ARMS(皆川亮二の漫画)

登録日:2020/03/10 Tue 18:29:49
更新日:2025/01/21 Tue 15:48:41
所要時間:約 45 分で読めます





(ドクン)

……(チカラ)が欲しいか?……

(ドクンッ)

……(チカラ)が欲しいか!!……

(力が…欲しい…!)

欲しければ……くれてやるッ!!



ARMS(アームズ)
その腕が掴むものは
神の未来か、悪魔の過去か……。



『ARMS(アームズ)』とはかつて週刊少年サンデーに連載されていた皆川亮二の漫画。原案協力として七月鏡一が参加。
1997年16号から2002年20号にかけて連載され、第44回(平成10年度)小学館漫画賞受賞。全22巻。
2001年に『PROJECT ARMS』(プロジェクト アームズ)と題してテレビアニメ化されている他、同名でPlayStation2よりゲームが発売されている。


●目次

物語

主人公である高槻涼は、幼稚園の頃に工場の前の空き地でかくれんぼをしていた時、瓦礫の崩落に巻き込まれた。
一命を取り留めた涼は、傷を負ってもすぐさま治ってしまうという奇妙な腕を得る事となる。
しかし奇妙に思いながらも深く考える事なく、幼馴染みの赤木カツミと共に平和な高校生活を送っていた。
しかし、そこへ転校生としてやってきた新宮隼人との接触がきっかけで、とんでもない陰謀に巻き込まれていく。


●登場人物

オリジナルARMS

…オレはこの子を殺さないよ。
何故なら…このオレが殺したくないからだ!!
  • 高槻 涼(たかつき りょう)
    • アニメ版CV:神奈延年
    • 能力:ARMS『魔獣(ジャバウォック)
    • 発現部位:右腕
本作の主人公。オリジナルARMS『魔獣(ジャバウォック)』を移植されているが、隼人と会うまで全くその自覚がなかった。*1
新学期早々、学校の校舎の壁面にできたアマツバメの巣を観察する為にフリークライミングする変な奴。
短く切りそろえた短髪のスポーティな見た目で、年齢以上に落ち着いて飄々としたマイペースな少年。
肝が据わっており度量も深い。振る舞いは年頃の少年らしいが、非常に冷静沈着。観察眼も異常なほど鋭く、普通気付かない事でも覚えている。
クラスメイトからは「無敵の涼ちゃん」と呼ばれており、面倒事が起きるとよく解決に呼び出されるなど人当りの良さで友人関係も広い。
5年前から父親が単身赴任で海外に行っており、母親と二人で生活している。


おまえ…心まで"化け物"になりてーのか!?
涼の通う高校に転入してきた転校生。茶色の髪を長く伸ばし、鋭い目つきをしている。
オリジナルARMS『騎士(ナイト)』を移植されており、転校初日には左腕をギプスで隠していた。
10年前に起きた鐙沢村襲撃事件の生き残りであり、左腕を失いARMS移植のきっかけとなったのもこの時。
襲撃事件の際に両親を殺したエグリゴリへの復讐を目的に生きて来た為、性格は非常に好戦的かつ短絡的。向こう見ずで自信過剰でもある。
初登場時には『共振』から涼をエグリゴリの手先だと思い込んで襲いかかったり、涼を誘き出すためにカツミを拉致するなどした。
涼と和解してからは急速に親しくなり、お互いを親友として認め合う仲となった。後に武士とも親友になる。


自分の命すら大切に出来ないから容易く他人を巻き添えにできるんだ…
そんな奴が勇者でも超人でもあるわけが無い…!
  • 巴 武士(ともえ たけし)
    • アニメ版CV:うえだゆうじ
    • 能力:ARMS『白兎(ホワイトラビット)
    • 発現部位:両足
涼の通う藍空東高校に隼人に続いてやってきた転校生。
幼い頃に妹の麻耶(まや)をかばって交通事故に遭い、両脚を失うほどの大怪我をした事でARMSを移植された。
移植されたのはオリジナルARMS『白兎(ホワイトラビット)』であり、涼とは違い登場時点で自身のARMSの存在を一応は認識していた。
その経緯は、大人しい性格と弱そうな見た目からいじめられ、誰も助けてくれない状況で精神的に追い詰められた際にARMSが発現し、いじめっ子を半殺しにしてしまった事から。以来、いじめられてはARMSを発動して暴力沙汰となり、転校を繰り返していた。
本来は心優しい少年だが登場当初は自身の不幸と異形の足に怯えるだけだった。しかし、同じ境遇の涼や隼人、恵らに出会い、戦いを通して大きく成長していく。


たとえレールに乗っていようが、自分の意志さえしっかり持っていればいいじゃないの!
  • 久留間 恵(くるま けい)
    • アニメ版CV:高山みなみ
    • 能力:ARMS『ハートの女王(クイーン・オブ・ハート)
    • 発現部位:両目
本作のヒロインの一人であり、反エグリゴリ組織“ブルーメン”のメンバー。涼の幼馴染である赤木カツミと瓜二つの少女。
その立場上、オリジナルARMS移植者の中では一番遅い登場で、鐙沢村でカツミを失い意気消沈する涼達の前に現れ、彼らに高慢な態度で接触し強引にブルーメンへ引き入れようとした。
エグリゴリと戦う戦士としてブルーメンに育てられたおかげで四人の中ではARMSについての見識が最も深く、登場時から涼達よりもARMSの制御が巧みだった。
ファーストコンタクトが最悪だった事などから当初は三人との関係は芳しくなかったが、共に戦う中で分かり合い、彼女もまたかけがえのない仲間、苦楽を共にした兄弟のようになっていく。
また、自身のARMSが他のオリジナルARMSの発動をある程度制御できる能力を持っている為、四人のリーダーとなる存在を自認している。



主人公の仲間達

な…なによ…私はそんな右腕、ちっとも怖くないよ。右腕が暴走したってなによ。
そんなわがままな腕、この私が止めてあげる!!
  • 赤木 カツミ
    • アニメ版CV:三浦智子
本作のヒロインの一人で、涼の幼馴染の少女。性格は涼から「お節介焼きで人懐っこくオバサンじみている」と言われている。
立場上はメインヒロインなのだが、作劇上の都合で目立った出番がほとんどない為、恵やユーゴーと比べると影が薄い。
涼達に無断で同行した鐙沢村において、涼の目の前でエグリゴリの爆撃に巻き込まれて死亡したと思われていたが…?
だがカリヨンタワーでの攻防にて、武士が解放した『白のアリス』とユーゴーの自己犠牲のおかげで生還を果たした。
そして『黒のアリス』と『白のアリス』がどちらも消滅した事でARMSも活動を停止。人類抹殺計画にようやく終止符が打たれた。
10年後は一児の母。相手はもちろん……。


あらかじめ心の計算ができないのが人間というもんじゃよ。
  • 新宮十三(しんぐう じゅうぞう)
    • アニメ版CV:藤本譲
隼人の祖父であり、新宮流古武術の師範でもある。若い頃は高槻巌をして「現役時代の彼には今の私でも勝てない」と言わしめるほどの実力者だった。
それでも寄る年波には勝てず、不死身のヴォルフや狙撃など相性の悪い相手が多く、苦戦する場面も多かった。
ただし特別な能力や特殊な装甲等を抜きにした単純な格闘戦であれば、現在でもエグリゴリのサイボーグ部隊相手にも負けはしない古強者。
たとえARMS相手であっても第一形態であれば手玉に取ってみせ、作中で最初に「人間はARMSに負けない」という言葉を説いた人物でもある。この言葉は、終盤に至るまで涼達の根幹に根ざす強い信念となっていく。
10年後は道場を引退し隼人に譲りこそしているが元気にご存命。武士に影響されてか、にわかサッカーファンのような事を言っているのを隼人に突っ込まれつつ、キャロルと三人で仲良く暮らしているようだ。


てめーらは一人一人がしっかり名前を持って、自分の人生の舵をにぎってんだろうが…
だったら一般市民なんて顔の見えない名前で自分をよぶもんじゃねえ。
  • 兜 光一(かぶと こういち)
    • アニメ版CV:中村大樹
藍空警察署の刑事。当初はエグリゴリが巻き起こす事件を追っており、結果としてARMSを持つ涼達と出会う。
二十八歳、血液型はAB型。国家公務員上級試験を優秀な成績で通ったキャリア組だったが度重なる命令違反や上司への反抗的態度により、未だに階級は警部補。
子供の頃の夢は正義の味方。エグリゴリの存在を知った後は、レッドキャップスの『スナーク狩り』に対して警察を率先して動員。
反エグリゴリ組織・ブルーメン幹部の「李 春香」に窮地を救われ、本当の正義の味方を目指していく。*3
その後は警察を辞職し、ブルーメンに参加。涼達をサポートする。
特殊な能力や技術を持たない普通の人間である為、戦闘では満身創痍になりがちだが、持ち前のガッツで食らいつき、それが反撃の転機となる事も多々あった。
名前の由来はマジンガーZのパイロットである兜甲児から。
10年後にも変わらず『正義の味方』をしている様子。
「軍隊と警察の違いがわかるかい!?軍隊は敵軍に降伏していいんだ。そのための国際条約まである。
 だがな、警察は違うぜ。警察は決して犯罪者に降伏しちゃいけないのさ!」



あなたは私が生涯でもっとも心を痛めた自慢の息子よ!!
  • 高槻美沙(たかつき みさ)
    • アニメ版CV:一城みゆ希
涼の母親であり、非常に若々しい専業主婦。カツミからは「美沙ちゃん」と呼ばれ親しまれている。
息子曰く「若作りな専業主婦」、または「呑気な母さん」。近所でも評判の若奥様で、明るく人当たりのいい優しい女性。
年齢不詳の外見で高校生の子供がいるとは思えない若々しさと美貌で、カツミはおろか生意気なアルからも懐かれており、「美沙ママ」と慕われるほど。
料理上手で包丁さばきは見た者を驚かせるレベル。現在は夫の高槻巌が単身赴任な事もあり、仮初の独身気分を楽しみながら家事に精を出している。
世話好きで細かい事は気にしないタイプ。


なに、通りすがりのサラリーマンさ。単身赴任のね!!
  • 高槻 巌(たかつき いわお)
    • アニメ版CV:有本欽隆
主人公である高槻 涼の父親であり、自称『通りすがりの単身赴任のサラリーマン』。
常にスーツに帽子というモダン紳士スタイルの出で立ちで、その佇まいに反し趣味はキャンプ。着痩せするタイプであり、結構屈強な体格をしている。
幼少期から涼を頻繁にキャンプに連れて行っており、サバイバル術や格闘術、野生動物を捕らえたり撃退する罠の作り方を手解きしていた。
商社勤務で海外出張が多く、最近はほとんど家に帰らず半ば母子家庭と化しているのをカツミが心配している。


