私の救世主さま

登録日: 2015/02/12 (木) 20:56:42
更新日:2024/04/09 Tue 13:23:38
所要時間:約 15 分で読めます






僕はずっと――


自分が嫌いだった
いつも涼平がうらやましかった
だって僕はあまりにも最低なんだ



でも その日彼女に出会って少しだけ――



自分を変えたい・・・ そう思ったから・・・




◆概要

2002年2月号から月刊少年ガンガンにて連載されていたファンタジー漫画。作者は後のそらのおとしものなどで知られる水無月すう。彼の初連載作品でもある。
途中から諸事情にて半年間休載していたが月刊Gファンタジーにて「〜lacrima〜」編と称した第二部の連載が再開。2007年10月号にて計13巻の完結となった。

水無月氏の初連載作品な事もあり、そらおとなどから入った人からはJUDASと同様に彼の作品の中でも一際異彩を放つ作品に見えるかもしれない(特に作画)。
特に「〜lacrima〜」編からは同時期にエースで連載していたJUDASの影響もあって画力がもはや殆ど別人レベルとなっている。
その為、寧ろ無印編の頃の作画の方が好き・・・と言う人もいるとかいないとか。
まぁどちらの作画が好きか良いかは人によりけり。

また、下記の通り登場する主人公やヒロイン達の境遇がほぼ全員かなりの鬱レベルで重いのも特徴。
その為そらおとなどから本作品を読む人も覚悟して読む様に。
(まぁあっちも何人か本作の名残とも言える過酷な境遇を持つヒロインや登場人物もいるが)

なお現在はスクエニ版のコミックスは絶版となっているものの、作者が現在所属している角川書店より計6卷にまとめ書き下ろしのエピローグなどを収録した新装版が発売されている。
その為読むなら是非とも新装版の方をおすすめしたい。
特にスクエニ版コミックス収録のカバー裏漫画「俺の救世主さま」と新装版のカバー裏に収録されている本作品とそらおとの各キャラクターが各ポジションに準えて共演している「オヤヤ?救世主さま」は必見である。

○ストーリー
僕の名前は弓樹真弥。童話好きの冴えない高校生。
突然現れた謎の美少女・春儚に、僕が異世界「セレスティア」を救う救世主(メシア)だと言われて・・・?
(新装版の第一巻より。)

○用語
  • セレスティア
地球とは別に存在するもう一つの平行世界
崩壊の危機に瀕しており、その兆候かから世界中各地に魔物が出現したり、国家間戦争が発生したりと悲惨な状況が長い間続いている。
この崩壊は、セレスティアを創造した大天使セラキエルが運命付けたものだと言われており、
これを打ち破るにはこの世界の因果律に囚われない地球出身者である救世主がその「崩壊の因果律」を壊さなくてはならない。

  • 救世主(メシア)
セレスティアを救うために選ばれた地球人。「救世ノススメ」を読むことができ、輝ける四法聖を従える。
地球人なのでセレスティアを縛る因果律に従う必要がなく、対を成す支配者と決着を付け真の力に目覚める事でそれによる崩壊を打ち壊す力を得られるとされる。

  • 支配者(エンピール)
救世主と対をなす者。「支配ノススメ」を読むことができ、救世主を倒しその真の力に目覚めた暁にはこの世の全ての運命を操ると言われる。
その場合戦争などの争い事は確かに無くなるとされるが、同時にその代償として全ての人々から自由が奪われる事となる。
救世主の持つ世界を救う力と相反する力を持つ為、救世主とその命運を賭けて戦う運命にある。

  • 輝ける四法聖、絶対なる四覇聖(エンピール=フォース)
救世主と支配者にそれぞれ4人ずつ付く守護者たちで、「盾」「剣」「翼」「雷」が存在する。
特に四覇聖はその一人一人が10万の兵に匹敵する力を持つとも言われている。

  • 救世ノ巫女、支配ノ巫女
救世主と支配者、それぞれに付く巫女。13歳となった時に儀式を受け、それまでは死ぬ事は無いとされている。
「救世ノススメ」と「支配ノススメ」を持ち、時穴の向こうで救世主と支配者を見つける役割を持っている。

