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異世界モノ

登録日:2016/08/17 Wed 13:40:42
更新日:2026/08/19 Wed 11:46:29
所要時間約 122 分で読めるとは、いい度胸してるな貴様らァッ!!


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Isekai SF あの親に生まれてきた時点で人生詰んでる女 おもしれー女のバーゲンセール おもしれー女の万国博覧会 おもしれー女の見本市 できないことが、できるって、最高だ……? できないことが、できるって、最高だ。 もしも…身勝手な自己中性悪女が乙女ゲームの正統派ヒロインに転生してしまったら? アニメ カクヨム ゲーム ナーロッパ ファンタジー ライトノベル 令嬢 創作 小説 小説家になろう 怪物の心を持った人間達 悪役令嬢 所要時間120分以上の項目 所要時間30分以上の項目 所要時間60分以上の項目 所要時間90分以上の項目 敵も味方も異常者ばっか 残念な美人の万国博覧会 残念な美少女のバーゲンセール 毒者 毒親の被害者 汚い大人の見本市 漫画 濃すぎるキャラクター性 濃すぎるキャラクター達 異世界 異世界モノ 異世界転生 異世界転移 誰より愛情を渇望していた女 貴族 転生ヒドイン 追放モノ 運命を狂わされた女 運命を狂わされた男 運命を狂わせた女 運命を狂わせた男




フェイク 貴様を宮廷から追放する


なんで(ミミリア)に一目惚れするはずだったエディアルドが他の女(クラリス)とくっついてんのよ

その笑顔は(ミミリア)に向けられるものじゃなきゃイヤ!
こうなったら無理やりエディアルドとの出会いを作るしかない!



異世界モノ(異世界もの)とは、狭義やアニヲタ等の認識上は「読者のいる地球とは別の世界に移行する主人公の物語」を指す。

※本項には否定的かつ攻撃的な見解(というより喧嘩腰なツッコミ?)の文章が多大に含まれています。
見る人によっては不快に感じてしまう可能性が高いので、その場合はすぐに記事を閉じて下さい。


【概要】

字面に反し、狭義の「異世界モノ」には
「読者・視聴者が感情移入できる様な現代地球に近い価値観・思考回路・視点を持っているキャラが中心におらず、
別の常識が支配する異世界そのもの『のみ』の日常と戦いをひたすら描く」作品は含まれない。
現実と地続きでない異世界である事のみを分類する言葉としては、「ロー・ファンタジー」に対する「ハイ・ファンタジー」がある。

ジャンルにおいて、広義の意味での「異世界」は文字通り「異なる世界」であり、
ファンタジーとしての別世界や、量子論等を用いてパラレルワールドとして説明したり、
「惑星冒険もの」「仮想空間(データ世界)」等も含まれて述べられる事もある。

このページの項目でも多数の例が挙げられているが、原型としてはSF小説や藤子・F・不二雄の時点で完成されている。
地球ではパッとしない野比のび太が違う世界や惑星で大活躍する『ドラえもん』は転生モノの要素として分かりやすく、
ここに『ロードス島戦記』や『スレイヤーズ』、DQやFFといった日本産ファンタジーの要素を加えたものが異世界創作の核となっている。
それゆえ海外産ファンタジーの様に「醜いエルフ」や「犬猫を食う文化」等は世界観に採用されない。

元の広義の「異世界モノ」はジャンル横断的な概念だが、狭義の「異世界モノ」という言葉はライトノベルや「小説家になろう」といった小説投稿サイトに2010年代ごろから雨後の筍の様に増えた下記の様な特徴を持つ形式を指して発祥した。
  • 現代の日本(と言っても作品世界ではあるが)に住む人物が、異なる環境を持つ世界へ転移/転生する
  • その世界では転移した人物の持つ(現代日本では評価されない、または当たり前の)特技が珍重されたり、転移/転生にあたって特別な能力を得る
また、例外もあるが転生する先はジークジオン編(SDガンダム外伝)大貝獣物語の様にファンタジー(あるいはRPG(ロールプレイングゲーム)的な)世界に召喚されるものが主流。
世界観についても、細かな差異はあれどおおよそテンプレートなもの(例えば「剣と魔法の世界」等)が多い事も「(狭義の)異世界モノ」と言われる理由となっている。

また、「なろう」系作品については転移より転生の方が圧倒的にポピュラーであったため、慣用的に「(狭義の)異世界モノ」と言った時にナチュラルに転移を省いて転生に限定される事がしばしばある事も留意されたし。
さすがに極端な表現であるため、本項目ではあくまで転移と転生の両方を「(狭義の)異世界モノ」として説明する。

こうした事情もあるので日本国外でも日本語そのままの名称で広まっている。
英語等のラテン文字圏ではIsekaiと表記し、意味も日本的な異世界モノに限定して使われている。

ここでは広義の概念的意味も含めて記述する。


【異世界モノの特徴】

◆ジャンル

惑星冒険もの

「火星のプリンセス」(1917)は「南軍の騎兵隊大尉ジョン・カーターの意識が火星に転移して、現地の火星人と戦ったり、王女のデジャー・ソリスとラブロマンスしたりする」という物語。
場所は同じ太陽系内の惑星だが、性質はファンタジー異世界転移モノと極めて類似していると言える。
また「低重力惑星ゆえに無双できる」という、下記のMARやドラえもんのネタの祖先でもある。

ちなみにwikipedia本家では上記は「惑星冒険もの」と呼称されていると記載があり
剣と魔法のファンタジーとは細かく識別されている一方、初期の路線(つまり元来の惑星冒険もの)を模倣したものが
『「剣と魔法」をもじった「剣と惑星もの」』『「ホースオペラもの」をもじった「スペースオペラもの」』というサブジャンルとして呼ばれる様になっていった等、「剣と魔法のファンタジー」との類似性も指摘されている。

SFジャンルにおいてはヘンリー・ライダー・ハガードの小説に代表される様な、白人が秘境等を冒険したり現地人のリーダーとなったりするものがあるが、これも秘境を異世界と見做したものであろう。また、後述の様にタイムスリップして過去の世界で無双する様な展開もある意味異世界モノの一種である。

  • 異世界的異星
恒星間移動が可能な程の高度な文明の軍艦等が、「マナ」が満ち魔法が使える中世的文明惑星に堕ちるといった様な作品がなろうではある程度見受けられる。
そういう意味では現代でも「惑星冒険もの」はなろうテンプレ(なろう等現代日本ラノベ様式のエルフとかが出てくるため)に沿ってはいても、惑星冒険ジャンル自体は完全には絶えていない様である。

仮想空間

ソードアート・オンラインの作中の多くの描写はゲームの世界(現実の人間が作成したプログラム)である。
しかしログアウト不能のデスゲーム化した事で登場人物にとっての生活空間と生存の全てはゲーム世界のそれが担う事になり、ゲームでありながら遊びではなくなっている。
昨今は、この路線を延長し、「現実世界には絶対に戻れなくなり、仮想空間がその人の現実になる」といった、胡蝶の夢の如き導入をするものも多い。
またバーチャル三部作や『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-』の様に、どんでん返しとして「仮想空間、だったはずが……」というケースもある。

そうした「仮想空間と現実との境目が曖昧になる」という性質のSF要素を含む作品は、1984年のウィリアム・ギブスンの小説「ニューロマンサー」に端を発する「サイバーパンク」と呼ばれるSFジャンルの派生と見る事もできるかもしれない。
ニューロマンサーは体内に機械を埋め込む事が日常的に行われる様になった未来が描かれており、倫理観が時代の変遷と共に変化しうる事を暗に示している。
こうした仮想空間も、それが実現可能な世界を生きる人にとってもただの生活の一部、もっと言えば「本当の現実世界」として受け入れられているのかもしれない。

ただ、上記の様な意味合いではなく異世界ものの構文を含む様な作品やパートもある。
例えば上に挙げたSAOも、デスゲームではない後半のアリシゼーション編において《アンダーワールド》と呼ばれる高度な感情すら有したAI達が住む世界へ主人公がダイブしており、地球上には存在しない種類の樹を切り倒して剣にしたりゴブリンをスレイしたりAIの友達と遊んだりその友達の為に戦ったりしている。

これは下記にある「環境」と「人」を含んでおり、異世界性(前述のニ要素を含んでいるという意味)があるパートと言える。
また同じく作品の主幹要素とはなっていないものの、なろう作品ではシャンフロも異世界性が高いゲームを含んだ作品となっている。

シャンフロはSAOで言う所のGGOやALO等の様に表題と別のゲームが作中多数描写されており、そちらに異世界性はほぼない。
そうした要素はメインタイトルであるシャンフロが殆ど担い、高度な演算機構によって発生した高レベルの感情と知性を有したAIをゲーム世界内に生活させ、主人公の砲台になったり楽しく殺し合ったりヘタレていたり色々している。

ただ主幹要素ではないと言った様に、シャンフロの場合はSAOの別タイトルの様にそれだけで単行本になるレベルで他ゲーの描写量が多いため「VRゲー探訪もの」としての側面を持っていたりするが、
表題作や作中プレイヤーが最初に始めたワンタイトルのみでアリシ編やシャンフロ本体の様な設定=人間並みの高度知性のあるAIや歴史を長く詳細にシミュレートされた別世界レベルのゲーム世界を持つ、があるゲームが劇中で遊ばれている場合、ある程度異世界物と構文が近くなる部分がある。
(書籍化タイトルでは「Only Sense Online」「骸骨魔術師のプレイ日記」後者は表題=ゲームタイトルではない、等)

とはいえ平和裏にログアウトが可能な類の普通の日常生活の中にゲームがある場合と、前述の様にガチのログアウト不能系でデスゲなど命の危険を含む要素が盛り盛りの場合とでは描写の重心も変わってくる。
そのためあくまでゲームはゲームという様な風味が強い作品は異世界モノ「構文を含む」だけであり、純異世界モノとは言えない。
シャンフロは(多分恋愛特性とかが)レジギガスとか作者に言われるヒロインちゃんとリアルデートしたり試験問題解いたりしていて、日帰りでも異世界は命が危なくて現実なんだ的な要素もないし、VRゲーではそれに代わってよくあるデスゲ要素も特段ないのである。

純粋にゲーム異世界への意識転移を起こしている作品というと、例えばオーバーロード(小説)は、
主人公が愛したゲームのサ終をゲーム内で迎えようとしたが強制ログアウトが発生せず
それどころか所属ギルドのNPCが自律的に動き出してありえないレベルで高度に言葉を発し始める等する、という始まりとなっている。
ログ・ホライズンは、画面の前でプレイ中にゲーム世界に……という展開なので、VRMMOものにおける
意識電脳化後の転移・転生すなわち「境界線の曖昧化」とはまた違っている。どちらかというと『ふしぎ遊戯』寄りか?


この世と地続きでない世界

ゼロの使い魔」の主人公・平賀才人は現代日本の出身だが、魔法の力によって異世界に召喚されている。
また「この素晴らしい世界に祝福を!」において見ず知らずの他人を助けようとして死亡した主人公・佐藤和真は死後の世界で女神アクアと契約し、異世界へ転移させてもらっている。

この様な場合異世界は単に主人公の知らない世界というだけでなく、元の世界の技術では行ったり見たりする事ができない世界という意味合いも付与される。

後述する「小説家になろう」等の小説サイトで一般に「異世界転移」「異世界転生」と呼ばれるジャンルは狭義には現代の地球から来た主人公とこうした異世界(多くはゲームに出てくる様な西洋風の世界)との関わりを描いているものである。

この様な異世界は多くの場合、古代~中世の西洋世界のどことも言えない大雑把なイメージがベースになって作られている場合が多く、そうした曖昧な世界観を「ナーロッパ(=なろうヨーロッパ)」等と揶揄される事がある。まあ、世の西洋風ファンタジーなんて一部の作り込まれたもの以外は大なり小なりそういう側面はあるのだが……
ヨーロッパ程ではないもののいい感じにエキゾチズムを感じられるという点では日本や中国等も同様にモデルになるケースがあり、特に中国は大規模なスケールで描く事ができる点等から女主人公が后妃となってライバルを蹴落とし、皇帝と恋仲になる「中国後宮もの」が転生(転移)要素のあるなしに関わらず根強い人気を誇っている。漫画においては「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-」の様に世界が変わっても地名の一部が共有されている場合がある。

なので東方Project世界の「幻想郷」や阿部智里の八咫烏シリーズの「山内」の様な、「現代文明からは隔絶しているが、現実世界と同一座標に存在する『隠れ里』」は、一見異世界っぽく見えるし現代日本人が訪れる事もあるが、あまり異世界モノ扱いされる事はない。
但し、ニコニコ動画やpixiv等には「幻想入りシリーズ」というジャンルがあり、クロスオーバーとして他作品キャラが幻想郷に現れてしまうというものがある。例えば「うしおととら」の様な現代人だが妖怪特効武器持ち主人公や強い妖怪が妖怪・異能者としての巫女等が存在する幻想郷でどう立ち回るのか?といった事を描いており、割とこのジャンルは異世界モノと近い側面はある。


悪役令嬢

「悪役令嬢」と呼ばれる作品ジャンルは、死後、元いた世界で嗜んでいた創作物(小説・漫画・ゲーム等)の世界の悪役である貴族や皇族の女性に転生した人物が、後に前世の記憶を取り戻し、前世で獲得した知識を元に、
  • 本来のヒロインとなる女性を蹴落として、王子等のメインとなる人物のパートナーになる*1
  • 恋愛はともかく、悲劇的な結末を回避するため奮闘する
  • 原作を壊さないよう「原作通りの悪役」を演じつつなんとか水面下でバッドエンドを回避しようとする
  • 自分以外の恋愛模様を観察して楽しむ
  • 自分の推しと結ばれるよう努力する
  • 筋書きを無視して第二の人生を自由に生きようとする
  • 本人ではなく使用人や血縁の人物に転生した場合は悪役令嬢を更正させてハッピーエンドに導く
といったタイプの話の事を指す。
その話の特性上、転生する人物のほぼ全てが女性であるが、男女を逆転もしくはBL的にアレンジした「悪役令モノ」等の派生型がある。
創作物の世界がテーマとなるために、後述の様な人工言語等の複雑な世界観を作る必要がないのも特徴の一つ。
もっとも「小説家になろう」で異世界転生・異世界転移作品がランキングで隔離された後は、現地人主人公による転生・逆行例が増加傾向にある。
必ずしも転生・転移・憑依・逆行といった要素を採用している訳では無く、舞台も異世界では無く現実と大差無い現代だったり、主人公が悪役令嬢に憧れる作品もある。

話題は反れるが、この「悪役令嬢」という概念は特にゲーム……乙女ゲームの登場人物とされる事が多い*2のだが、実際には乙女ゲームにこういうキャラはほぼ出てこないのが実情である*3、という曰くつきのジャンルでもある。

なお、本来主人公であるはずの女性は蹴落とすにあたっては「良心の呵責を生じないよう悪人として描く」「逆に敵対関係を解消して良い関係を築く」など振り幅が大きく、また「相手も悪役令嬢と同じ世界からの転生者である」とする場合も多い。

似た様なジャンルに「逆行もの」がある。こちらは先述の「現地人主人公による転生・逆行」に当たり、異世界に行く訳ではない。

東洋系世界観

東洋世界観あんまりないよね、とのコメントが寄せられており、実際ナーロッパという語が出来る程には基本的に西洋系にヒットが多い。
一応、ジャガイモ警察の項に書いたが「薬屋のひとりごと」は原作者が意図してやっている架空中国風世界観であり、あくまで現実中国のパラレルとかですらない。
また中国系かつ”ファンタジー”で大手なら本項で何度も例にも取られる「十二国記」があるし、「彩雲国物語」はアニメになっている。
ファンタジー系の転移もの「ふしぎ遊戯」やリアル寄り架空中華風国家の人々を描いた「雲のように風のように」(原作:後宮小説)等、無い訳ではない。

ただ近年明らかにヒットしたものを指折り数えると薬屋から先がちょっと……となるのはある。

が、これは日本の事情であり、実は中国では実写ドラマ界隈で広義の異世界モノが盛んである。
「花渓記」はヒロインが近世以前の中国っぽい武侠やスーパーパワーとしての「内力」など気功的なものがある世界と現実の中国を行き来する話。
「玉骨遥」は仙人的な存在である神官とそれを死に至らしめる運命とされたヒロインの物語で、国や民族が全く中国と関係ない。あと中国版人魚・魚人の類である「鮫人」がいる。*4
「斛珠夫人」は上注記にある「鮫人が神聖な扱いの作品」でやはり国土等も古代現実中国と違う。

上は少なくとも「LaLaTV等日本でも契約可能なチャンネルで放送している」もので、中国内だけのドラマも合わせるともっといくと思われる。
またこれらは「九州シリーズ」(日本の西南部は関係ない架空の中国風世界)を描いた中国人小説家の作品等、小説類を原作としているケースがある。つまり商業小説でも広義の異世界自国風(この場合中国=東洋風)ファンタジーの芽は存在しているのである。

日本ではなぜ和風日本ファンタジーにヒットが少なめなのかというと、これは単にこの部分の追記者の知識不足がありえるため反例と修正は可能である。
例えば下記にも記載された「春夏秋冬代行者」という作品は2026年にアニメ化された。

その上で仮説を立てるなら、日本人は基本的に「日本は現実の陰に怪異や異能が潜む」という概念を好む傾向はあると思われる。
ガス爆発冤罪剣で誤魔化す「Fate/stay night」や、封絶という一般人に気づかれない空間設定がある「灼眼のシャナ」等が分かり易いだろう。大正時代というある程度以上過去で和風日本に近い傾向かつ近年トップクラスの超大ヒット作ながら「現実に起きている鬼被害を隠蔽する専門部隊がある」という設定で”表立って鬼退治してる公的チームではない”し、それを認めた歴史が異なる国家でもなんでもない日本を描いた「鬼滅の刃」という例もある。「呪術廻戦」や「東京喰種」等、この類のヒット作は枚挙に暇がない。
もっと連綿と受け継がれてきたものなら「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズ等も“現実世界の君の後ろに黒い影”である。あくまでパラレル日本ではない。

日本のドラマ界の話に触れるなら、上記の様などっぷりとしたオタク世界と違う作品でも「DOPE 麻薬取締部特捜課」「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」は”実は異能が存在している中で奮闘する人がいる”という構文であり、要するに東映特撮とかのスタジオでなくてもカネを出されて企画が通っているのはこういう作品なのである、と言える。

歴史が違う日本風国家で~というアレコレなら、例えば「ストライクウィッチーズ」は初代主人公宮藤の属する国は魔女が表立って存在する”扶桑”があり「日本ではない(和名のひとつではある)」ので、こういった世界は「日本そのものではないが日本っぽい国がある異世界」の一種と言っていい。

本項で名が出る「小説家になろう」でも上記の様な”扶桑”的国家ベースの作品はあるし商業作もあるが、書き手がやや分散している感はある。理由として

  • 「戦国小町苦労譚」「淡海之海」等、戦国転移転生の方が先にヒットした(両方とも書籍・コミカライズ有)

というのが挙げられると思われる。そもそも論としては「戦国自衛隊」という超大先輩がいるので、仮想戦記クラスタに近いなど政治・軍事知識がある程度ある人ほど“和っぽい日本みたいなとこ”じゃなく“ガチのノッブがいる日本そのもの”を舞台にしたくなるというのもあるのかも知れない。
ちなみに短めで終わってしまったが、椎名高志の「MISTERジパング」という漫画もタイムトラベルやパラレルワールドを扱った日本戦国ものである。
あとは本項で名の出ている作品なら「信長のシェフ」や、実写映画になった「信長協奏曲」やドラマ化した「JIN-仁-」等、「現実そのものである日本に転移転生しアレコレするタイプの作品」は充分ヒット作や有名作家の作を数えて何本も指が折れる。

