登録日:2016/07/30(土) 15:35:17
更新日:2021/04/12 Mon 14:16:59
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Bazaar of Baghdad
土地
(T):カードを2枚引き、その後カードを3枚捨てる。
ドロー能力を持っているが、2枚引いてその後3枚捨てる必要があるため、単純に使ってもディスアドバンテージにしかならない。
しかし、デッキによっては墓地が重要なリソースになる場合(特にカード・
プールが広いほどそれは顕著である)、そのようなデッキにとっては単純な
ドローカードより効果的である。
そして土地であるため破壊されにくく、能力を
打ち消されることが少ないのが最大の利点である。
一応起動型能力かつマナ能力ではないので《もみ消し》は有効。
…が、登場当初はまだそれほど墓地利用が盛んでなかったため、このカードはさほど注目されていなかった。
実は同じアラビアンナイト内にも《ルフ鳥の卵/Rukh Egg》(
エラッタ前)という最高の相棒がいたのだが、それが活用された形跡もない。
だが、リアニメイトに代表される墓地活用戦術が組み上げられることにより、このカードも次第に頭角を現してゆく。
古い例としては、《伏魔殿/Pandemonium》+《はじける子嚢/Saproling Burst》のコンボを《
補充/Replenish》で揃える
パンデバーストコンボで活躍。
キーパーツである《補充》を手札に引き込みつつ、リアニメイト先であるエンチャントを手札から捨てるためのカードにあてがえばいいため相性が抜群。
また、この手のカードの女房役としてお馴染みの《
ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》もメルカディアン・マスクスで加わった。
その後墓地活用に長けたオデッセイ・ブロックが登場、このカードの性能もさらに増すことになる。
同ブロックで登場した「フラッシュバック」や「マッドネス」といったシステムとの相性は抜群であり、《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》・《尊大なワーム/Arrogant Wurm》を利用した青緑マッドネスも組まれた。
また
カスレアと考えられていた《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》に活用方法が判明するや一転、
ワールドゴージャーというリアニメイト系瞬殺
コンボデッキが組まれ、特に《納墓/Entomb》
制限後に活躍した。
単純にコンボパーツを探しつつ墓地に送れるだけでなく、《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》を利用したループを引き起こすことでライブラリーを全て墓地に送り、フィニッシャー(《シヴのヘルカイト/Shivan Hellkite》や《ラクァタス大使/Ambassador Laquatus》あたり)を《動く死体/Animated Dead》で釣り上げて発生した無限マナで瞬殺、といった芸当も可能だった。
また、ミラディンでの《
精神隷属器/Mindslaver》登場後は《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》で使い回すためにヴィンテージの
スタックスで採用された例もあるようだ。
そして、その真価を発揮したのはラヴニカ・ブロックで「発掘」というシステムが加わった時である。
これら発掘カードは共通して「あなたがカードを引く場合、代わりにあなたは自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを自分の墓地に置いてもよい。そうしたならこのカードをあなたの墓地からあなたの手札に戻す。」効果を持っている。
この効果で重要となるのは手札に戻す文ではなく「代わりにあなたは自分のライブラリーの一番上からN枚のカードを自分の墓地に置いてもよい」の部分。
これと《Bazaar of Baghdad》を組み合わせると、手札の(もしくは効果でドローした)発掘カードを墓地に落とし、さらにドローを発掘に変換することでライブラリーを一気に大量に墓地に送ることができるのだ。
後は《ナルコメーバ/Narcomoeba》などの自力で勝手に戦場に蘇れるクリーチャーや《戦慄の復活/Dread Return》などの墓地から唱えられる呪文を組み合わせれば、そのまま1キルまで持って行ける。
「事実上打ち消されない」「召喚酔いもせずインスタント・タイミングで行える」「複数枚投入可能」「手札に加えた発掘持ちを即座に墓地に戻せる」など、使ってみると「一度起動するだけで10枚ドロー」に近いとんでもない動きが当然のように行える。
つまり、初動のほとんど全てをこの《Bazaar of Baghdad》に任せることができるため、「発掘デッキはこのカードが引ければ勝てる=引けなきゃ勝てないから引けるまでマリガンする」とまで言われている。マリガン回数を増やせる《血清の粉末/Serum Powder》もよく採用される。
手札がこれ1枚スタートでも冗談抜きで勝てるし、これがなければデッキというより単なる紙束である。それくらい動きが変わってくるのである。
このデッキ(発掘の英語名からそのままドレッジと呼ばれる)は現在でもヴィンテージのメタゲームの一角を占めるが、その最大の特徴の一つは、デッキの構造上マナをほとんど必要としない点である。(そのためマナレスドレッジ/Manaless Dredgeなどと呼ばれる)
おまけにマナを必要としない都合上、
パワー9も一枚も入れる必要がないため、ドレッジはヴィンテージにおける
貧乏デッキの一種とされている。
…このバカ高い《Bazaar of Baghdad》(2019年4月現在1枚約20万円)が4枚積み必須なデッキを貧乏デッキ呼ばわりとは、
ヴィンテージプレイヤーの金銭感覚はどうなってやがるんだ!?
