サウザー変異体(Myo31DF souther)

登録日:2010/04/07 (水) 03:04:44
更新日:2024/11/30 Sat 18:26:01
所要時間:約 4 分で読めます




世界が核の炎に包まれた199X年。
世紀末の世界を制覇せんと、その権力を持って人々を支配する男、聖帝・サウザー
彼の非道な行為に怒りを覚えたケンシロウはサウザーに立ち向かう。
南斗聖拳最強である帝王の拳・南斗鳳凰拳に苦戦するも、見事にサウザーの秘孔を突く事に成功する。

ケンシロウ「秘孔の中で最も破壊力を持つ必殺の秘孔『人中極』を突いた。お前の命はあと3秒だ。」
サウザー「3秒?フハハハハハッ!!おもしろい、ならばその3秒オレが数えてやろう。ひとーつ、ふたーつ、みーっつ!!」

だがサウザーの体は何ら変化を見せない。
呆気に取られたケンシロウは更なる攻撃を受ける。

ケンシロウ「バカな……確かに秘孔は突いたはず……。」

再びスキを見ては秘孔を突くものの、サウザーには一切通じない。

サウザー「フハハハハ……効かんなぁ!」

サウザー「貴様はこの体に流れる帝王の血に負けたのだ!!」

ケンシロウ「そんなはずが……」

秘孔を突く北斗神拳が全く通用しないサウザーになす術無く、ケンシロウは敗北してしまう。


これが北斗の拳の登場人物、聖帝・サウザーの特異体質である。


予備知識として解説しておこう。

上記のサウザーの身体の謎は心臓等の内臓が逆、更には秘孔の位置も表裏反対と言うものである。
秘孔は兎も角これは現実にも有り得る事である。

まず人間の体内はアシンメトリーである。
心臓や肝臓等の臓器のほとんどは一つしかない為である。
胃は右側に曲がり、大腸も時計回りに配置されている。
それは人間にだけでなく、多くの生物も同じ事が言える。
要は臓器をかためて配置するより、左右に振り分けた方が効率が良い為である。
そしてただ適当に分けるのでは無く(片寄らないために)細胞が振り分けるのである。
その結果、決まった位置に配置するのが良い、と言う結論にいたる為心臓等の位置は皆同じなのだ。


では何故そのような現象が起きるのか?

解りやすい様に解説しよう。
人間を含むほとんどの生物は3つの軸により構成されている。
前後軸(二足歩行動物の場合は頭から足まで)、背腹軸、左右軸の3つである。
3つの内、前後軸と背腹軸は簡単である。
卵子の段階で、細胞があるのが前、卵黄が有る所が後になる。
そして精子が入ってくる面が腹、逆が背中に当たる。
その後、様々な遺伝子の機能が働いて身体が構成されていくのである。


さて、では左右軸はいかにして決まるのか?

解りやすいマウスで例えるなら、
マウスの場合受精後、約7日目の胎児のヘソの辺りにノードと言う三角形のくぼみがあり、そこが左側だけで機能すべき遺伝子を制御しているのだ。
そしてノードと言うくぼみの中には繊毛という毛が生えているのだが、その繊毛が自ら回転し、羊水を右から左に運んでいるのである。
その繊毛が分子を左に運んでいる為、特定の遺伝子が左のみで活動するように仕組まれているのだ。
だが極稀にマウスの中にこの繊毛が存在しない変異体がおり、その個体の内臓配置は逆になっている。
それと同じことが人間にも言えるのだ。
即ち「発生初期の繊毛の運動によっておこる体液の流れが左右の違いを作る」というのが、左右決定の通説になっていた。

だが近年それに加えて、ショウジョウバエという蠅で、腸が左右逆になっている変異体を見つけ、その蠅を解析した結果、Myo31DFという遺伝子に変異があり、その為ミオシンというタンパク質が機能してないことが分かったのである。
このミオシンが機能しない変異体で腸の逆位が起きるということは即ち、ミオシンが左右決定に関わっている、そしてその変異体では腸が左右逆になる。
画期的な発見であった。

さて、それを発見をした科学者は当然論文を発表するわけだが、その際に変異体の名前をつけて論文を書かないといけない。

もうお分かりだろう。
その時発見した日本の研究チームは、その変異体の名をサウザー変異体としたのだ。
(実際の論文ではMyo31DF southerとなっている。)


こうして聖帝・サウザーの名が全世界に広まったのである。
そんなうそみたいなほんとのはなし。

発見者の名前でもなく、他の単語でもなく、その事例を持つ漫画キャラの名をつけた素晴らしきオタク大国ニッポンに乾杯……
と言いたい所だがまあ、実の所他の国でも似たような事はやってる。


ブラック・ジャックを始め医者漫画ではよく出てくる事例であり、その度に医者たちの頭を悩ませている。
実際一刻を争うような緊急手術で開いてみたら逆側だった、というのは本当にシャレにならない。
しかし左右逆だったために急所を外したというネタもちょくちょくある。まあ脳天を撃ち抜けば関係ないんだけどね。


なお、完全な内臓逆位であれば機能的には健常者と変わらず何も問題はないが、心臓だけなど一部の臓器だけといった場合は非常に危険な場合もある。
血管と内臓がきちんと繋がっていなかったり、逆に無理矢理繋げようとしてこじれたりしているため、運動制限や場合によっては手術をしなくては助からないといった事態に陥る。
これらは「内臓錯位」と呼ばれ、逆位とは区別されている。





ケンシロウ「秘孔の中で最も破壊力を持つ必殺の秘孔『編集孔』を突いた。お前はあと3秒で追記・修正をする。」

サウザー「3秒?フハハハハハッ!!おもしろい、ならばその3秒オレが数えてやろう。ひとーつ、ふたーつ、みーっつ!!……フハハハハ!!効かんなぁ!」



キュピーン!
ピシャーンピシャーンピシャーン…
ピシャァァァァァァン!!

サウザー「俺の体の謎を!」

ケンシロウ「天破活殺」
ケンシロウ「愛は滅びぬ!!」



サウザー「ちねーい!!」

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最終更新:2024年11月30日 18:26