  • 13騎士
かつてセレスティアに魔物が溢れ、セレスティアが滅亡の危機に瀕していた頃に、
大天使セラキエルの力を受け継ぎその生涯を賭けて女王を封印し、セレスティアに平和を取り戻した者達とその力。
今では彼らの力もまた封印されており、その封印を解きその力を得る事が出来るのは異世界の住人である救世主もしくは支配者のみとされており、
入手者はそれぞれの本(ススメ)を用いて今までに手に入れた13騎士の力を行使する事が出来る。
ただし、異世界の住人であればそのどちらでもなくとも封印を解きその力を我が物に出来る場合もある。

  • 女王(クイーン)
1000年前、13騎士が封印した全ての魔物の始祖。居るだけで瘴気を放ち、他の意識を保てないもの死にかけている人間や動植物を魔物にしてしまう能力を持つ。あまりに強力な力を持ち、大天使セラキエルの力を受け継ぎ今でもなお強大な力を持つ13騎士が総出でかかっても倒すことが出来ず、その一生を掛けてようやく封印する事が精一杯だったと言う。

  • 元素
セレスティアの空気中に含む要素。セレスティアにおける魔法は、これを加速させて具現化する。
地球には殆ど存在しないため、それ故に地球にてそれらの魔法を使う事は出来ない。

  • 時穴
セレスティアと地球を繋ぐワームホール。これを抜けてお互いの世界を行き来する。
場合によってはその開け主の命を支払なければ作れない場合もある。



○登場人物(一部ネタバレにつき注意!!)

◆救世主側

■弓樹真弥
『僕は…救世主じゃないよ…そんな力…僕にはないもの…』
本作品の主人公。上記のあらすじ通りとある冴えない童話好きかつ気弱な高校生。
元々は心優しく他人の為に勇気をも振り絞れる少年だったが、幼い頃自身のあるわがままで両親と妹を死なせてしまったトラウマから初期の臆病な性格となっていた。
そんな中春儚との出会いをきっかけに、その自身のトラウマを振り払うきっかけを与えてくれた彼女を始めとした様々な人物を同じように救う形で成長していく。
故に特に彼女に対しては春儚のいない世界になんか意味などないとすら思う程の愛情を抱いている。
前半(無印編)ではそのトラウマを乗り越え救世主としての力の一つとして13騎士の力・雷帝(イシュタルテ)を制御出来る様になるまでの過程が描かれ、
後半(「〜lacrima〜」編)からは世界を救うか春儚を救うかを天秤に掛ける選択を幾多も迫られる事にもなる。また身長も大きく伸び初期とはほぼ別人レベルのイケメンとなった。
余談だが新装版収録の『オヤヤ?』ではそらおとの主人公である智樹と主人公同士で一騎討ちをしたり、
彼の仕掛けた色仕掛けに一切動じる事も無いと言う凄まじい貞操観念の強さを見せた。
ぶっちゃけ今で言うリトさんと良い勝負である。


■春儚(はるな)
『ああ…どうしてこの人は…』
『こうやっていつも…笑ってくれるんだろう…』
突如真弥の前に現れセレスティアを救うとされる「救世ノ巫女」を名乗るピンクの髪におさげをした美少女。「輝ける四法聖」の一人「救世主の"盾"」。
地球とセレスティアを繋ぐ時穴を開け、その代償として常人ではありえない速さで細胞が老朽化しており、魔法などを使う度に寿命が短くなる身となっている。
しかしそれでも自分を犠牲にする事を躊躇わず、(例え自身に振るわれる事があろうと)暴力を決して振るう事を好まない心優しき少女。
それ故に前述の通り(いい意味でも悪い意味でも)真弥の強さの最大の根源的な存在。
またそういった身からか、真弥が他の女の子(救世主一同)と接していても嫉妬などをする事も無く、
寧ろ「真弥さんを守る人は多い方がいい」として素直に受け入れると言った寛大さをも持つ。流石正妻。
しかし、それなのにも関わらず本人曰く、(璃瑠に出会うまでは)生まれた時から10年間投獄され、夢の中で真弥達の姿を見る事だけを支えとして育ったと言うが・・・。
その正体は「璃瑠と争わずに済みたい」と言う彼女の願いから、ある人物の手によって本来の救世ノ巫女である璃瑠と立場を入れ替えられた本来の支配ノ巫女。
他にも終盤にて真弥にキスされる妄想をしてしまい真っ赤になるシーンは必見。
またカバー裏収録の「俺の救世主さま」における清々しいまでのキャラ崩壊もある意味彼女自身の最大の代名詞として有名。


