慧茄・ダイ・グ・フィルモア(FSS)

登録日:2020/06/14 Sun 21:21:44
更新日:2024/03/24 Sun 20:49:10
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慧茄(エナ)・ダイ・グ・フィルモアは、永野護の漫画作品『ファイブスター物語』の登場人物。
先々代のフィルモア帝国皇后で、現皇帝ダイ・グ・フィルモア5(エラニュース)の祖母であることから、太皇太后宮(おおいおおいきさいのみや)の尊称を持つ。
この尊称は略して太后宮(たいこうぐう)とも言い、皇帝であるダイ・グのみが用いる。

星団歴に於ける剣聖の一人。


【人物】

星団歴2747年生まれ。
生国はアドラーのバキン・ラカン帝国で、元バキン・ラカン帝国皇女。
慧茄・バスコが旧名である。
この為か、彼女自身が騎士であるが、代々の聖帝が持つ相手の騎士能力を正確に見抜ける性質も受け継がれている模様。

生家の名からも解るように、初代剣聖ナッカンドラ・スバースより続く、超帝國剣聖の純血の騎士の血統に連なる一人(スバースのひ孫)であり、同じく剣聖であったディモス・ハイアラキは、慧茄から見て伯父(母の兄)に相当する。

剣聖として

先々代の聖帝ランダとティティンシャ・バスコの長女だが、弟(ボルサの父)と同様にティティンシャが年齢を重ねてから生まれている。
血族では久々に生まれた待望の騎士であり、しかも、ハイアラキ以来となる剣聖であった。

本来ならば、如何に純血の騎士の血統であっても剣聖が生まれるのは一時代に一人であり、つまりは、順当に行けば慧茄がハイアラキの次の時代の剣聖であったのだろう。

しかし、彼女の誕生よりも少し前(数十年程前と思われる。地球で言えば10余年程か?)に“超帝國剣聖その物”*1であるダグラス・カイエンが誕生していたこともあってか、慧茄が実際に剣聖となったのは、カイエンとハイアラキが姿を消してからである。

その後、慧茄が引退した時点で再び姿を現したカイエンが剣聖を引き継ぐ。
これが連載開始時点まででの剣聖の推移である。

  • 5代目:ハイアラキ
  • 6代目:カイエン
  • 7代目:ハイアラキ
  • 8代目:慧茄
  • 9代目:カイエン

……そして、3030年にカイエンが戦死したことにより、紆余曲折を経て剣聖は慧茄が“預かって”いるが、これは次に“預かる”ことになるマドラと同じく、正式な剣聖号としてはカウントされないとのこと。

活躍

慧茄自身の活躍に目を向けた話をすると、実の妹のように可愛がっていた姪のボルサが、超帝國の詩女(アトール聖導王朝女皇帝)となって、星団歴2800年代前半のハスハ動乱に巻き込まれた際には、彼女の守護としてイーストハスハの聖宮ラーン入りしており、この時の経緯から慧茄は聖宮にも強い影響力を残す。

このハスハ動乱は、ボルサにより認められた剣聖カイエンが星団史に初めて登場した戦いでもあり、伯父であるハイアラキは勿論、ハイアラキの後を継いだカイエンとも、当時よりの親交があったと想像される。

そして、カイエンが消えた後に再び剣聖となっていたハイアラキも2800年代末に姿を消したこともあり、前述の様に2899年になってから慧茄が剣聖の号を授かることになったという訳である。

そして、フィルモア帝国第236代皇帝ダイ・グ・フィルモア4に見初められ、剣聖としてフィルモア帝国入り。*2
“王冠を被った剣聖”と讃えられ、星団最強の騎士の称号と、生来の美しい姿から帝国民から崇拝とも呼べる絶大な支持を受けることになり、このことが皇帝ですら絶対的な権力を持つことが難しいフィルモア帝国にありながら、慧茄に“単なる皇帝の后”を越えた大きな発言力を持たせるに至った。

