登録日:2012/06/14 Thu 04:20:42
更新日:2025/09/22 Mon 14:47:16
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時間の前にあっては愛も!正義も!友情さえも!
全ての言葉が空虚な亡骸となる!!
その時間を自在に操れるこのオレたちこそ
宇宙最強の超人を名乗る資格があるってことよ~っ!!
世界五大厄とは漫画『
キン肉マンⅡ世』の【究極の超人タッグ編】に登場する悪行・時間超人達のタッグチームである。
チームの名称は
地震・火事・疫病・戦争に匹敵する5番目の災厄という意味。
【概要】
そもそも時間超人とは、II世の時代(【悪魔の種子編】が終わった頃)よりも遥か未来の時間に存在する超人の種族である。
厳密には残虐超人から派生した種族で、頭の魔時角を折る事で“時間を超える”という稀有な能力を持った超人である。
だが、始祖ホーラ・アヴェニールにより戒律を結ばれ、(大々的に)悪用されることは無かった。
しかし悪用を図った二人の優れた時間超人が国民1500人を僅か3時間で滅ぼしてしまう。
さらに自分達が天下をとるため、有力な超人を消すのに都合のいい【宇宙超人タッグトーナメント編】決勝戦終了後の時間に向かった。
この二人が“世界五大厄”のライトニングとサンダーである。
【メンバー】
◇ライトニング
所属:残虐超人/悪行・時間超人
身長:221cm
体重:186kg
出身:アヴェニール星(エントリー国はなし)
超人強度:2400万パワー
“世界五大厄”のチームリーダーを務める時間超人。
笑い声は「ジョワジョワ」。
当初は首が繋がった
オーバーボディを纏っていた。
真の姿は痩せた色白の悪魔の様な姿で、サンダーに
キラーエリート
となった姿と言われていた。
当初は下半身はビキニ着用だったが、途中からタイツに変更。
さらに決勝戦前に目つきがより鋭く変化する等、よく外見が変わる。
実力そのものも悪行超人でトップクラスだが、相手を苦しめるためには裏工作も辞さない。
- 『ジ・アドレナリンズ』と戦う際に、不忍池を舞台に選択。
- さらにケビンが拘束されたクリアベッドを衝撃に弱い結び方で天井から吊るし、ロビンとキッドに全力を出しにくい様に舞台を演出。
- 『新星ヘル・イクスパンションズ』と戦う際にはネプチューンマンのトラウマを抉るため剣山・デスマッチを用意した(あまり効果はなかったが)。
…と、この通り卑怯さでも悪行超人トップクラスである。
しかしその一方で
- タッグ編での『正式な』試合の中では、対戦相手を殺した試合はない。
- 万太郎達が来た事で不慮の事故となってアリサに危害こそ加える形になったが、一般の人間には手出しはしていない。
と、どこか詰めが甘いところがあったり、超人としてのルールはきちんと守っている一面がある。
ライトニングは天涯孤独の身であり、親の顔さえ知らない。
これが後々サンダーと思わぬ亀裂を生む事に。
◇サンダー
所属:残虐超人/悪行・時間超人→正義超人(改心後)
身長:268cm
体重:218kg
出身:ポピュ星(エントリー国はなし)
超人強度:3000万パワー
ライトニングの相棒の時間超人。
笑い声は「ヌワヌワ」。
当初は怪物風のマスクとジッパーが多くついたオーバーボディを纏っていた。
真の姿は鋼鉄の
ライオンのマスクに古代ギリシャの戦士の服をまとった姿である。
全容は明らかにならなかったが、素顔もライオンであった(実は父親譲りである)。
頭脳派のライトニングに比べ、短気で粗暴な面が目立つが、それだけに手がつけられない一面も。
大柄な肉体を生かしたパワーファイトを得意とし、力押しでは
マンモスマンすら打ち負かすほど。
他にもブロッケンの攻撃を(わざと)一通り受けても平然としていたり、
イリューヒンと
バリアフリーマンのツープラトンを喰らっても全くひるまなかったり、
万太郎のマッスル・ミレニアムを完全に決められたのにノーダメだったりと、描写に違和感を覚えるぐらいに防御力も高い。
