登録日:2012/05/24(木) 19:39:02
更新日:2024/12/14 Sat 00:22:32
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第二次ランテマリオ会戦とは
銀河英雄伝説において、ラインハルトが皇帝になってから最初で最後の叛乱。
銀河帝国二元帥による会戦であることから、「双璧の戦い」「双璧の双破戦」とも呼ばれる。
■叛乱に至るまで・・・
ウルヴァシー事件
ことの発端は、新帝国暦2年10月7日に惑星ウルヴァシーにて起こったラインハルト暗殺未遂事件である。
これは惑星ハイネセンの新領土総督となった
オスカー・フォン・ロイエンタール元帥が、銀河帝国皇帝
ラインハルト・フォン・ローエングラムに行幸を求めたもので、当時帝国では「ロイエンタールに叛意有」という噂が流れていたこともあり、軍務尚書のオーベルシュタインはこれに反対した。
ラインハルトはこの忠告を跳ね除けるが、諸提督らもオーベルシュタインの意見に一抹の不安を拭い切れず、結局近衛であるキスリング、リュッケ、そして諸提督からはミュラーとルッツを含む少数の護衛と共にロイエンタールのもとへ向かうこととなった。
ハイネセンへ向かう途中、戦没者慰霊のために惑星ウルヴァシーに立ち寄った一行は、ひとまず迎賓館に立ち寄るものの、駐留軍が不穏な動きをしているという報を受け、ひとまず旗艦
ブリュンヒルトへ戻ることにした。しかしその道中でラインハルトの命を狙う暗殺者たちの襲撃を受ける。
ブリュンヒルトが攻撃されているという知らせも受け、さらに撤退を急ぐもその追撃を振り切れないと判断したルッツは、ラインハルトを逃がすために殿を申し出た。彼は
ブリュンヒルトが離水するまで抵抗を続け、最期はブラスターを頭と胸に喰らい戦死。
「マイン・カイザー…貴方の御手から元帥杖を頂くお約束でしたが、叶わぬ事のようです。お叱りはヴァルハラで頂きますが、どうか、それが遠い未来のことでありますよう…」
ラインハルトたちはなんとかウルヴァシーからの脱出に成功した。
後にアルフレット・グリルパルツァーの調査により、この事件が地球教によるものであることが判明する。
しかし、グリルパルツァーはこの情報をダシに自身の立場を強化することを考え、調査結果を秘匿した。また、ルッツの死も重なり、ロイエンタールは帝国に反旗を翻せざるを得ない状況に追い込まれてしまう。
この事件は一説ではラングとルビンスキーが、ロイエンタールに反乱を起こさせるために暗躍していたともいわれている。
盟友の説得と決別
同年11月1日、
ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥にラインハルトより拒否権つきでロイエンタール討伐が命じられた。
盟友のミッターマイヤーは貴下の艦隊を率いて出撃しランテマリオ星域に至り、盟友であり親友のロイエンタールを説得しようとするが、ロイエンタール自身のプライドが許さずミッターマイヤーの説得は失敗しこの交信を最後に両者の会話が交わされることはなかった。
かくして、帝国の双璧同士の戦いは幕を開ける・・・
■登場人物
【参戦した人物】
【帝国軍】
帝国元帥。旗艦は「人狼(ベイオウルフ)」。「疾風ウォルフ」の異名を持つ双璧の一角。
上級大将。旗艦は「王虎(ケーニヒス・ティーゲル)」。黒色槍騎兵艦隊を率いる猛将。
上級大将。旗艦は「火竜(サラマンドル)」。
大将。ミッターマイヤー麾下の分艦隊司令官。旗艦は「ニュルンベルク」。
【ロイエンタール軍】
帝国元帥。旗艦は「トリスタン」。ミッターマイヤーの親友であり、双璧の一角。
大将。ロイエンタール軍の参謀長。
かつてはジークフリード・キルヒアイスの参謀の一人であり、キルヒアイスの死後ロイエンタールの参謀となる。
このような経緯からキルヒアイスの死の一因となったオーベルシュタインへの不信は強く、ウルヴァシー事件がオーベルシュタインとラングによる策謀ではとのロイエンタールの考えを否定しきれなかった。
大将。グリルパルツァーと共に、帝国の次期「双璧」と評される将。旗艦は「ウールヴルーン」。
かつてはヘルムート・レンネンカンプ上級大将麾下の分艦隊司令官だったが、レンネンカンプの同盟高等弁務官就任により指揮下から離れる。
