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デデデ・ファクトリー

登録日:2015/03/15 Sun 22:43:23
更新日:2026/07/15 Wed 08:53:22
所要時間:約 6 分で読めます







「産業革命の尊い犠牲となるぞい! ドゥハハハハハハ……!」



「デデデ・ファクトリー」とは、テレビアニメ『星のカービィ』第28話「恐怖のデデデ・ファクトリー」に登場する工場のことである。


概要

デデデ大王ホーリーナイトメア社から取り寄せた「プププランドを工業化する産業革命セット」をもとに、産業革命と称して建設された。
劇中ではもっぱら「ファクトリー」と呼ばれる。
見た目は塀に囲まれた巨大な工場そのもので、門の両脇や工場の正面上に飾られた大型歯車のモニュメントが特徴。
だが何より、大小の煙突からまき散らされる青黒く毒々しい排煙が嫌でも目立ち、見るからに空気を悪くしそうな施設であることが伺える。

ファクトリー内部には核となる巨大スチームエンジンや、何列にも並んだベルトコンベアが設置されており、一本のレバーが施設全体の主電源を担う。
他にも運搬用の手押し車やクレーンアームも確認できる。
モニターには工場の主であるデデデ大王が映し出されるのだが何故かモノクロ。カラーテレビは普及してるのに……。

デデデ・ファクトリーでは洗濯機や掃除機などの「便利グッズ」が生産されていて、村人達が働けばその報酬として貰えるのだという。
作業内容もベルトコンベアを流れてくるパーツに対し、ネジを締めたり叩いたりする単純な流れ作業が中心。特に専門的なスキルは要求されない。
子供のブンやカービィでもあっという間に手慣れていく簡単な仕事である。




しかし、そんなファクトリーの実態は能率至上主義、労働者の人権を無視したブラック極まる労働環境
ファクトリーでの作業はなんと休憩が設けられない12時間労働*1
であり、昼夜を問わず24時間も稼働し続けている。労基署に駆け込み待ったなしの違法体制である。
更に子供を労働させることについても「遊んでいるだけ」と屁理屈をこねて認めようとせず、未成年の労働まで肯定する姿勢。
そもそも彼らに支給されたユニフォームが囚人服のごとき縞模様というのも……。

「でも昼食の時間はさすがに取らせてくれるんでしょ?」と思ったら大間違い。
代わりにやってくるのはトウモロコシスープなどの食事を乗せたアーム付きロボットで、両手の塞がった労働者に自動で食わせることにより作業の手を止めさせないまま必要な食事だけ取らせるというトンデモランチタイムが繰り広げられるのだ*2
味についても粗悪ではないが美味でもなく、「悪くない」カワサキの店よりマシだ」と言わしめる程度の質らしい。

この時点でも頭が痛くなりそうだが、案の定と言うべきか人命軽視も当たり前。
上記のロボット達が何故かカービィに集中し、爆発事故を起こしてベルトコンベアの奥に巻き込まれた時*3も「生産力の低下」を理由に稼働を止めなかった。

しかも根本的な話として、働き抜いても渡されるのは日給ではなく便利グッズ。
労働の対価こそ用意されているが、一度に12時間も拘束してやらせることが事実上タダ働きなのだから本当に酷い。


ファクトリーの問題点

上記の時点から既に問題点まみれのファクトリーだが、村人達には労働さえも新鮮に映っていたこともあり、疑問を持たれないどころか下記の問題が発生している。

村人たちの社畜化

「工場での労働」という全てが初めての体験において、村人にしてみれば労働基準法だとか、現実では当たり前のものは意識に無い。
初めは不慣れな作業も延々続けて慣れたことで楽しさを見出した結果、長時間作業を苦に思わなくなり、判断力もマヒするなど労働に取りつかれてしまっている。
こうなってしまった村人たちは灰色の虚ろな目という形で表現されており、何だかちょっと怖い。