■氷刃(ひめ)
『お前を見てると昔の自分を思い出す…』
『忘れれるな…殺さなければ…殺される…』
愛剣「飛天凰舞」を操る冷静沈着な黒髪ロングの美少女。「輝ける四法聖」の一人「救世主の"剣"」。
救世主一同の姉御的な存在で、後述する自身の過去から真弥に上記の台詞を吐き甘さを捨てるように厳しく迫ったり、真弥とは別のベクトルで春儚を溺愛していたりしている。この為、夢衣からは「お父さん」と比喩的な意味を込めた呼ばれ方をすることもある。
また表紙絵では何気に様々なコスチュームを最も披露している人物。

その正体及び本名はは4年前における女王の復活により滅びた「死都麗古」の王女悲姫(呼び名は同じ)。
かつて自分の付き者であり剣の師であり想い人でもあった楊慈を自分の甘さから失い、彼から「飛天凰舞」を託されただ一人死都麗古の滅亡から生き延びる。
しかしその後も失意から何度も首を切って自殺を図っていたものの、首を切る度に出会った春儚に治され、悲しむ姫の名(と姿)を捨て「彼女を守る"氷"の如き"刃"となる」と決意し今に至る。
それ故に、無印の璃瑠戦編の頃は彼女を救おうとする真弥相手でも(春儚及びセレスティアを救う為に)切りまくると言う非常に冷徹な一面を見せていた。
しかし、「〜lacrima〜」編ではある活躍から真弥の事を認め、終盤の楊慈の親友であり因縁の相手でもあるゼオンとの戦いではある悟りを開きその成長した姿を見せる。


■夢衣(むい)
『お話をします!!』
『むかしむかしあるところに――セレスティア人なのに魔力を持たない女の子が産まれてしまいました』
発明及びそれによる戦いを得意とする茶髪と鈴の付いた髪飾りがトレードマークの美少女。「輝ける四法聖」の一人「救世主の"翼"」。
天然ボケかつ天真爛漫な性格で救世主一同のトラブルムードメーカー的な存在だが、しょっちゅう爆発を起こし氷刃からは度々大目玉を喰らっているのものの、基本的には信頼し合う親友同士である。
また、第43話の表紙イラストはマジ天使なので必見。

しかし実はセレスティア人でありながら生まれつき魔力を持っていない彼女は、その家からは捨てられその後発明家のおじいさんに育てられるものの、
彼が亡くなった後も町中から石を投げられるなどの迫害を受けて育ったと言う、本来なら普通に闇落ちしてもおかしくなかった様な過去を持つ。
しかし、そこを氷刃に救われ「笑ってみろ 少しは幸せな気分になるやるしれんし、少なくとも周りが幸せになる」と諭され、今の性格及び氷刃との親友関係に至る。
また彼女もまた真弥に好意を抱いているが、真弥には春儚こそふさわしいと考えており、自分を含め、2人がそれ以外の人間と結ばれる事を認めようとはしない。


■タルタル
『ちょっと腹がたってきた』
『必ずヤツをぐちゃぐちゃのけちょけちょにして』
『逆に恐怖で狂わせてやる』『――だそうです。』
薬の調合を得意とする謎のょぅι゛ょ。「輝ける四法聖」の(ry「救世主の"雷"」。
所謂本作におけるネタキャラ枠の一人で、いつも薬が出来るとすぐ周囲の人を実験台として使ってしまい、真弥達のクラスが死屍累々になった事もある。
その為か登場時には殆どデフォルメされた姿となる。しかし時折重要な活躍をする事も・・・。


■逢儚(あいな)
『私は真弥さまの、剣となり盾となり、翼となり、翼となり、雷とさえなってみせる!!』
『それ以外の生き方なんて知らない!!知りたくもない!!だから――』
「〜lacrima〜」編開始から突如登場するミステリアスな美少女。無印との空白の一年間の間に記憶を無くし失踪した春儚に変わって救世ノ巫女を名乗る。
しかしその後春儚を奪還した後には真弥を支えてあげられない自分の立場に悩まされ続ける事になり、「救世ノススメ」を無くした真弥に代わって13騎士の力を管理・解放出来ると言った謎めいた力を持つが・・・。
その正体は一年前のある事件によって燃やされた「救世ノススメ」の人間体。
真弥自身や春儚との絆への憧れから彼が記憶を失う程の力を奪い擬人化し、失踪した春儚に代わって救世主ノ巫女に成り代わろうとしていた。
しかし最期には結局自分は春儚の存在には敵わない事を悟り、アギト戦編のラストにて、真弥にその力を返却する事を決意する。その結末が意味する物は正しく涙腺崩壊兵器。
また、「俺の救世主さま」でもマジカル☆アイナとして魔法少女と化しもう出番が無くなった事を良いことに暴走するものの、
そこを春儚に倒され「ひ…一コマだけ出たもん…」メタ発言をしていた。