我が名はキース・ブルー。
誇り高き地獄の住人、キースシリーズの一人…
  • キース・ブルー/エドワウ
    • アニメ版CV:石丸博也
    • 能力:ARMS『眠り鼠(ドーマウス)
    • 発現部位:不明
反エグリゴリ組織・ブルーメンの創始者であり最高意志決定者。組織内では「ブルー」の名前以外、詳細が伏せられた謎の人物。
その正体は『失敗作のキースの一人』であり、劇中で登場した時点で生存しているキースシリーズでは最年長。
ARMSの適合に失敗したため、適合手術の際に心臓部に植え付けられたコアから侵食を受けている。
胸に取り付けた旧式のリミッター無しでは数時間と生きられない体で、体も満足に動かせないため常に車椅子に乗っている。
実はキース・ブラックと同じく『アザゼルの中にいるアリスの声』を聞く事ができる存在でもある。
ブラックとは『自分たちだけの名前』を交換した仲で、「エドワウ」、「セロ」と呼び合いながら兄弟として育った。
元々の性格は他のキースシリーズ同様に傲慢不遜で尊大だったが、過酷な経験を経た事で神への敬虔さや慈愛を持つ性格になる。
第28次ARMS移植実験でコアを移植するも暴走。失敗作として廃棄処分を待つ身だったところに、高槻巌らがエグリゴリを襲撃。
サミュエル博士から事情を聞いた巌のおかげで混乱に乗じて逃げ出す事に成功した。
アリスの声こそ聞こえていたがARMSには適合できなかった為、キース・レッドと同じくARMSにアリスの意志は宿されていない。
しかし、聞こえていた声により『私の4つの(コア)を解放してオリジナルARMSをこの地の底から解き放って』という「望み」をアリス直々に託された。
そしてサミュエル博士に預けられたコアとアリスの声の導きにより、反エグリゴリ組織「ブルーメン」を結成する。
遺伝子操作による人体実験の末に、涼達四人の適合者を産み出すが、彼らへのコア移植には難色を示し躊躇していた。
これにはブルーメンの科学者が絡んでおり、彼等に強いられて無理矢理やらされていた事が明らかになっている。
それを見透かしたブラック(=ホワイト)により、適合者が相次いで襲撃され、或いは事故などに見せかけて瀕死の重傷を負わされる。
これにより適合者達を生き延びさせるにはARMSを移植するしか術がなくなり、苦渋の決断で移植に踏み切らざるを得なかった。
彼の存在がエグリゴリを打ち倒す全ての始まりであり、そしてエグリゴリが生み出してきた全てを潰す鍵となった。


元・エグリゴリ

考えるだけの天才より、行動する馬鹿が勝つって事だ!!もちろん僕は別格だぞ!!
エグリゴリの実験によって生み出された天才児『チャペルの子供達』の中でも最高の頭脳を誇る双子・ボーエン兄弟の片割れ。
ずば抜けた知能が原因でいじめを受けた経験により、兄弟共に「学校」そのものに強い憎しみを抱いている。
兄のジェフと共に改造兵『プラス』と『マイナス』を引き連れ、ゲーム感覚で学校を襲撃し涼達に戦いを挑むも、二人の独断による暴走に業を煮やした上層部から切り捨てられてしまう。
彼らの始末に赴いたキース・レッドには自慢の改造兵も敵わず、目の前でジェフを殺され、アルも殺されかけたところで武士を始め涼達に救われ、以降は涼の家で世話になるようになる。
性格は傲岸不遜で極度の負けず嫌いにして、かなりの独善的思想主義者。「人類最高の頭脳を持つ」と自負し、たびたびクソガキ呼ばわりされ隼人からゲンコツをお見舞いされる。
しかしその自負は決して伊達ではなく、随所で科学的見地から涼達の活路を見出してみせる。特にハッキングや機械の操作は大得意と、仲間になってからの彼の頭脳は一行にとって欠かせないものとなる。
ただし、チェスの勝負だけは最後までサミュエル博士に勝つ事ができず、彼の『勝ち逃げ』に涙を流していた。
ニューヨークから帰ってきて以降は新宮家に居候し、キャロルと共に十三から新宮流古武術を学んでいる。
最後の最後でホワイトにトドメを刺したのは、彼によるホワイト進化論の完全なる論破のショックではないかと謂われている。
10年後には若干22歳ながら医師免許と博士号を取得し、隼人よりも長身のイケメン天才学者となる。各界から注目され様々な誘いを受けるが、愛着ある藍空市に留まり医療現場で働きながら大学で教鞭を執っている。
また、隼人のゲンコツ癖を引き継いだようで、「宇宙最高の頭脳*4」たる自分の講義を前に私語をする学生の頭に容赦ない一撃をお見舞いしていた。(当の隼人には相変わらず失言して殴られる側だったが)


うふふ…何でもわかってしまう能力も困ったものですよ…
本作のヒロインの一人で、元は敵対していたエグリゴリの超人部隊『X-ARMY(エグザミィ)』の一員。
世界最強のテレパシストで『天使(エンジェル)ユーゴー』の異名を持ち、その名はエグリゴリ内部では広く知られている。
天使の異名に相応しく超人部隊の中では唯一の良心であり、心優しい少女ではあるが、他者の心を読み取れる能力故にエグリゴリの暗黒面を見続けた事で、心に傷を負っている。
その為、同じような境遇にいる涼の心を読んだ事で彼に強く共感し、同時に一目惚れに近い形で好意を持つようになっていく。
彼女の能力は単純なテレパシー(読心術)だけではなく、他人の意識を中継したり、幻影を見破ったり、あるいは精神を他人ごと誰かの精神に送り込む事すら可能。
また、心を持たない者と意識を繋げて操って戦う事もできるが、これはダメージそのものもフィードバックしてしまう諸刃の剣でもある。
物語では自己犠牲も厭わぬ献身的な行動を率先して行い、涼達を超能力だけでなく精神的にも支えていった。
その意思は非常に強く、「涼がジャバウォックに呑み込まれた時は、自分がジャバウォックを命に代えても殺す」と誓うほど。
何より、テレパシーにより涼の心はカツミの事でいっぱいなのが分かった上で、それでも彼に寄り添い、最期まで彼を救ってみせた。*5


面白いでしょ、“曲がれ”って思うだけで、私にはなんでも曲げられちゃうのよ。
ユーゴ―と同じ超人部隊『X-ARMY(エグザミィ)』の一員である、ベレー帽がトレードマークの小悪魔的な10歳前後の少女。
螺旋(ツイスター)のキャロル』の異名を持つ強力なサイコキネシスの使い手で、並のサイボーグ兵士程度なら難なく瞬殺できる。
その能力を恐れた家族から組織に売り渡されたトラウマを持ち、血の繋がりはないがクリフを兄、ユーゴーを姉として慕っている。
念動力は何でも捻じ曲げる事ができる他、衝撃によって相手を傷つけずに気絶させる事も可能。
涼達に敗れた後、X-ARMYの仲間はレッドキャップスの襲撃で壊滅。クリフに逃がされ辛くも生き延びたキャロルは、ユーゴーと共に涼達の仲間になった。
レッドキャップスによる『スナーク狩り』の際は隼人や十三と行動。その縁からか新宮家で世話になるようになり、アルと共に新宮流古武術も学んでいる。なかなか筋がいいようで、頭脳専門とは言え男子のアルを軽々と投げ飛ばすまでに上達。
『スナーク狩り』の際に身を挺して庇ってくれた十三の事は「十三じーちゃん」と呼んで懐いており、実際に新宮家の養子として正式に引き取られる事となった。
10年後は、姉と慕ったユーゴーに似た雰囲気の美しい女性に成長。大学と新宮家の家事を両立する生活を送っている。



進むがいい…子供達よ…わしが行けなかった真理の地平まで…
  • サミュエル・ティリングハースト
    • アニメ版CV:依田英助
エグリゴリ最高科学顧問を務めるユダヤ系アメリカ人で、年齢は75歳。世界最高の物理学者であり、アドバンストARMSを生み出した。
涼達によりエグリゴリの情報を探るべく拉致されたが、後に彼自身の意思で、過去の償いをすべく涼達の陣営に加わる。
かつては大学時代に『アザゼル』を発見し、その性質を見抜いて地球外生命体である事を突き止めるが、エグリゴリに押収される。
そしてキース・ホワイトにスカウトされ、科学者としての知的探求心から全てを捨ててエグリゴリに加入した。*6
ホワイトの「アザゼルによる人類の人工進化」の呼びかけの元、ナノマシンの完全適合者『アリス』を生み出す事に成功。
このアリスをサミュエルは実の娘同然に可愛がっており、その過程で彼本来の良識的な人格を取り戻すようになっていた。
しかし、外の世界に出たがったアリスとそれを許さないホワイトの暴走を止める事ができず、始末されそうになった実験体の子供を庇ったアリスが凶弾に倒れ死亡してしまう。
そしてこのアリスの死によりアザゼルも暴走。責任を追及されたティリングハースト博士は一時はエグリゴリから追放されるも、失意に暮れていたところで再度ホワイトの勧誘に遭う。
最初は突っぱねていたものの、「アリスは生きている」というホワイトの言葉に取り憑かれ、『キースシリーズ』という更なる非道な人体実験に手を染めていく事となった。
後にその後悔から、エグリゴリを襲撃した高槻巌にアザゼルと融合していたアリスと共にオリジナルARMSのコアとブルーを託した。
最期はカリヨンタワーから脱出する際にロックの解除に集中していたアルを庇って爆風を受けながら、焦って本来の実力が出せない彼を叱咤激励。
そしてアルに最後のロックの解除に成功させ脱出。先に行くよう促し、傷を隠したまま座り込んで穏やかに息を引き取った。*7


守るべきものがあるのなら、決して立ち止まるな!!
  • スティンガー
    • アニメ版CV:稲葉実
ギャローズ・ベルを拠点とする『チャペルの子供達』に雇われた護衛で、強化人間“猟犬部隊”において『アルファ・ハウンド』と呼ばれる隊長。戦いに際しては非情だが、たとえ足手まといであろうとも決して仲間を見捨てはしない義理堅い人物。
用済みとして組織に殺処分されるところを『チャペルの子供達』のリーダー格であるオスカー・ブレンテンに拾われ、彼らに忠義を尽くし戦う事を決意する。
オスカーからは父親代わりとして慕われており、スティンガーもまた、親に捨てられた彼らを大切に思っている。
そして「決して裏切らない大人がいる事をオスターをはじめとする『子供達』に教えたい」という思いから彼らを守っていた。
実は元々妻子がいたらしいが、人体改造のための薬の影響か、あるいは自ら記憶に蓋をしたからか、その頃の記憶は既にほとんど思い出せない。しかし、家族よりも戦場を選んだ事による後悔の念は彼の心に深く刻まれている。
アドレナリンを過剰分泌させる事で人間の潜在能力を自在に引き出す事ができる強化人間で、戦闘が激化すればするほどその戦闘能力は飛躍的に高まる。
ただし過剰分泌が過ぎると肉体が負担に耐えられなくなり、良くて廃人、場合によっては命すら失う危険がある。
オスカーを助けてくれた涼達に負けを認め、その直後に起きたキース・シルバーの部隊の襲撃からの退却戦で涼達と共同戦線を張った。
原作では終盤に再登場するが、アニメ版ではその後のグランドキャニオンの大虐殺にて死亡してしまう。
最終章での高槻巌との会話によると、オスカーは彼の養子になったらしく、その事に顔をほころばせ、巌と「お互いに死ぬなよ」と声を掛け合う。またこの巌と合流する直前には、あのコウ・カルナギと交戦して互角に渡り合うという驚異的な実力を見せていた。
しかしその後、よりにもよって真っ先にラスボスのキース・ホワイトにエンカウントし、自分達を虫ケラ呼ばわりしたホワイトに激昂して交戦。
だが意にも介さぬホワイトの『ブリューナクの槍』により、あっという間にハウンド部隊は薙ぎ払われてしまった。*8