実際、現役当時には皇后でありながら帝国最強の騎士の役目も兼ねていた。
“大陽王のハイランダー”の称号を受け、フィルモア王家の皇帝騎MH(モーターヘッド)Vサイレン・プロミネンス(新設定ではGTM(ゴティックメード)ホルダ23型ディー・ウィリーズ)を駆っていたようである。
因みに、剣聖剣技ダブル・ヘキサグラム(12分身からの真空光輪24攻撃)は、慧茄がオリジナルである。

その後、夫と死別した後は生まれ故郷のエラルド島に戻って隠居しつつ孫のダイ・グ・フィルモア5(エラニュース)を育てていたが、余り他国と交わらない性質のフィルモアがバキン・ラカン帝国とは積極的に交流を持っているのも、元が属国というだけには留まらずに慧茄の影響もあるのだろう。
本編には、フィルモア帝国次期皇帝としてエラニュースが初登場した時に登場。
その際には確かに老婆であったのだが……。
世間で流れている、もう剣も持てない、介添が居なければ立てない等の噂話とは程遠い、元気なおばあちゃんぶりであった。

その後、ハスハ侵攻を指揮するエラニュースこと、現皇帝ダイ・グ・フィルモア5を表敬訪問。
その際には、居並ぶ騎士達の前でこそ、か弱い老婆を演じていたのだが、色々と察していたエラニュースにより二人きりとなった時点で、密かに騎士として復活して肩慣らしに(実際にはスクリティの二人を助ける目的があった訳だが)ロッゾ騎士団二個中隊を壊滅させていたことを詰問されて認め、騎士の力を失ったなんてのは真っ赤な大嘘であったことが判明した。

その実力は、剣聖であることから本来の力を取り戻した場合のマドラと並び、現在の星団でも本当の意味で最強。
カイエンやログナー、及び本当の姿となった超帝國剣聖とも対等のレベルであり、アイシャやリリよりも未だに強い。

……が、当初こそ何時もの軽い調子であったが、フィルモアが自身のルーツの大元である超帝國の影響を色濃く残すハスハの混乱に乗じて友軍を名乗りつつも侵攻した真意を“フィルモア帝国皇帝”相手に詰問する。
この時のやり取りから“フィルモア帝国の真意”を確認した慧茄は、聖宮ラーンへと帰還し詩女として復活したフンフト・アトールを守る立場を表明し、帝国のカーテンの奥に居る者達を戦かせるのであった。

そして、慧茄は自分と志を共にする者達の意志を汲み現在はクリスティン・Vの支え*3となり、更に過去にはブラウ・フィルモア女王にとっては目標にして姉御分であったことが明らかとなっている。
エラニュースやクリスと同様に、ブラウ・フィルモア女王の運命を歪められた子達が帝国の未来であり、それは慧茄や前皇帝レーダー8世もよく解っていることなのだ。

長年に渡り詩女が不在となっていた聖宮ラーンは腐敗の温床となっていた訳だが、フンフト共々、戦乱の中で表向きは主導する連中に協力しつつも、帝国も聖宮も本来の形に戻すべく尽力。
全てが終わった後はフィルモアにもバキン・ラカンにも戻らず、聖宮で人生を全うしたと予告されている。


【パートナー】


  • チャンダナ
以前のパートナー。
バランシェ・ファティマNo.5。
“性能は凄いが無駄に繊細で扱い難い”と、初期にして風評が立ったのを気にしたバランシェにより精神面的にも肉体的にも無敵(鈍感)なファティマを目指して育成された……と真しやかに噂される程の図太い神経と、マスターとの意志疎通すらマトモに出来ないぽよえーんとした能天気さを持つ。
真相は“ただの偶然”らしいのだが、バランシェ・ファティマでは珍しい性格である。
慧茄のパートナーとしてフィルモア入りし、引退に伴いダイ・グ5(エラニュース)に引き継がれた。
慧茄、ダイ・グ5と共にフィルモア皇帝騎Vサイレン・プロミネンス(ホルダ23型ディー・ウィリーズ)を駆る。
何だかんだでフィルモア帝国最強のファティマ。