◆学園側

■榊山涼平
『変わんねぇよな…お前は…』
『昔から俺よりずっと強ぇくせによ…』
真弥の幼い頃からの親友。スポーツ万能かつイケメンな人気者。ケンカも非常に強い。
故に真弥にとっても春儚と並ぶと言って良い位かけがえのない存在だが、一方では冒頭の台詞の通り自身のコンプレックスを写す鏡的な存在でもあった。
父は地元の総合病院の院長を務めており、真弥の父とも親交を持っていた。また同じ病院の看護婦である夏枝に想いを寄せている。
「〜lacrima〜」編からどういう訳か支配者として覚醒するものの、当然ながら彼は依然として真弥達を支え続けていた。
しかし、途中ある事件から想い人である夏枝が瀕死の重症を負い、春儚の命が危うかったが故に治癒の術を使わせる事が出来ずに真弥が彼女を見殺しにしてしまったのを「裏切り」と見なして闇落ちしてしまい、最終的には真弥と激突する事となる。
という話で進んでいくのだが、実は真弥の事情や夏枝はもう助からない身だったのを始めから察しており、全ては支配者である自身を殺させ真弥に世界(と春儚)を救わせる為の演技であった。
しかし、最終的にはそれを察していた名無達3バカや璃瑠の手によって止められてしまう。そして・・・
また「俺の救世主さま」では真弥をめぐり、春儚と度々激闘を繰り広げている。
最終章では「JUDAS」のパロディネタも披露した。


■御代神
『忘れんなよ…』
『てめぇとは必ず決着(ケリ)をつけてやる…』
真弥の学校にいる不良グループのリーダー。涼平のライバル的な存在。
それ故にか当初は真弥の事を彼の腰巾着と見なしてイジメの標的としていた。現に初期(と言うか第一話時点)の彼は、
救世主ノススメを真弥から奪った挙げ句返す様に迫る春儚を容赦無く殴った上に、その後取り返しに来た真弥をライターで火炙りにすると言ったド外道そのものであった。
しかしそれと同時に、ケンカで自身を敗った相手の強さを認めたり、自身を慕う仲間達は大切にするといった潔い一面を持つ。
故に、終盤では真弥の事もライバルとして認め、後にも意外な所で彼を助け叱咤すると言う漢気を見せた。


■祇園寺和臣
『ゴミってのは放っておくと街ン中汚して――』
『世の中の為に――なんねぇだろ?』
御代の不良仲間の一人。プライドが高く3人組の中でも特に真弥を見下しており、
璃瑠が(自分の境遇に重ねて)取ったぬいぐるみをゴミと見なして壊し、(故意では無かったとは言え)彼女のトラウマを抉る様な発言を連発し彼女を泣かせた(前述の御代以上とも言える)卑劣漢。
しかしそれが真弥の逆鱗に触れ、彼との涼平二人によって返り討ちにされる。
ある意味では、璃瑠が真弥に惚れるきっかけを作ったキューピッドとも言える存在であり、その一方で御代の事を心から慕っている。
故に「〜lacrima〜」編の序盤でも真弥の事を依然認めようとはせず、直後偶然手にした13騎士の一つ「風神」を手にした事をきっかけに闇落ちした結果真弥に決闘を申し込み・・・。
支配ノススメの力を手にし介入した涼平の手により(但し半ば正当防衛に近い形で)殺害される。


■須藤礫
『何言ってんだ…』
『お前らの方がずっと仲良かったさ…ずっとな…』
御代の不良仲間の一人。100kgものの体重を持つモヒカンの大男。
とは言うものの、涼平と一発接触になりそうになった御代を止めたり、
前述の璃瑠を巡るケンカの際に追い詰められ彼女を人質に取った祇園寺に対し「やり過ぎだ」と諭したりするなど、
寧ろ三人の中では一番の常識人かつ彼ら二人の良き理解者とも言える存在。


