スカルマン(漫画)

登録日:2018/06/24 Sun 00:27:49
更新日:2024/02/13 Tue 21:04:59
所要時間:約 25 分で読めます






冥界より甦りし骸骨男――


スカルマン…!




『スカルマン(THE SKULL MAN)』は、1970年に講談社の『週刊少年マガジン』に発表された石ノ森章太郎による100ページの読み切り漫画作品。
及び、その正式な続編として、1998年よりメディアファクトリーの『コミックアルファ』→『コミックフフラッパー』に2001年まで掲載された島本和彦による連載漫画作品である。

正式なタイトルは原作の石ノ森版が『怪奇ロマネスク 劇画 スカルマン THE SKULL MAN』となっており、
島本版が『スカルマン』のみになっている。

また、本作を原案としたアニメ版も存在するが、此方はキャラクターの名前と一部設定のみを借りたオリジナル要素の強い別作品である為、アニメ版の詳細は別項目の方を参照されたし。

このアニメ版にもMEIMUによるコミカライズが存在するが、此方はアニメの内容を一部短縮した別設定の作品なので本項目では割愛する。


【概要】

以下はネタバレ含む。

両親と自らの敵の為に、素顔を髑髏を思わせる仮面に隠し、黒幕を探すためならば無辜の民をも犠牲にすることを厭わない、ピカレスクヒーロー“スカルマン”の活躍を描いた1970年発表の漫画作品。
石ノ森による読み切り企画の第二弾として書き下ろされた。

インパクトの強い作風ながら、本来は石ノ森章太郎作品の中でもマイナーな異色作……として忘れられてしまったであろう本作だが、漫画作品としてはともかく“スカルマン”の名は、意外な形で後世まで語り継がれることになる……そう、かの『仮面ライダー』の誕生に関わるエピソードに於てである。

当時から『サイボーグ009』の成功等によりヒーローを描くことに定評のあった石ノ森に東映が新番組の為に、新たなる70年代を象徴するスピード感のあるヒーロー像として提唱されたバイクに乗ったヒーローのコンセプトデザインを依頼したのが1971年。
この依頼について石ノ森は当初、オーソドックスなスタイルのヒーローの“クロスファイヤー”や、ライオンをモチーフとした“レッドファイヤー”といった陽性のヒーローをデザインするが、余りにオーソドックス過ぎてデザインも古臭く、インパクトが無いことを自覚していた石ノ森が自らダメ出しして、東映も応じた。
そこで、石ノ森は前年に描いた『スカルマン』を思い出し、これまでにないインパクトのあるデザインのヒーロー像として“仮面ライダースカルマン”をデザインした。
これにはプロデューサーの平山亨も賛同したものの、髑髏のモチーフは不吉でお茶の間に相応しくないとして方々で難色を示されてしまった。*1
しかし、デザインのインパクトの方向性から、このアイディアを捨て難く思っていた石ノ森が気付いたのが、子供の好きな昆虫……特にバッタの顔が髑髏に似ているということであり、こうして誕生したのが従来のヒーロー像を覆す怪物的な意匠を含む飛蝗男=“仮面ライダー”だったのである。

尚、バッタモチーフであることから“仮面ライダーホッパーキング”と名付けようとしたら長すぎて却下されて、仮面ライダーのみになったらしい。*2

ともかくも、こうして誕生した『仮面ライダー』は、当初は如何にも石ノ森的な怪奇風味を打ち出した設定でスタートした、ホラー描写満載の怪奇特撮ドラマであった。
当初のコンセプトはマニアックな視線を持ったひねくれた子供には受けたものの、矢張り全般には視聴率が低かったことや、スタントもこなしていた主演の藤岡弘の大怪我による離脱もあってか、1クールをこなした時点で番組は体勢の見直しを余儀なくされることになる。
こうして、代役として佐々木剛が立てられて再スタートを切った2クール目以降では当初の怪奇路線は形を潜め、以前よりも明るく子供にも解りやすい番組作りがされるようになった。
この路線変更により、低予算でスタートした『仮面ライダー』は国民的怪物番組へと成長し、数あるヒーロー番組の中でも別格的な知名度とブランドを誇る作品として現在まで続くシリーズ化がされるまでになったのは周知の事実。

