花の魔法使いマリーベル

登録日:2011/05/13(金) 16:24:50
更新日:2024/05/13 Mon 12:49:58
所要時間:約 9 分で読めます





概要

花の魔法使いマリーベルは、1992年2月3日~1993年1月18日にテレビ東京系列・テレビせとうちで放送された、少女向けの魔法少女アニメである。アニメーション制作は葦プロダクション。
テーマは「人間と自然との共存に大切なのは、夢を信じる純粋な心」

それまでの魔法少女アニメが視聴者である少女の変身願望を体現する存在だったのに対し、
本作では主人公のマリーベルが、視聴者の子供たちにとっての「等身大の友だち」「よき相談相手」といった、
いわば「ドラえもん」と同等の存在としてアウトサイダー的立ち位置で描かれているのが大きな特徴となっている。
主人公が、周囲を取り巻く子供たちや街の大人たちが直面する問題に介入し魔法の力で解決するというプロットが本作の大きな特徴であり、
そこに「人と自然の共生」という大きなテーマを絡めつつ前面に押し出しすぎることなく、マリーベルと子供たちのほのぼのとした日常を描くとともに、
日常の隣に存在する不思議な世界との交流を通じてテーマを描き出すという構成となっている。

ちなみに前番組は男児向けロボットアニメゲッターロボ號」。
前々番組が「アイドル天使ようこそようこ」だと考えると女児向けの回帰といえるが……。


◇ストーリー


サニーベルの街に住む幼い姉弟ユーリとケンは、お隣のローズおばあちゃんから借りた魔法使いの登場する童話絵本「マリーベルの絵本」が大好き。
両親の経営する花屋に客が来ないことに胸を痛めていた2人が「魔法使いのマリーベルがいてくれたらなあ」と呟いた時、
2人の足元に咲いた一輪の不思議な花の中からマリーベルと名乗る少女が相棒の妖精タンバリンと共に現れた。
彼女は自らを「花魔法界からやってきた花の魔法使い」と名乗り、たちまちユーリたちの願いを魔法で叶えてしまった。

その後、サニーベルに定住したマリーベルは、ユーリたち街の子供たちや大人たちと仲良く楽しく暮らしながら、魔法の力で人々に夢と笑顔の花を咲かせていく。


◇登場人物


  • マリーベル
本作の主人公。草花や木・妖精たちが住む異世界・花魔法界からやって来た魔法使いの少女。肩書きは「花の魔法使い」。
本名:マリーベル・フォン・デカッセ。人間年齢換算5歳。実年齢は後述。

草花や木、自然界の住人たちを心から愛する優しい性格で、朗らかで社交的。
特に、魔法や妖精といった存在を信じる人達に対してとても友好的に接するが、妖精や自然の存在を脅かす人間には怒りを露にし、時に手厳しくおしおきも食らわす。
とはいえ、たとえ悪さを働く相手であっても、それが心の迷いや悩みから来た行為であれば快く許し、
その人の悩みを解決するために救いの手を差し伸べる思いやりと、妖精や魔法の存在を否定し自分を疎んじる相手をも笑顔で受け入れる心の広さを併せ持っている。
子供の心を理解しようとしない身勝手な大人に対し感情を露にして本気で怒るなど、5歳児らしかぬ大人びた一面もある。

一方で、年相応の子供らしく活動的かつおてんばな一面もあり、ユーリやケンと連れ立って無邪気に遊ぶ様はさすが5歳児……と思いきや、
こう見えて実年齢50万歳のロリバ(ry である。
5歳児らしかぬ大人びた精神性と5歳児らしい幼児性が同居したキャラクター性はさすが50万歳といったところか。
よっぽど不器用なようで、それだけ長命にも拘らず家事全般が苦手。特に料理の腕前は壊滅的な有様。他にも寝坊癖が直らなかったりと、プライベートは少々だらしない。

  • タンバリン
マリーベルの相棒の妖精。
シーリーコート(よい妖精の総称)に属するパンジーの妖精で、赤ん坊だった頃のマリーベルと共生の契約を結んで以来、50万年間、マリーベルと寝食を共にしてきたかけがえのない相棒である。
家事全般が苦手な彼女に代わり、家の仕事の一切を任されており、常日頃だらしないマリーベルに辟易している。
口やかましい上に口が悪くてデリカシーに欠ける嫌いがありマリーベルとしょっちゅうケンカしているものの、責任感は強く赤ん坊の頃から共に育ってきた彼女の身を常に案じている