これらのデッキが活躍した背景も踏まえ、レガシーではType1.5からの移行に伴い
禁止カードに指定されている。
現状のカードプールですらドレッジの抑制のためにいくつかのカードが禁止になっているというのに、このカードをモダンやレガシーで許したら、
もうそれはゲームではない。ルーターとしての能力は、それくらい次元が違う。
ただ、逆に言えば手札が増えないどころか減るだけだし、マナも生み出せない。そのためほぼドレッジや大量リアニメイトの専用パーツとしてしか使えず、特定のカードに大きく依存したデッキですら採用されない。
この汎用性の低さが弱点と言えば弱点で、値段が現在もそれほど高騰していない理由のひとつである。
亜種(というかリメイク)は次元の混乱に登場した《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》。
青のクリーチャーになっており、色の役割的にはちょうどピッタリ(なお、時のらせんブロックでは過去の強力カードのクリーチャー化リメイクが複数行われており、このカードもその一枚。これらは大魔術師
サイクルを形成している)。
クリーチャーであるため破壊されやすく、召喚酔いもあるためカードパワーはかなり抑えられ気味なのだが、出た時期がちょうどさっきの発掘カードたちと同じころだったため、スタンダードの
ナルコブリッジの他、下の環境の発掘デッキでも採用されていた。この時期のナルコブリッジ(フリゴリッド)は今のモダンで禁止になっているパーツが数枚、しかもスタンダード環境に存在していた。
墓地対策が甘かった当時の常識をくつがえし、当時を知るプレイヤー曰く「どうして《ゴルガリの墓トロール》《黄泉からの橋》《戦慄の復活》《ナルコメーバ》《炎の血族の妄信者》がバザーのリメイクと一緒に
スタンダードで全部同居していたんだろう」とのこと。
生かしておいたら絶対に悪いことをするという合図ということもあり、高速環境であるモダンやレガシーでは採用されない。
モダンホライゾンでも《バザールの交易魔道士》というカードが登場。ETB能力としてこのカードの能力を1回使うことになる。
この能力のせいで使い勝手に非常に癖があり、こちらはヴィンテージの《適者生存》デッキで用いられることがあるが主流とはなっていない。
Bazaar of Aniwota / アニヲタのバザール
土地
(T):項目内に2つ追記し、その後項目内を3つ修正する。
- バグダッドのバザール? -- 名無しさん (2016-07-30 15:56:59)
- リメイクはバザールの大魔術師(クリ-チャー版)ね。 -- 名無しさん (2016-07-30 17:04:14)
- 実際問題ヴィンテージのデッキの値段を比べると、ドレッジは1桁少ないんだから貧乏デッキだわ。4桁ドルだったが -- 名無しさん (2016-08-01 11:40:00)
- 30万あれば組めるよね ヴィンテージにしては破格の安さと言える -- 名無しさん (2016-08-01 15:28:05)
- まあロータスやモックスサファイア、アンリコとかも入るパターンあるからものによるけどね -- 名無しさん (2016-08-03 09:48:13)
最終更新:2021年04月12日 14:16