賢者の弟子を名乗る賢者

登録日:2020/05/14 Thu 19:41:58
更新日:2024/11/06 Wed 13:00:36
所要時間:約 6 分で読めます





『賢者の弟子を名乗る賢者』とは、りゅうせんひろつぐ氏が小説家になろうにて掲載している小説作品。通称「わしかわ」。
書籍版のイラストは藤ちょこ氏。
すえみつぢっか氏による漫画版も『コミックライド』(マイクロマガジン社)にて連載中。
この漫画版、元々書籍版1巻分で終了の予定だったが、好評だったためその後も続刊している。
それらの評判を受けてか、アニメ化の制作が決定し、「元永慶太郎」監督や「studio A-CAT」アニメーション制作等の下、2022年の冬に放送する事が発表された。

特色としては、書籍版ではWeb版から大幅に加筆される傾向がある(具体的にはweb版の1章分相当はある)。
例えば漫画版1巻にも出てきた「アーマードジープ」関連のネタはWeb版では入っていなかったエピソード。
本作と転スラが好評だったせいか、GCノベルズ刊行の作品はweb版から比較的加筆量が多くなる傾向だとか。
ちなみに、加筆といっても主にWeb版には存在しないキャラのせいで細かいところが色々異なっているというレベルの改訂ではなく
本作の加筆は「web版で拾いきれなかったネタの回収」と言ったところ。

概要

ゲームの世界が現実化してプレイ中に閉じ込められたタイプのオーソドックスな異世界転移/転生ジャンル作品。
主人公が自身と同じくこの世界に転移しているであろう(後述)かつての仲間である九賢者を探して世界各地を旅する冒険物。

九賢者が築いた国と他国との停戦条約の期限が来年に迫っているため、戦争に備え他の九賢者を探しに行く
というのが主人公の旅の目的。
……なのだが、条約が切れたら即戦争という空気でもなく、それ以前に悪魔による世界の危機だの非合法組織の暗躍などの方が劇中でピックアップされている始末。
そんな訳で本作は、ゲームプレイ時から様変わりしている世界を気ままに旅する&トラブルに巻き込まれる(もしくは首を突っ込む)主人公による旅情ものの趣きが強い。
基本的には一人旅だが、旅先で出会った冒険者や主人公の召喚する精霊と一時的なパーティを組んでダンジョン探索や事件解決に乗り込んでいる。

主人公は『熟練の老賢者のロールプレイをしていた男が自分の趣味を追求した美少女アバターで転移してしまう』というTSキャラに分類される。
TS+異世界転移/転生ものは「現実世界の人柄があまり反映されていない」「主人公一人の転移だとリアクションする人がいない」等の理由で良くも悪くもマイルドなため
TS愛好家からは物足りなく感じる事が多いが、
本作の主人公はあくまでもゲーム内の老賢者キャラを徹頭徹尾貫いているため疑似的な「のじゃロリ」として見れる部分や、(広義の集団転移ものなので)主人公をよく知っている他プレイヤーには割と正体バレバレだったりする、
それでいてフェチズムを感じる描写もさりげなーく挟みこまれているなど、ライトとディープの程よい境界に位置しているのがポイント。

ちなみに九賢者だが、2020年5月現在(書籍版は12冊)、いまだに全員は登場しておらず、また再開できたものの事情があって国には戻れないメンバーも多い。
幸い、出会ったメンバーには連絡手段を渡せたのでいざという時は召集を掛けられるようにはなったのだが。

舞台

基本的には現実化した世界であり、NPC等も完全に一つの生命となっているのだが、アイテム収納用のアイテムボックス等のゲーム機能は一部残っている。
アイテムボックスは廉価版の存在が広く冒険者に使用されている等、ゲーム時代の機能は魔法の一種という扱いになっている。
ただし運営とのアクセス機能*1は使用できなくなっており、一部の機能が残っただけの異世界転生に近い状態。
フレンド機能についてはチャット機能は使用できず、一覧としてログイン状態(この世界に実体化して生存しているかどうか)のみが見れる。
実体化の当日にプレイしていたプレイヤーはまとめて実体化したようで、時期はバラバラなものの*2かなりの人数がこの世界に実体化している。
元プレイヤーは不死ではないが不老のようで、一般人(元NPC)と違い年月が経っても老けない。
それを怪しまれた為、当時のプレイヤー達で相談して「天人族」という見た目が変わらない種族という事で通している。

あらすじ

老練の賢者様が美少女に大変身!?