この辺を考えると、ヒットの傾向の底にあるのはある程度国民性の違いみたいなものなのかも知れない。


大戦期や大正モノ等を含めるならば、例えば「サクラ大戦」は昔の日本だがスチームパンクで降魔という危険な超存在等がいる設定の”正桜に浪漫の嵐”であり、シリーズやアニメ化がある「マブラヴ オルタネイティヴ」は大政奉還辺りで歴史がごりっと変動しており首都が京都だったりする。
他にもライトノベルの現代ファンタジーものならスク水すらあるような洋装が普通だが異種族が存在し同時に敵視されてきた『大日本帝国』が舞台の『狂乱家族日記』や、”始まりの季節は冬であり、冬しかなかった”というほど根底から世界観が現実と違うがコミカライズ等でガードレールが描かれたり服は和風でもないスタートの『大和』を舞台とした『春夏秋冬代行者』と、いずれも「人物名などは一見日本風だが違う歴史と世界観を持つ国」を舞台とした作品が存在する。
こういった”パラレル”的な変動ものを含めるならばヒット作自体がない訳ではないと思われるが、『秋津洲という国にひとりの侍あり』みたいなノリの作品はナーロッパという語が出来るほどのいちジャンルを形成しているかと言うと、そこまで圧倒的多数派とはちょっと言いにくい。単にそのような感覚が形成されにくいだけかも知れないが……。

そういった異世界に転移・転生する作品もゲーム『遙かなる時空の中で』シリーズや小説版『千本桜』等探せばまともなものがなろう等に存在してはいても、薬屋(中国系)やリゼロ(西洋系)の様なものに比べるとアニメ化級などのヒットはちょっと見かけにくい。
広義の異世界でコミカライズ級までなら、維新後日本のような世界観+知性体の龍とも<大協約>を結ぶ世界で、剣牙虎*5を率いる「皇国」部隊がロシアっぽい「帝国」と戦う「皇国の守護者」というのもあった。*6

ジャンルとして、鬼滅を眺めてしまうと”侍とか日本剣士ジャンルはだめ”などとても言えた言葉ではなく、大正浪漫と異能というネタなら2025年にはライドウなんかもリメイクされていたり、「日本人が日本国舞台の異能モノ等を気風として好まない」はやはり論として成立しない。

日本異能に関して言うなら、「ピッコマ」や「めちゃコミック」など『完全無料ではない』サイトを検索すると、例えば「陰陽師」では現代日本や現実の日本の延長を描いた作品もあるが、「転生陰陽師が~」といったタイトルも複数見受けられる。つまり素人がいくつでも投稿可能な無料の環境下ではなく、有料で人を集められると判断される環境でも「日本特有の異能や術式使いが異世界活躍!」というのにはパイがあると考えられているとみられる。(コミカライズされているものでは「地味な剣聖はそれでも最強です」は日本人が異世界西洋風地域に転生後、仙人的鍛錬を積んでTUEEEEというもの)

RPGっぽくダンジョンに潜りレベリングやドロップがある和風ものと言えば、例えば『俺の屍を越えてゆけ』などが存在するが、こういった作品を死ぬほどやり込みまくった主人公がヒロインの和風美人な梓姫みたいな名前のキャラと結ばれるため酒呑童子や土蜘蛛といったボスを退治する、そのため天狗の試練を受けたりとかが「東洋風世界観」のくくりだろうと思われる。

そういった作品はなろうになくはないようだし、ノベライズまでいく作品もたまにランキングに浮上してはいるが、コミカライズ多数というほどジャンル形成がなされているかは若干微妙な感じはある。


東洋異世界転生がヒットするかは、今後の機運や偶然によって変化するだろうとは思われる。

時間移動(仮称)


タイトル全部を乗せると説明し易いので提示する。
要するに異世界、というか異環境が時間軸で出現したパターンの物語である。
隆盛を誇った時代の人物が、衰退期に現れ無双。白人酋長と概念的差異はないと考えられる。

但し、このタイプの作品では衰退理由が「子孫がバカだから」などではなく「対立種族の悪意ある工作での衰亡」*7
という設定になっていたりする事もあるため、やはり単純に現地人(この場合未来人?)YOEEEEとは言えない。

上の項にある「逆行モノ」をタイムスリップ逆転モノと捉える場合、ティアムーン帝国物語
なろう作品では有名どころで、アニメ化される等している。
なおもっと古くには、「紺碧の艦隊」という作品がある。こちらは明確な並行世界転生モノである。*8
第二次世界大戦前夜のタイミングに転生した主人公らが、文字通り焼き潰された日本の悲惨な敗亡を軟着陸させんとするストーリー。
時間遡行等の要素の有無を問わず、こうした歴史ifを描くジャンルは仮想戦記と呼ばれ、界隈ではいちジャンルを形成している。

異世界だと思っていたら実は地球でした

要するに「猿の惑星」の異世界版。
例を挙げるとすると、<リンク先ネタバレ注意>とか、<リンク先ネタバレ注意>等がある。
主人公達がかつてのビル群やら工場跡地等を見て「これは一体どういう技術だ!?」と驚くが、読者や視聴者はなんとなく察してしまう。

美醜逆転、貞操反転

地球換算ではめちゃくちゃ美男美女が、異世界ではブサメンブス呼ばわりされていたり、
強気でグイグイいく女性が多く、弱気でウブな男性が多い世界
若者よりおっさんやおばさんが人気で無条件でモテたり等と、
価値観の反転が起こっている世界。

主人公がデブだったりブサメンだとしても、地球の価値観的に美男美女に『この人なら外見で人を差別しないから』と無条件で持て囃されるのがお約束である。
そして、作中に出てくるヴィランが「あ、コイツ敵役だな」と思う位デブでブサイクなのに、同じくデブでブサイクな伴侶達に囲まれてハーレムを築いていたりする。

「砂漠だらけの世界で、おっさんが電子マネーで無双する」においては、王女が『化け物王女』呼ばわりされて、砂と魔物だらけの砂漠のオアシスに放逐される目に遭わされており、地球出身のおっさん主人公に拾われて幸せになる…という作品である。

余談だが、「主人公おっさんorブサメンという設定なのに、書籍や漫画ではやけに若々しいorフツメンじゃねぇか」というツッコミは禁句。
不精ヒゲを生やし顔に皺が刻まれたおっさんよりも、イケメンorフツメンの方が作画コストが安いのだ。
そのせいで、「異世界転移したおっさんが〜」系の作品のおっさんは基本イケメンでありおっさんに見えない。
ラノベ『イコノクラスト!』においても、主人公は中肉中背のキモデブだったのだが、「新装版」においては『主人公は中肉中背』という地の文はそのままフツメンになった。

クロスオーバー

一部の作品の企画や二次創作のジャンルにおいて、他作品同士の世界観が重なり合い、一方の作品のキャラクターがもう一方の作品へ移動するものがしばしばある。
現代の商業作品の場合は両方の作品を立てる様にして作られているが、二次創作の場合、単に好みのキャラに好みの世界観で活躍してほしいという願望で作られているものなどは、片方の作品のキャラだけが活躍する無双系になっているものもある。

◆異世界=異環境≒活躍・無双?

異なる環境であるという事は、それをネタにしてキャラクターを活躍させ易いという点はある。

例えば異世界モノのネタの一部には「現代知識無双」というものがある。
これはファンタジー系異世界に現代知識・技術等を持ち込み、主人公が崇められるというもの。
2010年代後半では「異世界食堂」など、料理漫画と融合させた作品も多くみられた。

なろう系に多く見られると言われており、元々ネット小説であった『GATE』の原作や、
ラノベでは『ノーゲーム・ノーライフ』にネタにされている記述があったりする。


こういう風にみられると、近代で発達したジャンルの様にも思われるが、
「もし○○が別の場所にいたら…」というコロンブスの卵的な発想は、古より多くの創作の題材として登場している。
「異世界モノ」と「無双(活躍)」はジャンルとしての関連性が古くからあり、小さくないものであると言える。



近年の「なろう系」と言われるものの特徴としては、インターネットの登場によってアマチュアが手軽に作品を公開できる環境が与えられて広がり、
「主人公が好き放題する舞台装置以上の世界観の練り込みが少ない」「世界観がテンプレート化している」事が特徴といえる。
後述の「JIN-仁-」や「信長のシェフ」等のタイムスリップ物は時代考証や世界観の設定等に専門的な知識が求められるが、全く架空の異世界を舞台にしてしまえばそういった労力を全てスキップできてしまうからである。

知識・技術で活躍

1889年にマーク・トウェインが「アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー」という作品に書いている。
本作は(小説が書かれた当時の)現代アメリカ人技師が昔のイギリスで知識無双という物語である。
新スタートレック」でそのトウェインが24世紀の世界を目の当たりにしたのは皮肉だろうか

最近の日本で言うと医者が幕末頃にタイムスリップする「JIN-仁-」や料理人が戦国に行く「信長のシェフ」も構造的には類似している。
まあ彼らは割とお上につかまったり無茶振りされたりするが……。
イギリスでは「アウトランダー」という作品も大体同じで、1945年に看護婦だった主人公が1743年スコットランドに転移する。
そして権力者に「能力利用したろ!」と軟禁食らったり。

ドラえもん本編にはのび太が「マッチやラジオを原始時代に持ち込んで崇められよう」と「過去に戻る」エピソードがあり、
仮想戦記にも「戦争の推移の知識を持ち込んで〜」といったものがある。
これらは過去改変モノやタイムスリップモノと識別されるが、前述の様に「異世界での現代知識無双」との相違点は?と言えばガワの部分が結構大きく、
前述の「火星のプリンセス」にも野蛮な火星人に主人公が知性で優位に立つシーンがある。

こうしたものは映画の世界では「白人酋長モノ」と称されるらしい。
これは技術レベルが低い(という設定の)「ジャングル奥地等の未開の蛮族」に銃など「文明の利器」を見せて神や偉人と崇められ酋長に……という物語である。

最近の創作では「壊血病」「脚気」といった、ビタミン不足が原因の病気を領主である主人公が食生活を指導して改善したり、
「ハンセン病」など、感染の恐れがないのに感染症扱いされて差別に苦しむ人間を主人公が手厚く保護する…というものである。
実際、森鴎外という留学までした医者…文豪として名を残している偉人が「脚気は細菌が原因である」と主張、誤った衛生政策により日露戦争で3万人の死者を出すという大ポカをやらかしている。
その史実に習ってか、森鴎外がモデルの貴族のヤブ医者が医学知識のない素人の主人公にザマァされるというのが定番である。*9

なおそうしたのとは別に、新井素子の『扉をあけて』や雑賀礼史の『召喚教師リアルバウトハイスクール』等の様に「現代人ながら異能者」なんてキャラが異世界に移動するケースもある。
平和な現在では生かしづらかった異能や戦闘力も、異世界でなら…と言った発想からだろうか。

聖戦士ダンバイン』の様に「転移の条件=異能の適性」というシンプルなケースもある。
また、この作品では主人公達は「パイロットとしての才能」のみを活かして生きる一方、悪役の一人であるショット・ウェポンが先んじて異世界に飛ばされた転移者だが、ロボット工学者であったため、その知識を使って主人公達の乗るロボットを異世界に生み出した(そして、結果として争乱を激化させた)張本人であるという珍しい構図を伴っている。*10

また、「なろう系」成立以前、新世紀エヴァンゲリオンの頃のweb上の二次創作のジャンルの中に、
視聴者が登場人物に転生し、その知識で理不尽な出来事を回避 という設定のものが多数あった事との関連を指摘する説もある。
前述の「悪役令嬢」タイプの創作物(なにも宮廷恋愛モノに限らないが)においては原作を体験している点で主人公にアドバンテージがあり、特に二次創作(所謂オリ主ss)においては「原作知識」と呼ばれるタグも存在する。

なお、教育・文化の水準が現代より低い様な「未開」の世界においては、そうした未知の技術をただ持ち込んだところで異端者として排斥されるだけだろうというのがツッコミ所としてはよく言われる事柄である。
言ってしまえば面白くない現実的観点であるその辺をどの程度辻褄を合わせるか、又は明らかにご都合でスキップするかは作品によりまちまちである。
よくある手法は「現地人の中で変わり者扱いされている人間と信頼を深め、そこから信頼の輪を広げる」「利益という実績をひたすら重ね、歴史や伝統という言葉を使う相手には札束ビンタで黙らせる」というもの。
そんな中で「異世界の人間は思考を停止している」と、異世界の相手に寄り添う事なく軽蔑し、「ザマァ」で分からせる…なんて作品もあったりする。


物資・補給で活躍

異世界と現実世界の往復が容易い場合、上手く現実世界の物資を利用すれば異世界で大金を得る事ができる。

スレイヤーズ」でおなじみ神坂一の異世界モノ「日帰りクエスト」は秀逸にここに目をつけている。
ある日突然異世界に呼び出されたごく普通の女子高生、村瀬エリ。
大した使命や運命などど言うものもなくお試しで呼び出された事に激怒した彼女は自分を呼び出した魔法使いに単なるデジタル腕時計をプレゼントし「下手に外すと爆発するから(大ウソ)毎週日曜日指定の時間に呼び出して」と脅迫する。
その異世界では戦争中で塩や香辛料が不足していた。持ってくれば幾らでも金貨で買ってやる、と言われてエリは「本気であっちとこっちの交易でもしてやろーかしら」とほくそ笑む。
もっとも、彼女はある程度現実的な性格だったので「女子高生が大量の金貨を現金に換金していたら色々マズイ」事に気がついて物語の後半では金貨は異世界でしか使っていない。

「異世界Cマート繁盛記」でも現実世界の商品を異世界に持ち込んで商売する男の姿が描かれる。
人生に嫌気がさしていた男がある日異世界と行き来する手段を獲得し、現地人に親切にされた事から恩返しのために採算度外視の商売を始める事を決意。現実世界で商品を仕入れ、異世界に行って売る生活を始める。
こちらの世界でも塩が不足しており、男が最初に持ち込んだ商品も塩であった。後に塩不足が原因の戦争が起きそうだと聞いた際は方々を駆けずり回って10トンの塩を入手して異世界に運び*11、現地で仲良くなった商人に卸す事で見事戦争を回避に導いている。
この作品では異世界で金貨や銀貨を砂金と交換し、それを現実世界の質屋で換金している。もっとも本人はあくまで恩返しのために商売をしているので稼ぐ気はほぼ無く、仕入れに必要なだけ手に入れば十分だが。

これらの作品では「異世界のお宝をリアルマネーに変えるのは、現実的に考えてみると割と難しい」という観点を持ち込んでいるが、
そういったしがらみを無理矢理でも解決したり、あるいは一切描かない作品も多く、「主人公が唯々チートで気持ちいい思いをする」物語は多数存在する。

「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」では、タイトルの通り完全に主人公目線で物語は進む。
どんなに大人数でもどんな小さな物でも大きな物でも転移が可能であるため、現地人相手にぼったくり価格で地球の製品を売る、地球の料理を異世界で振る舞って現地の料理人にマウントを取る等していた。
本人曰く、「少しはやり過ぎたりもしたけれど、一応は自重してた」とのこと。
しかし、とある一件を経て「自重」をやめる事になり、主人公は本格的にその力を振るう様になる…
その後に行われたのは、「中世ヨーロッパレベルの軍隊相手に、金で雇った地球の軍隊をぶつける」というもの。やりすぎ

アラフォー男の異世界通販生活」では、能力を濫用し過ぎると異世界の金が無くなる=経済が崩壊する危険性が触れられる。
故に主人公はあくまで個人間で使うのみに留めている…が、なんだかんだで異世界の人達の為に散財したり、「商売繁盛のチャンス」と目をつけた美少女に付き纏われたりする。

ちなみになろうから書籍化されたタイトルでは「スキル『市場』で異世界から繋がったのは地球のブラックマーケットでした」
では文面通り、主人公は異世界の敵対する人間国家から奪った財貨をアフリカらしき闇の市場へ流している。

この項において重要なのは取引相手の黒人で、彼は旧型戦車と交換可能な程の財貨を主人公から渡されながら、
それが元で逮捕されスキルが使用不能になるといった流れはない。

また夢枕獏原作「荒野に獣慟哭す」は異世界ものではない。
が、コミカライズ版の描写であるが「政府政策に反対するゲリラの活動資金がジャングル内にある遺跡の黄金類である」と語られている。

つまり出処不明な金塊・貴金属工芸品が闇ルートで捌かれ、政府筋と対立する存在の武器や食料といったものに化ける事が見逃されている設定である。

この事から考えると、ダンジョン等異世界の出入口が日本の様に公や治安が強い国家のご家庭裏庭などに固定されているタイプはキツいが、
「個人の」魔力・スキルに依拠するタイプならば、治安やワイロの通りがすごくアレな土地にいってしまえば……。
地球でもある程度魔法やスキルが運用できるならば、なおのこと確実にそうしたヤバイ筋と話も可能であろう。

結局のところ、スキルだのチートだの言いながら、彼らがやっている事は転売屋のソレであり、
「異世界のお金が地球に流出する事で、異世界の経済に悪影響が出るのではないか」
「主人公に地球や異世界の市場を荒らされて、多くの人が職を失うのではないか」
といった、転売屋をよく思わない人達からネガティブな感想をぶつけられるのも仕方ない一面もある。

現実的に考えれば、
  • 主人公が異世界で現代品質の地球産の商品を売り続ける
    → 異世界で異世界産の商品が売れなくなり、お金の価値が低下する
    → 結果として異世界で極端なデフレが起き、異世界の人たちは自分の仕事・商品が安く買い叩かれる
  • 主人公が異世界の金銀やレアメタルを地球に持ち帰る
    → 異世界では金銀の価値が高騰、もし貨幣制度であれば深刻なインフレが起こる
    → 結果として異世界の人たちは仕事も給料もそのままなのに、商品の値段が跳ね上がって何も買えなくなる
ということが起こり得る。

また、「チート能力で得たり作ったりした高性能なものを法外なレベルで安くばら撒く」というのは、日本ではダンピングと呼ばれる犯罪行為であり、独占禁止法違反で処罰される。
なぜなら市場価格が崩壊して、まともに商売をしている人々が路頭に迷うからだ。親切心からの人助けだと主人公が思っていても社会的には大迷惑になってしまう。

「異世界に飛ばされたおっさんは何処へ行く?」では、主人公の転売行為が明確に「悪事」として描かれ、糾弾される
しかし、主人公はチートキャラだったため表立って批判する事が出来ず、その時は相手側の「大人な対応」で場を納める事になる。
しかし、主人公はその後もヘイトを買い続けてしまい、その矛先は「主人公と親しかっただけの無力な女性」に向いてしまう事になる…

「砂漠だらけの世界で、おっさんが電子マネーで無双する」では、敵国の経済を弱体化させるという目的で転売が行われる
更に主人公達は「住宅街やインフラは完備だが、水だけがない」土地をあえて占領させるなど漸減作戦を徹底して行っていき、強大な軍事国家の国力を削いでいくのである…

政治的に活躍

主人公が封建制度の異世界において民主主義を広めたり、地球の歴史を参考にした政治戦略によって外交で無双するというもの。
この場合、主人公はある程度政治を動かせる貴族からスタートする場合が多い。逆に豊臣秀吉のように最下層からの成り上がりという逆境からのスタートも物語を盛り上げやすい。
奴隷や獣人などの被差別階級、ゴブリンなどの下級モンスターから天下統一を狙う「下剋上」を重とした作品などもよく見られる。

