つくばエクスプレス

登録日:2013/06/16(日) 12:01:00
更新日:2025/05/29 Thu 07:06:34NEW!
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つくばエクスプレスとは、東京都の秋葉原駅と茨城県のつくば駅を結ぶ、首都圏新都市鉄道の路線である。
略称および路線記号はTXテレビ東京ではない。

(出典:日本の旅・鉄道見聞録)

▽目次

【概要】

常磐線の混雑緩和を目的として、「常磐新線」という名で建設計画が立てられた。
最初の計画ではJR東日本が運営を行う計画だったが、1991年には第三セクター「首都圏新都市鉄道株式会社」が設立され同社での運営に変更、2001年に路線名称が「つくばエクスプレス」と発表された。
当初は2000年頃の開業が計画されていたが、用地買収の難航もあって開業が延期し、最終的には2005年8月24日に開業。
当初は同年の10月開業予定だったが、地元の強い要望から繰り上げられた経緯がある。

全線が電化されているが、秋葉原~守谷間は直流1500V、守谷~つくば間は交流20000V/50Hzとなっている。
これは茨城県石岡市にある気象庁地磁気観測所への影響を考慮したためで、常磐線の取手~藤代間と同じように守谷~みらい平間にデッドセクションが設置されている。
なお、2つの電化方式を持つ路線はJR以外では唯一である。
あ、車両が新しいからデッドセクション通過時に照明が消えることはないよ。

さて、この路線についてだが、実はとんでもなく高規格の路線である。
現在の最高速度は130km/hと、ライバルの常磐線中電や京阪神の新快速と並び、無料の列車では日本最速。
将来は160km/hで運転できるように対応もしているとか。
しかも、これがATO(自動列車運転装置)による自動運転のため、運転手が運転操作しないにもかかわらず最高速度130km/hで走らせているということ。
通常はATOの制限により125km/hに抑えられているが、どちらにせよ自動運転でここまで高速運転を行える路線は日本には他にない。
ちなみに車掌は乗ってないのでワンマン運転。運転手のやることは発車ボタンを押すのと停車時のドアの開け閉めくらいである。

…ん?もしかして素人でも運転できるんじゃね?

駅についても全駅にホームドアが設置済みである。
高速運転をしている路線ではあるが、それなりの安全対策は取られているので人身事故はまず起きないだろう…と思ったら、なんと2014年3月13日に南流山駅にて人身事故が発生した。
当然のことながら、これはTX開業以来初めての出来事である。

【開業後】

さて、2005年に開業したこの路線であるが結果はというと…。
1日平均135,000人を想定していたのが、実際には150,700人と当初の予想を上回った。その後も利用客は増加し続け、2009年4月には目標の27万人を超えることになった。
さらに営業収益も予想を大幅に超えることになった。「開業20年後に営業黒字を目指す」という予定が2009年度の決算で単年度黒字を達成してしまった。
つまり、20年かけてやる計画をわずか5年足らずで達成してしまったということになる。

この盛況っぷりが他に影響が出ないわけがない。
元々、鉄道空白地帯だったつくば市民は、都内に出るためには土浦まで行って常磐線、もしくは高速バスを利用するしかなかった。
その利用客をごっそり持ってきてしまったため、常磐線は130km/hを行う特別快速を導入するものの利用客減少に歯止めはかからず、高速バスについても値下げを行ったが減便やルート変更をせざるを得なくなった。
関東鉄道常総線も従来、常磐線接続駅の取手まで乗っていた乗客が守谷までしか乗らなくなったためにワンマン運転を増やしたり、つくばエクスプレスと連携したお得なきっぷも発売している。
一方、新規で開業した路線であるため企業内に労働組合が存在せず、現場の人手不足や退職者が多いという問題が生じており、トラブルの原因になっているほか国会でも取り上げられる事態となった。

【車両】

6両編成・アルミ合金製の幅広車体で、全形式とも日立製作所が製造を担当。
直流用と交直両用に分かれており、直流専用車は秋葉原~守谷間での運用となる。
識別は屋根上の搭載機器の違い(交直両用車は絶縁碍子の設置量が多くゴツい)と車両番号のプレートで、
プレートは直流専用車は紺地に白文字、交直両用車は赤字に白文字で表記される。

  • TX-1000系
普通列車を中心に使用。騎士や宇宙刑事を思わせる独特のごつい顔つきが特徴。
他社線への乗り入れが無いこともあり、21世紀に登場した新型車両では珍しくマップ式の車内案内表示器が設置されている。

  • TX-2000系
全区間・全列車で使用される。
基本設計は1000系とほぼ同じだが、屋上機器以外にも
  • Wi-fi設備が付いている(通信環境は悪く宝の持ち腐れ)
  • セミクロスシート設置(後にロングシート化)
といった違いがある(ちなみに冒頭の写真は2000系)。
2012年に登場した増備車は前面と側面に赤と白帯が追加され、1000系との見た目での区別が分かりやすくなった。
2171編成は脱線事故で3両が廃車となっており、残った3両は教習用車両として使用中。

