怨念怪人ギャスカ

登録日:2019/12/28 Sun 01:08:20
更新日:2025/03/15 Sat 02:03:26
所要時間:約10分で読めます




大好きなゴミの中だけど、何故か腐らずにはいられない。

怨念怪人ギャスカとは、デュエル・マスターズのクリーチャーである。

怨念怪人ギャスカ UC 闇文明 (1)
クリーチャー:デビルマスク 4000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の手札をすべて捨てる。

1という超低コストの割に4000という高いパワーを持つクリーチャー。
しかしこのクリーチャーの特筆すべき点はパワーではなく、場に出た瞬間自分の手札を全て捨てるという効果である。
マナを貯めるというルール上他のカードゲームと比べて重要性は比較的低いが、デュエル・マスターズもカードゲームである以上手札があらゆる可能性を持つことは疑いようのないことである。
このカードは出た瞬間にその可能性を全てゼロにしてしまうという端的に言って意☆味☆不☆明なカードである。
当然1ターン目に出したらその時点で自分の手札はゼロ。次に自分のターンをもらっても1コストのカードを引けなければマナをチャージするより他の選択肢はない。

こんなふざけた効果を持つカードは前代未聞…と言いたいがそれと思わしき、否明らかに元になったカードがある。
デュエマの兄貴分であるMTGの《空虚自身/One with Nothing》。色といい、1マナといい、明らかにモデルになっており、
こいつはこいつで別ベクトルで悪名高いカスカードである*1

ただそこから学んだのか、ちゃんとしたメリットがあり、場にはパワー4000のクリーチャー1体が残る…
というメリットという名の弱小クリーチャー一体しか残らない悲惨な状況になる。
一応墓地には先行であれば3枚、後攻なら4枚のカードがあるが、だからどうしろって言うのだ
普通にプレイすれば相手との圧倒的なハンドアドバンテージの差によって敗北するのは必至の誰得効果である。

それでも1ターンに3、4枚のカードを墓地におけると見るといい効果として見るなり、
手札が少ない(なくなった)ゲーム後半にスタッツに優れたクリーチャーとして扱う方法もなくはないが、

やはりいくらなんでも手札をゼロにするには割に合わなさすぎる。

  • 関連カード

虚像の大富豪 ラピス・ラズリ R 闇文明 (2)
クリーチャー:デーモン・コマンド/ダークロード 6000
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の手札をすべて捨てる。
1コスト重くなったギャスカ。W・ブレイカーになったがだからどうしろというのか
しかし低コストのW・ブレイカーという個性がある分、少なくとも脳筋しか取り柄がないギャスカよりは使い道はあると言える。


だが、1ターンに1コストで手札を大量に捨てることのできるカードとしてみれば、コンボの余地が見えてくる。

革命魔龍 キル・ザ・ライブ 闇文明 (6)
クリーチャー:デーモン・コマンド・ドラゴン/革命軍 9000
W・ブレイカー
このクリーチャーが攻撃する時、各プレイヤーは自身の手札を1枚捨てる。
革命2-自分の手札から闇のクリーチャーを捨てた時、自分のシールドが2つ以下なら、そのクリーチャーをバトルゾーンに出す。

ビックリーノ 闇文明 (5)
クリーチャー:マフィ・ギャング/スペシャルズ 5000
このクリーチャーが攻撃する時、相手は自身の手札を1枚選んで捨てる。
相手が「S・トリガー」を持つカードを使った時、このクリーチャーを破壊する。
自分のターンの終わりに、相手のクリーチャーがバトルゾーンに1体もなければ、このクリーチャーを自分の墓地からバトルゾーンに戻す。

キル・ザ・ライブが場に出ている状態で《デビル・ドレーン》などで手札に加えたシールドをこのカードで全て捨てれば、一気に大量の闇属性クリーチャーが展開できる。
ビックリーノは先攻1ターン目にこのクリーチャーを召喚すればほぼ確実にリアニメイトできる。

