コソボ

登録日:2010/12/10(金) 20:57:59
更新日:2025/02/09 Sun 22:16:30
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コッソッボッ

仮面ライダーOOOに登場する植物系コンボ












ではない。

コソボとはヨーロッパ・バルカン半島に位置する地域。

かつてはセルビアの領土だったが、オスマン・トルコ帝国の支配下でアルバニア人が多数移住した事により現在アルバニア人の割合は90パーセントに迫る。
そんなコソボは1982年からセルビア人が主導権を握るユーゴスラビアからの独立を目指すが、ユーゴスラビア側はこれを拒否。
1998年にはコソボ紛争が発生し、多数の死傷者が出た。
しかしコソボ側は諦めず、2008年に正式に独立を宣言。
この独立を認めるか否かで世界が真っ二つに割れている…


【各国の反応】


◇コソボの独立を認めている国

下記の98ヵ国+台湾、マルタ騎士団、クック諸島、ニウエ

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  • アジア
    • アフガニスタン
    • アラブ首長国連邦
    • イエメン
    • イスラエル
    • オマーン
    • カタール
    • 韓国
    • クウェート
    • サウジアラビア
    • シンガポール
    • タイ
    • 台湾(但しコソボ側は国交樹立を拒否)
    • 日本
    • バーレーン
    • パキスタン
    • バングラデシュ
    • 東ティモール
    • ブルネイ
    • マレーシア
    • モルジブ
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  • アフリカ
    • ウガンダ
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  • オセアニア
    • オーストラリア
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    • クック諸島
    • サモア
    • ツバル
    • トンガ
    • ニウエ
    • ニュージーランド
    • バヌアツ
    • フィジー
    • マーシャル諸島
    • ミクロネシア連邦

◇コソボの独立を認めていない国

代表的な国家を例として示す

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  • アジア
    • 中国
    • イラン
    • インド
    • インドネシア
    • フィリピン
    • ブータン
  • アフリカ
  • ヨーロッパ
    • セルビア
    • ギリシャ
    • スペイン
    • バチカン
    • ロシア
    • ルーマニア
  • 南北アメリカ・オセアニア
    • メキシコ
    • アルゼンチン
    • ブラジル
    • ベネズエラ
    • キューバ
…等


コソボを認めない国々は国内に分裂・独立問題を抱えているケースが多いが、親セルビア政策を取るロシアと親しい国も多い。
また、カリブ海やアフリカ、太平洋を中心に「一度は国交を持っていたが後に取り消し」という国も増え、サントメ•プリンシペのように「最初から承認をしたことが無いのに国交を持ってる扱いにされた」国やギニアビサウのように「承認を撤回したけどやっぱり無しで」と立場が二転三転する国、オマーンのように「時期によってコソボ側が承認を受けたり受けてなかったりしてる」と言う不可思議な状態が続く国もある。
いずれにせよ190ヵ国以上の国々でこれだけ立場が割れている以上、コソボの国際社会への参加はまだまだ先の事になるだろう。

現にコソボは国連やEUはおろか、赤十字にすら加盟出来ず、
ミス・ユニバース等の国際コンテストに出場するか国際オリンピック委員会など一部のスポーツ協会に加盟するにとどまっている。

【歴史】

古代にはイリュリア人やトラキア人といった人々が住んでいたと思われる。このうちイリュリア人はアルバニア人の祖先とされる。その後ローマ帝国の支配下に下った。
ローマ帝国の衰退後には北方からスラヴ人やブルガール人といった民族が移住、後のセルビア人やブルガリア人の祖先となった。

その後この地はセルビア人の諸侯が群雄割拠する状態となったが、1171年にステファン・ネマニャという人物がこれらを統一し「セルビア王国」を建国した。この建国に際しコソボの地が中心となったことから、現在までセルビア人にとってコソボは「建国の地」であるとみなされている。

