ゴールデンバウム王朝

登録日: 2016/07/29(金)06:41:33
更新日:2020/03/12 Thu 20:45:08
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【概要】

ゴールデンバウム王朝とは、田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』に登場する架空の王朝。

銀河連邦末期、腐敗した銀河連邦の支配に飽きた民衆の前に英雄として登場したルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは、民衆の支持のもと「神聖にして不可侵なる」銀河帝国皇帝に即位。

以後、彼とその子孫たちは五百年の長きに渡り銀河の支配者として君臨した。

【政治制度】

言うまでもなく専制君主制。ルドルフ時代は皇帝による親政が行われていた。
各省庁のリーダーが尚書として皇帝に直接仕える方式もその名残である。
もっとも、第2代皇帝ジギスムント1世の時代には帝国宰相が置かれ、その後は親政が行われるかどうかはその皇帝の能力と性格によっていたようである。
ただし、歴史が下るにつれ帝国宰相は空位とされる事が多くなり、国務尚書が実際の国政を主導するようになった。

各帝国貴族には領地において広範な自治権が与えられており、ブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯のように私兵を持つ者、アルテミスの首飾りをフェザーンから購入した(OVA版)カストロプ公などの例が存在し、帝国末期には反乱も頻発していた。

【社会】

社会風俗に関しては押しなべて古ゲルマン調の文化であり、これは貴族から平民の姓名と習慣まで同様である。
こう言ったもともと中近世的な生活様式と低福祉・高税率のためか、または人的資源については潤沢なためか、末期の同盟ほどの極端なインフラ衰退は見られない。

宗教については西暦でほぼ潰えたとする同盟側の歴史観も存在するが、帝国においては北欧神話をもとにした死生観や信仰が存在している。
また、地球がその版図にあるためか、地球教の浸食も同盟以上に進んでいるとされる。

国力では同盟を上回っているものの、社会そのものは戦争と関係なく衰退期を迎えており、銀河連邦当時3000億を数えた人口も、作中の時点では250億ほどに低下している。

こんな政体で、かつ上述したような人口差があるのだが、銀河連邦が300年で崩壊し、銀河帝国との長期戦の末に270年余で降伏・解体した自由惑星同盟よりも長命で、作中の諸政体でも490年という数字は地球統一政府(約670年)に次ぐ長期政体である。

【帝国軍】

軍事については同盟と技術的な差はほとんどなく、あったとしても直ぐに対抗手段が取られていたとする描写が存在する。

ただし、末期からローエングラム王朝期まで激しい争奪戦が行われたイゼルローン要塞、それよりやや旧式小型とされるもののリップシュタット戦役で貴族連合の拠点となり、ワープにより第8次イゼルローン要塞攻防戦に導入されたガイエスブルク要塞など、静的な兵器については同盟を上回っていた節もある。
その理由としては、同盟がアッシュビーを中心とした機動戦論者が幅を利かせていたことと、第2次ティアマト会戦での大敗により帝国が防衛戦を志向したことが大きく、またその体制故に資金的にも潤沢であったことが挙げられる。
また、指向性ゼッフル粒子の開発は帝国が同盟に技術的に先んじた例といえるだろう。

もっとも第5次イゼルローン要塞攻略戦に見られた味方殺しや捕虜になることを忌避する価値観もあり、戦死率は同盟とそれほど変わらなかったようだ。
その他同盟との違いについては階級に上級大将が設けられている点が挙げられる。

社会機構そのものが身分制度を前提としており、当然ながら軍隊でもその傾向が顕著である。
ただし、同盟との対抗上、軍部では実力主義的気風や人事傾向も存在しており、こと第2次ティアマト会戦における「軍務省にとって涙すべき40分間」の影響から、その末期は平民出身の将官もそれほど珍しいものではなくなっていた。
彼ら平民や下級貴族出身の将兵の支持を集めたのがラインハルトであり、そう言った意味で帝国軍こそ新王朝の母体であったと言える。