  • TX-3000系
ラッシュ時の輸送力増強を目的に2020年に登場。
前面デザインが大きく変更されており、1000・2000系のそれが個性的だったせいか非常にマイルドな印象。
車内には関東の私鉄では珍しい、42インチハーフの大型液晶の車内案内表示器が設置されている。
車端部は相模鉄道の新車と同様の「ユニバーサルデザインシート」(座高を高く浅くした座席)が設置されている。


【列車種別】

日中は1時間に10本運行されている。

快速
最速の種別で、秋葉原~つくば間を最短45分で結ぶ。
当初は埼玉県内全駅通過だったが、2024年3月のダイヤ改正で八潮が停車駅に追加された。
本数は30分間隔で2本。

通勤快速
2012年新設の種別で、区間快速とは千鳥運転を行っている。
平日夕方下りのみに4本のみ運転される。
2020年春のダイヤ改正までは平日朝の上りにもあった。

区間快速
行き先表示器には「区快」と表示される。
2020年春のダイヤ改正から平日朝の上り列車のみ六町にも停車するようになった。
守谷以北の各駅が主な役割で、基本的には全線で運転されているが、一部守谷までの区間運転列車もある。
本数は30分間隔で2本。

○普通
各駅停車。
秋葉原~つくば間全線の運転の他、八潮や守谷での折り返し列車も設定されている。
八潮、流山おおたかの森で区間快速、快速との接続が行われる。
本数は守谷4本(6分、24分間隔)と、つくば2本(30分間隔)の計6本。守谷以北は、つくばまでの普通と各駅に停車する区間快速が15分間隔で4本。

【駅一覧】

●…停車
┃…通過
▲…平日朝の上りのみ
駅番号 駅名 普通 区間快速 通勤快速 快速
TX01 秋葉原
TX02 新御徒町
TX03 浅草
TX04 南千住
TX05 北千住
TX06 青井
TX07 六町
TX08 八潮
TX09 三郷中央
TX10 南流山
TX11 流山セントラルパーク
TX12 流山おおたかの森
TX13 柏の葉キャンパス
TX14 柏たなか
TX15 守谷
TX16 みらい平
TX17 みどり野
TX18 万博記念公園
TX19 研究学園
TX20 つくば


【主な駅解説】

  • TX01 秋葉原
JR山手線京浜東北線総武線各駅停車東京メトロ日比谷線乗り換え。
言わずと知れたオタクの聖地。

  • TX03 浅草
雷門や浅草寺で有名な東京の観光地。
場所的には浅草の中心地である「六区」に相当。
他の路線とは駅が離れているため*1、別駅扱いになっている。
浅草花やしきはこちらの方が近い。
同一の駅名で所在地が離れている駅は関西地方でよく見られるが、関東地方&21世紀以降に開業した駅での採用例は非常に珍しい。
浅草六区や新浅草にした方がよかったとは言っちゃいけないんだバカヤロー

常磐線東武スカイツリーライン(伊勢崎線)東京メトロ日比谷線千代田線乗り換え。
ご存じ、足立区の中心かつ東京北エリアを代表するターミナル。
浅草から出て最初の地上駅で、この駅以北からこの路線の本気を見ることができる。

  • TX08 八潮
ここから埼玉県
ヤシオスタンと呼ばれるぐらいパキスタン人が多く在住していることでおなじみ。
当線開業までは八潮市は鉄道空白地帯だった。

  • TX10 南流山
JR武蔵野線乗り換え。ここから千葉県
混雑緩和を目的としたホーム延伸改良工事を実施し、結果ホーム長は200mと武蔵野線よりも長くなった*2

  • TX12 流山おおたかの森
東武野田線乗り換え。
TX開業に合わせて野田線にも駅が出来た。

  • TX15 守谷
関東鉄道常総線乗り換え。
つくばエクスプレスの車庫がある。
ここから先は茨城県で交流電化となる。

  • TX20 つくば
筑波研究学園都市の中心にある終着駅。
なお、筑波山はここから遠いのでバスに乗る必要がある。

【今後の計画】

混雑率が増加しているため、列車を8両編成に増結する計画がある。
そのためのホーム延伸工事が行われている。

延伸計画が東京方面、茨城県内双方で要望が出ている。
東京方面は東京駅までの延伸工事に加え、臨海地域地下鉄との相互直通運転を想定した計画が挙がっている。
しかし、東京駅延伸の事業主体が決まっておらず、現状では構想止まりとなっている。

茨城県内の延伸については、県の総合計画で4つの延伸ルート及び各方面のメリットが提示された。

①筑波山方面:観光振興
②水戸方面:県央・県北の地域振興
③茨城空港方面:観光やビジネス目的の移動手段の提供
④土浦駅方面:常磐線との直結による利便性向上

第三者委員会での議論やパブリックコメントを行い、2023年3月末に「土浦駅方面延伸」の提言書を大井川知事に提出した。
大井川知事は、土浦駅延伸実現後に茨城空港への延伸も視野に入れるとしている。
しかし、茨城県内では盛り上がっているものの、TX側は関与していないため静観している状況である。
また、茨城県以外の沿線都県も静観している。


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最終更新:2025年05月29日 07:06
添付ファイル

*1 他線区では地下鉄銀座線の田原町駅が近い。

*2 上下線で停車位置をずらして中央部の混雑を減らすため。