決着がつくまでやり合おうぜ、どちらかが死ぬまでな!!
  • コウ・カルナギ
    • アニメ版CV:徳丸完
エグリゴリのミュータント収容施設『アサイラム』に収容されている中でも、最も危険な存在といわれる男。
通称『牙(ファング)』と呼ばれる最強のミュータントで、見た目はM字ハゲで獰猛な顔つきの筋骨隆々とした大男
両袖が破れた道着のような黒い服を着ており、パッと見ややジャバウォックに似たシルエットをしている。
凶暴な性格の戦闘狂であり、傲慢且つ尊大な性格。強者と戦う事が生き甲斐という見た目通りの脳筋バーサーカー。
ある特殊なウイルス性疾患の生き残りで、生身でARMS以上のパワーとスピードを持つという怪物であり、その実力は作中でも屈指。
調査した学者からは「生まれながらして全身のチャクラが開いている」と言われ、ARMS中最強の硬度を誇るナイトのブレードを白刃取りした挙句に軽々と圧し折るほどの怪力。
さらに反射神経も凄まじく、捨て身で強襲してきた音速を超えるホワイトラビットの突撃をもカウンターで撃退していた。どういうわけか銃弾も通らない皮膚をしている。
キース・グリーンに雇われたジェームズ・ホワンにより体内に電気ショックを与える『ワーム』*9を仕込まれ、エグリゴリの手先として、そしてARMSという強者との戦いを求めて登場した。
初登場時にはたった一人で涼達全員を相手にしても圧倒的な実力で勝利し、しかもその戦闘で武士は植物人間となってしまった。
しかし後に『水の心』を会得した隼人に敗北。さらに正体を現したホワンにより完膚なきまで叩きのめされてしまう。
この際の恨みから終盤にはホワンへの復讐を果たす為に再度姿を現し、アルの説得もあって涼達と利害が一致した事でまさかの共闘と相成った。
完全体のオリジナルARMSには及ばずとも、モデュレイテッドARMSの一個部隊を相手に素手のまま無傷で蹴散らせるほどに終盤の時点でも強い。
しかしそんな彼の攻撃でさえ、最終形態になった複数のモデュレイテッドARMSには流石に決定打にはならなかった。
ちなみに文庫版に掲載された貴家悠のイラストによると、「テラフォーマーズ」の登場人物「ジョセフ・G・ニュートン」は彼の子孫という裏設定がある。

物語終盤にてカルナギと上述のスティンガーが対峙・交戦し、スティンガーはカルナギのパワーを、カルナギはスティンガーのスピードを互いに危険視していた。
もっとも、あわや殺し合いに発展する直前のそんな両者を「よしたまえ」の一言と同時にぶん投げて仲裁した化け物もいたが。
そしてついにホワンの顔面に一発入れる事に成功するも、そのまま昏倒。巌に助けられ、巌と崖の決着がついた後で立ち去った。
同作者の漫画「スプリガン」の源双烈によく似ている。(戦闘スタイルや特徴も酷似)
一応、最後の最後で味方戦力になったのでこちらに記すが、基本的には誰の味方にもならない暴の化身にして自然災害のような男である。



キースシリーズ

『キースシリーズ』とは、エグリゴリ中枢の権力者だったキース・ホワイト博士のクローンチャイルドの総称であり、繁殖能力を持たない一代限りの人造人間
ARMSに適合できた成功作のみがカラーネームと呼ばれる名前を与えられる。基本的にはオリジナルのキースに似た傲岸不遜な性格になる者が多いが、心優しい者もいる。
少なくとも87人以上の個体が造られたが、後にブラックの手によって現在のカラーネーム持ちのキース以外は皆殺しにされた。

なにしろ俺はお前達の“兄”だからな!!
  • キース・レッド
    • アニメ版CV:速水奨
    • 能力:ARMS『幻獣(グリフォン)
    • 発現部位:両腕
涼達が初めて出会った『キース』の一人。エグリゴリのシークレットエージェントとして、物語の序盤でたびたび暗躍する人物。
隼人から身に覚えのない「親の仇」と言われ、苦笑しながら「俺はお前達の兄だ」と言い残し、彼らの出生の謎のヒントを与えた。
作中にキースが増えていく中で判明する事だが、キースの中では意外と砕けた性格をしており、隼人に親の仇と間違えられた際は困惑した表情で弁解するなどしていた。
ガウス・ゴールと手を結びながら独自にオリジナルARMSを研究し、鐙沢村で涼のジャバウォックが暴走を起こした際に、その爪により左頬に三の字の爪痕を遺されてしまう。
他のキース達と同じ遺伝子プールから生まれた存在ではあるが、「欠陥品」、「初期不良品」と呼ばれている。これは実力からではなく*10、『アリスの意思』を受け継げなかった為。だからかオリジナルARMSについての詳細すら教えられておらず、それゆえにガウスの力を借りて自ら情報を集めていた。
それどころか鐙沢村でジャバウォックの暴走を見るまで、ARMSの最終形態の事さえ知らされていなかった。
そのためカラーネーム持ちながら正式にはキース・シリーズには加えられておらず、最高幹部の座も与えられていない。そしてその事に強いコンプレックスを抱いている。
幹部候補以外のキース・シリーズを皆殺しにしたブラックが、なぜレッドを処分していなかったのかは未だに謎*11
そういった経緯から、自分を認めない他のキースシリーズを圧倒する高みに上るため、独断専行でオリジナルARMSの奪取に執着していた。
そして鐙沢村での経験から『完全体』についてのデータを収集した事で自身も遂に完全体の力を自在に発動できるようになり、実戦テストとしてクリフ・ギルバートと交戦しこれを惨殺。
能力は超振動ブレードと超音波を持つアドバンストARMS『幻獣(グリフォン)』。


貴様は…前進しろ…貴様の心が…今求めていることをなしに行け
  • キース・シルバー
    • アニメ版CV:川津泰彦
    • 能力:ARMS『帽子屋(マッドハッター)
    • 発現部位:左腕
エグリゴリの最高幹部の一人であり、キースシリーズの次兄。アリスの『闘争』の意志を宿す好戦的な軍人。
しかしそれは本来の自分を隠す仮の姿であり、幼少期は「アレックス」という名を与えられた、メキシコの研究所育ちの心優しい少年だった。
だが兄であるキース・ブラックの命令で研究所が襲撃された末に拐われ、ブラックから「研究者達を説得できればこれ以上攻撃はしない」と提案される。
育ての親同然の研究者達を信じて研究所に向かうも、有無を言わさず彼らからの銃撃に曝され、そのショックにより育ててくれた研究者を皆殺しにしてしまった。しかしそれは研究所の職員らがエグリゴリの襲撃で恐怖し、ブラックと全く同じ見た目のアレックスを見た恐怖心によって撃ってしまったからで、事切れる際にその事を告げている。
この事件が要因で現在の破壊的な性格が形成されるも、心の奥底ではブラックの呪縛から自由になる事を強く望んでいた。
最終的には『闘争』の力を昂らせるべく自らの手で部下を皆殺しにし、その果てにジャバウォックにも負けないほどの手に入れるが……?
能力は電撃を操る事で、掌から荷電粒子砲を放つアドバンストARMS『帽子屋(マッドハッター)』。


僕は……君達とまったく別の形でであっていたなら…
  • キース・グリーン
    • アニメ版CV:私市淳
    • 能力:ARMS『チェシャ猫(チェシャキャット)
    • 発現部位:左腕*12
エグリゴリの最高幹部の一人であり、キースシリーズの末弟。涼達と同じぐらいかやや年下で、アリスの『希望』の意志を宿している。
キースシリーズという選ばれた超越者としての傲りを持ち、傲慢で自分勝手な性格で嫉妬深い。得意顔で指揮者の真似事をしながら虐殺を行うなど、自分に酔っている節もあった。
当初は長兄ブラックの命により『プログラム・ジャバウォック』の為だけに鐙沢村での爆撃からカツミを保護するが、共に過ごすうちにやがてカツミに心惹かれるようになる。
しかしカツミの心には涼の事しかなく、肝心の自分に対しては親しみこそ向けられてはいても手のかかる弟としか見られていない事実に嫉妬を募らせ、グランドキャニオンの戦いであえて先回りをし、逃げてきた涼達を襲撃。
航空戦力を率いてチャペルの子供達や町の住人達を虐殺した。だが鼻歌交じりに子供達を虐殺した事で涼の怒りが爆発。
無敵を自負していた「空間を操る能力」を悉く打ち破られ、必死の思いで逃走。NYの豪邸に逃げ帰り、カツミとの生活を拠り所に引き籠る。
しかしジャバウォックに敗れてもなお自身の力を過信し、『アサイラム』からジェームズ・ホワンらを差し向け、一度は全滅寸前まで追い込むがこれも失敗。
そしてジャバウォック計画の為にブラックの指示で現れ本性を現したホワンにカツミを奪われ、更には……。
能力は空間干渉能力による空間転移や空間の断裂を引き起こすアドバンストARMS『チェシャ猫(チェシャキャット)』。
ホワンに瀕死の重傷を負わされた後は回復ポッドのような物の中で眠っていたが、コアに傷を負っていたらしく歩くのもやっとだった。
最期は自らの命と引き換えに兄に立ち向かい、最後の力を振り絞りながらあれほど憎んだ涼の手を取って彼をカツミのもとに転送し、カツミへの想いに殉じながら朽ち果てた。


笑えるだろう、久留間恵…
私は今、生まれて初めて紅茶がうまいと感じている。
  • キース・バイオレット
    • アニメ版CV:桑島法子
    • 能力:ARMS『三月兎(マーチ・ヘア)
    • 発現部位:両目
エグリゴリの最高幹部の一人であり、キースシリーズの長女にしてキースシリーズ唯一の女性。コーヒーに拘りがあるようで、エスプレッソの味にはうるさい。
アリスの『悲哀』の意志が託された大人の女性で、たびたび涼達の前に中立的な立場で現れては助言や助け舟を出す。
性格は見た目通り冷静かつ成熟しており、合理的で交渉もできる「話が分かる人」。ただし後半からは『計画』への焦りからか精神的に追いつめられ辛辣になっていく。
平和を願う唯一のエグリゴリ最高幹部であり、政治的手腕に長けた外交官的な役割として兄のキース・ブラックの片腕として信頼されている。
ブラック自身も、彼女が涼達に塩を送るような真似をしてもその信頼が揺るぐ事はなく、同様に彼女も兄を敬愛している。
他のキースシリーズの事は家族のように大切に思っており*13、涼と隼人に自分達の過去を語り、ARMSの謎を解く鍵となる場所を教える。
全てはARMSに関わった者達に待ち受ける過酷な運命を憂いて、破滅の運命を避けるべく独自に行動を興していた為だった。
特に隼人とは何かと縁があり、巌の導きで隼人が知り合ったママ・マリアの旧友の一人として葬儀の列にも参加していた。
ちなみに初めてマリアに会いに行った際は生まれて間もなく、自分がヒトなのかただの兵器なのかを問いに訪れ、その過程でマリアの護衛9人を殺害している。
能力はナノマシンを散布する事で大気中の光を操るアドバンストARMS『三月兎(マーチ・ヘア)』。金属を一瞬で溶かすほどの威力のビームを放てる。
10年後は米国国務長官として活動し、アリスが産み出し愛した青い薔薇「ブルーウィッシュ」を携えながら平和を訴え、パレスチナ和平に尽力している。



希望こそ…ヒトにとって最も恐ろしい
災厄だからですよ…
  • キース・ブラック/セロ
    • アニメ版CV:置鮎龍太郎
    • 能力:ARMS『神の卵(ハンプティ・ダンプティ)
    • 発現部位:なし(全身)
エグリゴリを統率する最高幹部の筆頭で、キースシリーズの長兄。金色の髪を長く伸ばしている。
キースシリーズにおける初めての成功例であり、思慮深く常に微笑みを絶やさない温厚な性格をしている。
だが同時にアリスの『絶望』の意志が託されており、『黒のアリス』の意のままに動く存在となっている。
ARMS移植前は「M-83」と呼ばれ、後のキース・ブルーことエドワウやティリングハースト博士からは「セロ」と呼ばれる気弱な性格の少年だった。
エドワウとは人工子宮が同じβグループだった事で親しくなり名前を交換し合った兄弟のような仲であり、アザゼルの中の「アリス」と話ができた。
しかしアリス以外での初のARMS適合者となった後、生みの親であるキース・ホワイトを始めとしたエグリゴリ最高幹部、研究者らをほぼ皆殺しにしてしまう。
さらに外部端末と接続したアリス(アザゼル)により米国の核報復システムを乗っ取り、各国政府を裏から支配する。
そしてエグリゴリを率いて『プロジェクト・ジャバウォック』発動の為、幹部候補以外のクローンを殺処分し暗躍を始める。
尚、隼人の両親を殺害した本当の仇はこのキース・ブラック。ただし、それは彼の中に吸収されていたホワイトの思惑によるものだった。
能力はあらゆるものを吸収して自分の物にできるアドバンストARMS『神の卵(ハンプティ・ダンプティ)』。
最後はハンプティ・ダンプティに取り込まれていたキース・ブルーと再会を果たし、兄弟として手を取り合って父に引導を渡した。


