単色デッキ(MtG)

登録日:2015/10/05(月) 02:05:34
更新日:2022/08/23 Tue 19:27:47
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単色デッキとは、Magic the Gatheringにおいて文字通り一つの色で組まれたデッキのことをさす。


MtGでは無色でない限り全てのカードがの五色の最低1つの色を持ち(茶色とかピンクとか目の色とかはこの際除外)、単色デッキはその中の一色のみであるカードを軸に構築される。

概要


単色デッキのメリット

まずデッキを単色で組むことのメリットについて考えてみたい。

  • ① 色事故がない

MtGのプレイヤーが一番に恐怖する事態とは、土地事故である。
どんなデッキでもマナを生み出すために土地は確実に必要となるが、デッキからランダムなカードを引くTCGにおいて常に必要な枚数の土地を引けるとは限らない。

そしてMtGでの土地事故には、必要な枚数の土地が引けない(マナスクリュー)ことと逆に土地が多すぎて余ってしまう(マナフラッド)ことのほかに、特定の色マナシンボルが揃わないという色事故が存在している。

色事故とは、例えば【青白コントロール】で(青)(青)(白)(白)が揃わないせいで《対抗呪文/Counterspell》や《神の怒り/Wrath of God》が必要なときに使えない、といった状況のことである。

色を一つしか使わないのならそうした不自由からは解消され結果として(その色の範囲内で見れば)構築の幅が広まる。
単色でデッキを組む利点のほぼ全ては、究極的にはこの「色事故がない」ことに集約される言ってよい*1

こういう色事故を防ぐ手段として、MtGには複数の色マナを生み出すことのできる多色土地というものが存在する。
しかし、これらの多色土地にはその便利さゆえに相応の弱点がある。一例を挙げるなら
  • 色マナを生み出すためにライフを要求するペインランド
  • タップインでしか場に出すことのできないタップインデュアルランドやトライオーム(楔3色)
  • アンタップインするのにライフが必要なショックランド
  • 多大なサイフコストを要求してくる元祖デュアルランドフェッチランド
などなどである。
また、そもそもこれらのカードがカード・プールに存在しない場合には、色事故の危険は常に付きまとうことになる。

特ブロック構築(特定のブロックに含まれるカードのみでデッキを構築するフォーマット 現在は非公式)ではカードプールの狭さから多色土地が不足気味であり、
とある日本の高名なデッキビルダーが「マナサポートの不足するブロック構築は単色で組むべき」という理論を提唱したほど。
気になるなら比較的多色土地に恵まれ、相応に多色カードも収録される傾向にある、ある程度後発のセットで組むのも一手。

……まあ、ブロック制共々イクサラン・ブロックを最後に廃止・公式サポート終了となり、カジュアルに嗜もうにも今度はカードプールの制定で揉める事態になっており、その明日はどことも知れないが。閑話休題。


また、「土地ゲー」と揶揄されるMtGにおいて高額になりやすい多色土地を採用せずにすむことから、単色デッキは貧乏デッキの代表とされる。え? 《変わり谷/Mutavault》? 《不毛の大地/Wasteland》? 《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》!? ……はてさて、何のことやら……

  • ② 色拘束が強いカードなど、単色デッキで活きるカードがある

①とも関連するが、MtGにはカード毎に支払うマナの数と色が定められている。これらは「(数値)+マナシンボル」という形で書かれ、数値の部分が任意のマナ、マナシンボルの部分はその色マナで支払う必要がある。
例えば「(3)」と「(2)」はマナ総量こそ同じ4マナだが内訳が前者は不特定マナ3点と青マナ1点、後者は不特定マナ2点と青マナ2点となっている。
極端になると「(1)」(トリプルシンボル)や「」(クァドラブルシンボル)といった特定の色のマナを多数必要とするカードも存在する。
この特定の色マナを多く要求するカードは一般的に「色拘束が強い」と言われる。

