透明少年探偵アキラ

登録日:2012/01/13 Fri 21:33:15
更新日:2025/04/02 Wed 08:50:30
所要時間:約 5 分で読めます





僕がいる限り、絶対お前達に勝手な真似はさするものか!いつでも恋!


『透明少年探偵アキラ』とは、『チャージマン研!』でお馴染みのナックが作成したパイロット版アニメである。


概要

透明少年だか少年探偵だかはっきりしないタイトルだが、ロゴから判断するに「透明少年・探偵アキラ」らしい。
チャー研同様ツッコミどころ満載のネタアニメなんDA☆ 
なのでチャーケニストからの人気も高い。
しかし、チャー研ではサボりがちだったSEが割と仕事をしており、作画もそこまで狂っていないことから、もしかしたらナックの本気と思われます*1
制作時期は不明だが、1974年頃の可能性が高い*2


◎あらすじ

『モナリザの微笑み*3』が日本で展示されることとなり、田中総理は展示場所である上野の東京国立博物館を訪れた。

「何回見てもモナ・リザはまさに傑作だY」

名画を堪能する総理だが、「ばかに空気が悪い」と言い、いきなりボディーガードと一緒にガスマスクを被り始める。
警備をしていた元鬼刑事の古川探偵は「おや、どうしたんだろう」と不思議に思うだけで特に何もしなかったが、総理一行は催眠ガスを室内に噴霧。関係者一同や警備員を眠らせ、なおも抵抗を続けた警官の一人を射殺する。

「ふはははは!とれぇ!」

無防備状態となった中、総理は部下に命じる。カメラのような装置を使いモナ・リザを盗み取らせ、何食わぬ顔で会場を出る。

警備員の一人が外の警備らに異状を伝えた時には既に遅し。総理の乗った車は気球で釣り上げられ上空へ飛び去るところだった。
唖然とする警官一同を前に、「総理」を名乗る男は初めてその素顔を露わにする。
男の正体は悪の組織「Z団」の団長であった。


「ハッハッハッハッハッ…」

「モナリザはいただいた!さらば、税関諸君!*4

ハーッハッハッハッ…!」







透明少年         



探 偵 ア キ ラ






視聴者「アキラって悪い奴だなー」



一方、古川が所長を務める「古川探偵事務所」では、調査員(?)のアキラやスミレたちがTVでモナ・リザ盗難事件のニュースを見ていた。
そこへ古川から電話があり、スミレの父が殺されたと伝えてくる。
先の事件で射殺された警官はスミレの父親だったのだ。
奪われたモナリザを取り返すため、またスミレの父の仇をとるため、アキラと古川はZ団を追う…


◎登場人物

アキラ

「君たちのお父さんの仇は、必ず僕が討つ!」

古川探偵事務所の調査員らしき男。
タイトルは少年探偵なのに、どうみても青年にしか見えない。ま、まぁ18か19あたりなのだろう。
探偵だが推理パートが20秒しかないうえ、内容も「奇怪岬にしかいない怪奇鳥の羽が落ちてたからアジトは奇怪岬にある」という猿でもわかるもの。
実は透明人間(顔も精巧に出来たマスク)だが、敵陣のただ中でリンゴの皮をむいて食べてあっさりバレたり(しかもバレた直後に二個目を食べようとしていた)、足跡や雨であっさり居場所がバレたりと、透明人間という設定をまるで活かせてない。
結果、タイトルの「透明・少年・探偵」全てが意味を成していない主人公となった。
銃を撃ちまくるZ団の団員を素手で倒し*5、高所から地面に叩きつけられても平然と立ち上がるなど、肉体だけはヒーロー級。
透明人間なのに奇声を上げて目潰しをするなど、泉研に負けず劣らずのキチガイヒーローなのがわかるだろう?