  • ラ・クラトーマ
現在のパートナーで、クープファティマ。
前皇帝レーダー8世のファティマであったが、レーダー8が皇帝の座を降りると共にVサイレン・ネプチューン(ホルダ19型メロウラ/スクリーマー)をクリスティン・Vに譲ったのと同じく、騎士も廃業したので、パートナーを解除されていた。
稀少も稀少な最高品格フローレスを持つ貴重なファティマということで、フィルモア帝国としても手放したくなかったようで、国外には出さずにシャープス博士の下で新型MHファントム(GTMドージョージ1型:ラミアス・ゴーゴン)の調整を手伝わせていたのだが、そこにやって来た慧茄が騎体を受け取る序でに連れていってしまったらしい。
この辺の重要人物は皆仲良しなので、悪巧みしてる人達は頭が痛いのだが、政以外で逆らえる筈もないのであった。
また、戦時下で国が割れてしまい泣く暇もない状況に陥ったハスハを“カイエンのために泣いてやる”だけにやって来たシアン夫人に同行していた。


【使用MH/GTM


MH

  • Vサイレン104・プロミネンス
嫁ぎ先のフィルモア王家の所有するMHで、帝国の皇帝騎。
MHサイレンの指揮駆逐用のカスタムチューンアップ騎である。
全く見た目は違うが、Vサイレン・ネプチューンと中身は一緒。
女性型にも見えるネプチューンに対して男性的で、フィルモア帝国にもかかわらず、装甲は大陽王家と呼ばれるフィルモア王家のマリーゴールドという明るいカラーリングである。
元々、フィルモア王家は星団歴以前からの古い家系であることから、フィルモア初代皇帝も駆ったあのMHを所有していたのだが、それは諸々の理由からハスハ(より正確には聖宮ラーン)へと渡っている。
現在はチャンダナと共にダイ・グ5に渡され、初陣にて窮地に陥ったハイランダー(クリス)を皇帝自らが助けるというパフォーマンス(本人は本気)により内外から喝采を浴びた。


  • ファントム
ブラウニー家から連なるMHマイト(GTMガーランド)バルドミラン・シャープス博士がサイレンとは別思想で組み上げた完全新規のMH。
剣聖マドラ用にと採算度外視で生み出されたという経緯を持ち、3騎が同時に完成したが、図らずも復活した慧茄にも1騎が渡った模様。
慧茄の駆るのは真紅のファントムで、他に黒をマドラが、白をナイアスと非常に強力な女騎士(しかも、二人は剣聖である。)ばかりに渡されることになった。
尚、作者はかなり後になってから元々は富野から依頼されていた『ダンバイン』の新作用オーラバトラーだったのが企画自体がポシャったのでデザイン案を流用したMHだったと明かしている。*4

GTM

  • ホルダ23型ディー・ウィリーズ
新設定では、上記Vサイレン・プロミネンスは此方に名称と設定変更。
詳細は現時点では不明。


  • ドージョージ1型:ラミアス・ゴーゴン(ステンノ)
上記ファントムは設定改編後は此方の名称に。
ゴーゴンは、有名なメデューサを末妹とするギリシャ神話の怪物とされてしまった三姉妹の名前であり、慧茄騎は長女のステンノ(強き女)の名を冠している。




追記修正は分身でもすっ転ばずにお願いします。

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最終更新:2024年03月24日 20:49

*1 純血の騎士の血統に世代毎に一人ずつ出現する星団歴の剣聖は、超帝國の剣聖の力を先祖返りにより引き継いだ騎士のことである。

*2 元々、バキン・ラカン帝国はアドラーのフィルモア領から独立した国であるため、帝国との関係が深い。

*3 ダイ・グ5が自分が預けた耳飾り=ダイ・グ4よりの贈り物であり、フィルモア王妃に渡すようにと伝えていた意味を教えた。

*4 そして、その替わりにと参加を打診されたのが『ブレンパワード』だったとのことである。