色拘束の強いカードは多色デッキに入れると上述の色事故の原因となる危険性が高いため、色拘束が強いほどマナレシオが良くなる傾向が与えられている。
しかし単色デッキなら色拘束は実質無いも同然、同マナ域で相対的に強力なカードを振り回すことが出来るのである。
逆に言えば、開発側も色拘束を強くすることで採用可能なデッキを制限し、バランス調整しようとしているのである。

なお、この考え方をさらに推し進めたものにテーロス・ブロックやテーロス還魂記、モダンホライゾン2で『信心*2』という能力が登場しており、これが更に多数の単色デッキを生んでいる。

また、これはやや特殊だが、一部のカードは使用する際に色ではなく《》や《》といった基本土地そのものを要求するものがある。
多色デッキでは色の種類を増やすため特定の基本土地を入れる数は単色デッキより少なくなるし、先述の通り多色デッキでの色事故緩和には多色土地が不可欠なため、より枚数は少なくなる。
そのため、こうした基本土地を必要とするカードは単色デッキ以外では使いづらくなるのである。
【バーン】における《火炎破/Fireblast》はまさにその典型例だろう。


  • ③ 多色地形対策に強い

三つ目の利点は、スタンダードなどのカード・プールの狭いフォーマットでは実感しにくいかもしれないが、モダンやエターナルなどでは何より重要な点である。

MtGには基本でない土地への対策カード(対特殊地形カード)が存在しており、特に上記の多色土地に対して強い効果を発揮する(《不毛の大地/Wasteland》や《蒼ざめた月/Pale Moon》など。)。
これらのカードは特にモダンやエターナルで活躍しているが(寧ろそれらのカードの存在から環境のバランスを保っているといったほうが正しい)、単色デッキならそれらのカードを死に札にできるのである。

さらにこの応用例として、単色側が「カードの性質上単色デッキでないと扱いにくい」対特殊地形カードを採用し、自分から積極的に使っていくというデッキもある。これはいわば②と③の複合例である。
《血染めの月/Blood Moon》をメインから採用した【赤単】や《基本に帰れ/Back to Basics》を搭載した青単コントロール【青単BtB】はその代表的な例である。



単色デッキのデメリット

単色デッキは良いこと尽くめかというとそうでもなく、無視できないデメリットもいくつか抱えている。

  • ① 色ごとにできることとできないことがある。

MtGでは各色ごとに「色の役割」というものが定められており(これを「」と呼ぶ)、そこから外れたことは原則としてできない。
例えば
白は相手の呪文に対して無防備であり、
青は戦場にあるパーマネントにはパワーのマイナス修整やバウンス程度しかできず、
黒にはアーティファクト、次いでエンチャントが破壊しづらく、
赤はエンチャントが破壊できず、
緑はクリーチャーや呪文に直接は対処できない。

もっとも高速ビートダウンであればこの問題はある程度無視できるので(脅威がでてくるまえに殴り倒せばいい)、考える必要があるのは主にコントロールデッキを組む時だろう。

また、できないことがあるといっても考え方次第であり、青は脅威が戦場に出る前に打ち消せば問題ないし(こうした打ち消しをマスト・カウンターと呼ぶ)、黒は相手の手札にある段階で捨てさせれば良い、赤の場合は(最近こそコストが高いものの)土地破壊などで相手の行動全体を阻害出来る。
緑も相手のクリーチャーやプレインズウォーカーの除去程度なら自身のクリーチャーかそのパワーで(一方的に)格闘すればこなせる上、フライヤー相手なら専用のカードも採用率はともかく多い。またパーマネントへの呪文ならインスタントに呪禁を付与し、立ち消えさせる疑似打ち消しも(そのターンは)それ一度きりだが可能。
さらにMtGには「元から色を持たない」アーティファクトも多数存在しており、それらによりこれらの弱点をカバーできれば完璧である。

しかし構築とプレイングである程度カバー出来るとは言え、黒のアーティファクト破壊、赤のエンチャント破壊、青・緑以外での打ち消しへの対応など根本的に対処できない、極めてしづらいものを抱えていることに変わりはない。


