マシロくん(舞-乙HiME)

登録日:2014/05/01 (木) 01:49:23
更新日:2024/12/27 Fri 19:33:22
所要時間:約 7 分で読めます



マシロくんとは舞-HiMEプロジェクトの作品の1つ、漫画版舞-乙HiMEの主人公。
原型となったのは『舞-HiME』のキーキャラクターの少女・風花真白だが、厳密に言えば
「舞-乙HiMEの世界の風花真白」ではなく「風花真白から派生した別キャラ」である。(宗像詩帆天河朔夜みたいなもの)
なぜならこのマシロくんは……



実は性別が男なのである。





このような事態になったのは、前作から恒例となった「佐藤健悦作品はアニメと違い主人公は男性キャラ」、「アニメ版とは設定や人間関係・物語が別物」などの
舞-HiMEプロジェクトの持つスターシステム形式に、「コミック化するにあたって主人公に適した男性キャラが『舞-乙HiME』にいない」という条件が重なった結果、
製作陣の暴走でこのようなキャラが誕生した。

彼が王女の替え玉としてヴィント市に来るところから物語は始まる。



【人物像】

舞-HiMEプロジェクトの男キャラは情けないの法則に従い、気弱で優柔不断な性格。
さらに自分が影武者であることを直前まで知らなかったためか、政界や乙HiMEの知識が不足しており、
表向きは王女である自分の立場を顧みず感情的に動いては、周囲から糾弾されることも多かった。


しかしながら、困っている人物を見ると放っておけない優しさや、
人を守るためならどれほど危険な状況でも逃げ出さない勇気も持っており、
その点で、ニナやアリカなどの親しい人間から慕われている。

また、女装して女子学校に潜り込むというハーレム作品のお約束として、よくラッキースケベな目に遭う。
ついでに(本当は男なのに)自身もお色気シーンを披露することもある。



【劇中での経歴】

ヴィントブルーム王国の次期王位継承者であるマシロ・ブラン・ド・ヴィントブルームはオトメ養成学校ガルデローベ学園への入学を目前にして
第1話冒頭で何者かの手によって刺殺されてしまう。


アニメ版や前作でキーキャラクターの風花真白に該当するキャラの衝撃的な退場に、中の人はもちろん
「アニメ版と漫画版は別物」と前作で散々学んだファン達をも驚愕させた。


この事態による国家の混乱を避けるべく、宰相のセルゲイ・オーギュスト大佐は以前から用意していた
マシロ姫にそっくりの孤児を身代わりに仕立て上げることにする。
その孤児こそが、このマシロくんである。


以前いた神学校で陰湿なイジメを受けていたマシロくんは軽い気持ちで承諾し、
女装して舞台となるヴィント市にやってくる。
到着してすぐにテロリスト集団「シュバルツ」からの刺客に襲われるが、
顔も思い出せない母の形見である「蒼天の青玉」でアリカと契約し、危機を脱出する。


しかし、影武者にもかかわらず契約したためセルゲイからは睨まれることになり、
さらに自分がいつでも命を狙われる立場にあり、かつ逃げる事も許されない状況であることを悟り怯える。
加えて万が一正体がバレたり生徒に不埒な行いをしたらちょっきんの刑に処せられると言われ、
繰り返すラッキースケベとの遭遇に対し、青春の情動を抑えるのに苦しむことになる。


しかしながら、アリカ、ニナ、エルスとの交流や、マシロ姫の婚約者であるナギやシュヴァルツとの対立を
乗り越えながら徐々に精神的な強さを身につけていく。
途中でニナに男であることが露呈するが、彼女が知らない振りをしたため結果的にお咎め無しで済む。




追記・修正をお願いします。

















ネタバレ注意













実は、アリカとは姉弟の関係。


10年前、本物の真白姫が復活させたHiMEの制御に失敗して、暴走したカグツチに住んでいた村を焼き払われ、孤児になった。
本人はこの時のショックで記憶が欠落していたため、姉の存在を忘れていた。


だが、彼がレナ・セイヤーズの持っていた蒼天の青玉を所有していたことや、
上記のカグツチ襲来で死んだと思われていたレナ・セイヤーズとの再会で徐々に身の上が明らかになり始める。
当初、レナは心に深い傷を負い正気ではなかったため、マシロくんを娘のアリカと認識していたが、
後に僅かに正気を取り戻したレナが以前からマシロくんを知っているかのような発言をしたため、
このことはニナには感づかれていた。



