ドリー(とある科学の超電磁砲)

登録日:2014/08/13 Wed 02:17:08
更新日:2024/06/25 Tue 18:35:06
所要時間:約 5 分で読めます




※この項目には「とある科学の超電磁砲」のネタバレが含まれています※



「じゃあ ウミにつれていって」



ドリーは「とある科学の超電磁砲」の登場人物。

CV:小原好美

学園都市内の研究施設『才人工房(クローンドリー)』に預けられていた少女で、
「ドリー」というのは通称。研究者には0号(プロトタイプ)とも呼ばれていた。

生まれつきある病に冒されているということで、身に付けた手術衣のような服の下には幾つもの手術痕が走り、
生命維持のためのものという機器が埋め込まれていた。

台詞に漢字が使われておらず、その無邪気な性格もあって中学生という割には非常に幼い印象を与える。
施設外に出たことがなく、外の世界に憧れを抱いていた。

初出は食蜂操祈の回想。友達の「みーちゃん」に服の下を見られ、
その後彼女が姿を見せなくなったことから嫌われたと落ち込んでいた。

ストレスにより彼女から取るべきデータが取れなくなったことを憂慮した研究者が、
「みーちゃん」の後釜を同じ研究所の操祈に頼んだことで彼女と出会った。

当時はまだ成長途上にあった『心理掌握』ではドリーの記憶を完全に消したり書き換えたりはできなかったため、
操祈をみーちゃんと誤認させられる形で彼女と「仲直り」する。

それから二人は研究の合間にお喋りしたり遊んだりして過ごし、いつしか操祈はドリーに本当の友情を抱くようになっていく。
しかし、元々寿命の短かったドリーは研究の影響もあって更に命をすり減らしており、ある日操祈の前で倒れそのまま帰らぬ人となる。

操祈との最期の別れの際、自分と友達になってくれた「みーちゃん」の名前を聞く。
勿論ドリーは本物のみーちゃんの名前を知っており、このとき操祈は彼女が自分の嘘に気付きながらも付き合ってくれていたことを知る。
ドリーは人恋しさもあってか良く人に抱きつき、匂いをかぐのを好んでいたが、その違いによって気付いていたらしき描写がある。

「操祈…食蜂操祈よぉ」
「みさきちゃん ともだちになってくれて ありがと――」

その後友達を失った操祈は塞ぎ込むも、才人工房の研究者達はドリーの死を一顧だにすることはなかった。
彼らからすればドリーへの実験は統括理事会から与えられた目的すら定かでない「人形遊び」でしかなかったのである。
しかし、そんな彼らの悲願であったエクステリア計画は、水面下で支配を広げていた操祈によって潰され、才人工房は彼女に乗っ取られるのだった。
これが食蜂の常盤台中学入学前、つまりおよそ二年前の出来事である。


ドリーの名前の由来は、おそらく同名のクローン羊。
その名を与えられた彼女もまた、クローン技術によって生み出された存在だった。
彼女に与えられた役割は二つ。

一つは後に量産されるクローン達に活用するために、ドリー自身の健康を無視してあらゆる投薬を施すというもの。

操祈はドリーの子供っぽい性格から「アナタ本当に中学生ぇ?」と尋ね、
「そーだよ! センセーにそーいわれてるもん!!」と答えられたことがあるが、これもおそらく成長を促進させた結果だと思われる。
余談だが、なんの因果か操祈は後に御坂美琴から同じ質問をされてたりする。

ドリーの友達であった「警策看取(みーちゃん)」が姿を見せなくなったのも、ドリーの境遇を知ったことで才人工房に叛逆し、監禁されていたため。
後に自由になった看取はドリーを孤独にしてしまったことを悔やみ、親友の命を弄んだ学園都市上層部に復讐を誓っている。

そして、ドリーに与えられたもう一つの役割、こちらは才人工房の研究者達も知らず、操祈と看取も長い間知らずにいた。
それは「クローン間の情報共有を行うネットワーク構築の実験体」というもの。
ドリーには同時期に造られた『妹』がおり、記憶と経験の全てを姉妹で共有していたのである。

