子狐(東方Project)

登録日:2019/03/25 Mon 18:44:47
更新日:2024/04/18 Thu 19:03:03
所要時間:約 10 分で読めます





居眠りばかりの巫女こわくなし。


この項目における『子狐(東方Project)』とは、東方Projectに登場するキャラクターのうち、
書籍作品「東方鈴奈庵」に登場する「子供の狐妖怪(化け狐)」のことを指す。


種族: 妖怪狐
能力: 不明(少なくとも人間に化ける能力は持っている)
二つ名: 無し
テーマ曲: 無し




【概要】

東方鈴奈庵単行本3巻収録の「狐疑逡巡する貸本屋(第18話~第19話)」に登場した妖怪のゲストキャラクター。

人間の子供に化け、人間たちが暮らす人里の寺子屋に通っている妖怪の狐で、ある理由から行った行動が寺子屋でちょっとした騒動を引き起こすこととなった。

名前については公式の呼称は無く、子狐というのもあくまで便宜上の表記ではあるが、
某動画投稿サイトや某イラスト投稿サイトの百科事典では子狐の名義で記事が作成されているためこちらでもその表記に倣う。

なお、非公式の東方人気投票では他の狐妖怪(東方茨華仙で魔理沙に化けていた狐など)と併せて「狐」としてひとくくりにされている。
キャラクター名の中に狐妖怪の例として「狐の子」と挙げられていたのがおそらくこの子だろうと思われる。


【本編において】

ある日、人里の寺子屋で、障子に奇妙な文字が書かれているのが発見された。
『水無月紫陽花色褪せる』『昨日の夕飯 二日の朝飯』などとの人間の文字と並ぶように、妖怪狐の文字と思われる解読不能の文字が続けて書かれていたのである。
直接的な被害や妖怪の姿そのものは見られなかったものの、妖怪の仕業であるとすれば、小さな子供たちが通っている寺子屋に妖怪が現れたという可能性がある。
これは大人たちからすれば気が気でない事態であることから、相談を受けた阿求の紹介で霊夢が解決に赴くこととなる。

しかし霊夢が妖怪除けの御札を貼っても怪現象が止むことは無かった。
『その御札こわくなし』『居眠りばかりの巫女こわくなし』と、博麗の巫女をからかうような書置きさえ残される始末。
さらに霊夢が見張りを続けているにもかかわらず、その目の前で新たな悪戯書きが書かれるなど、霊夢は完全に翻弄されていく。
そんな中、(勝手に切り抜いた)妖怪の書き残した障子紙を調べていた小鈴は、障子に書かれている文字を解読したところ、その内容の奇妙さに気付き――――

真相

上記の怪現象を起こしていた犯人こそが、人間の子供に化けて寺子屋に通っていた子供の化け狐である。

しかし子狐にとっては悪戯をしたかったわけでも騒動を起こしたかったわけでもなく、
その理由は寺子屋で学習した内容を勉強のために書き記したかったけど、紙が無かったので近くにあった障子に書いていたというものであった。
障子に書かれていた奇妙な文字は、寺子屋の授業の内容と同じ全く内容を書いていただけで、何のメッセージ性も無かったのである。
(日本人が、英語の勉強のために英単語とその日本語訳を並べて書くようなものと考えればよい)

妖怪の文字を読めない霊夢よりも先に真相に気付いた小鈴は、
「ただ人間の勉強をしたいだけで邪気がないなら退治までする必要はないのではないか」との考えを阿求に話すが、
阿求は「幻想郷において妖怪は人間の敵」と、あくまで妖怪狐の退治を主張する。
それでも、霊夢だって妖怪とよくつるんでいるわけだし、退治までするのは可哀そうと主張する小鈴は、騒動解決のための妙案を思いつくのであった。

この子狐の回は、小鈴に改めて「妖怪にも色々いて、全てが人間の敵とは限らないのではないか」という、独特の考え方を固めるきっかけになったと言える。



その後小鈴は霊夢に「狐狸を退けるのによく効く能勢の黒札を手に入れた」と言ってお札を見せ、それを教室内に貼る許可を得る。
その後、寺子屋の悪戯書き騒動はピタリと止まり、表面上は霊夢の根気で退けたということになり寺子屋に平和が戻ったのであった。
(霊夢も最初は納得がいっていなかったようだが、感謝されるうちに本当に退治した気分になった)