恐らく元ネタは実在のプロレスラー・
獣神サンダーライガー。
なお、稀にどっちがどっちなの?という質問があるが、その時は「ライオンさんだー」と言えば一発で分かるだろう。
【能力】
加速能力
世界五大厄を語る上で欠かせないのが加速能力である。
『エヴォリューションマウスピース』と呼ばれる不気味なデザインのマウスピースを口にすることで、エキゾチック物質を頭部の鍵穴から噴出。
自身の肉体を周りの時間軸からコンマ一秒未来にずらし、様々な特殊能力を得ることができる。単に動きを加速するだけではなく
- 技をかけている相手の体からいともたやすく抜け出す
- 富士山や自分の体の時間を戻す、
- 自身の体を液状化・左右に分割する
- 二人の体を一つに合体させる
等、時間操作の領域を超えたトンデモ能力である。
さらにフェイバリット・ホールドと併用すれば技の命中を確実にさせられる恩恵もありもはやチート。
このため全編通して「道具便りの卑怯者」という印象が最後までぬぐえないのは否定できない。
ただし、完全無欠・絶対無敵の能力ともいかず、欠点は幾つか存在する。
例にして上げると、
①“コンマ一秒先の未来に何が起こるかは自分でもわからない”為、相手の予測不可能な行動や不可抗力のアクシデントに弱い。
②アクセレレイション中に相手に捕まれると、相手も一緒に加速させてしまう。
③タネがバレている場合、百戦錬磨のベテラン超人相手だと逆に相手に自分の行動(回避など)をある程度先読みされてしまう可能性もある。
そして何より、最大の弱点は
④エキゾチック物質を使っているので、コンマ1秒とは言え自身の寿命を縮めている事には変わりない。
……という事である。
その為、相手の行動をある程度パターン化させる、空中などで抵抗がほぼ不可能な状態にする、不意打ちを狙う…などの事前対策が必要になる。
チート故に使いどころも難しく、そう何度も乱用できる技ではないのである。
これらの能力は同じ時間超人であるカオスも限定的だが使える(マウスピースはシンプルな形だった)が、彼は試合中には使用していない。
主な必殺技
ライトニングの得意技。下腕部から熱く煮えたぎる鎌を出現させ、相手の肉体を切り裂く。
オーバーボディ装着時は「ライトニング・カッター」または「アメージング・カッター」という技名で使用。
ライトニングの得意技。
両拳と両脚を突き出した状態で飛び掛かり、相手の四ヶ所にパンチとキックによるダメージを与える。背面向きにも打てる。
決勝戦では、両手両足から「煮えたぎる鎌」を出した状態の「フォー・ポイント・シックル・インパクト」としても使用。
ライトニングの技。相手の真上から垂直に落ちるフライング・ヘッドバット。
「
フライング魚雷」とか言ってはいけない。
ライトニングがネプチューンマンに対して使用。
相手の両腕をハンマーロックに極めた状態で後方に投げるスープレックス。
サンダーの技。
相手チーム二人を十字に重なるように捕らえ、後方に投げるスープレックス。
サンダーの技。
鋭い爪の生えた両足でドロップキックを見舞う。
ロビンマスクに対して使用したが、避けられた。
サンダーの左肩の肩当てに装着された爪。
攻撃時には伸縮・展開が可能。
サンダーの得意技。
獅子の爪による切り裂く、刺すといった攻撃。
サンダーの技。
相手の体に両脚を絡ませ、動きを封じた状態で獅子の爪を食い込ませる拷問技。
サンダーの得意技。仮面の鬣の部分を大回転させ、相手を切り裂く。
サンダー自ら相手に飛び掛かって使うこともあるが、特に相手と密着した状態で多用する。
マンモスマンのビッグ・タスクの枝分かれ攻撃(ブランチ・タスク)も迎撃、切断した。
世界五大厄を代表するツープラトン。
サンダーが相手を抱えたままブリッジし、その状態のサンダーの太ももに手を当てライトニングが倒立。
ライトニングの両足を時計の長身を模した針に変化させ、相手の心臓に振り下ろす。
足を二つに分け、二人同時に指すこともできる。
主な被害者は万太郎、ネプチューンマン、アリサさん。…オイ。