そして、その『仮面ライダー』シリーズの継続と共に上記の誕生に纏わるエピソードが繰り返して語られ、漫画自体の内容は知られないまでも髑髏の仮面は反逆の仮面の元祖であるとして認識されていったのである。

実際には『スカルマン』と『仮面ライダー』は石ノ森によるコミカライズですら共通した要素は少ない物語だったのだが、後には前述の理由を経て、石ノ森ヒーローをモチーフにしたS.I.C.の『キカイダー00』のストーリー内の仮面ライダーが『スカルマン』として描かれたり、後には『スカルマン』自体も『仮面ライダー』に近い物語として公式にアレンジされることになった。
……これが、石ノ森が直々に原案を練り直し、島本を指定して描かせた約30年ぶりの続編だったのである。

島本版では『スカルマン』の“その後”の物語が他の石ノ森作品のテイストを織り混ぜつつ紡がれており、結局は中途半端な所で終了してしまったものの“仮面の系譜”を想像させる物語となっている。

島本版は、元々は『コミックアルファ』で連載予定だった『サイボーグ009 天使編』の企画のついでとして石ノ森から直接に島本に声を掛けて実現した企画であったが、石ノ森の体調不良により『天使編』は連載が実現せずに、島本版のみが掲載されることになった。
ストーリーは一応は完結しているものの謎が残る部分も多く、連載形態も当初の隔週連載(『コミックアルファ』)が月刊連載(『コミックフラッパー』)に変わってしまい、モチベーションを維持出来なくなったこと等も影響しているらしい。
尚、原案は石ノ森自身だが、当初はメモ三枚のみ渡されただけで、島本もかなり焦ったらしいが、後には石ノ森自身と電話でやり取り出来るようになり、後書きから想像するにかなりの部分のイメージは石ノ森自身が出したアイディアを元に設定が生み出されたようである。
島本版は絵柄も石ノ森に近付けてあり、特撮や石ノ森作品好きの島本によるデザインワークも光る秀作となっている。

2022年に島本和彦デビュー40周年記念として愛蔵版全3巻で復刻された。

【物語】

■石ノ森版

昭和元禄*3に浮かれる日本……その虚飾の世界を嘲笑うかのように怪事件が続発する。
人気女優の怪死、落石による貨物列車の転覆、代議士秘書の乗る車の不自然な転落……それらの事件に見えるオオカミやコウモリ、ワニといった“怪物”の姿。

そして、数々の最先端技術を研究する「電子工業研究所」がスカルマン(骸骨男)を名乗る怪人物の襲撃を受けて破壊される。

一方、それらの怪事件の全てが一本の線に繋がっていると見抜いている男が居た。
彼の名は立木……立木興信所の代表である彼は、十五年もの間“やつ”……即ち、これらの事件を引き起こしているであろう“スカルマン”が、標的の今は18歳になる“少年”であるとして、その行方を追っていたのだ。

そんな中、立木興信所に新たな所員が入った。
その少年の名は神楽達男。
変死していた興信所の所員の死体を発見して運び込んだ縁で雇われることになった彼は、浅草界隈を仕切る神楽組の若親分でもあるスリルを求める18歳の危険な匂いのする少年であった。

そんな中で、再びスカルマンにより銀行の跡取りの不良息子が惨殺される事件や旅客機の爆破事件が発生。
立木は、その事件の合間に達男が居なかったことから神楽組への調査を進め、達男が拾われた子供であることを知ると、神楽達男こそがスカルマンであることを確信し、アジトに部隊を差し向ける。
しかし、立木の動きを呼んでいた達男は配下のガロに部隊を襲わせ、その隙に立木の身柄を確保する。
そして、立木に対してスカルマンとしての正体を現して尋問し、十五年前に本当の父母を殺し、十五年もの間、自分の命をも狙っていた黒幕の存在を遂に聞き出し、立木を射殺するのだった。