ゼロから領地を作って政治を行う作品も非常に多く、何も無いところから国を作る「転生したらスライムだった件」や、地方に追放された貴族が領主となって活躍する「お気楽領主の楽しい領地防衛」などが代表作。
地方に移動した転生者が才能を発揮するためには、コンパクトで治めやすい領地と自然豊かなスローライフが適しているともいえる。
これに加えて、主人公を地方に追いやった実家や国は、政治経済が傾いて不幸になる「ざまぁ」までがテンプレートになっている。

科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌」という作品では、主人公はハーレムを築く事を宣言し世界を旅する危険人物でありながら、
大学生である自身の知識を交渉材料に種族間の争いを収めたり、現代日本の知識と技術、そして政治的見聞を広めたりしている。結果、「ハーレム(女)を差し出す程度なら安い」とまで言われ、その活動を多くの人々から応援される様になった。

現実主義勇者の王国再建記」という作品では、異世界に召喚されて早々、財政や軍事が逼迫している国家で地球の法律知識等を要求されたが、主人公はその「手段」及び「見返り」として国王の座を要求
現国王との長きにわたる話し合いの末に現国王は「彼と自分の娘を婚約させ王家の婿養子にする」(実は現国王も婿入り王だった)事でその条件を呑み、主人公は国王として国の改革を行なっていく。
またその過程で軍事至上主義の隣国を併合する事になるのだが、その後前々から実家の風土に歪みを感じていたそっちの国の王女が自ら(自国の平和的維持のため)嫁入りを志願し、未来の正室から(上限こそ設けられたが)一夫多妻の許可も出ていた事もあり、
政治における「公的な関係性」と奮闘する日々の中での「プライベートでの出会い」、両方で堅実に有能な女性を引き寄せるハーレムルートを進む話にもなっている。

変わり種としては、主人公が異世界で唯一配信活動もといラジオを行う「異世界で配信活動をしたら大量のヤンデレ信者を生み出してしまった件」にて、主人公の民主主義的・人権的発言に王女に暗殺者に少女皇帝、聖女に魔王、女神様といったヤバすぎる面子が聞き入ってしまう。
結果、主人公の狂信者と化した彼女らが主人公の政治語りを馬鹿正直に実行し、世界に急速な文化革命が起こるという作品となっている。
ただこの作品の主軸は、アヘ顔決めながら主人公の声によがり狂い、身元割れをした主人公にリア凸して破茶滅茶するヤンデレヒロイン達の奇行にある。

…一方で、物語を書くのが人間である以上は仕方ないのだが、物語はどうしても右・左に偏り、しかも主人公に敵対する政治勢力は極端に無能に描かれ易い
「科学的に〜」の作者は元より保守派で有名な人であり、政治描写は下手な漫画誌であれば打ち切られかねない位丁寧に描かれ、「異世界で配信活動をしたら〜」はギャグ作品寄りで政治描写が作品のメインではないため、「敵=かませ犬」という図式が嫌悪感なく受け入れる事が出来る。

書籍化作品「無能の中の無能王子」はこれを逆手に取っており、
第三王子である主人公が「無能」という身も蓋もない名前のスキルを授かり、自分の住む国から追放されてしまう。
しかし、実は「主人公の政敵が皆『主人公は無能だから大丈夫だ、問題はない』と油断してしまう」とんでもないチートスキルであり、敵側が知能デバフにより頓珍漢な行動を取り続けるが、実のところ現実の歴史で起こった事であり、あながちフィクションとも割り切れない、政治に重きを置いた架空戦記とは思えない類を見ないものとなっている。

ネット小説のアマチュア作家にありがちなのだが、現代日本ほどインフラや医療技術も発展していないのに日本の施政を参考にした政策を掲げてしまったり、「現代日本人を基準で」異世界の人間を描いてしまったりする*12
酷いものになると、
  • まともな資本も労働力もなければ、そもそも国民に与える仕事もないのに週休二日を制定する*13
  • 無人の住宅街、荒れ果てていない農地、上下水道完備という格好の領地を、主人公が「運良く」手に入れる*14
  • 被差別民族への思想教育や就職斡旋を一切行わず奴隷制度を廃止する。「差別をやめろ」と主人公が発言すれば、長年続いた差別や人権問題があっさり解決してしまう。人間であるはずの主人公の人間軽視・人間を露悪的に描く表現がむしろ差別的に見える。
  • まともな収入もないのに生活保護、国民皆保険、ベーシックインカムを掲げる
  • 教育制度も教員補助制度*15も整備されていないのに、行政や司法の処理を担える人間が十分数集まり、治安維持や国防を担当する軍も末端まで組織的に動く事が出来る*16
  • 領民は皆善人であり、「平等ならばサボって楽をしよう」「改革制度を悪用してズルしよう」とは考えない。主人公が掲げる政策も住民の性善説に依存したものであり、山賊や悪役貴族も主人公の影響を受けてあっさり改心する
  • 現地の貴族や王族、豪商を「無能だから」「横暴だから」と、ろくな下調べもなく殺害してしまう
等の、ツッコミどころ満載で下手…しなくても国家が機能不全に陥りかねない「ぼくのかんがえたさいきょうのほうりつ」を施政してしまう作品もある。
近年特に多いのが、税金免除や薬や食品の無料配布等、何でもかんでも無料にすれば経済は回復するという物。作者の願望
確かに、兵庫県明石市では妊婦や子供持ちの世帯に向けた数多くの無料政策により、人口が爆増ししたという実績がある。なお、明石市長はそこに至るまで左翼界やマスコミから酷くバッシングを受けていたが、今では手のひら返されて讃えられており、本人もそれを積極的にネタにしている。
ただ、その財源を主人公の「チート」で賄ってしまう作品が多数であり、チート抜きでの財源確保など持続可能なシステム構築を考慮した作品はほとんどない

愛内なの著の『転生チート魔王の奴●ハーレム』では「植物系の魔法に長けた魔王に転生した主人公が蕎麦やジャガイモに似た植物を品種改良して魔族の国を立て直す」と言うチートを使いつつ持続可能な社会を作る、と言う展開が描かれているが、此れも人間との戦争による手っ取り早い財貨獲得を狙う主戦派や試験栽培・農業指導段階で出る赤字と格闘しつつ、安定した食糧輸出の目途が立つまで十数年かかっている。
持続可能な成長モデルを作ろうとすれば、チートを使ったとしても技術試験や教育の為に十年位の時間と国王レベルの権威で漸く動かせる労力が必要で、其れでも国外追放や粛清をせざるを得ない反対派が生じるのも当然である。

人種差別を解決するという趣旨の作品でも、
実績を積み重ねて、「自分達を差別するよりも対等に取引した方が儲かる」と札束ビンタで相手を黙らせたり、(ハイパーインフレーション)、
「自分のハーレムにする」という下心こそあるものの、差別される側の悪い習慣をやめさせるようと説得したりする(科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌])という、
比較的真っ当で読者目線でも納得できる方法が描かれる作品もあれば、
(現地人視点で)醜悪な見た目の民族を主人公の能力で人間そっくりの美少女に変化させ、「これであなた達は差別されませんよ!良かったね!」と解決してしまう、逆に差別主義者(と主人公が思っている相手)を醜悪な見た目にして「差別される側の気持ちを少しは理解しろ!」と「ざまぁ」してしまうという作品もある。*18

人種差別以外の社会問題を取り扱った場合でも、
  • 性同一性障害のキャラクターを、魔法などファンタジーな手段を使って性転換させる
  • 人間にとって有害な野生動物やモンスターを、絶滅の恐れがあるからと勝手に繁殖させる
  • 逆に、間接的に人間に益を与えている野生動物やモンスターを有害な一面だけ見て無闇に狩る*19
  • 医療、交通整備、上下水道といったインフラを全て「利権」の一言で切り捨て、ルールも責任者も定めないまま解体してしまう
  • 貧困格差を憎むあまり、「社会主義」「共産主義」を流行らせようとする*20
など、複雑な問題に対し極論な解決手段を実行してしまうものも。

そんな政策を掲げておきながら、何故か異世界での経済が発展して主人公様万歳と讃えられ、敵対者を極端に無能に描いて一方的に主人公達に『ざまぁ』させるようでは、作品が炎上しても仕方ないだろう。
史実には王莽やポル・ポトの様に社会に合致しない理想主義政策を強行して人口を大きく減らした実例も有るので、知っている人間が読めば同類と思われてしまう可能性も十分にある。
たとえそれで大成功、からの主人公がマンセーされる展開にしたとしても、「成功したファシズム国家」という皮肉に変わるだけである。

アニメ「今日からマ王!」の原作であるラノベ「まるマシリーズ」では、主人公は魔王となって異世界の国を統治する。
しかし、内政に関しては分からない事だらけなので配下に投げっぱなし、人間との戦争はしないという方針こそ掲げるものの日本国で受けてきた教育によるもので自分の考えではないと自嘲する場面がある。
しかし、そんな主人公の優しさと、主人公自身自覚していないカリスマ性に触れて、多くの配下達から慕われていく…という作品である。

アニヲタWikiにも項目が存在する「とある創作群」においては、二次創作の書き手複数人が過激な単語が並ぶ政治的に偏った作品を幾度も投稿し、それを受けてか外国の反共産のヤバい人達からサイトを荒らされるという事件が発生。
創作群の作者が「本創作群に政治的な意図はない」と声明を出し、創作の利用規約に「特定の政治思想を持つ人間を貶してはいけない」と追加するに至った事もある。

最近は、「政治的な利用はNG」を前面的に掲げるコンテンツも増えている。
「この程度は政治的発言にあたらない」「他の人間の作品は削除されてないのにどうして自分だけが取り正されるのか」等と屁理屈こねて管理元に噛み付く二次創作作者が居ない訳でもないが、管理元を怒らせたらそのコンテンツのファンからどの様な攻撃を受けるかなど想像するまでもないだろう。
一方で、「とある創作群」に関しては、一部のファンが暴走して政治的な作品を書いていた作者を貶したり感想欄に罵詈雑言を書き込む様になった*21のだが、「好きだったクリエイターが貶された」として多くのファンやクリエイター達が離れてしまい、コミュニティが大きく揺れる程の騒動になった事もある。
異世界モノに限った話ではないが、政治的な作品を書いて政治的な主張がしたいのならば、他人の作品を借りるのではなくオリジナルの作品でやろう。
後述の素材の配布元にも、政治的主張の利用を許可しているものはたくさんあるのであるので、NGと言われたら、屁理屈をこねたり言いがかりつけて縋り付いたりせずに、大人しく退こう。

性的に活躍

男や女がいなくなった世界、あるいは人類のほぼ全てが死滅した世界で、唯一の異性として活躍するケース。
女が居なくなった世界に女主人公が…という作品もない訳でもないが、女性には妊娠と出産があるので、基本は「女しかいない世界に唯一の男」という作品が多い。
主人公は種馬として、時折ブス相手に我慢しつつも、種族滅亡を防ぐために戦いを繰り広げる事になる。
もちろん、体外受精や試験管ベビーではダメという予防線は貼られている。

「H+P -ひめぱら-」という全年齢向けラノベでは、堅物で朴念仁な主人公が、美人なお姫様達に子供を作れ!とせがまれるが、そもそも「帝国侵略」「後継者不在」という問題の方を対処する事でこれを避けようとする…という作品。結果的にお姫様達からは、「国家の危機だから仕方なく」ではなく「本当の意味で」好きになってハーレムになる。

環境の違いで元から無双できる

知識や技術を用いないパターンとしては、安西信行の漫画『MAR』には「メルヘン世界の方が低重力なので主人公が強い」という描写が序盤にある。
(前述の通り「火星のプリンセス」に同じ)

同じネタはドラえもん本編にもあり、短編「行け!ノビタマン」・映画『宇宙開拓史』では行った先の星が低重力だったため、銃弾がポップコーン並に脆く、ドラえもんやのび太の肉体強度はスーパーマン状態であった(もっとも、129.3馬力という怪力を誇り、大爆発をモロに受けても身体が原型を留めているほど頑丈なドラえもんは、本来なら地球上でも同様の活躍が出来るはずだが)。

また『魔法騎士レイアース』・『ブレイブ・ストーリー』等の様に「異世界から来た人間しか使えない力がある」とされる事もよくある。
但し上に例として挙げた作品等では背景にとんでもない裏事情があり、単なる「無双」・「勇者もの」にはなっていないが。
(「火星のプリンセス」でも重力の違いのみでなく、火星人の間で使われている読心術に関して、
 「主人公は火星人から学んだ読心術で他人の心を読めるが、他の火星人は地球人である主人公の心をうまく読めない」という優位性を持っていた)

変則的な例では『魔法使いハウルと火の悪魔』のハウルとサリマンがおり、彼らは魔法のない「ウェールズ」の出身ながら異世界で魔術師をしていた。
そのため主人公のソフィーが「ウェールズ」を訪れる逆パターンが描かれた。

苦難も多い



貴様(モルガン)のような無能に用はない!!オレはフェイクに頼みたいと言ったはずだっ!!
フェイクはどこだ!?休んでいる場所を教えろっ!!!

な…なんて凄まじい迫力なの…
こんなに怒鳴られたのは生まれて初めて…
怖すぎるのよ…


もっとも異なる環境で主人公のスキルが活かされる場があるからといって、それは主人公無双を簡単に許すという意味でもない。

前述のSAOで言うと、主人公は本人の実力自体が高くユニークスキルも持ち活躍はするがそれでも死線と隣り合わせ。一番チート(文字通り)な人物には翻弄されている。それ以降もやっぱりチートな連中に苦戦続きで心身ともズタボロにされる事が多い。というか本人にチート感は全くない
ドラえもんでは本編の実銃弾こそポップコーン扱いだったが、宇宙開拓史で光線銃を用いるプロの殺し屋ギラーミンには一切雑魚描写がない。
平和な現代日本では役に立たない銃スキルを活用するのび太も、ドリームガンとドラミの補助があった本編における西部の話と違ってこのシーンは無双ではなくガチの撃ち合いである。
現代兵器を持ち込んで…の場合は、『戦国自衛隊』の様に補給問題が触れられる事も多くなってきただろうか。
多勢やその世界における強者を相手に無双できるカタルシスと、その力が絶対ではないという緊張感が物語の面白さを生むともいえる。

白人酋長モノにも「日食を予言して太陽を神と見る蛮族をビビらせる」というネタに「え?日食?知ってるけど」(マヤ文明並の計算力)という作品もあるとか。

コネチカット・ヤンキーなど黎明期の作品が普通に無双している(マーリンが敵になったりはするが)事を考えると、
むしろ近年こそ「単純に活躍させるだけじゃなあ」という意見を持つ読者と、それに対応したギミックや反応を考える作者が増えた時代ではないだろうかと思われる。

「この素晴らしい世界に祝福を!」など、いかにも「なろう系」の様なゲーム世界的な異世界に主人公が行くものの、
日常生活から大変な目にあるという、苦労を描く事でパロディにした作品もある。

…だからと言って、
  • 架空戦記モノ作品で「なんで主人公の国の兵士が識字率高くて大所帯なのに命令に従えるんだよ」「なんで敵が簡単に主人公の策略に引っかかるんだよ」
  • チートスキルでお気楽農業している作品に対して「お前本当の農業の辛さ知らねえだろ」「この世界の野菜の相場を崩してるから、お気楽農業をしているのは主人公だけ」
  • ブラック国家をホワイト国家に建て直す作品に対して「国民がそんな簡単に指示に従えるわけがないだろう」「さっきから『誰かが悪い』ってずっと他責思考じゃないか」「国家経営なめてんのか?」
などと現実的なツッコミは野暮というものだろう。
実際、そう言った現実的な感想を書き込まれて筆を折ってしまった作家は沢山いる。
現実的な問題をどこまで端折るか、読者の求める展開とどこまで折り合いをつけるか、不自然なく描けるか…そこが作者の腕の見せ所である。

「活躍」というファクターの重要性

活躍というのは、実は物語論的にもとても”重要”な事でもある。
何故かと言えばカタルシスというものは物語に欠かせない要素であり、主人公を主人公たらしめる側面も持っているからだ。

下記サバイバルの項にはウガウガ言ってる奴だらけファンタジーという「ねーよ」「少数派すぎだろ」という”無茶苦茶な例”を提示してみたが、
これと同じ事として、「活躍」というファクターを欠いた作品のあらすじを書いてみるとこうなる。

中世風異世界に転移してしまった主人公。右も左も分からず彷徨っているうちにいきなり奴隷商人の一団に捕まりどことも知れぬ炭鉱で強制労働に苦しみ抜いた挙げ句、ある日突然落盤事故に遭い誰からも省みられず無惨な死を遂げるのであった……完。

直感して欲しい。
これ、読んで面白いだろうか??

主人公が貶められたがどん底から苦難を乗り越え這いあがっていく、という作品にはなろうでも有名な部類の作品がある。
流行り(2020年前後)のジャンルでは「追放もの」でざまぁするという作品も構造上はある程度近く、主人公が何らかの形で貶められる、という点までは一緒。その後、スローライフするかのし上がってかつて所属していたパーティを見返すかは作品によるが、少なくとも最終的には以前の状態から躍進する事は共通している。
主人公が一時は徹底的に追い詰められ落ちぶれても、そこから奮起し這いあがっていく姿というのは、どの時代になっても共通して多数の人間が共感を覚えるものなのである。

なので、現代日本では学生ならいじめられっ子、社会人ならブラック企業のヒラ社員(あるいはその派遣社員)という立場にしがみつくしかないしなびた中年主人公が偶然異世界に美少(青)年として転生して上流階級の優しいお姉さまに拾われておねショタしたり、駄女神様の気まぐれだの手違いで取ってつけた様なチート能力を授けられて高名だが残念な美少女達に囲まれてやれやれとスカしたりしても許そう。
口しか出さない、カネにならない外野が「まーたテンプレかよ」などと叩こうと、少なくとも『名もなき現地人に余計いじめられてうつ病になって自殺しましたーor落ち込んで帰ってる途中魔物に喰い殺されましたー、ちゃんちゃん。』なんてしみったれた転落劇よりははるかにカネになるファンが集まるから皆こぞって書くし、企業だって予算をかけてメディア化するのだ。

上記のあらすじみたいな作品は……実在する事はする。アニメ化?書籍化?……ブログや執筆サイトを片っ端から漁れば書きかけとかが出てくるんじゃないかな?
現実的と言えば現実的ではあるのだが、単に主人公が落ちぶれて埋もれていく だけ の作品なんてそもそもエンターテイメントとしての意義があるのか?とすら言えてしまう。下手すりゃ『何が悲しくてフィクションでまで俺が現在進行形で陥ってる様なザマを見せつけられなきゃいかんのか?』という人だって居るかもしれない。
主人公が非の打ちどころしかない醜悪な人物で、その報いを受けていくざまぁ展開として描いていくならまだ需要が出てくるかもしれないが、それでも追放ざまぁ系の様な「カタルシスのある」=「主人公が何らかの形で活躍・救済される」作品と違って、相当ニッチな部類になる事は否めないだろう。

しかし、一応ネットには「僧侶「ひのきのぼう……?」」という「追放あり、ざまぁなし、主人公は虐げられ世界からは評価されない」
かつ”名作”とされる作品がある。
実際、検索上位の作品まとめブログのコメント欄には何年ものあいだちょくちょくコメントがつく程である。
が……「主人公の僧侶♂は偉業を成し遂げている」し本人視点ではあるが「報われている」。
またこの作品、描写されていない事で不満コメントが出るポイントがある。

ラストシーン、僧侶は報われたと思いながら姿が消える。が、記憶を消されていた勇者♀は最後まで主人公に執着しているしキスしている。
つまり、僧侶の記憶を消して結婚しようとまで考えていた賢者♂にとっては地獄めいた状況である。

答え①記憶が戻った勇者に問い詰められ賢者は蛇蝎の如く嫌われる
答え②世を儚んで僧侶の魂を弔う修道院コース。結婚?ハハッ
答え③ハンサムな賢者は冴えた解決策を思いつく