「死時計の刻印」と並ぶツープラトン。
加速能力で相手を空中に放り投げ、続いて同じく飛び上がったライトニングが対戦相手の両手と片足ずつを取り、海老反りにしたまま落下。
そのまま地上で仰向けになっているサンダーが突き出した足めがけて叩きつける。
掛ける相手によって「完璧崩壊の終曲」「正義崩壊の終曲」等と名前を変えることも。
パワーボムとエクスプロイダーで相手チーム二人を激突させる技。
加速能力を使って捕えた相手チーム二人をジャーマンスープレックスの要領で投げて激突させる。
空中で相手をウラカン・ラナに捕らえて落下、もう1人の相手を地上でボー・アンド・アローの体勢に固め、両者を激突させる。
ライトニングが相手を足四の字固めに捉えて跳躍し、さらに空中で両腕も掴む。
続いてサンダーも跳躍、相手の首を腕でクラッチし、ネックブリーカー・ドロップの要領でマットに叩き落とす。
サンダーの左腕が釣鐘状に変化し、ライトニングが打ち鳴らすことで、対戦相手の過去のトラウマを呼び起こさせ行動不能に追い込む技。
肉体ではなく精神にダメージを与えるキン肉マン世界では珍しい技だが、鐘自体を相手に叩きつけて凶器として使うことも可能。
ザ・テガタナーズ戦で
ジェロニモのアパッチの断末魔とイリューヒンのボイス・レコーダーの共鳴により破壊されたため準決勝以降は使用せず。
以下、ネタバレ注意。
実はサンダーは、逃げ出した残虐・時間超人に誘拐された
正義超人の母親から生まれた正悪の混血超人であり、ライトニングにはそれを隠していた。
(恐らく孤独なライトニングを気遣ったものと思われる)
父親は間もなく超人警察に殺害されたが、それから後にサンダーが誕生した。
事実を知らない頃の幼いサンダーは、父親とは全く似ても似つかない温厚で純真な少年だったのだが、ある時、母親に自分の魔時角を見せてしまう。
それが原因で過去の恐怖を思い出してしまった母親は何も告げずに家出をしてしまい、行方知れずに。
それ故に、『正義超人』という言葉を酷く嫌っていた。
過去のトラウマが蘇った気持ちも分からなくはないが、自身の息子を何も告げずに捨てた事はあまりに酷である。
育て方次第では立派な正義超人になれたであろうサンダーが現在のように歪んでしまったのは、半分はこの母親の責任と言える。
せめて祖母に伝言を伝えさせるか、置き手紙を残すなりすれば、サンダーも今ほどは歪まなかったかもしれない…。
何より悪行超人による暴行が全ての元凶なので、サンダーもまた、間接的には悪行超人の被害者なのである。
そして、決勝戦で万太郎、ケビンのコンビ『ザ・ヤングマスターズ』と戦うことに。
一本目はチームワークの悪い万太郎達からダウンを奪い一勝。
二本目も圧倒するが不死身の根性で立ち上がる二人の猛攻に肉体時計逆回転を多用し、何度も肉体を再生させる。
しかし、それによりサンダーのエキゾチック物質が底をつき、前述の出生を明かしたことで世界五大厄に亀裂が入る。
その隙をついた万太郎とケビンがサンダーにNIKU⇒LAPをかけたことで二本目を奪われる。
続く三本目では、ライトニング対ケビンの戦いになり、そこから立ち上がった万太郎がマッスルスパーク・地をライトニングにかけようとする。
が、本心ではサンダーを信頼していたライトニングの呼び声に立ち上がったサンダーがカットに向かうも、ケビンがサンダーにビッグベン・エッジを仕掛ける。
そこからツープラトン、マッスル・キングダムをかけられてしまい、今度こそ完全KOとなった。
戦いが終わった後、二人は肉体時計逆回転の乱用による代償で体が衰弱、一気に年老いてしまった。
万太郎はトロフィー球根をちぎって二人に食べさせ、何とか立ち上がれる位にまでは回復させようとする。
サンダーは回復したが、時間超人のプライドからトロフィー球根を吐き捨てたライトニングは、サンダーと最後の会話をする。
ときにサンダーよ・・・ママの作ってくれる料理で好物は何だった?
ふらふらと覚束ない足取りで飛び立つライトニングはそのまま富士山の火口へ・・・
お前のママのシチュー・・・食ってみたかったな〜っ!