そして、黒幕……日本社会の多くの部分に於いて影響力を持つ実力者である千里虎月の屋敷にまで到達したスカルマンだったが、そこに居た自分と同じ種類の人間である麻耶から、驚愕の事実が知らされる。

実は達男は竜生(たつお)……千里虎月の孫である千里竜生であり、十五年前、異常な能力の持ち主であり、幾度も人類を滅ぼせる研究をしていた息子夫婦=竜生と麻耶の両親を殺した現場から、息子夫婦が生み出した人造生命体=ガロに連れられて姿を消していたのだった。

息子夫婦の異常な力と、その子供である孫達までもが超能力や異常な頭脳を持つ怪物であることを畏れ、抹殺しようとした虎月であったが、十五年前には生まれたばかりの赤子だった麻耶を殺さずに育てていたことからも解るように、竜生を探していたのも抹殺のみではなく保護も目的であった。

しかし、保護が間に合わずに畏れていた怪物=スカルマンになってしまった孫に背を向け、麻耶と共に屋敷の奥に逃げ出す虎月……。

ショックを受けながらも後を追った竜生だったが、突然に屋敷に仕掛けられていた罠が発動し、再会した三人とガロは金属製の壁に囲まれる。

そして、そこに放たれる炎……。

……虎月は、いつか孫が自分を殺しに来たときの為に自らも死ぬための罠を用意していたのだ。

「ワシらは生まれてくる時代を間違えたのじゃ!!」

怪物を生んでしまった怪物が、怪物となった孫と共に炎に巻かれていく。

……炎の中から、慟哭が響いていた。


■島本版

スカルマンの引き起こした事件から数年後*4、ある政治家を自らの超能力で殺した闇に属する女=マリアは、仕事の途中と後に奇妙な男と出会う。
その男を殺したマリアであったが、殺されたにもかかわらず、男はマリアを追ってくるのだった。
そして、三度目の邂逅でオオカミに変身した男に喉笛を噛みきられるマリア。
……薄れる意識の中で、マリアが見たのは自ら地獄から甦ったと語るスカルマン(骸骨男)の姿であった。

瀕死の重症を追いながらもマンションに逃げ帰ったマリアは、自らの超能力で喉を再生させて生き延びる。
しかし、失敗したマリアを抹殺するために蜘蛛男が出現。

マリアを殺そうとした蜘蛛男だが、そこにスカルマンとガロが現れ、交戦の末に蜘蛛男はスカルマンの炎に焼かれて重症を追う。

自分達が戦うべき相手を見つけ、アジトに戻って歓喜に震えていたスカルマン=竜生だったが、そこに復活したマリアと蜘蛛男が襲撃を掛けてくる。
自ら二人を誘い込んだスカルマン。
ガロが蜘蛛男と戦っている間に、マリアの精神に潜り込み、マリアや蜘蛛男を生んだ存在=ラスプーチンの名を聞き出すことに成功するが、戦いを脱してきた蜘蛛男に思わぬ重症を負わされてしまう。
追い付いてきたガロにより致命傷を与えられたが尚もスカルマンだけは殺そうとした蜘蛛男だったが、その瞬間に以前よりも遥かに強力なスカルマンの炎が炸裂し、蜘蛛男ばかりかアジトまでもが灰塵と化していく。

