トール(北欧神話)

登録日:2016/11/25 Fri 00:05:23
更新日:2020/03/20 Fri 22:37:19
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■トール


『トール』は北欧神話(ゲルマン神話)に登場する雷神。
北欧神話最強の脳筋である。
近年ではMARVEL発のアメコミや映画シリーズでも有名。

明るい性格で物語に於いても主役を張ることが多いトールは人気のある神であり、英雄神として捉えられていることが多い。

後のローマ帝国による支配後に於いても雷神であることから、当時の最高神であるユピテルと同一視させられた。
木曜日(Thursday)とは、彼の御名に由来する呼び方である。

その人気は後にローマ帝国の国教となったキリスト教化後も当然のように残っており、
逆に主神だったが為にキリスト教の影響を悪い方向に色濃く受けたと思わしきオーディンとは対照的である。

なお、時として隻腕として紹介されている場合もあるが、
現在の所は、隻腕という設定はあまり一般的ではなく、名前の似ているテュールと混同しているか、より古い時代の設定ではそうだったのではないか?とするどちらかだと思われる。


【性格】

赤い髪と赤い眼、更に赤い髭を蓄えた偉丈夫。
豪胆で体格にも恵まれており、神と言うよか敵対している筈の巨人族と変わらなくね?と言われたりもする。
その怪力は他のアース神族全てを併せても敵わないとされる、豪傑無双の神である。*1

キレやすく、挙げ句に力づくで解決したがるのが基本姿勢。ミョルニルが無いとちょっとは話も聞くけどね。

血統がいいだけのDQN……という訳ではなく、義勇に溢れた神話も残る為に根が単純なだけなのかもしれない。……いいね?

因みに、キレやすいのは頭に砥石の欠片が入っているから、らしい。シャレ?
他の文献では火打石とされており、日本人辺りにはそっちのが表現としてはしっくりくるかもしれない。
この砥石は最強を謳われる巨人フルングニルズルを使って打ち倒した時に頭に入ってしまった、真っ二つに叩き割った彼の武器の砥石の欠片だとされる。
クッソ痛いのでグローアンなる巫女に魔法で抜いて貰おうとしたが、サービス精神が災いして完全に抜ける前に失敗してしまったらしい。*2

意外にも北欧神話を代表するトリックスターであり、他の神々からは警戒されている半神半巨人のロキと仲がよく、二人でつるむ事もしばしば。*3

両者の関わる有名なエピソードとしては大事なミョルニルを霜の巨人スリュムに盗まれてしまった話がある。
スリュムは美ッチの女神フレイヤを妻にしたいと願っており*4、フレイヤを連れてくればミョルニルを返してやると盗人猛々しくも言ってきた。
これに対し当然のようにトールは憤慨したものの、頼みのミョルニルが無ければ正面突破も難しい……という所で知恵を貸したのがロキ。*5

ロキはトールを女装させてフレイヤ(またはその侍女)に仕立てあげて、潜入させる作戦を計画。やめときゃいいのにトールもそれを受け入れ、作戦は決行される事に。

送り込まれたトール(女装)は異様な迫力を放ち巨人達を圧倒。お前のような女がいるか。

スリュムは神々が嘘を吐いていないかを確かめる為にトールの膝にミョルニルを置いたのだが、それが運の尽き。

ミョルニルを取り戻したトールに一瞬で頭をカチ割られてSATSUGAIされたと云う。
この時、ロキもトールに付き合って現場にいたとの説もある。さぞかし愉快だった事でしょう。
スリュムには姉がいたが、彼女はトール(女装)に持参金を求めた為に殺されたとの話も伝わる。さぞかし愉快だった事でしょう。
因みに、トールがミョルニルを得る事が出来たのも元々はロキがトールの妻で金髪美人のシヴの長い髪を丸坊主にする悪戯が発端で、色々と複雑な経緯を経てお土産付きで入手出来たという事実がある。
……そりゃあ怒れなくもなるわな。

非常な大食漢でもあり、どれだけ食うかというと雄牛を丸呑みにする程と記述されている。
お前は某ラジオでのモリクミか。
雄牛といえば、雄牛の頭をエサにヨルムンガンドを釣り上げた話もある。
鍋にして皆で食うつもりだったらしい。
後にラグナロク(神々の黄昏)で、ヨルムンガンドに狙われたのも当たり前であろう。
因みに、ヨルムンガンドは唯一、ミョルニルですら一撃で殺せなかった生き物なのだとか。流石は世界蛇。

