ハイドリッヒ・ラング

登録日:2022/01/25 (火曜日) 13:40:00
更新日:2022/04/01 Fri 17:14:04
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全体を100として、その内51を占めれば、多数による支配を主張できます。
ところがその多数派がいくつかのグループに分裂している時、51のうち26を占めれば、100という全体を支配できます。
つまり、四分の一という少数を占めただけで、多数を支配することが可能となります。


ハイドリッヒ・ラングは、銀河英雄伝説に登場する人物。
ゴールデンバウム王朝及びローエングラム王朝に仕えた文官。
平民出身。

声優は高木均、石田太郎。

■[来歴]■

ゴールデンバウム王朝時代では民衆や敵対勢力を弾圧・排除する「社会秩序維持局」の局長を担当。
この組織はいわゆる秘密警察的な組織で、内務省の傘下で政治犯や思想犯などの取り締まりや、言論弾圧などを行い、帝国暦10年に創設されてから解体されるまでの480年あまりのうちに一人も死刑にしない一方で約40億人を死刑以外の方法で殺害したり廃人にした旧体制における恐怖政治を体現するかの如き組織だっため、特に一般市民からは恐怖の対象として見做されていた。

ローエングラム王朝時代ではそうした旧体制の改革が行われたのもあって、職務もゴールデンバウム王朝時代の旧貴族たちの監視に収まっていた。ただ組織再編に伴ってラインハルト・フォン・ローエングラムの指示で社会秩序維持局は解体される。
するとラングは維持局が解体されるいなやパウル・フォン・オーベルシュタインにその身を売り込んで「内国安全保障局」の局長を担当する*1

本編ではヤン・ウェンリーら旧自由惑星同盟軍人によるレンネンカンプ同盟駐在高等弁務官の拉致に対する対応策を決める軍最高幹部会議から登場する。

そこで彼は、レンネンカンプの対応に問題があるというミッターマイヤー元帥の意見に対し、「レンネンカンプを任用したのは皇帝ラインハルトなのだから、レンネンカンプ批判は皇帝の権威に傷をつける」という意見を述べた。*2

反論されたミッターマイヤーもカチンときていたし、他の出席者も否定的感情を隠さない中、ラングに「黙れ下衆!!」と強く当たったのがミッターマイヤーの盟友であるオスカー・フォン・ロイエンタール元帥であった。

そもそも、この会議は本来上級大将以上の軍人しか出席できない会議である。
特に呼ばれた訳でもしない内務省の一局長が出席していることが問題であった。オーベルシュタインの黙認を取り付けてはいるがオーベルシュタインは話を通していなかった上、彼自身が嫌われ者過ぎる人物である。
それでも即座に追い出されていない辺り、おとなしくしているかよほど適確な意見でも出すなら見逃されていたかもしれない。
だが彼はよりによって出席者の中でも最高権威者である「元帥」ミッターマイヤーに噛みついたのである。
その上彼の主張はただ「皇帝の権威を大事にせよ」と言う誰でも言える事項で、そこに彼自身の知識や見識などあったものではなかった。

なお、オーベルシュタインもラングが叱責の末嘲冷笑(ラングは背中越しにロイエンタールの嘲笑と判断し静かに激高した)と共に退席させられる中、事態を静観していた。
彼が「ラングの出席は私が認めたものである。彼の発言はともかく、出席についてはラングに落ち度はない」などとラングの立場を弁護していれば、この後の展開も変わったかもしれない。
流石にロイエンタールが罵倒するなどと言うことまで読んでいたわけではないだろうが、オーベルシュタインの事なのでラングという危険分子を炙り出す場としてこの会議を利用していた可能性もある。
(仮に増長せず自身の役割に徹する事が出来たのなら有能なのでそれはそれでよい)

その後はロイエンタールへの私怨を隠しもせず、自由惑星同盟を滅亡させた直後にエルフリーデ・フォン・コールラウシュ*3を差し向けて皇帝弑逆の嫌疑を立てさせる。これは無実と判断され、ロイエンタール自身はむしろ出世街道を進むのだが、ラングは旧フェザーン自治領主にして指名手配中のアドリアン・ルビンスキーに出世欲や憎悪を掻き立てられ、オーベルシュタインを前にしてロイエンタールを失脚させようと弁ずるまでに至る。

ルビンスキーと地球教の支援もあって、工部尚書ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ爆殺事件の犯人を逮捕し、その功により内国安全保障局長兼務のまま内務次官へ昇格。さらにロイエンタールを反逆へ追い込むことには成功した。
しかし、フェザーン代理総督で元ルビンスキーの補佐官でもあったニコラス・ボルテックを、シルヴァーベルヒ爆殺事件の共犯として逮捕したのが運のつきであった。事件に居合わせたコルネリアス・ルッツがラングの行動に不信感を持ち、僚友であり憲兵総監のウルリッヒ・ケスラーに内偵を依頼した。その結果、逮捕直後に変死したボルテック謀殺への嫌疑がルッツの死後に明らかになり、憲兵隊により逮捕される。

