フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト

登録日:2014/08/13 Wed 16:47:25
更新日:2021/10/23 Sat 21:06:02
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陛下に無能者と呼ばれるのは、俺は耐えられる
だが卑劣漢と呼ばれては、今日まで命がけで陛下にお仕えしてきた意味がない!
その程度のことが貴様にはわからんのかぁっ!!


どの道俺達の人生録は、どのページを捲っても血文字で書かれているのさ
今更、人道主義の厚化粧を施しても血の色は消せんよ



フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト(帝国歴458年~)は、『銀河英雄伝説』に登場する人物。
ローエングラム王朝に仕えた軍人で、銀河帝国軍艦隊司令官。
OVA版における声優は野田圭一。アニヲタ的には『グレートマジンガー』の主役、剣鉄也役が馴染み深いか。
TVアニメ版における声優は稲田徹あっ…(察し)



■[来歴]■

帝国歴458年2月29日生まれ。
第6次イゼルローン要塞攻防戦において、一撃のビーム砲で二隻の艦隊を同時に撃沈するという妙技がラインハルトの目に止まり、彼の麾下に加わる。
ラインハルトが元帥府を創設した当初から、物語の終了まで彼に仕え、度々の戦で功績を上げた。



■[能力]■

艦隊を黒一色に染め上げた精強部隊「黒色槍騎兵隊(シュワルツ・ランツェンレイター)」を最前線で指揮する猛将。
「帝国軍の呼吸する破壊衝動」とまで言われるほどの化け物じみた攻撃力を誇っており、特に本格的な開戦の序盤を作ったり終盤のトドメを刺す場面でよく用いられた*1
その反面守勢に脆く、最初の攻勢を持ち堪えられると後が続かなかったり、一度手玉に取られると甚大な被害を齎すこともある。
ただし黒色槍騎兵隊を相手にする場合、その最初の攻勢を持ち堪えることこそが至難の技であるといえる。

敵味方共に「猪武者」と評される典型的な武人であり、特にアッテンボローからはその性格を散々小馬鹿にされているほど。
敵の挑発に乗って懐へ突撃し、散々な被害を与えられて撤退することもザラである。
回廊の戦いの前哨戦においてラインハルトに「卿らしい失態だな」と評されるほど、ビッテンフェルトの戦い方は非常にわかりやすいものである。

しかし、味方に多大な被害を齎すことが多いとはいえ、劇中で被害が戦果を上回ったのはアムリッツァ星域会戦回廊の戦いの2度だけであり、それ以外の戦いではいずれもその桁違いの破壊力で同盟軍に壊滅的なダメージを与えている。
さらにその2つの戦いでも、同盟軍の主要提督であるウランフ、アップルトン(アムリッツァ星域会戦)、フィッシャー(回廊の戦い)を戦死に追い込み、シヴァ星域会戦においてはメルカッツを葬り去るなど、同盟軍の指揮官を数多く撃破している。
性格のせいで失敗が多いというイメージがついて回るが、実際は損害を恐れずに絶好の機会を確実につかむ形でそれ以上の功績を叩き出しているのもビッテンフェルトの特徴といえる。

初期の頃は特有の戦のセンスの勢いに任せて突撃するだけという戦法が主流だったが、戦いを重ねるうちに駆け引きも学ぶようになる。
特に回廊の戦いの前哨戦ではアッテンボローの陽動を逆手に取って攻勢を加え、一時的にとはいえ彼を慌てさせている。
同戦い本戦においても、ヤンから「緒戦以上に士気が上がっているのは予想外」と評されていた他、ロイエンタールからは元々「戦ったら序盤は譲るが最後は勝つ」と評されていたものの、第2次ランテマリオ星域会戦における戦いでその認識を改めさせている。知恵の付いた脳筋が如何に恐ろしいかが窺い知れる。
シヴァ星域会戦でも、十字砲火のクロスポイントに誘い込もうとするアッテンボローの用兵に対し、トゥールハンマーを使わない限り、イゼルローン軍に勝機はないことを熟知していることから、艦隊の突出を避けて、彼から『今更優等生ぶってどうするつもりだ』と評された(もっともしばらくしてそのエセ優等生ぶりも限界を迎え、結局攻勢に出てしまうのだが)。
そもそもラインハルトからは元々無名の一艦長の段階から高評価を受けて目を付けられており、「猪突猛進に見えるが、じつにいいタイミングでいいポイントを突く」と評されていた。
ただしアムリッツァ星域会戦では、ヤンを取り逃がした失態から処分されそうになったこともあった*2

また第1次ランテマリオ星域会戦においては、戦後のラインハルトに対する報告の中で後方の病院船が最高の手柄を立てたと評している。
これは猪突型の指揮官であるだけに、後方支援部隊の重要性を熟知していたためと見られているが、この一件で諸将はビッテンフェルトの意外な一面に驚嘆することとなり、病院船の有り方についても見直されることとなった。