かなり状況を選ぶロマンコンボであることは否めないが、このカードにもきっちりと役割があるのである。
どんなカードでも存在している限りクズではない、必要とされるものなのだ。

それに別のカードゲームのように手札ゼロから満足するカード群も出るかもしれない。

ストレージで見かけたらそのようなカードが出ることを願い、使ってみてはいかがだろうか。



追記・修正はゴミの中で腐りながらお願いします。


















































3(グリ)

2(ドゥ)

1(ザン)


零龍(ゼーロ)


さて、茶番はこの辺でいいだろう。

このカード、2019年の終わりに突如大暴騰
その後2020年7月1日付で殿堂入りとなったカードである。

その理由はこのカードの特性と何もかもが噛み合った、たった一枚のカード《零龍》誕生(卍誕)したからに他ならない。

滅亡の起源 零無(ゼロム) MSZ 闇 (マナコストなし)
零龍の儀
ゲーム開始時、このカードと異なる4種類の零龍星雲をリンクせずにバトルゾーンに置く。
ゲーム開始時、相手はもう1枚カードを引く。
零龍カードはバトルゾーンを離れない。
零龍卍誕:自分の4枚目の零龍星雲をこのカードとリンクした時、5枚全部を裏返して1体のリンクしたクリーチャーにする。

手札の儀 MSZ 闇文明 (マナコストなし)
零龍星雲
自分のターンの終わりに、手札が1枚もないプレイヤーがいれば、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、GR召喚する。

墓地の儀 MSZ 闇文明 (マナコストなし)
零龍星雲
カードを自分の墓地に置いた時、自分の墓地にカードが8枚以上あれば、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、相手のクリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーを-3000する。

破壊の儀 MSZ 闇文明 (マナコストなし)
零龍星雲
クリーチャーが破壊された時、このターン中、他に2体以上破壊されていたら、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、闇のカードを1枚、自分の墓地から手札に戻す。

復活の儀 MSZ 闇 (マナコストなし)
零龍星雲
カードを自分の墓地からバトルゾーンに出した時、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、自分の山札の上から2枚を墓地に置く。


零龍(ゼーロン) MSZ 闇 (0)
零龍クリーチャー:マスター・ドラゴンZ 0
ワールド・ブレイカー(このクリーチャーは相手のシールドをすべてブレイクする)
このクリーチャーが零龍卍誕した時、そのターン、相手のクリーチャーすべてのパワーを0にする。
このクリーチャーは、パワーが0以下の間バトルゾーンを離れず、すべてのバトルに勝つ。
このカードがバトルゾーン以外のゾーンにあれば、自分はゲームに負ける。


DMRP-12 「超天篇ガチャレンジ・シリーズ 第4弾 超超超天! 覚醒ジョギラゴンvs.バーサス零龍卍誕」にて登場した超天篇のラスボスたるマスター・ドラゴンZ
4つの儀式をクリアする事で卍誕するゼロの化身たるドラゴンである。

そして、このカードの儀式のクリア条件とギャスカの効果がガッチリとかみ合うことが判明してから、一躍このカードは注目を浴びることとなった。

下記が詳しい特性である。

・手札の儀

零龍の儀式の一つである《手札の儀》だが、デッキによっては達成が難しい傾向にある。相手をハンデスさせるのはもちろん、自分の手札をゼロにするにもデッキによっては難しい。
普通にデッキを使えば序盤は1ターンにマナチャージ1枚、低コストのクリーチャーを召喚するので1枚、と速攻デッキでもない限り1ターン合計2枚程度の手札しか消費することしかできない。
しかしギャスカは先述した通り、1ターンで、かつ1マナで一気に手札をゼロまで持っていくことができ、《手札の儀》の効果でGRクリーチャーを一体出すことで、最速1ターン目から2体のクリーチャーを場に出すことができる。
でも結局手札ゼロになってるからジリ貧になるんじゃね?と思うだろうが、そこで墓地から復活できるカード達の出番である。