なお透明人間である理由の説明は全く無い。
たぶん超能力者か宇宙人かサイボーグなのでしょう。だがその他一切のことは分かりません!改造ではなく素で透明人間ならミュータントもしくはモンスターである。

古川  ☜無能

「おや?どうしたんだろう(無能)」

元鬼刑事で現在は「古川探 偵事所」*6所長。
アキラに「おじさん」と呼ばれているので、アキラの叔父なのかもしれない。
探偵だが、総理がいきなりガスマスクを被っても「おや?どうしたんだろう?」で済ませ、
アキラと猿でもわかる推理をし、怪奇鳥に襲われた挙句エンディングまで→あそこに隠れ続ける無能っぷり。
元鬼刑事(笑)。

スミレ

「日本政府はモナリザの代償として100億円くらい払わされるかもしれないわよ、大変ね(他人事)」

古川探偵事務所で働いている女性。事務所でモナ・リザ盗難のニュースを見ていた。
父が殺されたという連絡を受け、ショックで倒れてしまう。
しかも古川の妻に「しっかりしてスミレさん…死んじゃった…」と勝手に死んだことにされる*7
声は恐らく泉研と同じ。

スミレの父

「うわあぁぁぁ!」

モナリザの警備をしてた警官で古川の友人。
無能な友と違い、催眠ガスに耐えてZ団を捕まえようとするが射殺され、顔が変色してしまった。
劇中では銃声らしき音がしないため銃口を優しく押し当てられたようにしか見えないが…

モモ

古川の娘。声は恐らくキャロンと同じ。

コマキチ

スミレの弟。アキラを「兄貴」と呼んで慕う。声は恐らくバリカンと同じ。

田中総理

「かばばぶ*8、日仏親善の為に、一日も早くモナリザを取り戻し、私に化けた一味を捕らえることです!」

内閣総理大臣。Z団は彼に変装してモナリザを盗んだ。
自分に化けた一味を早く捕らえるよう、TVを通じて言った。
専門的なことはともかく、田中角榮の肖像権を侵害してるのがわかるだろう?

Z団団長

「さらば!ウワッハッハッハッ!ワッハッハッハッ!」

肌が青色の怪人。宇宙人かどうかは不明。
悪の組織「Z団」のリーダー。彼以外に幹部や大首領がいるかどうかはパイロット版のみでは知る由もない。そもそも、かなり大きな組織のくせにやってることが窃盗って…
総理に化けてモナ・リザを真っ昼間に衆目環視の中で堂々と盗んだ上、変装を解いた直後に「透明少年探偵アキラ」のタイトルを映すことで視聴者に「アキラって悪いやつだなー」と勘違いさせた悪人。

アジトに乗り込もうとしたアキラを早口で質問責めにし(ちなみに回答の為に与えた猶予は1秒)、股間にレーザー光線♂を撃とうとするドS。さらにアキラをナック名物鳥葬で殺そうとボルガ式で谷に落とす。
部下から「透明人間が現れました」と報告されても疑わずに対応し、全裸のアキラが服を着るのを待ってくれる懐の深い方。ステキダワー
目から透明化を無効にする光線を出し、靴がジェットになり、MADとしか思えない一人EXILEをする人。

デザインの元ネタは恐らく1960年代のフランス映画『ファントマ』シリーズに登場する青い顔の怪人「ファントマ」。
『アキラ』劇中では同シリーズの第1作『ファントマ 危機脱出』と類似する演出が多く見られる事から『アキラ』自体が同作を元ネタにしているのではないかとされており、団長のデザインもそのオマージュの一貫と思われる。

Z団団員

団長の部下たち。劇中では5人ほど確認できる。

モナリザを「とれ!」という団長の命令に応じ、

カメラで「撮る」

ガラスをレーザーで切り、吸盤で「取る」

伸び縮みするアームで絵を「盗る」

という『とる』の三段活用で盗んだ(因みにそのあと、団長がマスクを剝ぎ「取り」、古川がアキラからモナリザを受け「取り」、刑事達が団長を「捕った」)。
慌てる日本政府を「慌てているアッー!」とバカにしていた。
透明になったアキラが潜入し、リンゴを食べ始めたのを見て「りり、りんごが……りりりり……!」と当初はパニックになるも、
1人が「ああ、透明人間だ!」と超速理解したことで逆襲。
別の1人は透明になったアキラにナイフを正確に投げるなど優秀。ジュラル星人も見習うべき。
また、団長がアキラに人質にされた際には全員で降伏する上司思いな一面も。