  • キース・ゴールド
涼より以前にジャバウォックのコアを移植された最初期のキースシリーズの一人。性格の詳細は不明だが好戦的ではなかった様子。
一時はサイボーグ兵士を惨殺するほどの戦闘力を得て移植は成功したかのように見えたが、後日ARMSが暴走して半端な完全体と化した挙句、基地内を破壊して回って最後には朽ち果てた。
中途半端とはいえジャバウォックには違いなく、銃弾の雨や爆撃も一切効かず火炎放射で兵士を一掃し、人間を軽く握り潰している。
ちなみに暴走自体はこの時以前より3年で12回も起きており、いずれも実験体が侵食されて怪物化した果てに死亡していた。
ホワイトはこの惨状をサミュエルに見せた上で、オリジナルARMSに代わる新たなコア、アドバンストARMSの開発に着手させたのだった。
要はホワイトがサミュエルを焚きつける為の見せしめに利用された哀れな生贄である。





●その他の部隊・人物


  • メアリー・カッツ
金髪のショートボブが特徴の女性研究者。鐙沢村実験場の最高責任者であり、同時にエグリゴリに潜入したブルーメンのスパイ
鐙沢村で、非人道的と知りつつも様々な人体実験を行なっていた。村を訪れた涼達に出生の秘密の一端を明らかにする。
自分達の罪深さを受け止めており、地下施設と実験体達を破壊するべく放たれたミサイルにより実験場と運命を共にした。


  • クリムゾン・トライアッド
エグリゴリのサイボーグ3兄弟。出生の秘密を探ろうと鐙沢村を訪れた涼達の前に立ちはだかる。
これまでに流した血の量があまりに多いため、「真紅の三兄弟」(クリムゾン・トライアッド)と呼ばれ畏怖されている。
ハニカム構造のチタン装甲で身を固め、大型ガトリング砲を携えた重量級サイボーグの長兄「ガシュレー」。
背中についた虫のような羽根により亜音速で飛行し、真空刃で切り裂く紅一点の「ビイ」。
軟体生物の如き動きで敵を翻弄し、顔を自在に変化させ他人に成りすますナイフ使い「フェイス」。
彼らとの闘いにより、隼人と武士のARMSは第二形態に成長を遂げ、ガシュレーの正々堂々とした戦士の生き様は涼に影響を与えた。
尚、後に登場した後述の『ドラッケン』の隊長・ヨハンはガシュレーの戦友同士。


突然変異や人体実験によって得た超常の能力を持つ者達で構成された実験部隊。
主に超能力を主軸に研究されているが、ミュータントのような特殊体質の人間もいる。
しかし登場時点で既に用済み扱いされており、彼等の研究成果は『レッドキャップス』の完成の為の捨て石に過ぎなかった。
そんな組織に自分達の存在価値を示すべく、エグリゴリが手を焼いているオリジナルARMS達を殲滅しようと画策する。
メンバーは圧倒的なサイコキネシスを操る「魔王(セイタン)クリフ」、世界一のテレパシスト「天使(エンジェル)ユーゴー」、何でも曲げられる念動力の使い手「螺旋(ツイスター)のキャロル」、ガン細胞によりどんな傷も回復する「不死身のヴォルフ」、あらゆる光を操る視線を持つ「千里眼のキクロプス」で構成される。
元は他にもかなり大勢のメンバーがいたようだが、五人の出発と前後して廃棄処分にされてしまった。



ふふふ…この地上で最も多くの生命を奪った武器はなんだと思う!?…それは…毒だよ!!

”残忍なる知将”の異名を持つ老齢の傭兵。都市部での侵略戦における心理戦の専門家でもある。腹心の部下にカール・ヒギンズがいる。
初登場時は死を待つばかりの寝たきりの老人でしかなかったが、キース・レッドの『レッド・キャップス計画』により再び若々しい肉体を得て戦場に返り咲けるという話に乗り、彼と協力関係を結ぶ。
そして十代前半のクローン少年兵の肉体に脳を移植し、X-ARMYのヴォルフの不死身の肉体とユーゴーのテレパシー能力、キクロプスの透視能力などを併せ持った超人として生まれ変わった。
副官カール・ヒギンズと共にオリジナルARMS達を捕獲する為、人心扇動を伴う非道な作戦『スナーク狩り』を決行。
更には『Venom』と呼ばれる一種のコンピューターウィルス弾を撃ち込み、ジャバウォックを崩壊寸前まで追い詰めるも予想外の反撃を受け撤退。
その最中、部下達が次々と急激に老衰して死亡する様を目撃。実は不老処理を定期的に行わなければ肉体を維持できないという事実を知らされておらず、自身もまた捨て駒同然の存在であった事に絶望しながら朽ちていった。
レッド曰く「あんなものは老人たちにもう一度夢を与えてやったにすぎん」との事。
付与されていた能力も実際にはX-ARMYのオリジナル達に比べて全て中途半端な下位互換と言わざるを得ず、警察官や一般市民に手を焼いていた時点で、レッド・キャップスは失敗作としていずれハウンド部隊同様に処分されていただろう。
美沙ママにも「超視覚でいつでも敵を捕捉でき、超再生で不死身だと思っているから、恐怖心や警戒心が麻痺している。兵士として致命的な弱点。」と評されていた。超人的な能力を得て無敵の兵士となり万能感に包まれていた彼らにとって、これほど絶望的な指摘もそうないだろう。
「ガウス殿…扇動のために『サクラ』を何人潜り込ませたんです!?」
「フフフ…さほど多くはない…一人動けば三人動く…三人動けば一ダースが動く…それだけで群集はネズミの群れと化す
 人間の冷静な判断力を失わせるには、"恐怖"と"怒り"…たった二つの感情を操作してやればいいのだよ!
 すでに奴らは、この街の市民を敵に回した…もはや逃げ場はない
 民衆のリンチに何の抵抗もできずのた打ち回るがいい……… ククク…」



  • ラヴィニア・ウェイトリー
アサイラムの収容者の一人で、通称『悪夢(ナイトメア)』の異名を持つテレパシスト。魔女狩りに遭い、息子を殺された過去がある。
カルナギ達と共にNYの涼達の拠点を襲撃し、悪夢のイメージを見せて精神を攻撃する超能力を操りユーゴーと心理戦を展開。
しかし自らの力を反転して返され、自身の悪夢により心を壊されて敗れた。
後にカルナギと結託し、自分達を支配していた『ワーム』のスイッチをホワンから奪い取るも、それでも何故か『ワーム』同様のショックを浴びた事で最初から騙されていたと知る。
そしてホワンの心を読んだ際、その恐怖でショック症状を起こし退場した。その後は登場していない。(恐らくX-ARMYら同様処分されたと思われる)


  • 灰色(グリージョ)兄弟 (ネロ)(ビアンコ)
シシリアンマフィアのドン・パゾリーニに雇われた凄腕の殺し屋兄弟。ネロが兄でビアンコが弟。
兄弟のコンビネーション攻撃を得意とする、『』に匹敵する経歴の持ち主……らしいが、相手が悪すぎた。
目潰しを用いた姑息な戦法さえ通じず一方的に撃退された上、再登場時も隼人への当て馬扱いだった哀れな兄弟。


  • ママ・マリア
NYのハーレムの黒人達の中で最も尊敬されている最長老の女性。
足腰と目が不自由な寝たきりの状態だが、手を握っただけで相手の全てがわかる優れた「リーディング能力」を持っている。
この能力で隼人は自分自身の本心を見出し、キース・バイオレットの本質も一瞬で見抜いた。
そしてマフィア壊滅後、最期に隼人に会わせてくれた事を巌に感謝しながら静かに息を引き取る。
「人の足を停めるのは"絶望"ではなく"達観(あきらめ)"…人の足を進めるのは"希望"ではなく"意志"…」


エグリゴリ最強部隊『イプシロン・フォース』の中でも、最新鋭重装甲サイボーグ部隊を率いる隊長。
最新鋭の超絶ボディーを持ち、旧式サイボーグの烏合の衆であるドラッケンの前に立ちはだかる。
漆黒のマントの中には右腕にガシュレーのような大型ガトリング砲、肩と背中にブースターを搭載している。
重装甲でありながら必殺技『シュトルム・ウント・ドランク』は目にも留まらぬ速さで相手をボロ屑にする。
「雑魚にはかまうな!ただの通過点として捌け!」


  • ドラッケン
「神にいのるな!心がくじける!過去を思うな!!敵は前にあり!!」
ブルーメンのヨーロッパ地区を担当する特殊作戦部隊。ドラッケンとは「竜」の意味。
ヨハン・ホルスト隊長が率いる、エグリゴリから離反したサイボーグ部隊。ちなみにヨハンは、クリムゾン・トライアッドの長兄ガシュレーの戦友である。
しかし離反して以降はエグリゴリのメンテナンスや改造が受けられない為、全員が劣化した旧式サイボーグの集まりでしかない。
だが実戦経験の豊富さから隊の練度は非常に高く、むしろ最新鋭のサイボーグ部隊を相手取っても簡単に殲滅して見せるほど。
その実力はエグリゴリ内部でも伝説級の扱いであり、対峙したエグリゴリの部隊はその名を聞いて震え上がっていた。
彼らのパーツは消耗品であり、そのほとんどは散っていった戦友達の遺品を使っている。部品ごとに戦友の名前を憶えており、戦いの最中でも失った際には別れを告げる。
当初は涼達ARMSとの共闘を不服に思い、ブルーメンから脱退を表明。(これは自分達がARMS開発の踏み台にされた経緯によるもの)
失意から覇気をなくしていた涼を見て更に失望し、隼人やユーゴーの叱咤激励を受けて立ち直った涼が生身で自分達に挑み体当たりの説得をしてきた事で翻心された。
カリヨンタワーの攻防戦にて、遅ればせながら参戦しイプシロンフォースに追い込まれていたブルーメンを援護しつつ、タワー内へと突入し、そこでエグリゴリ最新鋭サイボーグ(アンドロイド)部隊である『ネクスト』と遭遇。
圧倒的な性能差の前に苦戦するが、刺し違えるが如き捨て身の戦いを繰り広げ、満身創痍となりつつも涼達ARMSとの約束を果たすべく、突破口を開く先駆けとして尚も玉砕覚悟の吶喊を敢行。
最後の一人になるまで戦い抜き、カリヨンタワーが崩壊する中で『ネクスト』のヒューイとその父デューイ・グラハムの最後のやり取りを聞きながら、満足げにタワーの倒壊に巻き込まれながら消えていった。
ヨハンは背中に四本のカッターアームを備え、他にもクリムゾン・トライアッドのフェイスのような変身能力を持った女性、銃火器や刃物を内蔵した者など能力は様々。
ヨハン
「ジョージ…アベル…コレン…ハリー…ロイス…シュワルツ……
 オレにパーツをくれて死んでいった部下たちの名だ
 我々には見た目以上の兵士がついている
 我らは生き場所を捨てし、ドラッケン!
 もう何も恐れるものはない!!ここが我々の死に場所だ!」