3になるといいね(棒読み)

繰り返すが本作は、”それでも”「名作」である。僧侶はある意味チートだが弱い武器で強敵と戦い抜き、
パーティーの好意的な相手の記憶からは消され、民間人から嫌われたりすらするがそれでも腐りも曲がりもせず人界を守りぬいた。
ブッダメンタルな。ブログコメントでも聖人の行跡では?とか言われたりする。
そんな訳で僧侶への読者好感度は高い。

……だが、安易にこの作品の二番煎じを狙うのは激しくオススメ出来ない。
主人公やその周囲の環境をネガティブ寄りに描く時点で者からは難色を示されがちで、そこから自然な見せ場に繋げる展開描写の選択肢や許容範囲が非常に限られてしまうからだ。
主人公はなぜ苦難に耐えるのか。主人公にどこまで苦難を与えるか。嫌なキャラの嫌な行動をどう描写するか。
この辺りの塩梅を少しでも間違えたら単なる胸糞、不自然な主人公マンセー、二番煎じを狙う作者の顔が透けて見えるオナニー作品…等にしかなりかねず、不愉快だと思う人間のブーイングに溢れかえって炎上じみた事態になるか、ロクに見向きもされずサイトの片隅に埋もれてゆく当然の結果ですエンドになるのがオチである。

ざまぁ前提ならすごくクソみたいなやつが出ても最後は笑えるかもしれないと期待ができる。
だが主人公の聖性を頼りに一方的に過ぎた苦難を与えると、主人公やその仲間(好意的な相手)への共感が『善人を気取ったクズ』という怒りに変わる。それでいて主人公側は善人として持て囃されて終わり…となると、最悪作品どころかそうした展開を良しとする作者の人格や書き方等にまで非難が及ぶ事態になる。
ひのきのぼうという「ざまぁなし、主人公虐要素あり、報われてるか?」なSSは実在する。
が、やはりちょっとこれを主流にするのは難しすぎる気がする。

とある漫画サイトにて連載されている作品において、「血筋も才能もない主人公が唯々一方的に酷い目に逢いながらもめげずに冒険する」作品がある。
しかし、「家を潰して跡地を噴水にする」「濡れ衣から最大HPが1/100になる呪いを受けさせられる」など主人公へのイジメが度が過ぎてギャグの域に達しており、コメント欄が主人公への同情ではなく、「そうはならないだろ」という声で埋め尽くされている。
漫画サイトのコメント欄は作者を応援する場なので、たとえ作品の展開が気に入らなくても絶対に罵声を書き込んではならない。

2024/1月、過去に「ニセモノの錬金術師」という異世界転生モノをpixivで発表(のちに商業化)した
杉浦次郎が「めちゃくちゃ追放される話」というクラス召喚短編を発表。
主人公が強くなる反動で嫌われ度を高めるスキルを得る設定があり、主人公は顔を見るだけでも
召喚した女神が怒りを抑えられず暴力に走るほど嫌われる様に。
クラスメイト達は「我慢に我慢を重ね、殺意をやっとの思いで抑え」る事で「殺したいほどムカつく主人公を作戦に組み込み」魔王を討ち果たす。
しかしスキルを捨てるとかが出来る世界観でもないのか、主人公は全身をフードで隠す世捨て人に。

一応、ゴーレム等人間とは感情の動作システムが根本から違う存在とかの救いはあるのだが、
クラスメイト達「英雄」に別にざまぁはないし、主人公は顔を見せるだけで感情を喪っていた人物に殺意級の嫌悪を持たせる存在なのは変化なし。
主人公は世界や人々を救えるのならどれだけ嫌われてもいいという菩薩メンタル族だからまあよかったが……。
ひくわー女神さんひくわー。
作品自体は好評なのだが、商業作品をニセ錬以外でも出している商業作家の腕前があるのは忘れない方がいい。

活躍しない、伴侶の尻に敷かれ続ける、愛玩系主人公



たとえ俺がどんな道を歩もうと
あんた(ジョルジュ)は一生 俺の師匠だよ

…!

俺が好きなのはクラリス 君だけだ
俺は生涯 君だけを愛するよ

私もです エディアルド様


単純に「かわいい」、「魂が綺麗」、(先述の男が居ない世界なので)「世界で唯一の男である」等の理由で、大した能力も才能もない主人公の存在そのものが特別として扱われる。
展開としては、しょうもない事で褒め称えられたり、別に偉業を成し遂げた訳でもないのに異性がワラワラと寄ってきたり、別に頼んだ訳でもないのにかつて主人公を無下に扱った人間達に報復したりする。
作者も読者も間違いなく草食系
「弱い主人公を守る超強いヒーロー」という事で、おねショタ異類婚姻譚との相性も抜群。ただし、魔王公爵の二つ名を持つお父様*22はその通り名に違わぬダークヒーロー然としているので、真っ当なヒーローとは言い難いかも?

「残虐すぎる異世界でも鈴木は可愛い」という作品では、ヤクザと入れ違いになり万年戦争をしているえげつない世界に異世界転生してしまった主人公が、「かわいい」のただ一点のみで切り抜け、残虐だった世界を変えてしまう…というエロ&ギャグ作品となっている。

女性向け作品でもこの傾向は顕著であり、伴侶が鬼やドラゴン等で、身内から迫害されていた人間である主人公を一方的に可愛がる…というシンデレラストーリー作品が多々あり、幾つもの作品が書籍化されている。

男女問わず夢の展開である事に間違いないものの、肉食系とは言わずとも自分の人生にきちんと当事者意識を抱いて前向きに生きている人間達からしたら、そんな作品は虫唾が走るほど嫌うのではないだろうか。
その時は作品に噛みついたりせずに見なかった事にしよう。きっとあなたの努力を見てくれている人間はいる。

スローライフ

上記でも少し単語で触れたが「スローライフ」という語を冠したりあらすじに記載した作品群があり、
これは「活躍ではない」と言えるかもしれない。

かもしれない、となるのは「スローライフとはそもそも能力等の要求水準が高い」事に起因する。

例えば「異世界迷宮でハーレムを」という有名作があるが、原題での「異世界迷宮で奴隷ハーレムを」というタイトルの通り、異世界に存在する奴隷制度を用いて美少女奴隷を買って戦闘要員等として侍らせる、という作品である。

本作の冒頭は転移転生の別が明示されていないが、このすばのカズマに近い方式ではある。
つまり『現地のカネモチの子として転生』という方式では全くなく、高額資産の持ち主ではないため主人公は冒険者になる。
そして活躍を「内密に」させて、稼いでハーレムを回していく。

ところで、タイトルである「奴隷ハーレム」達成には何が必要か分かるだろうか?

そう、お金様だ。次点でチート。

なぜなら奴隷は商品であり、いい奴隷は当然いい値段がするからだ。
天竜人ごっこがしたければ金を積むんだえ~。

なろうでは「捨て値やタダでもいらないが仕方なく保持している様な奴隷を引き取り、主人公が何とかする」という展開も(それ自体は慈悲心からでも)有る事はある。
だがそれは例えば「異世界で上前はねて生きていく~再生魔法使いのゆるふわ人材派遣生活~」の様な一般とは隔絶した欠損再生治療だの、特殊な意思疎通法だのといった、彼らを活かす為の何らかの強みを主人公達が所持している事が大概は前提となる。
つまりカネを積めなくともカネになるレベルの高い能力が要求される。チートや!チーターや!としか言えないだろう。
少なくとも平々凡々としたキャラがただぼーっと生きる、という描写の積み立ての果てにあるものではない部分が大きくなる。

せせこましく毎日働いて稼ぐその日暮らし冒険者の物語にも需要が無くはないかもしれない。
だがこれは「スローライフ」とは定義が真っ向から対立する。

一応、チートをひた隠してうまく隠蔽しつついい生活してる庶民に収まる作品もある程度はある。
しかし本人は平凡・平穏希望者のつもりで「なんかやっちゃいました?」になる、というかそういう台詞が出がちになるのは、
そもそも論として高いスペックになりがちだからである。

そして、スローライフすると言いながら、思いっきり内政や外交、果ては魔王軍討伐に関わる作品もある。メタ的に言うと、スローライフだけでは話が盛り上がらないためである。
「相手が一方的に仕掛けてきた」「理不尽な重税を課してきた」という理由付けで、本来なら農業や工業に使うべきチートパワーで相手を蹂躙し、盤面を荒らすだけ荒らした後は「俺達はスローライフしたいんで邪魔しないでくださいね」と言って責任も取らず立ち去る…というのがお約束である。
主人公側は仕方なく応戦しただけだから…それもこれも敵が悪いんだから仕方ないよね(棒読み)。

強すぎる主人公を政治や中央から遠ざける意図でスローライフさせるというものもある。
科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌」では、主人公の親友である脇役が、人間と敵対している敵性種族を率いるリーダーになってしまうも「自分を放置した方がいい」と人間国家に圧をかけてスローライフを満喫しようとする。
恐れ知らずにも親友の国に攻め込んでしまった人間の兵士達は…
一方で主人公の方は「攻め込まれたとしても反撃できる武力を持っている」一方で、「ハーレム程度で地球の知識や思想が手に入るのなら安い」と各地から女性を差し出され、スローライフはせずに大所帯を率いての旅を満喫している。

他のパターンとしては、「文明がスタートする前の世界に飛ばされた」「『開拓地の開拓』という使命を背負わされた」等、否応なくスローライフを強いられる、いやスローライフ以外にする事がないというものも。

スペック

上記に関してスペックの問題も記載する。奴隷ハーレムもそうだが、現地カネモチ転生以外のパターンは現代知識含めチートがお供になりがちである。
死んだら話にもならない、主流になりにくい事は前述したが「チート縛り平凡生活」も実は厳しい。

なぜなら転移者等は特に「なにもない」からだ。戸籍や住居や仕事などが。
酷いものだと識字や翻訳の補助すら無いかもしれない。有名作だと『風の万里、黎明の空』の鈴(子供の頃に昔の日本から十二国記世界に迷い込み定住する羽目になったため、ずっと現状に適応し切れず色々な鬱屈を抱えていた一般人)がその好例だろうか。
10進数でなく16進数を採用しているから数学も通用しないかもしれない、化学反応も異なるので理科の勉強も通用しないかもしれない。というのは異世界転生者をネタにした単発ギャク作品の描写である。

とんでもスキルで異世界放浪メシ」の主人公は、召喚事故に巻き込まれ異世界へ飛んだ。
彼は戦争をやらかしそうなキナ臭い召喚国(「勇者召喚悪用」の具体例の一種)を抜けるため、
自分はいらない様だしちょっとお金くれれば出て行きます、と言って当座の資金を得た。

そして国から抜けるために、貰った資金の1/3に当たる金額を旅の護衛の冒険者依頼に充てた。

「1/3」である。その先どうなるか分からない中、決して少なくない金額、現地で通用する資金を突っ込まざるを得なかった。
作品的にはシビアな空気の物語ではないし、その後は超強い従魔等とやっちゃいましたか案件を連発するのだが……。

しかし、従魔を得たのは地球の物資購入系スキルで手にした調味料など現代日本文明チートのパンチ力あってのもの。
従魔獲得は全くの偶然だったが、主人公の向田は「スキル自体はカチグミ」だという事を認知していた。
先々商売に使えるじゃん、と思っており、楽観的になれる要素が従魔以前にはっきりして見通しがあったのである。

ゴミスキルを育てながら不安で五里霧中の状態で当座の生活費1/3を全くの異国にて消費、「ではない」。
そういう物語もなくはないし需要もあるだろうが、ちゃんと連載が継続されないとゴミスキル強制の方が読者は当然やきもきする。

この辺のバランスや逆張りの関係か「チートという程でもない」「現地でも使い手がいる」「そこそこ程度のスキルを主人公の解析や組み合わせ発想力で上手く使っていく」様な作品も無くはない模様。


◆活躍の代償(自重しない主人公とする主人公、そして『異世界人狩り』)

ほとんどの作品でいえる事だが、異世界モノの小説は主人公が活躍している時期を切り取って見せている。
異世界に移動または転生し、少年期または青年期(稀に壮年期)までの成長を書くのが主流で、その人生をまっとうした老後や死までを描写する話は少ない。

ゆえに知識チート等で超技術をバラ撒いた結果、世界水準を超えてしまった地域がどうなるのかまでは滅多に描写されない。
極端な例え方をすると、200年後のロシア人が現代へと転生し、23世紀から持ち込んだ知識チートでロシアを誰も追いつけない無敵国家にしてしまったら、はたして世界はどうなるのか。
ユーラシア大陸の北側をバリアで覆いながら、全世界の都市に向かって核ミサイルを乱射する化け物になる姿は容易に想像できるだろう。

幸いな事に主人公の転生先は中国や北朝鮮ではなく、話の分かる賢人が善政を敷いているケースも多い。そうでない圧制者は主人公の敵となり、クーデター等で倒されてしまう。
但し、この項目の冒頭で書いている様に異世界モノは『その時期を切り取って見せている』のがほとんどなのだ。
国家が善であるかどうかは時代によって変わるもので、何なら日本だって90年程前には陸軍が穏健派の政治家を暗殺して権力を握っていた。

知識チートは発展していく瞬間を見れば楽しいものだが、後々の事を考えると素直に喜べない側面もあるのだ。
不老不死でもない限り、いずれ主人公は知識や超技術だけを残して世界から去る事になる。
その後の100年、200年で何が起こるのかを書いている作品は意外と少ない。

また、転生者が神話レベルの行いをして世界に名を刻んだならば、その血と権威をめぐって壮絶な争いが起こる事も予想される。
特にハーレム展開ならば主人公の血を引く子供が多く残される……つまりは子種と共に後継者争いの火種までバラ撒かれてしまう訳だ。
アレクサンドロス大王やチンギス・ハーンの死後、国がどうなったのかを見れば、時代の覇者が後継者をたくさん残すのは良い事ばかりではない。

更に、無視してはいけないのは『転生チート>現地人の才能と努力』になりがちな話も多い点である。
これは研鑽を積み、後世へ伝え、優秀な者の血を濃くするという幾千年の人類史そのものを否定する危険性を孕んでいる。

――と、以上を踏まえて異世界モノを読んでみると、上記の問題に関しては色々なパターンに分かれている。

  • 自重しない:その後の世界がどうなるのかは描写せず、ひたすら主人公が楽しく無双する時代のみを読者に伝える。書き易いため最も作品数が多い。
  • 自重する:自分が世界に及ぼす影響を危惧し、過度にならない程度のペース配分で活躍する。とはいえ「なにもしない」のは物語としてつまらないので、主人公の尻を蹴飛ばして行動を急かす相方やマスコット等が登場したりする。
  • 人を立てる:自分が持つ知識を共有し、現地人の手で世界に広めてもらう。(「異世界食堂」等)
  • 未来計画:「自分がいなくなっても、みんなが後を継いでいける様に」と後世の事も考えて計画を進める(「オルクセン王国史」等)。作品によっては、その後の世界の変遷まで描かれたりも。
  • バタフライエフェクト:全く関与していないはずの異国が滅ぶ等、影響が巡り巡って予想外の展開になる。「ゲーム世界に転生したが、イベント内容が変わって攻略知識が役に立たない」等のネタに使われる。
  • 自分の後継者に転生:自分自身の子孫や、弟子の弟子等に転生してしまう。未来を描くと同時に過去の自分の問題点に気付く展開になる。
  • 過去が描写される:先代の異世界人が残したものを描写する。良い場合もあれば、先代のやらかしによる世界の乱れに対し、主人公が尻拭いや後始末を背負わされる場合もある。*23
  • 決裂する:最初は協力していたが、価値観の違いや現地人同士の諍いに巻き込まれた等の理由で現地の人間に見切りをつけて敵対種族側に寝返る。

また、現地人の扱いについても様々。

  • 主人公が最強:現地人は何をどう頑張っても主人公のチートを超えられない。才能、努力、先祖から受け継いだ伝説の武器すらも通用しない。
    「主人公がやった方が早いし優れているので」と、主人公が軍事インフラ産業交易全てをワンオペする国家を描いた作品も。*24
  • 現地人の上位陣の方が上:現地人、特にエリート階級の中に、主人公を超える能力を持つ人物が存在する。味方側なら、主人公の能力や知識を見込んで厚遇すると同時に利用価値が高い手駒として扱き使う。
  • 共生する:主人公を中心としつつ、それぞれの担当分野を優秀な者が支える。村モノ、戦記モノではこれが鉄板。
  • 主人公がサポート側:鍛冶職人や商人、料理人等に転生して現地人の活躍を支える。主人公が無双しつつサポートを兼ねる場合もある。主人公に「責任を負う立場に立ちたくない」と好き放題させる理由作りにもなったりする。
  • 転生者を利用する:現地人側は異世界人(日本人)がチートを得る事を知っており、利用する為に積極的に招かれる。作品数が多い人気ジャンルの一つで、転生者同士のデスゲームに放り込まれたりもする。
  • 異世界人を狩る:世界を歪める危険物とみなし、転生者を見つけ次第に殺害する。

最後の異世界人狩りに関してだが、「アンチなろう系」「アンチチートもの」という形で国内外含めて多くの作品が輩出されており、近年ではジャンルの派生として定着しつつある。
ファンタジー世界に現代知識を持ち込めば国家間のバランスが崩れかねないし、もたらされた技術をめぐって争いになる事も想像できる。
また、才能や努力では決して追いつけない最強チート持ちの異世界人は、すなわち現地人の価値と歴史を全否定する危険物でもある。

これは現代日本でも起きている事であり、何十年も頑張ってイラストを描き続けてきた絵師が、1日に数百枚のイラストを量産するAIの出現に脅かされる光景とよく似ている。
そして実際にAIは「ずるい事をしている」と批判され、使っている者を叩いたり、ブームそのものを食い止めようとしたりと、過激な反AI思想が広まっている。
才能を持ちながらもAIの出現によって筆を折られた絵師は何人もいるし、異世界モノの主人公がそうである様に、AIの使用者が善人であるとは限らない。
そもそもチートの中にはAIと同じく、現地の法や戒律を破らなければ使えないものもある。(プライバシーの侵害や貨幣偽造、インサイダー取引等)

これらの理由から、現地人が世界と地域社会を守る為に転生者を狩る行為に及ぶのも当然といえる。
但し、狩る為には現地人がその存在を認識しなければならず、転生者が素性を隠している限りは排除も行えない。
多くの作品では「俺、実は日本から来ました。チート能力持ってます」と主人公が言いふらす事は滅多になく、打ち明ける場合でもごく少数の信用できる者に対してのみ知らせている。
能力についても過小報告している場合が多いのだが、お約束の『魔力測定をする水晶玉』の様に実力を隠しきれないケースも多々ある。

主人公が異世界人であると知らない場合、狩るどころか誤った判断で活躍させてしまう事もある。
物語としてよくあるのが、「主人公を大切にした側が利益を得て、逆に主人公を追放したり非道な扱いをした側が落ちぶれる」というもの。
「シンデレラストーリー」や「追放もの」はこの流れが特に顕著だろうか。
落ちぶれる側は、「あいつにあれ程の力があるとは…」「あの時主人公を大切に扱っていれば…」と後悔するが、「ザマァ」「もう遅い」と主人公から突き放されるのがテンプレである。

また、乙女ゲームを題材とした作品では主人公がモブや悪役に、ライバル(または元凶)となる他の転生者がヒロインに配役される事もある。
主人公は滅茶苦茶な事をやらかすヒロインを排除する為に暗躍し、結果的に異世界の出身者同士で片側を『狩る』流れになる。



◆『主人公の敗北』『主人公の失敗』を描くか否か?