【歴代皇帝】



ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝の開祖で後世からは『大帝』の称号で呼ばれている。

元々は銀河連邦の軍人で政戦両略に非凡な才覚をもち、軍隊内の綱紀粛正や宇宙海賊の討伐で名を上げ、若き英雄として民衆の支持をうける。

軍を退役後は政界入りし、強力な指導力とゆるぎない信念で当時腐敗を始めていた銀河連邦の改革を断行。
やがて国民投票によって『神聖にして不可侵なる』銀河帝国皇帝となる。

だが、即位後は自己神格化を進め、反対者や社会的弱者の粛正に奔走。
功臣達を中心に貴族階級を確立して、特権階級支配による王朝の基礎を固める。

皇后エリザベートとの間に4女をもうけたが、後継者たる男児を得る事ができず死後帝位は長女カタリナの息子ジギスムント1世が継いだ。
側室との間には男児ができたが、死産であったという。側室、侍医を含め、関係者全員が死を賜ったことを鑑みるに、
実は男児は死産ではなかったが、先天的障害(白痴であったと言われる)があり、しかもその原因がルドルフ側にあったことが推察される。
この事実は『劣悪遺伝子排除法』を発布し、自らの遺伝子の絶対的な優性を疑っていなかったルドルフを大いに苦しめたと言われている。


ジギスムント・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第2代皇帝。
初代皇帝ルドルフの孫。

有能な専制君主で、父である帝国宰相ヨアヒム・フォン・ノイエ・シュタウフェン公爵の補佐を受けつつ、ルドルフの死後に起こった共和主義者による反乱を粉砕し銀河帝国の基礎を固める。
反乱を起こした共和主義者とその子孫を農奴などの被差別階級へと落とすなど反逆者に対しては非情な支配者だったが、同時に良民には誠実かつ公正な姿勢を徹底していたと言われており、民衆からの支持は高かった。

なお、ジギスムント1世が即位した時点でゴールデンバウム王朝における皇祖ルドルフ大帝の男系子孫は途絶えているため、実質的にはノイエ・シュタウフェン王朝に移行している。


リヒャルト・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第3代皇帝。
先帝ジギスムント1世の長男。

政治よりも美女と狩りと音楽を愛する人物だったが。それでも専制君主としては足を踏み外すことなく無難な一生をおくる。


オトフリート・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第4代皇帝。
先帝リヒャルト一世の長男。

健康的で真面目だが、禁欲的、散文的で、陰気な保守主義者。
当時と未来の人々を退屈させるという点では比類ない人物。
趣味もなく、自発的に読んだ本は「始祖・ルドルフ大帝の回想録」と「家庭医学書」のみであると伝えられている。

スケジュールを神聖視し、その日のスケジュール通りにこなす事が目標ともいえる程であった。
軍の施設で爆発事故が発生し、1万人以上の将兵が死亡した事件の報告を「そんな報告を聞く予定はない」と冷たく対応したと言われる。

しかも、本人はスケジュールを自分で立案する能力はなく、実質的に政務秘書官であるエックハルト伯爵の操り人形と化しており、結果的にエックハルト伯爵の専横を招く。


カスパー・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第5代皇帝。
先帝オフリート一世の長男。

父親よりも祖父に似たのか芸術や美を愛する性格で、国政には関心を示さなかったため、政治の実権は引き続きエックハルト伯爵が握っていた。

自己の権力を盤石にするためエックハルト伯爵は自分の娘とカスパー1世を結婚させようと図るが、同性愛者であったカスパー1世は、カストラート(去勢された男性歌手)のフロリアン少年を寵愛していたためこれを断固として拒否。
業を煮やしたエックハルト伯爵は、ついに邪魔者であるフロリアン少年を殺害するため兵士を連れて後宮に乗り込むも、皇帝の意を受けたリスナー男爵の指揮する一隊によって逆に誅殺される。