VRMMOで、九賢者の一人という渋い召喚士「ダンブルフ」としてプレイしていた咲森鑑(さきもりかがみ)は、ゲームの世界へと飛ばされてしまう。
しかも可憐な少女の姿となって。
このままでは賢者の威厳が失墜してしまう!
そう考えた咲森鑑ことダンブルフは、賢者の弟子「ミラ」と名乗るのたが――。
美少女転生冒険ファンタジー、華麗に開幕!
(ノベル版公式サイトより)


主要人物


九賢者とアルカイト王国国王

アルカイト王国建国に携わった9人の魔法使いと聖騎士の国王。
九賢者はそれぞれがこの世界に存在する9つの魔法を極めた存在。


  • ミラ(ダンブルフ・ガンダドア)
CV:大森日雅
物語の主人公。
ガチロールプレイ勢であり、元々は賢者と言われて想像するような長く白い髭の老人だったのだが、期限切れ間近の電子マネーがあったので見た目を自由に変更できる課金アイテム「化粧箱」を購入。
それで自分好みの少女の姿を作って遊んでいたタイミングで寝落ちしてしまう。
そして気づいたらその時に作った姿で、この世界に転生していた。
「化粧箱」は使用済みでなくなっており、課金アイテムである為に仲間の「化粧箱」も譲渡不可。
結果この姿でいるしかなく、有名な老賢者がこんな有様になったなんて(本人的にも国の威信としても)到底言えないので、ダンブルフの弟子ミラを名乗っている。
ちなみにミラは現実世界の本名が「咲森鑑」なので「鑑→鏡→ミラー→ミラ」と変形させたもの。
ちなみに中身は男のままなので女性同士の裸の付き合いも男性目線で楽しんでいる……ので、余計に正体をばらすわけにはいかなくなった。
でも勘のいいプレイヤー勢には割とバレている

喋り方は賢者時代のままなので、一人称は「わし」。
序盤で姿見相手に「わし、かわいい」という発言をしたために、そのまま「わしかわ」がこの作品の通称になってしまった。
銀髪でやや幼めの外見に老人喋りが相まって上述の通りキャラ付けは「のじゃロリ」に近い*3

ゲーム時代には「軍勢のダンブルフ」と呼ばれた召喚術の使い手。
「軍勢」という異名の通り多数の精霊を召還して一人で軍ともいえる戦力を作り出して戦っていた。
召喚術士の弱点である本体への攻撃対策もあって、仙術(いわゆるモンク職)もサブの職業として鍛えており、そちらもかなりの技術を持っている。

召喚術が現在では使用者を増やすのに難航している事もあって世界的に研究が進んでおらず、評価が低くなっている事には憤りを感じており、召喚術の世間評価の向上も旅の目的の一つ。
一応「召喚術の凄さを広める」という目論見自体は成功しているのだが、ミラが自重しすぎないせいで逆に現在の一般的な召喚術士を見てしょぼく感じるという弊害も起きている。何事も段階と順序はダイジ。
途中でその事にも気づいたようで、召喚術で作った屋敷に人だかりが出来た時は一般的な召喚術士に出来る事を説明しながら召喚術士の有用性をきっちり宣伝していた。

仲間を集める為に各国を回る際に遭遇した事件を解決していった事で、ミラとしての名声も高まっており、とある大きな事件をきっかけに現在は「精霊女王」と呼ばれている。

ドラマCD化したときのキャストは丹下桜であり、ブログで復帰後の代表役である女体化偉人と今でいうバ美肉染みた行為をリアルでやっちゃった美少女錬金術師とを比較していた。ただ、細かく分析すると共通項はナルシストな面ぐらいだったする


ちなみにどういう訳か、特に前触れもなく尿意イベントが度々挟まれている
転移したての頃に、拭くものがなかったのでうっかり毒のある花びらを使ってしまい後でえらい目に遭うなんて珍事があったり。

  • ルミナリア
CV:日向未南
天災のルミナリア」と呼ばれる魔術士。
魔術士はいわゆる魔法使いと言われて想像する各属性の攻撃魔法の使い手。
物語開始時点で唯一アルカイト王国に残っていた九賢者。

MMO時代からのネカマであり、見た目は美女だが中身は男。
なのでミラやソロモン相手だと普通に一人称が「俺」になる。
転生後は「女としての体」を満喫した変態
最初は主人公の事も自分と同じ趣味に目覚めたと思っていた。

スピンオフの『賢者の弟子を名乗る賢者〜マリアナの遠き日〜』では女性らしいロールプレイをちゃんと出来ていたので
やはり気を抜ける相手以外ではこの挙動を起こさないように努力している模様。

  • ソロモン
CV:村瀬歩
ミラたちの仲間でアルカイト王国の国王。
ゲーム世界が現実化した後も国王として国を支えているが、元々ただの一般人だったので国王としての仕事に苦労している。
国の防衛の為にも行方不明になった仲間である九賢者の行方を探しており、九賢者の出現はフレンド機能でずっとチェックし続けていた。
最後に現れたミラ(ダンブルフ)がアルカイト王国を訪れた事でルミナリアに続く二人目との再開となった。