前述した対特殊地形カードのように、特定の色を狙い撃ちする色対策カードというのも存在し、それらのカードは(当たり前だが)単色デッキには非常に効果的である。

これらのカードは他の色のデッキに当たった時には紙クズになるため頻繁に投入されるものでもないが、サイドボードに特定のデッキへのアンチカードとして採用されることは良くある。
特に、それが上述の色の弱点に関係するものだと強烈。エンチャントを破壊できない赤に対する《赤の防御円/Circle of Protection:Red》や黒への《たい肥/Compost》はその最たる例であろう。

これらへの対策のために単色デッキの側も数枚だけ(一種類だけ)別の色のカードを足すこともある(たとえば赤や黒が上記への対策のために白の《解呪/Disenchant》を入れる、【青単BtB】のフィニッシャーに《甲鱗のワーム/Scaled Wurm》を据えるなど)。
こうした構築を「タッチ○○(○○には色又はカード名が入る)」と呼び、下環境の特にフェッチランドで多色化の容易なフォーマットでは良く見られる。
しかし、当然単色に由来する上記のメリットは落ちてしまうため、一長一短ではある。


単色の歴史


さてここからは歴史を通して各色ごとの単色事情を見ていきたい。

どの色も単色デッキは多くの時代で組まれているが、歴史上スタンダードで単色デッキが大きく勢力を伸ばした時期が二つある。

一つはウルザ・ブロックからマスクス・ブロックにかけてで、この時期の特徴としては多色デッキに対する最強のメタであった《リシャーダの港/Rishadan Port》の存在が挙げられるだろう。
このカード自体が強力な多色土地対策となるだけでなく、自身も最低限として無色マナを生み出せることから大抵の単色デッキとの相性は抜群だった。

さらに、前のウルザ・ブロックはアーティファクト・サイクルと呼ばれるほどに強力なアーティファクトが豊富であり、《マスティコア/Masticore》や《火薬樽/Powder Keg》といった万能除去の存在も単色デッキの隆盛に拍車をかけていた。

もう一つはテーロス・ブロックの前後で、この時期は先述した信心システムの登場が大きく、
特に一つ前のラヴニカの回帰ブロックで効率よく信心を稼げる混成カードが復活していたことも追い風となった。

逆に単色デッキがほぼ絶滅した時もあり、ラヴニカ・ブロックとラヴニカへの回帰ブロックや、アラーラの断片ブロック、更にはタルキール・ブロックでは多色サポートがあまりにも強すぎたため組むのが容易すぎた。
タルキール初期はテーロスと地続きだったためまだ単色デッキもあったのだが、テーロスがスタン落ちした途端に単色デッキが壊滅、歴代でも類を見ない超多色の時代に移行していった。
それでもメタ外から【黒単ネズミ】やら緑タッチ赤【アタルカ・レッド】なんかが飛び出して来るので侮れない。

優秀な白のウィニー・クリーチャーを多数擁する【白ウィニー】は「核戦争が起きてもゴキブリと白ウィニーだけは生き残る」と言われるほどに歴史のある(しぶとい)アーキタイプであり、一口には説明できない程のかなりのバリエーションが存在する。
流石にトーナメントシーンからは何度か死滅している。例えばオデッセイ・ブロックでは《野生の雑種犬/Wild Mongrel》のせい。ミラディン・ブロックでは【親和】のせい。ラヴニカへの回帰、ブロック・タルキール覇王譚ブロックでは多色サポートが強すぎたせいなど、開発の想定を上回るような典型的なパワーデッキに弱い傾向が多い。
それでも正常な環境に戻ればミラディンの傷跡ブロックでの【白銀単鍛えられた鋼】、テーロスブロックでの【白単星座】、イニストラードを覆う影ブロックでの【白単人間】、テーロス還魂記期~フォーゴトン・レルム探訪期の【白単信心】等、何度も生き返ってきている。
だからゴキブリ言われるんだ。
相手の全体除去で壊滅しかねないが、《ハルマゲドン/Armageddon》でマナ・ロックすれば防ぐこともできた。今はできないが
近年ではサリアちゃんや《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》など相手の行動を制限するエース系のウィニークリーチャーが増加傾向にあり、これらの妨害クリーチャー並べてビートする【Death & Taxes】や【ヘイトベアー】と呼ばれるタイプがモダン以下、メタさえ掴めば【白単ヘイトエルドラージ】がヴィンテージですら通用している。
エターナル環境だと《封じ込める僧侶/Containment Priest》と《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》でクリーチャーを追放しまくるコンボも有名。
その他、パイオニアでも【バリオッド】と俗称されるヘリカス《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》と《歩行バリスタ/Walking Ballista》によるコンボデッキが一時期出回ったものの、こちらは《歩行バリスタ》の禁止指定で終幕と相成った。おのれヘリカス

