高槻巌(ARMS)

登録日:2020/06/05 Fri 16:12:45
更新日:2025/08/03 Sun 23:39:40
所要時間:約 7 分で読めます




高槻(たかつき)(いわお)とは、皆川亮二の漫画「ARMS」の登場人物。
アニメ版CV:有本欽隆


なに、通りすがりのサラリーマンさ。単身赴任のね

【概要】

主人公である高槻涼の父親であり、自称『通りすがりの単身赴任のサラリーマン』。

常にスーツにフェルトハットというモダン紳士スタイルの出で立ちで、その佇まいに反し趣味はキャンプ。
そのためか結構屈強な体格をしているのだが、着痩せするタイプなのかスーツ姿は結構スマート。
性格的には妻曰く「ズボラな人」らしく、単身赴任先から連絡を寄越すことはあまりない。

幼少期から涼を頻繁にキャンプに連れて行っており、サバイバル術や格闘術、野生動物を捕らえたり撃退する罠の作り方を手解きしていた。

商社勤務で海外出張が多く、最近はほとんど家に帰らず半ば母子家庭と化しているのをカツミが心配している。
多忙により日本にはあまり帰れないらしく劇中でも滅多に登場しないが、登場時の印象はかなり強い。

アリゾナの荒野でもスーツを着用している。
まあマスターキートンでも意外とスーツは合理的な作りらしいが。


涼達がエグリゴリを追ってアメリカに渡った際に、アリゾナの荒野で足を踏み外して倒れていた久留間恵と遭遇。
自分自身のリーダーの資質や仲間達との事で悩んでいた恵に、リーダーとしての心構えをレクチャーした後、吹っ切れた彼女をギャローズベルの街まで送る。
名も名乗らず恵の知らぬ間に立ち去ってしまったので、恵は彼が涼の父親であった事には気付かず仕舞いだった。


その後、今度は巴武士が植物状態にされてしまった事に責任を感じ自信を喪失していた新宮隼人が暴漢にリンチされていたところに通りかかる。
隼人を助け、『水の心』について諭した後、実は自身がかつて隼人の祖父である新宮十三より新宮流古武術の教えを受けた事がある兄弟子だと明かす。

またも息子と同年代の少年の悩みと向き合い、仕事の手伝いを通じて真摯にアドバイスをし別れるのだった。



息子と再会したのは全てが終わって日本に帰国してからである。


尚、商社マンの割りにそういった仕事のシーンは皆無だったりする。



追記・修正をお願いします。













き、貴様ァッ!何者だ!?





          |: : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|
          |: : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|
   ,. -‐─|::`ー-------------------------:|ー------‐‐‐、
 ,r'´: : : : : :::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::   ,r─┴── 、: : : : : )
 {: : : : : : : :::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::   /        \:/
/ ̄ ̄ ̄\. . `ー-------------------.|   サ 通 な |
 の  単  |. :. :. :. :. :. :. : .: . :. :. :. : .:.. :. :. :. :. :.:.|   ラ  り に  |
 ね  身  |.: .: .: .: .: .: . :. :. :. . :. :. :.:.:,.. ィ´゙゙゙'´|    リ  す  ` |
 !  赴  |__ __ _ _ _,.ィィィ´-rェァ'''、.|    l  が    |
     任  | い: 、t-rェァ、. : :ゞ' .、`ニニ¨´>‐-^i   マ  り    |
         | い: : :´ ̄;;;: i´`ヾ: : : : : : :/´ ̄ ..|   ン  の   |
\___/   い     :;l     ̄`Y´ ̄ ̄. |   さ      /
            い    :;!       i ゞ‐{    \____/
           ヾト、  .:ヾ;;;:;:゙'´   ヽ__ノヽ       i
          ,. イハ 、,,. _ ___ _,. ィ i: :.       |、
     ,.  . .: ´.:.:/.:.:.:i  ゝ.、_ _,,,....,.ィ  l: :.      |: \`ー---- 、
, . .: . :´. :. :.:.:.:.:.::/.:.:.:.∧  .: '´゙゙ ゙゙゙̄´    l: :.       |.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:i ヽ           l: :.       |:.:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.| \\,,.. _ _ _,. イ^ヽ: .,,.. _,   |.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:|  /⌒ヽ  ,. ィ´`ヽ  {        |.:.:.:.:.:.:.|.:.:.::.::.:.:.:.
..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.::...:.:.:.:.:.:| /    V´ ノ   \ト、 ノ  __」 ̄|.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.::



