登録日:2016/08/30 Tue 00:00:17
更新日:2025/04/16 Wed 15:12:44
所要時間:約 52 分で読めます
【概要】
本作最大の敵の一つ。
『嫉妬』の魔女サテラを崇める狂信者の集まり。ペテルギウス以外のトップの大罪司教たちに信仰心があるかは怪しいが
神出鬼没で一切が謎に包まれているが、現れるたびに各地で甚大な被害を生み出す惨劇を引き起こしてきた。
そのためルグニカをはじめとした各国で恐れられており、騎士団には即時滅殺の掟まである。
嫉妬の魔女が作中世界で非常に恐れられ、忌み嫌われているのは彼らの存在によるところも大きい。
目的は嫉妬の魔女の復活だと思われるが、詳細は不明。
教徒はいずれも「福音書」と呼ばれる書物を持ち歩いている。
この「福音書」は時折その持ち主が行動するべき内容が文字で刻まれ、教徒たちはそれに従って行動している。
また、魔女教に入ると見込まれた者のところにはどこからか「福音書」が送られ、それを受け取ってしまった者は魔女教徒に変貌してしまうという噂もある。
一般の教徒はKKKのような頭を覆った頭巾とローブを着用している。
大罪司教
『嫉妬』を除いた大罪の名を冠する魔女教の幹部。
現在『傲慢』は空席となっており、ペテルギウスはその補充を探していた。
そろいもそろって残虐非道を絵にかいたような人物が構成員全員という相当な狂人揃いであり、大罪司教の数だけ被害のレパートリーがあるほど。
共通するのは人の醜さと言う概念を究極的に突き詰めた『狂人』そのものの精神性を有していること。
一部を除いて仲間意識は皆無。というかガチの殺し合いを始めるような仲。
更に救えないことに他の大罪司教の凶行をみて最低だと思える感性自体は有しているにもかかわらず、自身のことは常識人だと思っているなど全員が全員自分の行動『だけ』は正しいと全くもって疑わない。
嫉妬の魔女に呑まれた6人の大罪魔女が有していた魔女因子を受け継いでおり、全員加護の上位互換「権能」と呼ばれる特殊能力を持つ。
彼らの名前はなぜか地球における星の名前からとられており、その能力も名前の由来となった星にちなんだものになっている。
どうやら400年前に居た地球人であると思われる『賢人』フリューゲルが関与しているようだが、詳細は不明。
世間的には『怠惰』と『強欲』が悪名高いがそれ以外の司教に関しては存在自体が知れ渡っていない。
……だが、それはその人物たちが活動をしていない訳では決してない。
単純な話、遭遇した人物のほとんどが消息不明及び意識不明となったからである。
ちなみに作者曰く、本作品に登場するキャラクターは捨てキャラは基本おらず、出てくるキャラにはみんな物語やそれなりに何か持っているようにしているということなのだが、
そうしている理由の一つは「何もないただの屑は大罪司教だけで充分だから」というものであったりする。
もっとも、実際のところ悲しき悪役であったペテルギウスやとある考察が進められているシリウス、過去に壮絶なトラウマがあると作者が語るカペラ等大罪司教にも何かしらの物語は存在しており、『何もない』と断言できるのは現状ノミ以下レグルスくらいなもの。
【構成員】
【大罪司教】
ワタシは魔女教、大罪司教『怠惰』担当、ペテルギウス・ロマネコンティ……デス!
アナタ、『怠惰』デスね?
試練を、前に、事が露見しそうな状況!それが!それが!それがそれがそれがそれがれがれがれがれが!福音に対するアナタの真摯な報い方デスか!あぁ、怠惰だ!怠惰!怠惰怠惰怠惰怠惰ぁ!そして!ワタシの指の怠惰はワタシの怠惰!あぁ、寵愛に報いれぬ、我が身の怠惰をお許しください!この身全て、全霊の勤勉さをもって、福音に沿うよう生きることを、在ることを!お許しいただきたいのデス!愛だ!愛に報いねばならないのデス!怠惰であることは許されない!福音に従わなければ!与えられた愛に、愛することで返さなければ!
素晴らしい、美しい、なんとも気高い、揺るぎない精神性がうかがえるのデス!信じるものが!貫き通すものが!確固たるものが己の中に確立されている証デス!いぃ、すごぉっく、いいデス!
狂人!実に正しき認識デス!そう、ワタシは愛に狂っているのデス!愛に、畏愛に、遺愛に、慈愛に、恩愛に、渇愛に、恵愛に、敬愛に、眷愛に、至愛に、私愛に、純愛に、鍾愛に、情愛に、親愛に、信愛に、深愛に、仁愛に、性愛に、惜愛に、切愛に、専愛に、憎愛に、忠愛に、寵愛に、貧愛に、偏愛に、盲愛に、友愛に、憐愛に、愛に、愛に、愛に、愛あいあいあいあいあいあいあいいいいいぃぃぃぃっ!!
あぁ、そうデス、そうデスね。アナタは、とても頑張った。アナタは愛に殉じ、精いっぱいに抗った。そして、届かず破れ、愛は行き場を失い、願いは果たされずに虚空を漂う……
あぁ、アナタ……『怠惰』デスね
脳が、震える
『怠惰』を司る大罪司教。
ナツキ・スバルたちが最初に遭遇した大罪司教で魔女教の最初期からいる最古参の教徒の一人。
深緑の髪をおかっぱみたいな長さで切り揃えて、虫のように無感情な目をした痩せぎすの男。
魔女教大罪司教の中でも最も精力的に活動している人物で、その病的な見た目とは裏腹に、その目は活気に満ちている。
被害の中の半数は彼によるものと言われており、大罪司教の中でも最も危険視されている存在の一人。
作中ではハーフエルフが表舞台に立つと魔女教が暴れ出すと言われており、それがハーフエルフが迫害される遠因の一つになっているが、
実はハーフエルフに強く執着しているのは大罪司教では彼だけ。
彼があまりに精力的に活動するため、それが一般人の魔女教への認識すら塗り替えてしまっているのである。
年齢402歳。身長180㎝、体重50㎏台と
プロフィールもかなりヒョロい。
一人称は「ワタシ」。
首を傾け、腰を曲げるなど、奇態な体勢で話すことを好み、ケタケタという不気味な笑い声に語尾に「~デス」という言葉を多用する非常に特徴的なしゃべり方をする。
口癖は「脳が震える」。
『嫉妬の魔女サテラ』を信奉し、その存在の寵愛に報いることを至上の目的とする分かりりやすい狂信者であるが、極端なまでにテンションや感情の起伏が激しい。
狂ったように熱の入った演説をしたかと思えば急に冷静な態度で部下に指示を出し、また何かの拍子でテンションが狂ったように上がるなど精神状態が全く安定していない。
『怠惰』を担当するが本人は怠惰を嫌い『勤勉』を美徳と考えて好む……が、彼の生きる理念は『勤勉さ』と『愛』の二つだけであり、それを証明することだけが彼の生き甲斐であり、生きる理由。
故に自他を含めた勤勉に働く存在と、崇拝対象であるサテラには常軌を逸した偏執的な執着を向け、(自分が殺した相手でも)役目を務められず死んでいった者には嘲笑を向ける。
また指を噛み砕くなどの異常な自傷癖の持ち主で頻繁に肉体を傷つけることも。
言動はクレイジーそのものだが、それでも作者曰く「彼は大罪司教の中では一番マトモでマシ」。
……というのも、大罪司教の中で彼だけは他人と意思疎通ができるから。
要はこう見えてちゃんと人の話は聞くのである。
実際、他の同僚は滅茶苦茶な精神構造をしている上に人の話をまったく聞き入れない連中ばかりであり、意思疎通はおろか会話が全く成り立たない。というかする気がない。
作中で部下を従えて登場したのも彼一人である。
なお狂気に関しては一家言あるらしく「本気で狂うのであれば、本当の意味で狂気の世界に浸るのであれば、他者の目など意識してはいけない。世界はひとりで完結していなくてはならない」「狂うということは外れるということ」といった持論を持つ。
その正体は四百年前から生き長らえてきた土の邪精霊。
明確な実体は存在せず、今までに幾人もの宿主の肉体を渡り歩いて生きてきた。
彼に乗り移られた人間はたちまちその肉体と意識をペテルギウスに奪われてしまう。
その性質故に単純に肉体を破壊しても、彼は次の肉体に乗り移るだけであり、彼を撃破することは非常に難しい。
作者によると彼はイレギュラーな精霊らしく、憑依していない精神体のまま長くは活動できないらしい。
常軌を逸した自傷癖も、肉体がないが故に痛みを感じることで生の実感と快楽を強く味わえることが理由。
瘦せぎすで一見非力なようだが、後述の権能により見た目以上にパワーも機動力も高め。
なにより狂信者メンタルなので生半なダメージでは、ひるむことなく死に物狂いで襲い掛かってくるのが特徴。
がしかし、特段鍛えている訳ではないので権能抜きの素の戦闘力は低く、油断していたとはいえ素人同然のスバルのパンチすら回避できないレベル。
届かぬ場所へ手を届かせる。動かぬ身でなにかを為す。怠惰なる身で勤勉に努める──あぁ、我が身の『怠惰』さに、脳が、震える、思い、デス!