……そして、これがスカルマンと闇に生きる者達との戦いの序曲となったのである。


【登場人物】

神楽達男(かぐらたつお)千里(ちさと)竜生(りゅうせい)
本作の主人公でスカルマンの正体。
古くから浅草界隈を取り仕切るヤクザ一家“神楽組”の親分の一人息子だが、実は十五年前に側に倒れていた若い男に連れられてきて屋敷の庭で泣いていたと思われる、その時に拾われた子供であり、子供の居なかった親分夫婦に引き取られて息子として育てられた。
達男の名は、子供自らが言っていた「たつお」から名づけられたが、実際の漢字は竜生であり、本当の名前は千里竜生(ちさとたつお)であった。
何をきっかけにしてか、或いは超天才なだけに幼くても断片的な記憶があったのか、自分の本当の両親を殺した相手を探しており、更には、その相手が自分を殺そうとしていることをも知っていた。
異常な頭脳と体力、更には超能力の持ち主であり、これは実の両親から引き継がれた力である。
数年前より、生まれたときから自分に付き従う不気味な若い男=変身能力を持つ人造生命体のガロを手下にして、自らも髑髏を模した仮面を被り、スカルマンとなって、自らの命を狙う黒幕に“僅か”でも関係のある人間を見せしめの為に殺害していた。
その果てに辿り着いた黒幕の千里虎月から“真相”を知った後は、虎月と麻耶と共に炎に巻かれるが、死を覚悟するなかで更なる覚醒がもたらされ、その力によって密かに生き延びてしまっていた。
復活後は生還を経て魂が結び付いた麻耶の助け等も借りつつ、この世界で自分達を生んだのと同じ力で生み出された闇の住人との戦いを決意する。

一度“死んだ”ことによる能力の強化は凄まじく、新人類である竜生にすら能力の把握とコントロールが出来ていない程。
テレパシーは相手の魂の領域の奥底までに届き、ターゲットにしていない周囲に居るだけの相手にすら影響が及ぶ程に強化されており、このことは物語でも重要な意味を持つことになった。

テレパシーの応用か、霊体のみを別の人間に宿してコントロールすることも可能で、憑依の際のみは直接の接触が必要だったが、ラスプーチンの基地で覚醒したマリアに憑依した際には、互いに魂の繋がりがあったことと超能力の高まりからか、霊体その物を飛ばして合体した。
また、復活以降は一度流星の様に散って死んだ人間として、名前の呼びを千里(ちさと)竜生(りゅうせい)と音読みにしている。

復活後のスカルマンの最大の武器となったのが発火能力と電撃で、特に発火能力は通常時でも対象を瞬時に火だるまにする程の威力を持つが、中でも生命の危険に晒された時や死を覚悟した瞬間に放たれる「超気」と呼ばれる炎の威力は桁違いで、対象どころか広範囲を一瞬で火の海にする程の威力を誇る。
以前は見せていなかった、この炎を放つ超能力は前回のラストで炎に巻かれる中で得られた模様。
この、無意識下で放たれる強大な炎は、自分を中心に十字に放たれることからクロスファイヤー(十字砲火)の名前が付けられている。
これは、前日の様に『仮面ライダー』の没タイトルの一つである。
また、新編では毒の胞子等に対してマスクの開口部が閉じるギミックがあり、これはアニメ版でも採用されている。

また、復活以前は高い身体能力を持っていても拳銃を使っていたのに対し、復活後は更に肉体が強化されたこともあってかスカル反転キックといった、強力な格闘攻撃も見せるようになっている。

このように、復活後は全てに於いて強化されているが、その弊害としてテレパシーを使用した相手と精神がリンクするようになっていたが、終盤に明かされた事実によれば、復活以来は余りに感受性が高くなったことで自分と顔を合わせただけの対象とも精神の繋がりが出来てしまい、中でも強い印象を残す存在である敵対した“怪人”達との繋がりが強く、特に強い感情である死の瞬間の苦しみや痛みが「感覚的現実」として流れ込み、その共感力により己が苦しめられるようになってしまっているとのこと。

この為、復活後は麻耶に注意されていることもあるが、他者を積極的に殺すことが出来なくなっており、怒りから相手を殺そうとした時にも、麻耶から「他の生命を消すことは自分の一部を消すことになる」として止められている。

終盤に掛けての物語は、ラスプーチンとの戦いもそうだが、竜生がレゾンデートルを求める物語となっている。
最後には、ラスプーチンの主でもある死んだと思われていた実の父母と再会するが……?