タグ一覧
ARMS ※人間です ※普通の人間です ※父親です おっさん無双 お前のようなサラリーマンがいるか こんな人になりたい もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな ウインド キーマン サイレントウルフ サバイバリスト チート ネタバレ項目 ワンマンアーミー 主人公の上位互換 主人公の父親 主人公の親 人間とは一体? 人間はARMSになんて負けない 人間はARMSになんて負けない(物理) 人類最強 伝説の傭兵夫婦 作中最強 信念 傭兵 勝てるわけがない 勝てる気がしない 化け物 壮絶な兄弟喧嘩 夫婦 威厳 忍法ライトセーバー 忍者 忍者サラリーマン 怪物を超えた人間 最強 有本欽隆 無敵 父親 理想の父親 理想の親父 生体兵器より強い人間 通りすがりのサラリーマン 通りすがりの単身赴任のサラリーマン 進むたびに失って尚も進む事を選んだ男 逸般人 静かなる狼 高槻巌 高槻涼 高槻美沙



その正体は「(ウインド)」、「静かなる狼(サイレントウルフ)」とも呼ばれる忍者の末裔にして伝説の傭兵。
実は涼とは血の繋がりは全くない赤の他人……ではあるが、本当の親子としての絆はある。
涼達オリジナルARMSの少年達は、元々ARMS適正因子を植え付けられて生まれてきたデザイナーズベイビーであった。*1
しかし謀略によりARMSを移植された涼に、巌はこれから待ち受ける運命に抗えるように『キャンプ』と称してサバイバル技術や格闘術を教え込んでいった。
ちなみに巌はニューヨークのハーレムで武術道場を開いて子供達に護身術や武術の心得を教えてもいる。
これは巌がハーレムを牛耳っていた悪徳マフィアを壊滅させた事で、街の住民から「ブラザー」と呼ばれ親しまれている為。




【戦闘能力】

「…おじさん…ただ者じゃないわね…一体どこであんな技術を…」
「なに…忍術を少々ね…」

実力は人外魔境が跋扈する劇中でも生身の人間にも拘らず一、二を争うレベルで、銃火器すら使わず純粋な体術(忍術?)やトラップを用いた戦略のみを駆使してどんな相手でも「人の力」で打ち破る。
人体改造も受けず超能力も持たない『普通の人間』の中では間違いなく最強の男。普通とは一体…うごごご…

人間(ヒト)は…決してARMSに負けはしないと!!」

この言葉は彼の決め台詞でもあるが、他にも新宮十三をはじめ様々な人物が口にする本作の重要なキーワードである。
まさに「人の力」の可能性を体現した存在であり、サイボーグ部隊も超能力集団も、最強の生物兵器ARMSさえも手玉に取ってみせる。
巌は米国の諜報機関が総がかりで敗北したほどの凄腕で、それどころか生身で完全体ARMSを倒せる化け物中の化け物。
彼の手に掛かれば目に見えず音も聞こえない『空間の断裂』によりあらゆるものを切り裂ける『魔剣アンサラー』さえも全て躱し、
「なるほど…ケーキを切り分けるには便利そうだな」と言ってのける。
これは新宮流古武術の極意『水の心』によるものであり、隼人の祖父である新宮十三の全盛期は現在の巌以上だったという。
本作における米国大統領ジェイムズ・フリントとも協力関係にあり、エアフォースワンへの搭乗権限すら所有している。
高槻一族は乱波(忍者)の出自で古くは役子角(えんのおづぬ)*2を祖に持つ、熊野山系の修験者の系譜である。
それ故の遺伝子のいたずらか、数百年に一度、特異な能力の持ち主が生まれるとされる。ただしそれは巌ではない。これで?
また、一族の掟として『己のために“(チカラ)”を振るうなかれ』という決まりがある。


