9mmパラベラム弾

登録日:2011/05/17 Tue 16:03:58
更新日:2025/07/01 Tue 20:06:04
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概要

1902年にDWM(ドイツ武器弾薬工業・Deutsche Waffen und Munitionsfabriken)にてゲオルグ・ルガーが開発した拳銃弾薬である。
現在では主に軍用拳銃用弾薬として世界的に普及している。



仕様

弾丸直径:9.02mm
弾丸全長:26.69mm
薬莢全長:19.15mm
弾頭重量:8.0g(123gr)
銃口初速:350m/s
マズルエネルギー:494J
通称:9mmパラベラム、9mmルガー(開発者名から)、9×19mm



開発の経緯と普及

7.65x21mmパラベラム弾をもとに口径を拡大する形で開発。
イギリスアメリカにも提供され、P08(M1902)など自動式向けの改良を加えられたのが現在の9mmパラベラム弾である。

第一次世界大戦終了後から欧州各国に広く普及し、第二次世界大戦時にはドイツの拳銃や短機関銃のみならずFN ハイパワー(ベルギー/カナダ)やステンガン(イギリス/カナダ)などの使用弾薬としても採用された。
戦後はフランスやイタリアでも自国製拳銃や短機関銃に採用し、NATOをはじめとする西側諸国の標準的な弾薬の一つに。
45口径信者のあのアメリカ軍がM9/M17、M18を採用するほどである。
スイスやオーストリア等の中立国も採用しており、冷戦終結後の共産圏も含め世界的にスタンダードな弾薬となりつつある。
自衛に十分な威力から、軍用だけでなく法執行機関や民間でも人気がある。
SIG Sauer MPXのようにAR-15プラットフォームの9mm版として取り入れ、AR-15とで部品にある程度の互換性を持たせる場合も。



特徴

利点

  • 拳銃弾として必要十分な威力を発揮できる
  • 比較的反動を抑えやすい
  • 弾薬形状の面で自動拳銃向き*1
  • サイズの面でダブルカラム化が容易*2
  • 量産性に優れている

欠点

  • 発射圧が高めであり、銃側にそれに耐える機能や材質*3を強いられる
  • 弾速が音速を超えるため、サプレッサー(減音器)との相性は良くない*4

小型弾として十分な威力と扱いやすさを備えており、開発から100年以上経った現在に至るまで高い評価を得ている。
.45ACP弾と比べても遜色ない威力でかつより多くの弾を持ち運べる。
しかし拳銃弾である以上威力は拳銃相応のものであり、昨今装備されやすいボディアーマーへの貫通性能は低い。
2000年以降ではVBR Belgium社が開発したAP 6.3やロシア製の7N21/7N30/7N31など同規格での徹甲弾が制作されている。
7N31は9mmパラベラム仕様のPDW向けの弾という位置づけで、それを使用するPP2000はP90やMP7など専用弾仕様のPDWに比肩しうるという。



余談

  • 名称の由来
「パラベラム」はラテン語のことわざ「Si Vis Pecem Para Bellum」に由来している。
和訳すると「平和を望むなら戦いに備えよ」である。製造したDWM社のモットーでもある。
壮大な皮肉ともとれるが、考えさせられる言葉である。
  • 米国その他では9mmルガーの読みが主流。



9mmパラベラムを使用する主な銃

拳銃

短機関銃



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最終更新:2025年07月01日 20:06

*1 リムが飛び出ておらず大きなテーパーがかかっていないので弾倉に並べやすい

*2 スペクトラM4短機関銃では複々列弾倉(4列)まで採用されるほど

*3 拳銃の場合、シンプルブローバックでは無理があるためショートリコイルが必須レベルとなる

*4 減装弾もあるが、必然的に威力は落ちてしまう