楊海王

登録日:2020/06/08 (月) 18:02:46
更新日:2025/04/02 Wed 10:49:36
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存分に叩き尽くし給えッッッ



楊海王(ようかいおう)とは、バキシリーズ第二部『バキ』に登場するキャラクター。

CV:川津泰彦

●目次


概要

中国武術界最強の座をめぐるトーナメントが描かれる『中国大擂台賽編』において登場。
海王」の称号を持つ中国人の一人でもあり、山東省の「金剛拳」という拳法を使う人物でもある。
作中では最凶死刑囚かつ海王の一人であるドリアンビスケット・オリバ公開処刑ショー激闘のバトルを繰り広げた。
出番自体は多くないのだが、作中のムチャクチャな設定やジャガった壮絶な末路から、シリーズ屈指のネタ人気を得たキャラとなっている。

人物

全体的に太った体型と太い眉が特徴的な容姿。修業時代は坊主頭だったらしい。

性格面では自分の拳法に絶対的な自身や誇りを持つ自信家で、初期の烈海王に通じる部分があると言えなくもない。
精神崩壊を起こして腑抜けていたドリアンが海王である事実に否定的な姿勢を見せたり、一方的な試合内容に納得がいかず怒るなどのプライドも見せる。
一方でオリバの危険性を体験したにもかかわらず、自身の方が圧倒的に実力が上だと信じて疑わないなど、傲慢さや分析能力の無さもある。
舐めた相手に先制攻撃のチャンスをあえて与えるといった行動にまで出ており、これは良く言えば大物らしさ、悪く言えば油断しすぎていると言える。

オリバからはバカ扱いされることになったが、傲慢さや油断を見せるその性質は正に馬鹿そのものであり、海王のレベルが落ちている事を証明する一人だろう。

実力

金剛拳と呼ばれる流派に属しており、その流派の実態は「五体の金剛(ダイアモンド)」を目標とした修行を行っている。その修行内容だが、


木剣を使った受打訓練
鎖での殴打
大型車両による腹部通過
旧式のカノン砲による砲弾炸裂の実体験(死)に至る


という過酷というか、最早これを乗り越えられたら人間ではないというような荒行を積み重ねる。
この一連の流れだけではまだ終わらず、最終訓練として「台風来襲の夜半に行われる落差30mの滝壺にて夜明けまでの滝浴び」を実行する。
過酷な身体への負担に耐えきった楊の筋肉は、正にダイヤモンドのような硬さと輝きを見せる。

上述の内容から察するに金剛拳は防御方面に特化した拳法だが、楊は掌底など様々な打撃技を披露していることから攻撃方面でも一定以上の技術を持っていることが分かる。
ただし、多くの打撃技を使った割には一切防御しなかったドリアンに大したダメージは入っておらず、最凶死刑囚クラスの身体に通じる攻撃力なのかは怪しいところがある。

作中の活躍

全海王の紹介を経て、1回戦第5試合においてビスケット・オリバに海王として連れてこられたドリアン(怒李庵海王)と激突。
ドリアンは精神崩壊から回復しておらず、ボンヤリ立っているだけで隙だらけの状態。
楊海王は試合開始直後に激しい連撃を叩き込む。
しかし、連撃を浴びながらも気にする様子もないばかりか口から落としたキャンディに気を取られているドリアンに激昂。
怒りの拳を浴びせるが、ドリアンの反撃はふざけているレベルのスローパンチだったため、逆に様々な打撃を浴びせてドリアンを地に沈めて勝利を確定させた。

だが、あっけない空気に会場が一瞬襲われる中、ドリアンはダメージをあまり受けていなかったようで自力で退場。
観客視点でも闘えるようなコンディションには見えなかったドリアンが立ち上がって歩くさまを「これもまた立派な武術家の姿」と讃える実況もあって、観客席の空気に歓声が戻る中、楊は控室へ戻ろうとするドリアンとオリバの前に立ちはだかる。
勝利こそしたがドリアンの状態が酷かったことから一方的な試合になったことに不快感を表し、「納得できん。この白人には海王を名乗る資格がない!」「あれが実力だとは絶対に認めん!」と、ドリアンとの再試合を要求した。

ドリアンとの再戦の要求を聞いたオリバは、ドリアンは病気だとして自身が代行として戦うことを提案する。
実はこの流れまでがオリバの策略だったのだが、提案を聞いた楊はオリバの身体を見てバカ力が自慢であることを察する。
微妙に見下したような雰囲気の楊に対し、オリバは「バカ力だけが自慢さ」と自虐しながら楊の左手を掴んで握る。
握られた左腕が抜けないことに焦った楊はハイキックをオリバに叩き込みながら状況を脱すると、試合場に出るように投げかけた。