■厳上秋枝
『あたしの中ではずっと…誰よりも昔から――』
『弓樹が救世主だったから…』
厳上姉妹の妹。真弥と涼平の幼馴染みかつクラスメイトの一人。姉・夏枝のツッコミ役的な存在。
かつて母親を無くしてやさぐれていた涼平から暴行を受けるも、そこを真弥が涼平を慰めた事がきっかけで、自分達三人及び涼平との親友関係が生まれた。
この事から涼平は前述の台詞の通り真弥が自分よりもずっと強く優しい心の持ち主である事を悟っており、秋枝自身も真弥に密かな想いを寄せ続けている。


■厳上夏枝
『切ないハートにウェッティ!!』
美少女だらけの好きな人告白大会~!!』
厳上姉妹の姉。前述通り涼平の父の病院で働く看護婦であり、彼の長年の想い人。
酒好きかつノリが良くハイテンションな性格で、涼平の相談相手となったり本作のヒロイン達と告白大会を開いたりしている。
しかし真弥が春儚を救う為に起こしたある出来事が引き金となったある事件にて銃殺されてしまい、結果として彼らの対立を決定的な物としてしまうきっかけとなってしまう。
・・・実はこの直前に真弥との関係を進展させる為とは言え、
未成年かつ病人である春儚に大量の酒を飲まして一線を越えさせようとすると言うとんでもないDQN行為をやってのけているので、ある意味因果応報と言えなくもない事は密に、密に。


■惣まほか
『あ…あのっ…』
『さ…榊山くんが好きですっ!』
真弥と涼平のクラスメイトの一人。料理好きな秋枝の友人で涼平に片思いをしている。
新装版収録の後日談では本命であった夏枝の死など少々曲がりなりな事もあったものの、無事にその想いを実らせ涼平と結ばれる事が出来た。お幸せに!


■先生
『・・・・・・・・・・・・いずれ…』
『女だらけの国を創ろうと思っていた』
真弥達のクラスの担任の先生。その容姿は後のそらおとの守形先輩が成人した姿と言えばだいたい合ってる。
極度の女性好きかつ本作内でもさりげなく色々とぶっとんでいるチート人物であり、
  • 得体の知れない身な筈の春儚達四法聖の入学を美少女と言うだけで無条件で許可させる。
  • 女だらけの国を創る真弥達を守る為にクーデターを引き起こし、「平等院帝国」と称して軍と忍者達を率いて地元である九州を独立させる。
  • 自分達の街を美女だらけと聞いてセレスティアへ丸ごと移住させる。
と言った荒業をやってのけている。そしてどうやらこれらにはタルタルも一枚噛んでいる模様である。


■名無鉄之助・猫目しん太・岩国誠治
『春儚ちゃんのオッパイ…もませてくれ!!』
『俺は夢衣ちゃんのミニスカ――めくりてぇな…』
『氷刃ちゃんに踏まれたい!!強く!!ハードに!!!!』
(少年誌の範囲内でぜひ!!)
真弥のクラスメイトにして本作最大の愛すべきバカ達。故にタルタルと同様に登場時は殆どデフォルメされている事が多い。
その実態は正しく後のそらおとの智樹に勝るとも劣らない変態と言う名の漢であり、エロの為なら命をも投げ出す勢いを持つ。
それ故に何かと美少女達に恵まれる真弥に対し他ならぬ嫉妬心を燃やし度々暴走する。

以下そんな彼らの蛮行のまとめ。↓
  • 真弥と勝手にチーム「チョコもらえない」を結成し、バレンタインデーにてカップル達からチョコを強奪しまくる。(勿論、真弥は無加勢。)
  • 真弥達がセレスティアへ行っているのを勝手に南の島で皆とイチャつきまくっていると妄想した結果彼への殺意を爆発させ、結果、(真弥を追いかけ)南の沖まで泳いでたどり着く。
  • モテないヤローどもの世界を変えると称し、13騎士の一つ「槍王」を真弥達から掠め取ろうとする。
  • その際にそれを阻止しに来た氷刃を止めると言う建前で彼女の胸へダイブするしん太。
  • 結果、槍王はリーダーである鉄之助が手にし、その力で女性陣の服を破りまくる(ついでに真弥を殴る)というセクハラ攻撃を実行。特に氷刃に至っては全裸にされた。
  • タルタルの色仕掛け(パンチラ)に「わーい♡ぱーんちゅー♡♡」と小銭の落ちた音に反応するきり丸の如くダッシュで真弥達の元へ駆けつける。
  • 敵(アギト)に捕まり触手プレイ・・・もとい拘束を受けている春儚達の姿を見て逆に興奮。
  • 挙げ句そのアギトに対し「少年誌だからって恐れるなっ!!」とメタ発言。
  • 涼平を単身で説得しに行くついでに大量の下着を盗む鉄之助。