騒動の後、カスパー一世は退位宣言書を玉座に残し、幾ばくかの宝石を持ってフロリアン少年と駆け落ちし、以後は完全に行方不明になった。在位わずか1年。

同性愛者を社会的弱者として排除していたルドルフ大帝の行動を考えると、その子孫に同性愛者が出てしまったのは歴史の皮肉と言えよう。


ユリウス・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第6代皇帝。
第4代皇帝オトフリート一世の弟。
先帝の失踪によって76歳という高齢で即位した。

彼自身よりむしろその息子であるフランツ・オットー大公の才覚が期待され、中継ぎとしての即位であった。
しかし周囲の期待に反して長生きし、二十年もの長きに渡り在位したため、ついには息子のフランツ・オットー皇太子の方が75歳で先に病死してしまう。

本人は老齢のせいか政治に対する意欲を持たず放蕩三昧という無能な皇帝だったが、息子であるフランツ・オットー皇太子が非公式な摂政として国政を統括していた。
オットー皇太子が堅実な施政を行ったため国庫は安定しており、彼の治世は大体において善政に終始した。

最後は曾孫であるカール皇太曾孫に毒殺されるが、あまりの在位期間の長さに重臣たちはほぼ例外なく全員がうんざりしており、その葬儀は盛大ながらも心のこもらぬものとなったと伝えられている。


ジギスムント・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第7代皇帝。

先帝ユリウス一世の曾孫だが、本来の継承者である従弟のカール皇太曾孫が精神病院に幽閉されてしまったため、ブローネ侯爵だったジギスムント二世が即位。

有能な政治家だったフランツ・オットー皇太子の側近を解任し、その後任に自分の側近をすえると盛大に浪費を繰り返し、終いには金を得るため徴税権の売却や金銭による免罪に走り国政を大混乱させる。
あげくに無実の罪で豪商三百人を一族諸共全員皆殺しにして財産を没収したことをきっかけに、ついに堪忍袋をぶち切った皇太子オトフリートによって廃位され荘園に軟禁された。

死後『史上最悪の黄金狂』『痴愚帝』『歴史上最大の禁治産者』と呼ばれる。


オトフリート・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第8代皇帝。
先帝ジギスムント二世の息子。

史上最悪の禁治産者と堕した父親を庭園に軟禁し即位した。
即位後は父親の側近であった三人の大臣を処刑したのを手始めに先帝の治世十五年の間に積み上げられた政治の腐敗を一掃した。

オトフリート二世の政治改革は特に独創的なものではなく、曾祖父たるフランツ・オットー皇太子の摂政時代に時計の針を逆転させただけだったが、それのみで名君と讃えられている。
彼の治世によってジギスムント二世の暴政によってゴールデンバウム王朝から離反しかけていた人々の心は再び帝室に回帰した。

オトフリート二世は六年にわたって国政に精勤したが、最後は過労のため早逝した。


アウグスト・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第9代皇帝。

国政の場においては有能な専制君主であったが、統治者としての節度ある態度と、私生活における淫蕩ぶりの落差が激しく、『後宮の凡君、国政の名君』と評される。

で、私生活ではどんなだったかというと、重度の髪フェチだった。
具体的には長い美しい髪の女性を好み、ベットの上に百人の女性の髪を敷き詰め、その上を転げまわって陶然としたり、病死した愛妃の髪を泣きながら食べて胃の壁に髪が刺さって医者たちが蒼白になったことも。
まあ無害ではあるがなかなかのHENTAIである。

ただ、それでもアウグスト一世が水準以上の君主とされるのは、愚行をあくまでも後宮内に止め、国政の場においては、専制の範囲内ではあるが、公正で堅実な統治者として一貫したからである。