一方、白単色のコントロールデッキはかなり稀な部類に入る。最強のリセット《神の怒り/Wrath of God》を筆頭にエンチャント・アーティファクト破壊も擁するが、インスタント・ソーサリーに無防備なのが致命的。
更に白は全体的にドローが弱いことも有り、リセット系以外でのアドバンテージ差を付けにくい。
青の打ち消し・ドロー呪文を織り交ぜた青白コントロールのほうが一般的である。
メタゲームの間隙を縫って時折組まれることもあるが、リセットを多用する構成上大振りになりやすく、総じてカウンターに弱い。
剣を鍬に/Swords to Plowshares》亡き後の単体除去が精々一時的追放程度なのも欠点の一つ。


多数の打ち消し呪文を採用したヘビー・パーミッション(いわゆる【ドロー・ゴー】)が古くから組まれている。
クリーチャー除去に乏しいのが問題だが、コントロール奪取(《支配魔法/Control Magic》など)や除去アーティファクト(《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》など)で十分対処可能。
一時期は【青白コントロール】より隆盛した。
……だが、打ち消し呪文の性能が低下しかつてほどの信頼性は失われたことから、コントロールは青に限らない多色化が進みつつある。

他方、かつて「青のクリーチャーは貧弱」と言われていたが、近年のクリーチャー全体の質の向上により強力なウィニー・クリーチャーも加入しており、それらをカウンターでバックアップするクロック・パーミッションも組まれている。
特に《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を主力とした【青単デルバー】はスタンダードのメタゲームの中心となるほどに猛威を振るった。
青単よりタッチ白型【Delver-Blade】の方が(色んな意味で)有名になったが。

また、青の主力部族としてマーフォークが存在し(一時期「部族の冬」で消されかけたがまた戻ってきた)、主力となる《アトランティスの王/Lord of Atlantis》は最強のロードとも呼ばれており(何より島渡りを持つため青デッキに強い)、これを利用した【マーフォークデッキ】も長らく活躍してきた。
《真珠三叉矛の人魚/Merfolk of the Pearl Trident》は世界選手権で活躍した1/1バニラとして有名。さまようもの/Wondering Ones》もファイナルズで活躍したけど。

テーロス・ブロック期では、複数シンボルのクリーチャーを並べてから《波使い/Master of Waves》をぶん投げて一気に圧殺する【青単信心】が大きな注目を集めた。
またテーロス還魂記での信心復活時には《ニクスの睡蓮/Nyx Lotus》へ《啓示の終焉/Finale of Revelation》や《老いたる者、ガドウィック/Gadwick, the Wizened》、《通路の監視者/Corridor Monitor》などを絡め《タッサの神託者/Thassa's Oracle》や《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》での特殊勝利を狙うセルフLO型が登場した。

コンボデッキとしては珍しく単色で組まれたものも青には多い。ドローサポートやサーチといったコンボに必要な要素が青だけで揃い、先述した「単色デッキで活きる」コンボサポートとして《High Tide》や《サファイアの大メダル/Sapphire Medalion》といった優秀なカードも存在する為である。
…【Moma】とか【ハイタイド】とか【ティンカー】とか、ろくでもないのばっかだけどな!
(そして強くなりすぎてミラーマッチ対策のために《紅蓮破/Pyroblast》目当てで赤がタッチされる所までお約束)

