ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk(MtG)

登録日:2016/07/24 Sun 16:19:45
更新日:2025/01/14 Tue 12:27:55
所要時間:約 5 分で読めます




《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》は、Magic the Gatheringの黎明期から存在したアーティファクトの一枚。最初の基本セット、アルファ版にすでに収録されていた。
通称"ディスク"、または"ネビ盤"。


ネビニラルの円盤 / Nevinyrral's Disk (4)
アーティファクト

ネビニラルの円盤はタップ状態で戦場に出る。
(1),(T):すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。

クリーチャーとアーティファクトとエンチャント、つまり当時において土地以外の戦場に出ているパーマネント全てを破壊することができる、非常に強力なリセット能力を持つ。
2025年現在は上記以外のパーマネントも増えたのでプレインズウォーカーやバトルが残る。

マジックは色ごとに出来ることが決まっていて(これを特にと呼ぶ)、色によっては手出しできないパーマネントもあるが、これは無色アーティファクトであるためどんなデッキにも採用することができる。
そのため、当時の単色デッキにおいて色の弱点を補うために幅広く採用された。

特に強力だったのがの《ネクロポーテンス/Necropotence》との組み合わせ。色の役割上アーティファクトやエンチャントに触れない黒の弱点を補いつつ、ドローフェィズを失わせてしまうネクロを処理し、ネクロで得たハンド・アドバンテージの差をそのまま勝利に直結させることができる。
これが悪名高きネクロの夏を生み、ネクロディスクとしてそのままデッキ名にもなっている。

能力の起動条件として自身を生贄に捧げる必要が無いため、再利用がしやすいのも利点。そのままでは自壊してしまうが、《ブーメラン/Boomerang》で手札に戻したり《次元のほころび/Reality Ripple》でフェイズ・アウトしたりすれば何度でも使い回すことができる。

弱点はタップインであるため、出してすぐには使えないこと。寝ている間に《解呪/Disechant》等で割られる危険性もある。
ただし、そうした奇襲性の無さを逆手にとって、ブラフとして先置きして相手にパーマネント展開を躊躇わせつつ自分だけ並べるといったプレイングも可能である。

数多くのデッキで活用された人気カードではあるが、さすがにカラーパイを大きく崩してしまうと判断されたのか、第5版を最後に基本セット落ちした。

その後レガシーでは便利な全体除去としてコントロールデッキで採用されたりもしていたが、現在は後述の亜種の登場などもあって採用率は落ち着いている。
スタン落ち後長らく使用可能なフォーマットはエターナルのみだったが、モダンホライゾン2で再録されたことによりモダンリーガルとなった。

関連カード

  • 《円盤の大魔術師/Magus of the Disk》
時のらせんの大魔術師サイクルの一つでネビニラルの円盤効果を内蔵したクリーチャー。(2)(白)(白)の2/4。
無色4マナから(2)(白)(白)に代わったため汎用性は落ちているが色の役割的には正しいと言えるだろう。ご丁寧にタップインという部分まで再現している。
クリーチャーなので除去されやすいが、その分破壊不能付与などの再利用もやりやすくなっている。
ネビニラルの研究者・信奉者という設定でイラストでは円盤のようなものを持っているが何故か円盤のデザインがだいぶ異なる。

  • 《アーボーグの暴君、ネビニラル》
《ネビニラルの円盤》から実に27年後に統率者レジェンズでカード化された円盤の持ち主。(3)(白)(青)(黒)の3/6。
アーティファクトとクリーチャーとエンチャントからの呪禁を持ち、死亡誘発で(1)を払うとネビニラルの円盤効果を発動させる。ETBで死亡したクリーチャー分のゾンビを出す能力も持つ。
全体除去後に出せば大量のゾンビを得られるので上手く狙えるとおいしい。ネビニラルの円盤も同セットに再録されているのでセットで使うといいだろう。
円盤効果は下手に除去すると全体除去が飛ぶため実質的な除去耐性として機能しているが、盤面に維持して強い能力は特にもたず、アタッカーとしても微妙なのは少々ネックか。
統率者系のセットで収録されたこともあり統率者としての運用が想定されていると思われ、死亡誘発で全体除去を飛ばして統率者領域から出しなおすことで大量のゾンビトークンを得られる。
ネビニラルを死亡させる手段+都合9マナ掛かるのでロマン寄りだがネビニラルが好きなら狙ってみる価値はあるかもしれない。