…とこれだけ聞くと所謂ただのロケット団的な3バカキャラクターの様に思われるが、
アギト戦編にて彼の本気の力に春儚達が圧倒される中タルタルに提案されたある作戦の為にただ一人身を張る鉄之助の姿は正しくであり、
直後のある人物との展開と相まって涙腺崩壊は必死な事であろう。
また新装版カバー裏の新装版収録の『オヤヤ?』では智樹との所謂変態コンビとして夢の(?)共演を果たしている。


◆支配者側

■璃瑠(りる)
『ねぇシンヤ聞いてる…? 聞い…てる…?』
『アタシ シンヤが好きよ…これからも…ずっと…』
支配ノ巫女して絶対なる四覇聖の一角「葬姫」。金髪ロングに二つのお団子頭をした美少女。そして、本作の真のヒロインとも言える少女。
かつては投獄されていた春儚を救った親友同士であり、生まれてから10年間投獄されて育った春儚にとってもある意味母親の様な存在でもあったが、
13歳となる直前に彼女がある"裏切り"をした事により世界中から迫害を受ける事となり、後に春儚への復讐を決意し四覇聖の一角として世界に仇なす存在となる。
特に氷刃からは現に街一つを焼き付くした瞬間に立ち会っている事から激しい憎悪を抱かれている。
しかし前述した祇園寺との一件から、自身の本質を理解し「この世界が璃瑠をいらないだなんて許さない!! 絶対に許さないからな!!」と世界を敵に回す事になってでも自身を救ってくれた真弥に激しく惹かれ続ける事となる。
それにより憑き物が落ちたのか、「〜lacrima〜」編では序盤にて春儚を救う事に曲がりなりにも協力したり、
自分と似た境遇に置かれている逢儚や涼平を諭したり、春儚との和解を考えようとするなど、精神的にも大きく成長した姿を見せる。
いわば彼女にとって真弥はナルトで言うイルカ先生ほむらで言うまどかレベルの存在である。
また「〜lacrima〜」編の序盤にて春儚を救出した直後には真弥の寝ているベッドの上で裸ワイシャツを着て一夜を過ごした。
どう見ても事後です。本当にありがとうございま(ry
しかしその一方で故に、彼と共にいられる運命が自身に無い(春儚にはある)と言う事だけは依然許せないままでいる。
何故かと言うと、春儚の記述でも書いた様に彼女は元々ある人物の手によって立場を入れ替えられた本来の救世ノ巫女であるからである。
終盤、ある目的の為に13騎士の一つ「聖母」を手にしようとした際にその時の記憶を取り戻した春儚からその人物の存在及びその"裏切りの真実"を告白される。
そして最終的には(セレスティア及び)春儚を救うには支配者である涼平を殺し、覚醒した救世主の力で「時穴を造る為に命(寿命)を削った」という春儚の因果を消す他無いと真弥に話す。
しかし結果的に、彼を説得しに行った結果涼平に槍王を奪われた身である名無を呼び出すと言う形でその決闘を引き留めてしまい、そして・・・


■サリエル
『そう…春が儚いと詩ったのは…』
『誰だったか……』
絶対なる四覇聖の長「死天使」。セレスティアの歴史を創世記の頃から熟知しており、未来を透視する力「ノルニルの旋律(うた)」を持つ。
その為、相手の行動をも読む事ができ、セレスティアの人間は誰一人として彼を傷付ける事は叶っていない。
しかしそれを初めて打ち破った真弥に対し以降彼に深い興味を持つ様になる。
「〜lacrima〜」編ではその力を駆使し「天使(あまつか)」と言う偽名で日本の首相の座に居座り、再び真弥達の運命を翻弄する。
どういう訳か上記の台詞の通り春儚の事を前から知っている事が伺え、春儚自身も彼の事になると酷く怯えたりと何やら因縁がある事を匂わせるが…。


