SCP-1730-JP

登録日:2020/07/18 Sat 14:04:21
更新日:2024/01/11 Thu 17:12:35
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SCP-1730-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「このへんないきものは、」。JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。
オブジェクトクラスは「Euclid」。

概要

このオブジェクトは項目名通りの「なんだかよくわからないへんないきもの」である。

元ページに画像があるが、外見は「灰色から黒色の体色をした、概ね人型の、よくわからない生物」である。

コイツの持つ異常性は、強力な認識災害。
といっても、「認識できない」反ミーム方向に特化したタイプであり、丸くない奴に近いと言える。アレほど危険ではないが。

SCP-1730-JPは生き物なので、普通に歩いて活動している。
見た目は非常に不気味だが、性質は非好戦的な草食性の比較的無害な生物。ただ、別に友好的ということはなく、彼らのペースで独自に生活している。人間に対する態度は「非干渉的」と言ったところだろうか。
後述の事件記録によると普通の人間と同じものも食べるらしい。

当然、こんな変な生き物を目の当たりにした人間(SCP-1730-JP-1)はビックリ仰天するわけだが、コイツの認識災害により、SCP-1730-JPは「その場にあってもおかしくないもの」として認識されてしまう。
さらにSCP-1730-JP-1の記憶は常に上書きされるため、SCP-1730-JPの移動を認知することもできない。
そのため、「町中にある変なオブジェ」としてしか認識されず、異常性の発見も遅れていた。

ただし、コイツの認識災害は例の丸くない奴ほど強力ではなく、SCP-1730-JP-1から情報を伝達された人(SCP-1730-JP-2)は、その異常性に気付くことができる。
例えば、SCP-1730-JP-1が「駅前にオブジェがある」と言った後に、「公園前にオブジェがある」と言ったりすると、SCP-1730-JP-1は「駅前にオブジェがあった」ことを忘れているので「公園に変なオブジェがある」としかわからないが、SCP-1730-JP-2は「同じオブジェが駅前と公園にある?移動している?」と異常性を認知できるわけである。
また、単純に記憶補強剤を摂取しても、コイツの存在を覚えておくことは可能。

SCP-1730-JPの正確な個体数を財団は把握しておらず、収容もできていないのでKeterクラスが妥当なようにも思えるが、
異常性そのものは完全に検証できており、また自身の特性により一般人に騒動を起こすこともほぼなく、さらにSCP-1730-JP自身に攻撃性のようなものは一切ないのでEuclid相当と判断されたのだろう。

というわけで、発見された場合はプロトコル「二人羽織」で対処することが定められている。
プロトコル「二人羽織」は、エージェントを現地でSCP-1730-JPの現物を確認する者と、遠隔地で通信を受けて情報を整理する者とに分け、SCP-1730-JPの所在地を確認する、というもの。


この記録から、「目の前で移動しているのに、その事実を認識できない」「最初から移動後の座標に存在しているように感じてしまう」「間接的に得た情報ならば異常性は発現しない」という性質が見て取れる。

また、性質が性質なので、無関係な一般人が遭遇して騒ぎになった事例も少数ながら存在している。

概要: 山梨県██郡の兄弟の男児二名が自室でSCP-1730-JPを3ヶ月間飼育していたもの。

経緯: 兄である██ 幹夫氏が付近の山林で偶然SCP-1730-JPの幼体を発見し、子供用玩具だと考えて虫籠に入れて持ち帰った。SCP-1730-JPは抵抗、逃走しなかったと考えられる。弟である██ 啓介氏は先天盲であったため、兄が人形の置き場所を口頭で伝えたことで偶然プロトコル「二人羽織」と同様の状況が再現され、啓介氏が異常に気付いた。飼育は夕飯の残りなどを利用しており、母親である██ 美紀氏は隠れてペットを飼っていると考えていた。20██/██/██、美紀氏が夕食後にSCP-1730-JPに餌を食べさせる場面を目撃し、パニックを起こした。警察、精神科その他に取った連絡内容を財団が傍受し、収容に至った。

補遺: SCP-1730-JPの幼体時は警戒心が薄く、飼育が容易であることが確認された。SCP-1730-JPの幼体は基本的に親個体と共に行動することが確認されている為、当個体は何らかの要因により親個体からはぐれていたと考えられる。飼育時の餌の内容は収容手順に一部反映された。██家の全員にCクラス記憶処理を行い、カバーストーリー「捨て猫の飼育」を適用した。