すぐに擂台に戻れッッ

Certainly Sir(かしこまりました) 謝謝 楊海王


オリバとの再戦の要求は主催者にも受け入れられたようだが、アナウンサーからは「試合結果にオリバが不服だった」として、楊VSオリバの試合開始を会場で発表。
観客達もその発表に一瞬こそ驚きはあったが、特に違和感を抱き続けることはなく盛り上がり始めた。

試合はすぐに開始されたが、開始直後から楊はオリバに先制攻撃を行うように提案し始めた。
楊はついさっきめっちゃ焦っていたのに自称腕力世界一のオリバと自分では力量差がありすぎると見込んでの提案だった。
すると楊は服を破り捨て、ダイアモンドの如く輝きを見せる肉体を披露しながらオリバに語りかける。


我が金剛拳。その実態は五体の金剛(ダイアモンド)化を旨とするッ!


金剛拳の過酷な修行内容についてベラベラと語り始める楊は、「遠慮はいらぬ」として両足を踏ん張ったポーズを始める。
楊の自分語りを聞いたオリバは、軽い態度でわざとらしく自分を卑下しながら提案に乗ることを伝える。
手を軽く伸ばしたオリバは楊の頭を撫でるかのように触れ、触られた楊は困惑の表情を浮かべたが……。


バカだぜアンタ…


オリバがそう呟いた直後、頭の上から楊は怪力で潰されてしまい、手足が変な方向に曲がりながら地に沈んだ。
潰された姿は身体が箱のように畳まる形となっており、最早人間の身体を維持していなかった
あまりにもグロテスクな楊の姿に会場の空気が凍る中、範馬勇次郎だけが「金剛(ダイアモンド)が――ヘシ曲がってやがる」と爆笑。

楊を潰したオリバは、謎の物体と化した彼の前で両腕を上げるポージングを取りながら服を破り捨て、会場中に向けて逆三角形の肉体をアピール。
実況がそれに応じる中、楊は目を開いたまま動くことも声を発することもなかったのだった…。

オリバに潰された楊の生死は言及されておらず不明だが、状態を見るに普通なら死んでいる可能性が高い。
ただし、割と死んでいそうな重症を負ったキャラでも生きている事がある作品がバキシリーズなので、何とも言い難いところではある。

余談

  • 楊の身体を粉々にしたオリバだったが、彼も後に『バキ道』で二代目野見宿禰によって身体を粉々に破壊されてしまっている。
    実はこの宿禰との試合なのだが、オリバは試合中に構えを「金剛力士像」に例えられた直後に敗れ去るという結果になった。
    つまり「金剛をへし曲げた男が金剛として破壊される」という、オリバにとっては屈辱的で皮肉でしかない構図になっている

  • オリバは作中で「パンチなぞ通用するはずもない」とわざとらしく言い放っているが、これは皮肉ではなく本当にパンチなら簡単に通用しなかったのではないかという説もある。
    耐久性の高い筋肉を持つ相手に対し、首や頭に負荷を与えて潰すというオリバの攻撃方法は何気に合理的な選択だったりする(無論、実行するにはオリバの怪力があってこそだが)。
    パンチが通じないので潰すという手段に出たとした場合、「バカだぜアンタ」の意味もまた色々と違ってくるだろう。
    ただ、楊自身は本調子ではないドリアンをボコってもなお大きなダメージを残せていないので防御はともかく攻撃力が不足しているようにも見える。
    不用意な硬度自慢をしなかった場合オリバが楊のボディを殴りつけ拳を痛めたかもしれないが、その時点で勝ち切れなければ結局最後は本編同様ペシャンコにされたかもしれない。

  • 金剛拳の修行内容に反して一撃で撃破された楊の悲惨さから、「旧式カノン砲などの修行内容はかなり誇大して話しているのではないか」とまで疑う読者も出た。
    • フランク・リチャーズという実在したアメリカの大道芸人は客に腹を大きな範馬ハンマーで殴らせたり威力を調整した大砲で撃っても平然とするパフォーマンスをしており、現実で不可能というわけではない。
      というよりもおそらくこのフランクが金剛拳の修行の元ネタと思われる。

  • ちなみに現在少年チャンピオンで連載中のバキの外伝小説「ゆうえんち」では、地下闘技場の出場闘士「喜谷君平」が知人の所有する旧式大砲の至近射撃をぎりぎりまで待ってかわすという一種のチキンラン的な遊戯をした思い出を語っている。
    喜谷はすんでのところでタイミングを計り違えてしまったらしく、挿絵では顔の半分が無惨に崩れたままの異相となっていた。

  • 浦安鉄筋家族』シリーズでは、楊をパロディしたキャラクターが度々姿を見せている。

  • ネタ人気を得たためか、ネット上では楊海王のコラ画像が大量に作られている。
    特に本編においてオリバの敗北シーンが増えてからは、「本編とは逆にオリバに勝利する」というコラ画像まで作られるようになった。




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最終更新:2025年04月02日 10:49