・墓地カードとの相性

ステニャンコ UC 闇文明 (2)
クリーチャー:ファンキー・ナイトメア/侵略者 1000
スレイヤー
自分のターンのはじめに、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、自分のクリーチャーを1体破壊してもよい。そうしたら、このクリーチャーをバトルゾーンに出す。

暗黒鎧 ザロスト UC 闇文明 (4)
クリーチャー:ダーク・ナイトメア/革命軍 3000
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃できない。
自分のターンのはじめに、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、自分のシールドをひとつ墓地に置いてもよい。そうしたら、このクリーチャーをバトルゾーンに出す。

暗黒鎧 ダースシスK VR 闇文明 (5)
クリーチャー:ダーク・ナイトメア/イニシャルズ 5000
このクリーチャーの召喚コストを支払う時、かわりに自分のクリーチャーを1体破壊し、自分の山札の上から1枚目を墓地に置き、自分の手札を1枚捨ててもよい。
このクリーチャーが召喚によってバトルゾーンに出た時、このクリーチャーと同じ名前のクリーチャーをすべて、自分の墓地からバトルゾーンに出す。

偽りの名 ドレッド・ブラッド P 闇文明 (7)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ/アンノウン 9000
自分のターンのはじめに、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、自分のクリーチャーを2体破壊してもよい。そうした場合、このクリーチャーを自分の墓地からバトルゾーンに出す。
W・ブレイカー

卍∞ ジ・エンデザーク ∞卍 SR 闇文明 (7)
オレガ・オーラ:ドラゴン・コード/ドルスザク/マフィ・ギャング/デリートロン +4000
これを付けたクリーチャーに「パワード・ブレイカー」を与える。(「パワード・ブレイカー」を持つクリーチャーは、そのパワー6000ごとにシールドをさらに1つブレイクする)
罪・無月の∞罪:自分のターンのはじめに、これが自分の墓地にあれば、自分のクリーチャーを2体破壊してもよい。そうしたら、このオーラをバトルゾーンに出す。
これをクリーチャーに付けた時、コスト7以下のオーラを1枚、自分の墓地から選び、そのクリーチャーに付ける。
オレガ・オーラ:これを自分のGRクリーチャー1体に付けるか、1体GR召喚してそれに付ける。そのクリーチャーがバトルゾーンを離れたら、これも同じゾーンに行き、その後、そのGRクリーチャーは自分の超GRの一番下に戻る。


零龍の儀はあと三つの儀式が残っているが、うち《復活の儀》は前に紹介したビックリーノの他にも優秀なリアニメイト効果を持つカード達が存在しているので達成は容易。
さらに以上にあげたカードのうち、ステニャンコ、ドレッド・ブラッド、ジ・エンデザークの効果は場のカードを破壊して復活する効果であり、破壊の儀の達成にも貢献できる。
ザロストは破壊こそ発生しないが、シールドを一枚墓地に送ることで《墓地の儀》の達成に貢献することができる。
《復活の儀》は達成すれば墓地のカードが二枚増えるので、他のカードと併せて《墓地の儀》の達成を早められる。

以上にあげたカード達と、他の低コストの墓地肥やしカードを絡めた【零龍ギャスカ】は零龍の情報が公開されてからすぐに話題になり、1枚10円以下のストレージのカードが1枚数千円以上、売り切れ続出という空前絶後の大暴騰に至ったのである。
そして零龍が発売して後に実際にこのデッキが大会で使われたわけだが、いくつかの公認大会でこれらのデッキ群が優勝。このカードの価値と地位をさらに高めることとなった。
以下、このデッキの主な動きである。


・【零龍ギャスカ】の主な動き


もちろん初手によってはこれらの動きに違いが出ることもあるが、ここではその中でも理想的な動きを紹介する。


1ターン目 マナチャージ、ギャスカ召喚。ステニャンコ、ダースシスK、エンデザークを墓地に、手札の儀達成。GR召喚。《シニガミ 丁-四式》を場に。場にはギャスカとシニガミの2体。墓地3枚。