物語のラストでは、己が力を与えた飛岡の背中を見送り、一方では志の半ばで命を落としたの者を救い、戦うための力を授けている。
こうして、新たに忍の者が加わったスカルマン=竜生が力を与えたと思われる者達のシルエットはにもあり、この重い十字架を背負わされた者達の戦いを読者に想像させるところで物語は終わっている。


■ガロ
竜生に仕える人造生命体で、オオカミ、コウモリ、ワニ、と三つの姿に変身することが出来る。
新編(島本版)では竜生の影武者も務めていた。
創造したのは竜生の父母である真悟とランで、十五年前の惨劇の場から竜生を救い出した後、いつからか成長した竜生の僕として復讐にも従っていた。
以前の戦いでは感情を表さず言葉も喋ることはなかったが、新たなる戦いでは竜生に優しく語りかける場面も。
その時は片言だったのだが、終盤には流暢に喋るようになっているが……?
また、終盤では翼竜型の新たなる変身形態が登場している他、最後の戦いではワニと蠍が合体したような巨大な怪物に変身する等、強化されたと思われる描写があるが詳細は不明。
新編ではラスプーチンの放つ改造人間達と同じ存在とされている。


■千里麻耶
マヤと表記されている場合もある。
竜生の妹で、前回のラストから生き延びた後、兄との魂の繋がりが強まったことで密かに兄の戦いを支えていた。
本人はタイガー・ムーンと名づけられた本拠地に引っ込んでいたが、コントロール不能になるまで超能力が高まった竜生をテレパシーで呼び掛けて止めたり、窮地の際に呼び掛けられる等、竜生からも頼りにされている。


■千里虎月(こげつ)
竜生と麻耶の祖父で、日本の政治と経済の大きな部分に於いて影響力を持つ黒幕と呼べる人物。
全ての悲劇の元凶ではあるが、その目的はあくまでも多くの人類の平和と幸福の為であり、その為にならば自分の息子夫婦を殺してでも世界を救おうとする等、慈悲深くも厳格な人物である。
実際、消えた竜生を探していたのも殺害より保護の意味が大きかったり、殺せずに育てていた麻耶も全ての事情を知っていながら虎月に賛同していたりと、現代の価値観で言えば“正義”の側にいる人物であり、憎しみは愛の言葉を残している。
この言葉は、新たなる戦いを開始した竜生のテーゼともなっている。
火事から竜生に救い出されながらも生還できなかったようだったが……?


■立木
立木興信所の所長で、虎月に命じられて長年に渡り竜生の行方を探していた。
しかし、互いに正体を見破られた末に逆に竜生=スカルマンに殺害された筈……だったが。


■マリア
新編のヒロインの一人で、ラスプーチンの配下ながら改造人間ではなく、超能力を強化された妖艶な美女。
その力を使って要人暗殺等を請け負っていたがスカルマンの介入を受けて失敗し、蜘蛛男に抹殺されそうになるが、当の失敗の原因であるスカルマンに助けられる。
そして、同じく失敗した者同士として蜘蛛男と組んで報復に向かうが、そこでスカルマン=竜生の返り討ちに遭い、遥かに強大な能力者である竜生に魂の奥底まで丸裸にされてしまう。
そこでもスカルマンに救われ、新しい生活を与えられ組織から離れるが、竜生と魂の繋がりが出来たことによる後遺症は大きく悪夢に苦しめられていた。
そして、コブラ男=蛇塚に発見され、下僕達を差し向けられた時にスカルマンと同じ発火能力を発現する。
その戦いを感知して姿を現したスカルマン=竜生の苦しみに共鳴して口づけを交わした。
その後、正気に戻り竜生に攻撃するも直接に攻撃を仕掛けてきた蛇塚に囚われ、蛇塚がスカルマンと戦っている間にラスプーチンの本拠地へと拉致される。
本拠地ではスカルマンと繋がりが出来たことを探ろうとするラスプーチンの超能力により介入されそうになるが、これがきっかけで更なる力を覚醒させ女スカルマンに変身して、本拠地に甚大な被害を与える。
総攻撃を受ける中で、遠方から霊体を飛ばしてきたスカルマン=竜生と精神世界で邂逅、ここでも攻撃をするが竜生の語りかけた通りに互いに愛し合っていることを認めて、竜生を受け入れて合体を果たす。
改造された飛岡の活躍もあり総攻撃をはね除けるが、ラスプーチンが本拠地を捨てる決断をしたことで脱出不能に陥り、愛する竜生とリンクしたままで基地の自爆に巻き込まれて消滅。
その死は、竜生にラスプーチンへの深い憎悪を生むことになった。