■幻柳(げんや)
『初めまして 「死天使」サリエル様が配下――』
『糸繰りの幻柳だ』
サリエルの腹心。通称「糸繰りの幻柳」。自らの術に絶対的な自信を持ち、自身を「この世(セレスティア)でサリエル様の次に美しい」と称すナルシスト
その名の通り糸を使った技と魔物の召喚魔法を用いる。
初登場時はその糸繰りで幼女を殺す(厳密にはナイフを持たせて術で操り自殺させる)と言った事を平然と行うド外道だったが、
それに対する怒りにより雷帝の力を覚醒させた真弥の手により敗れ、以降真弥に対し激しいライバル心を燃やす様になる。
それからしばらく出番は無かったが、「〜lacrima〜」編からはどういう訳か「涼平より先にボクと決着をつけろ」と言う建前で春儚の病を治す術を教えたりするなど、多少真弥にも手を貸す事が増えた。
所謂本作におけるベジータ的なポジションとも言えるだろう。


■ゼオン
『剣を捨てろ 悲姫』
『楊慈の代わりに言っておく』
絶対なる四覇聖の一角「獅子帝」。長刀「金剛夜叉」を操るセレスティア最強と謳われる剣士。極度のヘビースモーカーであり、常にタバコを口にしている。
かつて親友であり後の氷刃の師であり彼女の想い人でもある陽慈とセレスティア最強の座を賭けて争い、金剛夜叉の力を調伏し彼を敗った過去を持つ。
その一方で、「最強」の座に拘るあまりに友を失った事には負い目を感じており、その過去からサリエルには一目を置いている。
しかしその「セレスティア最強」の名は伊達では無く、13騎士の一人、剣聖アルデヒャルトからも「剣の神をも越える男」と言わしめる程で、
かつてセレスティアで争いが無かった頃に、一見平和に見えても貧富の差が広がり一方で子供達が飢餓で死んでゆく今の世界(国王)に絶望し、支配者を王に据えた新しい世界の構築を目指し剣を振るう。
だが、その為に一度血によって世界を洗うべきという冷徹な思想を持つため、最終的には楊慈の剣・飛天凰舞を引き継いだ氷刃と激突する事となる。


■アギト
『ああ許してくれ…』
『俺を許して…許してくれよぉ~』
四覇聖の一角「狂神(くるいがみ)」。魔物達を操る事ができ、自らの片目を代償として潰すことで周囲の「死」を力の源とし巨大な「狂神」と化す力を持つ。
幼い頃から狂神の力を持つが故に村人からの迫害により両親を殺され、そこを魔物達に救われたと言う過去から、
以降人間界を敵と見なしており、平気で人を殺し、物を壊し罪を感じることを喜びとする狂人と化している。
作中では前述通りに名無達が槍王を手にした直後に真弥達と激突する。
その際には触手・・・もとい魔物達を駆使して逢儚とタルタルを除く四法聖の三人を捕らえ、真弥に逃げるか春儚達を取り戻しに来るかの選択を迫らせる。
伝言に来た幻柳曰く「仲間(春儚)達を見捨てて一生苦しむか、助けに来た所を目の前で殺すかで真弥の心を壊し、狂った救世主の姿が見たい」との事。
しかし最終的にはタルタル・逢儚・名無達3バカの活躍により真弥は救世ノススメの力を取り戻し、彼を打ち破る。
その後真弥への復讐を誓うもののサリエルからも用済み扱いされ、結果氷刃とゼオンの決闘を終えた直後に全ての魔物の始祖である女王の封印を解いてしまう。
しかしそれすらも真弥に倒されそれは魔物達を唯一支えとして生きて来た自身が再び孤独となってしまう事を意味していた。
そしてその悲しみを真弥へぶつけようとするものの、生まれて初めて自身のその気持ちを理解してくれようとする真弥の姿を見て最期に彼が下した決断とは・・・。






追記・修正は誰かの救世主となれる方にのみお願いします。















以下、本作の最後のネタバレ。未読者の方々はご注意!!















改めまして諸君




最後の13騎士「死天使」名はサリエル




本物の――――




支配者(エンピール)だ




  • サリエル
本作の黒幕。
その正体は真の支配者にして、13騎士の最後の13人目。
自らの能力である「ノルニルの旋律」の正体は「ラシケスの天秤」であり、あらゆる運命を操作出来る能力を持つ。
こうしてあらゆる運命を操作し、それを「予言」する事で「自身には未来が見える」と錯覚させていた。
また、同じ13騎士の一人であるが為に自らではその封印を解けない為、封印を解除させるために涼平を支配者に仕立て上げた。

