ハインリッヒ・フォン・キュンメル(銀河英雄伝説)

登録日:2015/08/18 (火) 19:28:35
更新日:2025/06/21 Sat 16:28:25
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ぼくは何かして死にたかった。どんな悪いことでも、バカなことでもいい。何かして死にたかった……それだけなんだ。

……キュンメル男爵家は、ぼくの代で終わる。ぼくの病身からではなく、ぼくの愚かさによってだ。

ぼくの病気はすぐに忘れられても、愚かさは幾人かが記憶していてくれるだろう。




ハインリッヒ・フォン・キュンメルは、銀河英雄伝説の登場人物。
帝国暦471年~新帝国暦001年




■[来歴]■

銀河帝国の貴族であるキュンメル男爵家に生まれる。
幼い頃に両親を亡くしており、彼がキュンメル男爵家の当主となってからは、
叔父であるフランツ・フォン・マリーンドルフ伯爵が後見人としてキュンメル家の財産を管理していた。
そのため、マリーンドルフ伯爵の娘であるヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ*1と親しく、
ヒルダが一人っ子で面倒見の良い性格なこともあって、彼女とは従弟というより姉と弟のような関係だったようだ。

生まれつき『先天性代謝異常』という難病に侵されており、人生の大半をベットで過ごしていた。
この病は、治療用の薬を数年に亘って与えれば完治するのだが、ゴールデンバウム王朝銀河帝国では、
劣悪遺伝子排除法と言う遺伝性の病気を持つ者を安楽死させる法が存在し、マクシミリアン・ヨーゼフ2世が有名無実化してからも、
弱者への福祉政策をよしとしない風潮が存在したため、非常に高価なものになっていた。

幸いキュンメル家は『平均的な所得を得ている貴族』だったために、生命を永らえる事ができたが。
それでも、彼が乳児の時には『3歳までの生命』と言われ、5歳の時には『あと2年がせいぜい』。
さらに、12歳の時には『15までもたないだろう』と言われていた。

自らの死期を悟った彼は、自分が生きた証にせめて何かを為してから死にたいという思いから地球教の陰謀に荷担。
ゴールデンバウム王朝を滅ぼし、新王朝の開祖となったラインハルト・フォン・ローエングラムを暗殺することで歴史に名を残そうとキュンメル事件を起こす。

結局、このテロは帝国に亡命していたヨブ・トリューニヒトの密告と、それを受けた憲兵隊の迅速な行動によって失敗に終り、彼も命を落とした。


■[人物]■

人生の大半をベットで過ごしていたことから歴史や芸術を好むロマンチストであり、
特にレオナルド・ダ・ヴィンチや曹操など複数の分野で成功を収めた人間に憧れる傾向があった。
病によってベッドに臥せっているだけの人生を送らざるを得ない彼にとって、
同時代の英雄であるラインハルト・フォン・ローエングラムは憧れと憎悪の対象だったのだろう。

ちなみにキュンメル事件は首謀者が地球教だと判明していたため、ラインハルトはハインリッヒへの死後の処分について聞かれると、
「凶器を罰することはしない」と述べ、キュンメル男爵自身の罪は問われることはなかった。


■[余談]■

キュンメル事件以前にヒルダの計らいでキュンメル邸を訪れたメックリンガーは、彼がペットを飼っていないことに驚いていた。
メックリンガーに言わせると病弱な人間は自らの代償行為として身近に元気なペットを欲しがるものらしい。



ぼくは追記・修正して死にたかった。
どんな悪いことでも、バカなことでもいい。追記・修正して死にたかった……それだけなんだ。
ぼくの病気はすぐに忘れられても、この項目は幾人かが記憶していてくれるだろう


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最終更新:2025年06月21日 16:28

*1 後の皇后ヒルデガルド・フォン・ローエングラム