魔法使いと相棒の妖精は一心同体的存在であり、花魔法は彼の協力なしでは使用することができない。
普段はマリーベルの魔法道具マリーベル・タンバリンの中を住処としているが、マリーベルの髪の中に隠れていることがもっぱら。

  • ユーリ
サニーベルに新しく開店した花屋『フラワーショップ・マリーベル』の経営者夫妻の娘で、ケンの姉。8歳。読書好きで、面倒見の良いしっかり者。
おっとりとした優しい性格で、動植物や、幻想世界の住人達にも物怖じすることなく接し、時に親とはぐれた動物たちの母親代わりとして母性を発揮する。
年頃の女の子らしく、素敵な王子様との出会いを夢見るロマンチストな一面も持っている。

弟ケンと共にローズおばあちゃんから借りた『マリーベルの絵本』が大好きで、常に片時も離さずに一緒に読みふけっていたことがマリーベルと出会うきっかけとなった・

  • ケン
お花屋さんの子供で、ユーリの弟。5歳。
ユーリと比べると少々引っ込み思案で、怖がりかつ臆病なところもあるが、いざという時には勇気を振り絞って目の前の出来事にぶつかっていく根性も持ち合わせている。また、姉同様、目に見えない不思議な存在に対する興味や好奇心が旺盛。
ローズおばあちゃんの飼い犬リボンと大の仲良しで、それとなく意思疎通を図ることができたりする。

  • ボンゴ
大柄な少年で、実家はパン屋を営んでいる。何かと惚れっぽい。
ガキ大将的な見た目だがジャイアンのような粗暴な性格ではなく、気が強くてわがままなビビアンに押されている方。
母親思いの一面もある

  • タップ
ボンゴの相棒で、帽子がトレードマーク。クールな性格で、ボンゴの突っ込み役。
レギュラーキャラの子供たちの中では唯一、家族構成や家庭環境が明らかでなく、彼個人をメインに据えたエピソードも作られていない。

  • ビビアン
バートの孫娘。
わがままな性格のトラブルメーカーで、ボンゴとタップを率いて揉め事ばかりを起こしているが、仕事の忙しい両親とめったに会えない寂しさ故でもあり根は純粋で優しい。
祖父バートの影響もあってマリーベルと距離を置き、妖精の存在を頑なに否定していたが、
不思議な出来事の実体験を通じてマリーベルに心を開いていき、憎まれ口を叩きつつ行動を共にするようになる。
内心では子供らしく夢見る心も持っており、不思議なものへ憧れる気持ちを素直に表へ出すようにもなっていく。

  • ローズ
ユーリ達一家の花屋の隣に住む独身の老女。庭いじりが大好きで、立派なバラの庭園を持っている。
穏やか勝つ優しい性格の女性で滅多なことでは怒らないため、ローズおばあちゃんの愛称で子供たちから親しまれており、お茶会に招いたりするなどして子供たちを常に温かなまなざしで見守っている。
老いてなお夢見る心を失わない純粋な心の持ち主で小さい頃から絵本を読みふけってマリーベルにあこがれており、
ユーリたちに「マリーベルの絵本」を貸したことで遅まきながらも夢がかない、憧れのマリーベルと親交を結ぶこととなった。
ビビアンの祖父バートとは幼馴染の間柄であるが、子どもの心を理解しようとせず怒鳴り散らしてばかりの彼に嘆息している。

  • バート
ビビアンの祖父。かなり気難しい性格の人間嫌いかつ子供嫌いで、幼い頃のトラウマから草花や木も大嫌い。なおかつ、妖精などの空想の存在を一切信用しない、頑固なまでの現実主義者である。
ビビアンを甘やかしたためにわがままな性格にしてしまった挙句、常に怒鳴り散らしてビビアンからも恐れられているなど、
ビビアンの性格形成に悪い意味で影響を与えてしまっている元凶でもある。
マリーベルのおかげで花嫌い自体は治ったものの、植物に対する邪険な態度を頑ななまでに変えようとしなかった。
最終的に、最終3話の大事件を解決すべく立ち上がったマリーベルの言葉を聞いて心境の変化を自覚するようになり、これまでの考えを改めるようになった。

  • ジート
バートの甥。28歳の独身で、妖精ハンター。
根っからの悪役の存在しないマリーベルにおける数少ない悪役ポジションのキャラで、
魔法使いや妖精などの未知の存在を脅かす悪者として数度にわたり、マリーベルたちと対立した。

