イリエワニ

登録日:2020/10/1 (木曜日) 21:50:00
更新日:2021/01/15 Fri 22:28:08
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イリエワニとはワニ目クロコダイル科クロコダイル属に属するワニにして、
世界最大の爬虫類に数えられる爬虫類の一つである。
学名はCrocodylus porosus、英語ではsoltwater crocodile(ソルトウォータークロコダイル)といい、
別名として英語名を略したソルティーやその学名からポロサスとも呼ばれる。

概要と生態

後述する通り東南アジアからオセアニアにかけての熱帯地域各地に生息している大型のワニで
平均してオスは4m、メスは3mだがこれをはるかに上回る大きさに成長する個体もよく見られ、
公式記録ではフィリピンで捕獲された6m17cmもの巨体の個体が最大とされている。
さらに非公式ではあるがなんと7mの個体も存在すると言われている。
英語名のとおり塩分に対する耐性が強く、基本は川や湖などの淡水に生息し
"海でも見られることがある"他種のワニと違って海にも好んで生息しており、また遊泳力もワニの中で最も優れているため、
外洋まで泳ぐことが可能で本来の生息地から離れた国の海域や陸地で見つかることもたまにある。
驚くことにかつては沖縄県の西表島にも少数ながら生息していたと言われており、
現在でもたまに流れ着いてくることがある。
性格も獰猛で野牛や魚、カニは勿論我々人間も捕食対象である。
このように獰猛な生物というイメージが強いが多くのワニの仲間に共通して本種も仲間意識が
非常に強く、他の爬虫類のように卵は産みっぱなしにはせずに母ワニは我が子が孵化するまで守り、
無事に孵化してからも暫くの間付きっ切りで守るのだ。
しかも子ワニがSOSの鳴き声を出すと母ワニだけでなく、他のワニもゾロゾロと現れるので
生息地では野生の子ワニを見つけても絶対に手を出してはいけないと言われている。


武器


巨体から想像できる通り噛む力も凄まじく、大きな個体になるとなんと一トンものパワーになる。
これは肉食恐竜のティラノサウルスに匹敵すると言われており、体格比で計算すればではあるが
実際に地球上の生物の中で噛む力が最も強い動物の候補にも挙げられているのである。
一方でワニの仲間に共通して開ける力はかなり弱く、ちょっと重い石を上顎に乗せられるだけであっさり開かなくなってしまうほど。
無論イリエワニも例外ではなく、実際に捕獲する際に麻酔で眠らせた後に口にロープなどを巻き付けるという対応を取っているのを
テレビなどで見たことがある人がいるかもしれない。
しかし武器はその大顎だけかと思ったら大間違い。
外洋まで遠泳できるほどの推進力の源である太く長い尾も武器であり、
一振りで牛や馬の脚を叩き折り、オマケに尻尾のギザギザもナイフのように鋭いので
当たったら裂傷と打撲を同時に負いかねないのだ。



生息地

主にベトナム~フィリピンなどの東南アジアやインドやバングラデシュといった南アジア、
オーストラリアやパプアニューギニアといったオセアニアに生息している。

天敵

大型であり、生態系の頂点に立つ動物なので天敵は少ないが
インドではトラに捕食されたり、子ワニがヌマワニやオーストラリアワニといった別の種類のワニに捕食されてしまうこともある。
先ほど述べた我々人間は彼らにとっては捕食対象ではあるが同時に天敵でもあり、
国によっては皮目的で乱獲されて数を減らしてしまったところも存在する。

人間との関係

上でも述べたが人間は天敵であると同時に獲物の一つでもあり、
フィリピンやオーストラリアでは毎年生息地の川で泳いでいた人間が襲われて負傷したり、
酷いと食い殺される事故が発生している。
太平洋戦争においてもビルマのジャングルに隠れていた日本兵がイギリス軍に炙り出された際に
逃げようと川を渡ろうとしてこのイリエワニに襲われて阿鼻叫喚の地獄絵図になったとされている。
恐ろしい話である…

しかし現在は全体的に数を減らしつつある絶滅危惧種でもあるのでよほどのことがなければ駆除はせず、
生け捕りにされて保護区に移送されるか、動物園含めた飼育施設に送ると言った措置が取られることが多い。
ただし捕獲しようとして死んでしまったりすることもたまにあるのでその際は剥製にされたり、
解剖されたりして被害の状況などを調べたりすることもないわけではない。

食用に養殖もされているようでタイやオーストラリア等では
このイリエワニと近い種のシャムワニを交配させて成長速度を速めたワニの肉が食べられるとか。
味は意外にも臭みが少なく、鶏肉に近い食感で美味。




飼育


ワニの中までは勿論爬虫類の中でも特に巨大化する種類の為、動物園等でも飼育・展示がされている。
中でも有名だったのは静岡県の熱川バナナワニ園で
かつて飼育されていたイリエワニで世界的にみても珍しい白変種であった。
その熱川バナナワニ園と並んでワニ飼育のメッカとも言われる大分県の
鬼山地獄ことワニ地獄では繁殖にも力を入れており、子ワニも見られる。
我が国においては特定動物に該当する生物であり、許可がなければ飼えなかったのだが
逆に言えばそうした動物を扱う資格さえあれば個人でも飼育できたのである。
しかし近年の法改正によって愛玩用としては飼えなくなった。
とはいえ、飼育下でも2mは軽く超えるし獰猛さも攻撃力も凄まじいのである意味正解だったのかもしれない。
実際イリエワニを飼育しているある人は、餌代どころか設備に膨大な維持費がかかる上、
飼育者すらほぼ餌としか見ておらず、油断すれば食い殺されると言っていたという。
一方でワニ特有の知能の高さもあるようでケガをしたりするとその処置をするように催促する行動をとることもあるとのこと。

余談

ワニの仲間に限定してもアフリカにいるナイルワニと肩を並べる最大種として知られ、
爬虫類全体で見ればオオアナコンダやアフリカニシキヘビと並ぶ最大、最重の爬虫類としても知られている。
体長だけならオオアナコンダやアフリカニシキヘビにかなり劣るが脚がある爬虫類では最大クラスなのもまた事実である。

ブラック・ウォーターという映画でワニが登場するが舞台がオーストラリアであることから登場するワニも恐らくこの種類と思われる。


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最終更新:2021年01月15日 22:28