基本的には猪突猛進で柔軟性に欠けるものの戦術眼はなかなかのものがあり、諸兵からも「彼が立つところを最前線と呼ぶ」と評される程である。
同盟軍のグエン・バン・ヒューと似ていると言われることがあるが、上官がいなければ自分で引き際も攻めるポイントも判断できず自滅する*3グエンに比べれば、ビッテンフェルトの方が格段に高い能力を有しているといえる。

座乗艦は王虎(ケーニヒス・ティーゲル)。
階級は上級大将。のちローエングラム公崩御後は「獅子の泉の七元帥」の1人として元帥となっている。

道原かつみ氏のコミカライズでは白兵戦の訓練で兵士を圧倒する姿も描かれ、またキルヒアイスへの夜襲を企んでラインハルトを尾行した際に襲撃者の一部を撃退している。

■[人物]■

筋骨溢れる肉体とオレンジ色の髪を持つ豪胆な人物。
基本的に「粗にして野だが卑にあらず」をそのまま体現したかのような性格で、口は悪いが悪意はないため、同僚や部下からは慕われている。
オーベルシュタインへの悪口を窘められた際に発した
「ビッテンフェルト家の家訓でもある『人を褒めるときは大きな声で、悪口を言うときにはより大きな声で』俺はこれを実行しているだけだ」は作中の名言として有名である。

そして何といってもラインハルトにする異常な程の忠臣っぷりが特徴であり、もはや忠臣の粋を越えて猪ならぬ犬と表現出来るほどに絶大な信頼と尊敬を寄せている。
時にはらしくもなく消極的になっていたラインハルトに発破をかけてそれが実際に打破につながる場面もあり、ラインハルトもまたビッテンフェルトを頼りにしている。

このように、総じて雰囲気の堅い帝国軍の中にあって非常に単細胞わかりやすい性格で天然ユーモアもあるコメディリリーフ的な好漢キャラのため、読者からの人気も高い。


ただ慎重論も提案する他のラインハルト陣営の将官と比べると短絡的な発言が目立ち、彼が唱える主戦論や強硬策は僚友に論破されることがほとんど。
度が過ぎることもあり、度々周り(主にワーレン)から窘められることが多く喧嘩になることもある。
しかし同盟のフォークや帝国のトゥルナイゼンと言った無意味で根拠のない主張に比べれば、ビッテンフェルトの案は補給や戦略上の条件が合わないものの全く的外れなものではない。寧ろほぼラインハルトが戦う意義を理解しており、ヤンを謀殺する事を提案した部下に激怒(本記事冒頭の台詞はこの際に発したものである)したりと本分を弁えている点、彼らとは比べ物にならないほどの優秀さが伺える。
逆にその単純さが帝国軍内部における清涼剤になることもあり、また「戦いを嗜む」と評されるローエングラム陣営においては彼の案がそのまま、あるいは一部修正されて通ることもある。

陣営の中でも際立ってオーベルシュタインのことを露骨に嫌っている。
物語終盤、戦略構想の相違から自身の戦歴を馬鹿にするばかりかあまつさえラインハルトを批判したオーベルシュタインに対し、殴りかかって馬乗りになり襟首を締め上げ、謹慎処分になるほどである。
とはいえ互いに罵倒しつつも、ラインハルトないし帝国のために忠義を尽くすある意味では信頼できる人物として根っこでは思い合ってもいる。
また当人が芸術に対してほとんど関心がないため、軍人にして芸術家でもあるメックリンガーとは仲は悪くないが馬が合わない。
シヴァ星域会戦でメックリンガーと口論になった際、『エセ詩人野郎。いつから、オーベルシュタインの作った曲に合わせてピアノを弾くようになった!?」と罵倒すると「猪に聴かせるのはジャッカルが作った曲で十分」と酷評された。
「ハイネセンの火祭り」ではビッテンフェルトが歴史的価値のある芸術品そっちのけでラインハルトのみを救出したことに対し、
称賛しつつも芸術に興味のないことに皮肉を呟いている。

敵である同盟のフレデリカ・グリーンヒルからは(降伏勧告を送って来た際に)「ビッテンフェルト提督には、喧嘩を高値で売りつける才能があるようですわね。同盟に生まれて政治家になっていればよかったのに」と評しており、それに対してヤンもヨブ・トリューニヒトとの舌戦を期待していた事、そしてその場合ビッテンフェルトを応援すると言ってのけている。

オリビエ・ポプランと並び、元々死ぬはずだったが作者の魔の手を逃れて生き残ったキャラクターの一人。
原作者はこの先ビッテンフェルトが死ぬとしたら、きっと口うるさい爺さんになってから、風呂場で石鹸踏んで転んで頭打って死ぬんだろうとか。
あまりと言えばあんまりだが、らしいと言えばらしい。


■[部下]■

  • グレーブナー
参謀長。口髭が特徴的。
見かけによらず気性が荒く、オーベルシュタインを殴ったビッテンフェルトが軟禁された時は、オーベルシュタインの部下である憲兵隊と一触即発になりかけた。