代表的な亜種

この手の全体除去持ち置物は大体はこのカードがリメイク元である。使い勝手がよいのか、トーナメントで活躍したカードも数多い。

  • 《火薬樽/Powder Keg》
ウルザズ・デスティニーで登場した万能除去アーティファクト。
毎ターン導火線カウンターを置き、生贄に捧げると導火線カウンターの数に等しいマナ総量のアーティファクトとクリーチャーを吹っ飛ばす。
大物を壊すには時間がかかる、エンチャントには触れないといった弱点こそあるが、マナ・コストが軽く、破壊するカードのマナ域を調整し自分への被害を抑えられるといった融通性の高さから人気を博した。
ちょうど本家がスタン落ちした直後に登場したということもあり、特に黒や単色デッキで幅広く採用された。
「特定のカウンターやコストの数に応じた範囲を除去する」というタイプのはしりであり、後に《漸増爆弾/Ratchet Bomb》、《爆発域/Blast Zone》といった亜種も登場している。

  • 《破滅的な行為/Pernicious Deed》
アポカリプスの多色エンチャント。
Xを払うことでそれ以下のマナ総量のアーティファクト・クリーチャー・エンチャントを吹っ飛ばす。
強力なマルチカラーカードが大量に登場したアポカリプスのご他聞に洩れず、このカードも非常に強力。
魂売り/Spiritmonger》と並んで当事の黒緑デッキの隆盛を支えたほか、その後もエクステンデッドでThe Rockというグッドスタッフを成立させ、現在もレガシーで第一線で活躍している強力カードである。


  • 《忘却石/Oblivion Stone》
ミラディンで登場した《ネビニラルの円盤》の直系的リメイク。
マナ・コスト自体は3マナだが起動コストが5マナと、実質的にかなり重くなっている。
また対象が「すべての土地でないパーマネント」に変わったためプレインズウォーカーなども纏めて消し飛ぶ。
重くはなったが適用範囲の広さは魅力であり、大量マナを出せるウルザトロンを始め、幅広いデッキで活用された。コストは重いがマナさえあればすぐに起動できるのは本家に無い利点。
運命カウンターを置いてこのカードの全体除去の対象外にする効果も持ち、多少の柔軟性も生まれている。
ミラディン産アーティファクトのカードパワーの高さを象徴する一枚であり、同エキスパンションでもトップレアに名を連ねている。

  • 《疫病沸かし/Plague Boiler》
ラヴニカ:ギルドの都で登場した亜種。アーティファクト。
毎ターン疫病カウンターを置き、3つ以上になると土地以外のパーマネントを吹っ飛ばす。
基本設置コストは無色だが(1)(緑)(黒)を払えば疫病カウンターを操作できるので、柔軟に使いこなすなら黒緑がベスト。
黒緑のギルドであるゴルガリには強力なクリーチャーや除去が多くそれ関連のデッキで重宝された。


余談

"ネビニラル"とは聞きなれない名前だが、これは作家ラリー・ニーヴン/Larry Nivenの逆綴り(アナグラム)から来ている。

実はこの《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》というカード、このニーヴンの短編小説「魔法の国が消えていく(The Magic Goes Away)」を元ネタにしている。
この小説には土地からマナを枯渇させる銀色の円盤が出てくるのだが、その作者の名を逆綴りにすることで「土地以外のパーマネントを全て破壊する」カード名としたのだから、なかなかにオシャレなネーミングである。

この小説(の属する魔法使いウォーロックを主人公とした作品群)は、魔力の発動にマナという動力源が必要というアイデアを核にしており、原理不明で何故か魔法が出せちゃう他のファンタジーとは一線を画すことからロジカル・ファンタジーと評された。
このマナという概念はMagic the Gatheringにも生かされていて、「土地がマナを生み出す」というマジックの基本原則もその一つであるといえる。
元々このラリイ・ニーヴンという作家、北欧神話の重度なマニアにしてハードSF界の重鎮というヲタクの極みみたいな人であり、だからこそこんなアイデアも思いついたのだろう。

MTGのストーリー上ではかつてドミナリア次元のアーボーグを支配していた屍術師のリッチで、火山地帯ボガーダンとの戦争に敗れ敵に自分の財産・領地を渡すまいと聖句札(リッチが自分の魂を封じておくマジックアイテム)の円盤にありったけの魔力をこめて自爆したと伝えられている。
長らく設定のみの存在だったが、上記の通り「統率者レジェンズ」でカード化された。


アトウィナの円盤 / Atowina's Disk (4)
アーティファクト

アトウィナの円盤は待機状態で戦場に出る。
(1),(T):すべての項目を追記・修正する。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • MtG
  • アーティファクト
  • リセット
  • ネビ盤
  • ディスク
  • ラリイ・ニーヴン
  • アナグラム
  • 逆綴り
  • 魔法の国が消えていく
  • ネビニラルの円盤
  • Nevinyrral's Disk
  • Magic the Gathering
最終更新:2025年01月14日 12:27