因みに、アキラに「そこだ!」とナイフを投げた団員(通称ソコダさん)には盲目という設定がある。
本放送の暁にはライバルキャラになっていたのだろうか。

怪奇鳥

奇怪岬にしか生息しないという凶暴な鳥。肉食らしく、人を襲って食べる。鳥なのに牙をもつ。


◎名(迷)場面

前述の通り、当時のナックが作っただけあってかなりキチガイなアニメに仕上がっている。
その見所の一部をご紹介。

  • 「とる」の三段活用
  • 車に気球をつけて逃げるZ団
  • ドアノブを使わずにドアを開けるアキラ
  • 羽を顕微鏡で見る科学者→「これは奇怪岬にしかいない怪奇鳥の羽です」
  • 「ということは犯人たちは…奇怪岬だ」(推理パートこれだけ)
  • 崖の下には海しかなかったはずなのに道路に着地
  • アジトに乗り込もうとすると野球盤の消える魔球のようにボッシュートされる
→古川「アキラァ!(無能)」
  • レーザー光線♂の威力を見せるために鶏を殺す。鶏、お許しください!
  • レーザー♂が徐々に股間に!*9
→団長「さあイエイ。何をしに来た?」
→アキラ「言うからやめろぉ!!(切実)」
→アキラ「モナリザを取り返すためだ」(超即白状
  • 鳥葬されかけるが透明になるアキラ。顔もマスクだった。エエー!
  • 透明になったがナイフを投げられ、血で居場所がバレる。
  • 逃げ出すが今度は雷と雨で居場所がバレる。雨は10秒でやむ
  • 全裸で肉弾戦
  • 「キエエー」と奇声を上げながらZ団の団員に目潰し
  • 全裸なのに銃をどこか♂に隠す。とんでもねぇガキだ
  • 突如目から怪光線を出す団長→全裸のアキラが登場。よくもこんなキチガイシーンを!
  • 団長の両手に手錠をかけずに片手に一つずつかける警官。
  • 団長も巻き添えになりそうなZ団のミサイル攻撃
  • 団長による1人EXILE
  • パイロット版でも安定の尺余り。こういうところをしっかりやるのが我々ナックのやり方だ。

ただし、「探偵要素が乏しいのに探偵を名乗らせる」こと自体はこの当時の子供向け作品では割とありがちなことであるし、「全体的なストーリー自体はそれなりに王道でわかりやすい」という声も一部ある。
ひたすら狂気に満ちているチャー研と比べると、「やりたいことはわかるが、そのやりたいことに技術が追いついてない」というのが正確なところだろう。





「それでは諸君、追記・修正を始めなさい!」

「さらばだ税関諸君!」

透明少年
探偵ア キ ラ

僕がいる限り、勝手な荒らしはさするものか!

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最終更新:2025年04月02日 08:50

*1 しかしながら、ナックは後年「星の王子さま プチ☆プランス」など、ナックの本気はこんなものではないと唸らせるような、より質の高いアニメを数作世に出している。

*2 田中総理の元ネタである田中角榮の総理在任期間が1972年7月~1974年12月であること、劇中と同じ東京国立博物館で『モナ・リザ』が公開されたのは1974年4~6月であることから

*3 お馴染みあの女性の絵画であるが、本来のタイトルは日本と英語圏では「モナ・リザ」でイタリア語では「ラ・ジョコンダ」。どちらもモデルの名前であり、「微笑み」に当たる語句は付かない。1967年に「モナリザの微笑み」という歌がヒットを飛ばしたのでそれに引きずられたのかも

*4 「警官諸君」の空耳。

*5 アクションの内容からすると空手使いなのだろう。70年代当時は『空手バカ一代』のヒットに伴う極真空手ブームでもあった。こうして見ると当時の流行りものを節操なく取り込んだ売れ筋の作品を目指していたのが解るが、何処かズレているのがナッククオリティ

*6 誤字ではなく「務」の異体字。「務」の「矛」が小さくなって「力」の上に来ているので「努」に見える

*7 無論空耳であり、実際は「スミレさん…スミレさん」と繰り返し呼び掛けているだけ

*8 「必ず」の空耳だと思われる

*9 007/ゴールドフィンガーのパロディ。