エターナルでは先述の《基本に帰れ/Back to Basics》を利用した【青単BtB】として存在している。
また先ほどのデルバーも主にレガシーへじわじわ進出中だがさすがにというべきかこちらは青赤や青黒赤が主。

軽量クリーチャーの質はデメリットが多い傾向を踏まえても白に匹敵するほど高く、【黒ウィニー】は【白ウィニー】と並んで歴史のあるアーキタイプである(12Knightsも対になる白と黒とに存在していた)。
黒特有のスーサイド要素と《暗黒の儀式/Dark Ritual》によるマナ加速により強烈なデメリットを持つスーサイドクリーチャーを早期に展開する【スーサイドブラック】も息が長く、また熱烈な愛好者も多い。

他方、黒の特権たるハンデスと様々なクリーチャー除去を利用したコントロールも悪名高きネクロの夏を生み出した【ネクロディスク】を始めとして、古くから組まれている。他に特に活躍したものとしてはトーメントの黒優遇を受けた【黒コントロール】が有名だろう。
豊富なサーチカードとスーサイド要素を含むものの強力なドローソース(《ネクロポーテンス/Necropotence》など)がその存在を支える屋台骨となる。

ネクロと対をなすトリプルシンボルスペル《悪疫/Pox》の名を冠したコントロール【ポックス】も有名。
下環境の単色デッキの雄であり、暗黒の儀式から始まって最強ハンデス《Hymn to Tourach》や小型版悪疫《小悪疫/Smallpox》、最高級コモン《陥没口/Sinkhole》などなかなかの黒マナシンボル率を誇る。そして値段も高い。主に名前の長い土地のせいで。

近年ではテーロス・ブロックで登場した信心のギミックを取り入れた、《地下世界の人脈/Underworld Connections》、《群れネズミ/Pack Rat》といった場に残しやすいカードで稼いだ信心から《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》でマナ加速しての大型クリーチャー召喚、あるいは《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》で一気にライフを奪い去り勝利する【黒単信心】という型も流行した。

コンボデッキはリアニメイトが定番。他にはサーチカードとドローソースに黒単感染、そしてマナ加速の存在から《苦悶の触手/Tendrils of Agony》などが軸のストームのようなデッキも組める。


《たい肥/Compost》一枚で完封されるのはお約束。《黒の防御円/Circle of Protection:Black》もかなりキツいが、ライフロスで突破できないこともない。


赤の代名詞は「火力」。クリーチャー除去と本体ダメージを兼ねる効率的なカードの存在により、速攻が基本戦術である。
赤単速攻はクリーチャーによるビートダウンに火力を織り交ぜた【スライ】【アグロ】と火力特化で相手を焼き殺す【バーン】とに分類される。

赤単スライが全盛を極めたのはテンペスト・ブロック前後であり、白・黒に匹敵する強力なウィニークリーチャー、高性能な火力、そして使い減りしない無色ダメージ源の《呪われた巻物/Cursed Scroll》の存在もあってメタゲームの中心にまで成長した。

現在はクリーチャー及び火力(あの《稲妻/Lightning Bolt》までスタンダードに復帰した事もあった)の質が格段に向上しており、全盛期と同等かそれ以上の性能を誇るようになっており、常にメタゲームの一角を占め続けている。
ピンポンダッシュおじさんこと《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》を加えた赤タッチ緑スライ【アタルカレッド】、
(《立腹/Infuriate》して)《エンバレスの宝剣/Embercleave》を握った《鍛冶で鍛えられしアナックス/Anax, Hardened in the Forge》が赤の信心に二段攻撃とトランプル(、更にパワーのプラス修整)を乗せて暴れ回る【赤単アグロ(THB期~AFR期)】辺りが有名だろうか。