霊夢は知らなかったが、そのお札は狐狸を退ける能勢の黒札などではなく、小鈴自身が書いたものであった。*1
その内容は、狐妖怪の文字で『妖怪でも読める本を貸出し中』と鈴奈庵の宣伝を書いていただけである。

しかしその効果は覿面。具体的な描写は描かれなかったが、
それを読んだ子狐は妖怪の文字を理解してもらえる貸本屋の存在を知り、鈴奈庵を訪れて小鈴と知り合ったものと思われる。
そこで小鈴から勉強用の白紙のノートを貰い、子狐は授業の内容を障子に書く必要がなくなり、
寺子屋の落書きは止まったというのが小鈴しか知らない真相であった。

その後も小鈴とは、勉強用のノートがいっぱいになったら鈴奈庵で新しい白紙のノートと交換してもらう関係を続けていることが19話ラストで描かれている。
これによって子狐にとっては寺子屋で騒動を起こすことなく人間の勉強を続けることができ、
小鈴にとっては妖怪の文字がいっぱいに書かれたノート、すなわち妖怪が書いた妖魔本を繰り返し入手できるため、
お互いにとってWIN-WINな関係となっている。

このように、易者蟒蛇塩屋敷の旦那など、
人里で騒動を起こしたゲスト妖怪の多くが霊夢やマミゾウらに退治されたり懲らしめられたり封印されたりして大抵ロクな目に遭わない東方鈴奈庵において、
騒動は起こしたが特に痛い目に遭うこともなく人里での暮らしを続けられている珍しい妖怪である。

その後も子狐は人間の子供に化けたまま寺子屋に通い続けているようで、
19話最後のページでは慧音先生と一緒にいる姿も描かれている。
小鈴は「そのうち狐であったことすら忘れて人間になるのかもしれない」と考えているようだ。
人間から妖怪など人外になった例は幻想郷においても割と多いが、
その逆に妖怪から人間になった例はほとんど描かれていないため、本当にそうなれるかは神主のみぞ知るところではあるだろうが。


子狐メインの回はこの18、19話のみであるが、子狐はその後第24話でも小鈴に手相を見てもらっている子供として再登場している*2
また、33話では小鈴が関わってきた妖怪のイメージ絵の中に、易者やマミゾウ、こころなどと同じコマでこの子の姿も描かれている。

それ以降は出番がないまま東方鈴奈庵は完結したが、24話の描写を見る限りでは、
寺子屋の子供たちとも小鈴とも仲良く良好な関係を築いていけているようである。
キツネととっても仲が悪いタヌキの大親分ともし鈴奈庵で鉢合わせしてしまったらいったいどうなってしまうのかはちょっと気になるところである。


【性格】

本編においてはこの子のセリフは一切無いため、具体的な性格を読み取ることが難しい。
(例外として24話で子供たちみんなで「ありがとうございました」と小鈴にお礼を言っている場面があるくらい)
セリフ以外に性格が分かりそうな本編の描写としては、

  • 邪気が無いので霊夢のお札も効かなかったのではないかという小鈴の考察
  • (鈴奈庵に本を返しに来た子狐を見て)勉強熱心な子供という阿求の評

あたりがある。
これらを見る限りでは、純粋に人間のことを学ぼうとする意欲に満ちた素直な良い子、と見ることができそうである。

一方で、寺子屋に霊夢を挑発するようなメッセージが書き残されていたり、何者かが魔理沙に化けて霊夢と会話し、
まんまと欺いていた描写から、茨華仙や三月精で出てきた他の狐・狸妖怪のように悪戯好きな一面もあるようにも思われる。

ただし霊夢を挑発するようなメッセージについては、
人間の文字を勉強中の子狐が、授業の内容以外を人間の文字で書けるのか、といった異論を唱えることも可能であり、
魔理沙に化けた何者かについても、子供の妖怪が、霊夢にバレないほどに魔理沙の言動を完璧に真似できるのかといった疑問があることから、
別の妖怪(例えば茨華仙に登場して魔理沙に化けたことがある狐など)が手を貸していた可能性も考慮に入れて良いかもしれない。