『怠惰』の権能。
ペテルギウスの体を中心にそこから「伸縮自在の不可視の手」を何本も具現化させて自在に操る能力。
無数の手一本一本が相手の手足を引きちぎり、人をたやすく抉り殺し、木々を容易く粉砕しへし折るだけの怪力を持ちながら射程距離も非常に長い。ほとんど初見殺しといってもいい能力。
発動時にはペテルギウスの背中から無数に出現し、基本不可視ではあるが、なぜかスバルのみ「黒い腕」として視認可能。
ただし、見えないだけで実態はしっかり存在はするため水しぶきや砂埃などを巻き起こして確認することはできる。
いざとなれば手足がもがれようと『見えざる手』を四肢の代わりにして移動できるなど意外と応用も利く。
ペテルギウスは自らのこの力を「怠惰にして勤勉なる権能」と評している。
後にペテルギウスを討伐したスバルに移譲された。
精霊との親和性が低い者の精神を汚染することで一時的に狂わせ、戦闘不能にすることができる権能。
精神攻撃と同時に自身の乗っ取れる相手を探せるという一石二鳥、否、怠惰な能力。
ただし書籍版では登場しない。
土の精霊であるため、当然ドーナ系の魔法を行使可能。
攻撃は見えざる手で事足りているためか使用頻度は少ない。
作中で披露した最大術はウル・ドーナ。
巨大なドーム状の防御壁を瞬時に展開するなど中々の力量を見せた。
その正体は100年前にエミリアの養父に近い立場であった「ジュース」。
魔女教創設者の1人にして穏健派のリーダーでもあり、当時は理性的で落ち着いた物腰の人格者であった。
しかし、過激派である『虚飾』の魔女パンドラと『強欲』の大罪司教レグルスの襲撃からエミリアとエミリアの養母であるフォルトナを守ため、対抗手段として適合性がないにもかかわらず『賢人』フリューゲルの骨で出来た箱に封じられていた『怠惰』の魔女因子を無理やり取り込む。
それによる苦痛に耐えながらも戦うが、パンドラの策によりフォルトナを意図せずして殺めてしまい、その事実に精神が耐えきれずに発狂してしまった。
また、パンドラの権能によってエミリアとジュースはどちらも記憶を大きく書き換えられており、それゆえに互いに再会しても相手の正体に気がつくことはなかった。
理性的な頃の彼は現在の病的な風貌とは違い、「好青年」という言葉が似合う優しげな青年の見た目をしており、「~デス!」の語尾も一応使うがかなり落ち着いた喋り方をしていた。
後述する「指先」は100年前にも存在していたが、当時の「指先」は正気だった頃のペテルギウスと志を同じくする穏健派の教徒で構成されていた。
彼らが身体を託していたのは彼への信頼と忠節によるものであったことから、当時の彼の人格者ぶりが窺える。
スバルと同調したユリウスにより見えざる手を攻略可能とされ、本体を討ち取られるもスバルに憑依する。
だが前の周回で把握していたスバルにより死に戻りの事を口にした激痛を同調により味わわせて残骸へと戻らされ、岩に押し潰される。
だが執念により無くした四肢を見えざる手で代用して追跡を開始し、スバルと再度対峙するが、ユリウスからスバルが借り受けた微精霊の放った炎魔法とスバルの拳を受けたことで竜車から落下、その車輪の回転に巻き込まれてしまう。
最後は投げ捨てられた福音書に書かれた『終わり』の文字を見て絶望し、スバルの名前を絶叫しながら車輪に引き裂かれて消失した。
ここでお前は、『おわり』だ──!
──ナツキ・スバルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
『狂信者ペテルギウス・ロマネコンティ』としては当然の末路かも知れないが、『エミリアの保護者ジュース』としてはやりきれない最期である。
スバル曰く「勤勉の一言を免罪符に他者の営みを身勝手な愛で塗りつぶす怠惰」。
名称はオリオン座α星ベテルギウス(Betelgeuse)に由来。
声を演じた松岡くんが「自分は何度か狂気に染まったキャラを演じたことはあるが、それでも「えっ!?」って思った」と絶句した逸話があり、上記の作者の一番マトモ発現を受けアニメの収録現場でも「これでマトモなのかよ?」「他のがいろいろ出てきたらどうなるんだよ?」と話題になったとか。
その圧倒的なキャラの濃さから読者人気がそれなりに高く、作者が初めて貰ったファンアートが彼であったようで、ファンアートをもらった結果スバル君の死亡カウントが2つ増えた。
圧倒的人気から、遂には全高約88cmの1/1スケール胸像フィギュアが誕生。
レムラムに続いて主人公のスバルやヒロインのエミリアを差し置いてリゼロキャラでは3人目の抜擢となる。
そのチョイスと無駄にハイクオリティな造形から「怖い」「なんで作った」「邪教のご神体」「邪神像」等と指先達からも賞賛の声を隠さない。
「指先」
ペテルギウスの腹心にして、彼の予備の肉体となる魔女教徒達の一派。
現時点では、部下に魔女教徒がいることが明言されている大罪司教は彼だけである。
僕は魔女教大罪司教、『強欲』担当。──レグルス・コルニアス
君さあ、礼儀ってものがわかってないんじゃないの?僕はさ、最初に名乗ったと思うんだよね。どうして名乗ったかっていうと、それが人間関係を始める上で一番大事なことだから。どんな関係であっても、まずは自分と互いを知ることから始めなきゃならないわけじゃない?で、僕はこれでも気遣いができる方だから、なるべく誰とでも友好的に接したいと常々思っているんだよ。それに相手が照れ屋の可能性だってあるわけじゃない。仲良くしたいと思っていても、なかなか自分からは名前を名乗ることだって躊躇ってしまうみたいなね。そういう人に配慮する意味もあって、僕はできるだけ自分から名乗って、相手を安心させる土壌を作ってあげたいと思って行動してるわけ。もちろん、恩着せがましいそんなことを最初から誰にでもずけずけと明かすわけじゃないさ。でも、そういった意味合いがあって最初に名乗っているんだってことを、ある程度の年齢になるまで過ごしてきたなら察してほしいんだよね。っていうか察せるでしょ。それとも君、初対面の相手とは名乗らずに話し合うのが当たり前の生活してきたの?だとしたらそれってちょっと僕の常識感と文化が違うよね。それなら互いの感覚のすり合わせは必要だと思うけど、それならそれで誤解を生まないように前もって断っておくべきじゃないかな。そういった心遣いの一つもしないで当たり前みたいに相手の優しさに甘えるのって、ちょっと違くない?というより、それはもはや失礼に値するよね。失礼そのものだよね。礼を失するってことは、相手に対してその程度の価値しか見てないってことだよね。相手の価値を見損なうってことは、それはもはや相手の人生の、生き方の侵害だ。他者の権利の侵害だ。無欲で理性的な僕に対する、僕の権利の侵害だ
大事なことなんだ。僕はね、君の顔が好きだ。顔がとてつもなく好きだ。僕は妻を顔で選ぶことにしてる。美しく、可憐で、整って魅力的な顔で妻を選ぶ。僕が妻にした二百九十一人は全員、顔の美しい妻たちだった。君も顔が可愛い。だから、僕は君を僕の妻にする。わかるかい?
僕は思うんだけどさ、世の中って思った以上に勝手な人が多いよね。恋人になったり夫婦になったあとで、愛が冷めるみたいな話ってよく聞くじゃないか。お互いに好き合っているはずなのに、いざ一緒に暮らしてみたら色々と合わない部分がある。料理の好みが合わない。生活習慣が合わない。趣味が合わない。時間が合わない。そんな身勝手な理由をつけて、好きだったはずの相手に幻滅するクズみたいな人間がたくさんいるんだ。僕はね、そんなどうしようもない奴らが心底嫌いなんだよ
勝手なんだよ、誰もかれも。どうして幻滅する?好きな相手と、ちょっと感性が違うぐらいのことでなんで幻滅するのかな。そんな馬鹿な話があっていいのか?おかしいじゃないか。だから、僕は好きな相手は顔で選ぶ。好きな顔をしている相手であれば、僕はその顔の持ち主がどんな子であっても幻滅なんてしないよ。だって顔が好きなんだから。その顔である限り、愛が冷めることなんて絶対にない
脱いだ服を片付けない人でも。子どもを何人も殺した殺人鬼でも。料理が壊滅的に下手くそだろうと。親兄弟を借金のカタに売り飛ばしていようと。色移りする洗濯物が分けられない人でも。隠れて動物を殺すのが趣味な頭のおかしい人でも。服のセンスが最悪だろうと。金に薄汚い性根だろうと。風呂に入らなくて汚物みたいな臭いがしていても。世界の滅亡を本気で目論んでいようとも──僕は嫌わない
好きだった、なんて過去形で語ることなんてない。僕は君の、顔を愛してる。だから君がたとえ、世界中の人間に苦痛の限りを与えて殺そうと目論む魔女だったとしても幻滅なんてしないよ。ただ、その顔である限り
簡単なことだよ。普通にしていたら可愛いし綺麗なのに、笑うとブスになる子っているじゃない?僕、そういうのが許せないんだよね。だから、笑顔って言ったけど条件は泣き顔とかも一緒だよ。ようは、可愛い可愛い君の顔が不細工になる可能性があるのが嫌なんだ。だから、笑うな。泣くな。怒るな。ただ可愛い顔をしていろ。
顔が可愛い。愛なんて、それが全てでしょ?