読んでて気持ちいい思いがしたい!という時に、自己投影している主人公の敗北や失敗は非常にノイズとなりうる
そういう不快要素は物語冒頭にまとめて、物語中盤からは主人公無双して敗北や失敗のフラストレーションをぶっ飛ばす…という作品も珍しくない。
だが、中には主人公の過去の失敗をネチネチとほじくられたり、主人公のトラウマを延々と突きつけられる作品もある。
こういった作品は「過去を乗り越える」「次こそは失敗しない」という主人公の成長、再スタートに焦点を当てた場合が多く、一部では人気を博している。
無職転生」では、タイトルのとおり無職のおっさんである主人公が、転生後も人間関係で失敗を続け、それでもなお泥臭く生きていく物語である。
「異世界に飛ばされたおっさんは何処へ行く?」では、チート能力を手にした主人公(35歳)が異世界をゲームの世界だと勘違いしてしまった結果、物語冒頭で貴族への暴行、転売、そして現地人の殺傷を行ってしまう
その後しばらくの間、主人公はその時の悪評に悩まされることになる。

…一方で、「陰湿な作品は読みたくない」という声があるのもまた事実であり、
  • ルサンチマンやコミュ障など、主人公の明らかに改善すべき悪い性格を「素敵!」「個性的!」とヒロインが全肯定する
  • 主人公に身内を殺されてなお、「それが弱肉強食というもの」「兄や両親は殺されて当然な人間だった」といった理由でヒロインが主人公を肯定する
という、読んでいる側としてはホラーとも受け取れる作品があるのもまた事実である。*25

◆『先代は普通の鎧一枚で激戦に出ても傷を負いませんでしたよ』

此の言葉は史実を基にしたと言われる逸話であるが、<チート>に対するアンチテーゼとして良く知られている。
加藤清正の息子・忠広が先代・清正時代からの重臣・部将と談話していた際に
「儂は父上の様な力、否、十人力位の力が欲しい」
と言い出した。
向上心の表れかと喜んだ老臣の一人が
「体格や力は生まれつきが大きいですが、学や知恵で将としての器を磨けば大丈夫です。」
と勇気づけたが、忠広は
「十人力が有れば鉄砲でも貫徹出来ない鎧兜を二枚重ねに着ても自在に動けるから絶対にやられない」
と答えた。
それを聞いた清正の若年時代からの友人で槍の達人として知られた家老・飯田直景が放った言葉が上記の言葉である。
幾ら力が強くても、頑強な鎧を着ていても、やられる時はやられる。
其れよりも、先に老臣が言った様に勇気と知恵で家臣の信望を勝ち取って、鉄壁の部隊連携を築いた方が余程生存率が期待出来る。
しかし、父の友人からの諫言を忠広は理解出来ずに、直景を部屋から追い出してしまう。
この一件で、直景は忠広を見限り、実際に後日、忠広は義弟の紀伊頼宣ですら庇い切れないと匙を投げる顛末で幕府から改易された

一見、無敵とも思える特殊能力を持っていても、信望の無い人間はどうしても隙が出来るし、特殊能力に慢心していたら余計にそのリスクが高まると言う先人の知恵を纏めた逸話と言える。


他にも無敵チートのエピソードならば、英雄ジークフリートの逸話として竜の血を浴び不死身となったが唯一木の葉が張り付いていた部分だけ血が……。という物語や、
弱点の事を「アキレス腱」と言い表す慣用句にもなっている英雄アキレウスの話(赤子のころ無敵になる川の水に母が漬けたが握っていた足首だけが無敵でなかった)、
女神の母乳を飲んで不死身となったヘラクレスが愛人を作って妻を嫉妬させた結果、惚れ薬と偽られた猛毒がしみ込んだ服を着せられて普通なら致命傷となるダメージでも死ねずに地獄の苦しみを味わった末に自ら焼死する、という伝説も存在している。

東洋の例なら、斉天大聖孫悟空は寿命が延びる桃を喰らった等の理由で殺害が困難となるが、仏に岩の下に封じられ数百年を過ごさざるを得なくなっている。(殺されてはいないが無力化)

そういう意味では古今東西無敵チートがそもそも完全完璧ではないケースが散見される。


◆異世界をぶっ壊す!

物語で倒される様な魔王となり、主人公が異世界の破壊者となるという作品もある。

古いものだとマイクル・ムアコック氏の『永遠のチャンピオン』が有名である。
異世界に召喚された主人公・エレコーゼは異種族・エルドレン相手の決戦戦力兼旗印にされたのだが、人間内部でもエルドレンを絶対悪と見做す多数派と『単なるニッチの重なる異種族同士の衝突*26』と俯瞰的に見る少数派に分かれており、次第に主人公は『エルドレンを絶滅させたら人間同士の争いが爆発する』と危惧する様になる。
エルドレンの絶滅ではなく有利な条件での停戦を結んだ方が人間内部の諍いは抑えられるとの意見に傾いた主人公に多数派は激怒し、彼を裏切り者として討伐しようとして逆にエルドレンと手を組んだ主人公に人間が殲滅される…。
エレコーゼは第二次ポエニ戦争後のローマでカルタゴに父を殺された名将スキピオが『カルタゴやマケドニアを活かして利用すべし』と主張して反対派に潰された末に、国内貧困層の増大と内戦に突き進んだ史実の逆ルートとも言える。
実はこの作品、1955年に原案が練られ、作品として発表されたのが1962年、現在の形に整ったのが1970年とかなりの年月に渡って推敲されている。
ファンタジー小説界の大家が長年にわたって推敲し、彼の作品群の代名詞になる程の傑作であり、異世界破壊モノとしてはこの作品以上の完成度を練り上げるのは今なお困難と言える。


ある作品では、勇者として召喚されたのに魔王からの誘惑に喜んで乗ってしまったり、
ある作品では、地球でも苦しめられた貧富の差に異世界でも直面して、格差を憎むあまり「原始共産主義」を広めようとしたり、
ある作品では、「勇者として活躍したのに最後で裏切られた!」と魔王側に寝返り…等々、
同期は様々だが、異世界人を相手に殺戮を働いたり戦争を煽ったりする。

ある作品では、手にしたチートパワーを異世界住民に向け、
ある作品では、中世世界で銃器を流行らせて世紀末を到来させたり
ある作品では、意図的に世界的大不況を招き、大勢の人間を不幸のドン底に叩き落としたり、
ある作品は、露骨に他人の異世界モノ作品のキャラクターを登場させ露悪的に描き、それを殺しまくったそれはダメだった

積み上げた積み木を壊すのは作者の自由である。
それが作品として面白いかは別として…


◆『中央アフリカから来た男』

19世紀末~20世紀前期の英国人SF小説家、歴史家のH.G.ウェルズが自著「タイム・マシン」で主人公に語らせたたとえ話。

  • 現代(19世紀末)のロンドンに中央アフリカの山奥から一人の男がいきなり連れて来られたら?
  • 当時の英国の社会システムや最新の技術をどれだけ理解出来るだろうか?
  • 彼が聡明な男で親切な案内人が現物を見せながら丁寧に説明すれば、彼は相当の水準まで理解するかもしれない
  • しかし、彼が故郷の仲間に物証も使わずに英国の最新技術を理解させる事はほぼ不可能だろう

 中央アフリカから来た男は「現物を見せながらの説明」というプロセスである程度の再検証性を担保されているが、故郷の仲間への説明には再検証を行うのに必要な現物サンプルを使う事が出来ない。
 男の言葉が正しかったとしても、仲間には再検証性が担保されていない疑似科学と見分けがつかないし、自分達が見た事が有る物レベルに落とし込んでの想像が精一杯だろう。
 「タイム・マシン」では「現代人同士でも現物を見せながら説明をしないと他の文化の技術なんて理解出来ないのに、異世界を案内人も無しに理解しろって無理な話だよ」と異世界の全体像をぼかしている。
 其れを言ったら、「全知全能、少なくとも人間より遥かに知識も知能も優れた神からの預言も預言者が神からの助言を基に周りの人間のお頭に合せてたとえ話をしているだけだよ」となってしまうのだが…。


◆異世界≒だいたい「人」がいるっぽい

異世界モノらしさ、を定義づけるファクターとしてもう一つあるのは、
恐らく「友好的で、かつ主人公グループではない集団等が存在する」事であろうと思われる。

これは逆説的に無人島モノを見てみると分かる。

異世界でサバイバルする作品

アニメ「無人惑星サヴァイヴ」は上述の様に「別の惑星で高度技術を用いる」要素がある話だが「火星のプリンセス」の様な異世界モノらしさは薄い。

これはなぜかと言えば、個体では現地宇宙人もいるが集落レベルの知性体は現地にいないからである。
このため「神の様に崇められる」どころか「集団の一部として称賛される」という要素すらなく、物語の大半は漂流した生徒達の身内の描写になっている。
これの類似例としては小説『突変』があり、「地域レベルで異世界『裏地球』との転移・交換が頻発する地球」という設定ながら、
「裏地球」に知的生命体がいないため、登場人物達が出会うのは「先に転移していた、元の世界の人々」と「異世界の動植物」だけというサバイバルものに近い作りになっている。


これを置き換えて考えてみると


主人公はファンタジーの世界へ転移してしまった! 言葉の通じるエルフ? ドワーフ? いないよ。偶然近くにいた野盗はどっかにいるはず。
ウガウガしか言わないゴブリンとかトロールとかオンリーの世界で、モンスターを殺して剥いで食べ、強盗を警戒しただひたすらひとり泥臭くも逞しく生き延びるサバイバルが、今始まる……!


舞台設定だけは紛れもない異世界である。

が、こんな作品が世に幾つもあるだろうか?
一応、「科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌」の外伝作「織津江大志の異世界クリ娘サバイバル日誌」にて、火おこしから製鉄、危険な敵対種族と原始的な武器と近代戦術戦闘をもって立ち向かうと、それに近い事をやっている。
少なくとも火星のプリンセス≒宇宙開拓史≒MARの様に、SFや宇宙モノと一定の共通性や互換性のあるファンタジー作品の例は少ないと考えられる。


楳図かずおの『漂流教室』は『十五少年漂流記』等のサバイバルものに近いと言われるが、集団を持ち知性や文化もある「未来人」と称する生物は敵対的であるし、また学校にいた大人の関係者の中には子供達を支配しようとしたり、殺しに来る「敵」もいる。

「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」は、広大な砂漠に墜落した飛行機に乗っていた者達が脱出を試みる様を描いたサバイバルものである。
対して漫画「王家の紋章」は、古代エジプト文明の学者を父に持つ少女が古代エジプトにタイムスリップさせられ、
その知識を用いて現地の王等に保護やら恨みやらを受けつつ彼らと生活しながら生き残っていく物語。


こうしてみると全般的に「主人公(ら単一グループ)vs敵対的な周囲や環境」というだけでは根本的に「サバイバルもの」の性質が強くなりすぎるのだろうと思われる。
トウェインやバロウズの描いた「異世界(環境)での無双・活躍」の様なイメージを「異世界でサバイバルしている」作品に対して読者も作者も共有している感じは見受けにくい。

要するに「主人公に対して友好的なものと敵対的なもの」の両者を以て「世界」があるとでも言うべきだろうか?

敵対的性質オンリーの場合、知性体がいてもそれは「動く障害物」であり「生きるために対策すべき邪魔者」となる。
その中で主人公グループの方針対立による内ゲバが起きたり、その解決のために交渉を試みたり…(この辺はだいたい『漂流教室』に見られる)
こういうひたすら生きるための努力にフォーカスされると「異世界性」というものがどうしても希薄になるのだろうと思われる。

また電撃文庫の『千早ちゃんの評判に深刻なエラー』では「知的生命体不在の異世界が大量に発見された結果、地球の諸国が異世界という名の新たな資源の鉱脈を入手した近未来」を舞台としており、
異世界から新種のウィルス等を持ち込まないため、人々が地球から遠隔でロボットを操作して異世界探索・資源採集・開拓にあたるという捻った設定となっている。
結果コミュ障の主人公は「ロボット使いのフリーター」という収入面ではリスキーだが人に会わなくてもいい完全在宅リモートの仕事に就職、異世界の動植物と時々触れ合いながらネットで探した依頼を熟し…無自覚に色々とやらかしていく事になる。

とはいえ異世界を旅するという作品もなくはないし、藤子Fの短編「みどりの守り神」では、
知性体ではないが動物の治療や食事に役立つ様になっている植物が出て異世界感を持っていると言えなくもない。
この辺りはやはり描写の重心の問題もあるのだろう。

◆『◯◯』には転生しない?

王族から奴隷、エルフやモンスター、アンデッド、動物から無機物に至るまで、主人公はほぼ何にでも転生する。作者の思いつき次第で本当に何にでも転生できるのだが、これにだけは転生しないという社会的なタブーがいくつかある。

まずは黒人
十中八九、シャレにならない方面からのクレームが来るので、多くの作者は黒人の描写を避ける。日本人から白人への転生は数多いが、一方で黒人に転生しないのは今さら理由を言わなくても分かるだろう。
これは決して差別ではなく、なろう作者は基本的に日本人なので、日常的に関わりにくい人種は書くのが難しいという理由もある。そのため、文化的に馴染みがないイスラムやヒンドゥーなども、主人公を取り巻く環境としては避けられる傾向にある。作中の舞台が砂漠の国でも、崇拝している神は四大元素や自然神だったりする。

『差別』を社会風刺を取り入れる場合は獣人や魔族、ダークエルフなどで代用され、黒人という人種そのものが登場しない作品が多い。例外として織田信長やその側近に転生する作品に''弥助''が登場することもあるが、弥助本人に転生する作品はない。

次に食人鬼
これも倫理的にタブーとされているためNG。敵側に人食いモンスターが登場する一方、主人公が好んでカニバリズムを行うことはない。
「モンスターを食べたら強くなったって? じゃあ、人間を食べても強くなれるのでは?」
などと疑問を感じてしまった読者もいそうな気がするが、駄目なものは駄目である。
転生モノではないが、『ダンジョン飯』においても亜人(亜人系魔物)だけは絶対に食べないという描写がある。あいつらでさえ食わないんだから、もう諦めよう。

そして、ロ◯コン
どんなにモテモテな主人公でも、これに手を出すのは駄目。最悪、掲載できなくなってしまうので、どうしようもない。
とはいえ日本が合法と定めている18歳という枠組みを外し、異世界なので多少のズレがあってもセーフとみなされる場合が多少はある。*27
タバコや飲酒もこれと同様で、世界そのものが違うので10代半ばから服用が認められていることもある。

また、肖像権の都合上、近代の有名人に転生するのも問題がある。
アドルフ・ヒトラーや東條英機など、およそ1世紀前の人物ならフリー素材なのでだいたいセーフだが、マイケル・ジャクソンあたりはさすがにまずい。
とある小説コンテストでは『プロ野球の桑田に転生して、 清原をドラッグから救う話 』が持ち込まれたとして一時期話題になったが、こういったものはアンダーグランドな同人小説扱いであり、商業作として出版する場合は本人たちの承諾が必要である。
承諾さえ取れれば面白い作品も多く、映画『イエスタデイ』は、売れないミュージシャンがビートルズがいない世界へ転移し、ビートルズの名曲を歌ってヒットさせまくるという知識チートを描いている。

◆異世界での言葉

※この節の内容については人工言語の記事も参照する事をオススメします

ネットでは「異世界に行ったのにすぐ言葉が通じるのはなあ」という否定意見がある。
しかしこれもまた、考えてみれば読者の理解が求められる部分である。

言語学ガチ勢等が本気で言葉を習得するまでの物語、カタコトが通じる様になり徐々に友人等が出来て…
という作品があれば、それは立派な異世界モノだろう。だがそればかり掘り下げようとしたら異世界言語学モノになってしまう。
そうなれば「トールキン得にしかならないだろ!いい加減にしろ!」と反感を持つ読者も出てきかねない。
架空世界創作の界隈の用語ではこの様な「作り込むほど売れなくなる」現象は「商精反比」と呼ばれている。

作る側としても人工言語や架空言語を作るには専門的な知識が要る上、にわかに競技人口も多い(例えば後述する架空言語「アルカ」を題材にしたシェアードワールドやそのフォロワーないしフォロワーのフォロワーたる所謂「架空言語界隈」, あるいはそうした界隈から距離を置きつつも地学的な現象からのアプローチや自主制作映画等のメディア化にも積極的なアルティジハーク語をはじめとする中野智宏氏による創作物群, 他、海外の創作者等)ため学問的に自然な言語を作って自作品に組み込み、更に平均的な完成度にしようとする事は至難の業である。
知識に関して例を挙げれば言語学者のJ・R・R・トールキンは指輪物語に登場するアルダの言語を作るのに13歳から始めて81歳で亡くなるまでの68年を費やしているし、
19130の語彙を持つ日本最大級の人工言語・アルカは作者セレン・アルバザードが他の全ての創作活動にかける時間を捨てて22年の歳月を経て製作している。
専門知識を手に入れる為の資金や時間だけでも膨大な量に上るため、作品作りと言語の創作の両立は至難の業なのだ。

更に言えば、異世界の言語を作ってしまうと
今度は「人がいて人の使う言葉を喋れる様な世界に行ってる時点でかなり確率低い所を引き当ててる筈なのに、なんで言語だけは違うの?」という問題も出てくる。

故に言語の超速理解や翻訳前提が多い事にも「仕方ないね」「突っ込んではいけない」「こまけぇことはいいんだよ」の精神がある程度は必要なのだ。
「意思疎通はできても、異世界の文字は読めなくてそこから何かのネタになる」という展開等もあるので作者達も考えていないばかりではないはずである。

具体例としては、TRPG『異界戦記カオスフレア』で、「異世界からの来訪者がやたら多い世界なので、世界を覆う『結界』に自動翻訳機能がついている」として言語問題を解決、
「『結界』がおかしくなると言葉が大変だよ?」(翻訳機ある来訪者も多いけどね)と言う話もした事がある。
『十二国記』の『月の影 影の海』では最初主人公が普通に日本語で異世界の言葉を理解していたが、後に日本からの他の漂着者達との出会いで「本来は日本語が通じない(漢字での筆談でもかなり大変)」と知り、それが異世界転移の背景の伏線となっていた。
ちなみにこの世界には「不老で再生力の高い身体と言語に不自由しない感覚を得る『仙籍』」というシステムがあり、続編『風の万里 黎明の空』では小間使いではあったが『仙籍』を得た日本人も登場している。
電撃文庫→電撃の新文芸の作品『Bebel』ではこの「翻訳前提」が話の核となっており、当初異世界でも普通に言葉が通じる事に疑問を持たなかった主人公が、
後半にて「舞台世界にある特殊な言語取得法則とその揺らぎ」の問題、及び地球の言語事情を知った異世界人から出た『ならなぜこの世界の言葉が法則外のはずの主人公に通じたのか』という疑問に直面し、それを解いていく事になる。

他には、漫画『ドリフターズ』では『先に来訪していた人物が日本語↔現地語のほんやくコンニャク的なのを作っていた』という形で解決が図られている。
当初は主人公の一行は、半年かけて異世界言語を片言ながら習得した仲間が通訳する事で異世界人との意思疎通を行っており、
その仲間が居ない時は当然言葉は通じないため、身振り手振りや現地民に「タスケテ(助けて)」と発声する事を強要する*28といった強引な方法を取っていた。
後に主人公らに先駆けて異世界に来た人物が上記のアイテムを主人公らに配った事でようやく解決したのである。
これは「異世界では言葉が伝わらないのが普通」と「とはいえ同じ問題を何度もやっていては話が進まない」という指摘を同時に解決するものでもあると言える。
また本作では異世界の文字はひらがなをマヤ文明の文字の様に変形させた様な横書きの文字として形容されており、
異世界人の台詞には吹き出しの中に日本語と同じ文章が併記されている。

