登録日:2017/03/08 Wed 21:00:10
更新日:2025/04/21 Mon 11:42:53
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METALGEARSOLIDシリーズに登場するキャラクター。
生年月日:1945年8月6日(日本人にとっては忌まわしい記憶となっている、広島への原爆投下と同日)
CV:
田中秀幸
人物
元はNASAの宇宙工学技術者で、二足歩行兵器を開発したロボット工学の権威。生まれつきの脊髄異常によって足が不自由で、車いす生活をしている。
父親はマンハッタン計画に携わり、
「お前の父親の開発した原爆によって、戦争が終わり、アメリカの多くの若者たちが死の恐怖から救われたのだ」
といい聞かされて育ったことで、幼少時はそんな父親を誇りに思い、尊敬していた。
しかし、小学5年生の時に転校してきた日本人のクラスメイトに原爆投下直後の広島の写真集を見せられた事が
トラウマとなり、父親と核兵器を憎悪するようになる。自分の足が悪い原因も「原爆の開発の過程で
放射線被爆をした父の影響だ」と考えるようになった。
科学が戦争ではなく世界を良くするために使われることを夢見て、弱冠16歳にしてマサチューセッツ工科大学に入学。
卒業後はNASAに就職し、月面探査用の歩行システム開発に従事するが、1969年にアポロ11号計画で月面着陸が達成された後は、憎悪している核ミサイル研究へと回された。
だが、そこで歩行システム研究の業績によってホット・コールドマンに目をつけられ、CIAにスカウトされる。
……以上のように
核兵器を嫌悪する気持ちは人一倍強く、技術者としても非常に優秀と言って差し支えない人物なのだが……。
ちなみに「ヒューイ」というのは同僚であった
ストレンジラブにつけられた
あだ名で本名ではない。
由来は映画「サイレント・ランニング」に登場するドローンからで、彼女の後ろをついて回り、指示を待つ姿を皮肉ってつけられたもの。
ファミリーネームは判明しており、その名は「エメリッヒ」。つまり
オタコンことハル・エメリッヒの実の父親である。
【MGS2】
一応の初登場作品……だが、この時にはすでに故人。オタコンの口から存在が語られる。
自分はオタコン、妻はエマの連れ子同士の再婚をするが、あろうことか妻がオタコンと禁断の関係に落ち、それを儚んだエメリッヒはエマと無理心中を図って、自宅の
プールで溺れ死んだらしい。
時系列上の初登場。ただし今回は写真のみ。
グラーニニ・ゴルキーにあるグラーニンの研究所にグラーニンとオタコンによく似た「アメリカの友人」のツーショット写真が飾られている。
政争に敗れ運命を悟ったグラーニンが、自身の産み出した二足歩行技術を託す人物としてこの「友人」を挙げている。
弱冠19歳にして二足歩行技術に関する論文を書いており、敵国のトップクラスの技術者に注目されるほどの才能を持ち合わせていたようだが、
アメリカ国内ではイロモノ同然だったようで、グラーニンとの接触後にシギントに無線をかけると「エマーソンだか…ハインリヒだか…よく覚えていないが」「誰もまともに取り合わなかったけどな」と(戦車に足をつけることの無意味さを散々に論われたうえ)散々な評価を聞くことができる。
MGS2から示唆されること約10年ようやく本人が登場。この頃は四足歩行・変形機構を持つ自作の車椅子を使っていた。
ホット・コールドマンの掲げる「絶対的な核抑止による恒久的世界平和」という理念に共感し、彼の主導するピースウォーカー計画に参加。
計画の中核となっている
核兵器搭載自立型歩行戦車「
ピースウォーカー(バシリスコ)」、
及びその機体制御用AI「レプタイルポッド」、ピースウォーカーのプロトタイプとも言えるAI兵器「ピューパ」「クリサリス」「コクーン」を開発した。
憎んでいるはずの
核兵器の研究に携わったのは