【作中の活躍】

劇中での初登場はアメリカ編。
ギャローズベルにて仲間を捕らえられた失態に責任を感じ、隼人らと間に不和が生じた事で単独行動を取っていた途中に荒野で行き倒れになっていた恵の前に現れた。
彼女を介抱した後に遭遇した敵の全員を一瞬で返り討ちにして見せた後、リーダーとしての自信を失っていた恵に、単純ながら重要なリーダーの極意を説いて聞かせた。
後に今度はNYにて、コウ・カルナギに敗れ自分を庇った武士が植物状態になった事で自暴自棄になっていた隼人の前にも現れる。
そしてハーレムのママ・マリアと導き合わせ、隼人の心の奥に眠っていた『水の心』を呼び覚ますべく一役買った。
このように世界中を飛び回って暗躍し、主人公達が挫けそうな時にアドバイスを与える師匠的な役割のキャラクターでもあり、物語全体を通して非常に重要キーパーソンでもある。
中盤から登場したジェームズ・ホワンは彼の実弟で、本名は高槻(たかつき)(たかし)
異能力者という異端の者として故郷で迫害されていた弟を庇って里から逃がしたのだが、弟はその恨みからエグリゴリに密告し故郷を滅ぼした。
これが隼人の両親が死んだ原因にもなっており、この事をずっと後悔し、弟との因縁と自らの罪に決着をつける為に生きてきた。

――そう、すなわち巌が弟を止めるか始末していれば、ジャバウォック計画はそもそも頓挫して何も起きなかったかも知れないのである。
(尤も、例えその場合であってもエグリゴリは壊滅せず暗躍し続ける世界になっていた事になるが)

そして、ARMSの自己修復機能により失った視力も顔もジェームズ・ホワンから高槻崖に戻り意気揚々と『プログラム・ジャバウォック』の発動に向かおうとしていた弟の前に登場。

「久しぶりだな(たかし)…」
「ああ、本当に久しぶりだね 僕としては一生会いたくなかったんだけどね」
「………決着をつけるためにここに来た…十年以上、お前の足跡を追って今日まで世界中をさまよってきた…」
「へえ、そりゃまたご苦労なこった」
「我が一族の故郷、鐙沢をエグリゴリに売り… 幾多の死を招いたその落とし前…
 つけさせてもらうぞ、(たかし)… わが弟よ!!」

不死身のARMSになった事で最早向かうところ敵無しと自信満々の弟に、ジャバウォックの爪で癒えない傷を与えて絶望の戦慄を味わわせるが、逃げられてしまう。


その後、『プログラム・ジャバウォック』を潰す事に成功し、一度は日本で家族三人で水入らずの時を過ごす。
しかし程無くしてキース・ホワイトの新たな謀略が彼等に襲い掛かったのだった。


最終章では崖(ホワン)を追ってきたコウ・カルナギと、ブルーメンの協力者であるスティンガーが対峙する場面に登場。
お互いを脅威と見なし殺し合う寸前の二人を、巌は同時にぶん投げ力ずくで制止した。
そしてカルナギにはホワンのいる場所を教える事で涼達のもとへ乱入という名の援護に向かわせ、スティンガーとは息子への想いを語り合い、互いに死ぬなと言い合いながら別行動に移っていった。


その後、瀕死の重傷に追い込まれながらも遂に憎きホワンの顔に渾身の拳を見舞いそのまま意識を失ったカルナギを助けに登場し、そのままホワン=崖との最後の兄弟喧嘩に挑む。
劣勢の崖は、二度と人間の姿に戻れない事を理解した上で遂にモデュレイテッドARMSの完全体へと変化。
対する巌の覚悟に呼応するように、『ジャバウォックの爪』がへと姿を変える。
これを振るい『空間の断裂』すら砕き去りながら崖へと迫り、一刀両断する巌。こうして長きにわたる因縁に終止符を打った。*3