幼い頃妖精に助けられた体験談を信じてもらえず嘘つき呼ばわりされたため、妖精を捕まえてその存在を証明することに執着している。
根底には「人間の目に見えない存在を知ってほしい」という純粋な思いがあり、根は悪人ではない(マリーベル自身も悪人じゃないのでは、と思っている)のだが、
目的に固執するあまり利己的な発想がこびりついていることを全く自覚できていない上、
手段は強引を通り越してどれも犯罪レベルの行動ばかりである(家宅侵入、盗撮、脅迫、窃盗未遂等)。
マリーベルに初めて会うなり「妖精を金に換える」という下劣な発言してしまったために怒りを買い、
度々妖精狩りを邪魔され、おしおきを食らわされたにも懲りず、彼女の相棒であるタンバリンや、
魔法使いであるマリーベル自身をも付け狙って度々騒動を巻き起こす問題人物。

後に、恩師シェルボー教授の企みを知ってショックを受け、再会したトウモロコシ畑の妖精に過ちを諭され改心した。
以後、純粋に妖精の存在を信じる大人の1人としてマリーベルと子供たちの良き友となる。

  • ブラ&ノッポ
コメディリリーフ担当の警官コンビ。メガネがブラで、やせ形がノッポ。
マリーベルが魔法を使って巻き起こした超現象の一端をブラが毎度のように目撃し、ノッポに早く気づけとせっつくものの気づいた時には既に手遅れで、
度々ノッポに呆れられたり病気扱いされたり……というやり取りが毎回のお約束である。


◇主題歌

  • きっと出来るね!(OP)
90年代頃のアニメらしく、主人公の名前やアニメ本編のキーワードは歌詞に盛り込まれていないが、
サビで繰り返し歌われる「きっとできる、できるはずよ」というフレーズで作品の持つ明るく前向きなカラーを体現した、
子供向けアニメの主題歌らしい元気でポジティヴなナンバーとなっている。
歌唱は中嶋美智代で、彼女の5枚目のシングル「思い出にもなれない」のカップリング曲として収録されている。

  • 思い出にもなれない(前期ED)
片思いの相手に告白する勇気を持てないまま卒業式を迎えて離れ離れになってしまう女の子の物憂い気持ちを歌った、切ないバラード。
歌の内容そのものは本編とは全く関係ないが、劇中ではほぼ見ることのできない、切なく物憂げな表情を見せていくED映像のマリーベルが印象的。
中嶋美智代の5枚目のシングルの表題曲(カップリングは上述の「きっと出来るね!」)。

  • 思われている(後期ED)
第30話から最終話にかけての新規ED曲。
迷い悩む人によりそい、背中を静かに後押ししてくれるような、前向きなメッセージソング。
中嶋美智代の7枚目のシングルの表題曲で、中嶋美智代の楽曲では前者の「思い出にもなれない」、「ひなげし」、「泣いていいよ」と並んで人気が高い(個人名義のアルバムが出る度にこれらの4曲が収録の常連となっていた程)。

  • 私!マリーベル(劇場版OP)
劇場版「フェニックスのかぎ」のOP。歌唱はマリーベルを演じた本多知恵子。
第1話でマリーベルが初登場するシーンで使われ、その後もエピソードの締めのシーンや次回予告でも使われているBGMに歌詞を載せたもの。
悩める人々に温かく手を差し伸べ、頑なな心を開かせていくマリーベルの優しさが歌詞にこめられており、
歌詞中に主人公の名前が入っているところは往年のアニソンらしさに溢れている。
原曲のBGM自体の使用頻度もあいまって、作品そのものの実質的なテーマ曲とも言える歌である。
劇場版公開の後に放映されたTV版第45話の終盤で挿入曲としても使用された。

  • とっても素敵!マリーベル(劇場版ED)
第1話の挿入歌及び最終回の終盤のエンディングBGM、劇場版のエンディングテーマとして使われた。歌唱は上記と同じく本多知恵子。
番外編として制作された教育用ビデオ「マリーベルの交通安全」「マリーベルの火の用心」では、
内容に合わせた替え歌でマリーベルと子供たちが歌っているという体裁で、メインキャスト(マリーベル、ユーリ、ケン)のコーラスとなっている



「マリーベルの花魔法~。追記・修正宜しくね♪」

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