「核抑止による世界平和を達成することで、核開発によって狂わされた自分の人生が決して無駄なものではなかったことを示したかったから」とのこと。
(無線でも「自分は好む好まざるに関わらず、核という存在と向き合わなければならない。そして、その成果が間違った方向に使われようとしているのを阻止して欲しい」とスネークに語っている)
しかし、ピースウォーカーの抑止力の実証のために、コールドマンが実際に核弾頭を発射しようとしたために対立。
火口内基地にて彼と口論になり、階段から突き落とされたところを
BIGBOSS・ネイキッド・スネークに救出される。
以後はCIAを離れ、スネークの指揮するMSFに移り、自身の開発したAI兵器の戦略アドバイザー、及びマザーベースの技術開発に携わることとなる。
そして、後の全てのメタルギアの祖とも言える無人二足歩行戦車「
メタルギアZEKE」を開発する。
(広義の意味でのメタルギアはこれ以前にも登場しているが、本来の意味でのメタルギア=核搭載型の二足歩行戦車はZEKEが初)
MGS3に登場したグラーニンとは文通相手で、二足歩行兵器の設計思想は彼の手紙から着想を得たもの。
そのため、ピースウォーカーに関しては「基礎アイデアは東側の借り物(パクリ)」と自ら評している。
スタッフとしての能力は、研究はもちろん最高値であるS、何気に諜報もAと高水準。
実戦、医療、糧食に関しては軒並み低いが、実戦部隊に配備してもミッションに出撃は出来ないし、
彼を研究開発班に配属させないとストーリーが進まない(真のエンディングの条件である
メタルギアZEKEを開発できない)
適性のない部署に移動させるメリットもないため、特に影響はないだろう。
コスタリカでの事件が終息した後は、以前から想いを寄せており、同じくMSFに移ってきたストレンジラブ博士との仲も進展している様子。
……そんな平穏な日々を過ごしていた彼の人生は、この後、転落の一途を辿る事となる。
カセットテープで声のみの出演。
ピースウォーカー事件後、破壊したピースウォーカーから回収した核弾頭を接収・配備したことで、MSFは世界中から無視できない脅威として注目されることとなる。
これによって、MSFはIAEAの核査察の対象となったため、ヒューイはこれを受け入れるようスネークに進言。
スネーク達は難色を示すが、ヒューイは独断によってこの査察を承諾。マザーベースの司令室へと査察団を招き入れる。
しかし、この査察団はサイファーの実働部隊「XOF」の偽装であり、司令室を抑えられたマザーベースは機能を停止。
同時に脚部に設置されたC4が爆発。マザーベースは崩壊し、命からがら脱出したわずかなスタッフも、XOFの追撃を受けて全滅した。
ヒューイもこれ以後、消息不明となる。
……これだけを見ればヒューイも被害者だが、実際は国でもなく、IAEAに加入もしていないMSFが査察の対象になることなどない。
この直前にストレンジラブがマザーベースを離れている事から、ヒューイへの疑惑の影が見え始める。
マザーベース崩壊後、スネークが昏睡していた9年の間、彼はサイファーの指揮官である
スカルフェイスに連れ去られ、
アフガニスタンのソ連軍基地で軟禁され、完全直立二足歩行戦車「
メタルギア・サヘラントロプス」の開発を行っていた事が判明する。
この頃には自身が開発した自立歩行ユニットによって歩くことが可能となったが、その代償として外からボルトを骨に直付けする、なんともエグい状態になっている。
(そのため足の骨がスポンジのようにボロボロになっており、ユニットが破壊されれば下半身が崩壊する非常に危険な状態。オセロットはそれを知って腐食性アーキアをチラつかせ、ヒューイに口を割らせている)
また、ヒューイという通称はほとんど使われず、作中では一貫してエメリッヒ(博士)と呼ばれている。
完成を待てないスカルフェイスによってサヘラントロプスを押収されそうになったため、ダイヤモンド・ドッグズへの亡命を希望。
マザーベース崩壊はエメリッヒのせいだと考える