当初はロイエンタールの叛乱には参加しない意向を示したため拘禁されるが、グリルパルツァーの「説得」によって迷いを持ったまま参加する。
大将。クナップシュタインと共に、帝国の次期「双璧」と評される将。旗艦は「エイストラ」。
高名な地理学者としても知られており、若手将官の中では特に評価されている。
一方でウルヴァシー事件の調査結果を握りつぶしたように野心も強く、ロイエンタールに対して元帥・軍務尚書就任を条件に参加を表明するが…。
【帝国関係者】
上級大将(死後元帥)。
ラングの危険性を感じ、ウルリッヒ・ケスラー上級大将に素行調査を依頼していたことが死後明らかとなった。
これにより
半年前の工部尚書ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ爆殺事件の犯人を、フェザーン代理総督ニコラス・ボルテックであるとでっちあげたこと、さらに獄中でボルテックが変死したことにラングが関与していたことを明らかにした。
上級大将。旗艦は「クヴァシル」。
別動隊を率いて、イゼルローン回廊方面より新領土進攻を行おうとする。
久々にワロタ内務省内国安全保障局長兼内務次官。
ロイエンタールに私怨を持っており、ルビンスキーと手を組んでロイエンタールを追い落とすべく策謀を張り巡らす。
【ハイネセン関係者】
新領土民事長官。
コルネリアス・ルッツの義弟であり、開戦に先立ち、ロイエンタールの叛乱に公私両面の理由で加担しないことを宣言する。
元同盟最高評議会議長。同盟滅亡の一因を作った人物で、現在は新領土の高等参事官を務める。
ロイエンタールの愛人。
かつてロイエンタールが自裁に追い込んだ
リヒテンラーデ公爵の姪の娘。
一族を死罪・流罪としたロイエンタールを恨み、付け狙ううちに愛憎入り乱れる関係となった。
【その他】
イゼルローン革命軍司令官。
帝国・ロイエンタール両軍からの要請(ロイエンタールからは旧同盟領返還・トリューニヒトの身柄引き渡しを条件に回廊封鎖を、帝国からは無条件でのメックリンガー艦隊の回廊通行)に対し、帝国側の要請のみを受け入れた。
逃亡中の元フェザーン自治領主。
ラングと組んでロイエンタールの叛乱を画策するが、その目的ははっきりせず、騒乱を起こすことだけが目的となってしまっている。
地球教大主教で最高指導者。
ローエングラム朝銀河帝国に動揺を加えて、最終的に地球教が乗っ取ることを画策する。
その為に重鎮であるロイエンタールに叛乱を起こさせるべく、ウルヴァシー事件を起こす。
■結果
ロイエンタールは死亡。彼の死後、ハイネセンの自治は遺言通り、エルスハイマーが務めることとなった。
降伏したグリルパルツァーはその後、メックリンガーによりウルヴァシー事件の顛末が地球教徒によるものであることが暴かれ、その事実を秘匿したことでラインハルトとロイエンタールを二重に裏切った罪に問われた。
グリルパルツァーは弁明するもメックリンガーに痛烈に糾弾され、ついには階級剥奪と自裁を命じられる。
「裏切りによって勝つことなど、皇帝がお望みになると思うか!」
「……いや、そう思ったからこそ、卿はロイエンタール元帥を裏切ったのだな」
「ネズミの知恵は獅子の心を測ることはできぬ。卿もついに、獅子の友となり得ぬ男だったか……」
これによりロイエンタールの名誉は回復され、死後ラインハルトから元帥号は返還された。
またクナップシュタインをはじめ、ロイエンタールの麾下として戦死・自殺した者からも階級は奪われなかった(クナップシュタインの裏切り計画は知られなかった)。
ディッタースドルフは負傷・降伏し、ゾンネンフェルスは上官のもとへ駆けつけたミッターマイヤーを総督府へ迎え入れた。
しかしベルゲングリューンは、キルヒアイス、ロイエンタールという二度の上官の死という事実を前に絶望。
元同僚のビューローの説得も虚しく、ラインハルトを痛烈に批判した後、ブラスターで自殺した。
皇帝陛下にお伝えしてくれ。
忠臣名将相次いで失われ、さぞご寂寥のことでしょう。
今度はミッターマイヤー元帥の番ですか、と!
功を報いるに罰をもってして王朝の繁栄があるとお思いなら、
これからもそうなさい、と!
