ミョルニル

登録日:2011/11/09(水) 22:20:35
更新日:2024/09/17 Tue 06:02:48
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概要

ミョルニル(Mjölnir、Mjöllnir)とは、北欧神話の雷神にして北欧本来の主神トールが振るった最強のウォーハンマー
また、持ち主から名前を取って、別名「トール・ハンマー」とも呼ばれる。

その名前は「稲妻」「打ち砕くもの」の意。
北欧神話を含む古代オリエントの自然神信仰と類型神話に於ける最高神が手にしていた天界最強武器。

古代には神その物にも例えられた雷霆であり、「ゼウスケラウノス」と同じ意味を持つ。そもそも木曜日または木星を象徴するトールそのものがゼウスでありマルドゥクでありアフラ・マズダであるので、神話は違えど繋がりがある。


神話

小人族(ドヴェルグ)の鍛冶師兄弟ブロックとエイトリンの作で、
  • 雷を放つ
  • 大きさは自由自在
  • 投げれば百発百中で自動帰還
  • それでいて重さは常人にはとても扱えないほど
であった。
また、その名の通りミョルニルは灼熱しており、素手で握ることは不可能でもあった。

元々はロキがトールの妻であるシヴを丸刈りにしてしまい詫びとしてドヴェルグに
  • 黄金の頭髪
  • 折りたためる巨船「スキーズブラズニル」
  • 魔法の槍「グングニル」
の宝を造らせたのだが、そのあまりの見事さに他のドヴェルグに見せびらかして「これに勝るものは創れまい」と余計な事を言った。
しかし、それでプライドに火がついたブロックとエイトリンが「それらを超える宝3つを造ればお前の首を貰う」という賭けをして造られた内の一つのがミョルニルである。
ミョルニルの見事さを見て焦ったロキが制作途中で妨害した為に柄が短くなってしまったもののミョルニルの強大さが評価され、ロキは賭けに負ける。
しかし狡猾なロキは「首をやるとは言ったが首を斬ってよいとは言っていない」と屁理屈をこねて約束を反故にしてしまった。
無論、それで済まされるはずがなく、怒ったドヴェルグ達に口を縫い合わされてしまったが。

所有者であるトールはこれを使う際、
  • 鋼の籠手「ヤールングレイプル(イルアン・グライベル)」
  • 神力を高める力帯「メギンギョルズ」
を身に着け、さらに巨大化してより力を高めて扱った。
いやそうせざるをえなかったのだ。

他にも、彼の戦車を引くヤギ・タングリスニとタングニョーストの骸を打つことで蘇生させたり、破壊だけでなく再生をも司る神具であった。
また男性器の意味合いもある。
ほら、ハンマーの形(■┳■)ってそれっぽいじゃん?

これは雷神であるトールが雷鳴による破壊だけでなく、それに付随する雨によって大地に実りをもたらすことを示しているとか。

しかし、うっかりもののトールはそんな大事なミョルニルを巨人スリュムに奪われてしまう。

スリュム「返して欲しかったら美人ちゃんと結婚させろよ」

トール「ミョルニル盗られちゃったてへぺろ。つーわけでフレイヤちゃん、彼と結婚してくんない?」

フレイヤ「だが断る

そんなワケで八方塞がりなトールのために、親友で悪友のロキが悪知恵スキルを発動。

ロキ「キミが花嫁のフリをして隙を見て取り返せばいいのサ!」

トール「ロキちゃん頭いーな! さっそく着替えてくる!」

とまぁ、助言に従って女装したトールと嬉しさで有頂天のスリュム及び親族友人の皆さん。
いや一発で気付くだろjk、と思いきや、結婚式はつつがなく進行。
その過程で、スリュムは花嫁の安産祈願として、慣例に乗っ取りその膝にハンマーを……ミョルニルを置いた。

トール「待ぁちわびたあっ!」

そんなわけで、スリュム本人とそのとばっちりで式場にいた巨人族は、本性を表したトールによって皆殺しの憂き目にあったとさ。


さて、そんな一騎当千のパワーを誇るミョルニルだが、一撃で斃せなかったものが二つある。

一つはトールでさえも親指サイズという大巨人「スクリューミル」。
トールがどれだけ頭を殴ってもびくともしなかった。
がそれもそのはず、スクリューミルは巨人王ウートガルザ・ロキが見せた幻影で、その正体はただの山。
ここでもトールの騙されやすさが如何なく発揮されている。

