Vz61

登録日:2015/01/29 (木) 05:38:50
更新日:2018/04/03 Tue 23:23:10
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Vz61とは、チェコスロバキア(当時)の銃器メーカー「チェスカー・ズブロヨフカ(通称CZ)」が開発した短機関銃である。
型番は英訳すると“Model 61(61年式)”となり、正式名称は“Samopal vzor 61(61年式短機関銃)”。
愛称は“スコーピオン(後述)”。

カタログデータ

種別:短機関銃
口径:7.65mm
銃身長:112mm
使用弾薬:.32ACP弾(7.65×17mm弾)
装弾数:10、20、30連マガジンから選択可
作動方式:シンプルブローバック&クローズドボルト
全長:270mm(ストック展開時517mm)
基礎重量:1,280g
発射速度:750-850発/分
銃口初速:317m/s


開発経緯

軍隊の機械化と自動化が進んだ第二次大戦以降、各国軍の悩みといえば非戦闘員や後方要員の自衛能力の低さであった。
特に、前線に出張ることの多い車両/航空機操縦士(戦車兵を含む)や通信兵のような、戦闘に巻き込まれることが多い(でも重武装できない)兵科が。
そのため、例えば米軍では、M1カービン(ガーランドとは別物)を開発し、下士官や後方要員用の自動火器として生産している。
この流れを受け、彼らのための小型軽量な自動火器としてCZ社が開発したのが本銃となる。

小火器開発に定評のあるCZらしく、本銃も小型化・軽量化のためのアイデアが凄まじい密度で詰め込まれている。
例えば、
  • 太めの鋼線を折り曲げて構成したストックを折り畳む際、前方に倒してフロントサイトカバー兼用のラッチで固定する
  • 小型化を最優先し、あえて最低限の威力に絞って小口径弾を採用。その分極限まで小型軽量化
  • グリップ底部に機関部につながるレート・リデューサーを仕込み、発射速度の可変が可能
  • マガジンの接続が非常に強固で、フォアグリップを兼用できるレベル(別に本銃に限ったものじゃないが)
  • 同社が先に開発した自動小銃のセレクターレバーを踏襲・改良し、グリップから手を離すことなく親指で操作可能
など、一部小型化とは関係ないが、とにかく小型軽量で操作性が高いということに徹底的にこだわっている。
ちなみに愛称の“スコーピオン”は、前方に折り畳むストックが蠍の尾に似ているからつけられたらしい。

使用する.32ACP弾は威力面ではやや心許ないが、それを逆手に取って操作性を高めることに成功。慣れれば普通に片手でフルオート余裕だとか。
CZ社員一同「威力が低い?じゃあ非防御部位に集中攻撃すればいいじゃない」
実際、主なユーザーは「手足に指切りバーストを叩き込んで無力化、顔面か装備を剥いだ急所に数発叩き込んで殺害」という、
まさに愛称そのものな攻撃法をとっていたという。Vz61マジスコーピオン。

また、使用弾の小口径化、低反動化から徹底的な小型化が可能になり、そのサイズたるや

驚きのわずか270mm(ストック非展開時)!

もはや大型自動拳銃と同等(ハンドキャノンとトントン)レベルであり、こんなサイズでフルオート射撃が可能というのは実際凄い。
民生品の大型ポーチにすっぽり入ってしまうレベル、と言えばその凄まじさが理解いただけるだろうか?
というかこれ、半世紀前の設計だからね? 最近のPDWじゃないからね? 制式採用1961年だぞ?

このようにとにかく軽くて利便性の高い銃であったため、本来は重武装できない非戦闘要員の護身用に開発されたはずが、
特殊部隊や秘密警察のような機密任務部隊がこぞって採用するという結果に。
さらには東側諸国でライセンス生産されまくった結果、共産系テロリストにまで愛用される始末。
本銃の犠牲となったおそらく最も有名な人物は、イタリアのアルド・モーロ元首相だろう。テロリスト死すべし慈悲はない
翻って、警察機構に採用されることが多い銃でもある。小口径で貫通力が低く、操作性の高さゆえ誤射の危険性が低いからだとか。

なお、北の工作員が動くところ、必ずと言っていいほど本銃が見つかるという。しかも珍しく純正品。
さすがに自分達の生活が第一の将軍様一家も、外征させる精鋭に自国製のゴミのようなデッドコピーは渡せなかったらしい。

国内での生産は75年に一旦終了したが、89年のチェコスロバキア解体とそれに伴うCZ民営化を受け、対テロ戦やCQBへの有効性から再生産されている。
サブマシンガン最小/最軽量に限りなく近い本銃の需要は、これを完全に上回るものが登場するまで終わらないだろう。

近年Cz社が本銃の名を冠した「スコーピオンEVO3」というサブマシンガンを販売しているが、内部構造などに共通点は少なくどちらかと言えば老朽化したMP5の後継を狙った機種だとのこと。



バリエーション一覧

  • Vz61
1961年制式採用の基本型。

  • Vz64/Vz83
.380ACP弾に対応させた威力向上型とその現行モデル。それぞれ64年/83年に採用された。

  • Vz65/Vz82
9mmマカロフ弾対応型とその近代化改修モデル。採用年数はもうわかるよね?

  • Vz68/Vz85
9パラ対応型。68は固定ストックだったが、85はオリジナル同様のワイヤーストックに差し戻された。
また、85のマガジンはバナナマガジンからストレートマガジンに変更されている。

  • M84
セルビア(旧ユーゴスラビア)のツァスタバ社で生産されたコピーモデル。主に西側への輸出目的で生産された。
この辺は共産主義国家でありながら中立政策をとっており、西側との販路を構築していたセルビアならでは。

  • M84A/B
M84からフルオート機能を削減したスポーターモデル。Bではさらにストックもオミットした。
むしろ携行性が高くなって、アサシン気質な犯罪者的には大歓喜な気がするのは筆者だけか?

  • SA361
軍用の輸出モデル。9x19mm弾仕様のVz85にマウントレールを追加し近代化したもの。

  • シュタージ・コッファー・マシーネン・ピストーレ(仮称)
旧東ドイツの秘密警察「シュタージ」が少数生産していた本銃のバリエーション。本銃をブリーフケースに仕込んだ隠密携行用。
類似品は西ドイツのMP5にもあるが、サプレッサー仕込んでるあたりどう考えても要人護衛ではなく暗殺用です本当にry


登場作品

とりあえず媒体を問わず、何かしら非合法活動をしてる面々が登場する作品にはよく出る。
まあ、素性からしてSMG界のAKみたいなところがあるし……
FPSなどのアクション要素込みのゲームでは、オリジナルさながらに操作性の高い(ただし総じて低威力)武装として登場する。
特にMGSシリーズだと、ただでさえ小口径なのでブレが少ないところにレーザーサイトが追加されており、
使い勝手の良さではそこらの自動火器とは一線を画する。
そもそもMGSでキル数稼いでる時点で評価が下がる? 言うな、対戦じゃ有効なんだから。





追記・修正はセレクターをフルオートに合わせて片手で連射しながらお願いします。

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