■桂川五月
「週刊ピープル」の女性記者で、立木(・・)編集長に上手く乗せられてスカルマン事件を追う。
スクープの為なら変装しての潜入も厭わず、腕っぷしも強い女傑だが、パラサイトグリーンの胞子の感染者に襲われた所をスカルマンに助けられ、彼が悪人では無いと感じるように。
事件を追う中で知り合った飛岡と大滝と知り合い、危険を犯しながらもスカルマンと、スカルマンの追う組織に迫るが、蜂女の本拠地に於けるスカルマンと蠍男との戦いの中で飛岡を失い、物語から退場する。


■飛岡剛
相棒の大滝と共に、上層部からの命令に逆らってでもスカルマン事件(実際にはラスプーチンの組織による犯罪)を追う刑事。眉毛太い。
モデルとモチーフは勿論本郷猛である。
絶対の正義を求める、鋼鉄の精神と優れた肉体の持ち主であり、事件の影に見え隠れする怪物達を“薄汚いバケモノ”と呼んで嫌悪しているが、大滝と五月をスカルマンに救われることに。
蜂女の本拠地での戦いで蠍男の放った毒蠍に四肢を刺されラスプーチンから死刑宣告を受けるが、スカルマンとの繋がりがあることから本拠地へと拐われ、スカルマン監視用の飛蝗男へと改造されてしまう。
そして、女スカルマンとなって暴れるマリアに本拠地内の改造人間達が起こされて立ち向かう中で、洗脳が不完全なままで覚醒させられ、悪夢を見ているという認識のままで憎悪する改造人間達に挑み、これを殺害していく。
ラスプーチンの思惑ではあくまでも監視用の能力の低い改造人間の筈だったのだが、飛岡が素で強過ぎた為に異常な戦闘能力を発揮した模様。
その力は、マリアと合体して戦いを見ていた竜生を感嘆させる程で、ラスプーチンも歓迎されざる事態ながら、この時の飛岡の戦いをヒントに、腹心のアリサ達を戦闘型の飛蝗の改造人間に変身させている。
力尽きた後に本拠地の自爆に巻き込まれた筈だったが、改造された肉体によりここでも生き残り、竜生と麻耶に回収された後に、兄妹の手で正義を貫く究極の改造人間へと生まれ変わる。
その力は凄まじく、徒手空拳と専用バイクしか攻撃手段が無いにもかかわらず、竜生が騙し討ちをされた戦場に乱入して、あっという間に量産型の飛蝗男達を蹴散らし、ラスプーチン(のクローンの一人)をも瞬時に殺害してしまった程。
このページの構図とコマ割りは完全に漫画版一文字。本郷なのに。
傷ついた竜生を回収し、タイガー・ムーンが宇宙に飛び去った後は組織の残党たる改造人間達が暗躍する世界に舞い戻り、これを倒し続けている。
(正義の為に)お前達を倒し続けてゆくことが俺の最大の欲望なのだと、ある意味凄いメタなことを言わされている。
その、敵対する改造人間達のシルエットはどこかで見たようなデザインの奴等である。


■大滝
飛岡の相棒で、モチーフは漫画の方の滝二郎。
蜂女に襲われ瀕死の重症を負うなど、苦しみながらも怪事件を追うが、五月と同様に蜂女の本拠地での戦いの後でフェードアウトする。
飛岡もまた十字架を背負った仮面の反逆者……闇の住人となってしまったので再会は難しいと思われる。


■蜘蛛男
ラスプーチン配下の改造人間で、粘着性の体液から強力な糸を作り出すことが出来る。
人間体は意外にカッコいい。
モデルは蜘蛛男


■パラサイトグリーン
ラスプーチン配下の胞子を放つ植物の改造人間。
研究所を兼ねた製薬会社を本拠地としており、胞子を着床させた職員が知らず知らずに自分の胞子を含んだ新薬を市場に流し、その影響で暴走した着床体を始末する中でスカルマンと出会い本拠地を突き止められる。
更には勝手な動きをしていたことから蠍男には抹殺に来られ……と散々な目に逢っている苦労人。
モデルは人喰いサラセニアン
また、この時の戦いで竜生が憑依した実験体は蟷螂男であった。