こうした異世界の言語考証の問題に真っ向から立ち向かった作品として、
ガチの言語学マニアが書いて書籍化までこぎ着け、それなりに売れた『異世界語入門 〜転生したけど日本語が通じなかった〜』という例がある。
この作品では、主人公が転生した異世界で日本語が通じず、言語学の知識を用いて主人公が現地の言葉や文化に慣れていく様子が、異世界転生もののフォーマットに落とし込まれた上でクローズアップされて描かれている。
この作品の人気度合いを見ると、この手のガチな要素に関心を寄せる読者が潜在的に一定数存在する(=必ずしも「トールキン得」とは見なされない)のだと考えられるが、
この作品自体が異世界での言葉に関する問題提起をセールスポイントにしており、むしろこうした宣伝が読者の興味を引いている側面が大きいと言えよう。

変わった例だと過去に地球人が大量に転移してきたので異世界でも普通に地球の言語が通じる、というものがある(例:スターゲイトシリーズ)。もっともそれは日本語や英語ではなく古代のエジプト語やメソポタミア語だったり地球の各言語を混合したものだったりする訳だが。
ゲーム「ことのはアムリラート」の舞台となる異世界では定期的に地球から転移して来る者がいるので主人公がやってきた時点で「ユリアーモ」という地球の各言語を基にしたリンガ・フランカ言語(共通語)が成立しているという設定。

また前述の「異世界Cマート繁盛記」では世界そのものに翻訳魔法がかかっており、一見すると普通に話している様に見えて実は種族毎に別言語を話しているという設定になっている。
主人公が話す日本語や別の転移者が話す英語も翻訳されるので会話に支障はないが、異世界に存在しない概念を話すと正常に翻訳されずにおかしくなってしまう。
作中では主人公がそれを逆に利用し、相手の反応を見てそれが異世界に存在するか否かの判断材料にしていた。

その他SF考証的な部分

言語問題等の様な『ツッコミどころ』と言われるものは、例えばジャガイモ警察と評される様な、考え始めるときりがない分野でもある(異世界or地球から未知の病原菌がもたらされる等…)。

一応言語以外の部分にも触れてみれば、たとえば地質や気候、植生等と、建築物、食物、衣服等との関係性や、
倫理観、文化の果たす機能、重力、時差、暦などが挙げられる。

例えば瞬間移動によって長距離を移動すれば、地面が球状なら時差が発生するし、
月が二つあるなら少なからず地球の軌道に影響を及ぼしている筈である。
出自が母系である社会は存在するが、女性が社会的な権力を男性より持つ未開社会は存在しない。

不確定要素は無数にあるが、完璧でないにせよ(あるいは全くの出鱈目であるにせよ)
こうした事象に読者をうまく納得させられる様な解説を加えていく必要があるのだ。
(一例を挙げると、上記文中に出てくる「宇宙開拓史」では舞台となる異星の二つの月の運行が潮汐作用に影響を及ぼしており、二つの月が重なると大潮になるという事がはっきりと描写・説明されている)

ここで、そもそも異世界への転移という現象や、多くは魔法という科学では説明のつかない技術が存在している時点で、
この種の科学的な常識が異世界でも通用するのかという疑問は当然存在する
(事実、『十二国記』に登場する異世界では水平線が見えるにもかかわらず地球が平面だと言われており、こちらの世界の常識が通用しない事が示唆されている)。

異世界モノの主人公の多くが現代の科学技術を持ち込むため、
結果世界観にまで科学のメスが入ってしまうのは致し方ないと言えるかもしれない。

科学考証は歴史の流れと連動しているケースがあるが、「この時代にこれがあるのはおかしい」的ツッコミに関して一例として「薬屋のひとりごと」ではコミカライズ・アニメになっている場面で”金や清時代の装身具”がはっきり印象的な使われ方で描かれている。それ抜きでは成立しない小道具レベルの大々的な描かれ方をしているが、日本で言うなら織田信長が幼少期に町へ繰り出したら江戸や幕末、下手したら開国後横浜みたいな市街描写だった、位の違和感と言っていい。ブルアカで「チャイナっていうけどあれチーパオやねん」*29と近年話題になったが、そういう感じである。しかし作中の国家「茘」は”史実中国パラレルワールド”ではないため、異民族の血と文化を持つ者が身に着けているシーンなので「異民族のものです」で説明付けられるため特に矛盾等が起きている訳ではない。そういう意味では「薬屋」もはっきりと”異世界”なのである。ファンタジーではないだけで。*30

逆に言語にしろこの種の考証にしろ、あった方がそれっぽさが出ると考える読者層が少なからず存在する事は
『異世界語入門 ~転生したけど日本語が通じなかった~』の書籍化からもうかがえる。

結論としては「できる人はやればいいが、やってもやらなくても(売り上げはどうあれ)完成度に違いはない」という事だろう。


◆異世界と活躍の関係性

この様に、「異世界モノ」には「活躍モノ」のファクターが混じり易いのだろうと思われる。
それは異世界の友好的存在との交流を描くものであり、故に異世界モノを異世界モノたらしめるための不可欠な一面であるからだ。


「異環境での活躍」は「俺TUEEE」的になりかねない要素を孕んでいるところがある。
「白人酋長モノ」は正にそうした点を批判されているものであり、オタ文化に限った事ではない宿痾である。
しかしこれらの作品全てがその様な性質を持つと見るのも早計である。


岩明均の漫画「ヒストリエ」では、主人公が文化を教え指揮する村に攻め入った敵将が、
「貴様ら蛮族はこの様な詩も知らんのだろう!」と言うと「知ってるよ、○○だろ?」と作者名を言い返されて驚愕するシーンがある。
前述の「日食? 知ってる知ってる(マヤ並感)」の様なもので、本当に知性や文化性が低レベルなら覚えようとすらしない、
覚えられないだろうが村人はごく普通に返答でき、知らんだろうと言った側の傲慢さと間抜けさが浮き彫りになっているシーンである。

また先発作品な『船乗りクプクプの冒険』で、原始的そうな住人に対してある人物が「これが現代の技術だ!」とやったら、
「いや、自分ら科学力有るけどあえて原始的に暮らしてるだけなんで」とそれ以上の技術でやりこめられた。

上述した『ノーゲーム・ノーライフ』でも(内政/NAISEIするのが主眼の作品ではないとはいえ)、
知識は供与するが具体的なところは元からいる官僚に任せた方がいいだろうと言っていたりする。

この様に、渡来者の主人公が現地の「無能な」「蛮族の」人間に何かを与えて「すげー!」と言われるだけで、さすが主人公という様な描写の作品ばかりではないとは言える。


逆になろう系などネット界隈では「召喚勇者に適当にモノを与えて魔王に特攻させよう」といった悪辣な王なども結構出ていたりする。
彼らが敵として無能なまま狩られる(カタルシスの道具でしかない)ケースもあるが「惰弱な現地人にただ崇拝される強者」という所へのメタではあると言える。

『聖戦士ダンバイン』のアの国のドレイクなどは、こうした「渡来した者=頼ったり崇めるべき力ではなく道具」という立場をとった者の古い例。
『ふしぎ遊戯』でも、主人公の友人は本来従う者であるはずの七星士のひとりに「レイプ(実際は未遂)され見捨てられた」と思い込まされ、異世界から来た巫女としての力を利用される。
この「召喚・渡来存在を利用」した上の二人は描写的にも能力的にも普通に有能な部類の悪役であったりする。

騙された地球の人間もまた人格面に大きな問題がある場合があり、ゲームや小説で描かれている様なチート系主人公に自分が選ばれたと歓喜し、何の疑いも無く自身を召喚した悪党達の言葉を鵜呑みにして悪事に荷担*31。そして最終的に用済みとして切り捨てられるか、または主人公側によって断罪される状況に追い込まれる。
改心して主人公達と和解し償いの為に戦う展開*32もあるが、最期まで頑なにそれを認めようとしないなど、騙した悪党達ですら辟易する程の愚かさを露呈する展開*33も少なくない。
『悪役令嬢モノ』では主人公のヒロインとなった転生キャラが数多く登場しているが、本当にゲームの世界に転生した所為もあって上述の転移者達以上に周りをよく見ていない愚者に成り下がり、周囲の人々を、あくまでも「キャラクター(NPC)」としてしか見なかった事で孤立して自滅する展開*34がほぼ定番となっている。

『聖戦士ダンバイン』(1983)より後になるが、悪党による召喚ネタは海外の例が関係性の項にもある「ランドオーヴァー」シリーズ(1986)に見受けられる。

悪い宮廷魔術師「国からはモノを持ちだせない……そうだ! 金持ちで王に合わないやつに王位売って追い出してまた売って無限ループだ!」

クリスマスカタログ「魔法の王国売ります!」(1巻タイトル、某TRPGでは「売国奴」のスキル名)

主人公「辣腕弁護士だったんだが、妻に死なれてしまってな……新しい事にも挑戦してみるか、と思い買ってしまった。今ではこの国の窮状を救いたいと思っている」
魔術師「ええ……なんでこんな有能な上に適応できるやつ来てるんですかね……追い出さなきゃ」
つまり悪の魔術師が金儲けループコンボしてたら、条件に合わない王候補を引いてグワーッ!が物語のスタート地点である。

本来の主題と違う活躍要素


「異世界で主人公が活躍するのいいよね……」は、本来それが主題ではない作品をモチーフに制作されているケースも存在する。

スウィフトの「ガリヴァー旅行記」は、本来は当時のイギリス社会等を元に描いた風刺小説。結構な長編で、○○の国編が計4つ存在している(3つ目では帰国時日本に立ち寄ってもいる)。
が、「小人の国に流れついた主人公が敵艦隊相手に無双」という序盤のシナリオがネタにされるケースが結構ある。

ドラえもんでのび太が上のエピソードを読んで「そういう(小人のいる)星に行こう!」と言い出してドラえもんとのび太が現地小人の迷惑になる話
「めいわくガリバー」は、ある意味ではモロに異世界モノの揶揄・風刺とも取れる。
藤子Fは同じ様に巨大宇宙人が第二次大戦期の地球は日本に来て、米国艦隊相手に無双するという話もSF短編として描いている。

2010年にもアメリカで1章が映画「ガリバー旅行記」として制作され、この映画では異世界から主人公が(一回捕まってたりはするが)後で英雄として迎えられる。
また、スター・ウォーズ等を自分のオリジナル作品として語って称賛される(後でバレたけど)という、
「自分のものでもない知識等で利益を得る」というシーンがある。
興業的には米国ではヒットせず、海外展開で製作費以上には儲けた。評論家の評価的には余り高くないようである。


オズの魔法使い」はドロシーと仲間達が体の特徴等によって互いに助けとなる話だが、
2013年の「オズ はじまりの戦い」はサーカスの魔術師が「オズの国」へ飛ばされ、手品のトリックや彼のいた当時のアメリカでの技術知識を現地の住民に伝え
協力を得る事で戦いに勝利している。単純に主人公を称賛する話ではなく、『ドリフターズ』のドワーフの様に多くの現地職人らが働く感じであるが。
こちらは米国で興業的に製作費を上回っており、評価もまあまあ。


上は「異世界等で主人公の知識等が活かされる事は主題ではない」作品の派生でありながら、主人公が活躍したりそれを望むという特徴がある。
この様な例は、やっぱ受け手も作り手もこういうの好きなんすね〜的な、需要というか普遍性の様なものの存在を感じさせるところがある。

◆異世界と主人公の関係性


「異世界」とは基本的に「主人公の世界」とは違う・関係のない世界として描かれる。
だが「異世界」と「主人公」ないし「主人公の世界」に最初から関係性を持たせ、異世界転移に必然性を持たせるケースも多く存在する。

例えば『リダーロイス・シリーズ』(コバルト文庫)は序幕こそ現代日本が舞台だが、
主人公が異世界の王子と言う『貴種流離譚』なので主役と彼女以外現代的要素は少なかった。

古い例だと『ナルニア国物語』では、舞台となる「ナルニア」と主人公達のいる「20世紀の英国」は同じ『皇帝』の作った世界であり、
ゆえに聖書に登場する「アダムとイブの子孫(たる人間)」が物語のキーポイントになりえた。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『クレストマンシー』シリーズでは『異世界が認知された魔法世界』と『異世界や魔法を知らない世界』が入り混じっていた。
テリー・ブルックスの『ランドオーヴァー』シリーズでは、主人公が異世界の国「ランドオーヴァー」の王位を「買う」事で王となっている。
それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』における「現代」と「未来」は、厳密にいうと「互いにタイムパラドックスが起こらない世界」で、並行世界移動に近い。

理想のヒモ生活』では主人公が「かつて地球に移住した異世界人の末裔」であり、それゆえに先祖を同じくしその故郷を治める女王から「面倒なしがらみを持たない血の近めな結婚相手」として選定され異世界へと渡っている。

これらの例だと「異世界を行き来する手段」や「並行世界の仕組み」等がある程度解明されており、それゆえに世界観の関係性が必要とされている。
また『魔法騎士レイアース』原作版では、「何で異世界なのに『マジックナイト』なんて英語があったんだ?」と言う疑問をキャラが抱き、終盤で「作り手が同じ」な事が明かされている。
この様に「2つの世界」の類似性から、世界の謎に迫るという作品も存在する。


◆異世界への行き方

ではどうやって異世界へと登場人物達が誘われるのか?というものも各種異なる。

『火星のプリンセス』では「臨死状態の時意識だけが遥々火星へと転移する」という、それこそ「夢物語」の様な行き方であった。

対して『ナルニア国物語』の「ライオンと魔女」では「居候していた家のクローゼットが世界間を繋ぐ通路だった」という、より「違う場所へ行く」雰囲気が強いものとなり、
他のナルニア作品では「異世界から強制的に召喚される」・「絵が門の代わりになる」・「アスランを呼んでいたら近くの扉が門になる」・「魔法の指輪を使う」と各種パターンを取りそろえ、
「クローゼット」に関しても「実はナルニアからの種で生えた木で制作」として「通路」となった必然性を理由付け、最終巻では現実世界で死んだから渡れたという『火星のプリンセス』に近いものになっていた。

この様に異世界への行き方には大きく分けて
1:異世界へのゲートをくぐる
2:意識不明状態で幽体離脱の如く異世界へ行く
3:異世界へ行ける道具・乗り物等を使う
4:異世界の住人から呼び出される

の4パターンがある。
このうち2の変種に「貴種流離譚」・「転生もの」の要素を合わせて生まれたのが、「異世界転生モノ」と思われる。

また変則的な例としてはしては外国文学『ネシャン・サーガ』がある。
同作では「異世界に棲む主人公」の冒険を「主人公と同じ名を持つ地球の病弱な少年」が夢を通じて体験し、時に主人公に対して助言するという形式で進行していた。
ところが後半になって「病弱な少年」が突然異世界に転移し知らぬ間に主人公と同化、以降「主人公」は「病弱な少年の記憶を持った異世界人」となった(「病弱な少年」は地球では行方不明扱い)。
「病弱な少年」が異世界に降り立った時や地球での扱い等の描写は「異世界転移」とも取れなくもないが、異世界の住人達は皆「病弱な少年」を普通に「主人公」として扱っており、「異世界転生」とも取れる。
だったら元の(「病弱な少年」を他人として認識していた)「主人公」の人格はどうなったのかという疑問が残るが。

元の世界と異世界の行き来が選択できる場合、「どちらの世界で生きるか」と葛藤する展開もお約束である*35
最初は転生だと思って死んだ前世の事は忘れていたが、物語後半で実は帰れる事がわかり…というパターンもある。

また「死にそうなショックによって転移」の場合もあくまでも転移先は生身の世界であり、死後に閻魔を相手に地獄の国盗りを企てた人
実行した人を異世界モノに分類する人はまずいない(単にその作品の本題ではないからかもしれないが)。

ミヒャエル・エンデの小説『はてしない物語』では、小説の世界・ファンタージエンに入り込んでしまった主人公が、現実世界とファンタージエンが相互に悪影響を及ぼしている状況を打破し、自らも成長して戻ってくる過程が描かれる。

昨今の『異世界転生もの』等は、事故・病気・老衰による死など(時に原因不明)によって優れた知識や能力を持ったまま異世界に行くケースが多く、
いずれも共通点は、『主人公には 元の世界に戻る手段が無いか、当人にその意思がない 』事。
良くも悪くも「自分が活躍する・自分を必要としてくれる人がいる世界」で人生を過ごす事となる。
下にも述べているが以前は帰還する意思のある主人公が多かったのだが、2020年代にはこの人の様に帰りたがっている異世界転生主人公はだいぶ珍しい部類になってきている。

アニメ『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』では逆に、異世界に行き成り上がった男が、異世界の王から過ぎた野心を見抜かれ、得たもの全てを失って元の時代に戻されるという展開もあった。

◆転生と転移の違い

元の世界への帰還意志について上記で触れられているので、この二つを区別してみようと思う。

転生は「死んでから新たに命を授かる」というのが一般的イメージであろうと思うが、これは転移とどう違うのか?
実は「戸籍等の問題が生じ易い」という事実がある。例えば「本好きの下剋上」では主人公は現地の子供が亡くなった体に憑依転生している。
「無職転生」のルーデウスも現地人の子供として産まれている。ルーデウスに関しては本好きのマインと違い、
日本での生活的に作中で邂逅した「地球からの転移者」ナナホシと違い「帰りたくない勢」ではあったが、もし日本への帰還を切望したとしても肉体は「異世界の物質で出来た完全に日本人でもなんでもない誰か」なのである。
眼の色が、髪の色が、肌の色が、年齢が違う。なろうでは人類に魔力を操る器官が生得的に備わっているという設定の場合もあるので、
下手をすれば解剖学的にも遺伝学的にもヒトと別種になっている可能性すら否定しきれない。
故に「帰りたい」と切望し「帰れる」としても「帰って幸せになれるか?」というと、全肯定は難しいというケースは割と多い。

「このすば」のカズマ等は外見等ほぼ変わらないタイプの転生をしている様であるが、死んでいる事自体は事実で葬儀も行われているとコミカライズ等の台詞にある。
となれば「死んだと確認されている人間」なので、もし女神アクアが活躍の褒美に地球の人と会ってもいいと計らっても
「アイエェェ……オバケ!ズンビー!」「死んだはずだよカズマさん」というオチもありえなくない。
(ちなみに小ネタとして、アニメ版の演出ではスキルを取得する際に遺伝子に何かが組み込まれるような挙動がある。地球人的ではなくなっている一面)

転生は関係ないが「荒野に獣慟哭す」のコミカライズ版では「姿形が大きく変化し、死んだ事になっている男が外見変異の代償で病気を治した子と妻の幸福そうな姿に涙する」というシーンがある。
陰から短時間見守ったりできれば満足ならいいが、「別人」や「死んだはずのヤツ」としての帰還や接触は中々に難しい。

拒絶を受けたシーンが具体的に描かれている実例としては、サガフロンティアで主人公の一人であるアセルス
異世界からきた馬車に轢かれる*36事で死ぬレベルの事故に遭い、その命を作中の超存在である妖魔の気まぐれで蘇生される。(最下部余談の様な「生まれ変わる様な衝撃的事態」に近い一種の「禊」と言える)

この節で問題になるのは、ゲーム開始からある程度経過し実家に帰った時の事。女子高生位の彼女が家の近くの肉親に話しかけると、
「12年も経って同じ姿のままのはずがない(30代とかになってないとおかしい)」「私をたぶらかす幽霊」と怯え逃げ去る場面が描かれている。
彼女がうっかりというか12年も経過してるんだし……という認知を持たずに家族に話しかけたのは、作中の異世界(リージョンという別次元群のひとつ)のうち
彼女がしばらくいた場所は時間が概念的意味をあまり持たないほど特異な所で、
SFでいうウラシマ効果の様に彼女の認識時間ではそう日が経過しておらず、すぐ帰って来たつもりで話してしまったためであった。
メインキャラの一人であるため、別のメインキャラとの関係シーンでも「あれ?なんで外見が変わってないの?」的な扱いをされている。