MTGアリーナでは赤単アグロ系のデッキが安く組めてそこそこ強くて、1戦が早く終わって回しやすいことなどから無課金ユーザーの星として長らく愛されている。

下の環境では上記の《火炎破/Fireblast》に加えて強力な特殊地形対策をフル活用する構成が多い(《血染めの月/Blood Moon》や《発展の代価/Price of Progress》など)。

また赤の代表種族ゴブリンも優秀なカードが多く、強力なゴブリンが追加されるたびに環境に姿を現すほか、現在でもレガシーで見ることができる。

一方、コントロールデッキはこれも赤特有の土地破壊を利用するものが多い。赤単土地破壊デッキは【ポンザ】の名で知られる。
土地を使用しないデッキはほぼ存在しないため土地破壊はまず腐ることがなく、これにより相手の足を止めて少量のダメージ効率の良いクリーチャーで殴る中速デッキが一定程度存在する。
この場合も安定したダメージ源となる火力の存在が根幹を支えているのは言うまでもない。

その他赤は青と並んでアーティファクトの利用に長けた色であるため、これを利用した茶単デッキも一部存在する(【赤茶単】や【ウェルダー・スタックス】など)。

《ぶどう弾/Grapeshot》、《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》、《巣穴からの総出/Empty the Warrens》など、優秀なストーム呪文も複数擁しており、黒から譲ってもらった赤の特徴の一つである「一時的なマナ加速」ともよく合致している為、それを用いたコンボデッキも何度か環境に顔を見せている。
現在では安定感を取って青との混色が主流だが、赤単ならではの高速瞬殺を求める場合も多い。

天敵は不倶戴天の天敵である《赤の防御円/Circle of Protection:Red》で、こればかりは今も昔も変わらない。あと《はらわた撃ち/Gut Shot》だけ持ってかないで焼くぞ


周りより一回り大きいクリーチャーと、それを《極楽鳥/Birds of Paradise》に代表されるマナ・クリーチャーや土地サーチで高速展開できる緑のビートダウンは比較的単色化傾向が強い。緑単色高速ビートダウン・【ストンピィ】は比較的長きに亘って活躍している。

緑の主要種族のエルフも優秀なマナ・クリーチャーを多数擁することから強力であり、特に下環境で活躍している。
緑のコンボデッキと言えばだいたいエルフである。

一方、単色のコントロールデッキはかなり珍しいが、クリーチャーを通せば土地でもプレインズウォーカーでも破壊できる万能さが売りで、緑単で土地を攻める【レギオンランドロス】や【トリニティ】、アップキープにクリーチャーを戻すデメリットを持つ《暴走するヌー/Stampeding Wildebeests》の効果を逆利用してETBクリーチャーや回数制限付きクリーチャーをひたすら使い回す【ステューピッドグリーン】など古くから確実に存在している。恒久的なマナ加速により高速で大量のマナを揃えて大技を連打するランプ系デッキ【ウルザトロン】や【エルドラージランプ】が代表選手だった事も。

ただし、直接のクリーチャー除去がほぼ不可能*3で呪文にも基本無防備という明快な弱点を持つため、環境が進むにつれて他の色をタッチするものが増えやすい(【アングリーハーミット】など)
マナクリや土地サーチから他の色を出しやすいという特性上、タッチが容易というのも多色化が進みやすい理由。
一番酷いのはミラージュ~テンペスト期に存在した【5色緑単】だろう。単とはいったい…。

追記・修正は赤単バーンで《赤の防御円》を突破した人がお願いします。

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最終更新:2022年08月23日 19:27

*1 とはいえ、無色マナしか出ない特殊地形を多く組み込んで事故るパターンはある。

*2 「戦場にあるカードのマナシンボルを数える」というメカニズム。たとえば(1)(青)(青)(青)なら青信心が3、(赤/白)(赤/白)(赤/白)(赤/白)なら赤信心と白信心が4ずつとなる。

*3 一方的含む格闘や、トランプルで乗り越える等、対応自体は可能。