いずれ必ず終わりが訪れるとわかっているからこそ、生きている人間は生きている間の幸せを追求しなきゃならない。だから僕は、自分の幸せのハードルが低くて済むことにとても充足感を覚えているんだよ。これでもしも僕が『強欲』だったら、ありとあらゆるものを欲しがって、手に入れない限り満たされない欲深だったとしたら、生きている間に幸せになることなんてできなかったかもしれない。でも、幸いにも僕はささやかな幸せで満たされる感性に恵まれて生まれた。満たされている僕は聞きたい。死んだ君は、満足して死ねたかな?死ねたのならおめでとう。満たされてなかったなら、ご愁傷様だ
僕の意見を無視するってことだ。僕の権利を侵害するってことだ。──それは、いかに無欲で心の広い僕でも許せないなぁ
『強欲』を司る大罪司教。
ペテルギウスと同じく魔女教の初期からいる最古参の教徒の一人。
外見は細身の体つきをした白髪の青年。面貌には大した特徴はなく、見た目はいたって平凡。ただし年齢は
推定百数十歳以上。
百数十年前はとある村の貧乏な一般家族の生まれで、両親や兄弟が居たことが明かされており、家族達は恵まれない環境であってもレグルスに愛を注いでいた様子。
だが、
幼少期から他者との関わり合いを病的に忌み嫌い他者を見下す自尊心と自己愛の権化である上に被害妄想気味だったレグルスにとって、家族の行為は煩わしい上に自分を馬鹿にしている行為としか認識できず、
強欲の権能の獲得と同時に躊躇すらせず家族や出身の村の住民を虐殺し、自分のいた国をも滅ぼして現在の地位に至る。
ペテルギウスほど積極的に活動はしていないが、ルグニカ王国の隣国であるヴォラキア帝国の城塞都市ガークラをたった一人で攻め落とすなど、起こした事件一つ一つの被害の規模が尋常ではなく、それゆえペテルギウスと並んで特に恐れられている存在。
一人称は
「僕」。
『強欲』の名に反して自らを
「平和主義者」「無欲」と称して無欲と清貧を尊ぶ。
外面は非常に穏やかかつ穏便なので、そういった意味では
見るからに近寄りたくない狂人というかヤバい人物だったペテルギウスとは対照的。
だがその本性は
異常な承認欲求と自己顕示欲の権化。
非常に我が儘な激情家で、自らの欲したものを手に入れないと気が済まない司る性質通りの強欲な男。
自らの思想・価値観を何よりも最上に置いた上で、決して他人の存在を無視することができず、自身の存在価値を他人に誇示することに執着する。
恐怖と暴力によってあらゆる存在に己の感性を押し付け、価値観を上塗りすることで
「レグルスこそが最上である」と強要する
最低最悪のかまってちゃんであり独善者。
そして上述の台詞からわかる通り死ぬほどウザいレベルで非常に多弁な饒舌家。
事あるごとに一見もっともらしい道徳観や一般論をくどくどと語るも、その内実は屁理屈で自分の我儘を押し通そうとしてるだけでダブルスタンダードも甚だしく、喋るたびにブーメランが刺さっているのだが本人は全く無自覚。
長々と語る論理と言動全てが自分の中で完全に自己完結し切っているため対話の余地は微塵もなく、そのくせ少しでも相手の行動・言動が自分の意に沿わぬものであった場合、無茶苦茶な難癖を付けた上で「自分の権利を侵害された」として殺しにかかる。
激情家のかまってちゃん故に煽り耐性もゼロで、少し前に言ったことと今言っていることが全く矛盾していても本人は一切気にせず、逆に指摘してくる相手をブチ殺して反対意見を封殺しようとするクソコテである。
ここまで長く書いたが、当の本人は己の無謬を信じて疑わないのが何よりタチが悪く、自分の行ってきたあらゆる所業に一切の悪気や呵責もないおまけつき。何なら自分の意見が受け入れられないことに悲観し厚顔無恥に被害者面までする。
後述する権能も合わせて文字通りの「無敵の人」を体現した人物である。
また個人的に53人もの妻からなるハーレムを築いているが、その選定基準は「処女であるか」と「顔」のみで、「顔が可愛い。愛なんて、それが全てでしょ?」と断言して憚らない。
妻を得る方法もやり口は相手の同意を一切考慮しない一方的な誘拐でしかなく、その過程で妻に選ばれてしまった女性の家族や知人は皆殺しにされ、故郷も滅ぼされた被害者もいる。
ナレーションによれば「正論と綺麗事で表面を飾り付けたストーカーの理屈に近い」「ストーカーの厄介さの例に漏れず、自分が間違っているなどと微塵も彼は疑っていない」とのこと。
少しでも気に食わないことがあれば、文字通り「切り捨て」るなど愛情は皆無で今までに迎えた妻の数は「死に別れた」女性を含めると総勢で291人。
彼女たちのことは皆番号で呼び、上記のような自分にだけ都合のよい理屈を並べ立て、恐怖で縛っている。
当然嫁からの反応は抜粋しただけでも
- 「死ねばいいのに」
- 「気持ち悪い」
- 「地竜の方がマシ」
- 「比較対象がない」
- 「苦しんで死んでほしい」
- 「話が長くて回りくどい。一文字余計に喋るたびに死んでほしい」
- 「あれを愛せる人間なんていない」
などレグルスへの溢れんばかりの愛の叫びで溢れている。
彼は「顔さえ良ければどんな性格でも気にしない」と言っているが、作者曰く「性格的に反りの合わない子は屁理屈を並べ立てたうえでミンチにしている」らしい。
彼が可愛らしい顔の女性を強引に妻にしていたのは、実の所自分の周りを美女や美少女で囲うことで周りに自分への憐みを抱かせず、自らを高等な人間だと周りに知らしめることが思惑。
処女に拘っていたのも妻に仕立てる人間に裏切られて自分が傷つくのを防ぐための予防線であり、レグルス自身はそもそも愛という感情や生殖活動の概念そのものを根本から否定・嫌悪している。童貞乙
その為「好きな相手と結ばれたい」という一般的な人間の願望をレグルスは「卑俗な強欲」と蔑んで認めていない。
戦闘技術に関しては素人以下でスバルにすら劣るが、権能の力がそれを補って余りあるほど凶悪で、小手先の技術が全く無意味になるレベル。
ぶっちゃけ本気を出せば誰が相手だろうと遠距離攻撃で一方的に瞬殺してしまえるのだが、そうはせず敢えて剣や魔法の応酬に真っ向から応じることを好む。
が、上記の性根であるからして決して殊勝な心掛けによってそんな戦闘スタイルを取っているわけではなく、寧ろ敵対者を相手の土俵で叩きのめし、自分という存在を誇示した上で悦に浸りたいがため。
むしろ気に入らない相手を瞬殺してしまうと死に逃げされた気分になって我慢できないため、自身の権能への自信もあって相手の攻撃を受けた上で叩き潰そうとする。
地の文では「自分が傷付き、敗北しないという前提条件に立った上で、相手の全てをねじ伏せて心をへし折ろうとする戦い方しかできない男」と呼ばれている。
が、プリステラでは
- 同じく化物級の戦闘力を誇るラインハルト
- 反骨メンタルな上に小賢しく立ち回る(叩きのめして絶望させる機会に中々恵まれない)ナツキ・スバル
とではそれぞれに対してはこのスタイルが裏目となり、逆転及び自身の死に繋がった。
また、『戦闘』に関しては絶望的といわざるを得ないがその杜撰な本体性能から『逃走』、引いては『生存』自体は大罪司教の中でも(他のメンバーと比較すればの話だが)容易。
しかし逆にあまりに戦闘技能がないため武道の心得がある者が情報もなく彼を見ても『武道などの心得があるか』を判断基準として観察した場合、彼の所作自体はそのようなモノが欠片も見つけられず「こいつはズブの素人だ」と割り出してしまう為、彼を初見で実力者だと判断する事はほぼ不可能に近い。
保有する権能の圧倒的な強さから、戦闘力で言えば間違いなく大罪司教最強。
ただし上記の通り権能以外の能力は無きに等しく、自身を鍛えるといったことも一切行っていない。
言ってみればもらったチートでイキっている状態である。
今に満たされていればいいものを、身の丈に見合わないものを欲しがって身を滅ぼす。どいつもこいつも揃いも揃ってなんにも学ばない。君たちって本当に度し難い生き物だよ
『強欲』の権能。
自身の肉体と自身が触れている物質の時間を止めることができる。
おまけに権能が発動している間は一般的な物理法則に左右されないため、超人的な身体能力まで得られるなど至れり尽くせり。
発動中は他者からの影響を一切受けず、強大な暴力を受けても傷を負うどころか衣服に汚れ一つ付ず、攻撃に転じた場合、軽く手を振るだけで他者の両腕が肩から千切れ、投じた泥や石の破片は散弾のように人体を抉るなど、攻守ともに隔絶した力を持つ。
分かり易く言うと
凍れる時間の秘法が掛けられた
バーン様の肉体+
ミストバーンみたいなもの。
「自分一人で満たされていたい」「他者に干渉されたくない」という精神の具現じみた能力である。
ただし
使用中は術者の心臓も停止するという割と大きな欠点があり、通常ならば最大5秒位しか持続しない。
『強欲』のもう1つの権能。
他者に自らの心臓を「重ねる」能力で、簡単に言えば疑似心臓を作って他人に寄生させる能力。
この権能によって『獅子の心臓』の欠点を補い、常時発動が可能になっている。
あくまで疑似心臓であるため、潰されても死なない上、通常では対象者は心臓が重ねられていることにも気づかない。