カズヒラ・ミラーの依頼によってスネークが救出=拉致に向かった。
ミラーを始めとした旧マザーベーススタッフには、MSF壊滅の張本人であるとして並々ならぬ憎悪を向けられており、
彼らにリンチされることを懸念したスネークとミラーによって、保護の名の下に再び軟禁され、技術開発スタッフとして扱われた。
一応、開発の能力はSとこの時期に加入する人員としては優秀で、前作に引き続きしばらくは開発部門を牽引していく存在にはなる...のだが、ストーリーを進行していけば彼以上の能力を持ったスタッフを揃えていける上、エンディングの条件に関わる事も無いので、
ゲームとしてはプレイヤーの心情的にも前作より存在意義は薄れていると言えよう。
ダイヤモンド・ドッグズに到着後は、数々の疑惑について、ミラーとオセロットとから執拗な尋問を受けるが、中々思う様に話さない。
オセロット曰く、自分の本心にさえ嘘を重ねているために自白剤が効かないとのこと。
基本的にはスネーク達を思っての行動の結果、それが裏目になってしまったというスタンスを取っているが、発言に矛盾が見られたり、言行が二転三転したり、言っていることが本当か嘘か判別が困難。
スカルフェイスとの最終決戦である「民族浄化」の最初辺りでヒューイは
「OKBゼロも、サヘラントロプスも一番詳しいのは僕だ。考えを改めたよ」
こう言っているわけだが、この「考えを改めたよ」でヒューイが故意に本当の事を話そうとしなかったことを白状しているのである。
しかしサヘラントロプスに関してだけはかなり饒舌になり、また、かなりの思い入れがあるようだ。
マザーベース崩壊に関しては
「査察はみんなのためだった。僕だって仲間のために自分の危険を顧みなかった。偽装なんて思うわけが無い」
「9年もの間、仇であるスカルフェイスに軟禁されてサヘラントロプスの開発を強要された。僕だって被害者だ」等と絶妙にピントがずれた発言を繰り返す。
記録テープでのミラーとオセロットの尋問においても、あくまでも自らを正当化する矛盾だらけの言動を重ねていく。
その後も、スカルフェイスの計画の重点の1つであるメタリックアーキアについて知っているのに黙っていた、
スネークとミラーが苦しませて殺すために止めを刺さず放置していたスカルフェイスを勝手に殺害する、
イーライを筆頭とした少年兵らに、マザーベースに回収したサヘラントロプスを修復するアドバイスを秘密裏に教え、
彼らの武装蜂起の切っ掛けとなるなど、間の悪すぎる(もしくは黒と言える)行為を重ねていった。
そして決定打となったのは、
隔離施設実験棟内での声帯虫の暴走。
声帯虫の検査のためと称し導入したX線検査機からβ線が漏出。これに晒された声帯虫が突然変異を起こした結果、多数のスタッフが犠牲となった。
そしてこの機器を導入、検品したのが、他でもないエメリッヒであったことが露呈する。
オセロットが罪状を読み上げ、ミラーがそれを追求。スタッフ達が口々に「殺せ」「殺せ」と叫ぶ中、ヒューイの命は風前の灯火と言ってもよかった。
……PW以来の仲間と思われていたヒューイは、多くの作中の仲間や兵士達とプレイヤー、ファンの憎しみを一身に集め、処刑寸前に至った。
しかし、最終判断を委ねられたスネークにより、最終的には島流し同然にマザーベースから放逐された。
救命ボートに乗せられ、セーシェル近郊の大海原へとヒューイは降ろされていく。
この期に及んで、なおも自らを正当化する悪態をつきながらボートは着水。
重みでボートに水が入り込み、ヒューイは慌てて命よりも大事だと語っていた義足をあっさりと海に投げ捨て、それを苦々しげにカズとオセロットが見つめる中、大海原を漂っていった。これ以降、TPPでの出番はない。
その後はなんとか生還し、息子とも再会して再婚、新たな人生を歩もうとしたようだが、最後は前述の通り。
この事に関してもTPPが発売されてからは「再婚した妻ともうまく行かなかったから身勝手に無理心中を図ったに違いない」などの推測がされている。
