空のものとなっているため、気になるなら社外品のリアル刻印外装に換えてしまうとよいだろう。

マルシン製はマルイ製に先駆けて発売された通常型と、2014年に発売された炭酸ガスボンベ内蔵型「EXB2」の2種類が存在する。
通常型は使用弾で6mmBB弾と同社の伝家の宝刀・8mmBB弾の2仕様、材質でABS樹脂とヘビーウェイト樹脂の2仕様、計4仕様が発売されていた。
実射性能や装弾数(薬莢不要のエアガンでは珍しく、実物より少ない)ではマルイに譲るが、重量感ではこちらが上。
(実は両者とも実物より重かったりするが…)
通常型生産終了後に発売されたEXB2モデルは装弾数や実射性能も改善されたうえに、トップクラスのリコイルの強さと氷点下でも正常に作動する異次元の耐寒性を誇る。
サプレッサー装着の可否、ブローバック機構のセッティング(反動重視とスピード重視の2仕様)、成型色によるバリエーション展開が存在する。
FN社との正式契約によって実物と同じ刻印が再現されているのも見逃せない。
しかし、高圧ガスを用いるために競技のルールによっては使用できないことが多々あり、
不正改造防止処置が厳重に行われているためにユーザレベルでのマガジン修理が不可能と一長一短である。
ガスカートリッジを使いきるまで外せないこと、ガス代が1発当たり1円と高価であることも欠点として挙げられるが、
後者は炭酸ガスは代替フロンよりも温室効果が極めて低い*3上に工業分野等に広く利用されていることから、将来的には温室効果ガス規制の進行によって代替フロンの単価が上昇し、他モデルとの差は埋まっていくものと予測される。

サイバーガン*4製はマルシン製通常型・6mmBB弾仕様のコピー品と見られるが、各刻印の字体はより実物に近くなっている。生産元は台湾にあること以外は不明。

6mmBBである以上バレル径が実銃より太くなるのはご愛敬だが、インナーバレルがほぼそのままなので比較的リアリティを感じられるかもしれない。
また、どのメーカーのモデルも各樹脂パーツのパーティングライン、ゲート跡が一切処理されず堂々と残っているが、これは実物どおりである。
その点でも実銃らしさの高いモデルとして人気があるといえる。




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最終更新:2025年07月09日 20:19

*1 同様のコンセプトを持つH&K社のP46(MP7と弾を共用可能)があるが、こちらはMP7が十分拳銃的運用が可能なので開発が凍結された

*2 ブレイディキャンペーンの一環として民間用通常弾のSS192が槍玉に挙がったことから開発された

*3 HFC134Aの1/1300、HFC152Aの1/140

*4 同社は生産設備を持たない販売代理店であり、マルシン製EXB2モデルも日本国外ではサイバーガン名義で販売されている