当然寄生先である花嫁に対しては無断で行っている。
レグルスは「夫の財産の管理は妻の義務」「美しい夫婦愛そのもの」と呼んで憚らない最低の異能。
自身の嫁(という名の人質)に擬似心臓を寄生させていたが、エミリアが彼女達をコールドスリープさせたことでこれらの擬似心臓を機能停止されてしまう。
しかし、切り札として疑似心臓をエミリアに寄生させていたことで勝利を確信。
それを明かして1人愉悦に浸る。
だが、スバルが疑似心臓をなんとかしようとするのを上記の性格もあって「スバルがエミリアを諦めて殺そうとしている」と勘違いし、大事な人間を犠牲にしてまで挑んできたスバルを叩きのめすという悦に浸りたいがためにあえてそれを見過ごすという大ポカをしてしまう。
その結果、スバルが使用したジュースの『見えざる手』によりエミリアは無傷のまま寄生させた疑似心臓のみを破壊され、擬似心臓が全滅したことにより永続の無敵能力が時間制限付きに劣化。
権能に頼りっぱなしで自身は何も鍛えていない彼はエミリアに叩きのめされる。
それでもみっともなく「2対1は卑怯」等とほざくが、スバルが『ラインハルトと一対一でイーブン』という状況を仕立て上げ、上空に吹き飛ばされた挙げ句跳躍で追い付いたラインハルトに地上へと叩きつけられてしまう。
獅子の心臓により衝撃を無効にするが五秒しか停止できないので解除せざるを得ず、地中で衝撃により全身がグシャグシャに砕けた肉袋となり死亡…したかと思いきやそれでも執念深く生きてはおり、時間停止により着々と地上へと上がって行くなかでエミリアの事をペテルギウスが保護していた少女だということを思いだし、暗い復讐を楽しもうとしていた。
…が、破壊した町の水路から溢れた大量の水が穴に流れ込み、「溺死」か「心停止による死」どちらかの死しかなくなる状況となり発狂。
エミリアに自身の討伐を喜ばれたくないという絶叫の中死亡した。
(自分が死んだあとで、嘲笑われるのなんて御免だ)
(あの娘に、母親やペテルギウスの仇を取ったなどとはしゃがれるのも御免だ)
(あの娘がレグルスの死を喜び、飛び跳ねて感激すると考えただけで反吐が出る)
(人生の目標、生きる糧、それを達成したかのように振る舞うに決まってる)
(レグルスの死によって自分の人生は動き出す、輝き出す、そんな世迷い言を言うに違いない)
(筋違い、見当違い、甚だ理屈に合わない喜びで、あの娘が満たされるなんて耐えられない)
(自分の死が、あの娘の心に大きな大きな影響を──ぉ)
それがね、思い出せないの
──レグルスって、私とどこで会ってたんだろう
最後の執着を向けられた当のエミリアはレグルスのことを朧気に覚えてはいたものの、具体的なことは最後の最後まで思い出すことはなく、『エミリアにレグルスが与えたものなど何もないのだ』という事実を地の文により断じられた。よかったなレグルス願いが叶ったぞ
そもそもエミリアの養母フォルトナの命を奪い、ジュース=ペテルギウスを狂人へと変貌させた元凶はパンドラである。
レグルスも一応この戦いに関わりはしたもののパンドラによって途中退場させられているので、三下レベルの存在感しかなかったのだ。
それでも自分こそが親の仇と自認し勝手に逆上するあたり、自意識過剰もここに極まれりである。
いずれにしろ『承認欲求と自己顕示欲の権化』としては最悪の末路であり、引いてはレグルス・コルニアスは世界や人類に負の影響こそ残せど、彼という存在に価値や意味など誰にも見いだされることなどないという最期であった。
レグルスの死後、強欲の魔女因子はペテルギウスのものと同じくスバルに受け継がれたが、こちらの権能の効果は「他人の不調を自身が肩代わりする」という別物どころか『小さな王』の名の意味すら正反対と化している。
スバル曰く「己の価値観を押し付け、独りよがりを押し通す凶人」。
名称はしし座α星レグルス(Regulus)に由来。
その強さで読者に絶望を与えた初登場時から話が進むにつれて内面の気持ち悪さと小物っぷりが明らかになり、
さらには作者にも「ノミとレグルスを比べるなんてノミに失礼」「気持ち悪い」と言われる、「呼び捨てにするほど親しい間柄だと勘違いされたら恥ずかしい」という理由で徹底して「レグルスさん」と呼ばれるなどされ、声優陣から「キモい」「(エミリアに)一歩も近づかないでほしい」と言われ、web版読者からは上記の作者にの発言から「ノミ以下」「ノミ未満」というあだ名が付けられるなどペテルギウス以上のネタキャラ扱いされてしまっている。
加えて書籍版の設定イラストの服装が「イカ」や「タコさんウィンナー」にしか見えないなど、ネタっぷりが加速していると専らの評判。
魔女教大罪司教、『暴食』担当のライ・バテンカイトス。名乗られたら名乗り返すのって、礼儀じゃァない?
僕たちは魔女教大罪司教『暴食』担当、ロイ・アルファルド。まァ 、俺たちが恨みを 『食ってる 』のはよくあることだけどさ
あたしたちは、魔女教大罪司教『暴食』担当、ルイ・アルネブ。短い間だけど、よろしくね、お兄さん
『暴食』 ライ・バテンカイトス/ロイ・アルファルド/ルイ・アルネブ
暴食を司る大罪司教。
他と異なり三つ子の兄妹で構成されており、それぞれが魔女因子を保有する。ちなみに「俺たち」「僕たち」「あたしたち」が一人称であり、兄妹をまとめて呼んでいるのではない。
作者によれば、大罪司教の中では新参のようである。
自分の司る「大罪」を否定する大罪司教が多い中、彼らは自分の司る『暴食』に忠実で常にテンションが高い。
自身の権能で他者の『記憶』と『名前』を食らうことを「食事」と嘯き、三人それぞれが捕食する標的や食事方法に別個のこだわりを持つ。
数多の凶行を働く動機は「ただ幸せになりたい」という非常に普遍的なもの。
ただしその手段は他人の名前と記憶を奪うことで自分に足りない経験や記憶を満たし、自分の人生を最大限に謳歌するという余りにも独善的で自分勝手な方法。
生まれや親を始めとした「全てにおいて恵まれた自分」を生み出すために数多の人間の記憶を奪い続けており、そういった行為が必ず自分の幸せに繋がると本気で考えている正真正銘の外道。
ただし自業自得であるが、常人には体感し得ない物量の『経験(人生)』を貪り、取り込み過ぎた結果「あらゆる出来事が目新しさのない退屈で古臭い代物にしか感じ取れない」という強烈な既知感に苛まれており、
唯一味わったことのない「死の経験」を記憶しているスバルの存在に強烈な関心と執着を寄せている。
三人とも「自分の食べ方が兄妹の中で一番優れている」と考えており、内心では他の二人を見下している。
一方で妹のために「食事」をしてやるなど兄妹仲は悪くない様子。
基本となる権能。正式名称は不明。
肉体的に接触した相手の『名前』を食べて周囲の人間から被害者に関する記憶を奪い、相手の『記憶』を食べて当人の記憶を奪うことができる。
『名前』と『記憶』の両方を奪われた者は昏睡状態に陥り、その治療法は不明。要するに触られたらほぼ終わり。
仮に昏睡状態に陥らなくても片方の内『記憶』を奪われれば精神的に死んだも同然であり、『名前』を奪われれば社会的に死ぬなど、寧ろ昏睡状態に陥らなくても両方が両方のパターンで被害者は『死ぬ』も同然な目に合うという『色欲』とは別のベクトルで被害者に対する負の影響力は計り知れない権能。
ただし欠点として、捕食するには「捕食対象の正式な名前」を知る必要があり、
偽名や愛称もしくは食われる本人が本名を知らない場合で『食事』を行ってしまうと、記憶や名前は食えず逆に自身が嘔吐してしまう。
応用型の権能であり、「蝕」と総称される。
奪った『記憶』から知識や技術を引き出して行使することができる能力で、多彩な武器・魔法による戦闘技術を自由自在に使いこなすことができる。
ただしそれを扱うのに適した身体能力までもが身に付くわけではないため、そのポテンシャルを100%発揮することはできない。
「蝕」のバリエーション。
こちらは『記憶』から技術のみならず肉体まで再現する変身能力であり、月食の欠点であるフィジカル面のデメリットを完全に克服している。
しかし再現した肉体の精神に思考が引っ張られるため、ライとロイはこの権能を忌避し、『月食』を使用して戦うことを好む。
一方でルイはそのあたりに抵抗はない(というか完璧に制御できる)らしく、積極的に他人に成り代わって「理想の人生」を手に入れるための手段と見做している。
上述した権能とは別に、魔女因子を分割して自らの複製体を作るということもできる。
が、これまた『日食』同様に自我の崩壊に繋がりかねないため、やはりルイだけが実行可能。
その他、三大魔獣の一角である「白鯨」は彼らが操っていた可能性がある。
また、かれらの名前の由来になった星座は三大魔獣と関係のあるものになっている。
スバル曰く「ありとあらゆる存在の経験を堪能し味わい尽くした人生の飽食者」「人間の生きてきた道筋を踏み躙る冒涜者」。
ある理由からスバルにとって最も因縁の強い大罪司教であり、仇敵とされている。
というか読者からもトップクラスで恨まれている。
理由?