直接視認しない場合に認識災害が起きないことが判明。どうもコイツの認識災害能力は、直視により発生するものらしい。

概要: トラック運転手が高速道路でSCP-1730-JPと接触したもの。

経緯: 長距離トラック運転手である██ 大志氏が高知自動車道を走行中、付近の山林から侵入したSCP-1730-JPの成体と接触したもの。複数名が事故を視認していたが、その全員がトラックが何かを撥ねた事とグロテスクな彫像が反対車線に置いてあったことを別々に証言し、何を撥ねたのかは答えられなかった。無線の内容を財団が傍受し、収容に至った。

補遺: SCP-1730-JPは死亡後も異常性を失わないことが判明した。「トラックで人型の彫像を撥ねた」記憶は、反対車線に飛ばされたSCP-1730-JPを視認した時点で上書きされたため、何を撥ねたかを証言できなかったと考えられる。

物理攻撃で殺害することは可能なこともわかる。また、死体にも認識災害特性があるのは厄介とも言えるが、無用な騒ぎを起こさないという意味では財団にはありがたい部分がある。

概要: 屋外の芸術展示会場に出現し多数の写真を撮影されたもの。

経緯: ██県██市で開催された屋外の芸術作品展示会において、付近の山林に生息していたSCP-1730-JPが同会場に侵入し、会場内で30分間程度活動した。展示会に訪れていた複数名が対象を視認し、屋外のアートと認識して積極的に写真を撮影した。SNS上にアップロードされた写真に対して財団のWEBクローラが異常を検知し、収容に至った。

補遺: 収容完了までにSNS上に複数枚のSCP-1730-JPの写真がアップロードされたが、閲覧者は直近に視認した写真のみを記憶していたため、撮影場所が明らかに変化していることに気付いたものは無かったと考えられる。

写真にも同様の異常性があり、そのために今まで大きな騒ぎにはなっていなかったようだ。



とりあえず、SCP-1730-JPはその特性上自発的に騒動を引き起こすことは一切なく、人間の攻撃にも完全に無抵抗。
何考えているんだかよくわからないのは気になるが、現状特に危険性は存在しない、と判断していいだろう。




















某年某日、財団はSCP-1730-JP型異常実体の存在を確認。
しかし、これに気付いたのは、SCP-1730-JP-2から情報を受け取った三次情報受信者(SCP-1730-JP-3)であり、SCP-1730-JP-2はSCP-1730-JPの存在に気づいていなかった。
今まで発見されていたSCP-1730-JPよりも認識災害特性が強力な個体が存在する、と想定した財団は、より強力な記憶補強剤を用い捜索を開始。
結果、今までのSCP-1730-JP個体よりも成熟した、恐らくは親世代と思われる個体(SCP-1730-JP-S)を発見した。

財団は慌ててSCP-1730-JP-Sの調査を行ったが、どうやらコイツらの認識災害特性は、世代を経るごとにだんだん弱っていることが発覚。
そのため、SCP-1730-JP-Sの個体数は今後減少傾向にある、と思われる。

やれやれ、強力な反ミーム生物がバカスカ増殖するような事態はどうやら避けられそうである。




















財団は、現在確認されているSCP-1730-JPの後の世代になると、認識災害特性は完全に消失し、 一般人でも普通に認識可能になる と想定している。

そして、財団が現在想定している未収用のSCP-1730-JP固体の数は 数万体

……つまり、今後「どんな生物図鑑にも載っていない未知のグロテスクな生物」が 日本中で山ほど確認されるようになる 事態が想定されている。

SCP-1730-JPそのものには別段危険性はないのが救いだが、こんなものが大量に出現したら大パニックになることは間違いないので、 財団はコイツの完全な収容に向けて対策チームの結成を急いでいる

なにせ、



このへんないきものは、まだ日本にいるのです。

たぶん




余談

ディスカッションで触れられているが、 SCP-1730-JP-Sよりもさらに上の世代がいまだに生き残っている 可能性は否定できない。
なにせ報告書内では具体的なコイツの寿命については検証されていないのだ。
そして、SCP-1730-JPの認識災害特性はより上の世代になるほど強力になるので、仮により上の世代が存在していた場合、 財団でも存在を把握できない 可能性が高い。


追記・修正は二人以上の報告者を介してお願いします。



CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1730-JP - このへんないきものは、
by izhaya
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1730-jp

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最終更新:2024年01月11日 17:12