エーリッヒ・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第10代皇帝。

リヒャルト・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第11代皇帝。

オットー・ハインツ・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第12代皇帝。
特に情報は無いが、彼の治世に精神病院に幽閉されていたユリウス1世の孫のカール皇太孫が97歳で死亡したとの記述がある。


リヒャルト・フォン・ゴールデンバウム三世

ゴールデンバウム王朝第13代皇帝。

『流血帝』アウグスト二世の父。
余りの出来の悪さに皇太子であるアウグスト二世の廃立を考えるも、アウグスト二世の弟たちもさして出来の良い方では無かったため廃するだけの決心がつかなかった。

結果からすると、アウグスト二世の弟たちが例えどれほど出来が悪くても、少なくともアウグスト二世を即位させるよりはマシだったろうが…


アウグスト・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第14代皇帝。
先帝リヒャルト三世の長男。
歴代のゴールデンバウム王朝皇帝の中で最も悪虐な皇帝として知られ、後世『流血帝』と呼ばれる。

自力で立って歩く事もできないほどの極度の肥満体で、「溶けかけたラードの塊」などと形容される。
痛風を患っており、その発作を抑えるためアヘンを常用していた。

即位後、真っ先にやったことは父の愛妾の惨殺。殺された女性達はみな体の皮を剥がれていたという…
恐怖政治を敷き、ルドルフのような信念からではなく、単なる保身と快楽のために実の母である皇太后や弟たち、貴族から民衆まで無差別に虐殺を行なった。
アウグスト2世が殺害した総数は2000万人とも600万人とも伝えられている。

最後はリンダーホーフ侯エーリッヒ(後のエーリッヒ二世)による叛乱の最中、腹心である近衛旅団長シャンバークによって、自らが多くの「」を与えていた有角犬の巣穴に突き落とされ殺害される。

なお、シャンバークはエーリッヒ二世によって暴君を殺して国家と人民の害を取り除いたことを称えられ大将に昇格。
直後に暴君の腹心として多くの人々を惨殺した罪に問われ銃殺刑に処された。
まさに因果応報。

  • 余談
ダイヤモンド製の微細な針を眼球に突き刺し、更に眼底を経て脳にまで突き通して、相手を狂死させる『アウグストの注射針』なる処刑方法を考案した。


エーリッヒ・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第15代皇帝。
先帝アウグスト二世の従兄。

アウグスト二世が即位した際に身の危険を感じ、その手を逃れて自領に引き籠っていた。
が、オーディンにいた皇族などがあらかた殺し尽くされた後出頭を命じられ、惨たらしく殺されるくらいならばと止むなく反旗を翻す。

本人としては窮鼠猫を噛むの心境でペンダントの中には敗れた際には残虐に殺害される前に自殺する為の毒薬を仕込んでいる程だった。
しかし既にアウグスト二世は人心を失っており、彼の予想に反して有力な貴族や有能な軍人達が次々に彼の元に集結し、瞬く間に勢力を拡大。
ついにはトラーバッハ星域会戦で皇帝軍と戦闘になったが、皇帝軍は殆ど戦闘行為を行わずに事実上投降したため大勝。
そしてその時には既にアウグスト二世もこの世におらず、そのままオーディンへ進軍、皇帝に即位。
ちなみにこの時彼の元に集った提督の中にはコンラート・ハインツ・フォン・ローエングラム伯爵という人物も。

即位後はアウグスト二世時代の恐怖政治の影を一掃し人心を安定させたことから『止血帝』と呼ばれる。


フリードリヒ・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第16代皇帝。


レオンハルト・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第17代皇帝。


フリードリヒ・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第18代皇帝。


レオンハルト・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第19代皇帝。

実子がなく、皇后の勧めで甥であるフリードリヒを養子にするが、その直後に死亡。

一説によるとフリードリヒ三世と皇后クリスティーネは不倫関係にあり、そのために養子に推薦されたのではないかと囁かれている。

レオンハルト二世の死も、フリードリヒ三世と彼と共謀した皇后によって暗殺されたのではないかとも言われているが真相は不明。


フリードリヒ・フォン・ゴールデンバウム三世

ゴールデンバウム王朝第20代皇帝。
先帝レオンハルト二世の甥。

後述するグスタフ一世、マクシミリアン・ヨーゼフ二世、ヘルベルト大公の父親でマクシミリアン・ヨーゼフ一世の異母弟。
『ダゴン星域会戦』時の皇帝なので後世『敗軍帝』と呼ばれる。

