Dr.ヒネラー

登録日:2014/06/09 Mon 09:34:34
更新日:2025/04/03 Thu 00:24:12
所要時間:約 6 分で読めます





我が名はDr.ヒネラー。ネジレジアを束ねる者。

今こそ我ら悪魔科学の真の力を見せてやる!


Dr.ヒネラーとは『電磁戦隊メガレンジャー』に登場する敵組織・邪電王国ネジレジアの地球攻略軍司令官。
名前の由来は「(ひね)る」から。

演:森下哲夫


【概要】

ネジレ次元に位置する円盤状の要塞デスネジロを拠点に三次元世界の征服を狙い、ネジレ科学を用いて地球侵略の指揮を執る科学者。
ただし、ネジレジアのトップではなく、国王ジャビウス1世の部下であり、彼の命により司令官の座に就いている。

当初は巨大戦艦ネジクラッシャーを使って地球侵攻を試みたが、ギャラクシーメガに撃沈され失敗。
以降はネジレ獣を送り、メガレンジャーに戦いを挑む。

第3話でサイネジレを倒したメガレンジャーの前に初めて姿を見せ、冒頭のセリフと共に宣戦布告。
この時自分がネジレジアのトップであるかのように語っていたが、まさか実現するとは(本人を除いて)誰も思わなかっただろう。


【人物像】

後述の経緯故に基本的に冷酷非道な性格の持ち主で、人間を「不完全な存在」と蔑み、見下している。
しかしながら、自身が生み出した幹部のユガンデ、シボレナに関しては「最高傑作」として実の子同然に愛情を持って接しており、彼らが傷つけられる事を決して許しはしない。


【物語中盤より】

テコ入れとして本国から送られてきたギレールに関しては部下の一人として接していたが、ユガンデを捨て駒同然に扱う様に激昂。
「潜在能力を引き出す」と称して、強力な副作用を持つネジレゲンカプセルで暴走させた末、謀殺に追い込んだ。
「どんな手を使ってでも~」と言い出したギレール本人への意趣返しもある

第33話以降はネジレ獣に金属粒子を加え、より強力な怪人となったサイコネジラー、第38話からは悪の戦隊邪電戦隊ネジレンジャーを創り出し、より一層メガレンジャーを苦しめた。
しかし、ネジレンジャーは戦闘能力こそメガレンジャーを上回っていたが、同じ色のメガレンジャーしか狙わないこととチームワークが最悪という短所があり、その欠点を見抜かれた結果、作戦はことごとく失敗し、全員撃破されてしまった。
ネジレンジャーの戦力は大きな期待を寄せていた分、焦りを見せることも多くなった。

しかし、ネジレンジャーを作成した理由はメガレンジャー打倒だけではなかった。
ネジレンジャーをジャビウス1世の細胞から創ることで、彼らのエネルギーの消耗とジャビウスの体力の消耗を連動。
それによってジャビウス1世を消滅させるのが、ヒネラーの狙いであった。要するに捨て駒である。
だが、この目論見の達成とメガレンジャー打倒の一挙両得を狙った結果、ジャビウスの弱体化に気を配り過ぎて、メガレンジャーを葬るチャンスを幾度も逃してしまうことになった。


ヒネラーはメガレンジャーを倒せなかったもののジャビウス1世の謀殺に成功し、心臓となる機械核ジャビウスハートを入手。自分の目的を果たすべく動き出す。
彼の真の目的……それはジャビウスハートの力で人類をカードに変換し、データとして管理、そして思いのままに作り変えることであった。
一時はメガシルバーを除く五人をカード化することに成功したが、幽体となっていたネジレンジャーがジャビウスハートで復活するという予想外の事態が発生。
結果、決着をつけるために元に戻されたメガレンジャーにより作戦は失敗に終わり、ヒネラーシティは壊滅、辛くも脱出する。その過程で偶然にも彼らの正体を知ることになり、それは後述の恐ろしい出来事に繋がってしまう。
第2話で健太たちのインストール(変身)シーンをモニターで目撃しているにもかかわらず、ヒネラーシティ編で初めて知ったという矛盾が生じたが、同話で搭乗していたネジクラッシャーを破壊された際に大爆発から命からがら脱出したのと引き換えに、爆発のショックで「メガレンジャーの正体」に関する記憶を失ったのかもしれない。

ネジレンジャーの最期とヒネラーシティ編の間に起きたと思われる『電磁戦隊メガレンジャーVSカーレンジャー』では、
宇宙妖精ピコットを強奪しようとした際に、『激走戦隊カーレンジャー』に計画を邪魔されたことに腹を立てており、宇宙暴走族ヘルメドーと手を組んだが、ユガンデ、シボレナ共々、カーレンジャーの存在は知らなかった様子。
ただし、ヘルメドーをシボレナの洗脳で忠実な配下にするなど、相変わらずの狡猾さも発揮していた。


【物語終盤】


おのれメガレンジャー!!我が野望の邪魔をした償いたっぷりとしてもらうぞ…!!