いずれにしても、性格については原作での描写が明確ではないため、二次創作でのキャラ付けも作者によって異なる。
例えば小鈴に主導権を握られる大人しくていい子だったり、積極的に(性的な)悪戯をするキャラだったり、
原作っぽく無口なキャラにされたりなどが見られる。


【外見・性別】

見た目はおかっぱ頭の中性的で可愛らしい子供。人間に化けているため人里の中では耳や尻尾は見えていない。
小鈴からノートを貰う場面では妖怪のイメージとして狐の耳と、一本だけの狐の尻尾が生えている姿が描かれており、
九本の尾を持つ八雲藍と比較すると遥かに若くて力の弱い妖怪であることが推測される。

髪の色はカラーで描かれなかったため詳細は不明だが、少なくとも黒髪ではない。
薄い本などでは同じ狐の八雲藍などと同じく、金髪で描かれることが多い。

前髪で目が隠れるような描かれ方をしており、本編では目が描かれることはなくどんな顔立ちなのかは不明。
(ただしこれはこの子に限ったことではなく、他の寺子屋の生徒なども目が描かれていないのであくまでモブキャラはみんなこういう扱いなだけかもしれない)

19話ラスト付近で小鈴や慧音と対面している絵を見れば分かるが、背丈はかなり小さい。
霊夢より一回り背が低い小鈴よりもさらに頭一つ分ほど小さく、胸元あたりまでしか背丈がなかったり、
さらに教師の慧音先生と比べると腰のあたりまでしか無いように見える。
子供というよりは幼児といっても良い可能性もある。


本編でセリフがないため、性別についても男か女かはっきりとは明言されていない。
服装はどちらかと言うと寺子屋の男子生徒の服装に近いので、男の子ではないかと考えられる一方で、
24話で小鈴に手相を見てもらっていた場面では、他に一緒にいた子供がほとんど女の子ばかりだったからこの子も女の子なのでは、という考えもある。
いずれにしてもモブに近いゲスト妖怪なので細かい説明や描写は必要なかったものと思われる。
ただし二次創作では後述のとおり基本的に男の子として登場する。


【二次創作】

本編中でセリフが無く、易者や蟒蛇、抗鬱薬おじさんといった、
キャラの濃い鈴奈庵男性キャラと比較するとキャラ付けがされていないため二次創作での登場は多くは無いが、
「公式に登場した、小鈴より年下の外見のショタ」ということで、薄い本のおねショタ要員としての出番がいくつかある。

その場合はまず間違いなく性別は男の子として登場する。
前述のとおり原作では性別は明言されていないが、薄い本においてはおねショタが成立する男の子の方が都合がいいということだろう。

カップリングは圧倒的に小鈴が多く、それ以外では阿求や慧音、霊夢など原作で少しだけ関わりがあった少女と絡んだり、
原作では関わりは無いが狐の妖怪と言うことで縁がありそうな藍やマミゾウなど。

18禁の薄い本で小鈴が相手の場合、小鈴の方が好奇心から子狐に(性的に)手を出してリードする割合が多めで、
子狐の方から小鈴にイタズラして手込めにするような展開はあまり見られない。
ただし相手が小鈴以外の場合、キツネらしく悪戯っ子属性を発揮して積極的になる割合が二次創作では高めなのだが理由は不明。

一方で見た目が中性的で可愛らしいので、男の娘としての需要も満たせる。
そのためかふたなりOKな薄い本では、狐や狸のお姉さんが生やしたイチモツでお尻をアッー!されるお仕置きをされちゃうことも。

非エロの二次創作だと、小鈴に想いを寄せている子狐と小鈴との甘酸っぱい恋物語や、
それに嫉妬する阿求といった流れなどが王道。



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最終更新:2024年04月18日 19:03

*1 小鈴は妖怪の文字も「読める」という自身の能力を応用し、習ったこともない妖怪の文字を「書く」という離れ業をこの回で発揮した。

*2 ただし外見が同じに見えるだけで同一人物とは明言されていない