当初はボルテック謀殺の嫌疑のみが逮捕の理由であったが、獄中でロイエンタール死亡の報を聞くと高笑いしながらルビンスキーと手を組んでいたことに対し、自己弁護と責任転嫁を含めた自白を行い、最期はその罪も併せて死罪となった。
そして仮皇宮が地球教徒に襲撃された夜、ラングの死刑が執行されたが、執行直前に死の恐怖から気絶してしまい、意識が戻らぬまま刑が執行されるというある意味幸せな形で人生の幕を閉じた。


■[人物]■

齢40を手前にしてハゲかけた頭部に、肌艶が良く唇は赤く、背は低いが頭部は大きく肉付きはいいなど赤ちゃんのような外見をしている。だが声色は低いため、特に取り調べなどではそのギャップが上手く作用したなど、良くも悪くも秘密警察が天職であった事が垣間見える。
OVA版では年相応に改変した外見ではあるが、丸みを帯びたハゲ頭など要所の特徴は原作のままである。

私人としては善良であり、死罪の際にあっても妻からの嘆願が届け出られるほどの家庭人であった。
テロ事件解決の功績により多額の報奨金を下賜された際にはまるごと全部慈善事業に寄付してしまった。
その寄付も偽善ではないかと囁かれていたが、下級官僚の頃から匿名で福祉事業に給与の一部を寄付していたのが判明するのはラング死後のことであり、寄付に後ろ暗い動機はなかったとみられている。
憎悪していたロイエンタールやラインハルトなどが得られなかった要素を多分に持っていた。


後ろ暗い職務を行っていながら、部下が(ルッツやケスラーへの水面下での協力はともかく)公然と造反や告発をすることもなかったあたり、組織の統制力は高い。
だが公人としては悪徳極まりなく、ロイエンタールへの私怨に駆られてからは職権乱用や謀略、ボルテック謀殺など数々の悪事を働いていた。
そのロイエンタールへの私怨も人前で大恥をかかされたという一点から始まったものであり、客観的に見ても参加する権利の無い会議場にいるラング側が悪いのは確かである。ルビンスキーに煽られた影響があるにせよ、自身の持つ権限を乱用して他人を不当に貶めた事は紛れもない事実であり、彼もまたラインハルト達が嫌うゴールデンバウム王朝時代の膿でしかなかった。

とはいえ私怨に駆られる前の彼は出世欲も無く、権威も逸脱しないというゴールデンバウム王朝の官僚らしからぬ真面目な人間で、貴族からも奇妙と評されていたという。「民衆からの評判も悪い元秘密警察のトップ」という、普通に考えればまっさきにラインハルトに粛清されそうな属性の人物でありながらそれを免れ、さらにはローエングラム朝銀河帝国でも役職に付けたのはこのため。
この点からも、彼がただの悪人ではないとする原因だろう。

■[係累]■

氏名不明。ラングの処刑が決定された後、ウルリッヒ・ケスラーの元へ出向き嘆願した。この際に父親や夫としては優秀であったと言葉にしていたが、罪状は私人としてではなく公人としてのものだと撥ね退けられている。


■[AA]■

久々にワロタ
こういうスレが沢山立っていた
のが昔のガ板なんだよな今の新参は昔の
ガ板を知らないから困る

ハイドリッヒ・ラングを知らない人でもこっちのAA及びテンプレは知っている人も多いだろうこの文章。
元は「モーニング娘。(狼)板」で古参っぽく振舞う内容のコピペだったのだが、他掲示板への転記や文章の改変の中で、何故かラングが話しているかのようなAAに変貌してしまった経緯がある。
なお徳間書店から公式発売されたLINEスタンプでは、このワロタという文字と何とも言えない表情をしたラングが存在し、事実上公式から公認という立場を得てしまった。
更に2022年には、当時このAAを制作した張本人がTwitterで声明を発表。インターネット上に転がっていたラングの顔画像から作ったのだが、モーニング娘。(狼)板での台詞コピペを含む数多のテンプレには関与していないとの事。
OVA放映から20年以上経つ現在に至り、未だ伝説は続いている。



ついにあのアニオタめが馬脚をあらわしましたぞ!
……ああ、いやいや、冥殿閣下はすでにご存じのことでございましたな。
しかしながら、冥殿陛下に対し奉り、何たる追記、修正!!


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最終更新:2022年04月01日 17:14

*1 オーベルシュタインに「古い酒を新しい革袋に」と評されたが、「酒もできるだけ新しくします」と返している辺り時流をちゃんと見えてはいたのだろう

*2 なおラインハルトは後に彼を高等弁務官に任用したことを失敗と認めるに至っている

*3 かつてロイエンタールが捕縛した帝国宰相リヒテンラーデ公の親族。ロイエンタールと関係をなし、子を身籠っていた