そして、後に本物の真白姫の生存が発覚。
影武者の役目を終えたマシロくんは用済みとして始末されかかるが、
このとき真白姫の操るMAIとカグツチをみて明確にアリカという姉の存在を思いだす。
ミドリの加勢でその場を逃れたマシロくんは、母親であるレナの犠牲的な援護を後に、彼が弟であると知り奮起したアリカ、
自分が影武者と知りながら付き従うニナやエルス、そして自分と共に立ち上がったガルデローベの乙HiME達、
ついでに特殊な能力無しで奮闘したハルカ&ユキノなどの多くの仲間達とともに
真白姫とセルゲイの世界征服という歪んだ野望を壊すべく、彼女が蘇らせた、
魔人「HiME」と戦闘を繰り広げた。


決死の覚悟で真白姫のもとに到着するが、悪夢を見せる特殊な鏡に閉じ込められ、
影武者になる以前のいじめを受けていたトラウマの幻影に襲われ、精神的に追い詰められる。
だが、突如現れた左腕に傷を持つ謎の男に叱咤激励されて自分を取り戻し、
王者の資格である真白なる金剛石を授けられて、鏡から脱出した。































超・ネタバレ注意!!









実はレナの養子であるため、アリカとは姉弟だが血のつながりは無い。
実際はマシロくんは真白姫の双子の兄。つまり、ヴィントブルーム王国の正当後継者である。


彼らの実の親であるヴィントブルーム国王夫妻は『強大な魔力を持つ真白姫は成長したら世界に災いをもたらす』という
予言を受けたが、それを覆すべく真白姫を正しく育てようとした。故に、危険から遠ざけると同時に、
自分達が失敗した時に代わりに真白姫を止めてもらう目的で、双子の片割れのマシロくんをレナに預けたのである。
この事を知っていたのは、国王夫妻とレナ、そして盗み聞きしていたセルゲイだけであった。
つまり、セルゲイは最初からマシロくんが王家の人間と知っていながら手元に置いていたのであり、
彼をただの一般人扱いしながら影武者に仕立て上げたのも、自分が唆して世界征服を目論んだ真白姫と対峙
させることで、真の王の証として彼に真白なる金剛石を入手させるための布石だった。
(あくまで可能性の話で、必ず手に入れるという確証は無かったようだが)



この事実をセルゲイの口から聞かされてマシロくんは驚愕する。
さらに、黒幕と思っていた真白姫もただの傀儡であり、高次物質化能力によって作り上げた人形に
彼女の魂を込めただけと知らされ、目の前で妹である真白姫を消滅させられる。



怒りに震えながら、セルゲイと彼が操るフミ・ヒメノと戦い勝利するが、
ある意味育ての親である彼を憐れんだ一瞬の隙を突かれ心臓を串刺しにされ、真白なる金剛石を奪われる。
そのまま死にかけるが、全てのオトメの力を借りて天使の様な神々しい純白のマテリアローブを纏って復活。
漆黒の金剛石と真白なる金剛石の力で醜悪なオーファンと化したセルゲイを倒した。
マテリアローブは人間であれば女性にしか使用できないが、マシロくんはオーファン化したセルゲイと同じく、
その時点で既に真白なる金剛石の影響で「人の姿をした高次物質生命体」と化していたため、このような方法が取れたのである*1


以降は、真白なる金剛石を刺された心臓の代用としている。
また、正当な王位継承者であることが判明したが、まだ未熟なため、
表向きは女というままで、ガルデローベで正しい王になるべく、勉強を続けている。







【余談】

恒例的に男キャラが情けないと言われている舞-HiMEプロジェクトのなかでは極めて稀な、
主人公然とした男キャラである。成長の様子が、話を進むごとに丁寧に表現されており、
序盤の頼りない雰囲気と終盤の凛々しい雰囲気はもはや別人。
漫画版舞-乙HiMEオリジナルのキャラでありながら、ファンからはプロジェクトのメインのキャラ達にも迫る人気を誇っている。


今でこそ珍しくないが、当時としては異端であった『男の娘』キャラの主人公であり、男の娘系主人公の先駆けと言われている。
当時、男の娘は「オカマ」のカテゴリに分類され、ブリジットのように脇役などメインキャラからは一歩引いた立ち位置にいることが多かった時勢において、
プリティフェイス』の乱堂政と並んで、後の世大きな影響をに与えた。


「マシロくん」は影武者の時になし崩し的につけられた呼び方で本名は最後まで不明だった。
作者曰く、作中で出すつもりだったが出し損ねたらしい。


実の両親が祐一と舞衣にそっくりである事、前作の舞衣のコピーであるMAIがマシロくんに祐一の面影を感じた事、
鏡の中の幻影に突然祐一が現れた事やその際の意味深な言葉から、劇中では明らかにされていないが、
前作の楯祐一とは浅からぬ縁があると推測されている。





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最終更新:2024年12月27日 19:33

*1 原型となったTVアニメ「舞-HiME」の風花真白もまたオーファンやチャイルドに限りなく近い高次物質生命体の元人間である