メガライナー

登録日: 2017/07/16 Sun 11:52:21
更新日:2023/12/23 Sat 10:18:57
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「メガライナー」とはドイツ・ネオプラン社が製造した超大型2階建てバス
日本にも輸入されたが、その巨体故に使用できる箇所が限られ、短命に終わった。


車両概要

全長14.9m、車両総重量24トン、お値段日本円にして8000万円。
2階建て構造で、定員の増加に主軸を置いた設計。最大定員は86人。

タイヤは前2軸、後2軸の合計4軸構造で前2軸がステアする。最後部軸は運転席からのスイッチ操作でステアするが、ハンドルとは連動しない。

トランスミッションはMTとATが設定され、日本に輸入された車両は8速MTと12速ATを備えていた。エンジンは日本に輸入されていた車両はダイムラー製のV8エンジンを積んでいた。


日本での活躍

先述の通り日本にもこの車両は輸入されたが、道路法第47条第1項に定められた長さの限度である12mを大幅に超えており、運行に際して道路管理者(都道府県・市町村)の許可が必要。許可を受けた後も認可されたルートでないと運行することが出来ず、渋滞や通行止めの際の迂回が出来ない。これは現在も各地で運行されている連節バスも受ける制約である。


輸入から運行開始まで

JRバス関東他が運行する東京駅と筑波研究学園都市を結ぶ高速バス・[つくば号は、鉄道空白地帯を結ぶとあって利用者が非常に多く、慢性的に混雑していた。そこで同社は2000年にメガライナーを輸入し、つくば号へ投入しようとした。しかし、先述の通り車両制限令を上回る全長だったことから許可に手間取り、輸入からおよそ2年後の2002年12月よりようやく運行を開始した。
先行輸入車は8速MTを装備。


増車

先行輸入車での大きな輸送力が評価され、3台が追加輸入された。追加分は12速ATを装備。
輸入は全てJRバス関東が行い、4台への増車後は2台がJRバス関東持ち、2台はJRバスからつくば号の共同運行相手である関東鉄道へリースされた。

車体長が長く、通行できる道路に制限があり、営業区間では首都高への流入に呉服橋で入口を利用していた。
回送ルートにも制限があり、JRバスの車庫は土浦にあるため、JRバスの通常車はつくば到着後土浦の車庫まで回送していたが、メガライナーはその巨体故につくばから土浦までの回送の許可が降りず、JRバスの車両も関東鉄道の車庫に入庫していた。


つくば号からの撤退

2005年8月秋葉原と筑波を結ぶつくばエクスプレスが開業。定時性が高く、スピードの速いつくばエクスプレスにつくば号の利用者は大きく流出し、同年11月にまず関東鉄道に貸し出されていた2台が運用を外れ、JRバス関東へ返却された。
JRバス所有分はそのまま運用に入っていたが、2006年5月末をもってJRバス所有分もつくば号から撤退した。


長距離夜行路線へ転用

JRから関鉄へ貸し出されていた分は西日本JRバスへ貸し出された。東京と大阪を結ぶ夜行バスのドリーム号の慢性的な混雑解消とツアーバスへの対抗のため、4列シートで運賃を格安にした青春メガドリーム号へ転用された。
つくば号時代は4台配置・4台使用で予備がなく、車検や整備時にはノーマル車で代走させていたが、青春メガドリーム号への転用後は予備が確保できたので、多客時の増発が可能になった。

青春メガドリーム号は4列シートでも究極の詰め込み仕様車であり、運賃は従来のドリーム号に比べて非常に安く、コミケやライブイベントへの参加などで重宝した人も多いのではないだろうか。

ドリーム号への転用後も運行経路に制限があり、許可の降りたルートが通行止めになったら最寄りのSA・PAなどで通行止めの解除まで待機する事が出発前に案内された。また長時間の待機に備え、車内には非常食や水などが積まれていた。


火災事故

2008年5月28日、大阪駅桜橋口発東京駅行青春メガドリーム2号が名神高速道路大津サービスエリア付近を走行中、突如出火。すぐに緊急停車し、乗客や運転手に死傷者を出さなかった。該当車輌は西日本JRバス所有の749-2994号車(2002年式)で、車体はほぼ全焼。修理・復旧されること無く廃車された。事故当時既にメガライナーの製造は終了しており、代替車は国産の三菱ふそう・エアロキングになった。原因はエンジンブローとされたが、本当のところは不明である。

2009年3月16日、大阪駅桜橋口発東京駅行青春メガドリーム2号が東名高速道路牧之原サービスエリア付近を走行中、火災が発生。すぐに緊急停車し、こちらも乗客・運転手に死傷者は出なかった。該当車輌はJRバス関東所有のD750-03501号車(2003年式)で、全焼した本車両も修理・復旧されずに廃車された。火災の原因はエンジン・ターボチャージャーのシャフトの折損に起因するエンジンブロー。

JRバス関東は事故後メガライナーの運行を停止。1年に満たない期間に2度も火災事故を起こしたメガライナーを国土交通省が許すはずもなく、除籍とドイツへの返却を指示。火災事故を起こさなかった2台も除籍され、ドイツへ返却された。
なお青春メガドリーム号はメガライナーからエアロキングへ車両を変更して運行を継続。格安な運賃はメガライナーの巨大な輸送力故に実現できたものであり、エアロキング2台での運行では赤字になってしまうため、最終的に2009年9月10日に廃止された。


余談

廃止された青春メガドリーム号の後継として、従来の青春ドリーム号よりもシートピッチを詰め、座席数を増やした「青春エコドリーム号」が運行を開始。この他格安のドリーム号としてトイレ無し・補助席付の貸切車を使用した「超特割青春号」も設定された。(廃止済)



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最終更新:2023年12月23日 10:18