「へ…へへへ…遅ぇんだよ、兄貴…もう…とっくに人間やめちまったってのによ…
 …あの時…なんでオレを村から逃がしたんだよ!!」


――エグリゴリに密告し村を滅ぼした弟の視力だけを奪った兄


(泣くな、崖!!お兄ちゃんはお前の“(チカラ)”なんか怖くないぞ!!お前は決して一人ぼっちじゃない…
 “(チカラ)”に飲まれるなよ…これからもお兄ちゃんがついている!!)



――“チカラ”に振り回され家もボロボロにして泣きじゃくる幼い少年 それに手を差し伸べる兄の姿





さらばだ…(たかし)



真っ二つに切り裂かれた崖は、灰塵に帰し風と共に散って逝った。





ちなみに何気に巌はいくら涼が窮地に陥っても、恵や隼人の時のように涼の前に現れアドバイスする事は一度もなかった。*4
これはそもそも涼には本編開始より以前から生き延びる術の数々をレクチャーしてきたからと思われ、また、作中においては彼が恵と隼人の二人に助言を与える役割だったのに対し、残り二人の涼と武士には彼に代わって妻の美沙が戦いの心構え等をアドバイスしている。
そして、既に数々の教えを与えてきた息子を信じて黙って見守るのが、父としての最大限の信頼、そして愛情表現だったのだろう。



そんな彼が唯一、自分の経歴や父と思っていた男の正体など、様々な真実を知ってしまいどう接していいかと悩む息子に送った言葉が、

「なあ、涼… 今、私に言えることが一つだけある
 “帰るべき場所”だよ… 私は10年以上世界中を旅してきたが、それは一つしかない。
 人によってそれが何なのかは異なるがな… 私にとっては妻の美沙であり、息子のお前…つまり家族だ。
 お前にも“帰るべき場所”はもうあるはずだぞ…
 何かに思い悩んだときは、そこに戻って物事を考えてみるといい。」




しかし巌は(たかし)との戦いでこうも言っていた。

「あの光景…忘れはしない!私の魂はいまだに、あの時あの場所にいる…あの時…誓った!!
 全ては、お前を外に解放した私の責任…地獄の果てまで追って、この手で始末をつけると!!」

もしかすると、(たかし)との決着がつくまでは、巌は “自分だけが帰るべき場所に帰るわけにはいかないと考えていた” のだろうか。


彼は人間でありながら誰よりも超人的だった。
だが、その実は兄として父として後悔と懺悔に打ちひしがれながら必死に足掻く、人間らしい人間だったとも言えるだろう。
ヒトの強さとヒトの弱さを同時に体現してみせた存在、それが高槻巌という男なのである。


10年後のラスト最終話でも健在で、相変わらず。
どうやら自称「海外出張の多いサラリーマン」を続けているらしい。

き、貴様らはいったい!?何者だ!?

なに、通りすがりのWiki篭りさ!!


この項目が面白かったなら……\ポチッと/


最終更新:2025年08月03日 23:39

*1 もっとも高槻夫妻をはじめ、恵以外の三人はごく普通の家庭の子供として物心がつくまで育てられており、エグリゴリの策略によりARMS移植以外に命が助かる方法がない事態になるまでは、巌達もそのまま一般家庭の人間として幸せに暮らそうとも考えていた。

*2 修験僧の開祖

*3 この時の『ジャバウォックの爪』の変化だが、これは恐らく彼等兄弟がアリスの短編「ライオンとユニコーン」の関係だった事の暗喩と思われ、崖の完全体はライオン姿を、巌の光剣はユニコーンの一角を模していたと推察できる。

*4 初登場時に恵、次にニューヨークで隼人にアドバイスしたが、涼と対面したのはアメリカから帰ってきた次の日の朝。