彼女の項目を見たら解るよ。
さァ?でも、僕たちの食事量はロイに比べたらマシだと思うけどね。ロイは悪食でなんでも食べるから、厳選する俺たちとは量が違うッ! 僕たちは食事は質こそ命と思ってるから、そこがロイとは相容れないんだよね
愛!義侠心!憎悪!執念!達成感!長々と延々と溜め込んで溜め込んでぐっつぐつに煮込んで煮えたぎったそれが喉を通る満足感ッ!これに勝る美食がこの世に存在するかァ!?ないね、ないな、ないよ、ないさ、ないとも、ないだろうさ、ないだろうとも、ないだろうからこそ!暴飲!暴食!こんなにも!僕たちの心は、俺たちの胃袋は、喜びと満腹感に震えてるんだからッ──────じゃァ、イタダキマス
あァ、まったく……いっくら食べても喰い足りないッ!これだから俺たちは生きることをやめられないんだ。食って、食んで、噛んで、齧って、喰らって、喰らいついて、噛み千切って、噛み砕いて、舐めて、啜って、吸って、舐め尽くして、しゃぶり尽くして、暴飲!暴食!あァ──ゴチソウサマでしたッ!
説教は僕たちにはいらないし俺たちは嫌いだ。あんたの言うことが間違ってるだなんて否定もしないけど、興味もない。あァ──本当に、僕たち俺たちはこの空腹感を満たすこと以外はどーォだっていいんだよ
会わせておくれよ、愛しの英雄様にさァ!僕たちの英雄が、俺たちを裁きにきてくれたはずなんだよォ、こんなところまで!
◆≪美食家≫ ライ・バテンカイトス
CV:河西健吾
濃い茶色の髪を膝下まで伸ばした背丈の低い少年。
細い体をボロキレのような薄汚れた布でくるんだだけの服装をしており、服の下には見える範囲の全てに鞭の痕、焼きごての痕、刃物で刻まれた痕、荒く削られた痕、抉られた痕、獣の牙の痕、青黒くなるまで殴られた痕など、虐待されたかのような悲惨なまでに大量の傷跡が残っている。
商人という存在に強い敵意を執念を抱いており、「物に値段付けて、他人に売り払って私服を肥やす連中」「人間の価値も思惑も、全部天秤の上に載せて計算する亡者」と吐き捨てている。
食事のスタイルは標的の記憶や経験の質を重視する『美食家』。
両手に装備した短剣を武器とし、小柄な体躯の速度と身軽さを活かしたスピーディな戦術が得意。
暴食の中では最も戦闘のセンスがあり、「月食」で読み取った戦闘技術を組み合わせて新たな技を作り出すといった芸当もこなす。
スバルの「死に戻り」に目をつけた暴食たちはプレアデス監視塔に侵攻、ライはエミリアと交戦し、エミリアの『名前』を喰らうことに成功する。
さらにその後はラムと交戦、喰らっていたレムの記憶からラムの戦闘スタイルを読み取り、当初は優位に立つものの、スバルの「コル・レオニス」によりラムが全盛期の力を引き出していたことで次第に押され始める。
形勢逆転のために禁忌としていた「日食」を開放、その力に取り込まれ、様々な者達の肉体をごちゃ混ぜにし、そこにレムの頭が付いた異形の姿となってしまうも、ラムを圧倒する。
しかし、ラムがレムとの共感覚を用いてさらなる力を引き出したことによって完全に形成が逆転してしまう。
愛してる、愛してる……そう! 愛してるッ! 姉様を……いいや、ラム! 俺たちはお前を愛して──
ラムの圧倒的な実力に触れたライは、これまでに『暴食』の大罪司教として価値あるモノと信じて集めてきた全てを塵芥に感じるほどの渇望と執着をラムに抱きつつ、自身の圧倒的不利を悟り、弟妹を見捨てて逃走を図る。
しかし、「千里眼」でライの動きを読み切ったラムは風の刃を檻のように作り出し、ライを閉じ込める。
己の命の淵を悟ったライは自ら風の刃に腕を突っ込んで両腕を切断、噴き出した大量の血によって壁に文字を書き殴った。
受け取ってくれ、僕たちの想いッ! 見届けてくれ、俺たちの願いッ!
言い切る前に、『暴食』の大罪司教の首は風の刃に斬り飛ばされていた。
あらゆる人間を喰らい続けた冒涜者は、人生で最も欲したものだけは最後まで手に入れられないまま、けれど最期の一瞬まで自身の欲望と渇望に殉じてそのあり方を貫いたのだった。
名称はくじら座ζ星バテン・カイトス(Baten Kaitos)に由来。
たまんなく嬉しいなァ!なんせ 、俺たちは満腹感優先の『悪食』だからねえ
嬉しいな、嬉しいね、嬉しいさ、嬉しいとも、嬉しすぎるから、嬉しいと思えるから、嬉しいと感じられるからこそ!暴飲!暴食ッ!待ち焦がれたものほど、腹を空かしておけばおくほど!最初の一口がたまらなくうまくなるってもんさ!
劣等感の香ばしさも、挫折を味わった芳醇な舌触りも、強く何かを渇望する甘美な絶望も、後生大事に抱え込んだ秘密の満腹感も、君には何にも!なぁんにもないッ!
いいさ、いいよ、いいとも、いいかも、いいじゃない、いいだろう、いいじゃないか、いいだろうさ、いいだろうともさ、いいだろうからこそッ!暴飲ッ!暴食ッ!美食、悪食、それから飽食ッ!大味、薄味、美味、珍味ッ!根こそぎ全部喰らってやるさッ!面白みのない人生それも、僕たちを満たす、未知の味だッ!
◆≪悪食≫ ロイ・アルファルド
CV:河西健吾
焦げ茶色の髪を三つ編みに束ね、袖と裾の長い緑の長衣に矮躯を包んでいる少年。
幼い顔立ちと悪戯な笑みに、この世に存在するあらゆる毒を煮詰めたような腐り切った目の輝きをしている。
ロイは捕食する標的にこだわりがなく、とにかく量を貪ることで飢えを満たすことだけを目的としており、それゆえ『悪食』と評されている。
戦闘スタイルは『虎爪』と呼ばれる暗器を相手に刺突させることで戦う。
5章ではユリウスの弟であるヨシュアを喰らい、そこから得た情報を糧にしてユリウスとリカードに勝利してユリウスの「名前」を奪う。
6章ではライとともにプレアデス監視塔に侵攻し、試練の裁定者となっていた初代剣聖レイドの記憶を喰らうも、レイドの強靭な精神力によって逆に体を乗っ取られてしまう。
6章終盤でレイドがユリウスに敗れたことで解放されたが、そままユリウスによって拘束される。
名称はうみへび座α星アルファルド(Alphard)に由来。
あたしたちは美食だの悪食だのどうでもいいからサ。ホント、わかってないよね。食事は『何を食べるか』じゃなくて、『誰と食べるか』なのにサ
いい、いいね、いいわね、いいよね、いいじゃない、いいじゃないの、いいだろうからこそ ……あたしたちも、私たちも、食卓を囲む価値をあなたに見る
きっと、どこかにあるッ! あたしたちが胸を張って、私たちらしく!この人生を生きてよかったって、そう思えるバラ色の未来が!その、運命の人生に巡り合えるそのときまで、食って、齧って、食んで、ねぶって、しゃぶって、貪って、暴飲ッ!暴食ッ!
幸せに、なりたい。ああ……私たちって、なんて不幸な身の上なの?