ヒューイを追放した後のDDスタッフの会話のやり取りで「ヒューイは殺されて当然の男だった」、「だが、スカルフェイスが死んでも次の矛先を捜しているミラー副指令のようにはなりたくない」、「その点ボスは冷静だった」という言葉が聞ける。
これらの3つをスネークとスタッフ視点で考察・解説すると…
これまでヒューイはDDに多くの被害を撒き散らしながら自らの行動を正当化し、周りのヘイトを買い、自身を黒塗りした。
ゲーム中で聞けるスタッフの「あいつのせいで仲間が何人死んだと思ってる?」という会話からも、スタッフ達はヒューイに相当な敵意と殺意を抱いていたことがうかがえる。
スタッフ視点で見ても声帯虫に関しては「ヒューイが犯人」としか思えないし、これまで招いた結果と態度を考慮すれば、本来なら殺されて当然である。
- 「だが、スカルフェイスが死んでも次の矛先を捜しているミラー副指令のようにはなりたくない」
ミラーの報復心は既に妄執の域に達していた。彼の怒りもわからないまでもないが、それでも行き過ぎていた事は明らかだった。
スカルフェイスに引導を渡した後も、スタッフ達に仲間を疑う相互監視を推進し、身内に対してすら矛先を向けかねない状態になっていた。
スタッフもそうしたミラーの様子を見て思うところがあった模様。
ヒューイへの糾弾をエスカレートさせるミラーやDD隊員達を目の当たりにしたスネークの心中が如何なるものであったかは定かではない。
ここで安易に処刑を選んでしまうとミラーがさらに暴走したり、スタッフ間の相互監視がさらに増長し、組織崩壊の恐れがあった。
しかし、ヒューイがMSFの壊滅およびDDの大損害をもたらす利敵行為をしていたのは紛れもない事実であり、これまでの挙動を見ても限りなく黒いと言わざるを得ない。
そのため「これ以上ヒューイをDDに置いても害しかもたらさない害虫」なのは否定できない。
なによりここまで大事になった以上、何も処罰を下さずに収める事は不可能だし、スタッフの怒りも尤もなのである。
スネークはこれらの客観的事実を元に組織の実利・今後の運営・スタッフ達への示しを考慮してヒューイを追放処分したと思われる。
その結果、完璧とは言わないものの、丸く収める事には成功した。
ミラーもヒューイの追放後、ある程度落ち着いたらしく、追放処分の判断は間違ってなかったと言っていい。
【裏切りの容疑者】
先述の通り。マザーベースは壊滅、スタッフの大半はXOFの手にかかって死亡、秘匿していたメタルギアZEKEも共に海中に没した。
これは、MSFを核武装したスネークへの不信感を強めたエメリッヒが、サイファーへ寝返るために自身の身柄を確保することを条件に、襲撃を手引きした疑いをかけられている。
直前にストレンジラブがマザーベースを離脱していることも、それを裏付ける証拠として挙げられている。
PW時点でヒューイは核武装に「賛成」していたが、現在の尋問では核武装に「反対」だったと言い張っている。
組織としての最終決定権は当然のごとくスネーク(もしくはミラー)が持っていたため、この独断決定が黒さを匂わせていることになる。
9年間に渡ってスカルフェイスに軟禁されたと語るヒューイではあるが、
彼はその間にピースウォーカー以上の成果物である、完全な直立二足歩行兵器・メタルギア・サヘラントロプスを開発していた(未完成だが)。
サヘラントロプスにペイントされている髑髏のエンブレムは、パンゲア大陸をモチーフとしたMSFの印であり、自身が裏切り者ではない証拠だとエメリッヒは語る。
だが、髑髏はスカルフェイスのシンボルでもある。
尋問ではサヘラントロプスの開発経緯を饒舌に語っており、無理やり研究を強要されたと言うわりには積極的に改良を行っている。
しかし、コレについてはスカルフェイスの監視の目もあり、下手な事をすれば殺される可能性もあっただけに止む無しとも思われる。
ちなみにヒューイはサヘラントロプスの弱点をなるべく消すようにしているが、この点は「ロボットも弱点がないと可愛げがない」という持論の息子・ハルとは対照的である。