  • ボビー
カリヨンタワーの番人で数メートルはある巨大なパワードスーツ型サイボーグ。正面のモニターに少年の姿が映し出されている。
高速機動サイボーグ部隊を壊滅させてタワーに侵入してきた涼と隼人を迎え撃った。一応サイボーグだが、見た目に人間的要素は一切ない。
複数ある腕にはレーザービーム砲を備え、装甲強度も涼のARMSによる砲撃すら弾き返すほど。更にはローラーダッシュによる高速機動も可能。
知性は子供そのもので自尊心が高く自分を無敵と傲り、ロボット呼ばわりされると怒る。涼達を倒せば自由になれると言われていたが……?
実は中に乗っているのはARMS実験体の少年であり、スーツも急造の間に合わせ。目的は涼に少年を殺させ、精神を追い込む事だった。
その目論み通り涼はボビーの装甲を引き剥がし、それに伴いハッチに接続されていたボビーのリミッターが外れて暴走。涼の目の前で砕け散った。(スーツも自爆装置で爆破された)


  • ネクスト
ティリングハースト博士と旧知の仲である科学者デューイ・グラハムが造り上げた、人類絶滅後の世界を担う存在。
しかし元々は不治の病により死亡した息子を蘇らせる目的で、息子の記憶をアンドロイドに移植したものであった。
血液と栄養が必要で脆い「脳」という部品を不要と考え、デジタル化した記憶を移植したコンピューターを搭載している。
デューイ・グラハム自身も肉体を捨て、カリヨンタワーそのものになっているが、データの情報量の差からかこちらはある程度生身だった頃の人格を残している。
しかし息子ヒューイ・グラハムを始めとした『ネクスト』は、記憶こそ移植されているが人格と呼べるものはなく、無機質なアンドロイドでしかなかった。
ただしヒューイは自らが新人類である傲りと、そこからくる激情のようなものを見せている。
加えて最後の最後で自分自身に「泣く」という機能がない事を残念がるなど、少なからず自意識があったかのような事を匂わせていた。
なお、部下であるクラーク・ノイマンは同じ人物を何十体と複製しており、こちらは完全にただのアンドロイドでしかない。
ちなみにこのクラークはドラッケン隊長のヨハンの元上司だった人物。生前の記憶はいちいち検索しないと思い出せないらしい。
同一の思考・性能を持つゆえに完璧なコンビネーションが可能であり、更にカリヨンタワーがある限り記憶を別素体にDLすれば無限に復活が可能である。
クラーク三人が超高速で移動して敵の体に張り付き、超震動をかける事で粉砕する連携技・破壊の渦(ディストラクティブ・ボルテックス)を持つ。
ヒューイ
「有機物生命である人類が、今までどれだけのことをしてきたか考えてみるがいい!
 食料を得るために無数の生物を虐殺し、密林を焼き払う
 いたずらに人口を増やし領土と食料を求めて戦争を起こす
 自分達の私利私欲のためには、自分の住む家も食いつくす白アリのような存在… それが現行の人類だ!!
 しかし、エグリゴリによる人類の粛清が行われた時、地上を支配するのは我々機械人類!!
 感情や欲望、あらゆる精神活動をもプログラムとして調整することの可能な理想的人類だ!!
 まったくもって素晴らしい… その時、初めて地球は本来の美しい姿にかえるのだよ」


  • ジェイムズ・フリント
本作における米国大統領。高槻巌とは協力関係にあり、エグリゴリを倒すためにサポートしている。


  • ハインツ
モデュレイテッドARMS部隊の副隊長。
ARMS適性者は地上を総べるエリートであると強く信じ、その思想を行動指針としながらオリジナルARMS達を見下すなど、異常なまでにプライドが高い。
しかし第一形態ではコウ・カルナギはおろか、ARMSの力を失いつつもこれまで数多くの経験を経ていた涼達にも遅れを取るなど、最終章におけるやられ役というイメージが強い。
だがホワンにリミッターを解除させられ完全体へと至ってからは翻ってその力で彼らを追い詰める。しかし、ARMSの力を取り戻し完全体のホワイトラビットとなった武士により、無数の部下達と共に同情されながら引導を渡された。
このようにARMS適正者でありながら登場より序盤から土を舐め続けた事もあってか、量産型の雑魚キャラという印象を持たれがちだが、最終局面において完全体の大軍勢で押し寄せ涼達を死の目前まで追いやった際の絶望感は相当なもので、更にそこから再覚醒を経ての逆転劇から得られるカタルシスは作中でも随一である。
また、上述の武士との決着の間際に垣間見えた本心と、それに対する武士の言葉も非常に印象的であり、そういった名場面の数々の礎になってくれたという点は大きな功績と言えるだろう。


  • ジェームズ・ホワン/高槻崖(たかつき たかし)
アサイラムに収容された盲目の遠隔透視能力者。
遠隔透視『リモート・ビューイング』はありとあらゆる物を視る事が可能で、涼達からは「歩くスパイ衛星」と呼ばれた。
その正体は涼の父である高槻巌の実弟・崖(たかし)であり、かつて鐙沢村でその能力故に異端として一族や里の者から迫害を受けていた。
崖はそれを恨んでエグリゴリにオリジナルARMS研究所の情報を密告。これにより鐙沢村の一族郎党は全滅し、その報復として巌により目を潰される。
その後はエグリゴリに協力する事を条件に、アサイラムという「隠れ家」に身を隠して整形。以降は「ジェームズ・ホワン」を名乗るようになる。
物語中盤でグリーンを襲撃した際にモデュレイテッドARMSを自身に注入し、ARMSの自己再生機能により視力と元の顔を取り戻す。
その場でグリーンを圧倒してカツミを拉致するなど暗躍していたが、ARMS殺しの爪を持った高槻巌に付け狙われて恐れをなし、行方をくらませた。
キース・ブラックがホワイトとなった後、終盤ではモデュレイテッドARMS部隊の隊長として再登場。兄・高槻巌に最後の戦いを挑む。
ちなみに様々な面から超が付くほどの重要キャラなのだが、アニメ版には未登場。(反対に、PS2のゲーム版にはアニメで出番のあったカルナギを差し置いて参戦している)


私は…この「不思議の国のアリス」って本が好きよ
だって…私と同じ名前の女の子が"不思議な世界"で大冒険するなんて、ステキだもの
  • アリス(オリジナル)
ARMSの生みの親であり、ティリングハースト博士による「チャペルの子供達計画」の最初の成功者。ティリングハーストとホワイトをそれぞれお父さんと呼び慕う。
ティリングハーストさえも絶賛する人類最高の知能を持ち、さらに金属生命体『アザゼル』の人体への移植に対し人類初の完璧な耐性を示した超人類で、かつて『アザゼル-α』の暴走の際に生き残った研究者の適正遺伝子を元に人工授精で造られた。
若干9歳でエグリゴリの科学者として活躍。アザゼルにコンピュータープログラムで『心』を宿した。また同時に実験の被検体となった子供達の心のケアもしていた。
しかし自身も実験体であるが故にエグリゴリ内の隔絶した世界から出してもらえず、外の自由な世界を夢見ており、青い薔薇『ブルーウィッシュ』を創ったのも青い空や海への憧れから。
そして10歳の誕生日の日、ホワイトがお祝いに願いを一つ叶えてくれると言った事を受け、他の実験体の子供達を外に出して欲しいと願うが、それが彼の怒りを買う。
ホワイトはアリスの邪魔になるとして実験体の子供達の廃棄処分を決定。それを聞いてしまったアリスは外の世界への脱走を決意する。
アザゼルとコンタクトして脱出経路を導き出し、子供達を連れて脱出するも、その道はそれを見越したホワイトが敢えて用意した罠だった。
アリスを捕らえたホワイトは他の実験体の子供達の射殺を命じるが、ホワイトの腕を振り払って子供達に駆け寄ったアリスもその凶弾により致命傷を負ってしまう。
『人類の進化の為』と宣うホワイトの言葉に「人類なんて!」と心の奥底から想ったアリスに呼応し、彼女に強く惹かれていたアザゼルが暴走。
アリスを救う為、そしてヒトになりたかったアザゼルはアリスと融合し、やがて4つのオリジナルARMSと大型コアと化した。
アザゼルと一体化したおかげでアリスは死を免れる事ができたが、同時にアザゼルの中に囚われてしまう事になる。
更にこの時、精神が分離し人間を憎む『黒のアリス』と心優しい『白のアリス』に分かれてしまった事が、全ての災厄の始まりであった。




●用語

●ARMSとは

宇宙から飛来した群体のシリコン生命体『アザゼル』をベースに創り出された、炭素生命体と珪素生命体のハイブリッド知的生命体。
ナノマシンの集合体で出来た群体生物であり、人間に埋め込まれるとナノマシンが増殖し体の欠損部分を本来の形に補う。
埋め込まれた者は普段は普通の人間と変わらないように見えるが、異常なまでに再生力が高くなり、同時に身体能力の引き上げや耐性を得る事が出来る。
ただし第一形態までの覚醒では発現部位以外の再生力や身体能力は常人とさほど変わらず、締め技などで気絶させる事ができる。*15
また、適合者でない者に移植するとナノマシンが暴走し宿主を飲み込んで侵食。異形の姿に成り果てて最終的に死亡する。*16
侵食され尽くす前にコアリミッターを取り付ける事ができれば、これを解除しない限りその時点までで侵食を中断させる事ができるが、身体への障害は残る。
基本的にはナノマシンを統括する力を持ったARMSのコア(手の平サイズの白い球体)を移植する事で誕生するが、人間の体内でコアが生成される特殊なケースもある。
このコアを破壊されるとARMSは機能を失って崩壊し、移植者の体ごと崩れ落ち、その肉体は骨さえ残さず塵となって消える。そしてコアの再生は不可能。
逆に言えばコアさえ無事なら身体はいくらでも再生可能であり、即死級の傷や猛毒はもちろん、小型太陽と化した溶鉱炉のような中であっても死なない。
ただし金属生命体を用いたナノマシンであるが故に電撃には弱く、高圧電流を受けると形態を維持する事も出来ず麻痺してしまう。*17
ARMS同士が近くにいる状態でいずれかがARMS発動の意思を示すと、他の者のARMSを移植された部分が振動する『共振』反応が起こる。
第一形態では体の一部が変異するに留まるが、ナノマシンが全身に行き渡り完全変態を遂げた『完全体』になると、4~5mほどの巨体に変化する。
また、完全体になると主に腹部に移植者の顔が浮き出てくる。*18(ただしチェシャ猫は額に出て、三月兎は等身大なせいか顔を出さない)
更に第一形態がより進化し、新たな能力に覚醒した『第二形態』、『第三形態』のような強化もあり、それに伴い基礎能力もアップする。
これらは純粋な性能のバージョンアップであり、発動時の形態が覚醒後の形態で上書きされる。(上位形態覚醒後は前の形態は使われない)
尚、ARMSの再生力には個体差があり、部位が丸ごと消滅したりして欠損した場合はそれなりの時間を要する者もいれば、ものの数秒で回復する者もいる。


  • 始まりのARMS“アザゼル-β”『アリス』
アザゼルがアリスを取り込んだ際に生み出された、巨大なARMSコアのような球体。
ARMSであると同時にスーパーコンピューターでもある。生まれた際に下記の「オリジナルARMS」のコア4個も伴い出現した。
アザゼルと融合した事でアリスはコアの中で生きているが、コアの中では『黒のアリス』と『白のアリス』に分かれて常に葛藤している。
後に生まれたキースシリーズのアドバンストARMSのコアはここから抽出されたものであり、キースシリーズに命令を出しているのはそれぞれのアリスである。
その他、全世界の核防衛システムを乗っ取る事で各国政府をも支配している。また、専用のチャットルームで簡単な意思疎通が可能。
ARMSでもあるがアザゼルそのものでもある為、アザゼルの特性も併せ持っている。
後にカリヨンタワーにて、ジャバウォックと涼の持つ憎しみと絶望に共鳴し、彼らを取り込んで巨大なジャバウォックと化した。