セルビア王国は拡大を続け、9代目の王は皇帝を称するまでになったが、間もなくオスマン帝国の侵入もあり衰退、王朝が断絶し解体してしまう。新たにラザル・フレベリャノヴィチという人物がまとめ上げたが、オスマン軍とコソボで戦い敗北(コソボの戦い)、更にここでセルビア人貴族が当時のオスマン皇帝を殺してしまったため、新皇帝により捕虜となっていたラザルや他のセルビア人貴族もまとめて殺されてしまった。

日本で例えるなら、近畿地方を中心に政府ができて列島中を席巻したが、その後戦国時代になり天皇家も断絶し、更に大国が侵入してきて近畿で戦いが行われ、将軍を捕虜にとられた上殺されたようなものである。

ここにセルビアはオスマン帝国に征服され、その後500年に渡りその支配下に置かれることとなった。
その後17世紀末から18世紀にかけて、オスマン帝国によるセルビア人への締め付けから逃れる形で、多くのセルビア人がコソボを脱出し北の方へと逃れていった。こうして人口が急減したコソボに、上述のように西からアルバニア人が多数移住してきた。これによりコソボはその人口の殆どをアルバニア人が占めるようになった。

先程の日本の例えなら、日本を支配する大国の迫害から逃れるため近畿地方から多くの人が移住し、そこに別の民族が大勢やってきて移り住んだといった形になるだろうか。

このため、コソボはセルビア人にとっては「建国の地であり祖国が失われる戦いが起きた地でもあるのに、別の民族が移住してきてわが物としてしまった」という認識であり、それがコソボ問題を単なる民族問題では済ませられないややこしい問題にしている原因の一つとなっている。

19世紀後半になりオスマン帝国が衰退すると、セルビアは新たな王の元独立、コソボを含めたアルバニア人も独立運動を展開するようになる。そして1912年にアルバニアが独立すると、コソボはアルバニア領となるはずだったが、列強を含めた各国の利害が衝突した結果、コソボはセルビア領となる。
二度の世界大戦を経て、チトー元帥による「ユーゴスラヴィア連邦人民共和国*1」が建国されると、コソボはセルビア領内の「コソボ・メヒトヤ自治州」となり、アルバニア人による自治が認められた。更に自治拡大運動により自治権が次第に拡大されていったが、これはセルビア人にとって苛立ちをつのらせる結果となった。

冷戦が終結し東欧が民主化する中で、ユーゴスラヴィアでは各共和国での民族運動が激化、スロベニア、クロアチア、ボスニアが多くの血を流しながらも独立する中、自治権が縮小され抑圧されたコソボでも次第に独立運動が激化し、1998年には大規模な武力衝突に発展、コソボ紛争が勃発した。
翌1999年にはNATO軍による空爆が行われ*2、ユーゴ軍が撤退、国連による暫定統治機構が設置された。
ボスニア紛争でも発生したことだが、セルビア人側とアルバニア人側の双方において、相手側の人々の殺害や拉致、聖堂の破壊といった事象が発生しており、とりわけ紛争後はアルバニア人主体の政府となったことで多くのセルビア人がコソボ外へと脱出している。

そして2008年2月17日に独立を宣言。
更に2022年12月にはEUへの加盟を正式に申請した。

【余談】


独立したはいいが独自の通貨を発行しておらず、ユーロを使用。
GDPは2020年を除いて独立以来成長を続けているが、失業率は3割程度と高い。
法整備は独立当初は不十分とされたが、次第に改善されてきている。ただし汚職は大きな問題となっている。

独立を主導したサチ元首相は後に大統領にもなったが、コソボ紛争で臓器売買などの疑いをかけられ、2020年には特別法廷に起訴され、大統領を辞任、特別法廷に移送された。

尚、2011年に発生した東日本大震災では支援を行っている。


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最終更新:2025年02月09日 22:16

*1 1963年に「ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国」に改称

*2 これ以前のボスニア独立をめぐる紛争においても、ユーゴ側が支援するセルビア人勢力に対してNATO軍が空爆を行っている。