2ターン目、ギャスカを破壊し墓地に送られたステニャンコを蘇生。復活の儀達成。2枚をデッキ上から墓地に。墓地5枚。
クリーチャー2体を破壊しジ・エンデザークを蘇生。破壊の儀達成。さらにシニガミの効果で墓地を二枚増やす。ダースシスKを手札に。墓地6枚。

ドロー。

場のジ・エンデザーク、手札、デッキの上を墓地に送りダースシスK召喚。墓地9枚。墓地の儀達成。相手クリーチャー1体(居ればだが)のパワーマイナス3000。
全ての零流の儀を達成、零龍卍誕
零龍でワールドブレイク。

3ターン目、零龍でダイレクトアタック、ゲームエンド。

実際には1ターン目でギャスカを引けなかったり、GRクリーチャーや捨てる手札の質が悪かったり、相手のS・トリガーに足止めされることもあるだろうが、僅か2、3ターンで相手のシールドを全てブレイク。しかも自分の場には超大型クリーチャーが君臨するという事態になる。
《一なる部隊 イワシン》、《ブラッディ・クロス》などの墓地肥やしカードを駆使すればさらに効率的に零龍の儀式の達成が可能。
少々言い方が悪いが、文字通りストレージというゴミの山の中のカードの一枚でしかなかった彼が、のちに出たカードによって凄まじい価値がつけられるという大出世劇を繰り広げるとは、凄まじいロマンを感じるものである。

・余談


流石に今はほとんどがストレージから姿を消しているだろうが、稀にストレージの中からひょっこりと姿を表したとの報告もいくつかある。もし見つけたら大切に保管しよう。
え、そのまま売っぱらえって?それじゃあロマンがないでしょうが

また、零龍が発売される前にゲーム開始時にバトルゾーンに存在させるカードは1セットのみとなる事が設定され、ドルマゲドンなどとの併用は不可能になった。
まあ普通に零龍を使う分には基本的に無関係なこのルールであるが、とあるルールにおける零龍の暴走を阻止するためであったのではないか?とも推測されている。
そのルールというのが他でもない、殿堂ゼロデュエルである。
そしてそのルールで考案されていたコンボというのは零龍の儀の効果を4倍にするという凄まじいものであった。


この荒唐無稽なコンボを上回るには、初手ラッキーダーツ+オールデリートからの禁断解放くらいしかない。
しかもそっちよりはるかに安定性に優れる
なにせ1ターン目か2ターン目にギャスカかラピスラズリを召喚すればいいだけなのだから。
しかも、滅亡の起源 零無 を場に残しておけばたとえ《ケッシング・ゼロ》などを使って零龍の効果を無効化したとしても、零龍カードは場を離れないため敗北はしないという驚異の耐性をつけることだって可能であると考えられる。

しかもテキストの解釈の仕方によっては手札の儀x4をリンクさせて1ターン目から零龍卍誕というもはや理不尽という言葉すら生ぬるいコンボすら可能かもしれなかった。

このコンボはルール改定によって零龍が生まれる前から消滅し、殿堂ゼロデュエルの環境は守られた。
元から環境なんてあったもんじゃない?いえいえ、あれでも結構環境は保たれているんです

まあこのルールの改定の目的は場のカードが増えすぎてデュエルに支障をきたすのを防ぐため、というのが目的なのであろうが。
【零龍ドルマゲドン】は犠牲になったのだ・・・。



追記・修正は手札をゼロにしてからお願いします。

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最終更新:2025年03月15日 02:03

*1 ギャスカと違ってまじで「手札を捨てる」以外の効果もメリットもなく(一応相手ターンに好きなタイミングで打てる効果もあるが、だからなんだってんだよ…)、開発者からすら「ユーザーが自然と使い方を見いだせないカードで、ゲームデザインとしてよろしくない(意訳)」と失敗作扱いである