■蠍男/綾瀬五郎
ラスプーチン配下の改造人間で、神楽組の幹部。
達男(竜生)とは同級生であり、組長の息子ながら竜生をライバル視して、いつかは全てを奪って勝利するという願望を持っていた。
パラサイトの本拠地でスカルマンと戦うが、本来の目的はパラサイトの始末であったことから、この時は戦いを収める。
しかし、蜂女の本拠地での戦いではスカルマンを危険視するラスプーチンの命を受けて配下を引き連れて挑むも、最大出力の電撃に灼かれて敗北する。
かつての親友の最期には止めを刺したとはいえ、竜生も複雑な顔を見せていた。
モデルはさそり男こと、早瀬五郎。


■女王蜂/黒貴優香
筑波大学医学部の美貌の女教授で、研究用のドナー登録問題に於ける識者としてメディアでも知られた存在。
その正体は蜂女達の頂点に君臨する女王蜂で、暗殺専門のカメレオン男とは協力関係にあったが、配下が警察に捕らえられたカメレオン男を逃がした一件で毒針に刺された大滝の解毒剤を求める飛岡とスカルマンに追われることになる。
スカルマンとの戦いの中で解毒剤となるローヤルゼリーを探す為に精神の奥底まで侵入され、丸裸にされたことで竜生の虜となってしまい、組織を裏切り配下を含めてスカルマンの側に付いて、コブラ男との戦いで傷ついた竜生を救い出した。
それを由としないカメレオン男達に本拠地を襲撃され、最後は瀕死となった自らに報われぬ愛情を抱いていたカメレオン男のボス=五色透と相討ちになって死亡。
モデルは蜂女
島本先生の同人誌『40年一筆』では「致命傷を受けるもカメレオン男を毒針で溶かし、スカルマンへ愛の言葉を残して素顔を見せた竜生に見届けられながら溶けていく」というifシーンが書かれている。えっ泣いてる…⁉キャーうれしい~竜生~


■蜂女/黄嶋冴矢香
働き蜂の筆頭で、女王蜂亡き後は彼女が竜生が止めるのも聞かずにスカルマンの手助けをした。
スカルマンを守る為に、多数の蜂女がコンドル男女ライダーの犠牲となった。
島本和彦お気に入りのキャラクターらしい。


■カメレオン男/五色透
ラスプーチン配下の改造人間で、姿を消す能力を利用した暗殺が専門。
蜂女達とは協力関係にあったが、思いを寄せる優香がスカルマン=竜生の虜になったことに我慢が出来ず暴走。
配下達と共に蜂女の本拠地に乗り込むが、完全にフラれた上に毒針を注入されて死亡が確定する。
最後は混乱の中で意地を見せて女王蜂=優香を捕獲して食らい付き、共に溶解液により一緒になってドロドロに溶けることで歪んだ想いを遂げる。
モデルは死神カメレオンなのだろうが、全くキャラクターが違う。


■コブラ男/蛇塚
環境破壊を引き起こす科学工場の護衛に当たっている不気味な男で、ラスプーチン配下の改造人間。
本作の怪人の配下はボスと同族の量産型怪人なのが普通なのだが、コブラ男の配下のみは蛇の鱗を思わせるデザインのコスチュームを纏った部隊となっている。
ただし、後に女ライダーとの戦いではボスを守る為に地中から出現したりしているので改造人間ではあるのかも知れないが。
普段は人間に近い形態をしているが、完全に変身すると巨大なコブラの姿となる模様。
マリアを襲撃してスカルマンと戦った時には、マリアを囮に使い、隙を突いて噛むことに成功してスカルマンを追い詰めるが、極限状態で放たれる「超気」の炎に焼かれて痛み分けに終わる。
全身に重度の火傷を負いながらも生き延び、復讐を誓っていたが、組織の意向から外れた為に女ライダーに抹殺対象とされ、最終的にはライダーダブルキックを浴びて壮絶な爆死を遂げた。
モデルはコブラ男


