回廊の戦い(銀河英雄伝説)

登録日:2018/10/07 (日) 02:55:22
更新日:2024/12/14 Sat 00:18:52
所要時間:約 10 分で読めます




ここに宣言する!
余はヤン・ウェンリーを跪かせぬ限り、オーディンはおろかフェザーンにも帰らぬことを!!

「回廊の戦い」とは、SF小説「銀河英雄伝説」内における軍事作戦行動の名称。

●目次

【背景】

宇宙暦799年/帝国暦490年、バーラトの和約によって自由惑星同盟は銀河帝国との長きにわたる戦いに敗北し、事実上銀河帝国の支配下に置かれた。
これにより軍を退役したヤン・ウェンリーは半年間の雌伏の後、艦隊を率いてイゼルローン要塞を奪取。
自由惑星同盟から独立を宣言したエル・ファシル革命政府と共にゴールデンバウム王朝を滅ぼし新王朝の開祖となったラインハルト・フォン・ローエングラム率いる新銀河帝国の支配に立ち向かうこととなった。

これに先立ちラインハルト率いる新銀河帝国軍はマル・アデッタ星域会戦においてアレクサンドル・ビュコック提督率いる自由惑星同盟軍を壊滅させ、宇宙暦800年/新帝国暦2年2月20日、「冬バラ園の勅令」を発布して自由惑星同盟を名実ともに滅ぼした。
旧同盟領を支配下に置いたラインハルトは、続いて銀河の完全統一を掲げ、イゼルローン要塞に拠るヤン一党を討伐するために、4月2日旗下の諸将と共にハイネセンを出発した。

4月15日、帝国軍が出払った惑星ハイネセンのホイッチュア丘陵にある国立精神病院で不審火が起こった。死者・行方不明者が11名発生したが、その中に元同盟軍准将アンドリュー・フォークの名前があった…。

【登場人物】


◇新銀河帝国

新銀河帝国皇帝。旗艦はブリュンヒルト
既に帝国は回廊の両岸を支配しており、イゼルローン要塞自体の戦略価値は無くなっていたものの、バーミリオン星域会戦で敗北寸前まで追い込まれたラインハルトは、ヤンに勝ちたいという欲求から軍を動かす。

ミッターマイヤーとロイエンタールはこの出兵には反対しており、ヒルダまでもが再三に渡って戦う必要はないと説得をしたものの、それらの反対を押し切ってラインハルトはヤンと決着をつけることに執着した。
このあくまでも自らの欲求と覇気を満たそうとするラインハルトの態度は後に軍務尚書オーベルシュタインより痛烈に非難されており、

「皇帝の個人的な誇りのために数百万の将兵が無駄死にさせられた。それではゴールデンバウム王朝と変わらない」

と言われてしまっている。

統帥本部総長。ブリュンヒルトに乗艦。
この戦いの前に、併合した同盟領を統括する「新領土(ノイエラント)総督」就任が決定している。

宇宙艦隊司令長官。旗艦は人狼(ベイオウルフ)

黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェン・レイター)を率いる猛将。旗艦は王虎(ケーニヒス・ティーゲル)

速攻に定評のあるファーレンハイト艦隊司令官。旗艦はアースグリム。

  • エルネスト・メックリンガー
メックリンガー艦隊司令官。旗艦はクヴァシル。
大親征には同行しておらずオーディンに残留。

  • ナイトハルト・ミュラー
「鉄壁」の異名を持つ、ミュラー艦隊司令官。旗艦はパーツィバル。

  • エルンスト・フォン・アイゼナッハ
沈黙提督の異名を持つ、アイゼナッハ艦隊の司令官。旗艦はヴィーザル。

  • カール・ロベルト・シュタインメッツ
シュタインメッツ艦隊司令官兼大本営幕僚総監。旗艦はフォンケル。


◇エル・ファシル革命政府

  • フランチェシク・ロムスキー
エル・ファシル革命政府首席。
本職は医師の為、作中では「ロムスキー医師」と呼ばれることも多い。
バーラトの和約によって、事実上は帝国の従属国となってしまった同盟に対し「真の民主共和政」を体現する国家としてエル・ファシルの独立を宣言した。