最終的に出来上がったサヘラントロプスのコクピットは極端に狭くなり、子供しか乗れないほどに縮小してしまった。
あろうことかエメリッヒは、当時4歳だったハルを乗せて駆動実験を行おうとした。
正常に動く確証の無い実験段階の兵器に子供を乗せるなど、児童虐待に相当する所業である。
エメリッヒ自身は、オセロットの尋問に対して「息子の顔も見たことが無い」と語った舌の根の乾かぬうちに「ハルが勝手に乗りたがったんだ」と証言した。
ハルの母親であるストレンジラブは、エメリッヒのこの所業を知って止めようとした。
怒ったエメリッヒは彼女をレプタイルポッドに閉じ込め、衰弱死ないし窒息死させた。
ポッド内でのストレンジラブの独白は録音されており、「裁判」では回収されたAIポッドが証人として用意された。
エメリッヒの証言は「スカルフェイスに殺された」と語ったかと思えば「勝手にポッドに篭って自殺した」など、内容が不自然かつ二転三転している。
「彼女がポッドに篭った事に気づいて扉を開けた時には息をしていなかった。僕は怖くなってそのまま扉を閉めた」と、ストレンジラブの遺体をそのままにしている点はあまりにも不可解。
そもそもストレンジラブは、他ならぬスカルフェイスの要求でサヘラントロプスのAI開発を行っていたのであり、彼にストレンジラブを殺害するメリットは全くない。
それでなお「誰でも人殺しが出来ると思うな。アンタ達とは違う」とオセロットに食って掛かるのだから失笑物である。
しかも本人はその後にスカルフェイスに勝手にトドメを刺している。自分も人殺しができることを証明してしまった。
彼らがサヘラントロプスを修復出来るようにした結果、イーライがこれを強奪。
同時に、子供達に寄生していた「英語株」の声帯虫がマザーベース外に放たれる事となった。
「まさか直せると思うわけが無い」「修理できたとしても、子供があれを操縦するなんて出来るわけが無い」とはエメリッヒの弁。
ただし、ヒューイに悪意がなかったとしてもマザーベース崩壊の件を全く反省しておらず、また同じミスをしたことになる。
劇中でエメリッヒが有罪・裏切り者と断じられる決定的な要因となった事件。
放射線被爆した声帯虫が突然変異を引き起こし、爆発的に増殖したことでDDの多数のスタッフが死亡。
声帯虫は声帯から剥離する事が出来ず、隔離施設に入所していた感染者は検査機によって定期的に虫の状態を計測していた。
この検査にはX線を使用した機器が用いられていたが、この機器には何故かβ線源も取り付けられていた。
β線は遺伝子への影響がX線以上に強い上、そもそも検査には必要ないものだが、これが後付された事、その遮蔽が不充分だったために漏出を引き起こした事が発覚。
そしてこの機器を導入、検品したのは、他でもないエメリッヒであった。
マザーベースの通信記録から、エメリッヒは裏でサイファーと繋がっており、変異させた声帯虫と引き換えに自身の身柄を確保する取引をしていたことが明らかになる。
検査機の導入はその下ごしらえであった。
この事件に関しては消去法でヒューイ以外に犯人候補がいない(=ヒューイが犯人じゃないとおかしい)というのが極めて大きな要素となっている。
少なくとも人為的に起きた事件であることは確定しており、舞台もDDの隔離施設であるため、DD外の第三者の介入は基本的に不可能であり、作中の現場でもその痕跡はない。
すでに人的被害を被っているためミラーとオセロットはもちろんの事、DD隊員達も声帯虫には最大限の警戒と細心の注意をはらっていた。
もしヒューイが無実で他の人物が犯人だとすればミラーとオセロットの二人で、その場合の主な動機がヒューイを陥れ、最終的に追放か殺すという事になる。
しかしこの二人が犯人だとすると「くだらない男(オセロット談)を排除、殺害するためだけにバイオハザードを引き起こす」という、DDと世界の破滅どころか世界を敵に回しかねない行為をしていることになる。