  • オイゲン
副参謀長。ビッテンフェルトとは最も長い付き合いである。
黒色槍騎兵隊のメンバーは指揮官の影響を受けた気性の荒い猛者が多いが、オイゲンはその中にあって唯一冷静沈着な士官。
勢いに任せて突撃するビッテンフェルトを諌めたり、第二次ランテマリオ会戦の際にはこっそり通信スイッチをONにしてビッテンフェルトの暴言を聞かせて不意を突かれて混乱する味方を踏みとどまらせるなど機転も利く。
ビッテンフェルトがその怒りを理性で抑え込むためになくてはならない存在。
ワーレンからは「ビッテンフェルトには過ぎた部下」と評されている。

道原コミック版では「リヒャルト・オイゲン」というフルネームも与えられており、出番が増えている。また巻末設定によるとビッテンフェルトより2歳年上。
OVAの老け込んだ苦労人のような容姿に対し、こちらではビッテンフェルトよりも若そうな優男の姿で描かれた。
ビッテンフェルトの白兵戦の訓練に付き合ったり、上官と共にキルヒアイスを尾行する姿が描かれている。仲がいいのか、心配でついてきたのか…

  • ハルバーシュタット
副艦隊司令官。
上官の精神を色濃く受け継いだような性格で、ぶっちゃけ上官よりも色んなところで暴れまわり、ビッテンフェルトがオーベルシュタインに掴み掛って謹慎処分になった際にはワーレンに脅しを掛けた事も(叱責されて撤回はしたが)。


■[名言]■

  • 進め進め! 勝利の女神はお前たちにその下着をちらつかせているんだぞ!

  • 怯むな、反撃だッ!! 我が艦隊に退却の文字はないッ!!

  • バカか貴様は?

  • 間に合ったか!! 残った敵は一隻残らず、我が艦隊が討ち取るぞ!! 突撃ィッ!!

  • 陛下がこれまで常勝を誇られた所以は、歴史を動かしていらしたことにあります。今回に限り、御手をつかねて歴史に動かされるのをお待ちになるのですか?

  • 猪突猛進こそ我らの本領よ! 敵にいかなる奇計奇策があろうとも、力で打ち破ってくれるわァッ!!

  • まどろっこしいこと言うな!!

  • 突撃だっ! ミッターマイヤーに、朝食をとる暇をつくってやろう!

  • 退くな……退くなと言っておろうが……退く奴は構わん、王虎(ケーニヒス・ティーゲル)の主砲で吹き飛ばしてやれ!!

  • ビッテンフェルト家には代々の家訓がある! 「他人を褒める時は大きな声で、けなす時はより大きな声で」というのだ!! 俺はその家訓を守っているだけだ!

  • (謹慎が解かれた後、同僚から「食事に毒を盛られるとは思わなかったのか?」と聞かれたさいに)毒などとうに免疫になっているさ。俺はオーベルシュタインの奴と何年も付き合ってきたからな。

  • このエセ詩人野郎! いつからオーベルシュタインの作った曲に合わせてピアノを弾くようになりやがった!?

担当声優の野田圭一氏は「出てくるたびに怒鳴っているので疲れる」とこぼしている。

なお、TVアニメ版「Die Neue These」では主要キャラ*4以外のビジュアルが不明なまま第一話EDで帝国側の面々が映った際に
一人だけそりゃもう嬉しそうに叫んでいるヤツがいたため、(キャラクターデザインが大幅に変更された事から)「他の連中が誰だかは分からなかったが、ビッテンフェルトだけは一発で分かった」とファンからあっさり特定された。
ビッテンフェルトだからね、仕方ないね。



追記・修正こそ我らの本領よ!敵にいかなる奇計奇策があろうとも、力で打ち破ってくれるわァッ!!

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最終更新:2021年10月23日 21:06

*1 なお、地球にある地球教本部討伐作戦の際に意気揚々と志願するも、ラインハルトに「辺境惑星の鎮圧に黒色槍騎兵隊を動かしては、帝国軍の鼎の軽重を問われる(=安易に強力な攻撃力を持つシュワルツ・ランツェンレイターを辺境に送るのは帝国軍として人材がいないと疑われる)」と却下されるシーンが存在する。彼が派遣されたらまさに地球ごと吹き飛ばし兼ねない。ただしラグナロック作戦でヤンに敗れ名誉挽回の機会を得られていなかったワーレンに役目を与える意味もあった。

*2 もっともこれはラインハルトの無自覚に抱えるヤンへの私怨が多分に含まれたものであり、実際に艦隊一時没収+謹慎という内容を聞いたミッターマイヤーは処分の重さに驚いていたほど。最終的にキルヒアイスの指摘と説得を受け処分は撤回された。

*3 とは言え、グエンはメルカッツ麾下に入った際にはそのような安易な行動に出なかったのに、いきなり安易に深追いして戦死した為、ストーリー上ムリヤリ退場させられた説がある。

*4 帝国側だとラインハルト、キルヒアイス、オーベルシュタイン、ミッターマイヤー、ロイエンタール