木原幻生の記憶を覗いたことでその存在を知った操祈は『妹』はドリー本人ではないとは承知の上で、
それでも研究所で眠り続ける彼女を放っておけないと決意。

本当のみーちゃんであると知った警策にも『妹』のことを伝え、手を組むのだった。

単行本10巻書き下ろし部分で二人は遂にその研究施設に辿り着き、ドリー妹を目覚めさせる。

え? 詳しい途中経過? ないよ?
Wみーちゃんのドリ妹救出行をしっかり描いちゃうと「とある科学の心理掌握」になっちゃうからね。仕方ないね。

眠りから醒めたドリー妹は、嫌われたと思っていたみーちゃん、
本当の姿を知らなくても一目で彼女だと判ったみさきちゃん、二人の友達と「再会」を果たす。

ドリーとみーちゃんの間に割り込む形になっていたことを気に病んでいた操祈は二人に涙ながら謝罪するが、
ドリー妹は三人でいられることを何よりも望むのだった。

「ホントはね さんにんいっしょならどこでもいい」

「ダメ…かな?」


さてこのドリー。クローンで、後に量産が予定されていて、個体間ネットワークの形成が可能な訳だが……。
どう見ても彼女のクローンです。本当にありがとうございました。

見た目や境遇からそうだろうとは言われていたが、はいむら氏の設定ラフでも「ミサカ:PROTO」と書かれていた。ですよねー。
操祈が美琴にちょっかいかけたり、『妹達(シスターズ)』を守ろうとするのもドリーの存在が大きいのだろうと思われる。

ドリー妹の言葉に、

「ゆめのなかでふたりとずっといっしょだったから」
「ふたりとすごしたじかんだけがわたしたちのおもいでだから」

というものがあるので、おそらくドリー妹は培養槽の中で眠り続けながらもドリーの記憶と経験を受信していたのだろうと思われる。
また自分とドリーを「わたしたち」と言っているので本人にも別人という認識はある模様。

他の『妹達』とはネットワークで繋がっていないようだが、
ドリー妹の「ウミにつれていって」に呼応するように御坂妹も海に行きたくなっているので、強い感情の伝播などはあるのかもしれない。

「何故かはわかりませんが 大切な人との胸躍る約束が欲しくなりましたと ミサカは不思議な既視感に感傷に浸ります」

ちなみに禁書本編では天井亜雄に特別に調整されたミサカ00000号(フルチューニング)が現在ネットワークから外れているという会話がある。

ミサカネットワーク外、0号でプロトタイプ、という共通点から彼女がフルチューニングではないかという疑惑もあったが、
担当編集によって別人と明言されている(事実上二人いるしね)。

どうやら計画前のプロトタイプと量産型能力者計画の0号という違いのようだ。


研究施設から助けだされて以降は主に看取と行動を共にしており、「獄門開錠」編では「脱獄トライアル」に参加(ドリーが参加したかったらしい)。
生前のドリーと違い髪の毛は引き続きロングヘアのまま。看取たちからはこちらも「ドリー」と呼称されている。
普通に出歩けるどころか、看取をお姫様抱っこして跳び回るなど明らかに体力は同年代の常人を凌駕している。
能力方面では髪でコイルとレールを作ってボルトやナットを弾丸として発射する技を披露している*1
また、在院者教育用ロボ(院長の顔のついた四足歩行ロボ)に大爆笑している(気に入ったらしく、3人分のストラップを購入している)。

なお、操祈の方は食蜂派閥のメンバーに警護させたり、と別方向で過保護な面を見せている(看取からは本人が来た方がドリーが嬉しいのにと愚痴っていた)。
いつか本編でもまた三人仲良く登場してほしいものである。
みさきちゃんが自殺未遂してたとか禁句


みさきちゃん ついきしゅうせいしてくれて ありがと――

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最終更新:2024年06月25日 18:35

*1 実は、オリジナルの御坂美琴は構想段階ではロングヘアを想定しており、束ねた髪をレールにして超電磁砲を撃つという技を使う予定だったが、インデックスと髪型が被るという理由から没になっていたそうであり、ドリーの姿の戦闘スタイルはこれを意識したものと思われる。