他人にも関心が薄くなっており、爆発事故でカービィがベルトコンベアを流されても、カービィが流れて来たことに驚く程度で助けに行こうともしない。
救助のためにフームが稼働を停止させれば、逆に作業と和を乱した邪魔者として文句をつけるなど、完全に判断基準が労働に支配されている。
なのでファクトリーが悪いとは1ミリも思っておらず、後に一人反対の声を上げ続けるフームに一部の村人はトマトを投げつけ(=農作物を粗末にすることを何とも思ってない)、労働と利益(便利グッズ。しかも多くても一家に4つほどくらいしか使わず、大量にもらっても売るくらいしか使い道がなくさそうなもの)で頭がいっぱいになっている様子がよくわかる。

このように村人達の殆どは、デデデの都合がいい労働力、ファクトリーの歯車そのものとして組み込まれており、誰もその自覚を持っていない。
……だが、本当の問題はここから。


環境汚染

稼働中のファクトリーからは垂れ流される煙には、大量の二酸化硫黄や窒素酸化物が含まれている。
これが大気中に拡散し、雨に混じって降れば有害な酸性雨となる。
ファクトリーが稼働したての頃は雨が降っていなかったので見過ごされたが、後に酸性雨が降り注ぐようになるとプププランドは草花一つない地面、枯れ果てた木々の数々が広がる荒廃した大地に変貌。
おそらくウィスピーウッズの森も滅び、そこの動物も引っ越しを余儀なくされた可能性は高い。

少し考えれば、ファクトリーの存在自体が元凶であることは一目瞭然なのだが、
便利グッズなどという目先の利益に捉われ、村人の誰も環境被害を気にしなかったためにプププランドの自然がことごとく壊滅する結果に繋がってしまった。
自然を愛するフームも全てに気付いた時は深いショックを受け、あまりの惨状に絶望して崩れ落ちてしまった。

しかし、これでは普段デデデが作りたがっていたゴルフ場としての利用も望めない。ゴルフ場の事を忘れていたとも考えにくい。
一見するとファクトリーの存在がデデデにどのような利益をもたらそうとしているのか、不透明な部分も多いのだが……?




余談

  • デデデ・ファクトリーで働く村人達に対して、劇中ではキュリオとメタナイト卿のセリフがとても強烈。
    • キュリオは村人の中で唯一労働の輪には加わらず、反対活動が実らないフームに「真実を叫ぶ者は常に僅かじゃ。大多数の人々には理解されない」と諭すなど、一歩引いた視点から世間の本質を教えた。
    • 一方でメタナイト卿は辛辣そのもので、目先の利益に飛びついて酸性雨問題を見過ごした村人達を「愚か者たちは、痛い思いをしなければ理解できない……」と冷酷に突き放し、彼らを止める気は全く無かった。
    • どちらもファクトリーと孤独に戦うフームを直接手伝いこそしなかったが、それぞれ僅かな指針は示しており、双方のキャラクターが光る描写となっている。

  • 単純作業ばかりする村人、ベルトコンベアの中に飲み込まれていくカービィ、食事を食べさせてくれるロボなどは「モダン・タイムス」のパロディ。モノクロのモニターに映るデデデ大王も当然これが元ネタ。
    • ちなみにこの映画自体、主演のチャップリンの熱演もあって笑えるコメディ風ではあるが、内容は機械文明を風刺した作品でもある。

  • この回のAパート途中で流れる独特なテクノ音楽は、ゲーム版の「こうじょうけんがく」とはまた違った印象的な曲。デデデ・ファクトリーといったらコレが思い浮かぶ人も。
    1ループ目のサビ辺りで虚ろな目の村人達が映し出されるシーンも相まって、記憶に残りやすい一曲である。



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最終更新:2026年07月15日 08:53

*1 放送当時の労働基準法(2002年時点)でも日の労働時間が一定を越えたら、休憩時間を設けることが義務付けられているぐらい。

*2 だったら作業もロボットにやらせればよかったのでは……と思わなくもないが、デデデの事なので雇用云々を言い訳にしそうである。

*3 歯車に挟まれ、あわやプレス機に潰されかけるという「こうじょうけんがく」ばりの危険な目に遭った。