オリジナルARMS

アザゼルがアリスを取り込んだ際に生まれた上記の『アザゼル-β』の傍らに落ちていた四つのコアから生まれた最初の四体のARMS。
それぞれが四つに分かれたアリスの意志を象徴する固有の自我を持っており、アリスの意志を色濃く受け継いだアリスの分身とも言える存在。
その自我故に制御が極めて困難であり、第一形態であっても移植者の意思次第では暴走してまともに操れないどころか、発動すらできない事もある。
当然必ずしも移植者の意思で『完全体』になれるわけもなく、制御するには移植者の強い意思と、ARMSの自我自体との邂逅が必要。
ちなみにエグリゴリでは初期のキースシリーズ十数人に移植を試みたが、最初は安定しているように見えた者も最終的に全身を侵食されて全員死亡している。


涼に移植されたARMSで、「人類を恨む黒のアリスの“憎悪”」をプログラムされている。
第一形態では右腕が倍近く肥大化した生物的な巨腕が発現する*19。この腕は伸縮自在で盾状になったり、5~6mぐらい伸びたりもする。
ARMS自体の基本的な特徴は圧倒的なパワーと柔軟性、そして何より第一形態から使える「ARMS殺しの爪」が物語のキーアイテムでもある。
性格は傲慢不遜であり、自らを「破壊の王」と名乗り他のARMSや人間を見下している。



隼人に移植されたARMSで「人を愛する白のアリスの“仁愛”」がプログラムされている。
第一形態では左腕に甲殻類のような籠手と剣(ブレード)が発現する。見た目通りの近接戦闘に特化したARMS。
全ARMS中最強の硬度を持つと言われており、限界こそあるが伸ばす事も可能なブレードを持つ。第二形態になると形状がマッシヴになり、ブレードも大剣状に変化させられる。
また手の指は鉤爪になっており、ブレードが折れてもある程度戦う事ができる。(尚、ブレードはある程度の時間で再生できる)
ただし「最強の硬度を持つ」と触れ込みの割りには、剣を折られたり破壊されるケースがそれなりに多い。*20


武士に移植されたARMSで「人を愛する白のアリスの“勇気”」がプログラムされている。
圧縮空気の噴出により、全ARMS中最高最速のスピードで移動できる。ただし純粋な武器は持っていない。
涼と隼人がそれぞれ攻撃能力に長けたARMSと、本人達自身の格闘技術を持っている事もあって、当初は自分に自信が持てなかった。*21
実際、第一形態では『早く移動できる』程度だったが*22、ビイとの闘いの中で死に物狂いで第二形態に進化。
増設されたブースターから圧縮空気を一気に噴出させ、三百メートル以上の跳躍が可能となり、蹴りの威力も飛躍的にアップ。
これによる超高速移動・超跳躍を得て空中戦をこなせるようになり、超人的脚力で放たれる蹴りは必殺の威力となる。


恵に移植されたARMSで「人を愛する白のアリスの“審判”」がプログラムされている。
空気の流れや相手の熱源反応、筋肉の動きに至るまであらゆる事を見通し、透視能力まで備えている。
1キロメートル先の本が読めたり、飛んでくる弾丸も捉える事すら可能で、訓練された身体能力も相まって当初は涼達3人を翻弄した。
しかし「視る」以外の能力は常人とあまり変わらず、身体能力の向上や再生能力も他のARMSと比較すると低いので、決め手に欠けてしまう。
特にオリジナルARMSの中で彼女のARMSだけ戦闘能力を持たず、攻撃方法は通常の銃火器ぐらいなので、ある程度強力なサイボーグ兵士が相手だと苦戦を強いられる。その為、無力感に苛まれる事も多かった。
更に彼女のARMSは他の3人と違い第二形態などの進化がなかった。しかし……



アドバンストARMS

自我を持つため人間の手には負えないオリジナルARMSの代用として、人間の道具として制御する為にサミュエル博士が作り出したもの。
アザゼルから取り出した純粋なコアに制御用の戦闘AIを植えつけた、自我を持たないARMS。
しかし幹部のそれには『アリスの意志』が宿っており、固有の自我までは持たないが、それでも移植者の精神に影響を与えている。
自我という不確定要素の無い、より実戦的なARMSであり、移植者の意思によって自由に『完全体』への変化を行える。
ただし純粋なコアとAIだけの存在故か、後述の『神の卵』を除いてオリジナルのような特殊な能力は持っていない。
その為、エグリゴリが収集した異能力者の遺伝子や兵器を兵装として組み込んで戦闘に用いている。
コアそのものに特殊能力はないものの、再生能力には優れており、人間形態でも全身が不死身に近い再生力を持つ。
更にある程度ならARMSを発現させずとも能力を使用する事が可能と、汎用性は非常に高い。
オリジナルほどではないが相当のARMS適正因子がないと成功には至らず、ブルーをはじめ多くのキースシリーズが犠牲になった。
また、オリジナルARMS達は『白いアリス』が消失した際に機能を失ったが、アドバンストARMS達からは機能や能力が消える事はなかった。
鐙沢村の地下実験施設では一般人を使った適合者の人体実験が行われていたが、皆リミッター無しでは侵食で死を待つしかない状態となっていた。
後にこれらの実験結果を踏まえ、性能を落とす代わりに幅広く適合できるモデュレイテッドARMSの開発に繋がる。


  • アドバンストARMS“幻獣”『グリフォン』
キース・レッドに移植されたARMSで、発現部位は両腕だがコアは頭部にある。エグリゴリ側のキースの中で唯一「アリスの意思」を宿していない*23
ジャバウォックの第一形態並の大きさの、両腕部と一体化した巨大なブレードを持っており、サイコキネシスでグシャグシャにされても瞬時に回復する再生力を持つ。
更に未成熟な第一形態だったとは言え、隼人の高硬度ARMS『騎士』のブレードをいとも容易くへし折るほどのパワーを持っていた。
能力は内蔵された超振動発生器による強力な超振動と超音波。両腕の超振動ブレードは触れるもの全てを粉砕し、あらゆるものを切り裂く事が可能。
第一形態すら発動していない状態でさえ、片手からの振動波だけでタフネス自慢の大型サイボーグを軽く粉砕できるほど。
『完全体』になると両腕が更に大きくなり、鳥のような顔と、頭から背中にかけてハリネズミのような棘が生えた亜人型となる。
また、背中の突起物を逆立たせ全身を超音波兵器へと変化させる事により、全方位かつ広範囲を強力な超音波で攻撃する事も可能。
この超音波は腕を振るうだけで強力な衝撃波を生み、手を触れただけでビルを丸ごと粉砕するほどの威力を誇る。
ジャバウォックでさえ苦戦した最強の超能力者であるクリフをも瞬殺してみせた。
当初はこの超振動は『幻獣』のみの能力だったが、後に量産兵士の『ネクスト』がこれを標準搭載した。レッドは草葉の陰で泣いていい*24
その戦闘力で一時は『騎士』を追い詰めたが、真価を発揮した完全体の『騎士』の切り札・ミストルティンの槍により一刀両断された。
尚、よく勘違いされるが隼人の父の首をはねたのは『幻獣』のブレードではなく、形も全然違う。


  • アドバンストARMS“帽子屋”『マッドハッター』
キース・シルバーに移植されたARMSで、「黒のアリスの“闘争”」の意志を宿す。発現部位は左腕で、コアは心臓部にある。
電撃を操る能力を持ち、第一形態でも掌から強力な荷電粒子砲「ブリューナクの槍」を放つ事が可能。
このビームは射線上の物体が一瞬で蒸発する程の熱量を持ち、ARMSでさえ直撃すれば耐えられない圧倒的な火力を誇る。
ただし撃つ為には常時数万度という超高温を伴う為、連射すれば自分の体の方がオーバーヒートを起こしてしまう欠点もある。
反物質を除けば作中最大の攻撃力を誇り、後にキース・ホワイトもこれを愛用していた。
また、指先から高出力の電撃を発生させる事で電磁バリアを展開する芸当も可能。この為、実体弾は通用しない。
『完全体』は帽子をかぶったドクロのような細身の人型。両手で超出力の荷電粒子砲を放つ事が可能となり、背部に追加された排熱ダクトにより熱暴走の危険も低くなる。
更にジャバウォックの「憎悪」に一番近い意志の為か、ジャバウォック同様に攻撃を受ければ受けるほど強くなる性質を持つ。ただしその進化が早すぎると本体が順応しきれない。
後に能力を奪ったホワイトは熱暴走の様子もなく「ブリューナクの槍」を乱射している。*25シルバーも草葉の陰で泣いていい。
尚、「ブリューナクの槍」を何度も使うと、ビームにより空気中の酸素が分解され大量のオゾンが発生する為、オゾン臭で槍を使ったかがわかる。
最終的には進化に追いつけずメルトダウンを起こし、宿敵と定めていた涼に介錯を頼んで朽ち果てた。


  • アドバンストARMS“チェシャ猫”『チェシャキャット』
キース・グリーンに移植されたARMSで、「黒のアリスの“希望”」の意志を宿す。コアは心臓部にある。
ジェームズ・ホワンからサンプリングした「空間を操る超能力」の遺伝子データが組み込まれている。
これによる空間転移(ワープ)の他、空間の位相をズラす事であらゆる物体を切り裂く「空間の断裂」を得意技とする。
『完全体』は三つの尻尾を持つ四つ足の巨大な猫のような獣型。移植者の顔は額に出てくる。
必殺技はこの三本の尾から無数に放たれる高密度の空間断裂の巨大ブレード「魔剣アンサラー」。
射程100フィート、攻撃範囲360°の完全なる全方位無死角、更には不可視かつ防御不能の攻撃であり、範囲内に存在する全ての物体を硬度を無視して細断する正に一撃必殺兵器。
しかしこれの直撃を以てしても、キース・ブラックを死に至らしめる事は叶わなかった。コアに当たらなかったのだろうか?
どう見てもチートな能力でありグリーンが自信満々になるのも当然なのだが、劇中ではほとんど無効化されたりかなり割を食った存在でもある*26
グリーンもやはり草葉の陰で泣いていい。


  • アドバンストARMS“三月兎”『マーチ・ヘア』
キース・バイオレットに移植されたARMSで、「黒のアリスの“悲哀”」の意志を宿す。最後まで生き残った為コアの位置は不明。
恵と同様に両目がARMS化しており、周囲に散布したナノマシンにより光を操作する事ができる能力を持つ。
これを用いて立体映像を作り出したり、あらゆる方向から強力なレーザーを照射する「バロールの魔眼」を操る。
この立体映像は踏み締めた草が倒れるところまで緻密に再現でき、殺気を察知するなどの特殊なスキルがなければ見破る事は不可能に近い。
『完全体』は仮面をつけた半透明な体の女性の姿。他の完全体と違い大きさは等身大のまま。名前に反して兎の要素は見当たらない。
この形態になるとナノマシンを使わずともステルス透過で姿を消し、本体から直接レーザーを放つ事が可能。
また、散布したナノマシンを応用したものか、ある程度の空中浮遊までできる。
劇中で唯一、最後まで生き延びたアドバンストARMSでもある。ついでに恵とは違いバイオレットはちゃんと完全体の解除後に全裸になる
尚、このレーザーは拳銃程度なら一撃で溶かせるほど強力だが、流石に「ブリューナクの槍」ほどの威力はない。代わりに恐らくノーリスクで乱射が可能。
完全体ARMS相手では直撃しても痛覚を共有した隼人が痛みで転げまわる程度で、その真価は幻惑とオールレンジ攻撃にある。
ただしARMS殺しや超振動ブレードにより、散布されたナノマシンを破壊されてしまうと立体映像の幻影もかき消えてしまう。