長子であるグスタフ一世は生来病弱でフリードリヒ三世の眼には頼りなく見え、また次男のマクシミリアン・ヨーゼフ二世も庶子だった為、三男であるヘルベルト大公を偏愛した。
治世中に「自由惑星同盟」が発見されると、フリードリヒ三世はグスタフ一世を廃立し、新たにヘルベルト大公を皇太子に立てるための「箔付け」として、ヘルベルト大公に自由惑星同盟の討伐を命じる。
しかし軍事には素人のヘルベルト大公率いる帝国軍は、敵を侮った結果リン・パオ率いる自由惑星同盟の軍勢に『ダゴン星域会戦』で完敗を喫してしまう。

結果ヘルベルト大公は失脚し、帝国の権威も著しく低下する事態となった。
フリードリヒ三世の治世はゴールデンバウム朝がもっとも深く腐敗と退嬰と陰謀の中に沈んでいた時代とされ、後世「暗赤色の六年間」と呼ばれた。


マクシミリアン・ヨーゼフ・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第21代皇帝。
先帝フリードリヒ三世の異母兄。

帝位継承を巡る争いを収拾するために一時的に帝位に就いた後、先帝の長男であるグスタフ一世に帝位を譲った。


グスタフ・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第22代皇帝。
フリードリヒ三世の長男。

即位後まもなく弟であるヘルベルト大公の配下の者に毒殺されたため通称『百日帝』と呼ばれる。
生来病弱でその点をフリードリヒ三世から疎まれ、結果的にヘルベルト大公の増長を招いた。

死の直前にもうひとりの弟、マクシミリアン・ヨーゼフ2世に帝位を譲る。
マクシミリアン・ヨーゼフ2世とは仲が良かったらしく、後にマクシミリアン・ヨーゼフ2世が「劣悪遺伝子排除法」を廃止したのには、病弱だったグスタフ1世の影響があるのではないかとされている。


マクシミリアン・ヨーゼフ・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第23代皇帝。
フリードリヒ三世の庶子で、先帝グスタフ一世の異母弟。

母親が下級貴族出身のため、帝位を継ぐことは無いと思われていたが、異母兄であるグスタフ一世から死の直前に帝位を譲られ皇帝に即位。

即位後は自由惑星同盟への侵攻計画を破棄し、司法尚書のミュンツァーや、侍女出身の皇后ジークリンデなどの助けを得て、永年にわたって緩みきっていた綱紀を粛正。

劣悪遺伝子排除法という「遺伝的に劣悪」と定義された病や異常、性格を持つ者を安楽死させるルドルフ大帝以来の悪法を有名無実化するなど、内政に力を注ぎ、政治の腐敗とダゴン星域会戦の敗戦によって傾きかけていたゴールデンバウム朝銀河帝国を立て直した中興の祖と讃えられる。

混乱期の王朝を立て直したことから『再建帝』、腐敗の一掃もあり『清掃帝』とも呼ばれる。
もしくはヘルベルトの配下の者に毒殺されかかって失明したことから『晴眼帝』とも呼ばれる。


コルネリアス・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第24代皇帝。
先帝マクシミリアン・ヨーゼフ2世の又従兄弟。