◆≪飽食≫ ルイ・アルネブ
CV:小原好美
三つ子の末妹にあたる金髪ロリ。
その幼気な見た目に反して、兄達とは段違いにどす黒い狂気と怨嗟が渦巻いている。
食事に関しては『何を食べるか』に重きを置かず、『誰と食べるか』を重要視する『飽食家』。
生まれたその時から『記憶の回廊』──世界のどこでもない、死者の魂が通る場所に存在しており、生身の肉体を持たないという謎に包まれた人物。
兄達が意識を失っている間、その身体を借りる(乗っ取る)ことでのみ、現実世界に干渉することができる。
しかし当人は自らの出生の秘密や由来に関しては無関心で全てに飽いているため、兄達同様「食事」だけを楽しみとして日々を過ごしている。
何故か日食の能力をほぼデメリットなく使いこなせるため、単純な戦闘能力は暴食の中でも最強。
大罪司教の中で唯一、読者の一部からその身の上を同情された。
名称はうさぎ座α星アルネブ(Arneb)に由来。
スバルから「死に戻り」の権能を奪うため、自らの複製体を偽スバルとして送り出したルイ。
首尾よく「スバルとしての人生」をその身に宿した複製体が帰還し、その記憶を本物のスバルに譲り渡した直後。
つまり、ルイが本来の自我と意識を取り戻したその瞬間──彼女は発狂した。
あんなの……あんなの、耐えられるわけない!あんな苦しみ!喪失感!耐えられるはずがない!無理!無理無理!絶対に無理!嫌だぁ!
あんなこと、耐えられるのは人間じゃない!化け物!化け物よぉッ!
──人間の心は、自分が死ぬことになんか耐えられないのぉッ!!
──だから、俺はお前が俺を喰おうとしたとき、言ったんだよ
死に戻りに際して経験した死の記憶──それがもたらす苦痛と恐怖を、ルイは身を以てわからせられてしまったのである。
最早ルイにとってナツキ・スバルとは人知を超えた恐るべき存在にして、彼女の命を脅かす最悪の敵でしかなかった。
恐怖と焦燥に駆られたルイはスバルを現実世界へと放逐、二人の兄にその始末を任せることにする。
が、そこに現れるのは分割されたもう一方の片割れ……スバルとなった記憶を持たないルイである。
相変わらず死に戻りを欲するルイと、打って変わって死の恐怖に怯えるばかりのルイ。
かつて同一の存在であったはずの両者の間には今や致命的な隔たりしかなく、それは間もなく不倶戴天の敵意へと変質する。
──ナツキ・スバルを知ってるのはあたしたちだけだ。この、馬鹿女
かくして二人のルイは、壮絶にして不毛極まる死闘を開始するのだった。
少し時間は流れて、六章終盤。数々の難局を切り抜けて一息ついたスバルの前に、突如として意識を失ったルイが出現する。
更に時を同じくして嫉妬の魔女らしき黒い影が出現、スバル、レム、ルイの三人が飲み込まれてしまう。
そして何処とも知れぬ草原で目覚めたスバルの前にいたのは、意味を為さない呻き声と共に無邪気にじゃれてくるルイの姿だった。
理性崩壊&幼児退行したルイ・アルネブのなれの果て。読者の間では理性崩壊飽食ちゃん略して『崩食ちゃん』と通称される。
言語能力は完全に失われており、喃語すら発することができない。性格も天真爛漫にして純真無垢……というか完全に赤ちゃんそのものである。
こうなった詳細な経緯・理由は不明だが、前章終盤の出来事が影響していることは間違いないだろう。
またスバルへの妙な懐き具合から、レムの記憶が影響しているのではないかという考察もある。
第七章におけるメインキャラクターの一人であり、色々な意味で大活躍する。
当然スバルの心情は複雑の一言では言い表せないくらい複雑であり、読者もどう受け止めればいいのか混乱していたり。
そんなこんなで良い意味で賛否両論が分かれるキャラとなっている。
ほんの少しだけ、皆さんのお時間を拝借させてください。私は魔女教、大罪司教『憤怒』担当──シリウス・ロマネコンティと申します
ありがと、ごめんね
人は、分かり合える。人は、一つになれる。優しさは、自分のためにあるのではありません。他人のためにあるのです。優しさは他人に施すからこそ輝く。自分に優しいのは単なる身勝手であって、優しさとはあまりにも違うもの!故にこうしているあなたの優しさは、他者を思った本物の輝き!ああ、『愛』なのです!
やっぱりあった。『愛』はあった。あったのです。みんなの心が一つに、それも喜びで一つになった。悲劇はいらない。誰かが泣かなくちゃならない世界なんてうんざりだ。誰もそんなの望んでいない。たとえ心が一つになるとしても、それは喜びや楽しさの共有であるべきなんです。悲劇も!『憤怒』も!必要ないのです!
あら? どうやら発狂してしまったみたいですね。愛情深く感受性が強い人は時おりひどく脆弱になってしまう。ああ、『愛』故に人は苦しむ。でも、『愛』があるから人は生きられる。とても難しいのですね。
──臭い。臭い。臭い。臭い。臭い。臭い。臭い。臭い。臭い。臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い
臭う、感じる……女の臭い。薄汚くて忌々しい、私からあの人を奪う半魔の臭い。殺しても殺しても、蛆虫みたいに際限なく湧いてくる臭い汚物。冗談じゃない。憎たらしい。あれだけ焼いても、まだ足りないのか
他にも感じる、女の臭い。あの人じゃないくせに、あの人に似た臭い。汚らわしくて卑しくて浅ましい、腐って色が変わって虫が湧いたような女の臭い。ああ、ああああ!あああああ!腹立たしい!忌々しい!憎たらしい!私の!夫への愛を試すか、精霊!私から!夫を奪っただけではまだ飽き足らないのか、半魔の売女!!
ああ、心を震わす忌まわしき『憤怒』!怒り、即ち激しい感情!激情こそが人の心に根付く大罪であるのなら、切っても切り離せない宿業であるのなら、喜びで心を満たすべきなのです!今このとき、皆の心が一つになっているように!
万雷の! 拍手を!
──ああ、優しい世界!!
愛は一つになることだ───!
『憤怒』 シリウス・ロマネコンティ
CV:安済知佳
『憤怒』を司る大罪司教。
頭部を包帯で覆い、黒いコートに身を包み、両腕は鎖で縛り付けるという異様な格好をした女性。
自称「ペテルギウス・ロマネコンティの嫁」で、彼を狂的に恋い焦がれている。
しかし実際は「自分はペテルギウスに愛されている」と思い込む、どす黒い愛情と執着を抱えた典型的なストーカー。
ちなみに肝心のペテルギウスからは特に何とも思われていない。好いても嫌ってもいない。
「知り合い、譲り合い、認め合い、許し合って1つになることこそ真の愛」と嘯くが情緒がかなり不安定。
普段は口調も態度も穏やかだが、一度怒りに火がつくととんでもなく激高し暴れまわる。
特に、崇拝対象であるはずの『嫉妬の魔女』に対してはペテルギウスが愛を向けているため、彼女を「クソ魔女」「売女」呼ばわりして強烈な憎悪を隠さず、彼女に似た容姿を持つエミリアの存在を視界に入れた際は「薄汚い半魔」呼ばわりして火がついたように感情と憎悪を爆発させ、内に秘めたペテルギウスへの自己中心的な執着を剥き出しにした。
言っていることは大罪司教の中では割とマトモで、セリフだけ見れば味方サイドのようにも見えるが、
そう言いながらも行うことは自身の権能による大量虐殺であり、言っていることとやっていることは全く合致していない。
にもかかわらず自分の行っていることは正しいことだと信じており、なかなかタチの悪い人物。
その本質は「自身の考えが何よりも正しい」と信じ、他の考え方を認めない排外主義者である。
彼女の言う「愛で1つになる」というのも、結局のところは権能によって自身の価値観を無理やり他者に押し付け、強要しているというだけに過ぎない。
そのため、自身の権能を解除されたり、効かなかったりすると激昂して暴れ回る。
この在り方について、シリウスが「愛は1つになることだ」と主張するのに対し、相対したプリシラは「愛は異なる相手を認め、それでもいいと受け入れること」だと断じている。
後にスバルが愛しいベテルギウスの権能をその身に宿していることを知り、スバルに執着を向けるようになる。
そして市民を自らの権能で人質にしてプリシラを追い詰めるものの、リリアナに自らの権能を無力化された事でプリシラに敗北。
濁流に飲み込まれるも生存しており、瀕死の状態でいるところを発見されて拘束される。
シリウスの持つ権能の1つ。正式名称は不明。
これに嵌ると、例えばシリウスが大喜びしている限り人々はシリウスに首をはねられる瞬間まで大喜びし続けたり、シリウスが子供を殺すのを多くの人々が拍手喝采したりするようになる。
一種の洗脳能力とよんで差し支えない。
さらに、権能を強めると権能の支配下に置かれた人々の互いの感情が共鳴・増幅しながら伝染していき、最終的には大多数の人間が発狂し死亡する。
作中ではこの能力は「劇場型悪意」と評されている。
シリウスの持つ権能その2。正式名称は不明。
この術に嵌った人間は負う傷が共有化され、そのうち1人が傷つけば範囲内にいるすべての人間に同じ傷がつく。
これによって、例えばシリウスの首が刎ねられると術に掛かった人々の首が全員刎ねられることになり、相手はうかつにシリウスに手が出せなくなる。
これらの権能をシリウスは「愛の力でみんなが一つになった結果」であると評している。
また、これらの権能以外に炎を操る術を持つ。
作者曰く、「権能抜きであれば大罪司教最強はシリウス」とのこと
スバル曰く「他人の感情を弄び、身勝手な愛を強要する怪人」。
名称はおおいぬ座α星シリウス(Sirius)に由来。
まだ読者の間で考察されているだけに過ぎないが、その正体はエミリアの養母フォルトナではないかという考察が割と根強くある。
代表的な根拠としては、
- シリウスのようなどす黒い異常なものではないが、フォルトナもまたペテルギウスに好意を持っていた
- なろうにて掲載されている短編『とある殉教者の訃報』にてシリウスの瞳がフォルトナと同じく「紫紺の瞳」と記述されている
- 「ペテルギウス・レグルス・シリウスの三人は長生きなのと権能の関係で100年近く大罪司教をやっている」という作者の回答(フォルトナはエルフなので寿命も長い)
- シリウスは5章で生け捕りにされ、プリシラ曰く「シリウスが生き残ったことはいずれ自分の優位に働く」(もしシリウス=フォルトナであれば、プリシラの競争相手であるエミリアは少なからぬダメージを受ける)
- フォルトナとエミリアの髪飾りの交換は正体が発覚する際の伏線の可能性がある
- 魔女教の首領格であるパンドラが死者を蘇生させて操り、手駒としている描写がある
など。
もしこの考察が当たれば、エミリアにとっては養父母が2人とも正気を失い、大罪司教に堕ちると言う相当残酷な事実となる。
フォルトナは戸松遥が演じていたのに対し、シリウスは安済知佳が演じている事から、あるいは別人である可能性も否定出来ないものの、スバルはシリウスの声に「機械的に作られたような不自然さ」を感じているため、声優の違いは判断材料にはしにくい。
アタクシは魔女教大罪司教、『色欲』担当──カペラ・エメラダ・ルグニカ様ってーもんです!きゃははははっ!敬え、崇めろ、泣いて嘆願して惨めったらしく死に腐れ!クズ肉共!きゃはははっ!