主な家族は父オーディン
母ヨルズ
妻にシヴ、ヤールンサクサ
息子にモージ、マグニ
娘にスルーズ
更にシヴの連れ子のウル

神話としても有名なエピソードが残るのは前述のミョルニルを得るエピソードでの妻のシヴと、
フルングニルを倒した後で死体の下敷きになってしまい動けなくなったトールを生後3日にして助け出したという息子のマグニ。
彼はシヴではなくヤールンヤクサとの子であるというが、父を助けた功績からフルングニルの所有していたグルファクシ(金の鬣)なる名馬を貰ったり、
ラグナロク後も生き延び、父の遺したミョルニルを受け継ぐ等、最も息子としてのエピソードが残る。
娘のスルーズはドワーフの賢者アルヴィースが結婚を申し込み、他の家族が承諾したのにトールだけは納得せずに朝まで質問漬けにされて石に変えられてしまったエピソードに登場。
北欧神話ではドワーフ(ドヴェルガー)は朝の光を浴びると石になる闇の住人なのだ。
ウルは義理の息子ながら弓や狩猟、スキーの神様として単独でも有名である。

【持ち物】

北欧神話には数々の魔法が込められたアイテムや武器が登場してくるが、流石にトールにはお馴染みのミョルニルの他にも著名なアイテムがある。

■ミョルニル*6
トールの代名詞となる魔法の(ウォーハンマー)であり、北欧神話版の天界の最強武器雷霆である。
意味は打ち砕くもの
製作者は神業を誇るドワーフ兄弟のブロックとエイトリ(シンドリ)が、同じく神業を誇るイールヴァルディの息子達と“どちらが優れた物を作り出せるか?”という競い合いを行った際に
グリンブルスティ(フレイの黄金の猪)、ドラウプニル(オーディンの魔法の腕輪)と共に作られ、トールに献上された。
つまり、この勝負の発端になったのが前述のロキがシヴの髪を丸坊主にしてしまった際の埋め合わせに、本物の髪に見える黄金の鬘をドワーフに発注したのが勝負の発端になったのだとか。

ちなみに、この時ロキはイールヴァルディの息子たちが創ったシフの黄金の髪と魔法の船とグングニルの出来栄えに惚れ惚れし、
ブロック・エイトリ兄弟に「これより優れた宝なんか出来ないだろ? できたら俺の命くれてやるよwww」と調子にのって挑発したらマジモンで強力な武具を作り出したため、
このままでは命を取られてしまうと焦ったロキの横槍で柄が短い状態で渡されており、本来の力を発揮するのがこれでも難しいとされる説明すらある。
ミョルニルは打ち出された際の真っ赤に燃えた状態のままであるともされ、扱うにはヤールングレイプルなる鉄の手袋が必要だともされる。

単純に叩いても一撃必殺だが、他にも雷を呼び、投げては百発百中で手元に戻り、大きさも可変と、
正に万能の北欧神話最強武器であるが、単なる武器として以外にも儀式で神聖な道具としても使われている。
トールのシンボルとしても扱われ、様々な図像やモチーフとされた他、キリスト教化後も十字架と合体させられたシンボルとして親しまれ続けたという。

■タングリスニ
■タングニョースト
トールの戦車を牽く黒山羊さん。
非常食でもある。
食われてしまってもミョルニルを振るうと復活させられ、また食われてしまうという。……いっそ殺せ。

■メギンギョルズ
絞めると力が倍加する力帯。
ミョルニルを振るうのに必要とされる。

■ヤールングレイプル
鉄の手袋。
上記のメギンギョルズと共に、これが無いと戻ってくるミョルニルを受け止めることが出来ない。
尚、メギンギョルズとヤールングレイプルは実は他にも複数あるアイテムで、別段トールのみの装備品ではない。

■シャールヴィ
■レスクヴァ
アースガルズの住人だが神ではなく人間の兄妹。
トールとロキが彼らの家に立ち寄った際に、休ませて貰った礼からか、上記の山羊さん達を馳走に振る舞われる光栄を得るが、
骨髄好きだったので骨を傷つけないようにと言われていた注意を破り、復活した山羊さんの脚を損傷させた事で激怒されるも、心からの謝罪によりトールの従者となることで赦された。
シャールヴィは最強の巨人フルングニルと対決した際に告げ口をして、トールに有利なように戦いを運ばせたという。*7
他、ウートガルザ・ロキとのチーム対抗にも参戦。俊足を生かして駆けっこ勝負を挑むが、相手が「思考」そのものだったため敗北を喫した。
ちなみにレスクヴァは終始いるだけ。

■ビルスキルニル
トールの宮殿。
オーディンのヴァルハラに対して、此方では農民が迎え入れられたとか。
名前の意味は稲妻。

【最期】

神々と巨人の最終決戦ラグナロクでは、因縁の相手であるというか明らかに非があるのはトールである世界蛇ヨルムンガンドと相討ちになって死ぬと解釈されている。
記述によれば世界蛇を今度こそ打ち倒すも“9歩退く”とされており、これは世界蛇の猛毒を受けていたことから、9歩下がった後に死んだと解釈されているとの事。

ヨルムンガンド『へっ……ざまあ……み……ろ(ガクッ)』



追記修正は世界蛇釣りを成功させてからお願い致します。


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