先帝に子が無かったため、人物を見込まれ養子になる。

内政では先帝の方針を受け継ぎ名君と呼ばれるに相応しい功績を上げたが、外政においては先帝とは意見を異にしており、ダゴン星域会戦の報復戦を決意。
自由惑星同盟の征服を目論んだ彼は、同盟領に対してゴールデンバウム王朝史上唯一の親征を企てる。

これに先立ち、強行偵察により同盟領の地理把握を始めとして綿密な下準備を行っており、ダゴン星域会戦の失敗を教訓に計画を実行。
更に外交面での解決も模索しており、コルネリアス1世は三度にもわたって自由惑星同盟に対して和平使節団の派遣、自由惑星同盟に臣従前提とはいえ和平政策を行っている。

この姿勢はゴールデンバウム朝においては後のマンフレート亡命帝とならんでかなり寛大な態度と言えたが、同盟首脳部はダゴンの勝利の幻想に驕って帝国の使者に冷笑を浴びせかけ、コルネリアス1世の矜持に致命的なまでの打撃を与えてしまう。

前回の反省を生かし周到に準備されたコルネリアス1世の軍勢は、ダゴン星域会戦の勝利に驕る同盟軍を第一次ティアマト会戦で二度にわたって敗走させ、一時は同盟首都ハイネセンに迫るも、帝都で発生した宮廷クーデターによって撤退を余儀なくされ、コルネリアス1世の親征は失敗に終わる。

元帥号を濫発する悪癖あり、彼が大親征に随行させた元帥はあわせて58名。「元帥二個小隊」を率いて出撃と揶揄される程であった。
そのため『元帥量産帝』とも呼ばれる。
大親征での戦いにおいてこのうち35名が戦死したが、戦局には何ら意味をもたらさなかった。
親征後は思うところがあったのか、これ以後彼が臣下に元帥号を与えることはなくなったという。

ちなみに彼の親征によりゴールデンバウム銀河帝国と自由惑星同盟は恒常的な戦争状態に突入している。

マンフレート・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第25代皇帝。

ヘルムート・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第26代皇帝。


マンフレート・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第27代皇帝。

幼少期に暗殺者の手を逃れ亡命したため自由惑星同盟において成長した。
そのため『亡命帝』とも呼ばれる。

即位後は様々な政治改革を行い同盟との平和共存に尽力。銀河帝国と自由惑星同盟の和解と対等外交の達成も視野に入るほどだったが、即位後わずか1年ほどで反動派の貴族によって暗殺された。
暗殺劇の裏には、利益の独占をはかるフェザーンの思惑が動いていたという説がある。


ウィルヘルム・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第28代皇帝。


ウィルヘルム・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第29代皇帝。
皇后コンスタンツェとの間にコルネリアス2世を、寵姫ドロテーアとの間にアルベルト大公をもうける。

次男のアルベルト大公は、十五歳の時侍従武官を従えて新無憂宮の地下の探索に出かけ行方不明になる。

これは寵姫ドロテーアが息子のアルベルト大公を皇后コンスタンツェの魔の手から逃すために行ったとも、逆に息子のコルネリアス2世の政敵であるアルベルト大公を抹消するための皇后コンスタンツェの陰謀とも言われているが真相は不明。

一般的に知られている事実としては、アルベルト大公が侍従武官と共に地下で行方を断ち、その直後ウィルヘルム2世が病没したことだけである。
ウィルヘルム2世の死後は皇后コンスタンツェの息子であるコルネリアス2世が即位。

その翌日、先帝の寵姫ドロテーアは何者かの手によって毒殺され、さらにその一ヶ月後コンスタンツェ皇太后も原因不明の熱病で狂死した。


コルネリアス・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第30代皇帝。
先帝ウィルヘルム2世の長男。

第二次ティアマト宙域会戦時の皇帝で、ブルース・アッシュビー率いる自由惑星同盟との戦いで貴族出身の将官を大量に喪う。
だが、これが結果的に帝国軍が平民に対して高級士官への門戸を開くきっかけとなる。