これだけ見てもリスクリターンが全く吊り合ってない事に加え、オセロットは本物のビッグボスも死ぬ危険性がある事をやるわけがないのだ。
仮にミラーがやろうとしても賛同してくれるわけがないし、力づくで止めるのが目に見えている。オセロットがヒューイだけに追求したのが何よりの証拠とも言える。
この事から、この件でヒューイが無実だとするなら、サイファーとの接触自体が二人のでっち上げである事を大前提に上記の強すぎる要素を覆す必要がある。
そして二人の犯行だったとしても「くだらない男であるヒューイ相手にここまでする必要性」を提示しなければいけなくなる。
嘘に嘘を重ねた結果、もはやエメリッヒ自身にも何が真実で何が嘘かさえ分からなくなっている。
解離性同一性障害を発症している疑いもあり、自白剤も意味を成さず、オセロットでさえ尋問中にあきれ果てている。
【ヒューイは本当に黒なのか?裏切り者なのか?】
これまでのヒューイの言動や行動により、多くのプレイヤーは作中のDD隊員のように彼に対する怒りを募らせた事だろう。
結論から言うと、総合的には完全に黒であると言わざるを得ない。
ヒューイの行動の黒さと反省の意思の無さ・ほとんどがヒューイの独断である事・ヒューイの行動の結果の三つに尽きる。
本編中のヒューイの行動があまりにも黒くて反省もしていない上、スネークへの利敵行為を繰り返していたのは擁護のしようがない。
最終決定権はスネーク(もしくは副指令のミラー)にあり、自身は特段大きな権限を持っているわけではないにも関わらず独断で査察を承認したり、少し考えればまずいことになりかねない少年達のアドバイスも全て彼の独断であり、組織としては致命的な事をやらかしている。
仮にそこに裏切りの意思・悪意が無かったとしても、MSF崩壊、イーライの武装蜂起の幇助、声帯虫の変異の3つのトラブルを引き起こして甚大な被害を撒き散らした罪は極めて大きい。
仲間と言っていた割には尋問で意図的に情報を隠していたのも、とてもスネーク達を仲間と認識していたと思えないのも黒さが増している。
さっさと情報を喋り、反省をしていればミラーはともかく、オセロットとスネークはまだ態度を軟化させていたかもしれない事を考えればヒューイの行動は悪手そのものである。
実際の所、法に則った裁判をしたとしても死刑になって残当と言われるほどの態度の悪さと被害を招いていたのは否定できない。
しかし、「悪意(裏切りの意思)があったか」に関しては「声帯虫の変異以外は一部無実だったのではないか?」という説がしばしば議論されている。
先述の罪状に関してはよくよく見てみると不自然な点が浮かび上がってくる。
あくまでも憶測の域を出ないファンの間での考察であるため参考程度に留めておいてほしいが、いかにその議論となる主な点と反論点を挙げていく。
ここまでに挙げられた「罪状」は、作中のムービー等では一切描写される事はなく、大半はミラーやオセロットの口からカセットテープ等で言及されるだけの状況証拠に過ぎないのである。
いずれの罪状についても一概にヒューイのみの責任とは言い切れない部分も存在している。しかし、その可能性を一切考慮せず、カズとオセロットは全てをヒューイの罪として裁こうとしていた。
反面、本編で提示された内容を完全否定できるものが一切存在しない上、声帯虫変異の報告に関してはスタッフやオセロットが虚偽の物を言う必要がないというのもある。
声帯虫のスペシャリストであるコードトーカーが完全に見誤ると言った事が考えられないのも一因として挙げられる。
ミラーは「ヒューイがクロである」という結論ありきで、オセロットは大量の自白剤を使用するなど、もはや拷問と言っても差し支えないほどの苛烈な尋問を行っている。
カズはいきり立つDD隊員達を抑えて「私刑は許さない」と言って「裁判」という体裁を取ったものの、ヒューイには裁判ならいるべきはずの弁護人はつけられず、カズとオセロットが罪状を読み上げて追及するのみ。陪審員たる隊員達にも当然ながらヒューイの無罪の可能性を考慮する者はいない。