ストレートでズレの無い転移というのはその点拉致・失踪と同類項であるため、帰還意志が強く手段さえあれば上記の様に最悪戸籍捏造が始まるレベルの問題が全くない事もある。
例えば『デルフィニア戦記』の後日談『暁の天使たち』『天使たちの課外授業』ではデルフィニア戦記の世界から生まれ育った世界に帰還した主人公が、故郷での数ヶ月間に異世界でローティーンから成人間近まで数年間過ごしたのをごまかすため、連れ戻しに協力した超越者によって異世界から同行した友人共々故郷での本来の年齢まで外見年齢を戻してもらう(そして後にデルフィニアを助けるため一時再来訪した際改めて本来の肉体経過年齢に直す)なんて設定があったりする。

なろうでも異世界に召喚されたぜ→魔王を倒したぜ→強くなって帰って来たぜ→地球でわちゃわちゃライフがはじまったぜ、的な作品は一定数存在しているし書籍化作品もある様である。
ただこれらの作品は「地球で異世界ファンタジーのスペックを発揮する」事が主眼のものも多い模様。
但し、なろうと無関係なところで、地球で異世界の魔法を使うドタバタをしつつ異世界パートにも力が入っている「異世界おじさん」の様な作品もある。
時系列上は帰還後の後日談モノではあるが。

異世界から帰るまでが物語です、を正面からやりきっている作品の大手を挙げるとすれば、実は大長編ドラえもんにかなり多い。
例えば『魔界大冒険』は魔法がある並行世界を救って帰還→魔法はもうないんだよね→チンカラホイ!→風だよね、きっと(いい話風にパンチラ
など「日常への回帰」と「でももしかしたら不思議はある……?」という塩梅でシメている。
異星へ赴き巨大化チートで異星人の政治的危機を救ってラストの台詞が「今度の休みにまたいこう」(スネ夫)。これは裏を返せば現地土着ではなく地球の生活を基本とする言葉と言える。
竜の騎士』ラストも地底国から帰還→地底に隠してあった0点の答案が配達されてきてグワーッ。これも「テストがある唯の小学生への回帰」である。
こうしてみると、異世界(異なる環境)へ赴き誰かを助け帰ってきて完全に日常へ戻る勇者ムーヴなのがよく分かる。*37

ちなみにドラえもん達の行動は並行世界移動や時間移動もの(日本誕生など)が多いが、上記デルフィニア戦記と同様に「冒険出発の5分後にタイムマシンで帰る」ことで、ある程度以上の日数家出生活をした時間のギャップ(親が心配するレベル)をやりくりしている面がある。
ドラ本編においては14巻「無人島へ家出」において、10年無人島で暮らしたのび太をタイムマシンで家出の晩に戻し、肉体はタイムふろしきで若返らせている。超常的な手段さえあれば何とかならないことはない、という考え方は有名商業作家でも同じなのだろう。

◆「帰還」か「永住」か

異世界モノ作品にして、かつ異世界に召喚された(転移してきた)現代人を主役にした作品類では、
一昔前は、主人公が元住んでいた国への帰還を目指すというものが多かった。
親兄弟への別れの言葉もなく、事故や拉致同然に連れてこられたとしたら、それは当然な心境だろう。
ましてや、「召喚」といった形でいきなり拉致された挙句、使い魔にされて服従させられる、知らない人間のために戦場で戦う事を強要されるともなれば、誰だって反発する。
ゼロの使い魔」等、1990〜2000年代のラノベ主人公はその傾向が強い。
近年では、勇者召喚のアンチテーゼとして、
  • 勇者召喚とは名ばかりの拉致である事が強調される(「黒の魔王」等)
  • 勝手に呼び出しておきながら、スキルや知識を持っていないと「使えない」「役立たず」等の罵声を浴びせて雑に追い出す
  • 魔王を倒した後で、「え?地球には帰れませんよ?」と開き直られる
  • 魔王を撃ち倒した後は、用済みと言わんばかりに召喚した勇者を殺そうとする
なんて作品も現れる様になった。

2003年の作品、「新紀幻想スペクトラルソウルズ」という作品では、日本人の勇者を召喚しようとしたが望んでいた能力を持ち合わせていなかったため、追放した挙句暗殺者を仕向ける…等という近年のテンプレに先駆けたものであった。
主人公であるアキラは、当然異世界に定住するつもりも異世界の人間に肩入れするつもりもなく、地球への帰還を目指して行動する。
しかし、その過程で異世界の人々と交流を育む事になり、物語最終盤で改めて「帰還をするか、否か」の究極の選択を迫られる…というシナリオである。

同じく2003年のエロゲ「永遠のアセリア」においても、主人公は地球に帰る目処が立った後で異世界の危機が迫ってしまい、
「妹と共に地球に帰還するか、それとも最終決戦に臨むか」…という究極の選択を迫られる。

とはいえ一作品分かけて「主人公が異世界での絶望と帰郷の念を超えて定住を選ぶまで」を丁寧に書く作品(『月の影、影の海』)もあり、
昔の『ナルニア国物語』でも、「冒険の末王となり十数年向こうで過ごすも弾みで旅立った時間に戻ってしまい、後に未来のナルニア国に伝承の英雄として再来訪する」4兄弟を描く傍ら、
シリーズ最古の時間軸となる『魔術師のおい』では、偶々黎明期のナルニアを主人公と共に訪れた男性がアスランに王になる事を勧められ、男性からの「故郷から妻を呼んでほしい」という頼みをアスランが叶えた結果、男性と妻はナルニア国に初代国王夫妻として永住したなんて挿話があったりする。
2010年以降は「異世界に永住する」という選択を選ぶ作品や主人公がチラホラ見える様になった。
読者目線からしても、勉強に仕事に、趣味に走るにしても他人の顔色を窺わないといけないネット社会、一向によくならない景気に、口うるさい親や上旬と、なにかと狭く息苦しい現代世界での生活よりも、
剣と魔法の世界で、命のやり取りから自分の存在価値を見出せる、自分にだけ特別な能力が備わっており優越感に浸れて、女の子からは無条件に慕われ囲まれる異世界での暮らしの方が良いだろう。

極端なものになると、主人公が異世界に召喚されて早々に異世界に骨を埋める決心をしたり、恋人や友達を引き合いに出されて帰りたいかと聞かれて、恋人も友達も居ないので「寂しくない、帰らない」と即答してしまった主人公もいる程である。
とはいえ親の心配やら老後の介護等を追求されると流石に読者も抵抗があるため、主人公は事故で天涯孤独であったり虐待された過去があったりする場合が多い。

拉致同然に異世界に連れてこられた妹or息子を、兄貴or母親が地球に連れて帰ろうと異世界中を奔走する…なんて作品もある。

中には帰る方法が見つかっても「世界毎に時間の流れが違うので、帰っても知ってる人は誰もいないかも」「異世界での経験で色々なものが変化した結果、帰っても社会に適合出来ないかも」なんて展開も…。
アラフォー男の異世界通販生活」に至っては地球が滅んでしまったため、ひと足先に異世界にやってきて地位と財産を築いた主人公が異世界において地球人に居場所を提供するという展開になっている。

…最近ではここから更に進んで、異世界転移者・転生者を露悪的に描き、現実世界に叩き返すならまだしも、容赦なく抹殺してしまう作品や、
チートを手に入れてイキる子供をなんとか指導・説得して元の世界に帰らせようとする作品なんてのもある。

◆人外転生

転移や召喚等「元の人間に魔法力やスキルが付いてくる」といった変化が多い物語と違い、
転生したらスライムだった件」、「蜘蛛ですが、なにか?」「オーバーロード」「クラスまるごと人外転生 ―最弱のスケルトンになった俺―」等、
転生においては人間どころか生身の人間以外の存在へ転生するという物語もヒット作を含め少ない訳ではない。

こうした作品では転スラ等で人間態があったりはするが、人間化や人間への転生を至上としている訳ではない事も普通にある。

例えばうしおととらの雪女のエピソードでは、人間と愛し合う雪女が人間に転生を果たす事がハッピーエンドとして描かれている。
(作中では雪女の親の雪女も人を愛していたが逃げられており、結ばれた二人に涙するという表現がある)

これに比べると、転スラの主人公リムルはスライムの姿でいる事も普通にあり、スライムが無性別な事で人間形態でも一定以上の性的なものが出来ないのに淋しさを感じる事はたまにありつつも「人間でありたい、なりたい」を最高の事ととしている訳ではない。
またリムルの主導する作中国家は知性体としてのゴブリンオークを住民に含んだ、非ホモ・サピエンス(劇中だと人間も異世界人だからそう定義できるかはまたアレだが)系が主幹の国家である。
なので「人型になれるスライム」である事に問題はなく、「ヒトという種」にならなければならないといった理由は別にない。

この辺はヒトに戻る事を夢見て戦う作品も存在しているため、個々の個性というべきだろう。

◆異世界と自分の世界の融合

作品の中には、最終的に異世界と地球が融合する・大規模で邂逅するという話も見られる。
ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』等。
また漫画『パラダイスバード』ではラストで「荒廃した異世界へのゲート」が開通し、後日談では異世界の原住民との交流等を経て主役陣も含めた地球からの大規模異世界移民計画が実現。続編『パラダイスバード・クロニクル』ではその異世界を舞台に移民の末裔の物語が描かれていた。

今まで主人公達しか知らなかった異世界が、地球の常識を揺るがし、主人公達がそれに関わるというカタルシスのある展開という事も。

ただ、こうした作品は必然的に政治・経済の分野にも精通していなければ、ツッコミどころ満載や無理やりな展開になりがちなため、
作者の力量が問われる話でもある。

◆異世界にいる人が地球に来る

異世界に地球にいる主人公がいく話は上記の様に多々あるが、当然ながら逆に異世界にいる人が地球に来るという話もある。
日本の有名作品で言えば、M78星雲・光の国から地球のために宇宙警備隊員が何人も来ている。
ただコメントで異世界的ではないと指摘があったが、原因は彼らが同一宇宙の異星人である事よりもむしろ
「活躍の分断」にあるのではないかと考えられる。
異世界モノにおいて「活躍」更にはそこから発展する「友好的存在との交流」というファクターが重要である事は
前述されている通りだが、この場合はそうした要素が薄めなのだ。

なぜなら光の巨人=怪獣を倒す者≠変身する前の隊員、というのが一般認識であり、要するに異世界モノによくある様な
「主人公が凄いパワーで強いモンスターをやっつけて周囲に称賛される」という様な流れが作られていないのである。
構造的には先達のこの人も同じ。
もっとも目立ちたくないから活躍を隠そうとして内密に強いモンスターを倒して称賛は身内のヒロインからのみ受ける、
みたいなタイプの作品もあるが……。

「怪獣を討つ光の巨人すごいですね。ところで、隊員の中に怪獣が出たらいつもいない人がいるそうですが。いらない子では?」

上記作品の中には隊員がこんなバッシング記事に傷つけられ「もう変身するのやめようかな」という精神状態にまで
追い詰められた描写のある媒体も存在するという。うん、活躍隠すとか昼行燈ってレベルじゃねーぞ。カワイソス

なお近年はイケボが付いて、満員電車を「精神の修行にはもってこい」と言うシーンがあったりする等、
異世界人っぽい「異文化をなんかズレた見方してる」的な台詞があったり、喋る様になった事で少しだけ異世界あじは増えた。
といっても主人公や他の光の巨人以外とは軽妙にトークする訳ではないので、その辺やっぱり限定性がすごく強く異世界性は低めだが。
シュワ?シュワシュワワ?シュワ? >日本語でおk

ちなみに「別の星から来て高い能力(大体は科学力)があるキャラクターがメイン級」の作品だと
星からヒロインがやってきた「うる星やつら」や、タイトルまんまだが故郷の星が吹っ飛んで全住民が宇宙に散在する難民と化した国の王家が地球に移住する「ウメ星デンカ」など昔の漫画にも該当作品はなくもない。
が、ラム達が科学力を発揮すると基本はトラブルになってドタバタギャグ状態に陥るのであって、
あたるもラムに今わの際まで惚れたなど言わない。
少女漫画『ときめきトゥナイト』では「地球に住む魔物一家の娘」である主人公が能力に覚醒した際、両親から家の地下にある扉から通じる魔物の故郷「魔界」の存在を教えられ、主人公は成り行きで魔界の王子と知り合いになる等、2つの世界を行き来する様になった(王子の方も一時正体を隠して普通?の王子として地球の高校に)。
…そして諸々の冒険から、主人公は「実は王子の実兄だった同級生の少年」と結ばれ、彼女は魔界の王族の姻戚に。
ただ伴侶が地球で一般人として暮らす事を選んだのでその後も普通に日本で暮らし、彼女の弟はひょんな事から事情を知った地球人の少女(2人目の主人公)と結ばれ、彼女の娘(3人目の主人公)は学生生活を送りながら魔界に通って魔法修行する等、ある意味「異世界が日常」な物語が描かれている。

また『十二国記』シリーズのエピソード0にあたる『魔性の子』は、ある少年が異世界から自覚無しにえらいものを連れてきてしまったせいで起こった悲劇と、現実より未知の彼岸にこそ望郷の念を抱いてしまう主人公を描いた作品。
少年は異世界に関する記憶を失い欠落感を抱いているのに+して異常な怪異のせいで人々に恨まれ、最終的に地球での居場所を殆ど無くした所で迎えが来て記憶が戻り、異世界のものを何とか宥め共に再び異世界に。
そして途中で自分の憧れを「実際に何かがあった少年とは違う」と先輩に一刀両断された主人公は、最後に異世界の実在と少年も異世界生物だという事を告白されるも、渇望空しく隔絶を知り取り残されるという、「異世界への憧れの光と影」を描いたかなりビターな話である。
只後のシリーズ展開を見るに、言葉の通じない異世界の荒廃した国に、一般人で都合のいい憧れしかない主人公が行けたとしても足手まといになった公算が強いので、少年が独りで帰還した事は双方によってましな選択だったろう。

近年ならば『はたらく魔王さま!』では、勇者に敗れ世界征服に失敗し現代日本に逃亡した魔王が、
人間が生きていくうえで不可欠な『働く』事を知るため、アルバイトをして出世を目指し、人間世界の在り方・人間の導き方を学びなおそうとする話となっている。

他作品として『金色のガッシュ!!』等があるが、やはり地球で地位を築くとかが主眼ではないためやや異世界あじは薄い感はある。
ワールドトリガー』も主人公らは十分濃いのだが群像劇的側面が結構強めな上、異世界に拉致された人々を取り戻すというむしろ逆の目的に虎視眈々と牙を研いでいる。


【媒体別】

異世界モノは様々な媒体で存在している。ここでは日本語媒体のものを掲載。
サイトやイベントを利用する際は利用規約・ローカルルールを守らないとBAN等の原因になる。

◆商業的なもの


小説

ファンタジーを題材にした小説(幻想文学)は純文学・ジャンル小説を問わず存在し、当然ながら異世界を題材にしたものもある。
特にホラージャンルでは「行って帰ってくる」という話が多いため、必然的に異世界モノになり易い。

純文学でいえば泉鏡花の『天守物語』等は主人公が妖怪の世界へ招かれる話であるし、
志賀直哉の『城の崎にて』は現実世界での話ではあるが、精神的な意味では別世界と見る事もできるかもしれない。
古い例ではダンテ・アリギエリの『神曲』が有名であり、これは主人公が天国・地獄・煉獄を旅するものである。

SFやオカルトにおいては上記に述べたスペース・オペラやVRの他にも、秘境冒険談や、平行世界、時間移動、異次元、サイバースペース、はたまた神や妖怪の住む常世を題材にしたものがある。
フレドリック・ブラウンの並行世界SF『発狂した宇宙』は、1949年当時のSF雑誌にありがちな設定を風刺しながらも、主人公を活躍させるエンタメ性があり、さながら現代でいう「このすば」のようである。
新しい作品に目を向ければ、宮沢伊織『裏世界ピクニック』の様に都市伝説を題材にしたものや、ジェフ・ヴァンダミアの『全滅領域』等ホラー要素を加えたものもある。

ファンタジーではミヒャエル・エンデの『遠い旅路の目的地』の様に、異世界に主人公の意識が大きく反映されたものもある。
エンタメ性を重視したものでは、ウェン・スペンサーの『ティンカー』等が挙げられる。
またTM NETWORKはアルバム『CAROL〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜』を軸にライブパフォーマンスやメンバーの木根尚登による小説、それを原作にしたOVAで「あるレコードを切っ掛けに異世界での冒険に旅立つ少女キャロル」の物語を綴っていた。

ライトノベルでは富士見ファンタジア文庫で女子高生が「未来の並行世界」で活躍するSF『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』や主人公の男性が異世界での召喚獣役を兼業するバイオレンスファンタジー+学園格闘コメディの『召喚教師リアルバウトハイスクール』、
電撃文庫だと少年少女が危機的な状況の並行世界へ招かれる『時空のクロス・ロード』、富士見ミステリー文庫で『マルタ・サギーは探偵ですか?』と平成前半から異世界モノは存在したが、
2020年現在では狭義のジャンルとしての『異世界モノ』はweb上で連載されたものが書籍化されている場合が多い。

児童文学では、例えば小学校低学年向けではふるたたるひ『おしいれのぼうけん』やルース・スタイルス・ガネット『エルマーとりゅう』、
高学年向けではルイス・キャロル『不思議の国のアリス』、一般小説『魔性の子』を起点に少女向けライトノベルとして開始した小野不由美『十二国記』が挙げられる。

漫画・アニメ

実写で表現できない事が表現できる分、異世界を題材にした漫画やアニメは無数に存在するものの、
ラノベ的な意味での異世界モノはオリジナルでは少なく、
大抵は小説の漫画化・アニメ化が殆どである。

ラノベタイプの異世界では、オリジナル作品では平野耕太の漫画『ドリフターズ』等が挙げられる。

アニメではたつき監督の3DCGアニメ『けものフレンズ』が有名であり、これは主人公のかばんちゃんがアニマルガール達の暮らす世界で目覚め、ほかの「けもの」にはない人としての性質や技能を活かして障害を乗り越えていく。

純粋にファンタジー世界へ行って帰ってくるタイプの話であれば、アニメオリジナル作品では宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』等が挙げられるだろう。

実写

実写では『BALLAD 名もなき恋のうた』や『JIN -仁-』の様な原作付きのものが異世界モノと呼ばれている。(ここで挙げられたものは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』、『JIN -仁-』の実写化である)。

また、そうでなくても異世界はファンタジーやSFを描写しなければならず、特撮やVFXを用いなければならないため、
表現媒体の制約からできれば現代日本、せめてロケ地の当てがある中世~近代等を舞台とした時間移動をテーマとしたものになりがちである。

ミュージカル等の場合、衣装や書割り等によって異世界を表現できるため、オリジナルでは現実とは違う世界に行って戻ってくる要素がしばしば用いられる。

ゲーム

一般人視点でストーリーを楽しんでもらうため作品内の場所等に疎いキャラクターが主人公になる事がある他、所謂「お祭りゲー」では単に流行に倣って異世界モノを取り入れている場合もある。

FINAL FANTASY Ⅹ』では、近未来風の世界にいた主人公が中世的な「異世界」に飛ばされるところからストーリーが始まる体で描かれる。
DISSIDIA FINAL FANTASY』シリーズでは、各ファイナルファンタジーのナンバリングタイトル等の主人公が別の世界に呼び出され、一堂に会する。

