折畳式短機関銃

登録日:2015/07/05 (日) 01:13:30
更新日:2020/12/11 Fri 20:08:37
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折畳式短機関銃とは、字面通りの携帯機能特化型短機関銃である。要は準ネタ武器。
わかりやすく言うと短機関銃版トランスフォーマー。


開発背景

この手の武器の開発は結構古く、1970年代にはすでに設計されていた。
当時は各国でテロ屋がヒャッハーしており、政府関係者どころかそこらのビジネスマンまで狙われていた。
以前から、サブマシンガンをアタッシュケースに仕込んだシークレットサービス(SS)用偽装銃はあったのだが、
まさかリーマンに仕事用と護身用でケース2つを常日頃から持ち歩け、という訳にもいくまい。

SSからしても、手荷物お預かりな場所でテロ屋に襲われたらその瞬間オワタ式なので、
懐に忍ばせやすく、かつフルオートが可能な銃器というのは、喉から手が出るほど欲しいものなのだ。
拳銃でアサルトライフルに勝てるのは、物語の主人公かガン=カタ修得者くらいと相場が決まっている。

そんなわけで、折り畳めば小さなツールボックスか何かのように偽装でき、なおかつ展開すればフルオート火器。
そんな銃が設計されるようになるのは必然だったわけである。
それがマーケティング的に成功したかは別だがな!

しかし、対テロ護身用として開発されたということは、それだけ隠し持ちやすいということなわけで、
むしろテロ屋こそ諸手を上げて買いに走り、盛大に撃ちまくりそうな。
実際にそれなりの数売れたとしても、少なからぬ量がテロ屋のもとに流れてると思うのだが、その辺どうなんだろう……


折畳式短機関銃一覧

数は少ないが、ネタとしてはなかなかのものが揃っている。
手遊びに読む分にはまあまあ面白かろう……たぶんきっとめいびー。

また、全てのモデルに共通する欠点だが、ギリギリまで小型化しているため反動制御に難がありまくる。
その辺は狙って撃てないため関係ないド素人か、真逆のライトスタッフしか使わないと割り切ったのだろう。

アレス FMG

ユージン・ストーナーが興したアレス社のデザイナー、フランシス・ワリンが70年代に設計した。
FMGは“Folding (sub)Machine Gun”の略で、要するに折畳式短機関銃の元祖。偽装形態は小型ツールボックスのように見える。
緊急時の接近戦やド素人がとりあえず牽制にバラ撒くのがメインなので、アイアンサイトさえついてない。
システム周りはシンプルブローバックとオープンボルトを組み合わせたシンプルなもの。

二つ折りになった箱(というか棒?)を真ん中から割るようにして展開する。まあ、折畳式短機関銃は皆そうだが。
箱を開くと中からグリップ周りが現れ、それを掴んでぶっぱする。

MP40のマガジンを流用したものと、ウージーのものを使う2つのプロトが作られた。
マガジンは20連と32連の2種類があるが、後者を装填すると折り畳めなかったりする。ダメじゃん……


ポートマン M21

アメリカのガンスミス、ユタ・コナーが開発したUC-9を、ディーラーのデイブ・ポートマンと組んで発表したもの。
UC-9は“UnderCover 9”の略。FMGと同時期に開発されている。ウージーのマガジンを使うのも一緒。
アイアンサイト兼用のキャリングハンドルと偽装用のアンテナを備えており、偽装形態は携帯ラジオ。
このためか、「ラジオ・サブマシンガン」というあだ名がある。

FMGともども、フルオート銃規制法“FOPA86”の直撃をモロに喰らい、極小数の生産に留まった。

KBP PP-90

KBP設計局(トゥーラ設計局とも)が90年代に開発したモデル。ロシア製なので9mmマカロフ弾仕様。
FMGの改良版のような見た目だが、折畳式アイアンサイトの増設なども行われている。
内務省など、アンダーカバーユニットを擁する部署向けに開発された。
アンダーグラウンドガンのくせに海外輸出も行われており、この手の銃では最も売れた。
それ、輸出じゃなくて横流しじゃねーの?

なお、国内では信頼性に欠けるということで埃を被っていたらしい。ンなもん輸出すんなよ!
同じKBPが開発したPP-90M1は、型番が近いだけの別物なので注意。

マグプル FMG-9

マグプル社が2008年のショットショーで発表した、最新鋭の折畳式短機関銃。
FA-MASそっくりのキャリングハンドルを備え、技術の発展からかさらに工具箱らしくなった。
中身はグロック18Cのシステムをそのまま流用しているので、見た目はともかく性能的には元祖とは別物。
地味にフラッシュライト(キャリングハンドルともども着脱可能)が標準装備されている。

その後音沙汰がないと思いきや、ひっそりと開発終了。
同社のエアガン部門から“FPG(Folding Pocket Gun)”の名で発売されてたりする。

アニヲタ的には、世界で2000万本を売り上げた超大作「コールオブデューティー:モダン・ウォーフェア3」でマルチプレイ用武器として世界中のプレイヤー達に愛用された事例が有名。バックアップ武器としてメイン武器とは別個に装備でき、至近距離戦闘で無類の強さを発揮した。
何より、FMG-9をデュアル装備した時の両手に持った収納状態のFMG-9をジャグリングするかのように放り上げ、回転で展開させる大胆極まる動作はあまりに鮮烈で、今でも語り草。

登場作品

基本的にアクション映画かFPSにしか出てこない。まあ、素性的にしゃーないが。
主なものを挙げると、
  • M21:ロボコップ2(クソガキマフィアことホブ・ミルズが使用)
  • FMG-9:バトルフィールド ハードラインやCoDMW3など
こんなもの。筆者の知る限りでは、FMGとPP-90は映像作品やゲームには出てないようだ。

出てくる場合はマシンピストルなど、バックアップウェポンとしての運用がメインといえる。
まあ、もともと至近射撃戦に特化してるし、バックアップ以上にはならんわな。








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最終更新:2020年12月11日 20:08