ヒネラーシティを潰されたヒネラーは、この頃から地球征服よりもメガレンジャー打倒に執念を燃やすようになる。
その手始めとして、諸星高校にジゴクネジラーを差し向け、メガレンジャーの正体を世間に知らしめ、彼らの家を破壊しそして彼らの家族や友人といった周囲の人々に危害を加えることで、高校から追放に追い込み精神的にも追い詰めた。
何故か彼らは何も悪くないのに「お前らがいるから襲われるんだ!」「出て行けよ!」と言わんばかりに、教師や生徒や市民から不当であまりにも理不尽な非難及び罵詈雑言暴言そして迫害を受けた。(一応校長以外納得のいく理由はあるが)*1

ジゴクネジラーが倒された後、ヒネラーは自身の最高傑作の開発に注力するようになる。
この頃から原因不明の「体が捻じれる」という現象が出始めた。

開発に取り組んで入る間、シボレナによってI.N.E.Tの本拠地を特定。
決死の覚悟でバーニングユガンデと化したユガンデの猛攻で月面基地を崩壊させるに至ったが、この戦いでユガンデとシボレナを失ってしまう。
一人取り残された彼は怪物となって久保田を襲うが、上記の症状が祟って元の姿に戻ってしまった。








ヒネラーの正体は久保田博士の友人である鮫島博士
彼は宇宙開発用スーツの研究で注目を浴びており、不完全な人間の肉体を強化し、宇宙環境にも耐えうる肉体へ進化させる実験を進めていた。

しかし娘である静香は自ら進んで人体実験に参加したものの、実験に失敗してこの世を去ることになった。
この失敗を理由に世間やマスコミから「殺人科学者」「悪魔の研究」と叩かれ学会を追放され全てを失い、人間への憎しみを覚え、
さらに強化スーツ理論は久保田の提唱したメガスーツ理論*2が採用され、鮫島は久保田をも憎むことになった。

その後鮫島は久保田の制止を振り切り、人間に復讐すべくネジレ次元へ飛び、Dr.ヒネラーとしてネジレジアに協力することとなった……。


【そして最終決戦へ……】

体が捻じれる現象が更に進行し、死期が近いことを悟りながらも、ヒネラーはデスネジロを変形させた巨大ロボット、グランネジロスと一体化して最終決戦に挑む。
その戦闘力の高さと再生能力で月面基地崩壊のダメージで出力が70%に低下していたメガボイジャーを窮地に追い込み、更に自分と同様に世間から責められたメガレンジャーに上記の真実を明かして、
人間たちに裏切られても幸せなのかという疑問をぶつけることで精神的にもメガレンジャーを追い詰め、遂には変身を解除させるに至る。


しかし、危険を承知で諸星学園に残って声援を送る大岩先生とクラスメイトや生徒たちの姿に奮起したメガレンジャーによって、武器を奪われたことで形勢が逆転。
戦いの長期化とグランネジロスの頭部への致命的な一撃が災いし、先に自身の体の限界が来てしまう。
それでもなお、ヒネラーの執念は消えず、メガレンジャーを道連れに自爆しようとする。


久保田ァ… 俺はお前に勝つ!今それがわかる!!

ハッハッハッハ! 見ろ… ユガンデ、シボレナ、メガレンジャーの最期だぁっ!!ハッハッハッハ……

メガボイジャーによって安全な高度まで運ばれる中、久保田博士に自身の勝利を宣言し、
ユガンデとシボレナの幻に語り掛けながら、狂ったように高笑いし最期はグランネジロス、そしてメガボイジャーと共に爆死。
彼の野望は潰えるのであった。

なおこの一部始終を見ていた大岩先生とクラスメイトは「健太たちは落命した」と完全に思い込んでしまい、その後無事開催された卒業式では大岩先生やクラスメイトたちは勿論、健太たちに出ていけとまで言った校長さえ沈んだ表情を見せていた*3
しかし名前だけでも言おうと大岩先生が健太の名前を読み上げたその時…

健太「おっ待たせしました〜!」

なんと、メガレンジャーの5人がやってきた。
実は彼らはギリギリのところで変身して脱出し、生還していたのだった。クラスメイトは笑顔で駆け寄り、地球を守ってくれた5人を讃える。そして5人には校長からのお詫びと感謝からなのか、地球を守ってくれた旨を書いた、彼らにだけの特別な卒業証書が与えられたのだった。
結局ヒネラーはメガレンジャーを道連れにはできず、自分だけ地獄行きになるという結末を迎えたのだった。


【総括】

実験で娘を失い、人々から激しい非難を浴びたことで復讐に走ったと聞くと、一見悲劇の科学者と思えるが、
娘が死んだのは娘も了承していたとは言え自身の研究による人体実験の失敗が原因。

現代で人体実験、しかも失敗して人間一人の命を失わせ、更にその死んだ人物が実の娘というのなら、世間が「娘を実験台に使った挙句死なせた鮫島博士を厳しく糾弾しなければ」と思うのもあまりに当然の話である。
鮫島は「博士。大切な娘さんがお亡くなりになりましたが大丈夫ですか?」「今回の件はしょうがない」と慰めてもらえたり励ましてもらえると思っていたのだろうか?