  • アドバンストARMS“神の卵”『ハンプティ・ダンプティ』
キース・ブラックに移植されたARMSで、「黒のアリスの“絶望”」の意志を宿す。コアの位置は心臓部。
何らかの能力を外部から後付けされた他のアドバンストARMSとは違い、アザゼルの金属生命体としての始原的な特性に特化した最も純粋なARMS。
故にアドバンストARMSと言うよりは、どちらかと言えばアザゼルそのものに近い異色の存在。
その能力はあらゆるエネルギーを吸収して取り込み、進化の糧にするというもの。
どんな攻撃をも吸収してしまう為、攻撃が通じないばかりか、その攻撃を元に能力も模倣されてしまう。
作中ではマッドハッターの「ブリューナクの槍」、マーチ・ヘアの「バロールの魔眼」、グリフォンの「超振動ブレード」を使って見せた。
更には敢えて攻撃を受ける事でチェシャキャットの空間干渉能力や「魔剣アンサラー」、ジャバウォックの「ARMS殺しの爪」まで取り込んでいる。
後にドーマウスの「魔弾タスラム」とナイトの「神槍ミストルテイン」すら我が物とし、まさにやりたい放題な無敵の力で圧倒した。
その他、人間形態でも黒い木の枝のような翼を展開しての重力操作により飛行する事ができる。*27
『神の卵』のみが使える武器は、「この世で最も鋭利な剣」と称する単分子ブレード「神剣フラガラッハ」。
完全体として更に進化した『騎士』の腕を容易く切り落とすなど、その切れ味は物理刃では作中随一。
ちなみにかつて隼人の父親の首を切り落とし、隼人の左腕を奪ったのもこの剣である。
最終形態では全身が靄のような黒いエネルギーの力場によって覆われ、輪郭が判然としないぼんやりした人型のシルエットとなる。
この形態になると攻撃自体が力場に捻じ曲げられ、ジャバウォックの爪のような「ARMS殺し」さえも通じなくなってしまう。
隼人曰く「ラクガキみたいなヤツ」、「マンガの手抜き」
だが、実は力場を失った本体は、楕円形の頭部の横や下に棒人間じみた細い腕や胴が伸びているだけという貧弱なものである。
総じて良くも悪くも能力に頼り切ったARMSであるといえるだろう。(一応、力場を失っても取り込んだ能力は使えるらしいが)
アザゼルのようにこのARMSで人間を取り込み殺す事もできるが、アザゼル同様に取り込んだ人間の意識などまで吸収してしまう。


  • アドバンストARMS“眠り鼠”『ドーマウス』
キース・ブルーに移植されたARMSで、コアの位置は心臓部。適正者ではなかった為、グリフォン同様にアリスの意志は宿されていない。
全身から針状の小型ミサイルを大量に発射する「魔弾タスラム」の能力を持つ。
その威力は掠めたほんの数本の破片でさえ、モデュレイテッドARMSをも一撃で破壊するほど。
時限爆破も可能であり、針という一見地味な武器に最初は油断したモデュレイテッド達もその威力に戦慄した。
無数に生成されるミサイルの雨による広範囲の面制圧力は非常に高く、その破壊力にはキース・ホワイトも「出来損ないにしては実戦的な力」と感心するほどで、後にホワイトが隼人に反撃する際にもこの能力を使い全方位無差別爆撃をしている。
『完全体』の姿は、尖った口と腕や背中からトゲのような物が伸びたハリネズミの亜人のようなデザイン。
ただしブルーはARMS適性因子が不完全であった為、完全体を発動すると数分で自壊してしまう欠点を持つ。
最期はホワイトと刺し違えるべく、自分自身を巨大な「魔弾タスラム」と化した自爆によって『神の卵』に内部から亀裂を入れた。
その経緯故「第一形態」がどんなものかは不明だが、右腕が通常形態時の発現部位らしい。



モデュレイテッドARMS

完全な適合者以外でも移植できるよう、量産を前提に調整(モデュレイト)された実戦配備用量産型ARMS。
アドバンストよりも適合率が高く、ARMS適正因子が少ない者でもある程度の因子さえあれば使えるものと思われる。*28
コア自体を移植する適合手術ではなく、調整したナノマシンを注射器のような器具で体内に注入する手法をとる。
注入された者は従来のARMS同様、体の欠損部位が再生し、整形していたのであれば顔も元通りになる。
ただしコアがない為か、真っ二つにされたり激しく損傷すると機能を停止し、コアを破壊された時と同様に崩壊するなど、耐久力はあまり高くない。
移植者の闘争心を喰らって姿形や機能を形成する点も他のARMSと同じだが、基本的に第一形態までしか変異できないなど制限が多い。
さらにリミッターを外せば『完全体』にもなれるが、一度完全体になれば二度と元の人間には戻れなくなるという欠点もある。
またリミッターの解除は外部リモコン式になっているため暴走の心配はないものの、スイッチが入れば本人の意思とは関係なしに完全体に変異する。
ちなみに姿形は童話『アリス』の作品に出てきた脇役のキャラクターがモデルとなっている。


  • モデュレイテッドARMS“ホワンARMS”(仮称)
正式名称はついていない、高槻巌の実弟、ジェームズ・ホワンこと高槻崖(たかつき たかし)が移植したARMS。
キース・グリーンとの戦いで分が悪いと判断したホワンが使った初期型のモデュレイテッドARMSであり、これ自体には特別な能力は付与されていない。
それ故か『チェシャ猫』の基になったホワン自身の空間を操る能力が増強される形で発現。ただしホワンは空間を揺さぶって衝撃波を作り出す使い方を好む。
第一形態は鋭利な鉤爪を持つ腕で、完全体になると全身からブレードらしきものが突出した獣顔の悪魔のような姿になる。
アリス作品で該当するキャラから考えると、恐らく「ライオンとユニコーン」のライオン。ネコ科繋がりか?
巌が携行していたARMS殺しの爪が変異した光剣も、対を成すユニコーンの暗喩と思われる。
尚、この話はライオンとユニコーンが喧嘩をして街をボコボコにし、休憩時間にケーキを切り分けるお話。
必殺技もチェシャ猫と同じく無数の空間の断裂による「魔剣アンサラー」だが、ホワンのそれは更に密度が濃く避けようがない。


  • モデュレイテッドARMS部隊
日本に戻ってきた涼達の前に現れた、新たなARMSを持つ者達。
自分達を『ARMSに選ばれたエリート』、『新世界を担う新人類』と豪語する強烈な選民意識を持っており、旧人類はおろか休眠状態のオリジナルARMSをも完全に下に見ていた。
しかしその思想から来る大きな態度とは裏腹に、想定外の反撃に狼狽えたり、より強い相手を前に自信が揺らいだりと精神面での脆さが目立つ隊員が多い。
また実際の戦力としても、これまで散々キース達の完全体を見てきた終盤にあって自力では第一形態までしか行使できない為、第一形態の「変異部分以外は常人と大差ない」という弱点を熟知した涼達をはじめ、驚異的な火力を持つブルーにも全く歯が立たないなど些か力不足と言わざるを得ない。
更に最終局面においても、またしても涼達に加え、不運にも彼らに同行していたコウ・カルナギにより、ホワンを誘き出す目的で叩きのめされてしまう。
一応、他のARMS同様「一度受けた攻撃には耐性を得る」という特性も持っているので、二度目の高圧電流を無効化したりはできた。
ただし第一形態でも活躍できていた涼達と比較すると、この時点での移植者自身の練度によるところも大きいだろうが、単純な戦闘能力はオリジナルやアドバンスト達に比べて見劣りする。
しかしその後、ホワンが勝手にリミッターを解除した事で、副隊長のハインツをはじめ全員が強制的に完全体へと変貌させられた。
ハインツは六本脚の昆虫を思わせる姿で、砲撃能力に加え、糸のようなもので相手を拘束する能力を持つ。恐らくモデルはアリスの童話における「イモムシ」と思われる。
他にも鳥形、虫型、悪魔型、獣型、亜人型など色々おり、能力も砲撃やビーム、ブレードや鞭、『白兎』同様に飛行能力を持つ者もいた。
こうして完全体に至ってからは、一対多数とは言えコウ・カルナギを一方的に嬲り、ARMSとの戦いを知り尽くした涼達の事も絶体絶命の状態に追い込むなど、その力は飛躍的に向上した。
尚、作中で名前と個体がはっきりしているのはハインツだけだと思われがちだが、「ゲッツ」と「アシモフ」という隊員も登場している。涼達のチームワークを前に早々に一網打尽にされて以降は名前が出ないので忘れられても仕方がないが、たまに読み返して思い出してあげよう。


その他の用語

  • エグリゴリ
第二次世界大戦時には存在していた、巨大な軍産複合体を背景とする秘密結社。アメリカに本社を置き、米軍も関与している。
世界大戦時のナチスや大日本帝国の人体実験データや非人道的な数々の実験により、世界政府を裏で牛耳る組織。
サイボーグ、BC兵器、クローン、エスパーといったオーバーテクノロジーな最先端の軍事技術の開発を行っている。
1946年に発見された珪素生命体・アザゼルの研究により、人類の進化の頂点を産み出す『プロジェクト・ARMS』が開始された。
名前の由来は、エノク書にて禁断の知識と技術を人間に与えたとされる堕天使の一団・エグリゴリから。
  • エグリゴリに生み出された者達
    • サイボーグ兵
      物語の全編通して出てくる刺客及び兵士達。
      その種類は多岐にわたり総数が多すぎる為、強さや扱いは玉石混交。
      だが序盤のクリムゾン・トライアッドや終盤のドラッケン等、主人公達に少なからず影響を与えたり、大きな存在感を残した者もいる。
    • チャペルの子供達
      妊婦に特殊な投薬をして創り出した、人工天才児達。物語を担う『アリス』はこの最初の成功例。
    • X-ARMY(エグザミィ)
      先天的な超能力者や投薬による強化人間を作り出したエグリゴリの実験部隊。
      下記のレッドキャップスを創る為の捨て石であり、登場時点で既に用済みとされていた。
    • レッドキャップス
      クローン少年兵に退役ベテラン軍人の脳を移植した超人部隊。
      「不死身の体」、「千里眼」、「テレパシー」の能力を併せて付与されたX-ARMYの完成系とされるが、実際のところはこちらも捨て駒だった。*29
    • 猟犬(ハウンド)部隊
      エグリゴリによって薬物で試験的に作られた強化人間(ブーステッドマン)部隊。
      獣のごとき反射神経・運動神経と視聴嗅覚を持ち、狼並の連携が取れるが、一歩間違うとアドレナリンの過剰分泌により廃人になる危険性を孕んでいる。
      その為、廃棄処分される予定だったが、チャペルの子供達が彼らを私設部隊に雇用した。
    • ネクスト
      人類絶滅後の世界を担う為に、脳まで機械に置き換えたサイボーグ…というかアンドロイド。
      デジタル化した生前の記憶を有しているが、人格までは再現できておらずどこか無機質。
      全身が超振動発生装置となっており、組み付くだけでARMSすら破砕し、更に亜音速での移動も可能。
    • モデュレイテッドARMS
      同項目参照。
  • その他のエグリゴリ戦力
    • イプシロン・フォース
      エグリゴリ直属の特殊部隊。別名「虐殺部隊(ジェノサイド・フォース)」と呼ばれる。組織では珍しい単なる人間。
      アメリカ国内最大戦力。……という噂だが、毒ガスを撒いたぐらいしか戦果はなく、一般人に不意打ちで殺されていた。
    • 高速機動隊
      加速装置で亜音速まで動ける高機動型サイボーグで構成された特殊部隊。
      ARMSをも切り裂ける超振動ナイフを装備している中盤以降のモブ敵
    • アサイラム
      エグリゴリが管理する絶海の孤島にある超能力者収容所。表向きは精神病患者の医療施設。
      世界中の特殊な遺伝子を持つミュータントを集めて収容した研究施設で、コウ・カルナギやラヴィニア・ウェイトリーもここにいた。
      アドバンストARMSに能力を付与する為の遺伝子プールでもあったが、その後の顛末は不明。*30