かくして、帝国を二分する双璧の戦いは終結した。
ロイエンタールの叛逆はイゼルローン革命軍をはじめ旧同盟の残存勢力と協調してはおらず、激戦ではあったが終息それ自体は迅速であった。
そのため、結果的にはこの戦いに乗じて反帝国戦力が蜂起するには至らず、帝国全体が揺らぐような事態とはならなかった。
民心を安定させるべく過度な大軍の駐留は控え、治安維持はワーレンとメックリンガーに任せてミッターマイヤーは帝国への帰途についた。
帰途のさなか、人狼(ベイオウルフ)上で見たとある光景と、微かな嗚咽の声に彼の部下であるバイエルラインの感性は、理性に向かってささやきかけた。
あれを見たか。おれは一生、この光景を忘れられないだろう。疾風ウォルフが泣いてるぜ…
なおこの戦いの終結後、オーベルシュタインはミッターマイヤーが自らロイエンタール討伐を引き受けた理由を「皇帝がロイエンタールを討てば、ミッターマイヤーは皇帝への反感を感じ、そこから王朝の不和につながる可能性があった。そうならないために自ら引き受けたのだ(そうすれば友の仇は自分になるから)」(大意)と官房長のアントン・フェルナー少将に語った後、饒舌になった自分に苦笑したという。彼も、ラインハルトや他の提督とのかかわりの中でいくらか変わっていたのであろう。
追記・修正お願いします
- 戦後にミッターマイヤーが言っていたことだけど、確かにロイエンタールにワーレンやビッテンフェルト級の副将がいたら、ミッターマイヤーの確実な負けとは限らないけど、戦いの結果はわからなかっただろうなぁ…… -- 名無しさん (2016-04-30 18:10:08)
- いくらミッターマイヤーが卓越した艦隊指揮ができてもさすがに上級大将クラスの提督2人を従えたロイエンタールに対しては持ちこたえられないだろう。ただ、そういう状況だったらそもそも第二次ランテマリオ会戦自体が発生しないだろうけど。 -- 名無しさん (2017-07-01 09:28:15)
- ↑ワーレンとビッテンフェルトはミッターマイヤー側だゾ -- 名無しさん (2017-07-01 13:42:14)
- ↑いや、『もしロイエンタール側に、ワーレンやビッテンクラスの提督がいたら』という話じゃない? -- 名無しさん (2017-07-01 13:43:35)
- メックリンガーが言ったように、二重の裏切りという姑息な手を使わず、順当に武功を重ねていけば、グリルパルツァーもあのような最期を迎えずに済んだだろうに……まさに、欲望という人の業が生んだ悲喜劇だったな。 -- 名無しさん (2017-07-09 07:40:41)
- 終結後のオーベルの発言のシーンだけど、きっと他の提督とのやり取りの中で、ささやかながらも性格に微妙な変化が訪れたんだろうな。朱に交われば赤くなるってやつか。それでも、冷徹な部分はそのままだというのが、これまた彼らしいが。 -- 名無しさん (2017-07-09 08:52:13)
- ラインハルト陣営の提督は出世に貪欲な面子が多くて、統一後は昇進速度が遅くて焦ったんだろうね。軍最高幹部は三十代。昇進は二十年はなさそう -- 名無しさん (2017-07-09 11:17:35)
- ベルゲンの最期の批判は、痛烈で名言だったな。 -- 名無しさん (2018-02-12 11:50:35)
- ↑とはいえあのレベルの反乱を起こした時点で例え反乱後も生き残っていたとしても、もうロイエンタールは死刑にするしかないと思うけどね -- 名無しさん (2018-02-12 15:08:26)
- そして、クナップには、「裏切り失敗王」の称号を与えようww(クナップのCVは勇者王 -- 名無しさん (2018-02-12 15:28:25)
- 作中の名言に、ワーレンの『さぁ、これで不運を切り離したぞ。恐れるものはきょうだ(?)のみだ!』も追加してほしい。 -- 名無しさん (2018-07-25 07:11:16)
- グリルは、返り討ちにされた時点で、自決するか、ルビンスキーか地球教徒のところに逃げるべきだったな。皇帝もロイエンタールをも裏切った帝国は元より、イゼルローンも、二重の裏切りをした彼を受け入れるつもりはないだろうし。 -- 名無しさん (2018-10-08 09:05:47)
- 裏切りは喜ばれるが裏切り者は嫌われる -- 名無しさん (2019-03-25 04:11:36)
- シヴァ会戦の前に、ユリアンが初めて指揮をとった、ワーレンによるイゼルローン攻略戦があるで。 -- 名無しさん (2020-01-23 08:38:20)
- ↑4 怯懦(きょう・だ)臆病で気が弱いこと -- 名無しさん (2020-07-15 14:25:16)
- ミッターマイヤーはページがまだ存在しないのか -- 名無しさん (2020-07-15 14:29:54)