慈悲深く優しいアタクシは、恋多き女でもあるわけですよ。この世の愛と尊敬を一人占めすると決めてるわけで、でも愛されるための努力を欠かすなんて怠けた真似も決してしねーんです。愛されるために、あなたの好きなアタクシになる。あなたにアタクシを見てもらうために、アタクシ以外のものからあなたの興味を奪う。もともと誰を愛してても構いやしません。最後の最後に、アタクシを選んでくれるなら。アタクシはそのための努力を欠かさない。アタクシ自身の魅力を上に上に上に上に上に上に上げて!アタクシ以外のクソ肉の魅力を下に下に下に下に下に下に下げて!この世の最も尊く美しいアタクシを、誰もが愛するようにする
なんで?アタクシは博愛主義でやがりますから、殺すなんて野蛮な真似できやしませんよ。それにどんな頭の悪くてどーしようもないクズであっても……アタクシを愛する可能性は、生きてる限り残る。アタクシは承認欲求が強いんですよ。ですから一人でも多く、一秒でも長く、一言でも高く、アタクシを評価してほしい。それができねーってんなら、そこで初めて死ね!とっとと死ね!以上、アタクシのありがたーい訓示でありやがりまーす
耳心地いいことばっか抜かしてんじゃねーってんだよ!内面がどーたら性格がどーたら気が合うだの相性だのグダグダうるせーってんですよぉ!外面だろーが、外見だろーが、見た目がてめーの肉を刺激するからその肉に惹かれてんだろーが!心に愛を感じるってんなら、そのキラキラした言葉で飾って、キラキラした目で見つめ合って、キラキラした口触りのいい寝物語を語ってた相手が、蝿になっても愛せるか試してみろってんですよぉ!愛せるか、愛せねーだろ!?おぞましいもんなぁ!?気持ち悪いもんなぁ!?嫌悪感しか湧いてこねーもんなぁ!?てめーがてめーでさっきそう言いやがったんだもんなぁ!?
この世の愛と尊敬は全て、アタクシに一人占めされるためにある。
ね?てめーはいったい、どぉぉぉんなアタクシが好きぃ?
『色欲』 カペラ・エメラダ・ルグニカ
『色欲』を司る大罪司教。
大罪司教の中でも最も残忍かつ残酷な人物であり、死んだはずの残忍で知られたルグニカ王女「エメラダ・ルグニカ」の名を名乗る金髪の美少女。露出度の高い黒いランジェリーを身に纏っている。
非常に挑発的で残虐性を感じさせる、礼節に唾を浴びせて踏み躙るような乱暴な喋り方をする。
老若男女敵対者も含めた全ての人物を平等に愛し、自ら「尽くす女」「博愛主義者」と嘯くが、本性は「この世の全ての愛と尊敬は全て自分に一人占めされるためにある」と言い放ち、他者を死んだ方がマシな生き地獄に叩き落として相手に自分を愛すること事を強いるエゴイスト。
愛されるために自分の姿を相手の好みに変え、他人の姿を醜く変えるという人間の尊厳と価値観を踏みにじり嘲笑う。
「性格とか好きになるのに関係ないだろーがバーカ(要約)」というのが彼女の主張であり、その人物の好みの姿に変身すれば相手は自分を絶対に好きになると本気で考えている。
それ故か非常に観察力に長け、他者の何気ない一挙手一投足から、短時間で相手の好みの異性の姿形をほぼ完璧に割り出す事が可能。
作者曰く「魔女教大罪司教の中で一番のクズ」「世界中の人間に愛されたいふわもてガール」。
演じた悠木碧氏はアフレコの際に作者から「本当に本当にカスでクズです」と説明されたとのこと。
カペラの持つ権能。正式名称は不明。
どんな姿にでも変身することができ、片腕は触手、片腕は鎌などの本来あり得ない異形にも質量を無視して変形・変身することができる。腰に二つの膨らんだ瘤のような器官があり、そこで変身時の質量をコントロールしている。
彼女曰く「誰のどんな変態的な欲求にも応えられる、あらゆる価値観の美意識の究極を体現できやがる」能力。
物語では黒竜、小柄な少女、豊満な体を持つ成人女性、純朴そうな村娘といった風情の少女など、様々な姿に変貌した。
また、その能力を応用することによってあらゆる傷を瞬時に治療・再生してしまう。
しかもカペラ自身だけでなく他の人間の肉体も対象にして効果を及ぼすことが可能であり、これによって人々を竜や蠅に変えた。
その権能の冒涜性はもはや呪いと呼んでも過言でもない。
作者曰く「不定形」「全身が液体金属のようなイメージ」。
スバル曰く「人間の尊厳と価値観を弄ぶ怪物」。
名称はぎょしゃ座α星カペラ(Capella)に由来。
6章にて明かされたメイリィの過去からエルザおよびメイリィの元締めであることが明らかになった。
このことで2章および4章でメイリィを村や屋敷に送り込んだり、4章でロズワールのベアトリス殺害依頼に追加してエルザに屋敷の人間を全滅させるように命じたりしたのは彼女の可能性が出てきた。
また、作者が監修したコンシューマーゲーム「Re:ゼロから始める異世界生活 偽りの王選候補」でも事件のバックにいたのが彼女であることが示唆されている。
このように、ただ欲望のまま動いているように見える上記の態度とは別に、裏で策を巡らせて暗躍する狡猾な一面も持ち合わせている。
【番外】
魔女教大罪司教、『傲慢』担当──ストライド・ヴォラキア
叶わぬとわかった願望を口にするな。それは無力な雛鳥の囀りと変わらぬ。望みを口にする資格を持つのは強者のみ。
理もまた、殺さねばならぬ余の敵だ。
『剣聖』に『神龍』、王国に帝国、祝福と呪、あらゆるものの価値と命題は、天上の観覧者の意図が絡む。故に、余がそこに異を唱えん。傷の付かぬ駒も、壊れぬ盤面もないと、証明する
劇伴の揺らぎに在り方を変えるのもまた、貴様のような端役の宿業だ
舞台は整え、役者は揃った。『剣聖』は只人となり、祝福は剥奪され、龍の救いは訪れぬ。終わりの時は近いぞ、悪辣なる観覧者共よ!次の一手は、なんだ!?