冒険者としての職業は聖騎士という盾で守る職業だが、主な戦い方は盾を使わず属性を付与した剣による攻撃。
それでも仲間を守るという仕事はきっちりこなしており、一部の聖騎士職からはあこがれの存在となっている。

  • ソウルハウル
巨壁のソウルハウル」と呼ばれる死霊術士。
死霊術士はネクロマンサー的な死霊の扱いに加え、ゴーレム等の無機物操作も可能。
死体の愛好家であり拠点にしていた場所には大量の死体が保管されており傍目にはホラーにしか見えない。
ソロモンより先にこの世界に来た古参で、現在はある女性を助ける薬を作成する為に世界中のレアな素材集めをしている。
真っ先に痕跡を発見した九賢者だが、その痕跡から各地を巡る事になった為、実際に出会うのはかなり時間がかかる事になった。


  • ヴァレンティン
影絵のヴァレンティン」と呼ばれる退魔術士。
昔は黒い包帯を体中に巻き付けた中二病全開の姿だったが、現在はスーツ姿にサングラスという別の意味で中二病全開の姿をしている。
悪魔が本来は人類の味方であるという真実を知って、各地の悪魔を本来の姿に戻すべく旅をしている。
Web版では未だに未登場。


  • メイリン
掌握のメイリン」と呼ばれる仙術士。
ミラの項にもあるように仙術士はいわゆるモンクタイプであり、格闘とそれを補助する術の使い手。
その為、「賢者」の一人ではあるが戦い方は完全に前衛職。
「アイヤー」「アルヨ」といった喋りをするテンプレチャイナ娘。
強さを求めて自身の名前を隠して旅しており、ミラとは何度かすれ違っている。
ミラが「精霊女王」と呼ばれる事になった「キメラクローゼン」との大規模決戦にもミラとは別の場所で戦っていた。
考えなしに感情的に行動する所があり、歩き方でミラ=ダンブルフと判別する等、獣染みた印象が強い。


  • カグラ
七星のカグラ」と呼ばれる陰陽術士。
性格的には真面目寄りの割と普通の女子高生。
この世界に来た時に出会い助けてくれた精霊が精霊狩りの被害に遭った事で、精霊狩りに対抗する組織「五十鈴連盟」を作り上げ、精霊狩りを行っていた「キメラクローゼン」に対抗していた。
ミラと再会しキメラクローゼンを壊滅させたことで、ミラが探し始めてから初めてアルカイト王国に戻れた九賢者となった。
ただキメラクローゼンとの戦いが国家レベルの陰謀に発展したので、後処理も結構残っており、普段はアルカイト王国から遠い「五十鈴連盟」にいるのだが…。
事件後は何かあればすぐ戻れるようにと自分と入れ替え可能な式神をアルカイト王国に常駐させている。

  • アルテシア
相克のアルテシア」と呼ばれる聖術士。
リアルで流産した事もあって子供を非常に大事にしており、リアル化した世界で目が覚めた後はその近くで孤児院を経営していた。
悪党退治に励んでいたラストラーダと出会ってからは行動を共にしている。

  • ラストラーダ
奇縁のラストラーダ」と呼ばれる降魔術士。
ヒーローオタクでありリアル化した後も素顔を隠して悪党を倒しながら世界を回っていた。
その過程でアルテシアと再会してからは孤児院を拠点にしている。
「怪盗ファジーダイス」として人身売買組織を潰すために動いている際にミラと再会する。

  • フローネ
超常のフローネ」と呼ばれる無形術士。
九賢者で唯一魔法職ではなく、暗黒騎士という騎士職。
無形術は魔力さえあれば職に関係なく使用できる術であり、魔法職でもないのに九賢者と呼ばれる程に無形術を極めた存在。

アニメ版

studio A-CATによるアニメ版が2022年1月より放送開始。
監督は元永慶太郎。
第1話はBパートまでオリジナルの内容でダンブルフ時代の活躍を描いており、Cパートは原作序盤の内容を無声で駆け足気味にアニメ化した事で主に悪い意味で話題になった。
2話からは原作に沿って普通にアニメ化している。

余談

GCノベルスの公式サイトが2019年に大幅リニューアルされ、アニメやゲームソフトの公式サイトのような見た目となった。




追記編集はMMOのキャラを自分好みの美少女にしてからお願いします。

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最終更新:2024年11月06日 13:00

*1 問い合わせや、課金アイテムの購入、ログアウト等

*2 例えば主人公はプレイしていた時代から30年後に現れた。

*3 ちなみに、本作や同時期の「おんらいん こみゅにけーしょん」などの影響で「小説家になろう」のTSキャラは銀髪ロリが妙に多い。ミラは体型的に「ロリ」というか「少女」の範疇なのだが