  • ブルーメン
ティリングハースト博士により助け出されたキース・ブルーが結成した、反エグリゴリ組織。
エグリゴリに逆らって潰された組織の残党、実験や虐殺で故郷や家族を奪われた被害者、エグリゴリから寝返った人材などで構成されている。
かつての本部は鐙沢村にあったが、ある者の密告によりエグリゴリに襲撃され全滅。その後はエグリゴリに研究施設として接収された。
各自がその道のエキスパートからなる集団であり、FBIやエグリゴリ内部にも情報提供者やスパイがいる。
自由に身動き出来ないブルーに代わり実質的なリーダー役を務めているのは李春香(リー・チュニャン)というクールビューティーな中国人女性。
他にも陽気なカポエイラの達人である黒人のラルフ・コールマン、鐙沢村で潜入活動をしていたメアリー・カッツなどもメンバー。他の仲間達も割と明るい者が多い。
しかしスポンサーや同志の中には手段を選ばない者も多くいるようで、オリジナルARMS適正因子を持った子供(涼達)を造ったのはブルーの意思ではなく、「エグリゴリを倒すには蛇の道は蛇」とばかりに暴走した科学者の独断によるものであった。
尚、武士を今の親元に連れてきた男もこの組織の一員。*31



  • アザゼル
「珪素生命アザゼルは、何故人に惹かれ暴れるのか……
 それは、彼らが持っていない物を我々が持っているからです
 それは…ヒトが持つ"心"というものです 
 ヒトは死を待つ有限の生命…もろくて弱い……
 だからこそ"心"という複雑なソフトウェアを進化させてきたんです!!
 ヒトは事故でも死ぬ だから危険を回避するために"恐怖"を持った…
 寿命が来ても死ぬ だから種を存続させるために愛情を持った…
 しかし何万年も生きる不死の金属生命には
 "心"などを進化させる必要はなかったのです!!
 しかし…我々は"アザゼル"と出会った!!」

ARMSの元となった、外宇宙から飛来した群体ナノマシンが集合したシリコン知的生命体。作中では4つ発見されている。
人の「心」に関心を示す性質を持ち、近くにある最も強く純粋な「想い」に惹かれ、姿と性質を変化させる。
「心」は何万年も生きる不死の金属生命にとっては不要な為、アザゼルにとっては非常に珍しいらしく興味の対象となっている。
ARMSは死に瀕したアリスを取り込んだ、カリヨンタワーの巨大アザゼルから生まれたものであり、全てルイス・キャロルの『アリス』由来の特性を持つ。
またARMSが近くにある場合はARMS移植者の「想い」に強く反応し、中でも自我を持つオリジナルARMSに最も大きく反応する。
名前の由来はエノク書に出てくるエグリゴリの首長「アザゼル」から。

ティリングハースト博士らミスカトニック大学の研究者達が、アリゾナから発掘した最初のアザゼルは『アザゼル-α』。
交信実験の為に低周波を流したところ、触手で研究者達9人を飲み込んだ後、8人が死亡。(実際は恐らくαの中で生きている)
その後は一切活動を停止し、ギャローズ・ベルの地下施設で仮死状態となっていたが、オリジナルARMSの共振によって目覚める。
尚、この実験で生存者が一人いた事で、キース・ホワイトはARMS適正因子の存在を確信した。
ホワイトが探し出していた第二のアザゼルというのが『アザゼル-β』。
後に暴走事故を起こし、アリスを取り込んだ事で始まりのARMSこと“アリス”となった。
『プログラム・バンダースナッチ』のために用意された、アリスに匹敵する巨大さを誇るアザゼルが『アザゼル-Ω』。
そして最後の一つはエグリゴリが最終決戦の切り札として用意していた、名前も付けられていない小さなアザゼル。これは巌が強奪し、美沙によって恵のもとに送られた。
最終的には全てのARMSとそれによって死んだ者達の魂を引き連れて、天へと昇華して消えていった。


  • プログラム・ジャバウォック
アザゼルに取り込まれ別れた「黒のアリス」が企んだ、アザゼルの性質を利用した人類抹殺計画。
まずジャバウォックに様々な刺激を与えて成長させ、あらゆる破壊のエネルギーを会得させる。
そして更にジャバウォックの移植者を憎しみの海に叩き落とす事により暴走させ、更にその強烈な『絶望と憎しみの心』に反応したアザゼルが融合。
最終的に巨大な『魔獣』と化したジャバウォックにより、全てを破壊し人類を滅亡させるという計画。
そして人類滅亡後の世界は、人間の醜い欲を持たないアンドロイドの『ネクスト』が支配する。
これらは全てアザゼルとなった黒のアリスの立てた計画で、キース・ブラックは彼女の声に従い陣頭指揮を執っていたに過ぎない。


余談

進撃の巨人』の諌山創や、『テラフォーマーズ』の貴家悠、橘賢一など21世紀にデビューした数多くの漫画家達が、『ARMS』に影響を受けたと公言している。
「一つの祖から望まずして与えられたチカラにより、主人公達が変身して独自の能力で戦う」というスタイルは後の青年漫画の王道スタイルとなった。
ちなみに本作自体は『AKIRA』、『寄生獣』、『MASTERキートン』などの影響がみられ、原作協力者である七月鏡一の趣味でクトゥルフ神話やケルト神話、キリスト聖典が作中に登場する名前の元ネタになっている。
また、主人公達の名前の元ネタとなっている『ゲッターロボ』自体が「ヒトの進化」をテーマに掲げた作品でもある。


その指が刻むものは、神の追記か、悪魔の修正か……。

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最終更新:2025年01月21日 15:48

*1 ただし傷が瞬時に治ったりするのを不思議がってはいた。

*2 作中ではアザゼルが惹かれるのはオリジナルARMSに対してと推測されており、黒のアリスの意志が宿ったバンダースナッチもまたオリジナルARMSであるとされる。

*3 この時、李の夢も同じく正義の味方だったと聞き、互いに惹かれていくようになる。

*4 「人類最高の頭脳」からランクアップしていた。

*5 尚、カリヨンタワーで死亡したのは力尽きたからではなく、精神をアザゼルの中に取り込まれ、オリジナルARMSの中に宿った為だった。そのおかげで、最後の最後で涼達に激励を送り、機能を停止していたオリジナルARMSを呼び覚ます呼び水となる。そしてARMS達が役目を終えて光の彼方に飛び去る中、彼女もまた死んでいった兄やX-ARMYの仲間達と共に今度こそ旅立って行った。

*6 ちなみにこの際、アザゼルを知る関係者はエグリゴリにより皆殺しにされ、大学も爆破された。本人の反応から見るに、始末される事は薄々予想していたようだ。

*7 爆風により背中に致命傷を負っていた。今際の際、目の前に現れた巌より、かつて自分が託した希望が報われた事を聞かされ、喜びながら看取られて逝った。この時、幻影なのか本物なのか、かつての姿のアリスに手を引かれながらあの世へと旅立って行った。

*8 更にホワイトの『バロールの魔眼』で胸を何か所か撃ち抜かれて路地裏で倒れているカットがあるが、決着後に幸い生存していた様子が描かれている。

*9 実はこれはデタラメで、実際はホワンのサイコキネシス(空間干渉能力)の応用によるもの。

*10 実際、彼のARMS『幻獣(グリフォン)』自体の使い勝手は良かったようで、ブラックも愛用していた。

*11 メタ的に言うと登場時期にはまだ上記の『アリスの意志』やアドバンストARMSについての詳しい設定がなかったため。要は他のキースシリーズの前座のような扱いだった。

*12 ただしチェシャ猫のARMS本体による直接的な格闘戦の描写はほとんど無く、ジャバウォックに左腕を掴まれた際それから逃れる為に一度発動させたのみである。ちなみにその時に出現したのは熊のような腕。

*13 ただしレッドに対しては不明。尤も、彼女の性格を考慮すればレッドも大事な弟の一人と考えていただろう事は推測できる。

*14 サミュエルがエドワウに「ブルー」の名を与えたのはこれが理由で、本来のカラーネームにブルーは採用されていなかった。

*15 特に『ハートの女王(クイーン・オブ・ハート)』は第一形態以降が完全体になるまで発展がない為、これら能力が劣る。

*16 適合できる者の数は非常に少なく、アル曰く1000万人に1人の確率でしか存在しない。

*17 ただし一度目の電撃で耐性を得てしまうので、同じ攻撃では出力が倍であっても通用しなくなる。初めて喰らった際の隼人のARMSは、鉤爪がへろへろのバナナの皮のようになってしまっていた。

*18 尚、この顔はかなり自由が利くようで、バイオレットとの戦いで『騎士』と言い合いになった隼人は、寄生獣ミギーのごとく顔を『騎士』の目の前にまで伸ばして言い合いをしていた。この場面はかなりシュール。

*19 尚、この腕の大きさは常人サイズまで小さく圧縮する事も可能

*20 その代わり再生力は劇中オリジナルARMSでジャバウォックに次いで高く、両腕を失った状態でさえ120秒あれば完全再生出来てしまう。

*21 実際、エグリゴリ側もホワイトラビットは戦闘力に劣るカモだと侮っていた。キース・ホワイトをしてもオリジナルARMS中で唯一注視せず、「飛ぶだけの無能」と評していた。(ただしこの時の武士はアリスと融合していたため、ホワイトはこの言葉の直後に空間の断裂を破られ撃墜されるという憂い目に遭っているが)

*22 それでも強化された脚力による蹴りは常人なら一発で致命傷

*23 少なくとも登場時期にはその辺りの設定がないためとも思われるが、当時から他のキース達から明確に「あいつは出来損ない」、「キースではない」と言われているので例外扱いだったのは間違いない。

*24 ただしアドバンストARMSの設定上、ホワン→チェシャキャットのようにサンプリングされた元の兵装と推測される。また、超振動ナイフ自体はすでに登場しているので技術としては既知の代物。なおネクストは3人掛かりで一時的とはいえ、この超振動能力によりジャバウォックの四肢を八つ裂きにして行動不能にしている点から、これが実用性の高い優れた兵装であった事は間違いない。

*25 これは『神の卵』により熱エネルギーをも吸収できるからだと思われる。

*26 「空間の断裂!」→「砕く」「避ける」「無効化」→「なにぃ!?」

*27 ちなみにこの翼は『アリスの精神世界』で城を襲撃していたグリフォンに似た怪物兵士にも生えていた。

*28 涼達オリジナルの適合者はもちろん、アドバンストでも成功率はそう高くない事が窺える中、モデュレイテッドはクローンでもない多種多様な人間が適合している。

*29 個での戦闘能力やテレパシーの精度はクリフとユーゴーの方が数段優れているような描写が多く、ヴォルフとキクロプスを嬲り殺したのもその後の『スナーク狩り』での戦法を見るに一対一だったのかは怪しいところ。

*30 もしかするとモデュレイテッドARMSに使われたのかもしれない。

*31 巴家の父親がかつて同じ医療の道を学んだ友人だった。武士を託した後、立ち去った先で死亡。