- ↑2 ありがとうございます。さっそく、ワーレンの名セリフを追記しました。そういえば、ワーレンの腕が義手なのは物語開始時からだっけ? -- 名無しさん (2020-07-22 14:49:28)
- グリルパルツァーがこんな手段に出たのも、新しい帝国が若い・若すぎるっていうのが原因だろうなあ。全体に漂う自己過大評価の雰囲気(もっと上の地位が欲しい)、平和の成立に伴う武勲(特に派手なもの)の場の喪失(一気に位を上げる機会がなくなる)、元帥を含む構成員全体の若さ(死去するのも引退するのも相当先)、皇帝自身が後に政府業務を大きく民間に移す構想を持っていたこと(軍の高位者が文官になることで自分が高位になれる可能性の減少)とたくさんある -- 名無しさん (2020-07-31 09:55:48)
- ローエングラム王朝の将軍クラスの平均年齢三十代とかだし後20年か30年は現役で活躍できるからな。もっともグリルパルツァーも充分若いし別に焦る必要性はなかったと思うけど -- 名無しさん (2020-08-01 01:55:19)
- ↑3ワ―レンが左腕を失ったのは地球教制圧作戦の直前。毒を塗られたナイフで刺されたため切断するしかなかった。 -- 名無しさん (2020-08-28 01:43:00)
- ↑3実はローエングラム王朝は既に成長限界に達した組織だった分けだな。あと、戦後のロイエンタールの名誉回復とグリルパルツァーに対する処分を見るにローエングラム王朝では上級大将以上とそれ以下の将校で派閥抗争とまでは言わないまでもある種の断裂がある気がする。ミッターマイヤーやメックリンガーにとってはロイエンタールは仲間だけどグリルパルツァーはあくまでも部下の一人に過ぎないって意識がどこか見え隠れしている -- 名無しさん (2021-02-25 12:56:26)
- ↑上級大将以上の提督達はそもそも大半がラインハルトが元帥府を開く際に集めた人材で、しかもそれ以前から目を付けていたり互いに世話になったりで知遇を得たりしていたのばかりだから優遇されたり古参のグループで徒党を組んで新参の提督達との間に距離感とかが存在するのはある意味当然かも。 -- 名無しさん (2021-03-27 20:31:57)
- ウルヴァシー事件でも疑問だったのは、ラインハルト達が仮想敵をロイエンタールにばかり意識し過ぎていることで第三者の陰謀、特に地球教の存在を失念していたのがちょっとおかしいように思える。ラインハルトは地球教に狙われた前歴があるし、軍内部にも地球教が根を張ってるのはワーレンの暗殺未遂で知っているはず。しかもほんの最近ではヤンが軍内部にいる地球教によって暗殺されたという実例もあるんだから、地球教の陰謀を疑っても良かったのにメックリンガーしかロイエンタールの潔白を信じなかったのも、シナリオ的にちょっと雑に見える感じがする。 -- 名無しさん (2021-04-18 15:07:09)
- ↑ロイエンタールに関しては、回廊の戦いの前にリヒテンラーデの係累であるエルフリーデを匿っていたことで叛逆の疑いをかけられた前科があったから、疑われやすくなっていたんだと思う。おまけに行幸前にルビンスキーの手引きでラインハルトとロイエンタールの不仲が噂されていたから、不信感が募っていたように思う。ただ地球教がヤンの暗殺を果たして間もないんだから、関与を疑って当然のようにも思う。 -- 名無しさん (2021-07-19 00:56:06)
- クナップシュタインが開戦前に勇気と正義感に目覚めて、ロイエンタールにグリルパルツァーの裏切りを教えていれば、もう少し戦況は変わっていたかも。ロイエンタールだったら、その裏切りをうまく使うことを考えそうだし。 -- 名無しさん (2021-09-14 15:04:27)
- トリューニヒトもなあ。本来他人を信用せずに使い潰すタイプなのにロイエンタールに同族意識を感じてガチ目に同情してしまったのが運の尽き あのヘテロクロミアって面倒くさいファンみたいなもんだったから・・・・ -- 名無しさん (2024-04-07 03:12:32)
- 地球教徒というとサイオキシンソルジャーというイメージだったから、怪獣でも見るみたいな目でカイザーに怯えたり、上司の司祭から懸賞金ちらつかされて撃つ覚悟を決めたりとなんか新鮮だった。というか数が半端ないぞおぃどんだけ入り込んでるんだよ帝国軍に… -- 名無しさん (2024-05-13 08:54:39)
- トリューニヒトがラインハルトを嘲るのではなく「功臣のアンタにこんな仕打ちなんて、何を考えてるんだ!」と本気で憤っていたら ロイエンタールはどうしてたんだろうね。同感には感謝するけどそれはそれとしてやはり最後の掃除はする? -- 名無しさん (2024-11-30 13:16:15)
- 項目の削除申請が出されたため対応すべく内容の大量削除を行いました -- 名無しさん (2024-12-14 00:22:32)
最終更新:2024年12月14日 00:22