これでは、まさしくヒューイを寄ってたかってなぶり殺しにする「私刑」である。
ただし、ミラー達の言う通りDDは法律の範囲外の場所であり「誰がどう見てもヒューイのせい」だと言わざるを得ない物もあるため、ヒューイの不利すぎる状況は自業自得でもある。
本作には、全体主義国家によって分割統治された近未来世界を描くジョージ・オーウェル作のディストピア小説『1984年』へのオマージュ要素が各所に意図的に散りばめられている(本作の舞台も1984年であり、各所に貼り出されるポスターもその一例)。
要約すると「特定の人物に無実の罪を着せ、その人物を公開処刑することによって組織の団結や相互監視を強め、権力を絶対のものとする」という内容であり、同小説のクライマックスにおいて主人公は全体主義国家「オセアニア」の愛情省101号室において苛烈な尋問と洗脳を受け、信念を徹底的に打ち砕かれる。劇中でヒューイがオセロットに尋問を受けるのも「101号室」であり、本作のヒューイを取り巻く状況と非常に似通っているのである。
このことから、ヒューイは同小説と同様に組織の団結や体制を強化するためのスケープゴートにされた事実を暗に示しているのではないか?という考察も存在する。
最後に、ヒューイは作中でスカルフェイスにこう断じられている。
「私は闇の住人。だが貴様のような腐った男と一緒にされたくはない。裏切り者め」
・・・やはりスカルフェイスの言葉通り「腐った男」だったのだろうか?
TPPが一応の完結を迎え、これ以上進展がない今、完全な真相は闇の中である。
余談
2019年7月24日頃からMGSVのゲーム内では明らかになっていないシナリオの設定についての話題がtwitterで見られるようになった。
それはゲーム内からでたシナリオ台本で、台本の内容は、ヒューイがクロである事を示唆する内容であった。
かなり膨大なテキスト量ではあるが、あくまでもtwitter上で非公式に開示された物であり、またその内容が製品版のゲーム内容に正しく反映されているという保証もないため、その真偽については不透明。
エメリッヒの「まともなのは僕だけか!?」という自分を棚上げにした発言はMGSファンの間で何かとネタに使われる。
適当に何かを茶化す時に「僕だけが本当のことを知っているんだ」という体で書き込み、それに対して誰かが「ボートを用意しろ」と返すのがお約束。
ちなみにリリース当初は追放後も未練がましくいつの間にか研究開発班に戻ってきているというバグがあった。
バグに気付いたプレイヤーはまた何かやらかすのでは…と戦々恐々だったが、そのあとは特にイベントもなく居座るだけ。
ただし、この頃にはS+以上のスタッフも揃えやすくなっているので、彼の存在はスタッフ人数を圧迫するだけの邪魔な存在でしかなくなっている。
現在はクワイエット関連のバグとともに修正されており、ちゃんと追放されているので安心してほしい。
エメリッヒは尋問途中、オセロットに眼鏡を壊されるが、その後に新調した眼鏡のデザインは、小島秀雄監督が愛用している物とそっくり。
汚れ役のキャラクターにしては、小島監督じきじきのプレゼントを贈られるという破格の対応である。
『MGSV』開発中、コジマプロダクションとコナミ本社側では(恐らくは予算配分や開発期間の問題で)相当なイザコザが起こっていたらしい。
小島監督は最終的に権限を剥奪され、コナミ退社を余儀なくされたが、もしかすると『MGSV』の開発スタッフたちはその無念をエメリッヒという形で表現したのではないか……という考察もある。
「スネーク! 元はといえば君が悪いんだ! 項目を追記修正しなければ、
全消しだって起きなかった!」
「僕は自分の危険を顧みずに申請をしたのに、こんな事、どうして平気なんだ!? まともなのは僕だけか!?」
※コメント欄での誹謗中傷・過激な発言は控えていただきますよう、よろしくお願い致します。
最終更新:2025年04月21日 11:42