子を残せぬまま病没するが、その晩年、失踪した弟のアルベルト大公を自称する男が現れる。
長年にわたって母親の犯行を疑っていたコルネリアス2世は、病床に弟を呼び寄せ涙の体面を果たす。

この自称アルベルト大公は、一時はコルネリアス二世の後継者と目されるに至るも、その後、多数の貴族から提供された5000万帝国マルク相当の宝石と可憐な侍女とともに失踪。
以後の消息は不明。
なお、この自称アルベルト大公は事実本物のアルベルト大公だったのではという説もあるが真相は不明。


オトフリート・フォン・ゴールデンバウム三世

ゴールデンバウム王朝第31代皇帝。

先帝コルネリアス二世には子が無かったため、おそらくは養子と思われる。

皇太子時代は有能で人望もあり、帝国軍三長官を兼任して帝国軍最高司令官となり、更に帝国宰相をも兼任した。
しかし、即位後は相次ぐ宮廷陰謀に次第に猜疑心が強まり、皇后を三度替え、帝位継承者を五度替え、最後は毒殺を恐れるあまり食事をろくにとらなくなり40代半ばで衰弱死した。

  • 余談
ランズベルク伯爵のセリフに伯爵の5代前の先祖に皇宮地下通路建設を命じたとされるゲオルグ二世なる謎の皇帝が出てくるが、逸話や年代からみて恐らくこのオトフリート三世の事だと思われる。


エルウィン・ヨーゼフ・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第32代皇帝。


オトフリート・フォン・ゴールデンバウム四世

ゴールデンバウム王朝第33代皇帝。

後宮に1万人以上の美女を集めたことから『強精帝』と呼ばれる。

即位5年後にベッドの上で頓死したとき『後宮ではなお5000人が処女のまま皇帝の寵を受ける夜を待っていた』と伝えられる。

624人の庶出子をもうけ、内388人が成人している。


オットー・ハインツ・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第34代皇帝。


オトフリート・フォン・ゴールデンバウム五世

ゴールデンバウム王朝第35代皇帝。
フリードリヒ四世の父。

自由惑星同盟との通路であるイゼルローン回廊に要塞の建設を命じるなど戦略眼もあり、フリードリヒ四世の即位した時点で、自由惑星同盟との戦争中にも関わらず国家財政の健全化にも成功していたことから、水準以上の君主だったと思われる。

ただ大変な吝嗇家で、イゼルローン要塞の建設費用が予定を大幅に超過したことに激怒し、責任者であるセバスティアン・フォン・リューデリッツ伯爵に死を賜るなど狭量な面が見られる。

放蕩を重ねるフリードリヒに愛想をつかし、勘当同然にしていたが、長男リヒャルトと三男クレメンツが皇位を巡って争い、二人とも共倒れの末死亡してしまったので、他に帝位継承者がいなくなり、仕方なくフリードリヒ四世に後事を託す。

  • 余談
オーベルシュタインの台詞において、第38代カザリン・ケートヘン1世の先祖であるとされる「先々帝ルードヴィヒ3世」という謎の皇帝が出てくるが、実際の先々帝はこのオトフリート5世。
これは単純に作者である田中芳樹氏のミスだと思われる。
そのため、OVAの台詞では「先々帝オトフリート5世」に直されている。


フリードリヒ・フォン・ゴールデンバウム四世

ゴールデンバウム王朝第36代皇帝。
先帝オトフリート5世の次男。
物語開始時点の皇帝であり、実質的にはゴールデンバウム王朝最後の皇帝。

詳細は当該項目参照。


エルウィン・ヨーゼフ・フォン・ゴールデンバウム二世

ゴールデンバウム王朝第37代皇帝。

先帝フリードリヒ四世の直孫で父はフリードリヒ四世の皇太子だったルードヴィヒだが、父親が早死にしてしまったために皇太孫としてはたてられなかった。

フリードリヒ四世の死後、エルウィン・ヨーゼフに有力な外戚がいなかった事から、ラインハルトリヒテンラーデ候の手によって皇帝に擁立される。

皇帝に即位したものの、僅か五歳の少年に何かが出来るはずもなく、実権は帝国宰相に就任したラインハルトに握られており、それを不服としたランズベルク伯爵らの手によって誘拐される。