ソーシャルゲームでも、例えば『ディズニー ツイステッドワンダーランド』の様に一人称となるキャラクターが他のキャラクターとは別の世界から来ている場合もある。
また逆に、『きららファンタジア』の様に様々な作品のキャラクターがひとつのファンタジー世界へ呼び出される事もある。

◆個人が自由に投稿・頒布できるもの


小説家になろう・アルファポリス・カクヨム

基本的な小説サイト。「なろう系」と言われたらこの辺りを一括りにして指している事が多い。
「なろう」では更新頻度が重要視されるのに対し、カクヨム では完成度が重視される等、サイト毎に毛色の違いがある。
基本的には主人公に感情移入できる様に作られているか、作者の思想がキャラクターに反映されている事が多い。
また多くの場合主人公はかなりの強さを持っていたり、特殊な能力を持っていたりする。
「なろう系」のファンタジーはひとくくりに「ナロタジー」と呼ぶ事もあるが、近年では異世界モノではないハイファンタジーも台頭してきているため一概に異世界モノ=ナロタジーではない。その他、ナロタジーに出てくるヨーロッパ風の異世界の事を「ナーロッパ」、ナロタジーの典型的な主人公の事を「ナローシュ」(<なろう主)等と呼ぶ。これらは愛好家から見た括りとして便利な側面もあるのだが蔑称同然と化しており、毒者*38や対立煽りの愉快犯らの口癖になっている。
「チート」「魔力」といった、通常とは若干異なる語法があり、個人によって大きく用法が異なるものもあれば、逆に濫用すると批判をくらう単語もある。

異世界に生きたまま移動する事を「転移」、死んでから異世界に行く場合を「転生」、神様の手違いにより死んだ主人公が異世界で蘇るものを「神様転生」と呼び分けている。

これらのサイトでは企業が新人賞を設けていたり、ヒットしている作品にスカウトが入ったりする。
この様にして「商業化」が行われた場合、サイト側の規約や商用化権等の企業の規約から個人の手を離れてしまうリスクはあるものの、
賞金や商業での連載を目当てに多くの作家が作品を投稿する事が多い。
その中で特に商業化の割合が高いのもこれらのファンタジージャンルであり、
現在ではサイトでの評価が必ずしも売り上げに結びつかないと認識され始めてはいるが、
こうしたジャンルから商業化が行われている事は多い。

因みに、異世界モノ以外で主流なファンタジージャンルは「追放系」と「婚約破棄」、
あと2022年から「現代にダンジョンができた」系が増えてきている。
一応このジャンル自体はそれ以前からあったものの、一大ジャンルとして作品数が大幅に増えたのは2022年から。
更に「とあるVRMMOのシステムがそのまま現実になった」等、他の異世界物サブジャンルと合体する事も。

商業化を狙うなろう作家志望の事を蔑みを込めてまたは自称として「ワナビ」と呼ぶ事がある。というのも、なろう作家は「誰でもなれる」と思い込んでいる浅はかな志望者(もちろん、流行を察知し、毎日同じ時間に面白い作品を上げ続けなければならないため、誰でもできる訳ではない)はごまんとおり、加えてこうした無料で読める小説サイト自体がそのギャンブルや頭を使う事を嫌う読者の特性上テンプレを遵守した作品以外受け付けない所謂「魔窟」な事もあって、そうした場所で自分の個性を(技術もなく)活かそうとする無謀な挑戦者を嘲笑する意味合いが強い。

Arcadia・ハーメルン・Pixiv小説・ドリームノベル・占いツクール

主に二次創作が行われているサイト。他のサイトでは二次創作が原則禁止されているか極端に制限されているため、二次創作ではこれらのサイトが用いられる事が多い。
前三者では所謂男性向けも多いが、後二者では主に夢小説等が扱われている。現実世界から来た主人公が作品内世界で冒険するパターンや、別々の作品同士のクロスオーバーもある。

ケータイ小説・魔法のiらんど

主に女性向けの恋愛モノを扱っている小説サイト。独自の文体をもつ。上記二者と比べて異世界モノの規模はそれ程目立っていない。
魔法のiらんどでは二次創作も許容されている。

各種BBS

5ちゃんねるをはじめとする電子掲示板(BBS)には一次創作や二次創作の小説をコメントによって投稿する専用の板がある。
有名なものではニュース速報VIP(通称VIP板)がある他、
やる夫スレの様に、版権キャラクター等をAAにしたものに会話させるという特殊な方法を取るものがある。
またオカルト板では「きさらぎ駅」の様な異世界を題材とした怪談が語られる事もある。
なろうとは違い収益にならない上に出会いもないので、完全に個人の趣味で成り立っているといっても過言ではない(更に言えば商用化権が5ちゃんねるに還元され、誰でも自由利用が可能となってしまう)が、
ファンタジーモノではゴブリンスレイヤーの様にやる夫スレからキャラクターを差し替えて書籍化する事がある。

個人サイト

自分のサイトで小説や漫画を連載する事も可能である。
上記のサイト群が台頭する前はエヴァや魔術士オーフェンの二次創作等で賑わっていたらしいが、現在ではサイトをスマホに対応させなければならないなど個人でサイトを立ち上げるハードルが上がっているためあまり主流ではない。

オリジナルのものでは人工言語「アルカ」を題材にしたシェアードワールドへ転移する小説「紫苑の書」等がある。
またアンディ・ウィアーの小説「火星の人」も元々は作者の個人サイトに掲載されていたが、これも見方によっては異世界モノになるかもしれない。

Pixiv・ニコニコ漫画

漫画を投稿する事ができる。
異世界モノの漫画自体がややニッチではあるが、特にPixivではR-18でファンタジーが扱われる事もあり、
アマチュアによる投稿も多い。

Twitter

主に漫画が投稿される。
商業漫画の一部や再販の見込みがない同人誌が投稿される事があるほか、
アマチュアでも気軽に漫画を投稿できたりと敷居が低い。
「漫画が読めるハッシュタグ」等で検索すると一次創作漫画全般が出てくるが、異世界モノだけを検出するタグは今のところない。

Youtube・ニコニコ動画

異世界を題材にした怪談を読み上げた動画のほかに、アニメのキャラクター等をファンタジー世界で戦わせる架空戦記モノがあり、これは文字や絵によって表現される事が多い。
また、はるふりのボカロ曲『異世界チートハーレム』の様に異世界を題材にした楽曲もある。
ニコニコ動画には、ニコニコで使う分なら自由に使える素材集であり、素材主にも広告収入が還元される「ニコニ・コモンズ」があるため、そこでの立ち絵やBGM、効果音を借りての動画製作が容易という利点がある。
間違ってもニコニ・コモンズの素材使った動画をyoutubeに投稿するなよ!?絶対にだぞ!

同人誌

漫画や小説を個人で出版し、イベントで頒布したり、友人に配ったりする方法。Pixiv同様エロが多い。
サイトのサービスが終了してもデータが消えてしまう危険がないが、焼失・破損等の危険がある。
それなりに資金と労力がないと作れないためある程度の覚悟と狂気を要する。

同人ゲーム

RPGツクール等の専用のソフトウェアを使う場合と、ある程度自分で作る場合とある。
特に前者の場合、公式でゲームを共有できる様にしている場合もある。
「RPGツクールDS+」の様に比較的仕組みが簡単なゲームを作る場合、典型的な異世界モノが用いられる事がある。

その他のサイト

例えば、SCP Foundationでは異世界を題材にした記事がある。

【各作品の例】

  • クレヨン王国シリーズ
アニメ『夢のクレヨン王国』の原作となった児童文学『クレヨン王国シリーズ』は最初「地球の人間が現実の問題を投影した異世界へと誘われる(あるいは夢見たり異世界発の生き物や品に遭う)」異世界モノだったが、
日本の少女とクレヨン王国王族の恋物語を軸にした『月のたまご』シリーズ以降では『クレヨン王国』サイドのキャラや風土が個性化、クレヨン王国内で完結する話やクレヨン王国の人が更に違う世界や地球へ旅する話が描かれアニメのベースになった。
しかしそのせいで、第1作冒頭の「クレヨン王国のカメレオン総理の元に主人公のクレヨンの擬人化存在が集まる」という描写が半ば死に設定化
一応擬人化クレヨンはこの後も出てくる話があるが、基本は「総理と人型種族『クレヨン』の王国民から選ばれた各色を象徴する大臣達」設定に落ち着いている。

高町なのは八神はやては、「現代日本に来た異世界人に魔法を学び高い適性を発揮、スキルを活かして異世界移住・就職」という経緯を辿っている。
但し舞台が異世界ミッドチルダの『魔法少女リリカルなのはStrikerS』以降の作品では、強い地球人がいてもメインが異世界出身者なためあまり「異世界モノ」とは扱われていないし、実際の描写も魔法関係を除けば「月が二つあるのが当然」「成人年齢が違う」等、なのはやはやてがいた世界との違いが軽く説明された程度であった。

【参考文献】

山北篤『現代知識チートマニュアル』『軍事強国チートマニュアル』
ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』
ライアン・ノース『ゼロからつくる科学文明: タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』
「F-files図解」シリーズ(新紀元社)
祖父江孝男『文化人類学入門』
勝田有恒&山内進&森征一『概説西洋法制史』

【余談】

  • 異世界モノでは元の世界で死亡して転生する事が多いが、この際の死因が交通事故かつ大抵の主人公がトラックに轢かれて死ぬ…というイメージが強いためそれを皮肉った作品が出たり*39、海外の読者から「 日本ではトラックに轢かれる人がそんなに多いのか? 」と思われたりしているとか。
    もっとも以前に小説家になろうにおける異世界転生作品で調査した人によれば、トラックによる轢死例は突出したものではなく、死因が不明だったり過労死*40や突然死など直接的には他人を巻き込まない例も相当数に上ったという。
    小説家になろうやアルファポリス等が誕生する前は、二次創作でトラックに轢かれて転生する小説が多かったため、その頃に抱かれたイメージの産物だと推測される。

  • ドラマツールとしての事故というものを考察するなら、「キャラ立てや説得力を持たせる要素にし易い」というのが大きい。例えば『本好きの下剋上』での主人公は「大量の本が雪崩て圧死」しており、まあそんな奴なら紙本の作り方自体を知っててもおかしくないか……という転生後知識の披露や本への執着心に納得し易い。『幼女戦記』では逆恨み殺人犯な上にもともと問題があった輩とはいえ、その心理を読めなかったエリート主人公が背後から襲われ電車に轢かれた。これも転生後の主人公の行動を見るとまあうん……な所があり、キャラ立ての一種と言えるだろう。なろうと一切無関係な作品で言うなら、『幽☆遊☆白書』の序盤の設定は「咄嗟に人助けしたら轢かれる→お前死ぬタイミングじゃなかったんだよなぁ→試練をクリアしたら蘇生してもええやで」となっており、ここから主人公はオカルトの世界へ踏み込んでいく。この構造自体がなろうや後発異世界転生ものにおける「人助けで死んだので神が謝罪や褒美で転生させる」という展開の前例のひとつと言える(もっと古い例はあるかも)。これ系のパロディをしている作品では『この素晴らしい世界に祝福を!』は有名だろう。*41キャラクターの変化のきっかけ、という視点だけで見るなら『ダークギャザリング』(主人公は死んでないけど)や『ゾンビランドSAGA』が近年目立つだろう。「ある日突然特殊能力が覚醒する」「体質が変化する」という作品もあるが、説得力や他の展開へのシナリオフックのためにキャラクターを事故に遭遇させる事自体が別に珍しくも異常でもない事は幽白が前例として示している。要するに「ある日親の都合で知らない国へ」とか、そういうのとある種近い「変化のためのツール」としての事故というものもあるという部分はあるのだろう。







オレはWiki籠もりのところに一度顔を出してくる
どうにか項目の追記・修正を少しでもお願い出来ないか、交渉してみよう

分かりました

……それと、フェイク*44の足取りだな

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最終更新:2026年08月19日 11:46

*1 あるいはその人物と何らかの強い関係を持ったり、その人物のアイデンティティを示す行動の中に自分の存在を組み込んだりする

*2 ゲームである事で攻略フラグやストーリー分岐といった概念を持ち込めるのが利点と言える。

*3 対となるギャルゲー文化に馴染みがあるアニヲタ向けとなるが、せっかくキャラの立った敵役を出すなら異性にした方が得であろう事は想像がつくのではないだろうか?

*4 「玉骨遥」では奴隷など見下される民族。しかし別の作品では神の使いの如く神聖だったり扱いはまちまち

*5 現実の雌ライオンっぽいやつではなく縞の虎+牙

*6 打ち切りではあったが、理由は原作者急逝と関係性のこじれ問題が大きく不人気が理由ではなかった様子

*7 失格紋の最強賢者

*8 前世に対し「後世世界」と称される事、メイン格の人物が若い頃に欠損したはずの指が初期時点においては存在する等の差異がある

*9 尤も、江戸時代の徳川綱吉は「練馬の抱え屋敷で家臣達が地場栽培してくれた練馬大根料理各種を食べていたら何時の間にか脚気が全快していた」との逸話があり、食事療法で全快した例は江戸時代から知られていた。海軍では豚肉と麦を食事に使ったら脚気が激減したと組織的に食事療法を採用している。脚気になって食事療法を頼んだ明治天皇は「経験則など非科学的です」と宮廷医に却下されて、散々な目に遭い、オリザニン=ビタミンB1の発見後にカンカンに怒っている。

*10 作中でも最大級の悪として断じられている彼だが、後年に発刊された解説本で、『訳も分からない世界に身一つで放り込まれたら、自身の技能を話が分かって権力や財力が有る現地の人間に売り込んで身の安全と衣食住を確保しようとするのは当然の行為だろう』と同情的に解説されている

*11 行き来する方法の都合で人力で運ばねばならず、主人公は途中で力尽きてしまったが力持ちの知人が協力してくれた。

*12 日本は古代王朝が現代まで生き残っている珍しい国なので、先祖崇拝や信教の自由を国是としたローマ人の様に現代日本人に部分的に似た価値観の勢力が繁栄した事例は有るが、それでも乳幼児死亡率が高い社会と低い社会では子供に対する扱いに大差が出る事は間違い無いし、自国民や同盟国民とそれ以外の人間を激しく差別するのは当然だった

*13 農業人口が多い社会では農閑期に集中的に休日を設ける方が合理的。逆に古代ユダヤ人の様な遊牧民が多い社会では其処らへんは緩くなるし、商店や役所は部署や取扱商品毎に稼働日を決めてサイクルを回す方が上手く行く。

*14 史実上ではそんな土地は普通、『原住民を一気に皆殺しor奴隷として叩き売り』した直後位である

*15 ガイウス・ユリウス・カエサルのラテン語教師に市民権を与える制度が一例

*16 日露戦争で日本がロシアに勝てたのも、「兵士が読み書き計算出来る→命令書一発で多くの兵士に任務や注意点を理解させる事が出来る」というアドバンテージが非常に大きい

*17 史実にも、貴族や大企業に対してあまりにも高い税率を設定した結果、売国行為や国外に移転されてしまい、返って税収が減ったという事案が存在する。

*18 見た目を変えれば差別はなくなるという短絡的な発想(種族差別や対立を扱うテイルズシリーズ等でもこのやり方は否定されている)。なにより暗に「そのままのあなた達は差別されて然るべき存在です」と宣告している様なもので、結果として主人公が最も彼らの尊厳を否定している事には一切触れられない(下手したら作者すらそれに気付いていない場合も)。

*19 1959年の中国で始まった大躍進運動で穀物を食べる事が有る雀を皆殺しにした結果、春季から夏季の雀の主食である農業害虫が大繁殖した史実が一例

*20 酷いものになると、文明の恩恵を受けて育った主人公やその仲間達が、「原始共産主義」(本格的な農業が始まる以前の狩猟採集社会における社会制度)に憧れて、子供達に原始共産主義がすごいんだぞと教育を施してしまうものも

*21 言うまでもなく、その行為は創作群の利用規約に反している。お約束というか、その「暴走して罵詈雑言をあげたファン」のうち一人はその創作群に全く作品を残しておらず、感想欄の罵詈雑言も複数IPを用いた自作自演を疑われている始末である

*22 本名はグレイル・フォン・ラティッチェで、ゼロサムオンラインでコミカライズもされていた作品『転生したら悪役令嬢だったので引きニートになります』の登場人物。

*23 『盾の勇者の成り上がり』では他の勇者がやらかしたバランス崩壊の後始末をする事になる。『異世界混浴物語』では、ある戦国武将が重要なポジション(敵)となっている事が序盤に発覚する。『GATE』終盤では、世界の根本的構造やシステム自体が……というエピソードが明かされる。

*24 『異世界のんびり農家』においても、最初は主人公の独り自由気ままに自給自足の農家をやっていたが、話が進むうちに多くの難民を受け入れることになり、必然的に交易の必要に迫られる。しかし主人公が作る作物や民芸品があまりに上質、それでいて自給自足できる仕組みが出来ているあまり、「国中の金が主人公の領地に集まっている」「納税はいいから、金を使え」と苦情を受け、対応に迫られることになる。

*25 「Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ」では、原作ではヒロインが兄を殺されているにも関わらずベタ惚れであり主人公もさらっと流すのだが、漫画版では主人公は「大きな力を持ってしまった葛藤」に悶え苦しむことになる

*26 エルドレンの中にも人間の価値観で善良な人物は少なくないが、ニッチが衝突している以上敵対は避けられない、と現代の生態学の視点で種族間闘争を理解している

*27 『無職転生』のエリスは初体験の時点で15歳

*28 主人公豊久がそこにいた信長に「日本語喋れないなら死ねって言うならこいつらも?」みたいな事を言われたため。当然、異世界人も「タスケテ」の意味は分かっていないので、ただ言わされるままに「タスケテ」と発音をまねて言っただけの文字通りのオウム返しである。

*29 スト2の春麗みたいな着衣=漢民族文化の服じゃねえよ!というツッコミ

*30 ちなみに、鏡を使ったネタが2回あるがどちらも文明レベルに矛盾はなく、全く何も考えずに描いている作品でない事ははっきりしている

*31 異世界を物語の舞台と同列に解釈し、そこに生きる人々を同じ人間として見ていない場合がほとんど

*32 『ありふれた職業で世界最強』等

*33 『王女殿下はお怒りのようです』、『転生したらスライムだった件』等

*34 『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』、『私は悪役令嬢なんかじゃないっ!! 闇使いだからって必ずしも悪役だと思うなよ』等

*35 『火星のプリンセス』では主人公は火星と地球を行き来できる様になるが、全く葛藤せず火星での生活を選んでいる。

*36 ギャグでもなんでもない、というか1997年作なので現代の転トラブームのむしろ先駆け

*37 『夢幻三剣士』については「学校の位置おかしくね?」など逆に微妙に異世界混じり的な意味でアレなネタがあるのであえて省いた

*38 読者から転じた蔑称で、錯者の対義語。作品に対するモンスタークレーマーか作者やファンに対して知識マウントを取る者が該当する。

*39 「ニセモノの錬金術師」「超世界転生エグゾドライブ」

*40 「現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変」

*41 特に助ける必要がなかった相手を助けるべきだと思い込んで飛び込んでショック死。なおトラックにひっかけてかトラクター

*42 とある壮年で本も出版している映画評論家が、「小説家になろう原作の作品だから」という理由で低評価を付けた例もある。オタクによるオタク叩きとは限らないのだ

*43 なろう作品を批判する動画で、投稿者が実際にそう主張している

*44 フェイクとは、小説家になろう発祥かつ電撃マオウでコミカライズもされている作品『宮廷鍛冶師の幸せな日常』の主人公で、こちらは追放系のケースに該当するのだが……?