天涯孤独だった自分の境遇を最後の最後で嘆いた超人は、滾るマグマへと身を投じていった。
相棒の死に号泣し、後を追おうとするサンダーだったが、万太郎やケビンに落ち着かされる。
結局トロフィー球根は万太郎の手によって燃やされ全ての歴史は元通りに。
未来へ帰ろうとする新世代超人達だったが、燃料不足で飛び立てず
そんな時、タイムマシンを覆うエキゾチック物質が
全身にエキゾチック物質過多放出症の斑点を浮かべながら、時間超人の最後の一人も倒れた。
どこか満足げな笑みを浮かべながら…
【余談】
全編通して卑劣な裏工作はするわ、困ったらチートアイテムに頼りまくるわで、かの知性チームに並ぶ卑怯者っぷりは否定できない。
それでいてラストまでしぶとく残るのだから、リアルタイムで読んでいた多くの読者を辟易させてしまい、
「究極の超人タッグ編」の評価が著しく悪い要因の一つとなってしまっているのが現状である。
だが、一介のチームとしての息はまさに阿吽の呼吸といっていいほどぴったりであり、心の底から互いを思いやり、信頼しあっている点は知性チームとは決定的に異なるといえるだろう。
また
- セイウチンを「いつリストラされてもおかしくないヘボ超人」と暴言を吐いた万太郎
- トロフィー球根が原因で悪辣な部分が目覚めた上に、ジェイドを捨てようとしたスカーフェイス(試合中に再び正義超人に戻ったが)
- スカーに続き、コンプレックスが再発したキッド。もっとも、それ故に万太郎から一度離れることでロビンと組み、キッドの株をあげることになったので結果的にはプラスといえる
- ネプチューンマンの洗脳により、凶暴な性格になり、仲間を何人も手にかけたセイウチン
- 老害化し、セイウチンを洗脳し残虐の限りを尽くした挙句、カオスの死因になってしまったネプチューンマン
- マンモスマンを目覚めさせたもののスパルタばかりで息を合わせることができず、マンモスマンに裏切られるハメになったウォーズマン
- 私欲に目がくらみリザーブマッチを提案し、結果的にジェイドが弱体化する原因を作ってしまったハラボテ。元より、万太郎達キン肉王家を目の敵にし万太郎にとって不利な試合方法ばかりを提案してきた事や、あからさまにロビンにとって不利になる不忍池での試合を容認するなど、全体的に委員長として、さらには委員会組織としてどうなのかと言われる行動が目立ち、それらが積もった結果、読者からは「ハラボテは時間超人の手先」など皮肉を込めて揶揄されるほど、評判は最悪といっていいほど悪い。
- バリアフリーマンとイリューヒンの犠牲があったにもかかわらず、カオスを選んだ万太郎を「お眼鏡違い」と吐き捨てたミート。もっとも、二世ミートは全体的に薄情者になっている傾向があるのだが。また万太郎も前述の暴言や予言書をトイレットペーパー代わりに使っていたりと問題があったため、評価が悪く『時間がなかったから、適当な穴埋めで間に合わせようとした』と考えていたのかもしれない。
- パートナーに非があったとは言え、2度の裏切りをしたマンモスマン
- ことあるごとに新世代超人を悪く言い、万太郎達との試合では「実は卑怯な事もしてた」などとカミングアウトしたスグル。
- トロフィー球根を燃やした万太郎を「息子のスグルもアホじゃが孫はそれに輪をかけたアホ」と悲鳴を上げた真弓(サンダーは「トロフィー球根よりライトニングとの思い出があればそれでいい」と言った)
と、色々と物議を醸す発言や行動が悪目立ちした正義や完璧と比べれば、亀裂は入れど、最後まで仲が良かった。
特に、決勝戦でサンダーが自分の出生を明かしてチーム仲に亀裂が入った後であっても、ライトニングは「何してやがる!お前(サンダー)がいなきゃ技が決まらないだろ!」といった旨の発言をしており、
天涯孤独なライトニングが、心の中では損得も打算もなくサンダーを信頼しきっていた事が露呈したシーンは評価が高い。
展開的にはあり得ない事だが、もしも優勝していたらトロフィーを抜くことができた事は想像にかたくないだろう。
二人揃って
超人強度や硬度にこだわる他の超人たちを侮辱しており、
そんな二人の超人強度は長い事不明だったが、2019年5月に発売された学研の「キン肉マン 超人」にてようやく判明した。
全体的に超人強度の数値が抑えられがちな「Ⅱ世」にあって、2400万と3000万という数値はラスボスの名に恥じないものである。
ネプチューンマンがライトニングに「審判のロックアップ」を使い「並以下の超人強度」呼ばわりしたシーンもあるが、その直後に相手の実力を測り切れず困惑していたので、やはり最初に下した審判は誤りだったのだろう。
時間超人も「時間を操るオレたちにとって超人強度など関係ねぇ」と自らの超人強度がどれだけ低くとも実力・勝敗とは別の話とばかりに主張していたが、数値の合計は7800万パワーのマンモスマンがいる新星・ヘル・イクスパンションズの方が数段上なので、これも取り立てておかしな描写とは言えない。
なお、予言書にあった『間際の救世主』とは、
実はカオスではなく、改心して正義超人となったサンダーの事だったのではないか
…と考えた読者も少なくなかった。
トロフィー球根の欠片があと1つ残っているので、サンダーの復活の可能性も有り得なくはないのが、面白い所である。
追記・修正は加速しながらお願いします
最終更新:2025年09月22日 14:47