そして、友人であり自分を心配してくれる久保田の研究が評価されたことで、
「自身が絶望に追い込まれた後に、友人の強化スーツの方が評価され自身とは逆に脚光を浴びたから」というあまりに身勝手な理由で彼に嫉妬し、人類を見限った*4
さらには自分をネジレジアに高待遇で迎え入れてくれた恩があり、ヒネラーに対して特に酷い仕打ちなどもしていないジャビウス1世を、自らがヒネラーシティの支配者になるためだけに謀殺*5

当然、娘が自身の研究の失敗で死んだことについても全く受け入れられていない。
肝心の娘に対しては「自分が実験台にしなければ娘は死ななかった。娘に申し訳ないことをした」という感情すら持ってない事がわかる。
その証拠に自分を非難した人々や、自分よりも評価された久保田に対する恨み言*6ばかりで、
自身が娘を死なせてしまった非についてはまったく触れておらず、自分の行いや研究の正当性ばかり口にしている。
実際、メガレンジャーからも、「善悪の問題ではなく、娘を殺しておいて幸せなのか?」と自分の問題に向き合っていない点は劇中で指摘されている。

ただ上に書いてある通り、自身の手で作り出したロボットのユガンデや娘をモデルとしたアンドロイドのシボレナに対し、確かな愛情を持っていたのは事実。
しかし、自分の人体実験にその身を捧げ命を落とした娘を模したアンドロイドに悪行を行わせ、さらに制作時期は不明だが同型のアンドロイドのヒズミナを開発していることから、娘に対する愛情は歪んだ……いや、捻くれたものと言わざるを得ない。

結局のところ、彼が受けたという他者の悪意は元より彼自身の中や彼自身の行動の結果にあるものであり、その姿はまさに彼が嫌悪し見下した醜悪な人間そのものと言える。

過去のシリーズにも様々な理由から悪に堕ちた科学者たちもいたが彼らと比べてもヒネラーはまさに名前の通り、捻くれた人物である。
逆恨みと八つ当たりから悪に堕ち、最期には自分の望みを幻覚という形で見て勝利宣言し、自爆しながらも結局はメガレンジャーを倒せず、ジャビウスとギレール、ネジレンジャーが手ぐすねを引いて待っている地獄へ堕ちていったヒネラー。
それは救いようがない一人の人間の姿であった。


見ろ…ユガンデ!シボレナ!
項目の追記・修正だ!ハッハッハッハ……!


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最終更新:2025年04月03日 00:24

*1 だがこの校長、再び学校が襲われた時にはあろうことか、生徒に目もくれず自分だけ助かろうとして逃げた結果、襲撃をもろに喰らうという目に遭っている。なんなのこの言ってることと行動が矛盾してる男…

*2 ヒネラー曰く、メガスーツ理論は人間の弱点はそのままに、高性能のスーツ纏うことで弱点を補い宇宙開発の目的を達しようとする研究で、ヒネラーこと鮫島の研究は、それを一歩進め、弱点の多い人間の身体をあらゆる環境に耐えうる強靭な身体にする研究、いわば弱点をなくすことで宇宙開発の目的を達しようとしていた。これは、人間の欠点を無くし、さらなる高みに発展させる、すなわち「人間を神に近づける」とする鮫島の理念からきている。それ故、人間の弱点に何の手も加えないメガスーツ理論は彼にとって是認できない欠陥のある研究でもあった。

*3 尤も自分の学校に通う学生が一度に5人も落命するなどという事態になれば、校長である彼が何らかの責任を取らされてもおかしくない。ましてや学校を守ってくれた恩人となった健太たちに出ていけと言ってしまったことになったのだから、彼が相当バツの悪い思いをしていたことは想像に難くないだろう。

*4 当然だが久保田に責められる非など全くない。

*5 ジャビウス1世は彼をそれなりに信頼していたので、ギレールの件に関しても相談するなり「ギレールとユガンデ片方が作戦に参加するときはもう片方を参加させない」等の処置は頼めば取ってくれただろうし、ヒネラーシティ製造時の提案はある程度受けてくれた可能性が高い。実際、無礼な態度を取った時もお咎めなしだった上、サイコネジラーを作った時はヒネラーを称賛していた

*6 ジゴクネジラーを作ったのも久保田博士への逆恨みにメガレンジャーを巻き込むため。