さあ、照覧するがいい、宿命を定めし観覧者共よ。──世界がいずれを選ぶかを
『傲慢』 ストライド・ヴォラキア
本編の約40年前を描いた外伝「剣鬼恋譚」及び「剣鬼戦歌」に登場した『傲慢』を司る大罪司教。
過去のヴィルヘルムを主人公にした外伝「剣鬼シリーズ」のラスボス。
怜悧な顔立ちに紫の長髪を持ち、どこか不吉な雰囲気を漂わせる不気味な男。
「傲慢」の名の通り、誰に対しても傲岸不遜な態度を取る。
非常に周到な性格である一方で権能で操った相手に肉親と殺し合いをさせるなど、その手口は悪辣そのもの。
ペテルギウスのスカウトで大罪司教となったが、本人曰く魔女への信仰心は無いという。
ヴォラキア帝国最強とも言われる八つ腕のクルガン、シノビであるシャスケとライゾー、魔眼族のメリンダなどの複数の配下を従えている。
名前に地球における星の名前が付いていない、言動がかなりマトモなど、他の大罪司教とは異なる点も多い。
かつてはヴォラキア帝国の皇族の1人であったが、生まれつき体が弱かったため家族に見限られ、最終的に死ぬことを前提に八つ腕のクルガンの元に送り込まれるが、逆にそのクルガンを配下に引き入れ、頭角を現し始める。
しかし、政敵に毒を盛られ生死をさまよった際に「世界を外から覗く観覧者」の存在を感知し、それ以降は観覧者への敵意を剥き出しにして世界の破滅を望む歪んだ「破滅願望」を抱くようになった。
そんな中、ルグニカ王国で最大の内戦である亜人戦争が勃発し、それによって各国がルグニカと神龍ボルカニカの間の「盟約」の存在を疑い始めたことに目を付け、配下を連れてヴォラキアを出奔、ルグニカへと潜入する。
その目的はルグニカ最強と名高い「剣聖」テレシアと「剣鬼」ヴィルヘルムを殺害して、国家間のパワーバランスを崩壊させることで世界に大戦と混沌をもたらすことであり、策を巡らせて2人を執拗に付け狙う。
両手の指にはめた全部で10の指輪によって相手に呪いをかける能力。
その呪いの内容は様々で、それによってテレシアの父であるベルトールを呪殺しようとする、テレシアの従者であるキャロルを彼女の意識をそのままに身体を操る、呪いをかけた相手の身体能力を強化する、黒龍バルグレンの意識を乗っ取るなどを行った。
一方、ストライド曰く彼自身の戦闘能力そのものは皆無とのこと。
なお、「剣鬼戦歌」が雑誌連載されていた際には発動のために身体の一部を対価として失う必要があったが、書籍ではそのデメリットが削除されている。
傲れし十戒の能力によってキャロルを操るとベルトールを殺害し、さらにテレシアをピックタットの本拠地へ誘拐することでヴィルヘルムを誘き寄せる。
さらに亜人戦争の際に反乱軍が開発した加護を封じる術式を発動させ、テレシアの胎の子にも呪いをかけることでテレシアを戦闘不能状態に追い込む。
しかし、ピックタットに攻め込んだ討伐隊との戦闘でロズワール・J・メイザースを撃破するも自身もヴィルヘルムの戦友であるグリムの猛攻で片手を失ってしまう。
これによって十戒のうち半分が使用できなくなり、キャロルも呪いから解放されてしまう。
追い詰められたストライドは支配下に置いていた黒龍バルグレンに自分の身を食わせた。
ストライドは自害したのかと思われたが、実際は自身を食わせることでバルグレンを完全に乗っ取っており、バルグレンの身体で街と討伐隊を滅ぼさんと暴れ回る。
しかし、そこにルグニカ国王の意を受けて神龍ボルカニカが現れ、ボルカニカが放った息吹の一撃を受けて完全に消滅、ルグニカを震撼させたストライド・ヴォラキアの悪夢は終わった。
彼の死後に新たに『傲慢』の座に着く者が現れなかったため、本編では『傲慢』の大罪司教は空席となっている。
また、彼が「世界を外から覗く観覧者」について書き残した手記はその後本編でヴォラキア皇帝の座についたヴィンセントの手に渡り、本編に深く関わってくることとなる。
ヴィルヘルム曰く「災禍の気配を身に纏う災人」。
そんな不安そうになさらなくても、最初から聞いてくださったらよろしかったのに。私や信徒たちは何も、皆さんに危害を加えるために森を訪れたわけではありません。先ほども申しました通り、この封印に用があって参じたのです。ですから、不必要な犠牲を生むほどに愚かではありませんよ
因子を取り込んだことまでは書き変えませんよ。私はあなたのその行いと、そのあなたを求めて戻ってきた彼女の行いを称賛したいのです。このことは、それを証明するための私からの誠意と思ってください
叩かれたらこんな風に痛いんです。あなたの心にも、叩いたのと同じぐらいの痛みがきっと走ったはずですよ。自分がどれだけ無慈悲なことをしているか、わかりますか?
落ち着いてください。話せばわかり合えるはずです
愛。素晴らしいですね
『虚飾』の魔女 パンドラ
大罪司教ではなく、『嫉妬』やそれに呑まれた6人と同じ大罪の魔女。
9つの大罪の1つ『虚飾』を司る。
白金の長髪に白い衣、見たもの全てが震えるほどの美少女。
友好的で上品な話し方から温和な性格だと思い込みそうになるが、言動と行動は一致しておらずその論理は薄っぺらで利己的。
後述するヘクトールは魔女教との関係がはっきりしていないのに対し、パンドラはレグルスを従えて行動するなど魔女教にて大罪司教よりも上位の存在として扱われている。
魔女教において敬われつつも口に出してはならない禁忌として秘匿されている。
100年前、エリオール大森林に『強欲』レグルスと『黒蛇』を従えて襲来。
大森林の奥に隠されていた『封印』を解くためにエミリアと接触するが、拒絶されて引き下がった。
パンドラ自身の、ひいては魔女教そのものの目的が『封印』と大きな関係があることは間違いないが、その『封印』が何を封印するものだったのかは依然明らかになっていない。
14年前の大征伐の失敗、並びに前剣聖テレシア戦死の原因の一端でもあるようである。
エミリアの父母の生死に深く関係しているらしく、エミリアの叔母であり義母でもあるフォルトナから強い憎悪を受けていた。
そしてそのフォルトナと、義父のような存在であったジュースを目の前で奪われたエミリアとは強い因縁がある。
プレアデス監視搭付近に突如現れる謎の扉とも関係があると思われる。
パンドラの持つ権能。正式名称は不明。
文字通り事象を自分好みに書き換える能力。
それは彼女の不死性において特に顕著であり、如何に凄惨な殺され方をしようとも何事もなかったかのように瞬時に復活し、不老なのか少なくとも100年前から容姿に変化がない。
他者を『その場にいなかった』ことにしたり、敵同士をパンドラ自身だと『見間違い』させて同士討ちを引き起こしたりなど、能力の汎用性は底が見えない。
不意打ちで殺されても問題なく復活できるので、書き換えに言葉や意思が必要なのかどうかすら不明である。
いなくなったことにされた者が起こした物的損害はなくなるが、その者がいたという記憶等はそのままにできるなど、使用者の意向は忠実に再現可能。
その権能によるものか、三大魔獣の内の一匹であり厄災と言われるほど制御が効かない『黒蛇』を随意に誘導することも出来る。
同様に、精霊使いでないにもかかわらず微精霊を操れる。
エキドナが「戦いに手を加えることは、まずありえない」と評したように、パンドラ自身が直接暴力を振るうことは滅多にない。
このような圧倒的な力を持ちながらも、パンドラはエキドナ曰く
「生き残ることに突出した魔女」とのこと。
名前は
ギリシャ神話に登場する人類最古の女性パンドラ(Pandora)に由来。
大罪司教と違い、魔女や魔人の名前は星ではなく神話の登場人物から取られている。
……まだ、やるの?
うるさい。邪魔くさい。鬱陶しい。煩わしい。萎える。滅入る。もう、やめていいんじゃない?頑張ったよ、お前。己には勝てないけど、頑張った頑張った。頑張っただけ、もういいじゃん。……頑張るのも、無駄なわけだし
はーぁ……そういうのが一番、頭が重くなる。胸が悪くなる。気分が沈む。もう、本当に嫌だ。すごい下がる。己がこんなに下がるとか、すごい久しぶりすぎて本当に最悪だ。最悪、最悪、最悪の最悪の最悪の最悪だ。
──本当に、憂鬱だ。
あー、あー、あーぁ。なんだよ。なんだーぁよ。この様か。こんな様か。あー、本当に嫌だったのに。胸が悪い。気分が沈んだ。頭が重い。憂鬱だ。憂鬱、憂鬱、鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱──
抗えないなら、エキドナじゃない。あの子じゃーぁないなら、もうどうでもいい。このまま潰れて、土に埋もれろ。
嫌な呼び名だ、気分が滅入る。己が好きで、こーぉんな風になったと思ってるのか?
『憂鬱』の魔人 ヘクトール
『虚飾』の魔女と同じく歴史に名の残らぬ魔人の1人。魔女教徒なのかは不明。
年齢は二十歳前後で、焦げ茶色の髪を頭の後ろで縛り、目の下に不健康そうな隈を浮かべる痩身の男。
顔色は悪く、姿勢も猫背。まさに無気力の権化といった感じだが、着ている服はその裏腹に奇抜で、ロズワールのものに酷似。
極めてダウナーかつネガティブで、何かにつけて「鬱だ」「面倒臭い」などと呟く陰気でやる気の欠片もない性格。ところどころ間延びした口調で喋るのが特徴。
自身に与えられた「魔人」の異名も毛嫌いし、「気が滅入る」とまで嘯いている。
ただし穏健派とは程遠く、やる気なさげに平然と人を殺傷し虐げる深い狂気と残虐性も抱えている。
そのやる気のなさに反して『強欲』の魔女エキドナの命を狙い聖域を強襲。
やる気のない態度のまま魔導の最高位にいた初代ロズワールを「圧力」のような力で一方的にいたぶり半死半生に追い込んだ。
生物・魔法問わず対象物を押し潰す、不可視の加重のような能力を持つ。文字通り「落ち込む」「沈む」ということか。
名前の由来は『
ギリシャ神話』のトロイア戦争で活躍した英雄ヘクトール(Hector)から。
項目を読んだというのに追記・修正しないとはアナタ……怠惰デスね?
最終更新:2025年04月16日 15:12