元々13騎士は12人だったのだが、彼らだけの力では女王の封印に遠く及ばなかった事から、
命を創造するというセレスティア最大の禁忌を用いて自分達に与えられた神の力を注ぎ込み、自らの手で大天使セラキエルに匹敵する力を持つ13人目にして新たなる「神」を造り出した。それがサリエルである。
しかし女王の封印後に始まる人々の世界にその「神」の存在を恐れた彼らは、長である預言者バウルを残して皆自らを彼の記憶・力と共に封印する事となる。
本来"セラキエルに造れた"とされるセレスティアの人間は支配者(及び救世主)にはなれないのだが、彼は"他の13騎士によって"作られた存在な為にその資格を得る事が出来た。

それから千年後、13歳の誕生日の前日に璃瑠とかくれんぼをしていた春儚が偶然にも封印されている彼を見つけ、自身の境遇に重ねて彼女はその封印を解いてしまう。
そして彼はその力で春儚の願いを叶えようとし、彼女の『だったら救世ノ巫女になりたいな…そうすれば璃瑠と殺しあわずにすむから…』と言う願いを彼にとって都合が良いように聞き入れ、本来の救世ノ巫女である璃瑠と立場を入れ替えてしまう。



つまり、春儚と璃瑠の運命を翻弄した元凶でもある。



終盤、春儚と同時にその全ての記憶を取り戻した彼は自分と本来の支配ノ巫女である春儚を長い間閉じ込めた世界に絶望し、セレスティアを壊して人間のいない世界を春儚と共に新たに造る決意を固める。
そして最終的にやはり涼平を殺す事が出来ない真弥を自らの正体を明かすと同時に殺害し、支配者としての真の力を覚醒させ、他の皆を一掃する。

しかし、そこに救世ノ巫女としての力を取り戻した璃瑠が立ち上がり、聖母の力を彼から奪還し「真弥との決着に未練がある」としてサリエルを裏切る幻柳と協力して真弥を甦らせようとする。
そして当然サリエルはそれを止めようとするが、更にそこへアギトが表れる。
かつて「狂神」を名乗り同じく人間を憎んでいた彼だったが、自分の為にただ一人泣いてくれていた真弥の姿を見て自分もサリエルも元は同じ人間だと言う事を悟ったのである。
そして真弥の受け売りとばかりに彼の為に涙を流し、最後に残された狂神の力を使い彼を命懸けで諭そうとする。


「神」なんかじゃねぇ
お前も人間じゃねぇか…俺たちと同じ…

だまれ…!!

お前のために…俺が泣いてやる…

フ…フフ…残った左目もささげて「狂神」になるつもりか…
そんなものでは…「神」には遠く及ばんぞ…!!

お前のために泣きつづけてやる…永遠に…


その一方で最終的に璃瑠は幻弥とアギトの協力により真弥の元へたどり着く。そしてその「聖母」の力とは、




「自分の命を渡すことですでに死亡した者を蘇生する」と言う物で、
その前に璃瑠自身も既にサリエルの放った13騎士達の力により致命傷を受けていた。




しかし、それでも彼女は願った。真弥がセレスティアを救う事を。そして来世で自身が今度こそ真弥と結ばれる未来を。


さぁ…起きて…シンヤ…


起きて行かなくちゃ…世界中がシンヤを…待ってるよ…


アタシの命をシンヤにあげる…


死ぬんじゃないのよ…?アタシはシンヤの命になるの…


「聖母」の力で…ずっとシンヤと一緒にいられるの…ずっと…ずっと…



そうして、彼女はその唇と共に真弥に自らの命を捧げる。



どうせ春儚のものになっちゃうんだから…これくらい…いいよね…


ねぇシンヤ…次…もし生まれ変われたら…


今度こそ――――春儚じゃなくてアタシを…



そうして皆を再び一掃し、春儚に「(皆を殺して欲しくないなら)笑え」と言うサリエル。
そして甦った真弥は眠りに就いた璃瑠の姿を見て何を思ったか、そして春儚に笑顔を求めるサリエルの真意とは…
救世主と支配者、その争いとセレスティア及び春儚の行く末は…



…その結末は、是非貴方自身の目で確かめてほしい。




僕はずっと――――


自分が嫌いだった
いつも涼平がうらやましかった
だって僕はあまりにも最低なんだ



でもあの日彼女に出会って少しだけ――――


みんなに出会ってもう少し――――


あの子に出会ってどこまでも――――




自分を変えたい そう思ったから――――




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最終更新:2024年04月09日 13:23