建前上の最高権力者として丁重に扱われるも、真心を持って面倒を見てくれた人間は皇宮には誰もおらず、
結果として甘やかされ放題に育ったため自我の抑制が効かず、即位した時はやや狂気の芽が芽吹いていたらしい。

後に誘拐された宇宙船の中での暴君ぶりは脱出船の船長を辟易させた。

同盟に亡命後、銀河帝国正統政府皇帝に擁立されるも、そこには本人の意志は介在しておらず。
一連の誘拐すらラインハルトが知ったうえでわざと行なわせたものだった。

誘拐後ラインハルトはエルウィン・ヨーゼフ二世を廃位し、同盟侵攻の大義名分に利用した。

ラグナロック作戦」によって、自由惑星同盟が征服され、銀河帝国正統政府が崩壊すると、エルウィン・ヨーゼフ2世は銀河帝国正統政府の構成員だったランズベルク伯爵と共に姿を消す。

2年後、ランズベルクが逮捕された時、エルウィン・ヨーゼフ2世とされる幼児のミイラ化した遺体が発見され、死亡したものとして公共墓地に埋葬された。
しかし、後にこれが別人であることが判明する。
逮捕されたシューマッハの証言によれば、エルウィン・ヨーゼフ2世はランズベルクの元から逃げ出して行方知れずとなっており、彼のその後は永遠の謎となった。

  • 余談
表向き父親はフリードリヒ4世の皇太子だったルードヴィヒという事になっているが、エルウィン・ヨーゼフ二世が帝国暦482年の生まれなのにも関わらずルードヴィヒ皇太子は帝国暦477年に死んでいる。
これは単純に作者のミスだと思われるが、これが正しかった場合エルウィン・ヨーゼフ二世の父親はルードヴィヒ皇太子ではなく別人だという事になる。

もっとも銀河英雄伝説が完結した今となっては、エルウィン・ヨーゼフ二世の父親が誰であるかというのは、彼のその後と同じく永遠の謎に終わるだろう。


カザリン・ケートヘン・フォン・ゴールデンバウム一世

ゴールデンバウム王朝第38代皇帝。
ゴールデンバウム王朝初の女帝にして、最後の皇帝。
ペクニッツ子爵の娘でオトフリート5世の第3皇女の孫。

エルウィン・ヨーゼフ2世を廃位したラインハルトの手によって生後わずか八ヶ月で擁立される。

ラインハルトの傀儡であるが、その傀儡としての仕事も乳児には果たすことはできず、父親たるペクニッツ子爵(彼女の即位後公爵に格上げ)が親権者として代行している。

在位僅か一年ほどでラインハルトに帝位を禅譲したためゴールデンバウム王朝最後の皇帝となる。

退位を強制されるに際し、ペクニッツ公爵はオーベルシュタインからカザリン・ケートヘン1世に対して年間150万帝国マルクの終身年金を下賜するという交換条件を約束され、その身の安全はローエングラム王朝より保障された。

  • 余談
カザリン・ケートヘン1世の即位に際して、ラインハルトは生後八ヶ月の幼児が皇帝に即位し、銀河帝国の支配者になることに暗い侮蔑を感じていたが、そのラインハルトの後継者が生後二ヶ月の乳児だったのは歴史の皮肉と言うべきだろう。



かくして、五世紀の長きに渡って銀河の頂点に君臨してきたゴールデンバウム王朝は幕を閉じ、代わって新たにラインハルト・フォン・ローエングラムを開祖とするローエングラム王朝が誕生した。


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