そして二つ目が、終末の大蛇「ヨルムンガンド」。
ヴォルスパー、ギュルヴィたぶらかしによると、ラグナロクの際、ヨルムンガンドに対しトールは三度ミョルニルを投げつけ打ち倒すが、その後神殺しの毒にやられ、結果は相打ちに終わるという。

その後、ミョルニルはトールの息子に相続される。
しかしさらにその先、ラグナロクが起こった後は我々が今生きる世界が滅んだ後の事なので誰も知る由もない。


【創作作品】

神話系武器なだけあって、ファンタジーRPG作品には顔を見せることもしばしば。
ただハンマーという和製RPGに於いて不遇な装備だけあって主人公が扱うことは滅多に無いが、パワー系の仲間が使うことも。
だいたい強力な武器という扱いではある。
また『聖闘士星矢』にもアニメオリジナルで登場、ただこちらでは二丁の巨大な戦になっている。

  • 漫画『魔探偵ロキ』シリーズ
「鳴神(トールの人間界の姿)」が自分の持つ木刀をそう呼んでいる。
しかし終盤になってモノホンが登場、けっこう忠実に描かれている。

作品ごとに名前ばかりか種類も変わって登場する。
聖戦の系譜』においては、「トールハンマー」の名で雷魔法として登場、強敵の一人であるイシュタルが操る。
ヒーローズ』ではオリジナルのストーリーが北欧神話モチーフでありトールというキャラが登場するため、その武器として斧の「神槌ミョルニル」、イベントの一つとしてトールが軍勢を率いて攻めてくるという設定の「ミョルニル」というものがある。
風花雪月』『無双 風花雪月』においては、「打ち砕くもの」の名で斧の形の魔法武器として登場、同作における強力な装備英雄の遺産」の一つである。
また「英雄の遺産」が真の力を発揮するには、各々の適合する紋章を宿した者が振るわなくてはならないとされており、仲間内では「青獅子の学級」の生徒であるアネットがそれに対応した「ドミニクの紋章」を宿している。

  • ラングリッサーシリーズ
ⅣとⅤに登場。
装備すると自身の雷耐性が上がり、雷系魔法を使うことが出来る槌。
攻撃力は高いがラングリッサーシリーズにおいて指揮官というユニットは基本的に戦闘に参加するものではなく、もしするとしても槌などの重い武器では攻撃消費量が重くなるため武器としては微妙。
そこで雷系魔法を使えるという点に着目したいのだが、使うにしてもコスパが悪い雷系魔法は水上面か順番調整でもない限り使わないし前線でバリバリというタイプだとそもそもMPが足りなくて使えない。
ⅤやPS版Ⅳには同等の効果を得られる雷神剣という消費が重くならない武器もあるわけで…
隠しアイテムで手に入れることもできるが、換金してしまった方が良いだろう。
防具としてメギンギョルズも存在し、僧侶系の召喚魔法を使える者が両方を装備することでトール自身を召喚することができる。
しかしこちらも手間と金をかけてMPが低い魔法戦士を後方要員が召喚しても…といった感じで今一つ冴えない。
ステータスだけはビルダーに次いで高いが…

トールの化身「雷同・徹」が装備。
現代風に色々改造した結果いつもはメギンギョルズのバックルと一体化し、戦闘でパワーチャージされると解放される仕様になっている。

  • マーベル
ソー(MCU)の武器として登場。
英語版の『マイティ・ソー(映画)』では「ミョルニル」と発音しているのだが、映画化前にコミックの公式日本語訳で英語読み風に「ムジョルニア」と誤読。
日本独自の読み方となっている。
だが、「Myeu-muh(ムニョムニョ)」では断じてない。

トールと共に登場し、雷を纏った一撃で「チラーズ(日本で言うところのカース)」を薙ぎ倒した。
シナリオ上の扱い自体は至って当たり障りのないものだったが、実はこれ、原作における「打ち出の小槌」であり、デザインもそのまんま。
恐らく日本の民話が由来の「打ち出の小槌」は現地の視聴者に分かりづらいという判断なのだろうが、トールが「打ち出の小槌」を武器として振り回す絵面は日本人から見ると中々にシュール。

「トールハンマー」名義で登場、初登場は『FF1』。
知名度が上がったからなのか「ミョルニル」名義で登場している場合や、武器ではなく特技名な場合もある。
特に『FF5』ではハンマーだが投擲武器扱い(=後列から攻撃してもダメージが減らない)で攻撃モーションも投げたら手元に戻ってくる、と原典に近い性能を持つ。


追記・修正は鉄の手袋に力帯を装備してからお願いします。

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最終更新:2024年09月17日 06:02