■コンドル男
ラスプーチン配下の改造人間の中でも、最強格の戦闘能力を誇る。
拐われたマリアに無意識に力が流れ込み弱体化していたとはいえ、竜生を圧倒して、助けに入った蜂女達が束になっても止められなかったが、復活すると共に翼竜型へと変身したガロの突撃を受けて一時的に撃退される。
モデルは旧1号編最後の敵となった合成怪人ゲバコンドルで、再生の際にコンドルの改造人間であるにもかかわらずに、爬虫類を思わせる皮膚が出来ていたことから、モデルと同じく、複数の生物の特徴を持っているのかも知れない。
圧倒的な戦闘能力を誇っている筈だったが、エピローグでは飛岡のライダーブレイクを受けて瞬殺されている。


■女ライダー
飛岡の変身した飛蝗男の戦闘能力を見たラスプーチンが、自らの腹心の女達(マリアもその一人か?)の内の二人を飛蝗の改造人間にした者。
常に二人で行動し、抜群のコンビネーションにより、高い戦闘能力を更に高めている。
ラスプーチンと寝ることで未来のビジョンを得ようとしたが、怒られた上に無駄に終わっている
モデルは1号2号だが、敵のライダーということからショッカーライダーでもあるか。


■ラスプーチン
本作の敵で、配下の改造人間や超能力者を使い、更に影響力を持つ企業やメディアの力を使って世界をコントロールしようとしている。
しかし、実際には更に強大な存在に仕える身であり、中間管理職的な悲哀も付きまとう小物臭の抜けない部分も。
ロシアの怪僧と呼ばれた人物と名前が一緒であるが、本人の設定である可能性が台詞だけだが示唆されている。正体は竜生の父母=千里真悟とランの助手だった男で、組織の基礎も真悟とランの研究を元にしたものとなっている。
現在でも真悟とランに支えてはいるが、真悟とランは敵対している筈の竜生=スカルマンもラスプーチンとの競合相手と見なしている節もあるため、完全な支援を受けている訳では無いなど、何とも微妙な立ち位置にいる。
彫像を通して指示を受けていたのは『ブラックゴースト(黒い幽霊団)』のオマージュか?
あとがきによると、モデルは『鉄面探偵ゲン』のポルター・ガイストから。「カッコいい悪役が思いつかなかったな島本くん!」


■千里真悟
■千里ラン
虎月の息子夫婦であり、竜生と麻耶の両親。
異常な頭脳と超人的な肉体に加えて、超能力をも持っている異能の人間であり、人造生命体を生み出す等、人類を滅ぼしかねない危険な幾つもの研究を夫婦で重ねていた。
その倫理観を欠いた危険な研究を危険視した虎月から新人類化物と畏れられて抹殺されるが、密かに生き延びた後はラスプーチンを利用して世界を裏側からコントロールしてきた。
戦いの果てにラスプーチンを自らの生み出した力によって倒した竜生、更には麻耶と虎月とも再会するが、そこで語られたこととは……。


■謎の青年
ある夜に竜生と出会い意気投合し、スカルマンとして戦ってた竜生の前にも現れて彼を助ける。
目にも止まらぬスピードで動くことが出来る。
竜生を自らと同じ重い十字架を背負う者として激励する。





追記・修正は地獄から蘇ってからお願い致します。

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最終更新:2024年02月13日 21:04

*1 『黄金バット』の様な先駆者も居るのだが、ネタ被りを回避する目的もあったのだろうか?

*2 デザインについても急ごしらえ的で時間があったらなら別のデザインになってたかもと語っている。髑髏→飛蝗の変遷は確かに普通では思いつかないが。

*3 高度経済成長による急速な近代化と発展の一方で物質的側面ばかりが強調され精神的な充実が伴わない刹那的、享楽的な世相を当時の福田赳夫が批判した言葉。

*4 舞台が原作版よりも描かれた時代にあわせた現代となったが、特に言及はされていない。