エル・ファシル革命軍司令官。元帥。旗艦はユリシーズ。
後世に民主共和政の芽を残すべく、圧倒的に優勢な帝国軍に対し持てる知略の全てを尽くして戦いに挑む。

  • エドウィン・フィッシャー
副司令官。中将。旗艦はシヴァ
寄せ集めに等しい革命軍を縦横無尽に運用する艦隊運用のエキスパート。


分艦隊司令官。客員提督。旗艦はヒューベリオン。

  • ダスティ・アッテンボロー
分艦隊司令官。中将。旗艦はマサソイト。

  • マリノ
分艦隊司令官。准将。旗艦はムフウエゼ。

  • ムライ
参謀長。中将。

  • フョードル・パトリチェフ
副参謀長。少将。

後方勤務部長。中将。イゼルローン要塞に残留。

イゼルローン要塞防御指揮官。中将。イゼルローン要塞に残留。

  • ライナー・ブルームハルト
薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊第15代連隊長代理。中佐。
シャーウッドの森艦隊に同行した連隊長カスパー・リンツ大佐に代わって、ヤンを巡るハイネセンでの騒動でシェーンコップを補佐し大暴れした。

  • スーン・スール
アレクサンドル・ビュコック元帥の元副官。少佐。
同期には「あの」アンドリュー・フォークがいる。


◇その他

  • ド・ヴィリエ
地球教の大主教。
地球の本部は帝国軍のワーレン上級大将率いる討伐軍によって壊滅させられたが、残党を率いてテロ活動を続ける。
今回の戦いの裏ではヤン・ウェンリーとラインハルトの講和を阻止するべく、密かに暗躍を行う。

元同盟軍准将。
自らのエゴと誇大妄想を満たすために自由惑星同盟を滅ぼすきっかけを作った最大の元凶で、
挙句の果てに軍のトップまでも逆ギレによる発狂で殺人未遂を犯し、精神病院に幽閉されていた。
既に治療不能な狂人と化しているがヤンを抹殺するため地球教によって拉致・洗脳される。


【影響】

ヤン・ウェンリーは死亡。ヤンの死を知ったラインハルトは、喪中の敵を討つことを忌避し、全軍に対して撤兵を命じる。
帝国軍を代表して弔問に訪れたミュラーは、短いながらも誠意のこもった弔辞を述べ、ヤンの死を悼んだ。

ロムスキーもレダⅡで死亡したこともあり、エル・ファシル革命政府は解散する。そしてヤンを失ったことで動揺した人々はイゼルローンを離れ、民主共和制の最後の牙城も瓦解した…。






かに思われた。


八月の新政府(ニュー・ガバメント・イン・オーガスタ)


そして、宇宙暦800年/新帝国暦2年8月4日――


わたし、フレデリカ・グリーンヒル・ヤンは、ここに民主共和政治を支持する人々の総意にもとづいて宣言します。

イゼルローン共和政府の樹立を――

アーレ・ハイネセンに始まる自由と平等と人民主権への希求、それを実現させるための戦いが、なおつづくのだということを……。

この不利な、不遇な状況にあって、民主共和政治の小さな芽をはぐくんでくださる皆さんに感謝します。……ありがとうございます。

そして、すべてが終わったときには……ありがとうございました――と、そう申しあげることができればいいと思います……。

ヤンの妻であったフレデリカ・グリーンヒル・ヤンを首席に、ユリアン・ミンツを軍司令官としてイゼルローン共和政府が新たに樹立されることになった。


イゼルローン共和政府、ばんざい!

くたばれ、カイザー・ラインハルト!

斉唱:自由惑星同盟国歌

人口400億のローエングラム朝銀河帝国に対し、わずか94万人――全人類4万2500分の1だけが、なおも民主共和制の旗を掲げ続けるのだった。




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最終更新:2024年12月14日 00:18